みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
4.《ネタバレ》 1945年6月太平洋最前線にて従軍していた潜水艦「イ-57」は突然マレー半島のペナンに寄港を命ぜられる。そこで拝命した任務は和平工作のために某国の外交官を中立国であるスペイン領カナリー諸島まで輸送することだった。ある港で予定通り外交官を乗せたが、予想外に外交官の美人の娘も付き添ってきたのでひと騒動起きる。娘は父の健康を気遣ってついてきたのだ。潜水艦が喜望峰まで達したとき、連合国はポツダム宣言を発表。もはや和平工作は無意味となった。しかし折悪しく無線機が故障。司令部と連絡がつかぬまま目的地に達する。そこに来るはずの迎えの船は無く、連合国艦隊に囲い込まれる。潜水艦は浮上し、外交官父娘を渡す。ただしその後は降伏せず、体当たり攻撃する。 ◆何が言いたいのかよくわからない映画だ。基本的には悲劇的戦争映画のはずだが、ヌードや喜劇的要素が盛り込まれ、艦長を演じるのは軍人らしからぬ二枚目俳優。最後の「降伏せず」のところを描きたかったようだが、一本筋が通らない。負けるとわかっていても降伏はしないところに美学を感じており、艦長と艦員達との絆が強調される。和平工作のために従軍しているのに、無謀な体当たり攻撃による自爆死で終わる。近距離からの艦砲が潜水艦になかなか当らなかったり、外交官を乗せた船が邪魔になって魚雷攻撃できないなど無理な設定がありリアリティに欠ける。最後だけ妙に生々しい演出になっているのも違和感を感じる。 ◆成長したのは外交官の娘。最初は戦争を止めない日本人が嫌いだったが、軍医や艦長の誠意にほだされて和解。最後は「生きてください」といって別れる。ただこれもとってつけたような通り一遍の演出で、感動するものではない。 ◆戦闘場面は迫力が無い。これといった戦術もない。機雷で攻撃されて深く潜行、逃げ切れなくなったら魚雷が打てる位置まで浮上し魚雷攻撃。それだけ。監督は戦術には興味がないらしい。 【よしのぶ】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-03-03 17:20:36) 3.《ネタバレ》 松林宗恵監督の訃報はとても驚いたし、「社長シリーズ」をはじめまだそんなにたくさん松林作品を見たわけではないのにとても寂しい思いがする。そんな中で松林監督の追悼の意味を込めて本作を見た。潜水艦に女というシチュエーションは「ローレライ」を思わせるが、あり得ないほど荒唐無稽な映画でしかなかった「ローレライ」に対してこちらは一切の荒唐無稽さもなく、時々笑えるシーンをはさみつつもシリアスな戦争映画としてかなり見ごたえのある映画に仕上がっており、池部良や三橋達也ら出演者の熱演もあって「ローレライ」に比べるまでもなくはるかにまともである。これは既に青観さんが書かれているとおり、戦時中松林監督は海軍におり、主演の池部良も戦後しばらくは抑留生活を送っていた経験があるなどこの映画に関わったスタッフやキャストが実際に戦争を肌で感じている世代だからこそ出せるリアリティがあり、今現代の戦争映画とは比べ物にならないくらいの深みを感じられるからだと思う。ドラマに置いても最初は潜水艦の乗組員たちに偏見を持っていたミレーヌが高熱を出したときに乗組員全員が協力して氷を作ってくれ、それがきっかけで偏見を解くという展開は松林監督のメッセージが込められているようでとても印象に残った。乗組員の中に僧侶がいるのも松林監督らしい。それにしても松林監督の戦争映画を見ているとこの監督は必ずしも「社長シリーズ」だけの監督ではないと思えてくる。最後に、松林監督、お疲れ様でした。ごゆっくりとお休みください。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-09-03 13:47:22)(良:1票) 2.《ネタバレ》 潜水艦に女性との設定はこれが最初ではないけれど、下から見上げるタラップに女性の脚がと言う場面は笑わせられました。終戦交渉への重要人物を護送する役目を負わされた潜水艦ですから敵との接触をさけて南下していくのですが、最後にとうとう敵艦隊によって珊瑚礁に追い詰められ爆雷を避けての行動も行き詰って白旗を掲げての浮上となり、ここで乗船していた二人の客をボートに移乗させた後に艦隊本部に暗号で「任務の終了したことを確認し以後独自行動に移る」と発信した後に平文で「降伏せず、直ちに戦闘を開始する」と通告し浮上したままの魚雷攻撃と敵弾の雨の中を体当たりの突撃をすると言う華々しい最後となります。艦内でも全員が直立して最後の瞬間を迎えるといった場面はありえないけれど、それが乗客の女性の別れ際の「死なないで」との言葉と対比されています。まあ、サムライらしい斬り死にの美学とも言えますが。 【たいほう】さん [映画館(邦画)] 6点(2009-08-28 13:02:01) 1.《ネタバレ》 松林宗恵監督の死去というニュースを聞いて寂しく感じる今日この頃、この監督さん「社長」シリーズの監督として有名だけど、こういうシリアスな戦争ものを撮っても実力のある素晴らしい監督であることを改めて思い知らせれた。池部良と三橋達也の二人がとにかく熱い演技で見せてくれる。戦争ものとしの迫力ある映像、モノクロのあの映像が余計、その凄みを感じさせ、また、この映画、時々コメディタッチなものが見られるのは、監督がやはり喜劇の監督だからなのか?その良い例が艦長の娘の外国人女性ミレーヌが水浴びしている所を男達が除いている。覗かれたミレーヌの色気が充満しているからこそ余計に男達のむさ苦しさが際立っている。この映画に携わった関係者の多くは戦争を実際に経験していると思われるからこそその傷み、戦争というものの恐ろしさを感じさせる内容になっている。戦争というものが背景にありながらも単なるシリアスドラマにはせず、男だらけの中に外国人女性の美女を放り込ませるということで生まれてくる娯楽映画としての成功、外交官の娘の感謝の言葉を述べる場面においては、人が人を思いやり、国籍も性別も関係ない。どんな人間であれ、人に対して感謝する気持ちを忘れずに行きようという監督からのメッセージとも取れるし、それにしてもここでの男達の軍服姿の美しさとかっこ良さ、中でも川島雄三監督の映画などでよく見るだらしない男とはまるで違う三橋達也のかっこ良いこと。川島映画における三橋達也も私は好きだけどこの映画の三橋達也も私は好きです。最後にもう少し!松林宗恵監督、今までお疲れ様でした。あなたの素晴らしい実力、多くの映画ファンは解っている筈!天国で三橋達也をはじめとする他「社長」シリーズで楽しませてくれた三木のり平や加東大介、フランキー堺達と酒を酌み交わして下さい。 【青観】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-08-27 21:35:32)(良:1票)
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