みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
4.《ネタバレ》 3度目の鑑賞。 受験のため上京してきた7人の男女高校生。そのうち中心に描かれる男子4人が受験会場のそばで出くわした「紀元節復活反対」デモに対するシニカルな反応に、この映画のコンセプトは表れた。 彼らの念頭にあるのは性欲であり、大人たちがふっかけてくる政治の話題にはほとんど興味がない。否、興味がないというより、大人が押し付けてくるイデオロギーへの嫌悪感から、担任教師から教わった猥歌で対抗するのである。 つまり、この映画の主題は「政事」vs「性事」という人類史における「現実」との向き合い方をめぐる対立ではないか。 何しろ男子高校生たちの性欲の標的となる「469」(受験番号)の姓は「藤原」である。したがって、彼女を凌辱しつつ歌う猥歌は古代日本国家における一大権力者にして、その後の日本社会において「血筋」や「家柄」という価値観を至上のものとして根付かせた元凶に対するプロテスタント・ソングという意味が込められているのであろう。そうした精神は反戦フォーク集団の偽善的な「革命」のスローガンにも向けられる。 ことに青春のニヒリズムの権化というべき荒木一郎の存在感が素晴らしい。だが、そんな彼が同級生・金田の歌う「慰安婦」の歌の意味に真っ先に気づくという感受性を持っていたりするのが面白い。 戦後日本の「民主主義」における旧態依然さや、隔靴搔痒ぶりに対する大島渚の反抗的主張が最も色濃く煽情的に表現された作品ではないだろうか。 【あやかしもどき】さん [DVD(邦画)] 10点(2025-01-31 06:37:54) 3.《ネタバレ》 安保などをめぐる政治の季節の敗残兵世代に、60年代後半の新しい世代が対置される。当時この映画の宣伝の文脈で、荒木一郎が共演の「新感覚の」若者たちと共に「スター千一夜」でじゃれ合っていた。このインタビュー番組の「コミュニケーション」にろくに応じず、じゃれ合っていた、大人の理解をまったく超えた新しき存在として。それがなんともかっこ良かったのである。この映画が原点なのである、私の場合。ところで、大島渚の不幸な点は、この映画でも露呈したような、今やジェンダー論的に生き残れないような女性観にある。同じ松竹ヌーヴェルヴァーグでも吉田喜重とそこが違う。 【ひと3】さん [映画館(邦画)] 9点(2011-03-10 22:55:31) 2.学生運動と似たノリでとにかく集団行動。 登場人物たちは群がるのが好きで、単独で動くとすれば女と会っている時だけ。 そんな生活パターンは個人的に嫌いなので全く感情移入できない。 もっと孤独を愛せと言いたい。 そしてビデオジャケット裏の解説文にも書いてあったが、いかにも即興的な作りで思いつきで撮った感じ。 これが当時は挑戦的な試みで前衛的だったのかもしれないが、現在からみれば何ら前衛的でもないし、乱暴で適当な作りになってしまっている。 そして歌がしつこい。 ヨサホイ節はまだいいが、気色の悪い民謡みたいな独唱をやめてほしかった。 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 3点(2009-11-15 23:19:48) 1.これむかし名画座で見たときは、すごく褪色して真赤になったフィルムで、日の丸が普通の赤い日の丸になってたの。雪の中を行く黒い日の丸がどうのこうの、という評を読んでたから、たぶんこうだろうと、想像で色を赤から黒に変換して見たものでした。今回DVDでちゃんと見ました、黒い日の丸。やっぱり想像するのと実際に見るのとでは違います。そしてこの映画のテーマが、どうもそういう想像することと現実との落差みたいなものだったようで、それなら本作を鑑賞するにふさわしい貴重な体験でもありました。吉田日出子・宮本信子のセーラー服・いまや演出家として著名な串田和美の学生服、などが見られるのも貴重な体験であります。 【なんのかんの】さん [DVD(邦画)] 6点(2007-11-15 12:16:54)
【点数情報】
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