みんなのシネマレビュー |
|
|
|
ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
2.《ネタバレ》 邦題は明らかに『何がジェーンに起こったか?』のもじりで、60年代にベティ・デイビスをフューチャーして一世を風靡した『何が…』の亜流映画の一つと位置づけられるが、これが単なる亜流と片付けるには惜しい一編です。デイビスは『何が…』と似たような姉妹ものという設定ですけど、こっちはデイビスが双子の姉妹で一人二役というところがミソ。映画のタッチからしててっきりロバート・オルドリッチが監督かと思ったけど、メガホンを取ったのは俳優としてのイメージが強いポール・ヘンリード、オルドリッチも候補だったことは確からしい。 なんと言ってもデイビスの二役演技が素晴らしい。ファースト・シーンの葬儀の場面では妹マーガレットの方が顔を完全に隠すヴェールを被っていたりカット割りで二役演技をさせる撮り方なのかと思いきや、両端で姉妹が向き合って演技するカットもあって、これが実に違和感がない素晴らしい撮影技術なんです。現代ではデジタル技術でこんなこと簡単に撮れるわけですが、60年代で成し遂げたのは素晴らしい。と、感心してよく調べると、撮影監督は名手アーネスト・ホーラーじゃないですか、納得です。双子で大富豪の未亡人である妹を殺して成りすますのが基本プロットですが、このサスペンスを盛り上げる脚本がとても秀逸です。妹を殺して大豪邸に入り込んだデイビス、来客が待っていると執事に告げられても、デカいお屋敷なのでどこが客間なのか判らない。そこで執事に呼んでくるように先に行かせて、彼の動きでどこが客間なのか判ると「やっぱ私が会いに行くわ」と取り繕う。相続関係の書類にサインしなければならないけど、何度練習しても妹の筆跡に似せられない。そこで暖炉の鉄杭を握って火傷させて、左手でしかサインできないようにして切り抜ける。いくらそっくりだと言っても妹と生活していたわけじゃないから、たしかに細かいことが判るわけがない。こういうリアルなサスペンスを丁寧に盛り上げる巧みなストーリーテリングです。ここに貧乏暮らしだった姉のイーディスに惚れていた警部のカール・マルデンが絡むわけですが、この人がまた良い味出してるんだよなあ。けっきょく妹マーガレットも愛人と共謀して夫を毒殺していたわけですが、その結果死刑が宣告されてもマルデンを悲しませないようにマーガレットとして刑を受けるラストのデイビスには、ジンと来るものがありました。 やっぱベティ・デイビスは凄い女優だったな、と再認識させられた次第でした。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2023-08-18 22:29:02) 1.スカパーの「町山智浩のvideo shop UFO」で鑑賞。 現在、日本では未DVD化です。 これは「何がジェーンに起こったか?」と同じくらい面白い作品です。 ベティ・デイヴィスが一人二役を演じています。 かつて自分が愛した男を奪った大富豪の双子の妹を殺して、その彼女にすり替わるという奇抜な始まりなんです。 つまり「自分を殺したのは誰か?」という展開になるのですが、その結末がとてもドラマティックなんです。 番組でも、町山さんが言っていましたが、ちょっとした感動が待っているんです。 これは意外です。 大富豪の妹になりすましたヒロインがボロを出すのは当然のことなんですが、問題はそこじゃないんです。 ヒロインを追い詰める刑事は、犯行前の彼女を愛していたのですが、彼の愛の矛先はずっと変わらないんです。 刑事は死んだと思われるヒロインと、妹に成りすましているヒロイン、つまり同じ人間を重ね合わせようとするのですが、彼の心の天秤が大きく揺れるのです。 そしてその先は意外な方向へ進んでいくのです。 ヒロインはその刑事のことは愛していませんでした。妹と結婚していた男性を愛していたのです。 ですが、その刑事の愛を受け入れようとするヒロインの心境の変化で、この作品の価値も大きく変わるのではないかと思うのです。 ちょっと変わった作品ですが、「愛」というものを描いた素晴らしい作品です。 因みにサスペンス要素もあるので、メロドラマとは全く違います。 【クロエ】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2021-02-17 15:54:54)
【点数情報】
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS