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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
2.《ネタバレ》 [2025/3/24改訂] 横溝正史の金田一耕助シリーズの映画化である。何かの本でエログロ映画として紹介されていたように思ったが、実際見ればそれほどエロくもグロくもなく、隠微な雰囲気などもほとんどない。しかしファッション業界の話なので華やかさがあって、1953年のミス・ユニバースに出た伊東絹子という人(八頭身美人)も特別出演している。映像面では古い洋館(「昆虫館」)の内部が目を引かなくもないが、個人的にはそれよりマネキン(マヌカン)工場の妙な異界感が面白かった。 題名ではガの話かと思わせておいて実はなぜか狼男の話だが、もとが推理小説なのでモンスター映画でもない。狼男の話だとすればガが出ることの方が不自然で、恐らく真犯人が偽装で使ったのだろうがろくな説明もなく、題名にするほどの存在感がガにはない。 なお映像には一応ガが出るが、大型のがパタパタ飛んで迫って来るような恐ろしい場面はないので安心できる。ただホールケーキの上に標本が飾られていたのが嫌な感じではあった。ガの種類に関しては、箱入りの死体の場面はシンジュサン、ケーキの場面はヒメヤママユかと思われる。「昆虫館」の死体の場面は不明だが、地味ながら端正なスタイルのガだった。ファッション業界の話なのでガの美にも注目すべきかも知れない。 物語としては、映画で見た限りではまともに筋が通っているのか怪しい。最後に真相を長々と説明していたが、意外性ばかりが優先されて荒唐無稽な印象しかない。そもそもこの場の台詞だけではほとんど理解できないが、あとで真面目に考えると明らかに説明不足な点もある。動機も単純な殺人嗜好だったとすればかなり安易な設定に思われる。 登場人物では、金田一耕助は半分過ぎたあたりで唐突に格好つけて出る。金田一役の池部良氏に対し、「弓子」役の安西郷子さんがヒロインであればお似合いの美男美女かと思ったらそうでもなく、弓子のお相手は新聞記者の男だったらしい。しかしその新聞記者役が千秋実氏だったのが不可解で、安西郷子さんと比べて見た目の年齢差もあり過ぎなので、これも「パパ」なのかと思った。なお安西郷子さんは洋風美女だが可憐で可愛らしい。また当時20代の塩沢とき氏も若干色っぽい場面がある。 その他雑記として、上野公園での汽笛は音による場所の表現だったらしい。また武蔵小金井とされている場所で、地元在住と思われる人物が「出かけるときはいただがね」「出かけたらしいだよ」と言っていたのはこの辺の方言だったのか。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-03-12 20:35:42) 1.怪奇ムードを醸成する撮影と照明設計が全編にわたって素晴らしい。昆虫館の外観に内装(特に廊下)の凝った美術が濃い陰影の中に不気味に浮かび上がる。 手や足のオブジェやトルソは怪奇演出のみならず、殺人シーンの場面転換の技法としても活用され印象強い。 クライマックスの廃ビルもスケールを感じさせる絶品のロケーションだ。取り壊し中なのか、外壁が崩れ落ち、鉄骨むき出しとなった廃墟が異空間ぶりを際立たせている。 縦の構図で捉えられた夜のビル内、飛び交うサーチライトが警官隊と犯人を照らし出し、吐息と土埃と拳銃の火薬煙が闇に舞う。 発砲音と、着弾音、追跡の足音の反響も効果満点で、視聴覚的に豊かな造形だ。 ファッションモデル役の女優も多数出演する中、安西郷子が役柄通り様々なファッションを着こなし、俄然美しい。 その分、後半から登場の金田一役:池部良の印象が弱いのが残念なところ。 【ユーカラ】さん [映画館(邦画)] 7点(2011-07-24 19:39:23)
【点数情報】
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