みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
16.ジブリ初の外国との合作映画で、監督も外国人という作品で、かつセリフの一切ないサイレント映画。物語としては、「浦島太郎」や「鶴の恩返し」を想起させるもので、日本人にとってなじみ深いものとなっていると思う。サイレントというのが効果的に生かされていて、セリフがない(最低限の状況説明の字幕もない。)ことで、映像の力だけでドラマや心理描写を見事に語っていて、これぞサイレント映画の醍醐味という感じがするし、その映像表現にもじゅうぶん引き込まれた。セリフや状況説明がないことで、やや抽象的に感じる部分も少なくないが、逆に映像だけで語られることによって、いろいろな想像もでき、いろいろな解釈もできる映画になっていて、そこが狙いだったのではと感じる。難解な作品だと身構えて見るような映画に一見見えてしまうかもしれないが、実はそんなことはなく、あまり深く考えずにおとぎ話として見るべき映画なのかも知れない。ただ、ジブリ作品としては明らかに万人受けしない作風(絵柄もいつものジブリとかなり違う。)で、娯楽性よりも芸術性に重きを置いているため、何も知らないでジブリというだけで本作を見た人はかなり戸惑うと思う。そういう意味で、(初の合作映画というかっこうの宣伝材料がありながら)いつものように宣伝をバンバン打って話題性じゅうぶんの中、大々的に公開ではなく、宣伝もほとんどなくひっそりと公開されたのは正解だっただろう。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 6点(2021-07-31 18:36:11)(良:2票) 15.《ネタバレ》 セリフではなく映像で心理描写を細かく表現するのは見事だと思います。 ただファンタジーなのか、妄想の話なのか、はたまたポニョのような死後の世界的な話なのかいろんな見方が出来てしまうためどうみたらいいのか迷いますね。 深く考えては駄目なのかもしれませんが、殺してしまった亀が人間になって家族を作るというのが何を隠喩してるのか解釈が難しい、もっとシンプルに鶴の恩返しや浦島太郎的に亀を助ける話で最終的に女性が亀とわかるような話の方が日本人にはよかったかも。 【映画大好きっ子】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2020-01-16 00:11:43) 14.「セリフ無し」ってのが、挑戦的なようでもあり、映画の宣伝用のギミックのようでもあり、では実際のところどうなのかというと、やっぱりこれは、セリフ無しでならではの世界、ですね。セリフが無いことによる距離感が、このファンタジー世界をむしろ支えていて、また何事も断定することなく「解釈のブレ」も許容している。セリフが無いからこそ受け止めやすく、これ、もしもセリフ入りだと逆にちょっとキツかったりして。 登場人物の顔は極端に簡略化されて(目はただの点で、白目もない)表情が奪われており、その分、全身の動きが精密なアニメーションによって描きこまれています。 物語は、ツルの恩返しならぬカメの恩返し、みたいなところがありますが、別に「恩返し」という訳でもないし、上述のように映画の中では何も断定していない分、色々な受け止め方ができると思います。私は、手塚治虫の「火の鳥」の世界観に似たものを、ここに感じました。 あのカニたちは、男が島に流れ着くずっとまえからそこにいて、この先も未来永劫、ここに住み続けるんですよね、きっと。 【鱗歌】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2019-09-15 10:09:37)(良:2票) 13.《ネタバレ》 スタジオ・ジブリ作品としては異色の、何も言えへんサイレント映画。ある島に漂着したレイ・セフォーみたいなおっさんが一人。島から出てえけど、赤ガメが邪魔して出れねえ。赤ガメの中からおばちゃんが一人。やがて、おっさんとおばちゃんの間にお子様が一人。お子様は成長して独立。夫婦仲良く黙って年を取り、おばちゃんは赤ガメに戻って再び海へ…。映画の表現方法において、語らないやり方について再認識した。 【獅子-平常心】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 6点(2019-07-16 23:36:45) 12.物語に起伏が少ないため、時間が長く感じられます。 せめて30分くらいに抑えればすっきりまとまった映画になったのでは。 【TAKI】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 5点(2018-08-12 15:53:24) 11.つまらない。 アーティスティックな雰囲気を漂わせるだけで まったく中身が伴わない駄作。 【aimihcimuim】さん [DVD(邦画)] 1点(2018-03-25 21:02:40) 10.《ネタバレ》 懐かしい感じのする、お伽噺的なファンタジーの香りが漂うお話。浦島太郎とか、鶴の恩返しとか、人魚姫とか。しかしこれらの様に決して悲劇的なラストを迎える訳でなく、主人公が天寿を全うする事によって愛する妻と生涯を共に出来たという心温まるラストに繋がる。 しかしまあこんなに可愛らしい映画だとは思わなかった。目が点の人物も、前歩きするカニも、みんな可愛く親しみやすい。評価が高い割に全くヒットしなかった本作だが、宣伝が上手くなかった。CMからはどんな映画なのかまるで伝わってこない。キャッチコピーは「どこから来たのか どこへ行くのか いのちは?」いや分からんて。抽象的過ぎて。せめて小さな島で命を捧げた小さな愛の物語(すいませんセンス無くて)とか軽くネタバレしてくれればお金出して見てみようかなって興味が沸いたかも知れない。 さて、この物語には幾つか謎があります。なぜ赤亀は男の元に訪れて女の姿に変身したのか。 解釈としては、雌亀が人間の男に恋をし、島からの脱出を阻んで留め置き、ついには上陸して側に来たが案の定恨まれ、殺され、ファンタジーな力で女の姿に転生し、想いを遂げる…といった所。もちろんこれでもいいと思う。自分も最初はそう思った。イカダを破壊した犯人がはっきりしないのも、そこをボカす事によって赤亀が悪者になるのを回避するという配慮で、男が亀を殺してしまって申し訳ないと思う様にもなるし、その方が生き返ってくれた時に喜びひとしおだし、すんなり恋愛に繋げられますからね。 うん、でもね、この解釈…ちょっとエゴイスティックですよね。随分と亀が身勝手に感じてしまいます。これではとても「可愛い恋物語」では済まない。男の一生を台無しにした訳ですからね。色々と引っ掛かります。 そこで、こんな解釈もしてみた。 あの赤亀は過去幾度となくあの島に漂着した人間を見ており、皆同様に島からの脱出を図っては失敗し死んでしまったのではないか。フカに襲われでもしたらさすがに助けられないし。男の離島を阻んだのは、次こそは助けてやりたいという思いやりではなかったか。当然男は阻止される意味が分からないから恨まれてしまう訳で、殺されるのを覚悟で上陸し、贖罪のために人の姿に化身し、救助が来るまで支え続けると決意したのでは。(これまでの前例から救助が来ない事すら察していたのかも知れない。)長寿の亀だからこそ、それだけ長きに渡り、多くの漂流者を見て来た。だから亀という動物がこの映画に起用されたのではないか。 では息子の場合はどうなのか。遠い国に憧れ、イカダも使わず泳いで島を離れる事に母は危惧しなかったのか。否、亀の特性も併せ持つ息子は父と違ってそう溺れないのである。だから島を離れる時、亀さん達が迎えに来たんでしょう。伏線は幾つかあった。男がかつて落ちた窪みに息子も落下してしまい、危険を顧みず助けに行こうとした男を女が引き止め、息子に単身潜って生還する様に指示したり。思えば息子はあまり足を使わず亀っぽい泳ぎ方しますよね。 なので女と息子が津波で無事なのは分かるとして、男はなぜ生き残れたのか。そこはやはり、女が身を挺して助けたのでしょう。そのためか女は足に大怪我してましたしね。結果的に息子が亀の力を借りて漂流する父を救出する事になるが、常識的に考えて津波に飲まれて漂流で済むとは考えにくい。 出会うなり貝の食べ方を男に教えたり、迫る津波の前に呆然と立ちすくむ男の手を取って逃げるなど、ただひたすらに男の命を守り続けた健気な赤亀のお話…と解釈すれば、この映画がより一層美しい物語に感じられるのです。実は恋ではなく、献身→愛の物語だったのかも知れません。 幾度となく透明な瓶が出て来るけど、何のメタファーなのかなぁと考えた。あれは「井の中の蛙大海を知らず」に気付いた息子が大海(おそらく父が絵で教えた人間の世界)に出る、一人立ちの意味が込められているのかなと。そんなに多くの動物が登場する訳でもないこの映画、途中おたまじゃくしとカエルが出て来るのを見ると、まさしく井の中の蛙が成長し巣立ってゆく事への暗示なのかなぁなんて。(井の中の蛙~は英語圏でも通用する諺だそうです。)ではなぜ子の一人立ちを描く必要があったのか。決して絶海の孤島で孤独に生き死んでいった訳でなく、家族の暮らしを満喫し、子を世に送り出すという使命を全うし、満足して死んでいった…という、主人公の幸福な人生を象徴したのかなと勝手に解釈してみます。 【にしきの】さん [地上波(邦画)] 9点(2018-01-19 19:00:34) 9.《ネタバレ》 台詞も説明も全くなく、美しくも叙情に満ちた映像だけで描く、芸術性の高いフランス産アニメらしい。ロビンソン・クルーソーのような無人島脱出のサバイバル劇だと思ったら、家族ものになっていた意外性があり。要約すれば「主人公は女に化けられる亀によって、無人島に囚われて死んだ」と言っても過言ではなく、あの人生で本当に良かったのかと思ってしまう。津波をきっかけに親子で外界に行けば良かった? いや、行けなかったのだ。亀である女は外界の環境に適応できないだろうし、独り立ちの息子も途中で死んだかもしれない。某映画で「初めは刑務所の壁が憎かったはずが次第に守られて安心する」という台詞通り、幸福論の映画だろう。仮に主人公が無人島から脱出できても、世間に戻って幸せな人生を送れるとは限らない。 【Cinecdocke】さん [地上波(字幕)] 7点(2018-01-04 18:20:59) 8.セリフが無いという今時のアニメにしては珍しい設定なので、ハードボイルドな脱出ものなんだと期待して観ていました・・・。結局ありえへん話やった・・・。 【ケンジ】さん [ブルーレイ(邦画)] 4点(2017-08-07 17:48:11) 7.80分間、台詞がいっさい無い..発したのは、「ヘイ」 と 「オァー」 という叫び声のみ..という、とても珍しいアニメ作品..メッセージ性はあるものの..なかなかの、難解さ..よくある、制作側の “ 勘違い映画 ” っていう感じでもなく..観ているだけで、なぜか引き込まれてしまう..ただ、全編通して、「なぜ?」 「どうして?」 の連続、繰り返し..う~ん、難しい... 【コナンが一番】さん [DVD(字幕)] 4点(2017-05-22 22:38:36) 6.《ネタバレ》 DVD字幕カテを選んだけど、セリフない映画で字幕も無い・・。効果音と音楽だけ。 絶叫とか、声を上げるシーンはありますが、言葉ではない。外見は西洋人かなあ。 で結局、この映画は一体何を描いた物なのかが、サッパリ解りませんでした。 あの女は亀の化身とでも言うのか、子供まで出来てしまって、並の感覚では付いて行けない。 もしかして、遭難した瀕死の男が、亀を殺してしまった後、自分が死ぬまでの間に見た夢だった? でも夢にしては長過ぎるし、津波のエピソードも、夢っぽくないなあ。登場人物が夢を見るシーンが いくつかあるので、夢の中の夢というのもねえ・・。 基本ファンタジーであると前提とした上での、現実の半生と捉えるべきか。 前作の作風から予想はしていましたが、ここまで置いてきぼりにされるとはねえ。 まあ見る側の勝手な解釈でどうぞなのかも。 童話の鶴の恩返しや、平成狸合戦、おおかみこども・・なんかと通じるお話なのか トラと漂流する映画に出てきた異様な無人島を連想すべきか・・ あー難しい。 大体、イカダを破壊して足止めしたのは亀オンナだとして、男は女に恨みがある。 オンナは男に動きを封じられて殺されたので、逆恨みする動機がある。 そんな2人が生活を共にして子孫を残す。その子供は人間なのか亀なのか子供も 理解に苦しみながらも、大海へと旅立っていく。 寿命の長い亀よりも先に、男の最期が訪れる。まだ寿命ではないオンナは海へ 帰って行く? あれ、オンナは既に死んでいたんだっけ? まあ形だけとしても 年老いて死ぬまで、傍に女房がいたと言うだけでも幸せだったのかもなあ。 コレ業界からは評価されてる映画ですよね。ヤッパ自分が足りないという事かなあ。 理解できない自分に腹が立つというより、ソレを含めいろいろな悲しみだけが残りました。 現時点で言えるのは、自分には消化不良と言う事です。 【グルコサミンS】さん [DVD(字幕)] 6点(2017-03-26 00:40:53) 5.《ネタバレ》 いわゆる異類婚姻譚というものらしい。鶴女房ならぬ亀女房ということになるが、あるいは浦島太郎の話だとすればこの島自体が竜宮城のようなものということになる。 竜宮城といっても現世から隔絶した異世界ではなく、文明世界の産物が流れつくとか、はるか彼方の大地震による津波が大洋を渡って来るからにはこの地球のどこかであって、何者か(カメ?)がやっている邪魔だけが外界との間を隔てていたらしい。浦島太郎は元の世界に帰って一気に加齢してしまったが、この映画の主人公は帰ることなくそのまま過ごしたことになる。 また亀女房として見た場合、女房の方から押しかけて来た理由の説明はなかったようで、ここは“彼女が彼に恋をした”という解釈でいいのかも知れないが、あるいは旅人に妻や娘を差し出して子種をもらう風習のようなものかとも思う。「おおかみこども」とは男女が逆になるが、実際に主人公の一人息子はカメの世界(海の世界?)に引き取られて行ったように見えた。 悪くいえば主人公は絶海の孤島に幽閉され、死ぬまで牢獄で過ごすよう強いられたともいえる。ただ、もしかすると本来は遭難して死んでいたはずのところをこういう形で生かされたのかも知れず、それで結果的にでも心の充足を得られたのなら幸福な一生だったということか。自然の中で生かされて自然の中に子孫を送り出し、最後は型どおり自然に還って終わる(死体はカニが食う)という物語として個人的には納得した。 なお基本的にはファンタジーだが、生物としてのウミガメの寿命が実際に長いことがこの話に真実味を加えていたともいえる。 そのほか視覚的には、天候や時刻によって変わる景観の彩度を抑えた色彩感が好ましい。月に照らされたほとんど無彩色の夜はかえって世界の広がりを感じさせた。また各種生物がそこら中に生息していて、多様性の面ではそれほどでもなかったようだが、カニの動きが終始ユーモラスだったあたりはジブリアニメっぽいといえなくもない。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 7点(2017-03-25 22:54:41) 4.《ネタバレ》 ブログではほかにいろいろ書いているが、ここではとりいそぎ、イカダを破壊する海の中の何かについて検討しよう。 男は島を脱出しようと、竹でイカダをこしらえて、それに乗って沖に出る。しかしその度に、イカダの底をドーンと突き上げる何かに襲われ、イカダは破壊されてしまう。男が海中に顔を沈めその何かを探すが、すでに姿はない。男は泳いで島に引き返す。これを3回くらい繰り返す。3回目にレッドタートルと出くわす。 この流れで行くと、最初のドーンの正体は、じつはレッドタートルだったのではないか、と推察できる。確証はないが、レッドタートル以外には考えにくい。無人島が男を逃がさないためにやってるのかもしれないとも考えたが、だとしたらなぜ無人島はあの男を必要としたのだろう。 でもそれはレッドタートルにも同じことが言える。なぜレッドタートルはイカダを破壊してまで男を無人島にとどめようとしたのだろう。 ネットのどこかのレビューでは、「レッドタートルが男に惚れた」という意見があった。うーん、まあそうとも取れるかもしれないけど、だとしたらなぜ映画のラスト、レッドタートルはあの行動に出たのだろうか。いまいち僕はつなげられない。 それに惚れた相手に、あんなイカダをぶっ壊すという暴力的な方法でアプローチするだろうか。なぜ1回目2回目は姿を現さなかったのだろうか。 僕はレッドタートルによる、男への仕返しだと思う。 そもそもこの映画の主題となるはずのレッドタートルの身振りそぶり、運命、意志すら解釈がビローンと広がってしまう。それこそがジブリの意図だとするならば、あのころのジブリはいずこへ? ただ少なくともラストシーンの、男の手をそっと撫でるカメの前足の優しさと、海に向かう後ろ姿には、力強い何かまっすぐな思いを感じずにはいられなかった。それが何なのかは、よくわからーん。 【no_the_war】さん [映画館(邦画)] 7点(2016-11-05 22:36:01) 3.《ネタバレ》 映画がかなり進んだところまで映画と格闘状態でした。カメはなんのメタファー? この世界って主人公の心象風景? 主人公には見えていない、主人公の息子の視点が登場した時点で、ああ、これは描かれた事象をそのまま受け止めりゃいいんだ、って気付く始末。つまり孤島に流れついた男がカメに惚れられ、人間となったカメと孤島で暮らし、一生を過ごす物語。それだけ。 情報量はそれほど多くありません。シンプルなデザインのキャラと、描き込み過ぎていない背景、静かな音楽。いちばん情報量が多そうなのはリアルな環境音。主人公の出自など語られません。大自然に翻弄されつつ、その世界を受け入れてゆく主人公に心を重ねてゆけば、世俗から離れて何物にも煩わされず(不作法な観客がいなければ、ですが)、映画と自分との対話ができるひとときを過ごせます。強いて言えば、色々と削ぎ落とした(描かれる事も映画の表現法も)後に見えるもの、そこに物事の真価を問うているのかな、と。でも、そこに意味を求める必要もないですね。 カニが可愛かった、感想はそれだけでも十分な気がしないでもないです。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2016-09-29 22:54:28)(良:1票) 2.《ネタバレ》 裏返った亀の腹が、ばりっと割れた瞬間・・・・・・ 静まり返った映画館の中だというのに思わず、「勘弁してよ!」とつぶやいてしまった。 まさか、大好きなマイケル作品でこんなシーンに出くわすとは夢にも思わず(涙)。 でも、次の瞬間、大きな安堵のため息・・・・・・ 全編を見終わったあと、涙でしばし立ち上がれなかった。 『岸辺のふたり』以来、彼のカラーの長編が見られるというので、ずっと楽しみにしていた。 二次元でありながら、目の錯覚かと思えるほど水の中、自然光にあふれる大気、ありとあらゆる空間が、重力に縛られず変幻自在に表現されていた。 水に浮かんだ男の、海底で揺れる淡い影、女が翡翠の海に浮かべた巨大な甲羅、2頭のカメと並走して鳥のように泳ぐ息子、 これほど目にここちよい浮力を味わえるアニメは、そうはないと思う。 ああ・・・・・・やっと、自分の頭の中に念願の作品が収まった、という思いでいっぱいだった。 ただ、 宮崎氏だったら、「もののけ姫」のシシ神のように、カメを何かの象徴のように扱った気がする。 人間に恋をしたカメとなると、大自然の象徴が個人の人間に合わせてレベルを落とさなければならないので、どうしてもスケールが小さくなってしまう。 また、 いつ「紅の亀」が男を見初めたかがわからない。 人間界を暗示するボトルで巣立ってゆく息子の行く先は、カメとしての大海なのか、人間としての街なのかがわからない。 男と成長した息子があまりにもよく似ていて、まぎらわしい。 地震もなしに、いきなり大津波がやってきたことも引っかかる。 無理して言葉を飲み込んでいるような3人が、逆に不自然。 ・・・・・・と、つっこみたいところは多々あって、どうしても秀作『岸辺のふたり』と比べてしまう。 無理に長編にしたことで、マイケル作品の歯切れ良さが間延びされ、大味になった気がする。それが残念。 それでも、もう一度見直しても、多分、涙でぼろぼろになる予感・・・・・・ 【tony】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2016-09-28 20:45:39) 1.《ネタバレ》 傾斜のある砂浜と空のラインの間に人物が全身のショットで配置される。引きのショットが中心となり、 地と海と空に囲まれた人間や動物は、その存在の小ささが際立つ。 そのロングショットによって顔の表情を省かれ、科白を省かれた分、身体全体のアニメーションで歩き・走り・泳ぎなどの基本動作を表現する 作画スタッフの力量が露わとなる。歩き方ひとつとっても、心情を反映した様々なパターンがあって描き分けは簡単ではないだろう。 シンプルなラインと動きだからこその、アニメーションの醍醐味がある。いかにもデジタル風な亀は残念ではあるが。 出会った男と女が水中で優雅なダンスのように舞い合う夢幻的なカットが、まるで『アマゾンの半魚人』の水中シーンのように美しい。 凪いだ海の繊細なタッチ、荒れ狂う海を表現する豪快なタッチも独特の味を出していていい。 砂浜に絵を描くシーンの筆跡の表現では、描いた絵を一旦消した上からさらに絵を描くといった凝った芸当も見せてくれる。 動画そのものの力で最後までドラマを牽引してみせてくれたのは立派だ。 【ユーカラ】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2016-09-19 23:02:51)
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