みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
5.《ネタバレ》 本作はミステリーです。ネタバレありますのでご注意ください。 時は19世紀末。世紀の変わり目であり時代の転換期。精神医学においては黎明期でしょうか。舞台はイギリスのとある精神科病院。医学実習生=エドワード・ニューゲート氏を通じて当時の「治療技術」や「患者の置かれていた立場」といった「精神医療の現在地」が描かれます。其処には相対する視点がありました。医師と患者。あるいは常識とされる治療法と先進的なアプローチ。立場が変われば見方が変わり、価値観が変われば正義も変わる。観客は精神科講師の言葉「聞いたことは信じるな。見たことは半分だけ信じろ」を頼りに事象の真偽、そして善悪を見定めることになります。観返してみると最序盤から実に巧みなミスリードが施されており感心します。人は他者を記号化して認識するのですね。ミステリーとして上質で、最後の最後に明かされる「真相」は、はたと膝を打つ切れ味でした。果たして主人公は「何者」と評価されるのが妥当なのでしょう。狂人か詐欺師か、はたまた医者か。どの「半分」を信じるかで真実は形を変えるでしょう。エンディングは「酷い話だ」かもしれませんし「いやいやハッピーエンドだろ」かもしれません。どちらの受け取り方も間違いではありません。多角的な観方が可能な「奥行がある」物語で私の趣向に沿うものでした。ただし一か所だけ異を唱えたい点が。それは看護師役の少女の死について。彼女は何故殺されたのでしょう。本作を極めて単純化するなら「ラブストーリー」です。一目惚れしたあの人を探し出し添い遂げるまで。でもやっている事は狂気の沙汰ですし、倫理的にも完全にアウト。その不都合な事実をカモフラージュしロマンスの体裁を整えるために少女の死が利用されたのではないか。2人の未来を阻む障害を除去し、悪党(敵)を明確化してサスペンスを成立させる一石二鳥の仕掛け。彼女はドラマの都合で殺されたと感じます。このあたりがご指摘のレビュワー様もおられるように「安っぽい」と感じられる所以かと。結局のところ「不倫逃避行」という事実は変わりません。ならいっそ少女も連れて行けばよかったのにと思うのです。エピローグは庭園で踊る2人を見つめる少女の笑顔。一体この先どうなるのか見当もつきません。でも2人にそこまでして茨の道を進む覚悟があるなら、納得できた気がします。 【目隠シスト】さん [インターネット(字幕)] 7点(2023-12-22 20:58:54) 4.《ネタバレ》 最初の方は少し眠たかったが、牢屋に医師たちが投獄されていることがわかってからは、結末が気になって集中できた。 一見正常に見えたヒロイン(ケイト)も夫の目をくりぬいてるんだからやっぱり異常。 最後は正常に見えたふたりが結局異常なまま幸せになったということで良いのでしょうか。 【ブリーバンデカンプ】さん [インターネット(字幕)] 6点(2021-06-13 13:00:36) 3.《ネタバレ》 サイラスの闇を暴くことで物語は結末を迎えるのだと思っていたのに、すっかり騙された。 よくある手だけど、まさかそう来るとは。 でもあのラストが、重かった物語に爽やかな風を送っている。 思い返してみれば、実習願いの手紙が届いてないとか、デリンジャーを持ち歩いてるとか、怪しいよね。 もう一度観たら、さらに新たな発見がありそうで、その点も楽しみな一本。 そして、ケイト・ベッキンセール様。知的でありながらも妖艶。あの人の肌からは、男を惑わせる特別な何かが出ているに違いない。偽ニューゲートが虜になるのも納得の魔力。そこに加点。 【roadster316】さん [インターネット(字幕)] 7点(2020-09-24 00:41:45) 2.豪華な出演陣のわりにはテレビドラマのような安っぽい作り。残念。 【kaaaz】さん [インターネット(字幕)] 5点(2018-04-01 14:55:22) 1.《ネタバレ》 聞いたことは何も信じるな、見たことの半分は疑え――。1899年、深い霧が立ち込めるイギリス郊外の小さな田舎町。この地の片隅に、滅多に人が訪れることのない古い建物がひっそりと建っていた。ストーンハート精神科病棟。高い塀に囲まれ世間から隔離されたこの施設には、回復の見込みが薄い精神病患者が200人近く収容されている。物語は、この怪しげな建物にエドワードと名乗る若い精神科医が訪ねてくるところから始まる。なるべく医師と患者との距離を取り払った治療方針を心掛けるサイラス館長の下、新たな生活を始めたエドワード。彼はそこで謎めいた雰囲気を身に纏う、グレイブ夫人という美しい女性と知り合うのだった。かつて精神錯乱に陥り、夫の耳を噛み切ったうえ片目を抉り出したという夫人に、何故かエドワードは強く惹かれてゆく。何とかして彼女を自由の身にさせてやりたいと誓うエドワードだったが、ある日、彼はこの施設に隠された恐るべき真実を知るのだった…。豪華俳優陣を使い、エドガー・アラン・ポーの短編小説を映画化したという本作は、そんなおどろおどろしい雰囲気が漂うゴシック・ミステリーだ。確かに濃厚な空気に支配されたこの雰囲気はなかなかのものだった。二転三転する脚本も破綻なく纏められていたし、誰もが秘密を抱えていそうな怪しげなキャラクターたちを個性豊かに演じた役者陣もみないい仕事をしたと言っていい。途中で明らかにされる真相――先生や看護婦だと思われていた職員たちが実はみな反乱した患者たちで、本当の職員は地下室に閉じ込められていた――を知った主人公が、それを隠したまま密かに館長の病理を炙りだそうと試みるのも面白い筋運びだ。だが、正直に自分の感想を述べるならば、「何か物足りない」。理由はうまく言えないのだが、きっと感情移入出来るキャラクターが一人もいなかったのが大きな原因の一つだろう。例えば主人公。彼がなぜ会ったばかりのグレイブ夫人にそこまで惹かれていくのか、その理由が一切説明されないのだ。確かにオチで全てが明らかにされるのだが、驚きよりも何かモヤモヤとした腑に落ちなさの方が強い。二転三転する脚本のために無理やりキャラを動かしているような印象が勝ってしまう。これは見せ方の問題なのだろう。もっと観客目線に立ったストーリー展開を考えた方が良かったのでは。モダンでおどろおどろしい雰囲気はなかなか良かっただけに残念だ。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 6点(2017-07-02 23:15:53)
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