みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
4.とてもリアルな人間描写だけれど、スッキリしないラストでモヤモヤが残る。 こういう作品は好きじゃない。 【飛鳥】さん [インターネット(吹替)] 3点(2024-06-27 11:22:31) 3.《ネタバレ》 ああー、これは大変ナイーブで微妙で、米国在住の黒人ならどストレートに響くのでしょうね。日本人の私はピンと来るとはいかずとも、そうなのか、そんな感じなのかと認識を新たにしました。 本作の主人公ルースは優等生で快活な好青年。オバマ元大統領に近い印象ですね。観てるこちらも好感を抱くものの、その「好青年」像は白人目線でのステレオタイプのそれであることが作品の肝なのでした。 「いわゆる黒人」(作品中のワード)ではないルースが自身の内に抱えているものが何なのか。提示される疑惑の数々と明かされない解答。この‶すっきりし無さ”がもやもやとフラストレーションとなってナオミ・ワッツ演じる両親らの目線と重なります。白人である両親はルースの味方に立つけれど、それだって息子が理想的な良い子であるからと考えると、白人と黒人間の感性の距離の遠いことにちょっとひるみます。 白人社会でサバイバルする為の処世術としてルースに優等生を(無意識にせよ)強いてきたオクタヴィア先生との心理戦はピリピリとサスペンスフル。対決は先生が敗れましたが、ラストに見せるルースの激しい苦悶の表情が彼の苦悩が解決していないことを伝えてきて、なんかもう米社会の複雑さに衝撃を覚える作品でした。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-05-30 23:58:13) 2.《ネタバレ》 彼の名は、ルース・エドガー。アメリカの進学校に通う、クラスや先生たちからも一目置かれるような17歳のティーンエイジャーだ。成績もトップクラスでスポーツも万能、その物怖じしない性格からクラスの誰からも好かれる、まさに絵に描いたような優等生。それだけではなく、彼はアフリカの最貧国に生まれたものの幼くして今の白人夫婦に養子として引き取られ、暴力のトラウマに苦しみながらなんとか立ち直ったという誰もが称賛する美談まであった。まさに非の打ち所のない好青年のルースだったが、ある日、そんな彼の人間性に密かな疑問を抱いた人物がいた。それは歴史教師のウィルソン女史。課題として出したレポートでルースは、急進的なアフリカの革命家をテーマに取り上げ、暴力肯定ともとれるような論を展開したのだ。さらに彼のロッカーを密かに探ってみたところ死人が出てもおかしくないような違法な花火が発見される。明らかに危険な兆候を感じ取ったウィルソン。相談を受けたルースの両親は、半信半疑ながらも彼に問いただしてみるのだった。そしてそれは彼の誰もが認めるような優等生としての一面を揺らがせてゆく――。文武両道の優等生である青年ルース・エドガー、彼に隠された真実を彼の両親やクラスメートたち、そして微かな疑問を抱いた教師の目線から描いたサスペンス・スリラー。冒頭から不穏な空気を濃厚に漂わせるそんな本作、ナオミ・ワッツやティム・ロスといった実力派の役者陣共演に惹かれ今回鑑賞してみました。もうとにかく、非常に真面目な優等生であるこのルース・エドガーという青年の何処か不気味で何考えてるか分からないところに物凄く引き込まれました。本当に単なる友達想いの好青年なのか、それとも内に暗い情念を隠し持ったサイコパスにしてテロリスト予備軍なのか、最後までどちらか明示せずに進めてゆくところが非常に巧みで素晴らしい。彼に疑念を抱く、生徒を自分の枠に嵌まった固定観念でしか捉えようとしない女性教師の人物造形もリアルで大変グッド。最初は彼女に嫌悪感を抱かせといて、後半、それを見事にひっくり返す脚本も完成度は高い。特に、精神疾患を抱えた彼女の妹が学校の生徒の前で全裸になって大暴れするシーンは、生々しい緊張感が漲っていてなんとも言えない後味の悪さを残してくれます。そして、このルース・エドガーという青年の考えが明らかになるクライマックス。もしかしたらこれは『隣人は静かに笑う』以来の胸糞映画の傑作となるのではないかと、僕はずっとドキドキしながら観ていました。惜しいのはこのクライマックス。息切れしちゃったのか、このラストがなんとも消化不良でいまいち納得感が得られず、僕はちょっと残念でした。とは言え、人間を人当たりや印象だけで決めつけてしまうことの恐ろしさを再認識させられる、なかなかの力作だったと言っていいんじゃないでしょうか。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 7点(2021-05-10 01:43:05) 1.《ネタバレ》 まずまず込み入った話であると同時に、100%の明確な真相が描かれるということも無い、少しモヤっと感が残る様な作品である。ただ、幾つかの状況証拠と、そして母親が隠した花火が無くなっていたという点を鑑みて、一連の事件はルースがウィルソン教師を陥れるために行ったものだ、という前提で話を進めたい(とは言え、だとしてもどこからどこまでが企みであったのかという点に関しては、私もはっきりとは分からなかった部分が多いのだが)。 しかし、そういった些末な部分が不明瞭なこと以上に、とにかく本作、ルースという人間が何を考えているのか、彼が何者なのか、というのが全くと言ってよい程に明らかにならないのがより深刻なのである。恐らく、彼が真実に感情を吐露しているのは終盤のウィルソンとのやり取りくらいで、他は、これも終盤の母親に魚を贈るシーンでさえ、彼が実際に何を意図しているのかなど分かったものではない。彼が為した所業、そして最終的に勝ち得た状況を鑑みるに、率直に本作、確かにかなり「恐ろしい」映画であるとも言える様に思う。 そんな本作だが、これが完全なサイコ・ホラーになってはいないのは、むしろ彼の周囲の大人達が率直に極めて「醜い」ということにある様に感じられる(それがエクスキューズになっている、というか)。所詮は彼を「貰い子」としか見ていない父親も相当に酷いと思ったが、私がより問題に感じるのは母親の方である。終盤、彼に確信的な疑いを抱きつつも、彼の言い分を信じる様に見せかけて、彼女は問題をただ棚上げしてしまう。もし彼が犯罪を犯したのならば、それを社会に罰させるかどうかは家族として考慮の余地があるかも知れないが、少なくとも真実を最後まで追求するのが親としての最低限の義務ではなかったか。そのものズバリ、彼を自分の考える「箱」に押し込んでいることを隠そうともしない(問題外な)ウィルソン教師を含めて、彼の周囲の大人に共通するのは、彼が真にどういう人間であるかを理解・受容しようとしないことだ。だから彼が思いの丈をウィルソンにぶちまけるシーンは、実は私が本作で唯一感情移入することが出来た場面だと言える。 一見は、アメリカにおける黒人差別をテーマとするごくごく普通に社会派な作品にも見えるのだが、実は本作のテーマははっきりと、より幾らかの「普遍性」を含む様に思う。その意味では類似する内容の他の作品よりも、少し高度でやや文学的とも言える様な優れた見応えがあったかとも思われる(もちろん、単純にサスペンスとして結構よく出来ている作品だということも重々あるのだけれど)。 【Yuki2Invy】さん [映画館(字幕)] 9点(2020-06-05 23:19:55)(良:1票)
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