みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
10.《ネタバレ》 硬派な他者性が貫かれていることが、この一見穏やかな名作の根幹をなしている。主人公が相手の言葉をすぐには受け入れずに頻繁に反復して咀嚼する間(ま)、これが実に曲者である。細かい誤解や諍いがジャズのように反発と仮初めの投合を繰り広げながら束の間のハーモニーを奏でる。 【ひと3】さん [DVD(邦画)] 9点(2024-10-06 13:39:58) 9.《ネタバレ》 下北に何年か住んでれば大体の人間が繋がっちゃうよねー、なんて冗談交じりの会話から作っちゃったような話かな、なんて思った。 縁が円になって繋がる。ちょい役の登場人物がそれぞれちょっとずつ交わる。そんなまさかという非現実的な出会いも、日常を切り取ったようなリアルな空気間ですんなり受け入れてしまうことができる。BGMは無く、絶妙な「間」のある会話、たまに噛んだりもして、それがリアルってもんだ。何も起こらないリアルもあれば、本作のようにいろいろあり過ぎるが何故かリアルに見えるものもある。実に巧い。で、冒頭のシーンとラストシーンもきれいに繋がる。4分の1欠けたちょっと苦くて甘いチョコレートケーキは、そのまま冷蔵庫に入ってた。あの日の続きを、何もなかったかのようにそのまま続けることが出来るささやかな幸せ。あの後おなか壊すかもしれないけど、それを覚悟で続きのケーキを食べたのは、雪ちゃんの懺悔なのかもしれない。 【ちゃか】さん [インターネット(邦画)] 7点(2023-09-19 13:28:24) 8.《ネタバレ》 起伏の少ない映画。とりあえずそれが第一印象です。主役の荒川青くんを中心にゆるりと流れる、でもその流れはそれほど綺麗ではない。どっちかというとどよっとした汚れた小川を眺めている気分だった。 主役の荒川青くんは一見おしゃれで良い意味でだるっとした雰囲気を持つ若者。他者とはそれほど関わらず、それゆえにいざ接近戦になるとすぐボロが出る性格。そんな荒川くんが彼女に別れを切り出されるところからはじまる。 このタイミングでモテ期到来というか、突然女の子との出会いが増える荒川くん。田辺さん、女監督さん、イハさんなど。荒川くんは田辺さんや女監督さんにはモーションをかけるというか、積極的に関わっていくように動きますが、なぜかイハさんにだけは一歩置いた友人対応。先の二人にあんなふうに接するような男だったらイハさんにもいきそうなもんだけど、それは起こりませんでした。何が違いなのか。一見したところではわからない。 ただ、広いようで意外と狭い「街」の上で起こっていく出来事は良くも悪くもいちいち人間臭い。そして人間臭いゆえに、上述したようにどよっとした小川の雰囲気で流れていく。 雪との別れ、古書店での田辺さんとのやり取り、バーでのマスターと五叉路さんとのやり取り、映画への出演、間宮との出会い、イハとの出会い、その他諸々の出来事がちくちく刺さる。素晴らしく良いというわけではないですが、じっくりと眺めて味が出る映画だという印象でした。 【TANTO】さん [インターネット(邦画)] 7点(2022-09-15 19:41:10) 7.《ネタバレ》 ベタなラブストーリーではなく、泥臭い人間模様をちゃんと多面的に描いてて、非常に面白い映画でした。 見どころはなんと行ってもその日初めて出会った青とイハのリアルな長回しの会話。役者さん達の身体に青とイハが憑依したのかと思えるほどリアルで、ホントにどうやって撮影したんだろうと思いました。 主人公青が文字通り青臭いキャラクターではありますが、本当に魅力的なキャラクターになっててとてもリアル。他のキャラクターの奥行きも深く、明かされないバックグラウンドや意味深なカット、感情等も多くてそれもまたリアル。それでいて物語のあらすじ自体は割とシンプルで明快でした。 最後は関係者集合!みたいなドタバタコメディのような映画らしい展開を経て青にはちゃんと幸せな結末が訪れますが、彼がホントに嬉しそうでニヤニヤしてしまいます。 見終えた後ちょっとあったかい気持ちになりました。そしてイハ役の中田青渚さんに恋した男子は数多くいるのではないでしょうか。 【Fukky】さん [インターネット(吹替)] 9点(2022-05-13 10:03:16) 6.《ネタバレ》 会話がとにかく面白い!今泉監督の真骨頂を見た! しかし、恋愛ってめんどくせーな笑 真剣なら真剣なほど、めんどくさくなる。 この映画を見てると恋愛というものが、いかに面倒で、それでいて生きていく上でかけがえのないものであるという事が分かる。 穂志もえかという女優さん、気に入った! とても魅力的だ。 ラストシーンの柔らかい笑顔がとにかく素敵だった。 そこまでの役柄が、どちらかと言うと性格がキツい感じだったので、ラストで見せた柔らかい笑顔とのギャップにやられました! 今泉監督、一筋縄ではいきませんね! これからも追い続けていきたい監督さんです。 【にじばぶ】さん [インターネット(邦画)] 8点(2022-05-08 01:59:39)(良:2票) 5.《ネタバレ》 参りました。 今泉映画は、一刀両断できないです。 こんな青春、送りたかったなぁ・・ なんつって・・(汗) 【トント】さん [DVD(邦画)] 9点(2022-03-27 23:59:50) 4.《ネタバレ》 まず、男が読書をするファーストシーンで始まり、そのぎこちない演技を目にして、うわあ、なんだこりゃあ 先が思いやられるなあという思い。 続く、ユキとその男の別れる別れないのやり取りを目にしまして、うわあ、この男、ダサ過ぎるぞ 別れたい言われてるんやから、別れたれや、なのに女々し過ぎるぞ、髪型ダサいし、うわ、だめだこりゃあ これは相性悪いかも と思ったのはここまでだ。 はい、何遍でも言います。だめだこりゃと思ったのはここまでだ。 続く、古着屋のシーンとなって世界は一気に変わる。間違いない、これは間違いなく今泉ワールドの幕開けだ。付き合い方が曖昧なカップル間に挟まれる古着屋店主、男が試着するが試着2着目が大きすぎたサイズの違い感、なのに彼女らしき女子がそっちのほうが似合ってるというその理由。いやあ、たまりませんね、相性悪しかなと思えたのは最初だけ。古着屋の試着シーンから先、どんなシーンであろうが、その間が愛しく感じる。最終的には、2時間10分です 長いのかもしれない しかし、長くない どんな会話であろうが、どんだけ放送事故のような間が出来ていようが、そこが今泉ワールドの真骨頂であるわけだからでしてね。いやあ、じんわりとゆったりとした無駄に時が流れて楽しさハンパないのです。 遡ること、ファーストシーンで男(荒川青=若葉竜也)の読書シーンがぎこちなく下手過ぎだったその理由が明らかになってゆく後半、はじめにヘタクソなヤツだなーと思っていてゴメンナサイでしたという詫びの気持ちが発生。そしてラストは幸せいっぱいを見せつけられたところでブチッと終わる。だがその心地好さたるや、相当なものなのである。 #タバコ二本もらえませんか →に、二本? #実際もお茶の上 →成立してなき会話 #バカと言われた後のスキ →が好き 【3737】さん [DVD(字幕)] 9点(2021-12-20 23:43:59)(良:2票) 3.《ネタバレ》 2時間を超える長編でありながら意外と退屈せずに見ていられた 8点 主人公青(若葉竜也)とその周辺で紡がれるいとおかしな日常の様々。 この作品のテーマは冒頭の冬子(古川琴音)が「誰も見ることはないけど、確かにここに存在してる」と語る。 それぞれの人と人生がくだらない事で悩んだり下世話な詮索をしたりどーでも良い時間を浪費したり、小さな幸せや 享楽を楽しんだり、理不尽な思いに酒を煽ったりみーんな知らないんだよ。でも確かにそこに生は存在し、無機物であ るはずの建物も生き物のように姿を変えつつも刹那にそこに存在してる。奥深いテーマでありながら、割と単純に話 は進んでゆき、一方的な恋話なを始める警察官や、軽薄な男のカップルや、バーのマスターと常連等をエッセンスに 終盤のコントへ布石を打ってあったのは面白かった。 作品の流れは、4人のヒロインと青の関わりが描かれてゆきます。 それぞれのヒロインに一癖あって見ててすっかり青が翻弄されてるなぁと。実際強者男性でなきゃこんなもんだよなぁ。 と、今までの人生でそんなにモテたこともない私も思いました。この映画のレビューを見ると多くがイハ(中田青渚) に共感というか男性なら惹かれたように読めるレビューが多くて、なるほどなぁと思った。そらボッチの飲み会で 隣に座って一緒に飲んでくれて、そのまま恋話で語り明かしたりしたら誰でも惚れてまうやろーとは思ったが、映像 からは敢えてそこに棘を随所に仕込んでいるように見えたり、映画の中では気の強い女性監督として描かれていた町子 (萩原みのり)ですが、実は一番誠実で正直なんじゃないかな?と感じたり、大人しそうな冬子が、青が出演する予定 だった上映会で町子につめより「存在の否定じゃんか」と罵るシーンに冒頭のナレーションがプレイバックしたり、 自分の浮気を理由に青と別れ話を切り出す雪(穂志もえか)は最初は酷いなぁと思ってたが、浮気相手が憧れの朝ドラ 俳優、間宮武(成田凌)だとわかったり、最後のコント場面で自転車で坂を登れなかったり、一方的な恋話なを始める 警察官に捕まったり、いろいろ不器用に生きてるんだなと思わせてもらったり、見てるうちに愛着が湧いたりもした。 鑑賞後なんだか席を立ちたくもなく、エンドロールをいつまでも眺めて余韻に浸る、いとおかしな今泉ワールドに 引き込まれた作品でした。 【hibari_21st】さん [映画館(邦画)] 8点(2021-07-12 16:06:03)(良:1票) 2.《ネタバレ》 やはり、今泉監督はご自身で脚本を書いたオリジナルの恋愛群像劇が絶対にいい、うん。 今回は恋愛トークはもちろん、特に、あっと驚く脚本と人間相関図が秀逸だ。あの主要な面々がバッタリ出くわすあの修羅場の何と楽しいこと。笑っちゃいけないところだから、なおさら笑えるという (笑) またご自身の脚本だけあって、キャスティングも完璧。おそらくあて書きだろうお二人、若葉竜也はもちろんのこと、有名人の成田凌は実にハマり役だったように思う。女優たちも、本当に下北を歩いていそうな (古着通の) 女性たちばかりで、さすが監督はよくわかっていらっしゃる。(ここは、プラダやヴィトン持ってサングラスを頭に乗せた女が歩く街ではない) そして、今回のテーマはズバリ、「成就できなかった "想い" たちよ、永遠に」。 それは、彼の映画出演カットのエピソードからわかるように、お蔵入りした演技や映像フィルムにも向けられています。思えば、出演シーンのお蔵入りは失恋とよく似ている。相手に一方的に「NG」をもらって、その映画やその人の人生から立ち去るしかないから。でも、その後に城定さんが田辺さんにフォローした言葉を私は忘れません。「私には映っていたよ」(だったかな?) それはつまり、成功した本編と同等の価値がある、と思ってよろしいでしょうか? 今泉監督。いいんですね、ありがとうございます (泣) これで、今までの失恋とお蔵入りによって傷ついた私の心たちは安らかに成仏できそうです。 【タケノコ】さん [映画館(邦画)] 8点(2021-04-12 23:14:22)(良:2票) 1.《ネタバレ》 主人公は冴えない若葉竜也ではあるが、彼同様に彼の物語というのも(少なくともラスト付近までは)結構どーでもよくて(=どーでもよい様に見えて)、描きたいのはむしろ彼の物語上に登場する幾人かの女性のキャラクター、という様に思われた。 誰が一番好みか、と言われれば、個人的には古川琴音だろうか。というか素直に「善人」と言えるのは彼女だけな気もする。穂志もえかなんか普通にかなり自分勝手だと思うし、萩原みのりは確実にそれ以上だし(みのりちゃんは最近こんな役ばっかだね)。一見屈託の無さそうな中田青渚も、彼女も彼女で打算というものが見え隠れする。諸々ひっくるめてコレは男が愛すべき「女の女たる所以」というヤツなのかとも思うけれど。 どーでもいいと言いつつも、若葉竜也(と女子達)の話は(それでも若干のコミカル分を含みつつも)思いがけないほどにマジメに淡々と進められてゆく、ソコをごく温かく半笑いで(長尺ながら心地好く)観てゆけるというのは、若葉くんの素晴らしきキャラあってのことか、とも感じた。別に今作でも友情出演の成田凌が主役でも何の問題もない様にも思うが、どちらかというと若葉くんの方がこの頼りない主人公としては(成田凌よりは)感情移入は確実にし易いかと思う。その意味ではラスト、監督が堪え切れなかったかの様に放り込まれる一大コメディの大立ち回りを経て暢気なまでのグッド・エンドが若葉くんに訪れるのも、観客としては間違いなく至上に喜ばしい終い方だった、とも思う。 【Yuki2Invy】さん [映画館(字幕)] 8点(2021-04-12 22:27:08)(良:1票)
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