みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
2.映画は少女が母親の手で着飾られる場面で始まり、豚の種付けのシーンがそれに続きます。近代文明から離れた土着的な文化が残る地域での性と死の物語、あとは米国へのコンプレックスといった内容です。日本で言えば今村昌平監督の作風に近い感じですね。動物を殺すシーンがあるのも70年代辺りの作家性の強い映画を思わせます。時代背景がよくわからないのですが、ネットで見た監督のインタビューによると一応現代の話ではあるみたいです。グアテマラにはろくな映画産業もなく人材も不足している中で監督は相当苦労して映画を作り上げたらしく低い評価するのにも心が痛まなくもないのですが、舞台となる国が目新しいだけで内容にはあまり新味がないというのが正直な感想です。はっきりと社会批判がされているわけでもなく農村の長閑なムードもあってか貧困や差別の問題も大して深刻さが感じられず印象に残りません。母なる大地と女性の出産を重ねる見方もありふれたものでしかなく、どこの国でもこういう価値観や社会問題はあるんだなあという感じです。 【Сакурай Тосио】さん [インターネット(字幕)] 5点(2023-10-13 23:33:41) 1.《ネタバレ》 動物を殺す場面があるので要注意である。火山の雄大な風景などはそれほど期待できない。 中米グアテマラの映画とのことで、そんな国はどこにあるのかという感じだが、最近は台湾との関係で日本国内の報道でも名前が出ることがある。かつてマヤ文明の担い手だった民族が先住民として暮らす国であり、この映画も主要人物はマヤ人、台詞もほとんどマヤ語族の言語が使われている。 単純に見た限りでは、先住民の現況を淡々と描写した映画なのかと思った。先住民の社会的地位は低いようだが、その先住民自体もまだこんな生活習慣を維持しているのかということもあり、今後もっと暮らしを向上していける余地が大きいとは見える(まずは義務教育から)。失われた子がアメリカで生きているという発想は、現実の不法移民でも子どもだけ送り出す例が多くなっていることを思い出した。 主人公個人の物語としては、火山の向こうの楽園に憧れていたが裏切られ、できてしまった子を楽園(いわば天国)に送り出したところで観念して、仕方なく現実世界に回帰したという印象だった。妊娠によって火山の力を体内に宿したと思ったエピソードはどういう意味だったのか不明だが、またそのうち妊娠すれば再度火山の力を得られるはずということで、とりあえず父親が誰かは関係なく、要は母のたどった道を行くということかも知れない。 最後はエスニック調のエンディングテーマ(BOLERO DE IXCANULという曲らしい)が意外にのどかな雰囲気で、貧しく苦しいが淡々と次代に生命をつなぐ人々という印象を出していた。 ところで終盤の展開はよくわからなかったが、外部情報によれば実は子どもの人身売買を扱った映画だったとのことで、自分としてはそこまで考えていなかったのでかなり意外だった。日本では前の戦争で骨壺に石が入っていたという話があるので、棺に煉瓦が入っていても何か事情があるのだろう程度にしか思わなかった。騙し打ちをくらったようで気分が悪い。 確かに歴史的には養子縁組の形で児童の人身売買が盛んに行われてきた国ではあったようだが、この映画のように出産前の胎児を奪うのは全く別物としか思えない。これはもしかするとアメリカで2015年に問題化した中絶胎児組織の売買のようなことを、グアテマラでは本人の同意なく行っているとの問題提起ということか。そうだとすれば、序盤で動物を殺す(切り裂く)場面も胎児の処置を思わせるといえなくはなく、かなり嫌なイメージを残す映画ということになってしまった。 ちなみに各種の社会悪を告発しようとする映画という前提で見れば、要は「先住民の」「女性」以外は全部悪と思っておけばいいようではあった。そういう点を評価したい人々には素材を提供している。 【かっぱ堰】さん [インターネット(字幕)] 5点(2023-07-22 10:18:38)
【点数情報】
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