みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
1.《ネタバレ》 ガメラシリーズの前に大映が企画した特撮映画「大群獣ネズラ」が、制作途上で悲惨な状態に陥って断念する過程を描いたドラマである。劇中映画会社は「太映(たいえい)株式会社」という名前で、登場人物も実際の関係者を想定していたらしい。気色悪い助監督は後のガメラシリーズを担った湯浅監督に相当するとのことだった。 ネズミが多数出演するが、尻尾が長いので愛玩用ドブネズミの「ファンシーラット」というものと思われる。全部に名前がついていたようで、どこからかペットを借りて集めたと想像される。 ジャンルとしてはドラマだが、劇中映画の特撮映像が入るので特撮映画としての性質もある。ミニチュアの中に本物のネズミを置くだけだが、逃げる人とネズミを合成した映像などはなかなかうまくできていた。ネズミに襲われた電車の中に人影が見えたのはガメラシリーズの例に倣った趣向と思われる。また背景音楽は、TV番組「ウルトラQ」や東宝の変身人間シリーズ(電送人間、ガス人間第一号といったもの)をイメージさせた。 ドラマとしては特にどうということもなく粗筋通りに終わりになるが、途中の経過は実際の出来事をかなり反映させていたようで、最後はこの経験をガメラシリーズにつなぐ形で未来の希望を持たせていた。「回転ジェット」の発想の原点がネズミ花火との説も本当にあるらしい。 なお終盤に再登場した抗議団体のリーダーも、苦情とは別に映画会社を励ます言葉をわざわざ述べていたので、その後はガメラシリーズのファンになったかも知れない。 基本は真面目な映画だが、明らかにふざけているのがテーマ曲である。マッハ文朱氏が歌う主題歌「ネズラマーチ」は昭和のガメラマーチ風、またエンディングテーマ「大群獣ネズラ」は戦隊シリーズやメタルヒーローを意識したもので、迷惑な害獣をヒーロー扱いした歌詞なのが笑わせる。「小さな命」という言葉(「電子戦隊デンジマン」テーマより)をネズミに転用したのは上手い。 キャストは昭和・平成ガメラなど特撮の出演者が何人か出ているが、個人的には若手女優役の小野ひまわりという人が、「小さき勇者たち ガメラ」(2006)の「赤い石を運ぶ少女」役だったのは感激した。また造形作家役がガメラ第1作の少年というのも意外だった。 KADOKAWAも企画協力して大映~角川を中心にしながらも、東宝・東映系も含めた特撮全般に向けた愛が溢れていて、その筋の人間としては嫌いになれない映画だった。 【かっぱ堰】さん [インターネット(邦画)] 6点(2025-01-11 13:24:47)
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