みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
5.《ネタバレ》 タイムトラベルSF好きの身としては、なかなか興味深い内容だった。 タイムトラベル設定としては、『バタフライ・エフェクト』の男女逆バージョンとも言える。それとも『ソンジェ背負って走れ』の大人バージョンか。タイムスリップの仕方は『知ってるワイフ』とも。展開の速いところは、1日を繰り返す『恋はデジャ・ブ』や8分間を繰り返す『ミッション:8ミニッツ』も思い出す。他にもいろいろと。まぁ、設定はありきたりといえばそうだけど、坂元裕二脚本なので、人間ドラマ、会話劇としてかなり面白かった。 タイムトラベル物として興味深い点は以下の2つ。 1. パラレルワールドを作り出す=デジャブを紡ぎ出す。 2. 硯駈が未来から来た将来の配偶者カンナの情報により、自分の未来の愚行を反省し、その行動を先取して改める。しかし、運命は変わらない。 まず、1つ目。私が思い出すのは、同じくタイムトラベルを扱った映画『バタフライ・エフェクト』である。以前、『バタフライ・エフェクト』のレビューで、私は「失われた記憶」こそが「運命」の由来だと書いた。彼と彼女が出会った時、二人の記憶をよぎる微かな瞬き、第一印象で「ビビビっ」とくるアレ。相手を運命的だと感じるアレ。それは、実は量子論的多世界解釈(いわゆるマルチバース)のパラレルワールドによって何度も繰り返し出会い、共時的に重ね合わされ、生成しつつ失われた記憶によって紡ぎ出される。駈がカンナに感じた第一印象の「ビビビっ」、それが「デジャブ」。(デンゼル・ワシントンの『デジャヴ』って映画もあり。あれもパラレルワールドを描いていたと記憶。) かき氷屋さんで駈とカンナが並ぶ、その後ろにいた女性達が最後に2人を応援するシーンは、それこそ実は何度も重ね合わされ紡がれた「デジャブ」が生み出した感情から来ているのではないか。 「パラレルワールドを作り出す=テジャブを紡ぎ出す」とは、そういうことなのです。 2つ目。駈が時空のミルフィーユとデジャブによって瞬時にカンナとの関係性を理解するが、それは未来の姿の経験的先取りでもあった。しかし、それは『ブラッシュアップ・ライフ』や『時をかける愛』のような生まれ変わりやタイムトラベルによる人生何周目かの学びというのとは違う。実際に駈は何も経験していないわけだから、経験的であって経験ではない。想像し悟ったのである。 私たちは、人間関係、夫婦関係の中で、相手の気持ちを理解しながら、咄嗟にそれとは反対の行動を取ってしまうことがある。それによって相手の気持ちを毀損してしまい、時に取り返しがつかないことにもなる。事後に反省しても、時既に遅し。時間は元に戻らない。 駈は、その失敗をタイムトラベル者の情報で事前に知ることにより手を打つことが出来たとも言える。しかし、本当はそんなことがなくても、想像力を働かせることで、相手の思いを先取りして行動し、関係をより良く生きることが出来る(出来た)のではないか。この映画はタイムトラベルという特殊性というよりも、共時性という概念(重ね合わせ、想像し、悟ること)によって、それが可能になるということを良く教えてくれる。とても教条的、道徳的なドラマなのだと感じた。 確かにそれでも運命は変わらない。それは共時的に決められていることだから。しかし、同時にその共時性を意識することで関係をより良く生きることができる。豊かに生きることができる。その点が私にはとても興味深かった。 【onomichi】さん [映画館(邦画)] 8点(2025-02-17 22:42:41)(良:2票) 4.《ネタバレ》 坂元裕二のファンなので期待していたが、残念な結果に終わった。 彼の過去作品で感じられた「心に響くもの」が全く伝わってこなかった。 何回も都合よくタイムスリップを繰り返し、かき氷店に並ぶシーンの繰り返しにうんざりしてきた。 しかし、松たか子が15年前の姿に違和感はほとんどなかった。まさかAIで撮影したわけではないと思われるが。 【とれびやん】さん [映画館(邦画)] 4点(2025-02-16 18:14:50) 3.《ネタバレ》 坂元裕二x松たか子への高い期待は前半において順調にクリアです。そこは当然満足です(それにしても若い松たか子ってあんな感じでしたっけ?もう最近の松たか子が完全にデフォルト)。しかし後半、カケル君に事情を説明するところから最後まで、まるで舞台のような会話劇になってしまい残念に感じました。そして何より、あんなに行ったり来たりを頑張っていた(我らの世界線の)松たか子は、結局最後には登場せず、ずっと仲の良い夫婦生活を堪能してきただけの世界線の松たか子にすり替わってしまいました。あの頑張っていた松たか子が最後にどうなったのかを見せてくれないと、感情移入してみていた我々としては救われません。またはこんなことなら不仲とか離婚届けとかの話などは無くして、ずっと幸せだった松たか子の方が夫の死を回避すべく奮闘する話でよかったのに(そして彼女が過去で奮闘した結果(成果)として現在の世界では、新たに夫からの手紙と餃子を入手できるようになったというオチならばなぁと妄想)。 【wetb】さん [映画館(邦画)] 6点(2025-02-16 13:52:43) 2.《ネタバレ》 2月14日にファーストキスなんてタイトルの映画を還暦間近のおじいさんが独りで見に行くという、ある種の蛮行を試みたわけですよ。それで、基本的には面白かった。目の玉が熱くなり、のどの奥がキュッとなるような展開。画面を縦横に活躍していたのは松たか子さんであったが、本作は松村北斗さんの映画だと思う。■以下、盛大なネタバレですけど、15年前の未来から命を救いに来てくれたカンナに会うために、また、それまでに15年間こそやり直すために運命を変えない決断をする駈がいいんですよ。そんなタイムリープもの、ありました?(あったかも知れない)■夕日が印象的な映画でもありました。ロープウェイのシーン。カンナが会わずに結婚しない人生を選んだシーン。事故を告げる電話のシーン。夕日に照らされていると、なんだか酔ったみたいなフワフワした感じになりますよね。■しかし、ただ離婚まで決意したカンナなのに、若い駈とそんな感じになっちゃって、調子よすぎないか? 駈も駈で、カンナは魅力的とはいえ、なんかこう無理なバランスなのは否めないよなあ。■これ、もし男女反対のバージョンがあったら、企画通ったかなあ。上白石萌音を救いに、田中圭が未来からやってくる。あれ、ありかな? 【なたね】さん [映画館(邦画)] 7点(2025-02-14 16:37:19)(良:1票) ★《更新》★ 1.《ネタバレ》 坂元裕二×松たか子で面白くない訳がない。いつも見ているのは絶妙に面白い日常会話劇だが、今回はSFラブストーリーとの事。 マルチバースの世界観はもはや映画では基礎的知識として溢れている昨今、坂元氏の描くそれはどうなるのか、どう日常に落とし込むのかと興味深々で観たが、想像を超えるほどの深いヒューマンドラマに仕上がっていて驚愕した。 ラブストーリーという個人的な恋愛を描くと見せかけ、最終的に人間愛や人生観を描く壮大なドラマになっていたと思う。 「人生一度きりなんだから好きなことやらなきゃ」「人生やり直しは出来ないんだから」。タイムマシンが無ければそのとおりだ。もちろん現実世界にタイムマシンなんて無い。過去を変えることはできない。でも今を正して未来を変える事ならできる。「未来」を「反省」することが出来たら、タイムマシンに乗らなくたってやり直すことが出来る。「現在」を積み重ねた所に「未来」があるのだから。 結末は変えられなくても過程は変えられるとしたら、一番幸せな過程がいい。寂しさは人と人の繋がりがあるからこそ起こる感情なのだから、寂しさも感じない別れは虚しすぎる。人と人との繋がりなんてちょっとした小ネタでいいんだ。靴下の共有だったり、ばったり外で会っておー、って言ったり。ふふってなる感じが大げさでなくて心地よい程度の些細な幸せでいい。 いろいろと考察が楽しい作品。誰かと共に、観終わった後あーでもないこーでもないと話したくなる。 【ちゃか】さん [映画館(邦画)] 8点(2025-02-13 16:04:15)(良:1票)
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