みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
4.琥珀色の光の中に浮かび上がる、窓辺に置かれた白い陶器。それを一心に見つめる少年の表情。そして、その全身像のシルエット。 映画の中で、波山が陶芸家に転身する動機らしきものを直接的に表すのはこの短い三つのショットのみである。 映画は説明に多弁を弄することなく、窯やランプの炎とオーヴァー・ラップする榎木孝明の顔や、長女(大平奈津美)がホタルの光や薪や星を一心に見つめる姿を通して波山の真情・感受性をあくまで寡黙に、間接的に、映画的に語りきる。 二人のロクロ師(柳ユーレイ、康すおん)が波山に心酔し協力することになる経緯も、一切の説明を省き、行動そのもので示されるのも簡潔にして雄弁だ。 そのアプローチにこそ、彼の陶芸の作風と矜持に対する作り手の映画的リスペクトが表れている。 明治期のランプや、窓からの外光など、単一の合理的光源を活かした金沢正夫の照明・芹沢明子の撮影もその任の多くを担う。 住職から返された陶器と、榎木を窓辺におさめたラストショット。 木々の揺れと慎ましい自然光の美しさに、妻と子供たちの楽しげな童謡と笑い声がオフで入ってくる。 端正・素朴でありながら、豊かな情感に満ちた素晴らしいラストだ。 【ユーカラ】さん [DVD(邦画)] 9点(2012-05-17 18:48:51) 3.《ネタバレ》 炎と音楽のコラボレーションが非常に印象的なオープニング。「子ども達だけは泣かさないでください」という妻との約束を守った波山に、芸術家としての厳格さと裏腹の父親としての優しさを感じる。窯の燃料の薪が足りなくなったときに家の戸板を壊し始める南果歩さんの演技は、迫力がありました。ただ耐え忍ぶだけの古典的な明治の女性とは少し違ったニュアンスの役を見事に演じていました。ストーリーの方は、ようやくパトロンを得て、これから芸術家として波に乗ろうとしているところで終了するが、少し唐突というか、もう少し後を見たかった気がする。寺島進さん演じる米商人との絡みも、もうちょっと展開がありそうだったが途中で終わってしまい残念だった。 【鳥居甲斐守】さん [映画館(邦画)] 6点(2007-01-21 00:25:29) 2.近代陶芸の開祖と言われる陶芸家・板谷波山の伝記映画(最近、孤高の芸術家づいてる榎木孝明は中々「威厳」のある俳優なんですね)。しかし彼のバックボーンを全く描かず、唐突に陶芸の道を志す所から始まるので、映画からは「極貧の中で自らの技巧を極めた陶芸家」という、他の芸術家と大して違わない部分以外、波山独自のパーソナリティがさっぱりと判らない。なぜ職を捨て、家族を犠牲にしてまで陶芸に魅せられたのか? そして、彼の科学的アプローチの源泉は何処にあったのか? これこそが波山を語る上で最も重要な部分だったんじゃないでしょうか、5点献上。 【sayzin】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2006-06-28 00:02:47) 1.じ、地味だ・・・圧倒的に地味だ・・・世の中マトリックスだキル・ビルだ座頭市だって騒いでいるこのご時世に・・・いや、何もこの作品に100人分裂とか100人切りとかタップダンスとかを期待するわけじゃないけど、なんつぅのかなぁ、「他の作品と闘う気概」を見せて欲しかった。なんか「世間の人はこんな地味な作品、見向きもしないかも知れないけど、いいです。分かる人にだけ分かれば、それで良いのです」って感じで、あんた、いくら孤高の芸術家を描いた作品だからって映画自体が孤高(孤立?)になってちゃまずいだろぉが!それに主人公の波山の描き方もなあ。最初っからすでに「偉大な芸術家」の佇まいだし。ま、実際の波山がどういう人だったかは知らないけど、何の後ろ盾もない男が陶芸家としてやって行こうとした場合、普通に考えたら絶対悩んだり苦しんだり後悔したりってのがあったと思うんですよ。それなのに何でお前はそんなに尊大な態度でいられるんだぁ~!そのくせ子供ばっかしバカスカ作りやがって!とボロカス言ってしまいましたが、実はこの作品、ロケ地が自分の育った故郷だったりっていうのもあって密かにこの映画応援していたのですよ。だからこそ、「みんな知らないだろうけど、こんないい映画があるんだぞ!」と思わせて欲しかった・・・。 【ぐるぐる】さん 5点(2003-12-26 20:23:28)
【点数情報】
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