みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
33.《ネタバレ》 いわゆる「赤線」というのを描いた映画として、もう少し後の年代だとロマンポルノ、例えば『赤線玉の井 ぬけられます』なんてのがあって、現代の我々の目から見ると非常に特殊な習俗を描いた作品としても価値が高いのはソッチも今作も同様だろう。 一方で、アッチはロマンポルノなので直接的な濡れ場(とそれがもたらす独特の淫靡で蠱惑的な雰囲気)というものにセールスポイントがあるワケだ。それが無い今作は何をウリに勝負するか、と思って観ていたら、実に単純に登場する女性たちの抱える物語の「凄み」というトコロの質が高くて、心を穿つ様な重厚さがあった、と。お話としては完全にコッチの方が面白いですし、観た後に何か「残る」モノというのがありますね。 他方で、女性たちの描かれ方はとても品好く洒脱で、却って女性的な魅力(「魔性」な部分も含めて)というものが実に素晴らしく引き出されていた、と思いました。「賤業」などと称される彼女らに対する監督の温かい感情・目線が感じられます(監督が本当に彼女らを美しいと思っているから、こうも美しく彼女らを描き出すことが出来たのだ、と)。 【Yuki2Invy】さん [インターネット(邦画)] 8点(2021-04-08 22:10:10) 32.《ネタバレ》 2度目の鑑賞。 社会の底辺に生きる女性たち、みな悲しい過去をかかえており、役者さんが皆それぞれのキャラを好演している。 中でも、当時のトップスターの京マチ子や若尾文子が、けがれ役に果敢に挑戦していることが素晴らしい。 監督が溝口健二だから出演依頼受けたんでしょうね。 言いたい放題の京マチ子はきっぷが良くて小気味いい。「八頭身や!」には笑った。 かわいい系の若尾文子が実は一番したたかで、怖い女。この美貌にかかったら男はみんなイチコロやろ(泣) その他、息子に捨てられる女性が、悲しさで気が狂うシーンはみていて一番つらかった。 怪談映画のようなおどろおどろしいテーマ曲も印象的でした。 【とれびやん】さん [インターネット(邦画)] 8点(2020-05-25 23:02:22)(良:2票) 31.巨匠溝口&あやや(若尾文子)の佳作。二人とも、代表作は他にあると思いますが、堕ちた女性を描いており、溝口の実力を示していると思える。 あややも良くついてきていると思う。他の女優も絶品。今では、つくれないだろうなあ。 【にけ】さん [映画館(邦画)] 7点(2018-12-21 13:19:22) 30.《ネタバレ》 風俗映画としてはまあよくできていると思いますが、人物の描き方が薄いので、夫が自殺を図ったり息子に拒絶されておかしくなるというのが、唐突であまり説得力がないところが残念。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2017-04-05 08:41:35) 29.《ネタバレ》 巨匠・溝口健二が赤線をテーマにするなんてまるで新東宝のエログロ路線の踏襲かよと思ったりしましたが、良く考えると本家はこっちで新東宝の“地帯(ライン)”シリーズは題名からして溝口をパクってるんですね。まあそのころには溝口健二はこの世の人ではなかったので、文句は言われなかったでしょうけど。 でもこの映画は新東宝なんて引き合いに出すのは大失礼なほど完成度は高いです。5人の女優のアンサンブルはそれは見事なもので、さすが「女を撮らせたら溝口」と言われただけあります。その娼婦たちをウエットになり過ぎない冷徹な視点で撮っています。娼婦と赤線経営者夫妻そして客も、みんな欠点だらけのしょうもない人物ばかりで、中でも若尾文子はとても畳の上で往生出来そうもない様な嫌な娼婦を好演していました。唯一、小暮実千代が演じる通いの娼婦だけは良い人というか感情移入出来るキャラでしたね、普段は眼鏡をかけていてまるで女教師みたいだけど凄い色気を感じました。 でもそんな小暮実千代を出し抜いて最後に美味しいところを持って行ってしまったのが、あのしず子という娘です。店屋物の丼を「わたしこんな美味しいもん生まれて初めて食べた」なんて言ってた下働きの娘が親の借金のために吉原デビューする、おしろいを塗りたくられてプロ娼婦に変貌してゆくカットは胸が痛みます。そしてラストでおどおどしながら客に声をかける姿には、思わず心を鷲掴みにされてホロリとしてしまいました。本作が溝口健二の遺作になったことを考えると、黛敏郎のまるでホラー映画の様な音楽も相まって、このラスト・カットには不気味さすら感じられました。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2016-01-06 22:03:02) 28.50年代というこの時期にこの対象に着目した感覚には瞠目したいが、ただ、描き方がいかにも通常のホームドラマチックで、その道を選ばざるをえなかった閉塞感や焦燥感というものが感じられなかった。なので、不協和音的な音楽だけが浮いています。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-06-08 19:57:12) 27.戦後の高度成長期前の苦しい生活を想像すると、当時の価値観に共感はしませんが違和感も感じません。時代とともに法だけでなく倫理観も変っていくことが実感できる映画です。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-06-05 23:34:31) 26.《ネタバレ》 売春禁止法案が議論されているという設定。そんな中、この商売の世界の必要性をとうとうと語るシーンがありましたが、まぁわからんでもないですよね。迷惑かけてないしウィンウィンだし税金も納めてるし、なにより、こういう世界でしか生きられない人たちというのがいるんでしょうね。それぞれの女たちのそれぞれの末路が描かれるわけですが、やっぱりあの親子のエピソードが一番ぐっときますね。息子のためにやってるのに理解されず、しまいには大声で歌って頭おかしくなっちゃう。切ないシーンでしたわぁ。 【あろえりーな】さん [地上波(邦画)] 7点(2015-06-02 20:33:59) 25.《ネタバレ》 「職業に貴賤はないが生き方に貴賤がある」と誰かが言ってたのを思い出した。苦手な群像劇で物語に深みはないんだが、5人各々の生き方の違いは際立っていたし、メッセージ性は強かった。法律施行前の不安・混乱状況は伝わってきたが、結局現代でも職業としては存在している事を考えると、この混乱はなんだったんだろうという貴重な記録映画的な側面もある。 風俗産業がセーフティーネットとして機能しているのは現代も変わらないし、簡単に稼げる事から抜けきれない人もいるだろう(主婦でコキ使われるのが嫌で戻ってきた女性が印象的)。人間が逞しく生きていこうとする限り、そして肉体労働で効率よく稼ぎたいという人がいなくならない限り永久になくならない職業なのだろう。 【東京50km圏道路地図】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-05-13 12:45:31) 24.若尾文子様は大当たりやけど、それ以外はほとんどハズレの店やないか。 【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 5点(2014-06-17 22:03:56)(笑:1票) 23.《ネタバレ》 世間では評価の低い今作ですが、私には「山椒大夫」や「雨月物語」よりもずっと残酷で恐ろしい作品です。そりゃあ「夜の女」に比べると人物の掘り下げや辛辣さは無いですが、テンポの良いストーリー、一見軽快に振る舞う女たちが背負う心の闇。若尾文子のように成功を収める狡猾な女もいれば、木暮実千代のように出来てしまった子を育てるのに奮闘する女、息子に愛情が伝わらず絶望・発狂する女、と様々な女の栄枯渇水をまざまざ見せつけられます。56歳にしてこれほど若いエネルギーに溢れる作品。もっと面白い、もっと凄い映画を撮ったかも知れない・・・そう思うとこの作品が遺作として人々に記憶されるとは皮肉にも感じられます。ああ・・・もっと見たかった・・・こういう溝口映画を・・・。 【すかあふえいす】さん [DVD(邦画)] 9点(2014-01-20 13:13:28) 22.当時の売春街、売春婦の様子、とても興味深かった。かなり売る方も買う方も表面上はずいぶんあっけらかんとしてたんだな。 【noji】さん [地上波(邦画)] 6点(2013-05-06 14:04:44) 21.溝口監督の視点から、赤線地帯で働く女性たちの姿と生き様を余すことなく描いた作品。 売春防止法が制定された年の作品ということで、リアルタイムの題材が非常に興味深い。 これといった主役のいない中で、様々な女優たちが娼婦役を演じているが、勝ち気な性格の若尾文子と、いかにも能天気な京マチ子のキャラはやはり存在感あり。 他の女性たちが女の弱さを描写していたのに対し、二人にはどんな逆境にも負けない逞しく生きようとする姿が垣間みれた。そのあたりが本作のテーマか……? 女を描かせたら日本一、溝口監督の遺作です。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 6点(2013-03-02 06:29:43) 20.《ネタバレ》 溝口健二監督作品の中で、現存するものは全て鑑賞してきた。 そして、最後に私が観ることにしたのが、溝口健二の遺作である本作だ。 溝口健二の過去の重厚な作品に比べると、軽い仕上がり。 現代劇ゆえか、晩年からくる衰えゆえか、はたまた意図的なものか。 原因たるは知る由もない。 京マチ子、若尾文子、木暮実千代らが名を連ね、実に豪華キャスト。 脇役陣も層が厚い。 しかしながら、群像劇的というか、それぞれの登場人物達の掘り下げが浅いというか、やや散漫な印象を受ける。 そんな中、浦辺粂子は意外なほどの存在感。 沢村貞子や進藤英太郎もベテランの味を十二分に発揮していた。 東京最強の赤線地帯、吉原をリアルタイムで描いたという点で、貴重な作品だ。 それも「売春禁止法」が制定される直前、まさに吉原が風前の灯火な状態であり、そこで生計を立てている人々の混乱が、実にリアルに繊細に描かれている。 実際に吉原で遊んでいたか、よっぽど吉原について入念に取材しない限り、描けなかったのでは?と思うほどの、リアルな描写とセリフの数々。 吉原という街の全盛期を知る上でも、この上なく興味深い内容となっている。 個人的に「売春禁止法」に関して言及すれば、制定されたことは実に残念なことである。 放置すれば、勿論、社会の悪がはびこってしまうことは勿論分かっている。 しかし、こうした規制法がどんどん増えていき、日本は時代が進むにつれ、面白くなくなっていった。 こうした規制をかけることは、社会的に言えば正論であるが、一方で、日本をつまらなくする。 私は批判を覚悟で、「売春禁止法」に断固、反対する! いや、もうとっくのとうに遅い話だが。 現代で言えば、監視社会がそのテーマに該当する。 街のいたる処に監視カメラが設置され、人々の暮らしは常に監視下におかれ、つまり、「何も悪さのできないつまらない社会生活」が日に日に構築されている。 これを正論一言で、「犯罪抑止に役立つから素晴らしい!」と言ってしまえば簡単である。 だが、本当にそれでいいのだろうか? こうした命題を本作は歴史を超えて、観る者に訴えかけている。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-12-23 22:32:58) 19.売春防止法成立を巡って揺れ動いたその時代を反映する映画。風俗営業の店「夢の里」で男性客の相手をするミッキー、やすみ、ハナエ、ゆめ子、より江の5人の女性たち。それぞれの事情は違っても、娼婦として働く(働かざるをえなかった)様が実にリアルに描かれている。物語の構成も良く申し分ないが、あの前衛的な音楽がひどく耳障り。私は映画にマッチしているとはとても思えない。 ところでこの売春防止法だが、女性議員らの度重なる提案に対して何度も流れたという。おそらく「夢の里」経営の夫婦みたいな意見もあっただろうが、それが選挙で婦人層の票取り込みのために急転直下支持に転換した政党もあったとか、これまた時代の裏側を見るような話だ。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-06-09 20:20:39) 18.《ネタバレ》 誰しも好きで娼婦になった訳じゃない。かといって売春防止法が通れば生きていけない。高度経済成長? もはや戦後ではない? 「子供のミルクひとつ買えないで何が文化国家よ!」 時代が変わりゆく中でもがく女たちの様々なドラマを派手に飾ることなく描く。誰が主人公という訳でもないが、京マチ子、若尾文子、木暮実千代ら有名女優を抑えて、しづ子がすべてを持っていった印象…。あのラストシーンは強烈な一撃だった。 【リーム555】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-10-04 21:16:24)(良:1票) 17.《ネタバレ》 そのものズバリ!戦後の赤線地帯フリーク、昭和2,30年代の昭和の東京街並みフリークとしては(そのわりに、この作品の存在すら知らなかった)、もう、たまりませんでした!オープニング!から浅草、吉原あたりの俯瞰の東京!それにかぶさる、なんやらこれ?の不思議ちゃん音楽!(昔風、おばけ屋敷音楽)すぐに“音楽”黛御大のテロップにびっくり!その事ににやけるやら、なつかしいやら、なんやらで、超不思議な気持ち。ただ、この気持は何物にも代えがたい、超気持イイ雰囲気でした。この音楽、マッチしているか?といわれれば、マッチしてないし、これでイイのか、ときかれれば、これでイイんではないか?とおもうのです。いいかえると、どのような、音楽でもよかった。という、不思議な結論に達しました。というより、これ観たのは、映画館なんですけど、当然、観客みんながみているわけですけれども、何かこう、自分一人しかいない。というか、だれもいない一人の世界に入って観ている。というか、秘密の不思議世界にはいりこんだような、とても不思議でいて、そして、心地のよいものでした。ただ、旧赤線地帯フリークとしては、惜しむらくは、吉原なんてえ超有名な土地ではなく、洲崎パラダイスとか、鳩の街とか、東京パレスとかその辺だとさらに雰囲気倍増なのでした。それにしても若尾文子きれいだなあ。京マチコ、若い時も年とってもかわんねえなあ。個人的に、カフェエのドクダミ社長の演技と最後の新人売春婦の化粧をされる場面、その表情、から、地獄の、恐怖のラスト!そして、息子に棄てられて、発狂してしまう、かわいそうなゆめ子さん!そして、そして、職変えして颯爽とサッパリと仕事に精出す、若尾文子の演技!!!! 【男ザンパノ】さん [映画館(邦画)] 8点(2011-09-29 23:07:56) 16.普段は職場でイジラレ役の新人クンが、宴会の席で、実は風俗の常連だということを暴露された途端、先輩達から尊敬の眼差しで見られる、ってのはよくある(?)話ですが、まあそういう、みんなが知ってるようで知らないようでホントはどっちなんだよ、という風俗産業、売春宿が本作の舞台。ん~。正直、この雰囲気、苦手だなあ、こうもアタリマエのように、まるで健全であるかのように、描かれちゃうと。そりゃま、悲惨一辺倒ではないところがポイントではあるのですが、ヘンタイ性の部分には触れずにアッケラカンと描いているのには、どうも違和感というか何というか、納得いかんのです。ヘンタイ性も描くべきです(キッパリ)。とは言え、娼婦たちそれぞれの人生が多層的に描かれていく様は、映画が進むに従い、目が離せないものとなってゆきます。映画の尺が短いこともあって、なかなかに濃密な映画世界です。注目は、女優たちの演じる娼婦たちそれぞれの生きざま、に加えて、黛敏郎の不安をさそう音楽、な訳ですが・・・アヴァンギャルド全盛の時代に、最前衛の電子音楽を取り入れた割には、曲想自体は比較的落ち着いたものだと思います。ぽよ~ん、ひゅるひゅるひゅる。いっそ『天地創造』でも、ヤっちゃえばよかったのに。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-08-06 21:32:50) 15.「夢の里」の人間模様。遊郭モノにありがちな、殊更おどろおどろしく描かれる男女の絡みや同性の取っ組み合いはありません。そのようなものが無くとも、個性がそれぞれ際立っている五人から共通して「生き抜いてやる」意志を感じた見応えのあるドラマでした。ですから、ゆめ子には何としても快復して欲しいと思うのです。余韻が残るラストシーンの演出が見事です。 【The Grey Heron】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-08-28 15:02:21) 14.情緒あふれる人間ドラマ。売春せざるを得ない状況がうまく描かれています。 【すたーちゃいるど】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-08-12 22:53:38)
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