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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
21. コレリ大尉のマンドリン 戦っていたのはドイツ・イタリアのファシスト連合とギリシャなのだが、そこに漂っている空気は、イタリア・ギリシャの南欧古代文明地域連合と北方のドイツ新興陰気文明の対立だったりする。こりゃどうしたってドイツは分が悪い。でも一人一人はいい奴なんだよ。風呂場の中でしか歌えない内気な奴だったりして、飲むといい声でサンタルチアを歌い、ねえ戦争終わったら文通しようよ、なんて言う。言い古されたことだけど、戦争がいけないんだ。ドイツってのは、集団になると戦争に向いちゃう国民性なんだな。その点イタリアは向いてない。連合軍がイタリアに上陸したとラジオで聞くと、これで帰れるぞと歓声がわく。流れ着いた機雷の爆破、コードが足りなくて怪我しちゃうとか、いちいち戦争に向いてない。マンドリンが似合う国民性だ。でも残念ながら日本はドイツ系だなあ。[映画館(字幕)] 6点(2008-07-22 09:21:11) 22. ゴスフォード・パーク ダーッと登場人物があふれる。これ小説だったらそうとう混乱しただろうけど、映画だと、とにかくその中に身を置いてあたりを観察しているうちに、しだいに整理されてくるから大したものだ。上の階と下の階、別々の階級の世界を描き分けていたのが、だんだんと絡まってくる面白さ。マギー・スミスは召使を使って情報を集めるし、上の客であるアメリカ青年は下に潜り込む。マギー・スミスの上流階級の酷薄さは、そのままイギリスが(しょせん芸人風情の)アメリカを見る眼の残酷さでもあろう。監督はそう見られるアメリカを笑い、そう見るイギリスも笑っている。[映画館(字幕)] 8点(2008-06-02 12:14:29) 23. ことの次第 フィルムを待っているそのけだるい時間そのものを楽しめばいいのかもしれないし(映画撮影チームの話なの)、不意に飛び込んでくる松の根っこや、夜の荒れた海なんかとてもいいんだけど、でもとうとう映画の中の時間に溶け込めないで終わってしまった。物語を語ると生命がなくなってしまう種類の映画なんだろうが、でもそれなら物語の代わりになるものがあるのかってこと。はたして後半は映画で表現することだったのだろうか。言葉の「意味」と音楽の「無意味」の間にある、映画という芸術の難しいところだ。パンする画面と一緒に左へ去っていくタイトルと、びっくりするぐらい低空で下りてくる飛行機が、印象に残った。[映画館(字幕)] 6点(2008-02-01 12:12:45) 24. 今宵、フィッツジェラルド劇場で 《ネタバレ》 まるでスターがつどってのアルトマンのお葬式。アルトマンの遊魂がフワフワと楽屋を漂っているようなカメラ、白いコートを着た謎の女が葬儀の案内人だ。このままずっと浸かっていたいような、陶然としたいい気分で眺めていたが、中盤でじいさんがポックリ死んだり、オーナーがやってきたり、あれ、ドラマが始まっちゃうのかな、と思わされ、やや心が乱れた。あのまま儀式の映画として淡々と終わってくれてもよかったのに。葬儀に出席した者にもお迎えが来るラストは、無常観というよりアルトマン最後の悪ふざけと見たい。[DVD(字幕)] 6点(2007-10-31 12:35:30)
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