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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
41. シャイニング(1980) 常に最新技術と最新機器を駆使して見た事も無いような美しい映像で驚かせてくれるキューブリックが、その一貫した映像哲学を微塵も曲げずにホラーというジャンルに挑んだ作品。オープニングの空から車を追いかける映像は最もキューブリックらしい画で、美しい大自然が映し出されているのにそこには一切の感情も無く、得体の知れないものが空からついて来ているような錯覚をしてしまう。子供がおもちゃの車でホテル内を走りまわる姿をぴったりと後から追う映像はオープニングの映像に通じるものがあるが、角を曲がる度に何かが映し出されるんじゃなかろうかという恐怖感を煽る。迷路の中を追う映像だけは追っている者がはっきりとしていてサスペンスとしての躍動感に満ちている。そのサスペンスのクライマックス不在とでも言おうか、あっさりと終える結末もジャンルにとらわれない作りとして気に入っている。逃げきったと思わせてバーンと出てくるというホラーのお約束が無かったのが良い。「怖い」という感情を最大限に導き出すべきホラーというジャンルにおいて感情無き「美」が別の種類の怖さを作り出しているという、異色作というのはこういう映画のことを言うんじゃないだろうか。ニコルソンのインパクトありきの作品というイメージもあるが、ニコルソンはキューブリックの色に染まったにすぎない。この人は個性のきつい顔立ちであるのに、はたまたスター俳優でもあるのに、どの監督の作品にもきっちりと染まってみせる演技力を持っている。[DVD(字幕)] 7点(2005-09-27 15:27:19) 42. シンドラーのリスト この作品と同じ年に『ジュラシック・パーク』が製作されている。リアルな恐竜の映像化に成功した後、スピルバーグはあり得ないものをリアルに映し出すことに拘りを見せ続ける。しかし、『シンドラーのリスト』の映像は『ジュラシック・パーク』以降のリアルな映像とはアプローチを異にする。それは、どんなにリアルな映像を作ったとしても、現代でも見ることが出来る写真や記録映像に「リアル」という部分においては必ず劣ってしまうから。そこで監督はイマジネーションの映像化ではなく、歴史の証人たちの証言の映像化というアプローチでこの大事件を描き出す。そのことによってアウシュヴィッツの大量虐殺を映像にせず、噂話による人々の不安を描くことで、観客に信憑性のある恐怖の世界を見せてゆく。アウシュヴィッツに送られた女・子供たちが目にする煙突の煙もまた、その場にいた者だけが感じる恐怖の象徴として我々の目に強烈に焼き付く。ストーリーの中に別のストーリーを入れるというスピルバーグの特徴も、この作品では見られないが、それはこの歴史的大事件においては入れるスキが無いということと、それだけ真摯に証言の映像化に取組んだからではないだろうか。見た目のリアルではなく、その時、その場所の恐怖を、様々な映画的工夫を凝らして再現しようとしている。ひとりの少女をパートカラーで映し出すことで、大量の死を目の当たりにする我々がおざなりにしがちな一つの命の重みを映し出す。[映画館(字幕)] 7点(2005-08-09 13:48:18) 43. 静かなる男 どうやったら緑があんなにも緑になるんだろう。ほぼ原色に近いくらいの緑に被われた美しいアイルランドの町並みと、その国の風習に沿って生きる人達の描写は、一歩間違えれば閉鎖的に映し出されてもおかしくないのに、ここでは風習の本来持っている素敵な面、つまりその国で幸せになるために生み出された風習というものがイヤミなく描き出されていて、誰もがその地で暮らしたいとさえ思わせる幸福感で溢れている。その国の、その町の一員となるためのケンカを誰もが祝福する。皆が楽しそうだ。見てるこちらが楽しくないわけない。[DVD(字幕)] 7点(2005-06-29 17:02:41) 44. 白いカラス 口紅だけが目立つへたくそな素人メイクを装うがちゃんと綺麗に見えるようになされたであろうプロのメイク、そしてカメラを常に意識したキッドマンの顔の角度がいかにもハリウッドメジャーな映画。演技がちゃんとできるのに勿体無い。重い題材をハリウッド流に軽く扱うならかまわない。しかし重い題材を重く描いているのにフォーニア・ファーリーという人物が時々ニコール・キッドマンになっているのはどうしても気になる。監督も監督だ。カラスに語るふりをして観客に説明するなんてもってのほか。ベントン監督が製作側に屈したのか、それともハリウッドメジャー色に染まってしまったのか、、、。書籍で読むと非常に面白そうな内容なだけに本当に勿体無い。4点(2005-01-12 11:50:56) 45. ジャン・ルノワールのトニ 《ネタバレ》 実際におこった事件を映画にするとき、いかにドラマチックに脚色し演出するかがキーになる。しかしこの時代においてドラマチックに仕上げるのではなくリアルに撤したルノワールはやはり凄い。リアルに仕上げることによってよりドラマチックになる。泣かせようとせずとも泣ける。殺人事件が主ではなく、季節労働者と彼等の暮らす町全体が主として描かれる。殺人事件てのはそのもの自体がリアルと相反するもの。そのリアルと相反するものがリアルな世界に唐突に訪れる。その殺人事件の裏には男と女のドラマがある。そのドラマでも感動をあおらない。女が自首したことを男は知らない。男が死んだことを女は知らない。すごく悲しい。作られた悲しみではなく本気で悲しい。そしてその後はいつもどうり季節労働者はこの町にやってくるし、我々も普段の生活に戻るのです。リアリズム映画の祖であると共にリアリズム映画の傑作です。8点(2004-10-04 12:59:41)(良:1票) 46. 死刑執行人もまた死す ナチスから逃れる為にアメリカに渡ったという経緯を持つラングですから当然と言えば当然なのですが、「ナチス=悪」を鮮明に打ち出しています。対するプラハ市民の誇り高さと結束を描くことでその勧善懲悪ストーリーはより強固なものになります。しかし、ナチスの暴挙に対して反ナチスのレジスタンスもまた暗殺という「暴力には暴力を」という手段。その結果ナチスの無差別殺人を招き、それに対して結束した民衆もまた殺人を。脚本にラングのほかに二名の名がありますが、誰の功績か、とても娯楽サスペンスとして楽しめる作品になっていますが、この映画の本質は上に書いたように現代のテロ戦争にもあてはまる「暴力の連鎖」の悲劇ではないでしょうか。「暴力の連鎖」はさらなる悲劇を生みます。だから「Not TheEnd」なのでしょう。7点(2004-09-24 13:21:28)(良:1票) 47. シカゴ(2002) 現実の世界とミュージカルの世界を完全に分けることでミュージカル映画特有の違和感を排除し、同時に舞台で見るミュージカルの豪華さを堪能させるというのは、舞台が本業の人間らしいアイディアで、又、本領も発揮できるつくりと言える。個人的にはソコが不満だったりするんですが、見ているうちに知らず知らず足がリズムをとりだし、ミュージカルを堪能している自分がいました。でも映画を楽しんだのではなく、ショーを楽しんだにすぎないことも事実。もちろん映画がショー的な要素を多分に含んでいるものであることを否定しません。それにショーを映画で見せる、というのがそもそも監督の狙いだと思うので、ショーを楽しむ、という見方で正解なのでしょう。 ずるい者勝ちという中身が人によっては受け入れ難いものになっているようですが、「ショー」だと思って見ればかえって爽快ですらあります。キャサリン・ゼタの豪快なダンスとレニーのマペットが見所です。6点(2004-09-17 13:08:53) 48. 紳士は金髪がお好き(1953) 当時、歌は吹き替えが当たり前だった中、素晴らしい歌声を披露してくれたモンローと新人モンローをささえる側にまわりきっちりと役をこなしたラッセルは評価したい。二人の対比も面白い。でもモンローありきの作品です。 お金がすべてと言い放つ女に「私だったらこう言ってやりたい!」と思い観ていたら、最後のフィアンセの父親に言った言葉にグゥの音も出なかった。妙に納得してしまう。いや、納得はしてないが、「ま、いっか」となる。モンローじゃなかったらそうはいかないだろう。6点(2004-07-23 11:32:35) 49. 白と黒のナイフ 高評価の中申し訳ないが、やり手の弁護士がいとも簡単に依頼人と夜を共にするって展開がもうダメ。恋愛感情があるからこそのサスペンスドラマなんですけど、あまりにも簡単すぎます。5点(2004-07-07 12:42:37) 50. 白いドレスの女(1981) 仕組まれた出会いからしてちょっと無理があるのでは。男が夫を殺してしまおうと思うことにも無理を感じる。暑さで頭がやられたということか?ヤバイところを見てしまった女の子を警察署に呼んだ時の、刑事と弁護士と検察官の三者のやりとりが一番の見所でした。それにしてもあの暑っ苦しい喫茶店がなぜいつも繁盛しているのか?この一番の謎は謎のまま終わってしまった。4点(2004-04-30 11:21:34) 51. 市民ケーン 《ネタバレ》 アメリカ資本主義がもたらした功罪を実在の新聞王ハーストをモデルに描いた秀作。金持ちに金が集まる社会。ウェルズ扮するケ-ンは最初は貧乏だったので、一見貧しい庶民のために社会に貢献する人物のように見えるが、自分の理想とする人物になるために、またそう思われるためにお金を使っているにすぎない。ケ-ンは貧乏から這い上がったわけではない。いわゆる成金。こういうことがない限り貧乏人はいつまでたっても貧乏人で終わるのがこの国の資本主義。ケ-ンのようにどんなにカリスマがあろうとも、それを発揮できる土台=資本がなくてはいけない。たまたまその土台を手にしたケ-ンは同時に愛を失う。お金の力がケ-ンを人を愛せない人間にしてしまった。すべてはソリで遊んでいたあの日から変わってしまった。アメリカンドリームがうたわれる以前のアメリカで社会に問題提議をした作品。金持ちであろうと貧乏であろうと同じアメリカの一市民であるとタイトルが言っている。7点(2004-03-23 12:18:53)(良:1票) 52. シェーン 「シェ--ン 髪バー-ック」という育毛剤のCMを思い出す。そんなことはさておき、この作品で悪として描かれる農場主の言い分を聞くともっともな言い分で、なぜ入植者が悪とならないか不思議に思う。しかしこれがアメリカなのだろう。インディアンから土地を奪い盗っても侵略者ではなく開拓者なのである。前進する者が正義となる国。主人公シェ-ンもこの新しい正義の波に乗り遅れた一人にすぎない。つまり農場主と同じ立場の人間。ただのヒーローものに終わらせず「努力したが変われなかった」と言わせたところがこの映画の素晴らしいところ。だから余計に、一見ヒーローものに見えるつくりが気に入らない。6点(2004-03-18 12:22:55)(良:1票) 53. シーズ・ソー・ラヴリー 評価、低っ!かなり好きな映画なんですけど..。演技をまず絶賛したい。ショーン&ロビン・ライト、うますぎ!ロビン・ライト・ペンの10年後の顔はまさに母親の顔になってました。ショーン・ペンが警官に包囲されたシーンなんてリアリティありすぎでドキドキしました。そりゃーたしかに理不尽ですよ。子供がかわいそうだし母親失格ですよ。でも辛そうだったじゃないっすかー。泣きそうでしたよ。笑いあり涙ありで良かったっす。笑いがあったかって?9歳の長女のビールの飲みっぷりは笑ったっしょ?笑えなかった?もーいっぺん見てください。あの不機嫌そうな顔して飲んでる姿は面白いって。8点(2004-03-10 12:04:35)(笑:1票) 54. 情婦 《ネタバレ》 JTNEWSを初めて拝見した時、コレと「バック・トゥ・ザ・フュ-チャ-」と「ショーシャンクの空に」がココのベスト3。どれも10点を付けていない私は自分が一般的ではないことを改めて思い知った。でもこの3作品の中ではこの「情婦」が断然好きです。高木ブー演じる弁護士がいい味だしてます。(高木ブーじゃないって。) オチも爽快!後半私も髙木ブー演じる(演じてないって)弁護士同様うまくいきすぎてると感じていたんです。そしたらあれでしょ。そんでもってあれでしょ。そのうえ看護婦さんがこうくるでしょ。いやー天晴れ!でもなんであんな所にナイフがあるの?何か見落としてます? 8点(2004-01-15 11:27:17)(笑:1票) 《改行有》 55. 白い犬とワルツを(1993)<TVM> うっ、10点の後で申し訳ないが可も不可もなくです。あんな老夫婦になりたいなあとは思いました。ベストセラーの原作はきっと面白いのでしょうね。(フォローになってない..)5点(2003-12-25 12:22:30) 56. JFK 自分勝手な推理をさも事実かのように映画にして見せると言うのはどうかと思うが、それでもぐいぐいと惹きつけて一気に見せる力を感じる。国家の絡む陰謀ものは「あり得そう」と思わせたものの勝ち。興味深いネタとドキュメンタリータッチ、そしてオリバー・ストーンの私情が観客を惹きつける力作を作りあげた。脇役の名演技も見逃せない。7点(2003-12-24 11:38:41) 57. ジュニア シュワルツネッガ-はまだ見れるが、同じアクション俳優でもスタローンだったらちょっと怖い(絵的に)。どちらにしてもお父さんのお腹から生まれた子って、いじめられそう..。4点(2003-12-18 12:56:57) 58. ショウタイム 前半あまりのあり得なさにかなりイライラした。後半はアクションと割り切ればそこそこに楽しめる。テレビと実際の刑事は違うと言ってたのにかなり派手なアクションしてます。でも犯人ショボすぎる。名演技のシェパードとデ・ニーロのNGにプラス1点!5点(2003-12-12 12:19:39) 59. 十二人の怒れる男(1957) 《ネタバレ》 月に1、2回この作品の陪審室のようなシチュエーションで会議をする機会があるのだが、議事によってはコレと同じように一人づつ意見を伺うことがある。熱くなればなるほどそれぞれの性格や概念というのが見てとれて十人十色だなあとつくづく思う。この作品はその十人十色改め十二人十二色が解かりやすく描かれており、また一人たりともお飾りにはせずに描ききっているところが素晴らしい。ひとつ難を言えば弱冠2名の無罪転換がどうも納得いかない。メガネの人は理論派なので有罪の確固たる証拠に疑念があれば当然無罪に、というのは解かるが一番最後まで有罪を主張していた人と、偏見に満ちた発言により皆から総スカンをくらった人は感情論で語っておりそういう人は例え間違いに気づいても1時間や2時間程度では主張を曲げることは無いと思う。もちろん陪審員たる者がそんなことではいけないのですが。ラストの屋外のシーンは十二人が特別な人ではなくどこにでもいる普通の人たちなんだと改めて思わせるのに的確な描写だと思う。 7点(2003-12-03 17:52:46) 60. 新・明日に向って撃て! うぉ~!懐かしい!そうそう、妙に股間がもっこりしたスーパーマンもどきの「アメリカンヒーロー」のウィリアム・カット。この映画、特に面白いわけではないんだけど、ブッチとサンダンスをこよなく愛する者にとっては2人の姿を拝めるだけで満足できたりする。いや、そういう心構えで見ないといけない。そして【オオカミ】さん の言われるとうり、ウィリアム・カットとトム・ベレンジャーがホントにブッチとサンダンス(ニューマンとレッドフォード)の若かりし顔として違和感が無い。それだけで十分です。間違っても「明日に向かって撃て!」と比べちゃいけない。7点(2003-11-20 12:09:44)
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