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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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41.  ジュラシック・パーク さすがはスペクタクルの巨匠だけあって、単なる最新技術の発表会に終わらせず、ちゃんとした演出が施されています。例えばブラキオサウルスをはじめて見た時、私達はグラント博士と同様の驚きと感動を味わいます。あのタイミング、盛り上がる音楽、「えらいもん見てしまった」という俳優たちのリアクション。CGの恐竜がノシノシ歩くだけではこの映画は成立しなかった、優秀なスタッフと優秀な監督あってのジュラシック・パークなんだなぁと感じるわけです。T-REXが暴れ出す場面でも、不気味な兆候を積み重ねていよいよ千両役者登場という演出の巧さには唸ります。映画としてやるべきことがちゃんとなされているのです。。。現在になってあらためて見返すと、むしろ技術がこの映画の制約となっているような気さえします。当時の技術水準ではさすがに恐竜を出ずっぱりにすることは不可能であり、またCG恐竜に演じさせられるアクションにも限界があったため、主役でありながら恐竜の出番は抑え気味。「ジョーズ」でも効果を発揮したスピルバーグの「見せない演出」と、恐竜をなるべく出さないで済むように工夫されたシナリオの存在を感じます。こうした制約のため特に中盤はほとんど見せ場がなく、はっきり言って中だるみしており、ひとつひとつの場面を取り出すと印象的である一方で、映画全体としては他のスピルバーグ作品よりは下の出来だと言わざるをえません。また娯楽に徹するためか、物語から難しい部分を意図的に取り去っていることも残念なところ。「ジョーズ」では大人のドラマをやったのに、本作はすっかりファミリー向けになったのは70年代と90年代の違いでしょうか?科学技術と生命倫理のバランス、娯楽のためにどこまで危険を冒していいのかという問いかけ、経営者ハモンドと、それについていけない部下達との関係等々、掘り下げると面白いネタは山ほど転がっていたのに、知的好奇心に訴える部分のほとんどが切られています。その割を食ったのがマルコム博士で、「何が起こるかわからんから新しいことはやるな」と言ってるだけの、頭が固くて空気の読めない人間にしか見えません。しかしクライトンは、心配性の母親みたいな主張をさせるためにカオス理論を出してきたのではないはず。自分達の力を過信しすぎるなという本作の核となる主張をカオス理論に託していたのに、映画版ではその主張がなくなっています。[映画館(字幕)] 6点(2009-12-29 20:19:16)

42.  ジェシー・ジェームズの暗殺 《ネタバレ》 伝説的アウトローを撃ち殺した男の物語という着眼点の良さ、撮影の美しさ、俳優の演技の良さ等見るべきものの多い作品となっていますが、いかんせん長い。シンプルな話なのにどうしてここまで長くややこしい映画になったんだろうかと、テレンス・マリックの映画を見ている時と同じ感覚を味わいました。映像は綺麗だし、役者は良い表情してるし、何かを感じ取るべき場面なのはわかるけど、いくつかのシーンでそれを見せてくれれば十分伝わるわけで、映画の最初から最後までずっとその調子でやられるとさすがに飽きてしまいます。また長い割に話の整理が出来ておらず、前半などはさほど登場人物が多いわけでもないのに「で、今は誰の話をしてるんだっけ」と何度も話を見失いそうになりました。時間配分も適切とは言い難く、ジェシーが疑心暗鬼になるきっかけとなる仲間内のトラブルや隠し事を必要以上に丁寧に描く一方で、このテーマにおいて重要であるはずの、ジェシーを殺した後のロバートの人生や彼の葛藤については駆け足のナレーションで説明され、それまでイヤというほど見せられた冗長なカットもここにはありません。憧れの対象にいざ出会うと幻滅し、最終的に殺すに至ってしまうというテーマはすごく良いので、もっとストレートな映画にすべきだったと思います。本来わかりやすい話をわざわざ回りくどくすることは、「俺たち芸術的なもの作ってるぞぉ」という監督やプロデューサー(インディーズ作品を好むブラピ)の自己満足のような気がします。映画の外見にこだわって話を難しくする中で、一体何を見せたいのか、見た人に何を感じ取って欲しいのかという意識が薄くなっていったのではと思います。映画の流れを観客の生理に合わせることや、主張を浮き立たせるために映画全体のバランスを計算することは、娯楽作でなくとも重要なことです。[DVD(吹替)] 5点(2009-06-13 22:11:49)

43.  ジャッキー・ブラウン 《ネタバレ》 タランティーノ作品においてダントツで影の薄い作品ですが、彼の才能やクセがよく現れ、キャリアの分岐点となっている作品だと思います。とにかく長いこの映画。パルプ・フィクションも同じ155分でしたが、あちらは4つのエピソードを組み合わせているのに対し、こちらはワンエピソードで長尺を引っ張っており、本来B級の素材で2時間半は長すぎるように思います。しかしこれが絶対的な欠点でもないのが難しいところで、ムダに上映時間が長いのではなく、登場人物を丁寧に描いた結果がこの長さとなっています。タラのキャラ描写は独特で、ただテレビを見たり、ヤクをやってボーっとしているだけという「何も起こっていない」様子を映すことで、彼らの特徴を示します。そのため話は常に進んではおらず、完璧に止まっていることもあります。こうした、話全体にとっては何の意味もない描写により登場人物は特有の存在感を放っており、例えば同時期に製作されたアウト・オブ・サイトと比較すると、こちらの方がずっと印象に残るし、映画自体も楽しいものとなっています。問題は、タラが観客の生理に合わせた映画を作ろうという意思を持っていないことでしょうか。好きなキャラクター、好きな音楽、好きな場面をコラージュし、自分流の映画を作ることについては完璧。また、タラは変わった映画を作る監督として認識されていますが、ショッピングモールで紙袋をすり替えるシーンなどは、銃撃や追っかけが起きているわけでもなくただ紙袋をすり替えるだけなのに、ハンパではない緊張感に包まれており、正攻法の演出の才能もズバ抜けたものであることがわかります。しかし一本の映画としてのトータルのバランスはあまり意識していないようで、ショッピングモールで映画のテンションが最高潮に達した後に30分もダラダラと映画を続けてしまったことは失敗でした。一方でレザボア・ドッグス、パルプ・フィクションと初期作品はバランスのとれた娯楽作となっていることから、タラは娯楽ができない人ではなく、やろうと思えばできるけど、自分の描きたいものを優先して全体のバランスを犠牲にしてしまう人なのだと考えられます。本作以降はさらに好きなものに突っ走り、当初評価されていた抜群の構成力まで捨てつつあります。才能あるクリエイターが迎合しすぎず好きなことをやるのは良いのですが、最初の2本だけが傑作という状況はもったいないように思います。[DVD(吹替)] 7点(2009-06-11 17:25:38)(良:4票)

44.  ジャンパー 陽気な『インビジブル』とでも言いましょうか、まったく悩まない主人公が斬新な映画でした。能力が発現すれば、その日の夜にはさっそく家出。ただひたすら私利私欲のために能力を浪費し、社会正義などはまったく気にかけないという潔さは見ていて気持ちがよくなるほどでした。確かに、10代の若者が特殊能力を身につければ、その能力を専ら金と女に向けることは自然なことです。正義のあり方についてあれこれ悩むピーター・パーカーのような殊勝な青年はむしろ例外であり、本作はアンチアメコミものとしてなかなか興味深い姿勢で製作されています。。。 問題だったのは、ジャンパーとパラディンの戦いに緊張感がまったくなかったこと。特殊能力を持つ主人公が圧倒的に有利なことは誰の目にも明らかであり、その戦力差は憎まれ役であるはずのパラディンが気の毒になるほどでした。また、主人公が大馬鹿野郎のバカボン君だったことも、映画のテンションを大きく下げる原因となっています。パラディンの襲撃から命からがら逃げ出した直後であるにも関わらず、高校時代のマドンナをナンパしてローマ旅行に向かい、案の定、パラディンに追跡されてしまうというバカさ加減には呆れました。意図的にライトさを狙った作品であることは理解できるのですが、主人公がここまで愚かでは活劇として成立しません。[ブルーレイ(吹替)] 5点(2008-11-22 03:02:27)《改行有》

45.  シーズ・ソー・ラヴリー 《ネタバレ》 恋人のためなら触るもの皆傷つける痛々しいまでの愛情を描く映画かと思いきや、中盤辺りからどんどん雑になっていき、最終的にドタバタコメディで締めくくるという闇鍋状態の映画でした。前半はすごく面白かったんですよ。乱暴者のショーン・ペンが彼女に注ぐ愛情がよく描かれており、そんな大事な彼女がレイプされたなんて知れば、相手の男に対して何をするかわからない緊張感や危なっかしさもよく出ています。しかし短い尺のためか説明不足が多く、中盤以降は唐突な展開が何度も起こって話が怪しくなってきます。ショーン・ペンが逮捕される展開など、事前に彼の精神に異常のある描写がなく、ヤンチャのすぎるお兄ちゃんという印象しかないため、突如異常行動をはじめる展開にかなりの違和感。また彼の退院時。長い治療によって「カッコーの巣の上で」状態となっていたショーン・ペン。失われた時間の重みを感じさせる壮絶な場面なのですが、その後トラボルタ家に行く頃には、映画的な理由付けもないまま10年前と特に変わらない元の彼に戻ってしまいます。なんで?またトラボルタ家の描写も非常に浅く、クライマックスの決断と対比されるものが家族愛であることを考えると、その描写が薄いというのは映画としてのバランスがよろしくありません。前半が丁寧だった一方で、本来話のメインであるはずの後半パートが杜撰なのは残念です。とはいえこの映画の着地点は非常にユニークで私は嫌いではありません。クライマックス、ショーン・ペンがトラボルタに「彼女は俺のこともあんたのことも愛してないんだ!」と叫びますが、あれがこの映画の言いたかったことでしょう。女性というのは恋に恋してるだけで、別に男性に対して愛情を持ってるわけじゃないんだよと。しかし男は、女性から愛されようと必死になってしまう。そんな女性の身勝手さと、女性に右往左往させられる男のどうしようもなさがこの映画の主題ではないでしょうか。ベタベタなタイトルも、女性に対する男たちの気恥ずかしいまでの思いと健気さを表したものだと思います。話のキーとなるロビン・ライト・ペンの心情を後半においては一切描かなかったのも、これは女性に振り回され、それでも愛されたいと頑張る男目線のラブストーリーなので、意図的に彼女の心情は描かなかったのでしょう。そんなわけで、目の付け処は悪くないのにそれを活かしきれなかった本当に残念な映画でした。[DVD(字幕)] 4点(2008-06-08 04:24:31)(良:1票)

46.  シンデレラマン 特にひねりのない直球勝負の良い映画でした。くせのない良心作ばかりを職人さんのように作り続けるロン・ハワードという監督を私はあまり好きではないのですが、この映画ではその無個性ぶりがしっくりきていました。不景気でどん底に追い込まれた元スター選手が復活するという超ベタなお話で、守る者ができたから彼は若いボクサーにも負けないんだよなんて聞き飽きたきれいごとで出来た映画ですので、これぞロン・ハワードが撮るべき映画。彼のマジメ一直線な演出とここまで相性の良い題材は他にはありません。とロン・ハワードをバカにしてしまいましたが、確かにこの映画は良いんです。ロン・ハワードの手腕がここまで吉と出る題材はなかなかありません。実話というエクスキューズがあるおかげで「はいはい、ベタですね」とバカにもできないので、けっこう素直に話に入り込めました。ファイトシーンも良く撮れていて、体中に力を入れながら画面に見入ってしまいました。敵のパンチをいっしょによけたりなんかして。脚本の出来が良く、要所要所でいいセリフもあるので、素材の良さを邪魔しないマジメな演出がこの映画には最適なのです。他の監督が撮っていれば、やはりそれぞれのクセが出るせいでどこかがおかしくなったと思います。スコセッシが撮れば夫婦ゲンカの罵りあいが見るに耐えなかったかもしれないし、ストーンが撮ればボクシング業界の内幕がドロドロしすぎたかもしれないし、スピルバーグが撮れば感動の押し付けが度を越したかもしれない。ロン・ハワードという無個性な演出だからこそ、バランスのとれた本当の良心作になりえたと言えます。[DVD(吹替)] 8点(2006-11-05 22:16:53)(良:1票)

47.  ジャーヘッド 前作ロード・トゥ・パーディションがいかにも優等生的でつまらない映画になってしまったので、その反省とばかりにサム・メンデスは本来の持ち味である斜めの視点で本質をえぐり取るという皮肉精神を取り戻しています。ディア・ハンター以降、戦争映画と言えば主人公が「俺は殺人行為をやったんだ」と悩み、戦争で抱えた苦悩を背負う作品ばかりになってしまいましたが、この映画は四半世紀ぶりにその傾向に風穴をあけるような面白い姿勢で作られています。主人公が厳しい体験の中で成長するわけでもなく、悲惨な現実の中で何かの教訓を学ぶわけでもなく、「戦争行ったけど特に何もなかった」ということがテーマの変な戦争映画です。上官に向かって「俺の手で敵を殺させてくれ」と兵士が泣いて頼むという常識はずれのシーンまであります。監督も自分の試みに自覚的だったのか、ドラマ路線の戦争映画として最高の評価を受けるディア・ハンターのビデオにポルノまがいの不倫映像がダビングされてるくだりがあり、一方で「戦争映画としては非現実的だ」との批判を受ける地獄の黙示録を見て兵士が最高潮に盛り上がったりと、「『これが本当の戦争だ』と言ってた今までの戦争映画だって所詮脚色されたもんでしょ?」とでも言わんばかりの挑発ぶり。確かにこの映画の異色ぶりは相当なもので、これまでの戦争映画がどれも判を押したように「悲惨の連続」だったのに対し、この映画が描くのは「退屈の連続」。延々と退屈が続きそこに生死を分ける一瞬が突然やってくるというのが戦場の実態のようですので、「生死」並に大きな要素でありながらこれまで映画が取り上げてこなかった「退屈」という側面をはじめてテーマにしたところにも、この映画の価値はあると言えます。ただしこの監督、挑戦的な内容を扱いつつも映像や語り口に良くも悪くも「えげつなさ」がないという特徴を元々持っており、アメリカン・ビューティーにおいては過激な内容をうまくまとめてさらっと見せる手腕が良い方向で現れたものの、戦争映画においては刺激不足の原因となり、後半に猛烈な長さを感じさせられました。また最初と最後のモノローグは完全に蛇足で、何か意味ありげなあのモノローグは「何もない」がテーマのこの映画の本質をかえって見えづらくしています。[DVD(吹替)] 7点(2006-11-03 22:03:58)(良:1票)

48.  G.I.ジェーン 公開当時、「白い嵐」との併せ技で「リドリー・スコットも終わったな」と世界が確信した作品ですが、今になって見ると意外とおもしろかったです。フルメタル・ジャケットとトップガンをあわせたようなお話のため、硬派なドラマとして見るべきか娯楽作として楽しむべきかがわからなかったのが公開時の失敗要因でしょうか。しかし「グラディエーター」以降花開いた監督の残虐路線を念頭に置けば、この映画に大したメッセージ性はなかったであろうことが伺えます。リドリー・スコットという監督はスピルバーグと並んでサディズムを感じさせる監督です。↓のパブロン中毒さんもおっしゃってるように、表現手段としてあえて残虐性を選んでいるのではなく、個人的な趣向としてやっていることを感じさせられるのです。しかしその性向はグラディエーター以降にようやく判明したものですので、オニールに加えられる必要以上に凄惨な拷問の意味に観客は戸惑い、一転して普通のアクション映画になってしまったラストの救出作戦に素直に興奮していいものかがわからなかったのです。一般の作品に登場する凄惨な暴力には何か意味を感じなければならなかったのが公開当時の常識であり、そういう意識で見ればこの映画はさっぱり理解不能。また本作はフェミニズムの立場に立ったお話でもありますが、同様に監督は本当にフェミニズムを描こうという意思はなかったでしょう。この監督は「テルマ&ルイーズ」という女性映画も撮っていますが、こちらも表面的な主張にのみとどまっていました。監督の興味は虐げられるものを描くことにあり、その題材として社会的に受け入れられやすい女性問題を選んでいるのではと思えるのです。カラー・パープル、シンドラーのリスト、アミスタッドと、こちらもなぜか虐げられる者のドラマを作りたがるスピルバーグと似たような性質を感じます。そんな監督の作品ですので、この映画にも大した意味はないのです。ただひたすら目の前の映像を見てればよろしい。そう思って見ると、ラストの救出作戦なんてトニー・スコットの映画みたいで興奮しますよ。そうそう、トニー・スコットとリドリー・スコットの力量の差って、恐らく変態性の差じゃないですかね。どちらも最上級の技術を持ってるわけですけど、やっぱり変態パワーが芸術家としてのリドリー優位の根源ではないかと。トニーは変態じゃないから普通の映画しか撮れないんですよ。[DVD(字幕)] 7点(2006-04-30 17:23:36)(良:2票)

49.  将軍の娘/エリザベス・キャンベル 《ネタバレ》 まとまりは悪くないんですけど、どうにも残らない映画ですね。まずは監督のサイモン・ウェスト斬り。彼に大した演出力がないのは周知の事実ですが、とりあえず画面を見栄えよくまとめる技術は持っています。この映画においても、何かに驚かされたり、目を見張るようなシーンがあったわけではありませんが、2時間を退屈せず見れる出来にはなっていました。お次はトラボルタ斬り。トラボルタはどの映画でどんな役をやってもトラボルタ。つまり演技がどうのというよりも、彼はつねにトラボルタでしかないのです。この映画でもとくに演技に驚かされることはありませんが、当時の彼はまさに絶頂期にあり、スター・トラボルタはきちんと輝いていました。これまた見ていてとくにアラや欠点は気になりません。お次は脚本斬り。混乱を起こさないように丁寧に整理されたお話はよかったのですが、あまりに展開を滑らかにしすぎたために、謎説きをやってる気にさせられなかったのはサスペンスとしてマズイと思います。見ている側に推理させる余裕を与えないまま、話だけがサクサクと進んで行きましたから。それでも途中までは「どんなスゴイ陰謀が隠されてるんだ?」と期待してたんですけど、謎の正体が要するに親子ゲンカってのも、ちょっとガッカリですね。エリザベスのSM趣味や、心理研究班勤務(しかも人体実験中と思われる兵士の姿が一瞬映る)、地元警察との軋轢など、前半には面白くなりそうな伏線がいくつもあったのに、結局それらはネタふりにもなっていないし。それに、いくらツライ目に遭ったとは言え、外で素っ裸で大の字ってのは、やっぱりおかしいですよ。そこに「彼女は自分のトラウマを消すべく心理学に没頭し、そして人格が壊れていったんだ」みたいな理屈をつけてくれれば、まだスッキリとはしたんですけど。やっぱりサスペンスなら、伏線はきっちり回収しないと納得できませんよ。てなわけで、本当にヒマつぶし程度なら楽しめる映画なので、6点ってことにします。6点(2004-11-25 17:28:22)(良:1票)

50.  ショウタイム なんと、DVD版はエディ・マーフィの吹き替えが下条アトムでした。かつてはエディといえば下條アトムの声でした。「エディ・マーフィのものまねやります」と言って、下条アトムのあのしゃべり方のマネをはじめる中学生も大勢いたほどメジャーだったあの吹き替えですが、最近では旧作ですらその組み合わせを見ることが少なくなってたところです。しかし、その素晴らしい組み合わせを21世紀になって突如見ることができるとは!感動しました。エディがしゃべり出すたびに爆笑してしまいました。下条アトムのあの心の入っていない、いかにも口先だけのしゃべり方が、エディのキャラに非常にマッチしているのです。その吹き替えのおかげか、今回のエディ・マーフィにはえらい笑わせてもらいました。カメラをチラチラ見ながら臭いセリフを言うシーンのヘタさ加減なんて、「エディ、やっぱりあんたはプロだぜ」と見直しましたよ。一方、デ・ニーロの演技とは思えないイヤそうな顔もさすがで、「さすがはアクターズ・スタジオ!」と見直しました。て、あれはリアルにイヤそうでしたけど。しかしまぁ、この映画は本当にふざけて作ったとしか思えない出来なのでいいんです。ウィリアム・シャトナーが出てきて、「あんな大根役者は見たことがない」とまで言うんですから。ホント、いかにもアメリカ人なおふざけなんですよ。敵のペラペラ加減にしたって「バッドボーイズ」を遥かに上回っており、添え物にすらなっていません。だいたいあんな特殊な銃を街中で撃ちまくっては、「私が犯人です」と言ってるようなもんです。そんな感じで、真剣に見てはいけないんですよ、これは。要するに、「リーサル・ウェポン」よりも「刑事ジョー ママにお手上げ」のつもりで見るべき映画なんです。そんな気持ちで採点をすると、下条アトム効果もあって7点を付けさせていただきます。7点(2004-11-18 22:05:58)(良:3票)

51.  ジョニーは戦場へ行った この映画の存在を知ってから実際に見るまでに数年あったのですが、あらすじを想像するだけで背筋が凍りました。そして実際に鑑賞すると、夜も眠れないほどの衝撃を受けました。ここまで問答無用に人間の心を刺激するドラマは他にはないでしょう。人類がこれまでに生み出してきた物語の中でも、これは突出した存在ではないかとすら思います。実は私、これを反戦映画とは感じませんでした。たしかに製作側の意図は反戦にあったのでしょうけど、このドラマはすでに反戦というテーマすら越えています。ここで展開されるのは、人間にとっての究極の絶望。死が唯一の希望という深い絶望が、単なる概念ではなく、しっかりと画面に展開されるのです。いかなる形容詞もこのドラマには通用しません。多くの方がおっしゃるように、この映画は1度の鑑賞だけで十分です。もちろん、出来に不満があるからでも、嫌いだからでもありません。あまりに衝撃度が大きすぎて、2度目を見る勇気すらわかないのです。その裏を返せば、一度でも鑑賞すると、一生忘れないほどの深い衝撃を受けるということです。アカデミー賞を受賞したいかなる名作であろうと、ここまで心に刻まれるドラマは存在しません。そんな唯一無二の傑作が、いかなる映画ランキングにも登場しないことを私は不思議に思います。たしかに一般的な知名度はゼロに等しい映画ですが、なぜプロの評論家からも無視の状態が続いているのか。もしかしたら、この映画を正確に評論できる人がいないからなのかもしれません。私だって、この映画のレビューにはかなり気を使っています。あまりに映画がすごすぎて、ヘタな賛辞では作品を矮小化しはしないかと思うからです。それほどの究極の力作です。9点(2004-09-11 04:09:35)(良:2票)

52.  ジャンヌ・ダルク(1999) もったいないというか、なかなか深い映画なんですけどね。ジャンヌ・ダルクをテーマにしながら、神の意思や英雄物語の否定をやっちゃってるわけですよ。神の意志による戦争という矛盾、伝説ではないジャンヌの実態など、すごくいい視点ですよ。ジャンヌの抱く、美化された死や奇跡のイメージのビジュアル化、人格化された良心との対話など、素晴らしいアイデアもいくつかあります。ただし、全体的に切り口が短絡的なために、主題がかえってブレてしまってます。戦場に転がる死体にショックを受けるジャンヌ、愚直なまでに神への信仰を叫ぶジャンヌなど、ちょいとしつこすぎです。王位を得た途端に傲慢になるシャルル7世の描写も、あまりに単純すぎてガッカリでした。姉の惨殺、ジャンヌへのリンチなどの描写も、生々しすぎてかえってメッセージ性を削いでしまってます。この辺が、常にベタにこだわり続けるベッソンの限界なんですね。まぁ、戦場の迫力は大変なものだったし、「Follow me!」には燃えたし、アランソン、ジル・ド・レ、ライール、ジャン・ドーロンなど、ジャンヌの脇を固める男達はみんなかっこよかったし、娯楽性もそこそこ。悪い映画ではないと思います。6点(2004-07-31 16:29:51)

53.  ジャッカル 《ネタバレ》 地味だったオリジナルから一転、開き直って大作路線でリメイクという方向性は悪くありません。相手とする殺し屋があまりに凄腕でロシア当局もFBIも捜査に行き詰り、やむをえず収監中の元テロリストを放ってこれに対抗するという基本的なプロットも興味を引きます。ただ、この設定をまったく活かせていないことが本作のダメなところ。まず、ジャッカルが凄腕の殺し屋に見えません。高い戦闘能力を示す場面が皆無だし、かといって知能犯にも見えない、野生動物のような勘で捜査網から逃れるということもない。FBIはなぜこいつを捕まえられないんだと不思議になります。行動にもムダが多く、ジャック・ブラックやダイアン・ヴェノーラをわざわざ殺す必要がないし、そんなムダな殺戮のせいで足取りを掴まれてしまうのだからバカにしか見えません。挙句の果てに、あれほどこだわっていた銃座の設計図を持って逃げなかったために、暗殺の手段をFBIに知られてしまう始末。遠隔操作の高速銃を使っているにも関わらず遠くからターゲットを狙わず、わざわざ現場に姿を見せるという理解不能な行動も。ん~、もうちょっと何とかならなかったのでしょうか。彼に対するデクランの描写も杜撰です。そもそもリチャード・ギアがミスキャストでどうやっても凶悪テロリストに見えず、このために「毒をもって毒を征す」という本作のコンセプトが死んでしまっています。彼の捜査方法はFBIのそれと変わらず、元テロリストだからこその発想や捜査方法がまったくありません。後半になるとジャッカルを勘で追いはじめ、捜査らしい捜査すらしなくなる適当さには驚きました。よくもこんないい加減な脚本に予算がついたものです。 【2018.6.13再見】 何見ようかなぁとNetflixをダラダラと眺めていたらふと本作が目に入り、「もしかしたらもしかするかも」と思って8年ぶりに再見したのですが、全体の印象は8年前と変わらずでした。感想は↑と変わらないので、見ていてどうしても気になって仕方のなかった部分を箇条書きにしておきます。 ・どれだけ手の込んだ変装をしてもブルース・ウィリスにしか見えないジャッカル。 ・FBI・ロシア内務省・元IRAテロリストが組んで一人の暗殺者を追うという基本設定が完全に埋没しており、比較文化論とか組織論とか面白くなりそうな要素がかなり捨てられているので残念。 ・中盤で判明した内通者を使って誤情報を流せば随分早くにジャッカルを捕まえられたかもしれないのに、この内通者に尋問も何もせずアッサリ帰国させるデクラン&FBIの不手際。 ・ジャッカルのターゲットが完全に読めた後に「罠を張るんだ!」とか言いながら、結局何の準備もできていなくて発砲されるに至るデクラン&FBIの不手際。 ・「罠を張るんだ!」とか言いながら軍の大型ヘリコプターで現地入りし、来たことを思いっきりジャッカルに知らせるデクラン&FBIの不手際。 ・人質にとった少女を無傷で帰すジャッカルの無用な優しさ。[インターネット(吹替)] 4点(2004-06-29 20:20:34)《改行有》

54.  女優フランシス 投稿がひとりですか・・・。かなりマイナーですけど、傑作ですよ、これ。自ら不幸へと突き進んで行くフランシスは、演技を間違えれば見ている側にイライラ感を与える可能性大の難役ですが、ジェシカ・ラングの女優魂とあいまって壮絶な緊迫感に溢れています。デビュー作「キングコング」では猿と気が合って当然のバカ女優、その汚名を払拭するかの如く挑んだのが本作なんでしょう。ラングは後に「ブルースカイ」で同様の役をやってオスカーを受賞していますけど、こちらの方がはるかにレベルは上。これは必見の映画ですよ。9点(2004-06-29 19:32:53)

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