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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  シン・シティ 本作見てて木下恵介『笛吹川』でモノクロ画面の部分だけ色がつくのをちょっと思い出した。これでは血のみ赤だったり白だったり黄色だったりする。とても目覚ましいが、それだけで一本の映画の収穫とするのは、ちとつらい。映画は幻覚の一種なんだから、暴力衝動にゆだねきってもいいはずなのに、登場人物の幻覚という枠がないと、どうも気分が悪い、という発見も収穫であった。見た日の記録に「ほとんど彼と識別できなかったが、ミッキー・ロークは満足したであろうか」などと記していたが、こののち『レスラー』を見て、あんがい素顔がはっきり見受けられていたかも、と思い直した。[DVD(字幕)] 6点(2013-12-12 09:18:49)

2.  JAWS/ジョーズ 水面上でのはしゃいだ世界と水面下の低音弦がうごめく世界、この対比って以後の監督の作品でもしばしば見られ(恐竜ランドの柵のあっちとこっち)、遊園地のはしゃぎが恐怖に転換するのが好きで、またそれがうまいんだ。そもそもが最初の犠牲者が海面ではしゃいでいるとツーッと横に動くのが、なにか新式の遊具のような不思議さがある。遊ばせていた犬が戻ってこない、捕まえようとしつらえた罠のエサが桟橋ごと持っていかれる、どれもレジャー気分が恐怖に転換する。その裏返しのようにふざけた子どもの偽鮫が銃で囲まれたりもする。海開きのはしゃいだ気分が(はしゃがねばいけないような気分が)恐怖の背景として最適。後半は舞台が海に移って社会が恐怖に対面する装置はなくなってしまうが、ドレイファスとショウの「男の張り合いもの」で楽しめる。これもアメリカ映画の好んだ設定だ(あるいは『黄金』など、男三人ものか)。ショウが空缶を片手で潰すと、ドレイファスも紙コップを潰す。船のなかでの傷自慢も楽しい。冒頭の若者たちの描写に、70年代の映画だったな、と思った。[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-11-11 09:43:39)(良:1票)

3.  シリアナ おそらく映画より小説のほうが理解しやすそうな話だけど、とにかく2時間でおぼろながら伝達された。不正で維持されている米国の暮らし。完全に第三者の視点からのドキュメント的ドラマなのではなく、どこか自己批判的な視線を入れておくと企画が通りやすいのだろうか。こういう硬派の映画が製作されていく過程のほうに興味がいってしまった。自己批判を絶やさない国情は本当に立派だと思うけれど、なんかそれが一つの型になってはいないか、という気もちょっとした。米国企業の介入でクビになった若者が、自爆テロリストとしてリクルートされていく脇筋もある。これなんか実感あった。[DVD(字幕)] 6点(2013-10-29 09:11:50)(良:1票)

4.  ジェイコブス・ラダー(1990) 《ネタバレ》 どの自分がどの夢を見ているのか怪しくなっていく、って話だが、似た設定の『トータル・リコール』が後半面倒になったのか活劇に逃げたのに対し、こちらはじっくりその怪しさを楽しんだ。まずベトナムで始まり、それが地下鉄での目覚めになり、通り過ぎていく列車の窓に見えるあやかしの人々…って順にたどっても大変なので、一番不気味な振動する顔のイメージに行きましょう。気色悪いですな。ベーコンの絵のイメージだそうで(『ラストタンゴ・イン・パリ』のタイトルで覚えた画家)、表情がうかがえない・何かにとりつかれて振動させられてるって感じがある。映画はだんだん死体のイメージが漂い出してくる。頭に腫れ物のある病院の受付。病院の廊下は次第に廃墟になっていく。天使に導かれてヤコブの階段を上っていくんだな。さあ往生しなさい、って。うらみつらみなしで従容と上っていくところに傷ましさが湧き上がる。本人があまり無念と思ってないところ。このころアメリカ映画は死への興味・死後への興味が盛んだったんだ。[映画館(字幕)] 8点(2013-08-14 10:01:43)

5.  シザーハンズ まずFOXタイトルのとこに雪が降っている。子どもに昔話を語る老嬢、窓の外に古城。一転してピンクやイエローのカラフルなおもちゃのような非現実的な町。古城だけでなくそれを際立たせる世間の造形がちゃんとある。抜けるような青空。そしてD・ウィースト。うまい人だなあとは思ってたけど、「単純」を的確に演じられるうまさってあんまりないよ。化粧品のセールスに荒れ果てた古城に入っていく人を自然に演じられる。でエディの登場。他人に触れることが出来ない、一種の加害妄想の現実化なわけ。社会適応の訓練。学校で紙切りやるのなんか楽しい。その彼が盗みを手伝わされちゃうとこからフランケンシュタインの怪物的哀しみが出てきます。武器を捨てて出てきなさい、って言われたってね。群衆によって化け物にされていく。芸術家の不幸の話でもあるか。人に触れる手の代わりに、創造するハサミを得てしまった男。寓話の映像化として最良の成果。[映画館(字幕)] 9点(2013-07-31 09:40:03)(良:2票)

6.  シェナンドー河 《ネタバレ》 「国(州)が勝手に戦争やってようと俺の家は関係ない、国が子どもを育ててくれたか」と独立独歩でやってきたJ・スチュアート、馬を買いに来たバイヤーと殴り合いの喧嘩になり家族揃っての乱闘、向こうがピストルを出したところで、こちらも娘が一発放ち、決着となる。なるほど、アメリカで銃規制が進まないのは、こういう原風景があるからなんだな、と納得した。国の方針に納得できないとき、自分のとこは独自にやっていく、という担保として銃があるんだ。ライフルはその象徴でもあるから固執する。国家に最終暴力の権利を与えると、とめどなく強大になって最後は北朝鮮のような軍事国家になってしまうだろう、それなら「銃の野放し」のほうがまだいい、という判断。南北戦争のころと今とでは比べられないはずだけど、根本思想として「銃による独立」という考えがあり、それはそれで一応筋が通ってるんだ。日本では銃の野放し状態になる危険性より、軍事国家になる危険性のほうが高いんじゃないか。国家に何でもゆだねたがる性癖。たとえば死刑制度がなくならず、反対運動が高まらないことも…なんて、余分なところで感想を抱いた。映画そのものの感想。ボーイが助かるあたりは「うまく出来すぎ」だし、そもそもJ・Sの頑固親父はニンでない(息子が撃たれたあとの怒りのことばは彼ならではの説得力があった)が、内戦のやりきれなさは静かに底に流れていた。南北両軍が対峙しているところに放れ牛がやってくる場なんかがいい。留守宅での不意の惨劇も、銃の使い手が出払っている家の不安の結晶なんだな。二階に上がっていく悪人どものサーベルが階段一段一段でたてる音。[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-04-28 10:30:58)

7.  死の接吻(1991) 《ネタバレ》 なんとなく漠然とこの会社に怨みがあると思っちゃうじゃない? 一族を順に殺していっちゃうんだもん。ところがショーン・ヤングと結婚しちゃって、あれれ、って感じになる。少年のころの夢、最もストレートな「立身出世」が動機だった、ってのが面白かった。母の期待(人生に失敗した父)、裕福な家庭のイメージが彼の中で鋭角的に結晶して、絶対的な父への憧れもありましょう。もっと堂々と原作と勝負して欲しいのに、冒頭からなんとなく『めまい』めいていて、ヒッチを越えるものを作ってやろうという意気込みはうかがえず、なんか随所にヒッチへのこだわりが卑屈に見受けられ、あまつさえヒロインが『めまい』のビデオまで見てたりすると、かなり興ざめ。[映画館(字幕)] 6点(2013-03-28 09:47:38)

8.  知りすぎていた男 トーキー初期作品をリメイクした本作は、音が明晰になった喜びが随所に踊っている。主に二つの音が重なること。次第に靴音が二つになったり、賛美歌に合わせた会話、銃声とシンバル、ケセラセラと口笛、などしばしば観客は耳を澄ます喜びを味わえる。一つのものが無理に二つに分けられる緊張と、二つの異なるものが無理に一つに合わされることから来る緊張。一つであるべき靴音が二つに分離していく驚きから、無理に二つに分けられていた母子が一つのメロディで重なっていくまで。本作や『北北西…』など、とにかく盛りだくさんにした作品がヒッチにはあり、『裏窓』のような集中していく作品よりは軽く見られがちだが、この満腹感もそうとうなもので、同じくらい好きです。[映画館(字幕)] 9点(2012-12-25 10:04:03)

9.  白い恐怖(1945) G・ペックがひげ剃ろうとするクリームのドロッとした白を見せるとこから次々に白が襲ってきて、教授がミルクをとりにいくシーンを経て、ついにカメラがコップのミルクにふさがれるまで、ここはもうまさにヒッチコックでしたなあ。具体性ということか。テーブルクロスの筋のように、恐怖の対象が極めて具体的にそこにあるの。なんでもないはずのものが、ヒッチに指摘されることによって恐怖の対象になる。彼と深層心理学って、何か結びつかない気がしない? ヒッチの明晰さと、心理学の晦渋さ・曖昧さ。はっきり指させる恐怖と、どうとでも言いつくろえそうな解釈の世界。それが補い合ってるから面白いのかな? 私が観たフィルムの字幕は、後ろの画面が白いとほとんど読めなくて(昔はこういうの多かったんです)、白の恐怖であった。[映画館(字幕)] 7点(2012-12-11 10:26:20)(良:1票)

10.  真実の瞬間(1991) こういう敢然と闘いましたって話より、転向した者の苦衷とか、波に乗って告発して回った者の内面を描くほうが意味があるのではないか、などとブツブツ思いながら観ていたが、でも公聴会のシーンでは興奮しちゃった。アメリカ映画は、やっぱりこういう切り口が一番合う。狂った流れを止めようとする者の勇気は、何度でも何度でも賞揚しなければならない。流されたものの分析よりまずその目の前の勇気を褒め称える、これがアメリカ映画。ここから勇気が広がっていくことに希望を持つ。楽天主義かもしれないが、なんらの説得をも含まない強制させるだけの言葉の冷たさがクッキリ描かれているから、この楽天主義の必死さも伝わってくる。アメリカの楽天主義が説得力を持つとき、その裏には必死さがある。狂った正義は怖いけど、それを止めるのも正義感しかない、ということを繰り返し学んでいるからだろう(繰り返しても身に付かないってことか)。[映画館(字幕)] 8点(2012-11-17 09:51:01)

11.  ジャングル・フィーバー この監督の面白さはホームドラマにあるのかも知れない。一組の男女から、しだいにそれぞれの背景、家族から民族まで広がっていくドラマを、会話で綴っていく。「わだかまり」の根本を見詰めようとする姿勢は正しい。残業の会話でジョークジョークと言いながら、黒人の上司と白人の部下という関係のわだかまりをためつすがめついじり回す楽しみ。女たちの討論会。黒人男はどこかで白人女を求めてるのよ。イタリア系の店での差別論議。今回は人種差別に性差別も絡んでくる。主人公のカップルの裏に、タトゥーロ青年の黒人女性への恋が肯定的に置かれていた。後半麻薬のモチーフがグッと出てくるのがもひとつピンと来なかったんだけど、今のアメリカで家庭を考えるとき避けられないテーマなのでしょうな。道を散歩するシーンがなぜか滑らかな移動で描かれるのが面白い。フィーバーではあるけど、すべて中途半端な情熱になってしまう哀しさみたいのがある。警官に強姦していると思われそうになるとき「恋人と言うな、友だちと言え」なんてあたりに、今黒人が置かれている状況が分かる。タテマエは平等ということになってても、実際に心に生まれてくる「わだかまり」はどうすればいいのか。[映画館(字幕)] 7点(2012-11-07 09:44:43)

12.  十二人の怒れる男(1957) アメリカ映画の好きな裁判ものだが、やる気のなかった国選弁護士の代わりに一人の陪審員が奮闘する法廷後の話になっていて、次第に覆っていく面白さは裁判ものの常道だが、「それで食ってる」弁護士でなく、本来ならチャッチャッと済ませてすぐ帰りたい「面倒ごと」に付き合わされてる一般人にしてあることで、「正義とは」というテーマがより際立った。そして意見を持つことの大変さ、それを表明することの大変さというテーマも浮き上がり、そっちのほうが本作のキモではないか。別に無罪を証明しなくてもいいんで、「有罪にするには合理的な疑いがある」って比較的低いハードルでも、11人の反対者の22の冷たい瞳に囲まれると、私だったら…と自信がなくなりそうな場。そういう逃げようと思えば逃げられる場で自分の少数意見を表明すること。こういう勇気を賞揚するのが、アメリカのいいところだ。おとぎ話とか、お涙頂戴とか、こういう場面で来そうな反発がいちいちいリアルで、観てるほうの心のなかで動く反対意見をちゃんと残りの11人が表明していく。議論の質を落とさない。そして少しずつ同調者が増えていく。ここも大事なところで、なぜかとりわけ日本では「ブレる」ということが、さも悪事のように言われがち。でもそれがなくては議論する意味がないわけで、反対意見に最大限想像力を働かせ、自分の意見と闘わせた上で、それでも意見を変えない・あるいは変える、というのは同質のことのはず。悪いことではない。日本の「ブレない政治家」ってのは、反対意見に耳を塞いでるだけで(ラスト近くのリー・J・コッブのように)、あとは「おとぎ話」「お涙頂戴」と切り捨てるのなんか、まったく映画と同じですな。というわけでアメリカ映画の最良の部分がここにある。室内劇でありながら夏の暑さを描いた映画としてすぐに思い出されるってのも凄いことだ。[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-10-11 10:11:32)(良:1票)

13.  シティ・スリッカーズ 休暇が義務になってしまっている現代、この神経症の時代の正しい休暇とは、という話。彼らが思い起こす最良の日ってのが、みんな父親絡みなの。初めて野球に連れて行ってもらった日、父親を追い出して家長になった日、結婚式のとき親父がウィンクしてくれた、なんてのが実にいい。こういった男たちのファーザーコンプレックスが凝り固まると、アメリカの場合、開拓時代に向いていってしまう。カウボーイ体験ツアー、というシステム化された枠のなかってとこに苦みがある。ジョン・ウェインの時代ではなくなっている。現代で男らしい父親は「体験ツアー」みたいなもので無理にこねあげないと出来ないものになってしまったと言うことか。B・クリスタルのうつろな喜劇役者顔、くさいのギリギリのとこだけど、私は嫌じゃなかった。J・パランスのカウボーイぶりも、コミカルなタッチにしないと画のなかに入り込めない時代。そしてみんなは家庭に帰っていく。牛たちは食肉会社へ。[映画館(字幕)] 6点(2012-08-25 10:02:33)

14.  シャレード(1963) 《ネタバレ》 旦那の葬式の場、次々と見知らぬ男たちが現われて、本当に死んでいるのを確認していくとこがおかしい(最初は鼻に鏡を当て、次はあっさり刺してみる)。こういう「殺伐としたユーモア」でいくのかと思っていると、中盤からはロマンチック路線主体になり、サスペンスコメディの線はやや減退。ロマンスものの随所に襲撃やら殺人やらのスリラーを挟む、という姿勢。一応C・グラントに謎めいた役割を与えてはいるものの、まあ彼が悪役で終わるとは思えず、そこらへんは作る側も折り込みずみで、安定したロマンチック路線の上で二転三転を楽しんでください、ということなんだろう。女性観客のための「オードリーのオシャレ映画」としての枠も考えなければならない。セリフもシャレていて、たとえばガラーンとした葬式のとき、誰も来ないのね、というのに応じて「ベッドで死んでたら警部もいなかったわ」。電話で脅迫してくるJ・コバーンが、どこにいるんだ、というグラントに応じて「俺を見つけたいんなら、後ろを振り向け、いつもお前に張り付いてるからな」なんてのもいい。終盤でまたサスペンスの線をハッキリさせ、盛り上がった気分で終わらせている。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-08-06 10:05:58)

15.  幸せの向う側 《ネタバレ》 スリラーには「旦那が何者だか分からないモノ」ってジャンルがある。結婚に関する根元的な不安を突いてるんでしょうな。だって今までよく知らなかった人と、鍵かけて戸締まりして逃げられなくして一緒に暮らすんだもん。ラストはなかなか怖い。こっちがまず刺しちゃうってとこが怖いんでしょうか。でも後味が悪くもある。必死に成り上がっていこうとした男の悲哀ってのも、ちょっと添えて欲しい。最初の出会いのあたりの演出がよかった。店でうかがい合ってるような。こっちから見ると食事になってたり、人影が消えると笑ってたりして。ジョン・ハードってエレファントマンのハートさんじゃないよ。テンテンのあるハードね、ウィリアム・ハートみたいに心から笑ってない笑顔する人(ってさらにややこしくしちゃったか)。ダミーの使い方がヤラしい。いかにも「親切そうに振舞ってて実は真犯人」な顔してるの。[映画館(字幕)] 6点(2012-06-21 10:26:32)

16.  シンデレラ(1950) 小さな仲間・助力者ってのがディズニーアニメの特徴で、小さなものと大きなものの対比が作品を膨らませている。小さなものから見た家と、シンデレラから見たお城が比例関係になっている。ネズミが階段を鍵持ち上げていくとこなんか、お城の階段を縮尺している。猫とネズミによって脇で語られる小さなギャグが、本筋でのイジメに話を自然に戻している。それがどうしたって言われても困るんだけど、そうやってスケールの違う二つの世界で話を往復させることによって、物語の世界構造をしっかりとさせてたんじゃないか。ディズニーアニメにおける悪役ってのはいつも魅力的だが、とりわけ本作の継母はピカイチ、助演女優賞ものだ。アニメは性格や役割りをここまで純化できるって見本。王様と家来のベッドでの弾みながらの会話もアニメならではの楽しみ。泣けるのはネズミたちが作った衣装を(製作過程も素晴らしいのだが)、小鳥が扉開いて見せるとこからで、妖精ばあさんが奇跡を次々に起こしていくあたりが頂点。考えてみるとあのばあさんかなり唐突なんだけどね。[映画館(吹替)] 8点(2012-04-15 09:53:00)

17.  シティ・オブ・ジョイ 国際規模に拡大された『赤ひげ』って感じ。インドから見れば「いい気なもんだ」ってなとこもありましょうが、「逃げ出すか、傍観するか、飛び込むか」という「とにかく行動せよ」いう姿勢、「そのことが悪いはずはない」という確信の強さ、には一目置きます。そういった信念が歴史上多くの悲惨も生んでいるんだけど、歴史を動かしてもいるわけで、たとえ人の職を奪うようなことになっても正義を貫く、根本的に悪に立ち向かおうとする、という一途さをヨシとするのが、西洋の原理なんでしょう。青臭い青年と二人で分担させたっていうのも手ですな。でもやっぱときどき小声で「いい気なもんだ」とは思っちゃうんですが、こちらもアジア人なもので。マックス君の心の傷がちょっと弱いんじゃないか。説明が少女を死なせたってだけでは。だから施療院手伝わないとこなんか、ただのダダッコに見えちゃう。ま実際そうなのか。人力車は「リキシャ」って言うんだよね。馬のようにいななけ、なんて言うの。モリコーネの音楽、ラストに合唱が入るのは『ミッション』のタッチ。こういう弱者が圧制者に立ち上がるって話に弱いもんで、点は甘くなる。[映画館(字幕)] 7点(2012-03-31 09:44:36)

18.  ジャイアンツ 西部劇はよく牧畜業と農業の争いをテーマにしたが、その後は牧畜業と石油業との争いになったわけか。あくまで牧畜業のほうから眺めるのが、カウボーイヒーローを持つアメリカの神話なんだろう。そしていつも「時代おくれ」なんだ。ジェットは登場のときから馬でなく車に乗っていて、石油産業への方向を暗示していた。そこに「嵐が丘」のヒースクリフ的な匂いも重ねて、歴史とメロドラマを二重写しにしている。あと東部と西部の対比もあり、牛の脳をガツガツ食べる西部で育つには、七面鳥を食べられない子どもは東部の血を引きすぎていた(だから育ってもD・ホッパーになっちゃう)。東の倫理が西の差別を是正していく、ってのはちょっと鼻についたけど、50年代の映画としては上出来なのか。どちらかというと連続ドラマに向いた話で、一本の映画としてはいささか大味。妹の結婚式の誓いの場で夫婦仲が戻っていくあたりとか、ひそかに恋するレズリーの残した靴跡からブツブツと石油の気配が滲んでくるあたりなどに、映画らしさがあった。[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-01-11 10:05:56)

19.  ジョニー・スエード 《ネタバレ》 『ストレンジャー・ザン・パラダイス』の撮影やった人の監督作だそうで期待したけど、ノレないまま終わった。突っ立ってた髪の毛が、普通に寝込むまでの話。天から降ってきた靴、それによって人生のステージを一つ進み、その靴の片一方を失うことで、そのステージから出て行くまで、とも言えるか。一昔前のサウンドに固執している。伝説の待望。登場人物たちがやたらと詩を語る。家賃の払いを迫る大家までが韻を踏む。女の子のときはバックでギターが分散和音を奏でている。人には騙されるし、不器用で純なヤツなんだ。でもそういうのを描こうとすると、50・60年代を振り返るポーズをとらないと描けないってことか。そして現代にジェームス・ディーンを持ってこようとすれば、おのずとコメディの気配が漂ってしまう。そういう時代のうつろいの哀しさを描こうとしたのかもしれないけど。しかしあの時代にはあった怒りがここにはない。[映画館(字幕)] 5点(2011-12-24 10:17:47)

20.  ジャック・サマースビー 《ネタバレ》 南北戦争後の南部が舞台。ミステリーふう。戦争から帰ってきた夫は本当に夫か、ってな。彼と彼女の間のヘンな雰囲気を丁寧に描写していく。ひげを剃るときの緊張。J・フォスターがキスを誘うのにR・ギアが気づかぬ振りして避ける。など、日常の細かい振舞いに潜んだ緊張を楽しめる。靴のサイズ。貴金属拠出のとき「妻のあたしが言うのもなんですが」って言ってブローチを出すあたりがニクイわけ。彼はここでサマースビーとして生きようとする。黒人や子どもの期待、期待をされることのしっかりとした手応え。ゴロツキにさっと右手でナイフを構えるジャックを、ロングで見てしまうローレル。でまあ、KKKもあって、裁判になる。アメリカ映画は本当に裁判が好きだ。南軍負けてもうすぐに黒人の判事が来てたのか。裁判の過程で愛の物語が明らかになってくるの。それまでのローレルの結婚生活の惨めさ、ジャックの改心、などなど。粋な判決を下すのかと思ってたら、愛の伝説になりました、って終わらせ方だった。あれなら裁判の後、あまりじらさないですぐ墓場にしたほうがサッパリしたのに。[映画館(字幕)] 6点(2011-10-31 10:11:18)

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