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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順12
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1.  ダークマン 本格的B級映画でとりわけ後半はB級ならではの軽快感を楽しめました。ヘリコプターからぶら下がったダークマンがトラックの上をチョコチョコ走りするとこなんかいい。B級にとって安っぽい感傷性ってのも大事で、夫婦の絆が絡むといいの。妻への愛と醜い己れとの葛藤。仮面が99時間しかもたないという制約も一応ある。悪人は残虐で、指をコレクションしてる。ヘンな名前の日本人も出てきて、ヤキチトだったっけ? ヤキトリから適当に発想したんだろう。空気はやや「オペラ座の怪人」めく。廃工場での活躍からヘリコプターのあたりが一番Bの味みなぎっていた。ハラハラドキドキに完全には飲まれないんだけど、ヨウヤルワというレベルで満足する感じね。悪玉が自分からわざわざ建築現場へ行ってぴょんぴょん跳ぶのもおかしい。叩き上げの悪漢。「私は創造のために人を殺してるが、君はただの復讐じゃないか」。[映画館(字幕)] 6点(2013-11-10 09:39:24)

2.  黄昏のチャイナタウン ハードボイルドの話のややこしさにはいつもついていけない者で、二人のジェイクの男と男の(一人の女を挟んでの)心の理解の話らしい。最初、靴の向こうにジェイクがいて、あとで二人とも同じ靴だったり…。ゴルフボールをコップに…。エレベーターが閉まる直前にタバコを…。など演出の洒落っ気はなかなかのもので、モノローグでハードボイルドの匂いが高まる。裁判所の場で銃声のテープが出てくるたびにビクッビクッとする主要人物たち。注目すべき失敗作ってやつですか。映画としてはあまり楽しめなかったが、この新人監督にもう一本撮らせてみたい、って気分は残った。このころリチャード・ファンズワースを立て続けに見ていたと記している。まだ『ストレイト・ストーリー』まで9年ある。[映画館(字幕)] 6点(2013-09-19 09:28:36)

3.  対決(1989) 男騒ぎの映画。軍隊はじっとしてるのがつらい、という話。そこをもっと笑いに拡大したら面白かったかも。「男の稚気もの」ってのもいいんだけど、この映画で言うとハッピーバースディまでで、それ以後はただの「困った軍人さん」だったなあ。豪快さが欠けてて、それは現在の軍事情勢が、そんな男の粋とか豪快さなんかが馴染まない世界になっちゃってるってこと。この映画もそこからスタートしてはいるんだけど、稚気を謳い上げるのには無理があった。お笑いになっていって、ラストは国境を挟んでの両軍の壮大な雪合戦になることを夢見てたんだけど。役者の線の細さってこともある。男粋を描くには、軍事情勢がささいな稚気をも許さないほどピリピリしてるし、そういう情勢が困ったもんだってことを描いたんだとしたら、中途半端だし。[映画館(字幕)] 5点(2013-08-23 09:55:32)

4.  ダンス・ウィズ・ウルブズ 白人にとっては輝かしいフロンティアの時代、インディアンにとっては楽園の終わりの恐怖の時代、その向こう側からフロンティアを見てしまった白人の物語。システムから逃げるように果てに行ってしまう。馬と狼のみを友として(ここらへん突っ込めばカフカ的物語になったかもしれない)。でこの馬と狼を奪うのが開拓者側の人間なんだ。ま最後は家族を守るために、ってのが出てくる。これを膨らますと民族的ナショナリズムになってしまう微妙なところ。巨大な社会が小さな共同体を潰していく歴史への悲哀、っていう点で納得しました。ツー・ソックスに象徴されるもの、アメリカが殺してしまったもの。インディアンが白人を殺すシーンに溜飲が下がるアメリカ映画、という特異な作品になった。[映画館(字幕)] 6点(2013-05-08 10:05:59)

5.  ターミネーター2 《ネタバレ》 本作のあたり、90年代の前半、SFX技術は急速に進歩した。昔の合成の、ふちが緑に光ってたころから特撮映画好きだった者として、ほぼ完成の域に達したなと感慨無量であった。下水溝のチェイス(トラックが跳び下りてきて追っかけちゃうんだもん)などアクション映画の基本的な見せ場もシャカシャカいうリズムに乗せて身を乗り出させるが、液体金属ロボットの動きに力を入れていて「ここまで来たか」感が強かった。床の市松模様がムクムクと起き上がったり、格子を通り抜けてもピストルは引っかかったり、と芸が細かい。見せ物として本道を行っている。エレベーターの天井からブスバスと刺してくる。せっかく液体金属の身体ならもっとほかの襲い方もあるんだろうが、まいいか、と思わせる。液体窒素で凍るとこも細かい。足がボロッ、ついた手がボロッ、でも細片が融けてまた戻っちゃうの。この監督は女性に重火器持たせて戦わせるのが好きみたい。[映画館(字幕)] 8点(2013-03-09 09:51:28)(良:1票)

6.  タバコ・ロード 《ネタバレ》 どん底の人々をユーモアで描く。いやユーモアと言うよりドタバタだな。だから農民の底力なんて前向きのものより、そのヤケクソと脱力のほうが迫ってくる。銀行に土地を取られ、その地代の百ドルを借りようと銀行に行くと、土地を取ったのと同じ人物が出てくる、なんてユーモアと言うには苦すぎ、農民の虚脱感ばかりが漂う。それらを貫くのが賛美歌で、それも「信仰の力」というより、ドタバタ的ヤケクソに聞こえてくる。その場をしのぐためにとりあえず歌の場にしちゃう。そうしてはしゃぎ回った果てに、とうとう救貧農場へ行くしかなくなり(紡績工場よりはまだ馴染みがある)、老夫婦が黙って支度する場がいい。そのあとの農場へ歩いていく場もいかにもフォード的に美しいが、家の中で必要な品を揃えているシーンが、胸に迫った。どん底の暮らしぶりのアナーキーさも描かれており、娘が嫁いだ先のDV亭主が妻に逃げられたと蕪を齧りながら愚痴を言いに来ると、代わりに妹をあてがったり、車キチガイの子どもは新車に乗れるってだけでハレルヤおばさんと結婚しちゃうし、土地を去ったときにおばあさんが消えちゃってて、森にでも行ったんだろう、ってだけで探さないとか。いや待てよ、あのおばあさんは謎だな。背後のほうにいたりいなかったりしてて、庭でしか現われなかった。実在の人物だったのか。タバコ・ロードが賑わっていたときの幻影というか、先祖を含めた亡霊たちの集合体というか。登場人物たちが演じたアナーキーなドタバタの背後に、このおばあさんの視線が隠れていた気がする。[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-08-08 09:41:57)(良:2票)

7.  黄昏(1981) ちょっとボケ始めたことを自覚し、心では弱っていながら頑固を通すジイサン。火を出して「ワシ、何しでかすか分からんな」なんてとこ、グッとくる。イチゴ摘みに行って(『野いちご』を意識してるのかな)道が分からなくなるとこの怖さ。それらを含む老夫婦の物語の部分は実にいいんだけど、ヒネたガキが素直になるとか、父と娘の和解とか、ドラマチックな部分になると急に嘘っぽくなっちゃう(というか現実の俳優親子のこと考えちゃって気が散る)。それまで四方に輝いていた人間性が、そのドラマの枠内だけになってしまったというか、しぼんでしまった。親子で怖がっている図なんか、そう悪くはないんですが。ゲームをしてても、つい真剣になってしまう、なんてよく分かる。冒頭の湖、草がゆさゆさ揺れて美しい。[映画館(字幕)] 6点(2012-06-13 10:24:36)

8.  大脱走 しばしば目に入る抜けるような空の青さはスポーツにこそふさわしい。この映画に満ちているのはスポーツの気分。逃亡するのが義務と心得ている連合国側捕虜と、それを阻止するための特別の収容所を開設したドイツ側との、攻守がはっきりしたチームスポーツ競技を観戦する気分だ。マックィーンの小道具としてのボールも、そういう気分をかもすのに役立っている。逃亡するための資材を調達していくあたりの、息のあった連携プレーが楽しい。役割りによって分業体制を敷いているのも団体スポーツの味わい。またその中にコンビの友情をいくつも仕込んでおいて、全体をまとめるのをイデオロギーにしていない。小さな友情が集まって大きな団結を構築している。一匹狼だったマックィーンも失われた友情への復讐心からチームに参加していく。本作の気持ちのいい明るさは、この友情を下敷きにしているところから来ているんだろう。悪役側も、ドイツ軍とゲシュタポとを区別し、ドイツ軍そのものはスポーツ競技の相手役としてサッパリとさせている。もちろん実際の戦争はスポーツではなかったわけで、それだけははっきりとさせとかなくちゃならない暗い部分はみなゲシュタポに任され、青空ではない曇り空の下の銃殺によって代表させる。暗い戦争を明朗なエンタテイメントに仕立て、しかもそれを「敵」をやっつけて溜飲を下げるレベルのものでなく成功させたところが、この映画の一番の手柄。[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-10-22 10:08:53)(良:2票)

9.  大列車強盗(1903) 私が観たのはフィルムに着色がされてるので、ピストルを撃つと赤い煙が立つの。縛られている駅舎の人のところに入ってくる真赤な少女の服、とか。駅舎の窓にワッと入ってくる汽車の勢いなんて、当時の観客はもっと驚いただろう。またそれを狙ってもいたか。逃げようとして撃たれる一人は、走る列車の上からの視点。映画の初めにおいて列車と犯罪が描かれたことが後の映画史の方向付けをしたのか、どう始めてもいつかは列車と犯罪にたどり着いたのか。ダンスに興じている人のもとに届く知らせ。追跡。走りながらの射撃。銃撃戦。なにか一通りの原型が「普遍的無意識」に乗ったように・まるでフィルムにもともと潜んでいたものが解きほぐされていくように、撮影者の個性を感じさせずに演出されていく。と思っていると最後スクリーン越しに観客に発砲するギャング、おお「意識的な演出」ってのもここに発生しているのだ。[映画館(字幕)] 6点(2011-10-09 10:07:07)

10.  第七天国(1927) 特に前半がいい。設定が固まるまでは、ムチで打たれる薄幸の娘と大時代なのだが、ニセの夫婦になるあたりからしみじみさせる(それにしても七階まで上がっていく階段がすごい)。とうてい身近とは思えない設定なのに、その細部は一つ一つ納得のいくリアリティで固めてある。物語の強み。警官の緊張が去り、ヒロインが荷物持って去っていこうとすると、チコが照れながら「まだいてもいいんだよ」と言う。まあ、甘いですねえ、でも泣けちゃいますねえ。プロポーズがわりの花嫁衣装。二人だけの結婚式。別れの時、11時。君の姿をしっかり焼き付けておくよ、というチコの眼になった視点、すべて伏線である。ここからガラッと大仕掛けのスペクタクルになって、後半は少し前半に比べ粗くなり、信仰のテーマが少々煩わしくもあったが、二人の生活の部分は実に甘美であり、それだけでメロドラマとして十分堪能。[映画館(字幕)] 8点(2011-04-09 09:52:14)

11.  ダンボ(1941) 《ネタバレ》 ディズニーの長編アニメでは、これが一番好き(『ファンタジア』は別格扱い)。『白雪姫』は初の長編という意気込みゆえか、なにか改まった感じがあり、力作ではあるがチト固い。『ピノキオ』ではだいぶほぐれてきているが、この『ダンボ』に至って、短編で培ってきた精神とつながった長編になったのではないか。なにしろ『白雪姫』『ピノキオ』と違い、絶対実写では描けない世界を描いている。アニメであることの喜びが全編に満ち渡っている。主人公がサイレントというとこに、映画の本道を再確認しようという意志が感じられなくもない。とりわけ凄いのが、酔っ払ったとき見るピンクの象の幻想シーン。「象」という与えられたモチーフをとことん展開していく。その長い鼻をラッパに見立てて始まり、「象=重い」からピラミッドに連想が移り、それを「軽さ」に反転させて、踊る・滑る・走ると目くるめく変貌させていく。しかし「飛ぶ」が慎重に排除されるのは言うまでもない。朝焼け雲に収斂されていく見事さ。この幻想シーンには唸らされる。その前の七頭のオバサン象によるピラミッドもかなりシュールなイメージで、幻想シーンを先取りしているような出来映えであった。話そのものも好きで、“魔法の羽根”を失って狼狽するダンボがネズミの励ましを受けて飛行に移る瞬間は、いつもジーンとしてしまう。[CS・衛星(吹替)] 9点(2011-04-03 10:09:55)(良:3票)

12.  第9地区 エイリアンの存在が日常と化している、その設定のみ評価。今まで宇宙人は『宇宙戦争』みたいに対立するものにしろ、『未知との遭遇』みたいに友好的なものにしろ、なんというか、敵とか神とか非日常的な「目覚ましい」存在だった。ここでは被保護者として日常的に存在している。『E.T.』も被保護者ではあったが、ああいう特定の狭い環境下ではなく社会そのものでそうなっている。もっぱら宇宙人もので国家が介在してくると、「国防」問題としてだったのが、ここでは「治政」問題として登場する。そういう状況をスケッチしていった冒頭が楽しかった。まあ結局、世界にあふれている異民族間の軋轢を(あるいは狭く南アの問題を)、難民としての宇宙人に置き換えて描いただけじゃないか、ということだが、でもそうやって置き換えることで新鮮に見えてくるものもある。苛酷な植民地支配を徹底的に受けた大陸を舞台にして生まれた発想だろう(でも後から入ってきた白人がエイリアンになぞらえられてるわけではなく、意図的なのか無邪気ゆえなのかは分からないけど、微妙なネジレがある)。今まで宇宙船がもっぱら北半球に訪れたこと自体に、宇宙の偏見(!)があったのかも知れない。ただドラマとして展開していくには、既製の北半球的物語を利用するしかなかったのが弱点で、冒頭でワクワクした分、物足りなかった。でも晴れ渡った・影のくっきりしたゴマカシのない世界像はいい。[DVD(吹替)] 6点(2010-12-07 09:56:49)

13.  タワーリング・インフェルノ 『ポセイドン・アドベンチャー』が、出口という「上がり」へ向けた「すごろく」みたいな展開だったのに対して、こっちは「パーティー会場から動けない」という状況で見せる。最初は遠く離れた火だったのが、徐々に迫ってくる怖さ。その遠さが「大きくなり過ぎた建築物」を印象づける。恐竜は尻尾の先の痛みを脳が感じるまで1秒以上もかかる、とかいう話を思い出した。エレベーターから火だるまの人がころがり出てきて安全の結界が破られ、ガラスが割られ外の風がじかに吹き込んでくる。着飾ったドレスが汚れてくる。くつろぎのパーティー会場にどんどん外部が入り込んでくる。映画の基本が見世物だとしたら、観客が一番喜ぶのは火事場の野次馬になってもらうことだ、と製作者に見抜かれてしまっているのは悔しいが、たしかにそうなんだ。ワクワクして野次馬になりきってしまう。『ポセイドン』では観客はある程度登場人物と一体化して観ていたが、こちらは少し離れて野次馬の立場から、街の名士たちのオタオタぶりを眺めている。でもこのころはあんまり高層ビルもなかったが、今では林立していて、観客のほうも当事者になり得る可能性が高まっている。非常階段にコンクリの残滓がヒョイと捨ててあるなんて、似たようなことアリソーだし(最近の日本でも飛行場の工事で産廃が滑走路の下に埋められてたってのがあった。非常階段が倉庫がわりになってた、ってのは歌舞伎町の火事だったっけ?)、手抜き工事の話は枚挙にいとまがない。そうそう安全な野次馬の立場ばかりでもいられなくなっているのだ。この映画の忠告は、現在いっそう切実になっている。下からインフェルノの劫火と天からの大洪水、あちらの人にとってはキリスト教的な構図でもあるんだろうな。[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-11-26 10:08:07)(良:1票)

14.  ダウン・バイ・ロー 《ネタバレ》 町並みや雲の美しさは、ヴェンダースのカメラマンということで納得。でもこの監督の味は牢に入ってから。退屈をどうしていいか困っている人を描くのが好きみたい。イタリア人ロベルトが加わって、さらにおかしくなる。ボソッと、人を殺したんだ、と分かるとこ。「ホイットマンが嫌いな奴だったのか?」「きいてなかった」。不意の脱獄。脱獄そのものがギャグになっている。ボートで沼地を行く。しだいに迫っていくカメラ、水面は微動だにしない。別れの予感、朝のダンス、二又の道、上着の交換、ってね。うまいよね。でもなんかコツがわかってる分、それだけ飽きも来やすいというか、三人がばらばらに散っていくって同じ展開でも、鮮やかさは今ひとつ。こっちはちょっとキドリが感じられてしまう。情緒的なレベルで「男の世界だなあ」と満足してしまいかねないところがある。[映画館(字幕)] 7点(2010-10-20 09:52:35)

15.  ダイ・ハード3 シリーズの約束事のうち、舞台を一つに絞るってのは守られなかったが、一日の出来事は守られる。それと、非番で二日酔いでシャツ一枚。このシリーズらしさが一番生きているのは、悪漢の質の高さ、というか計画性。最初はただのサイコ野郎と思わせておいて、しだいに「そうじゃない」を見せていく。悪漢の女が円月刀みたいので舞うように首をさく、という美意識もある。大義名分と泥棒との落差、っていうのは一作目にもあった、つまるところテロリストじゃなくただの泥棒って。そういうシリーズの遺産を大切にしており、水準以上のアクション映画の質は保った。だからカーチェイスはやってもらいたくなかった、作品を「ありきたり」に傾けてしまった、相棒を使ったことも。[映画館(字幕)] 7点(2010-03-07 11:55:04)(良:1票)

16.  ダウト ~あるカトリック学校で~ 最初の説教で神父が「疑惑によって人は連帯できる」ってなことを言う。カトリックの大統領が暗殺された翌年という設定。なんかベルイマン的な神の沈黙ってテーマに降っていくのか、と思っているとそうでもなく、マイノリティ差別と戦う神父の社会派ものなのかな、と思ったらそうでもなく、「人は何によって確信に至るのか」ってなあたりに向かった。たしかに興味深い問題ではある。人は信念を持ったり確信を得たりするが、それを分析していってみると、好き嫌いが根元にあって、単にそいつの爪が長すぎる、ってことだったりする。神父の弁明で若いシスターはすぐに納得するが、校長は「それは楽したいからでしょ」ってなことを言い、ある意味では真理で、人が確信に至るのは、疑惑の宙ぶらりん状態に耐え切れないからかも知れない。宗教学校を舞台にしたのは、宗教というものが無条件の信頼を前提としている世界だからだろう。歴史の悲惨の多くは信念と信念の対立から来るもので、最初の神父の説教のように「疑惑による連帯」っていう打開策は有意義だ。でもそういうところを言ってる映画と決めつけるにはもひとつ全体がモコとしており、「確信」に至れないところがもどかしかった。そのモコぶりが多義的に読み取れる豊かさ、っていうより焦点を絞らないズルさに受け取れて。[DVD(字幕)] 6点(2009-12-16 12:06:47)

17.  007/慰めの報酬 《ネタバレ》 D・クレイグになってボンドのキャラクターが変わってしまったことを痛感したのは、ホテルを代えるとこの「宝くじに当たった教師だ」ってユーモアが映画として生きなかったところ。あれはこれまでの余裕のあるボンド用のギャグであって、クレイグには全然似合わない。人間味が出て苦悩するボンドになったわけだが、それで007の看板を張ってもいいのだろうか。あんまり人間味を出しすぎると、ありえないアクションとの乖離が今度は目立ってきてしまった。アクションでは最初の教会のが一番良かったが、前作の工事現場には劣る。ちょっとカットを割り過ぎる。ジャンカルロ・ジャンニーニが好きで、『ハンニバル』のときは、ただイタリアってだけで登場しあっさり消えてしまったのにがっかりしたものだが、あの失意を再び味わわされた。本作に登場したすべての人物の中で一番貫禄があるのになあ。このシリーズの興味では悪役が何を企んでるのか、ってのがあって、次世代の問題点をけっこう先取りしてたりする。今回は自然保護団体の仮面をかぶって××利権を狙うってあたり、いいとこ突いてた。[DVD(字幕)] 6点(2009-09-25 12:05:41)

18.  ダイアリー・オブ・ザ・デッド もうこの手の主観手法もちょっと手垢にまみれてきて、ましてこれは音楽入り、映画専攻の学生が撮ってるってところで、演出っぽいものが入ってもいいように逃げを打ってある。でも確かにそこが本作のポイントで、カメラを覗いていると当事者が傍観者になってしまうという、現代の一面は突いていた(たとえば秋葉原事件のように)。冒頭のミイラ男の劇映画の撮影とラストの襲撃を撮影してるのとが対になっている。パソコンがあると、異常事態下で知人に連絡を取るよりも、まず映像を編集してマスに発信したくなる。映像ってのはもともと客観的なもののはずだったのに(百聞は一見に如かず)、主観映像で溢れかえった社会が生まれつつあるんだなあ、とはしみじみ思った。そのモチーフが作品に有機的に生かされてはいなかったんだけど。州兵のゾンビ狩りにイラクの反対勢力掃討のイメージを重ねていたようだったが、これもまあ作品に深そうな感じを付けるって程度。前から思ってるんだけど、ゾンビのぎくしゃくとした歩き方って、心の深層で身体障害者のイメージとつながってるってことはないか。この世ならぬ者の感じ(これは偏見で見下すってのとはちょっと違うんだけど)をどこかで抱いていて、それが投影されてるってことはないかな(これ読んで不快を感じられた方にはごめんなさい、でも気になってるんです)。[DVD(字幕)] 5点(2009-08-06 12:02:13)

19.  ダージリン急行 《ネタバレ》 移動撮影が、対象を追って動くというより回り舞台的な効果を狙っていて、特徴。こっちで何かしていて、それであっちのほうは…、というふうに、対象以外にヨソミをするような移動やパンなの。横に長い列車を行ったり来たりする、そのキョロキョロしている感じがちょっと面白い。インドでの子どもの葬式が終わって、帰りのバスを待っているところ、90度のパンで、前方、横手、後方、とキョロキョロ見晴らす。でそれがなんだ、と言われると困るけど、ちょっと面白かった。しかしあくまで「ちょっと」なのであって、一本の映画としては、私には物足りなかった。それぞれ疑心を抱きながらインドを旅する三兄弟って設定はまずくなく、もっと愉快に作れそうなのだが、下手に突っ込むよりオシャレにまとめるほうを狙う監督らしく、トボケた味の笑いをつないでいくだけ。でも最近の傾向ってこれなんだよね。サラサラした触感を重視する。やたらはしゃがれるよりはいいけど、物足りなくもある。でも好みの時代の変化じゃ仕方がない、とも思う。エンディングの「オー・シャンゼリゼ」は、冒頭の短篇にまたつながっている、と考えていいんでしょうか。ビル・マーレーは日本からインドと、ここんとこアジアを歴訪しているようだ。[DVD(字幕)] 6点(2009-05-20 12:04:10)

20.  ダークナイト(2008) 《ネタバレ》 もし、“悪ふざけ”の対語として“悪まじめ”って言葉があるとしたら、さしずめこれなんかそう。アメリカ娯楽映画の偉大さは、野暮を排除するところにあったはずなのに、最近は平気で野暮する。かつては、娯楽として徹底させるなかで無意識に何らかのメッセージを忍ばせることはあっても、その手つきを誇示はしなかった。ところが最近は堂々と見せて、とうとう活劇映画の山場を善玉と悪玉の対話で済ますまでになった。悪まじめであろう。それをやっちゃあおしまいよ、だ。船の相互爆破のエピソードもつらかった。「やられる前にやれ」で始めたイラク戦争の自己批判のつもりなのかも知れないけど、あまりにメルヘンチック。ジョージ・ワシントンが「桜の木を切ったのは僕です」と名乗り出るところをそのまま映画化したらこうでもあろうかという恥ずかしさ。どうしてもその話を演出しなければならないのなら、ちょっと三枚目にひとこと言わせる場面を入れるなりして悪まじめにならないよう気配りするのが、かつてのアメリカ映画だった。照れるということを知っていた。今は堂々と野暮をやる。ジョーカーが出てくるときも、もうちょっと粋に登場してほしいのに、ヒョイと出てくる、あの顔で。別にファンファーレを鳴らせとは言わないけど、悪玉としてのツヤがなさすぎないか。これからの時代、思想を語りたいのなら語っても結構。ただ、悪ふざけにも悪まじめにも堕さなかった、かつてのアメリカ映画の栄光を忘れないでいてほしい。[DVD(吹替)] 5点(2009-05-06 12:08:21)(笑:1票) (良:3票)

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