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21. デューン/砂の惑星(1984)
シルバーナ・マンガーノがはげ頭になって頑張ってたけど、つまんなかったなあ。植民地の人間が立ち上がるのではなく、宗主国側の中から救世主が現れて救うという発想が、どうもね。神がかるのよね。キリスト教の根っこなのか。ワケありふうの親友が出てきてアッサリ死んじゃったり、原作知らないけど、長いのを無理に縮めて、ダイジェスト版にしちゃったんじゃないのか。声がやたら入るのも、ただややこしくしただけでしたなあ。出産のとことか、悪玉の頬のデキモノとか、気持ち悪いとこに凝るのは、監督の困った性格ではあるが嫌いじゃない。世界全体が地味な古風な手触りなのが特徴と言えば言える。つまり「公爵」とか何とか言う呼び名にふさわしいような世界になっているわけ。金属質じゃないSF。ニコゴリふうのバリヤーも珍しい。カイル・マクラクラン君はこれではさして魅力がなく、のちの『ブルー・ベルベット』や『ツイン・ピークス』での、病的な魅力での売りは予見出来なかった。[映画館(字幕)] 5点(2010-05-09 12:02:21)
22. D.N.A.
動物保護運動に押されてアメリカを出たモローが、日本がリゾート化に失敗した島にやってきて…、と百年前の原作を現代風にアレンジしている。でも基本にあるのが、人=理性、獣=本能という、百年前の単純な二分化で、現在この話を描くのなら、やはり主人公を獣人側に据えて語るぐらいの視点変更が必要だろう。百年前だと、獣人たちの“父”への復讐、ってのに共産主義の脅威を重ねて見る気分があっただろうが、今だともっと根源的な、創造主への殺意という「フランケンシュタイン」以来の怪奇ものの伝統にのっとった深みに迫れたはずである。まあこの頃はもう、マーロン・ブランドがB級映画界のシンボルと化していた時代で、その期待されるB級精神に誠実に沿って作られた作品ではある。ショパンのポロネーズを弾くシーンなぞに味わいはあったが、タイトルの、リズム打楽器に乗って単細胞やら多細胞やら目やらがアップしていくとこが、一番興奮できた。[映画館(字幕)] 5点(2009-05-28 12:00:23)
23. デス・プルーフ in グラインドハウス
テレビつけたら物マネやってて、そのマネされてるのが知らない人で、観客席が沸くほど楽しめずボーッと見てた、って感じ。ま、こんなチープな感じのB級映画って漠然と類推は出来るんだけど、パロディから本家類推してもしょうがない。見世物としての面白ささえ、懐かしさを共有できないと不発気味。こんなところにしか次の手が打てないまで、いま映画は行き詰まってるんだろうか、と暗くなってしまった。『キル・ビル』のときもちょっと思ったけど、この監督、自家中毒を起こしてるんじゃないか。遊び心を忘れぬ子どもというより、骨董趣味に閉じ籠もった老人のように見える。[DVD(字幕)] 5点(2008-06-09 12:14:54)(良:2票)
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