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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順12
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1.  ドン・サバティーニ たしかにどうってことないけど、怒って引退するっていうほどでもないんじゃない? 『スーパーマン』のとき引退しなかったんだから。良くも悪くもマーロン・ブランドの映画だ。M・Bがコメディをやる、『ゴッド・ファーザー』のパロディをやる、ってのが唯一の見どころ。けっきょくこの映画心から笑えないってのも、M・Bが出てるために、こちらがややビビッてしまってるところがあるわけで、とにかく偉大な役者ですわな。アップのシーンよりか、スケートをするロングのシーンで凄味を感じたけど、あのふてぶてしい男が滑っていく、ってのがおかしい。息子としたい男クラークをケントと呼び間違えるギャグ。途中ちらっと『42番街』。[映画館(字幕)] 6点(2014-02-28 10:00:27)(良:1票)

2.  トータル・リコール(1990) 直訳すると「全面想起」だそうな。邦画とアメリカ映画とで題名の付け方の違いについて考えようかと思ったが、悲しいのでよす。それにこの映画、題名ほどいいわけではない。せっかくの面白い設定なのに、生かしきってないんじゃないの。火星にいったクエイド君のところにリコール社の男が出てきて、これは君の夢なんだよ、というあたりで、本題に入ってきたなと身を乗り出したが、あそこで打ち止め。あそこで薬を吐き出したことによって、クエイド君がリコール社の夢から抜け出せなくなったって、もう一つの可能性が出てきたわけでしょ。その不安を主人公は抱き続けるべきだったんじゃないの。まるで仕組まれているような諜報部員の活躍で、うまくいけばいくほど「怪しいぞ」と不安になっていく展開か、と思ってたらそういうのはナシなのね。そういう複雑な役柄は得意でない俳優なのだった。観客のほうで勝手にこれは全部夢かもしれないという余地は残されてはいたけど。星の植民地のガラスがあんなに弱いのは、そもそも全部夢だってことなのか。ミュータントメイクも再考の余地あり。酸素を独占している独裁者って発想はいい。空気の流入に独裁消滅の爽やかさが素直に重なる。テレビのニュースでトウキョウのサムライがどうのこうの言ってたのが気になったが。[映画館(字幕)] 6点(2014-02-20 09:24:41)

3.  逃亡者(1990) M・ロークが何のいいところもないイヤーな悪人で(ひたすら恋人の到着を待ってるあたりに人間味を感じるべきだったのかな)ただのわがままというか、自分勝手。このイヤーな男が、イヤーな感じになってる一家に飛び込んでくる。この監督は女より男ね。女の描写は刑事も含めてつまらない。男は、ただカッカするだけの脇の役と思ってたのが、途中で異様に膨らんできたりする。リーダーと別れて自由になった途端に、バラバラと分解していっちゃう感じがある。狭いところから広すぎるところへ出て拡散しちゃうような。血だらけになってガソリンスタンドをうろつく。でも女子大生を人質にとって立て籠もろうとはしない。流れのあるところへ誘い出されていくの。もう停滞するのはこりごり。そこらへんに不思議な哀感が漂った。西部劇の時代ならもっとかっこよく死ねたのに、とか。コロラドの風景や、“保安官”というあたりに、開拓時代への・失われたものへの気分があるような。[映画館(字幕)] 8点(2013-12-02 09:52:45)

4.  ドアーズ ヒッピーにサイケの60年代後半。ドアーズってよく知らなくて、“タッチ・ミー”は知ってる、あと“ジ・エンド”を『地獄の黙示録』で知ってるぐらい。あんまりピンと来ないんですが、群衆としての聴衆ってのをポイントに観てた。冒頭、映画学校でのナチの群衆が提示され、当時ベトナム戦争への興奮と、それの裏返しのようなラブ&ピース運動への興奮とがきれいに吊りあってしまっている「興奮する群衆」の気味悪さみたいのがあった。少年時代に目撃したインディアンの交通事故がトラウマになってる。土着の原住民がよそから来た文明に殺されるアメリカの原罪みたいなものが、同じ東洋人顔のベトナム人に通じていく。世界は傷ましさで満ちていて、その傷ましさを拒絶しきろうとして生きていかねばならない現代の傷ましさ、みたいなものがあった。メグ・ライアンは付属品だった。コンサートシーンに気合いがあり、それも駄目になっていくほどいい。[映画館(字幕)] 6点(2013-07-02 09:17:53)

5.  トイ・ソルジャー だいたい立て籠もる話はその設定だけで好きになっちゃうんで、『わらの犬』あり『狼たちの午後』あり『ダイハード』ありと、永の年月見てきたもんだが、これはあんまり立て籠もった甲斐がなかった方。ワルモノがコロンビアから逃げ出して来るんだけど、ずっと追跡されててヒョッコリ学園にやってこられるもんかな。あるいはラスト、軍の突入となれば犯人側はまず人質を固めると思うんだけど、外を走り回って死んでっちゃうのがトンマ。そういうのはいいとしても、不純な要素が死んでいって、アメリカの純潔な部分が残るように見え、古めかしいヒロイズム讃歌が聞こえてくる。ま、黒人が残っただけでもヨシとするか。こういうので多いのが、有色人種がしばしば尊い犠牲になってみんなに哀悼されつつ消えていくパターン。それはなかった。内部情報を伝えに外に出た主人公が、軍隊にとどめられるあたりちょっとハラハラした。ああいう仕掛けをもっと欲しかった。[映画館(字幕)] 6点(2013-05-24 10:37:55)

6.  トゥルー・グリット 《ネタバレ》 世の東西を問わず、父親の仇を討つのはもっぱら息子の役割りだった。その姉なり妹なりが、留守の間の家を守っていた。しかし娘が仇討ちに出たっていいだろう。男の時代だった西部劇の中に家長意識の強い少女を投げ込んでみた旧作(私は未見)のリメイク。少女の「けなげ」は、もっぱら家の中で描かれていたのが、ここではほとんど「したたか」と紙一重に社会の中で描かれる。縛り首の罪人が揺れる町で、大人と同等に権利を主張する。父のような大人を雇い、仇捜しの旅に出て行く。その一種のロードムービーで、旅の途上のあれこれに、西部劇時代末期の、無法者の時代が終わろうとし、同時に自由な時代の終わりでもある索漠とした空気がある。少女は父の仇を撃ち、その反動で穴に落ち込むという、初めて子どもらしいしくじりを経験する。それまで家長代理として気張ってきた彼女が、無力な子どもとなって穴ぼこの中で助けを求め、ジェフ・ブリッジスが父のように救出する。蛇に咬まれていた彼女を運ぶシーンが、本来あるべき西部劇の本当の父娘の幻想のように美しい。ずっと旅を共にしてきた馬は、西部劇の時代が終わったのを告げるかのように力尽きて倒れ、鉄道の走る味気ない近代に入る。そんな段取りの映画だからアクションの陶酔はあまりないが、女子どもをはなから脇役にイメージしがちな西部劇ってものに疑問を呈してみたみたい。[DVD(字幕)] 6点(2013-03-13 10:09:55)(良:2票)

7.  ドク・ハリウッド 設定だけ見ると「砂の女」で、ビバリーヒルズを目指した高給取りの医者が田舎に捕まってしまう話。ところが内容はノーテンキな田舎・純朴讃歌で全然棘がない。「田舎=昔」の構図があり、けっきょく保守讃歌なんだ。現代ならではの問題を抱えている現代の田舎に対して失礼であろう、カボチャ祭りで代表させちゃ。祭りにかかっていた映画は『キートン将軍』で、ちょっとこの作品とは合ってなかった気がする。旅立ちの日、みなが見送るパターンね。戻ったらそんな町はなかった、って手もあると思うんだけど。[映画館(字幕)] 5点(2013-01-31 09:58:25)

8.  ドクター 《ネタバレ》 この女流監督は『愛は静けさの中に』の人で、喋れなくなることに関心を持っているのか、これではウィリアム・ハートの外科医が喉頭ガンになる。自分が患者になることで正しい医者になる、って話。でもどうだろう、医者なら習慣の中ですでに納得しているようなことを、今さら新鮮に驚かれても困る。患者をいちいち人間として捉えていたんじゃやっていけないのは想像できるし、患者だって煩わしい。病気の患部という部分に解体して付き合うことで、互いにある程度気安さも感じられてたんじゃないか。それをことさら新鮮に怒ったりして、なんだこいつ、と思ってしまう。颯爽と廊下を行く医者のときの眺めと、患者になっての寝台車からの眺めの対比、なんかがある。仲の悪かった同僚に手術を頼むと、「あなたの喉を切りたかったんだ」と言うユーモアが良かった。全体、ツルッとした「いい話」で面白味に乏しい。[映画館(字幕)] 5点(2012-09-25 09:25:33)

9.  透明人間(1992) 《ネタバレ》 透明人間には「見るだけの人間の孤独」って形而上学的なテーマもあるんだけど、そんなことにはこだわらない。本作は、透明人間というものをいかに具体的に想像できるかってのが本筋。食事をすると消化がすむまでは胃袋が見えてしまうとか、タバコを吸うと煙が肺に満ちるのが見えてしまう、なんてとこね(いささか尾籠な話で恐縮だが、子どものころ、透明人間の大便はどういう状況になったとこで可視になるのかってのに悩んだことがある。人間の内部と外部との境が曖昧だ、という事実にそこで突き当たった)。ガム噛んで膨らませるってのもあった。道を行くと人とぶつかりそうになる、なんて単純なとこにリアリティ感じた。引ったくりのバッグをサッと返すギャグなんか好きだな。一番好きだったのは酔っ払いをダミーにしてタクシーに乗るとこ。しゃべらせるのが傑作。じっと悪者の部屋の隅にうずくまってて伸びをしたときの足首のポキポキいう音で感づかれちゃうの。で悪者も誘うようにあくびをすると、つられちゃうとか。建物の部分が透明になってしまってるのも面白い。主人公の主観で見えるシーンと見えないシーンとがあるのも、映画として正しい。化粧するってアイデアもいいな。真っ白な歯。[映画館(字幕)] 7点(2012-03-28 09:49:12)(良:1票)

10.  永遠に美しく・・・ 《ネタバレ》 デブデブに太ったG・ホーンがM・ストリープが殺されるシーンをビデオで繰り返し見ているあたりまではテンポ快調。現代に入ってからモタついてくるのはなぜか。ホーンの殺意とI・ロッセリーニの秘薬と絡み具合が不安定なままで、殺意のほうが中途半端になってしまうからか。本題はやっぱ階段を落ちたストリープがピクピクと動き始めてからでしょうね。ドラマよりSFXで見せる映画とはっきりして、観てるこっちも姿勢がはっきりする。たしかにおなかの穴なんかよく出来ていて、ソファに突き刺さったシャベル(?)の柄を穴に突き立てて座ったりする。おなかの穴越しに向こうが見える。ふたりの和解がいささか唐突、でもこの唐突に共同戦線を張ってくるみたいなところが、男にとっての女の気味悪さなんだろうな。死体化粧屋ってのがミソで、昔トニー・リチャードソンに『ラブド・ワン』てブラック・コメディの傑作があったなあ。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-27 10:33:55)

11.  ドラキュラ(1992) 影の使い方とか、ラブシーンを孔雀の羽根で隠してその眼がトンネルになっていくとか、首の傷跡が狼の目になっていくとか、意識的に一昔前のタッチを多用してある種の古典的雰囲気を醸そうとはしているみたいなんだけど、あんまりそういった趣向に切実さが感じられない。とりあえずサインしてるって感じで。いいのは、ルーシーが庭に導かれるところとか、コッポラお得意の惨劇と儀式が交互に現われるあたり。邪悪な結婚と聖なる結婚の対比ということか。ドラキュラ伝説ってのは、愛が宗教によって聖なるものと淫らなものに引き裂かれた結果生まれたんでしょうな。引き裂かれた両者がドラキュラを介して捻じれてまたつながっているような感じが面白い。ドラキュラの想いってのは、死者への想いだから高度な純愛であって、永遠に満たされることなく、永遠に渇いたまま生き続ける、ってところがポイントなんだろうなあ。[映画館(字幕)] 6点(2011-11-30 10:24:43)

12.  飛べないアヒル 『スラップ・ショット』の少年版ということか。男の世界の味わいから教育問題の世界になる。少年時に受けた誤った教育が、健全なスポーツ精神によって矯正されていく、ってな話。弁護士は心がいびつで、マイナーのホッケー選手はマットウいう構図。進むべき道から一歩も踏み外さない段取り通りの展開に、安心してもいいし物足りなく感じてもいい。テーマが「教育」だから、フェアプレー精神が基本。悪いチームのユニフォームが黒っての、マルコムXが見たら怒るだろうなあ。頑張れば栄光があるって精神は大事かも知れないけど、そう簡単にはいかないぞ、って気を観客に起こさせないようにするのが芸の見せどころなんだけどなあ。インチキを断わった少年に謝るところがアメリカの良さ。[映画館(字幕)] 6点(2011-08-14 09:44:18)

13.  トイズ アメリカ映画が子どもっぽくなってきたのはこれ以前からだったが、その柔らかさや無垢さをどんどん追っていった果てに、とうとうこういうヒヨワな場所にたどり着いてしまった、という意味で興味深かった作品。子どもが半面持っている生々しいものは消されて、映画そのものがテレビゲームの中に入ってしまったような感じ。地に足が着いていない、と言っても仕方なく、その「地」が現在はなくなってしまっている、という前提で語られている映画だ。現実感を一瞬たりとも感じさせないようになっていて、童夢が覚めるのを恐れているかのような、アワアワとした光景で世間を隔離していく。ここではゲロでさえ清潔。一級の美術で「手応えのなさ」を懸命に作り上げたフィルムで、好きな映画ではないがその異様な懸命さが記憶に残り続けている。[映画館(字幕)] 7点(2011-06-29 12:34:02)

14.  トップ・ハット 人違いもののモチーフで、ずっと引っ張り続けるシナリオがいい。途中紹介される場面で、ここまでかな、と観客に思わせといて、さらに勘違いを続けていく粘っこさが嬉しい。誤解を続けさせる会話の妙。ダンスのほうはやや地味目で、二人で踊るのでは、仕方なく踊り始めてからしだいに熱が入っていく「チーク・トゥ・チーク」が見どころか。ただ一番うっとりさせるのは、アステアのロンドン公演でのステッキもの。ロンドン紳士の正装で、けっこうワイルドに踊るのが趣向。映画の冒頭、ロンドン紳士のクラブで音をたてないように息をひそめていた場面が反転される。タップの響きを銃声に見立て、向こうに並んだ同じく正装の紳士たちを(恋がたきという見立てか)、ステッキの銃で一人二人と倒していき、残ったのは機関銃で(ステップの連続音)薙ぎ倒す。それでも残った一人は、ヨーロッパ風に弓矢で仕留める。イギリスの上流階級と、アメリカのギャングとの重ね合わせのようなシャレた(ちょっと殺伐とした)趣向に、息を飲まされた。すべての動作がイキのよさで充満している。ロジャースの上の部屋で「砂の上の音をたてないタップ」をした欲求不満が、雷雨の中のあずまやで解消されたのと同じような爽快感が、このステージにもある。[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2011-05-07 09:39:39)(良:1票)

15.  逃亡者(1993) 《ネタバレ》 逃げながら追いかける。追う者と追われる者との親近感がミソ。トミー・リー・ジョーンズはエイハブ船長をやれるな、と思った。追跡が単純である前半はなかなかの水準と見た。トンネルで挟まれるあたり。シカゴに戻ってきてからは、どうしても謎解きのほうに話が奪われて、ややもたれる。ちょっと街中をうろうろし続けていられ過ぎる。病院でつい子どもを診断してしまったりして、ジェラードが彼の有罪に疑問を感じてくってあたりは分かるけど。真犯人は、もう少し真犯人らしからぬ顔の人間はいなかったのか。[映画館(字幕)] 6点(2011-05-06 10:25:34)

16.  逃走迷路 《ネタバレ》 分類すれば戦時下のプロパガンダ映画。「敵のスパイに気をつけよう」。でも同時期の日本の同じような映画、『第五列の恐怖』なんかと比べると、メッセージを映画として膨らませている。舞台はアメリカのいろいろな層を巡り、アメリカの歴史を巡っているようにも見える。開拓時代の森の小屋みたいなところもあれば、カウボーイ時代の牧場、ソーダ工業の跡地から摩天楼の時代へと、情景として、アメリカの自信が見えてくる。上流人士にもスパイはたくさんいるんだぞ、と引き締めの警告を発し、なにしろ敵の計略が成功して軍艦が横倒しになってしまうとこまで描いて、しかしラスト「自由の女神」のシンボルにプロパガンダのメッセージを絞り込む(冷戦末期の『北北西…』のラシュモアより、政治的意味の込め具合はこっちのほうが濃いだろう)。各エピソードのつながりには、ちょっと無理を感じるところもあるが、見せ場は適度に配置されているので現在でもプロパガンダを越えて楽しめる。ヒロインが主人公の手錠をハンドルに引っ掛けるとこ、この二人の疑心暗鬼がドラマの展開に補助線を引いていて、疑いゆえの行為が二人の顔を引き寄せるなんてのが憎い。そのあとの手錠切断とヒロインの車呼び止めとの切迫。パーティ会場での緩い包囲の緊張、などなど、本筋と補助線とがもっと有機的に絡み合えればいいんだけど、それぞれで勝手に展開し、しかしそれぞれの見せ場は作っている。自由の女神のクライマックスでは音楽を入れず、高空の風の音を十分に聞かせている演出を、最近の監督は学んでほしい。ヒッチコックにおける悪の組織って独特の雰囲気があるな。つまんないチンピラのような手下ってのはあんまりいなくて、けっこうみんな有能・まじめそうな感じが漂っている。敵の描写に侮りを入れて弱めてしまうと、闘争のドラマそのものが弱まってしまうことを熟知しているからだろう。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-03-27 09:53:20)

17.  トゥルー・ロマンス 《ネタバレ》 感情のおもむくままに走っていくシナリオ。とてもホット。それでいて部分的にはネットリしているのがおかしい。正義と悪の対決というより、ホットな二人とクールな世間の対決。G・オールドマンが電灯を揺らしながらC・スレーターをからかうとことか、それからもちろん、C・ウォーケンとD・ホッパーの向かい合いとか(それにしても豪華なキャスティングだ。D・ホッパーをいいお父さんにするなんて憎いね)。エルビスの啓示を受けて揉め事に入り、エルビスの啓示で救われる。お得意の三すくみはあるが、でもシナリオが書かれたのは『レザボア・ドッグス』よりこっちが先だったらしい。問題はラストのファミリーシーンだ。もしかするとこれ、平穏な若夫婦の・しがないコミックブック店員夫婦の、こうありたかった妄想なのかとも思えてくる。「トゥルー・ロマンス」って、何かそんな皮肉みたいな題じゃん。この二人以外は、世間はみんな死んでしまって。ひたすら夢としての冒険、ホットでありたいいう気持ちがここまで妄想を暴走させたのだとしたら、つまりそれだけクールに浸されてしまった時代だってことなんだろう。[映画館(字幕)] 8点(2011-03-20 09:56:17)

18.  トゥームストーン 《ネタバレ》 西部劇映画の祖である大列車強盗で始めて、ワイアット・アープの葬儀に西部劇俳優が涙したというナレーションで終わる。西部劇と西部劇史を重ねたような気分があり、そこらへん徹底すれば面白いものができたかも知れない。なんか尻すぼみ。神父をあっさり殺すリンゴの登場のさせ方なんかもいいんだけど(生まれてきたことに復讐しようとしている男)、変に湿っぽくなったりもする。阿片中毒や銃規制や女性の地位の問題とか、なんか現代に色目を使っているようなとこが露骨で、不純感。「酔ってて二人に見えるだろう」「そのために二丁持ってるのさ」。ワイアット・アープものではドク・ホリデーが大事で、西部劇常連のキャラクターの中でも、魅力的な存在。肺病やみで医者くずれで賭博師と、ロマンの要素をたっぷり持っている。この黄金のコンビが出れば、それだけである程度は見せてしまうとこがある。撃ちながら前方に走っていく姿勢というのは、誰がやってもかっこいいなあ。[映画館(字幕)] 6点(2010-12-11 09:58:16)

19.  トゥルーライズ 《ネタバレ》 シュワルツェネッガーは、やはり生身の人間でないほうがよろしいようで。妻の浮気か、というあたりの「人間」としての演技はやっぱダメ。オートバイと馬のあたりが生き生きする。街中を馬が走り、ホテルの中をバイクが、という徹底した日常の蹂躙が楽しい。祭りのハレ。だからアクションのときの衣装もビシッと決めてる。妻も日常を離脱した売春婦の格好になるし。ぼんやりに見えても、オトーサンは頑張ってるんだ、って言いたいらしいが、ああまでハズカシメられた妻が夫を許すだろうか。ションベンもらす男への公私混同権力乱用のハズカシメを加えるのはあまり愉快でない。戦闘機の浮遊感がちょっと面白かった。[映画館(字幕)] 6点(2010-07-05 11:56:52)(良:1票)

20.  トゥルーナイト ハリウッドが中世を扱うのは、自由な一匹狼を描きやすいからか、と思ってたんだけど、逆かもしれない。身分とか権威とか、現代ではなかなか描けないもの、アメリカ人が旧大陸に捨ててきたものへの、ひそかな愛惜があるんじゃないか。集団に帰属する恍惚。現代を舞台に、会社や国家への帰属を恍惚と歌ったら、かなり気味悪いものになるし、立派な王がいて正しい組織がある、ってようなのは、もう中世の伝統の世界に戻らないと出来ない。アーサー王伝説って、しばしばあちらの映画で出てくるけど、どうも頭に残らなくて。もともとはもっと禁欲的な騎士道世界で、リチャード・ギアのどこかニヤけた感じは違うんじゃないか。ま、そこが現代的解釈ってヤツなんだろうけど。活劇としての新味のあるアイデアは一つもなし。[映画館(字幕)] 6点(2009-10-15 11:57:01)

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