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1. ノートルダムの鐘
これすらもハッピーエンドにしてしまうまでに、もう型が出来上がっている。ハッピーエンドにしとかないと、障害者の社会進出の面からどうのこうの言われる、って心配もあったからかな。主人公を支える小さなものたちもちゃんと登場するし。これでいいのは、フロローのキャラクター。ディズニー作品の出来不出来はだいたい敵役の出来不出来に左右され、これはよかった。ちょっと『セブン』の犯人にも通じていくような。でも彼がラストでエスメラルダに言い寄るのは勇み足だろう。赤い僧服の裁き手たちがズラリと現われ、影がサーッと立ち上がっていくあたりがヤマ。道化祭りのエピソードは本当に怖い。な、世間とはこういうもんなんだぞ、とフロローの言葉を証明する。障害者と世間の関係を残酷に示し、下手なメッセージより濃く、差別のむごさを見せつける。鐘楼のテーブルの上の小さな町、閉じ込められているカジモドのほうがパリの道筋に詳しくなってるってのも、けっこう障害者の在り方の一面をよく見せていた。[映画館(字幕)] 6点(2009-07-17 12:01:56)
2. ノーカントリー
アメリカ映画って執念深い人を描くといい。追う者と追われる者、もう途中から金より意地の世界になって、自分で道具を工夫したり、自分で怪我を治療したりして、執念が徹底的に燃え上がる。そしてモーテルとホテルの場の緊張が素晴らしい。これであと話が理解できたら文句なかったんだけど、これが分からない。終わりのほうのテープ張られた現場が何なのかが、恥ずかしながら、分からなかった。あそこの前に、映画では描かれなかった事件がひとつあったってこと? 外された空調の枠を見て保安官が何を理解したのかが、こちらが理解できなかった。アメリカ映画は説明しすぎるって常々不満を表明していると、今度はこうなる。もしかして簡単に理解できる映画だったりするんじゃないか、という不安は残り続け、脳の老化のスピードに思いを馳せる今日このごろ。[DVD(字幕)] 7点(2008-12-13 12:11:30)
3. 乗合馬車
《ネタバレ》 良きアメリカ、理想的なアメリカの家庭像。仕事に責任感を持ち、信仰心も厚い。そのなかでの若者の成長もの。我慢して大人になる、一人前になっていく。なにかアメリカ映画の一つの基本形と言ってもいいような作品。我慢を続けて最後爆発するってのは、何も仁侠映画だけのものではない。小道具としての犬の使い方なんかが、もう作劇法として練れている。ヒロインとの関係を紹介していくときズボンをくわえて走ったり、ヒロインの家の猫を追っかけたり、そして悲劇の引き金として殴り殺されてしまうという無駄のなさ。そうそう、アメリカ映画の好きなスモールタウン(ヴィレッジ)ものでもあった。この役やるにはリチャード・バーセルメスはややフケすぎてるようにも見えたが、こんなものか、アメリカの青年って。[映画館(字幕)] 6点(2008-03-17 12:17:18)
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