みんなのシネマレビュー
鱗歌さんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 3886
性別 男性
年齢 53歳

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順123
投稿日付順123
変更日付順123

1.  陽のあたる場所 《ネタバレ》 原作の「アメリカの悲劇」は読んだことが無いのですが、この映画からは少し、ジェームズ・M・ケインの「郵便配達は二度ベルを鳴らす」を連想したりもします。「郵便~」ほど主人公が直情的でも行動的でもなく、むしろ優柔不断にも見えるけれど、それでもやはりその行動は刹那的で短絡的。それをどこか、突き放したように描く・・・。 という観点では、この映画、さらにハードボイルドタッチの乾いた語り口でもよかったのかも知れませんが、それはともかく。 主人公のモンゴメリー・クリフトがヒッチハイクをしている冒頭。金は無いけど希望はある、って感じの好青年。いい人に見えるのはここだけで、まあ、あとは、サイテー男なんですけどね。彼が見上げた看板は、叔父の経営する大企業のもの。手の届かないような高さにあるその幸せが、徐々に彼のもとに転がり込んでくる。最初は労働者仲間の女性との恋愛、という、ある意味現実的で、こう言っちゃなんだけど世間的には「身の丈にあった幸せ」。ただしここですでに、会社の規則違反。今だったら横暴な企業としてネットで炎上するところかも知れませんが、とにかく不条理な悲劇のタネってのは、主人公自身が抱えているだけではなく、社会の中にも色々と転がっている。 で、最初、手に入れた小さな幸せの後、会社で出世したり、金持ち美人のエリザベス・テイラーと知り合ったり、という「大きな幸せ」(ってか、んなワケないやろ、こんなヤツに、と言いたくなるような、信じ難き僥倖の数々)が主人公のもとに降り注いでくる。小さな幸せと大きな幸せ、同時に手に入れようったってそうはいかないとなった時、どちらを手放すか?  「大きな幸せ」の方が実は単なる幻想でした、というのであれば、そりゃそうだよね気をつけようね、という一種の教訓話としてオチがつくところですが、この作品では最後まで、エリザベス・テイラーはあくまでモンゴメリー・クリフトを想い続ける「大きな幸せ」としての存在であり、もはや自分には決して手に入れることができない「大きな幸せ」はやはりそこに「大きな幸せ」として在り続ける皮肉。 小市民的な悲劇ではありますが、それだけに普遍的、とも。[インターネット(字幕)] 8点(2024-06-09 06:04:52)《改行有》

2.  PIG/ピッグ 《ネタバレ》 やっぱり、「ニコラスケイジ映画にハズレ無し、はウソでした」はウソでした。ニコラスケイジ映画の佳品が、また一本。 静かな映画。ですが、ニコラス・ケイジ演じる主人公のジイサンが、そろそろどこかでブチ切れるんじゃないか、という不穏な空気が、緊張感をもたらします。いや、ブチ切れたところで、小汚いジイサンだし、強いのかどうかはわからんけれど、とりあえずややこしい事にはなりそうなので、確かにそこには緊張感が。 曲がりなりにも大スター(だった人?)が主演なのですが、ヒゲもじゃで表情が見えづらい上に、映画はことさらにクローズアップで彼の表情を追いかける訳でもない。スター映画の逆を行くようなこの抑制された表現が、上記の緊張感に繋がっています。表情が見えないとは言え、いやむしろ、それ故の、主人公の存在感とでも言いますか。 飼い豚とともにトリュフ採りで生計を立てている世捨て人のようなジイサンが、ある日何者かに襲われ、豚を奪われてしまう。大事な豚を探し出して取り戻すべく、ジイサンは町に出ていく、というオハナシ。しょうがないなあ、という感じで、ジイサンを愛車に乗せて豚探しに付き合うのが、トリュフの買い取りをしてくれていた若造。この二人による、ロードムービーのような構成になってます。 豚探しの行脚において、特に大事件が起きるという訳でもないのですが、時にジイサンはなかなか無謀なことをやります。豚探しのためならどんなことでもやりかねない、この一本気なところが、見た目の小汚さと相俟って、静かな狂気も感じさせます。 という中で、なんとなくこのジイサン、只者ではないな、ということが徐々にわかってくる。一方で彼につきそう若造、偉そうな割に大したヤツじゃないな、ということも。この印象の変化が、特に事件らしい事件が起こらない物語に、緩やかではあっても大きなうねりをもたらします。若造は、クルマの中ではクラシック音楽のラジオをかけていて、そのラジオ番組ではいかにもスノッブな解説が音楽に被さる。ジイサンはウンザリしたようにラジオを消そうとし、それを見る我々は「ジイサンはこういう“高尚ぶった”クラシック音楽なるものが嫌いなんだろう」くらいにしか思わないのですが、物語が進んできてジイサンの印象が変わってくると、このエピソードも「もしかして、ジイサンはクラシック音楽なるものの真価を知るが故に、(音楽ではなく)解説にウンザリしてラジオを切ったのではないか」とも思えてきて。 別に、人を見た目で判断しちゃいけませんよ、という説教臭いオハナシでもなくって、人それぞれ、これまでに経験してきた過去を抱えており、それぞれに内なる想いがある、ということ。 ラストには、一種の対決、実に実に静かな対決が行われます。 それぞれの過去、それぞれの想いがあってこそ、対決を通じて互いが繋がる。 まるで孤独を愛しているかのようなジイサンが、実は誰よりも愛というものに飢えていたのではないか。 ニコラス・ケイジ本人も実はこういう人だった・・・のかどうかはよくわかりませんが。[インターネット(字幕)] 7点(2023-10-29 08:51:44)《改行有》

3.  ヒッチャー(2007) 1986年の、あの『ヒッチャー』という映画、あまりにも素晴らしいもんで、むしろ滅多なことでは再見したくない・・・となると、突然禁断症状を起こして、どうしても見たくなった場合はどうすればよいか、ですが、心配ご無用、そういう時のために、ちゃんとリメイク作を作ってくれているので、こちらを見ればよいのです。 ・・・なワケないか。 トーマスハウエル(に相当する人)とジェニファージェイソンリー(に相当する人)とが、最初からいきなりバカップル状態になっている、とか、いくつかの些細な事(?)を除くと、気持ち悪いくらい、本家のストーリー展開に沿ってます。 しかし、あの“ジョン・ライダー”役、ルトガー・ハウアー以外の誰ができるんだよという例の“ジョン・ライダー”役は、勇敢にもショーン・ビーンが演じてて、いや~、度胸あるわ~、絶対、元映画のファンから批判されちゃうのにね~、と思いつつ、とにかくこの役を演じる人が変わると、映画の雰囲気が変わってきます。あの本家の、善vs悪を超越した絶対的な邪悪さの権化のようなジョン・ライダーに比べ、こちらは、普通にワルい人、といった印象。あまり超自然的なものは感じさせません。 そういうジョン・ライダーの超自然性も含めて、元映画は色々と不条理でイビツなところがありましたが、リメイク作では多少、手直しされています。やや唐突に現れていた、パトカーやヘリコプター。それを今作では、いくらか警察の目線を取り入れ、無線通信等でもって、そういう唐突さが出ないように何となく、説明が加えられる。 お陰でナンボかイビツさは解消しますが、ますます普通な感じの映画になってきちゃう。もともとが不条理なオハナシなんだから、説明すればするほど、野暮になってきちゃう。 あと、カップルの女性の方(一応、この人は主人公ということになるのかな)が、どうも上手くない。逃げる場面で、やたらモタつくような、いや逆に、モタつかなさ過ぎるような。二人で逃げるシーンってのは、これまでも映画の中でさんざん描かれてきたと思うのですが、実はこれ、演じるのが意外に難しい場面だったのでしょうか? 他にも、肝心な場面で視線が定まらなかったり。トレーラーの運転席で敵と向き合い、ドアを閉めるシーン、黒澤明なら、閉める時にドアの方を振り向くなっ、とか言って怒り狂いそうな気が。 そうこう言ってるうちに、点数が元映画の半分になってしまった。いや、何だか申し訳ない・・・[インターネット(字幕)] 5点(2023-10-14 14:41:56)《改行有》

4.  ヒッチャー(1985) 好きな映画、というのとはちょっと違うかも知れない。好きだから何度でも繰り返し見ます、というんじゃなくって、ごく、たまーに見ては、作品の不気味さに震え上がり、堪能したい。今回見たのも、果たしていつ以来だったっけか。やっぱり面白い。怖い。不気味。痺れます。 『激突!』の後で、どういう映画があり得るか。どこまでトンガレるか。トンガリまくった挙句、こういう映画が生まれちゃう。そのこと自体が、面白いじゃないですか。 雨の中、現れたヒッチハイカー。『激突!』における、顔の見えない敵、というのとは違って(もっとも、『激突!』ではタンクローリー自体が“顔”な訳ですが)、こちらはいきなり顔を見せちゃう。おいおい、顔、見えちゃってるよ、とワケのわからない心配をしてしまうのですが、ちゃんと不気味さを持続させ、恐怖を持続させるルトガー・ハウアー。本当に得難い俳優をこの作品は得ることができ、この時点で99%は成功が保証されたもんでしょう。などと言うと、C・トーマス・ハウエルが気の毒か。いや、その凡庸さもしっかり、この映画では活きてます。 とにかくルトガー・ハウアー。やっぱりこの人、品がある。そして、何を考えているかわからない(アタマ空っぽ、という意味ではなく)。その独特の持ち味を、徹底的に邪悪さへと振り切って見せると、こんなコワいことになってしまう。作品と俳優の、一期一会、絶妙の組み合わせ。などと『ブレードランナー』のことも同じようにホメてしまいたくなる誘惑を抑えつつ。 この作品、実に不条理なサスペンスですが、不条理ゆえに散漫になるようなこと無く、緩急つけて緊張感を高めていきます。 切り詰められたセリフの、恐るべき切れ味。 一方、劇中のところどころで展開される派手なアクションシーンが、サスペンスに不釣り合いで、ちょっと浮いた感じがあるのも事実なのですが、この不条理世界にそういう場違いなものが放り込まれると、さらに不条理感が倍増し、さらに不気味さが膨れ上がってきます。これ、計算されたものなのかどうか、わからないけれど、結果として異様な効果をあげていて、やっぱりこの作品、フツーじゃない。 さて、次は、何年後に見ますかね。。。[インターネット(字幕)] 10点(2023-10-14 13:55:34)《改行有》

5.  ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え! タイトルの「時空旅行」ってのはあくまで邦題であって、原題とは何の関係もないのですが、しかし言い得て妙、と言いますか。こんなアホ映画の企画が約30年という月日を越えて蘇るだなんて、これはもう時空旅行としか言いようがない。 主人公2人もだいぶお歳を召していて、しかし相変わらずおバカ、というか、年相応におバカというか。 子供の頃、オトナってのは皆、オトナ、すなわち子供とは全然異なる、分別を持った存在だと思ってた。 私もこの自分がこの歳になってみて、そんなのがウソだということがイヤというほど判ってまいりました。人間、何年生きようと、中身なんて変わりません、成長しません。所詮、オトナの分別なんてものは、「懲りた」「飽きた」「面倒臭くなった」のいずれかにしか、過ぎないんじゃないのかなあ、と。 いや、マジで、こんな中身のまま、こんな年齢になるなんて、昔は想像もしなかった。誰か助けておくれ。 ビルとテッドもこんな年齢になってしまった、どころか、時空旅行をした先には、ヨボヨボの爺さんになった2人の姿が。 でも、それでもやっぱり、彼らは彼らのまま、なんですよね。それが、素晴らしい。 で、未来のどの自分に会いに行っても、そこには音楽がある。それどころか、モーツァルトの昔から、子供の世代に至るまで、音楽で繋がる世界。いや、素晴らしい。 もっと遡ってもいい。早くもJ.S.バッハの音楽には、間違いなく、現代の感覚と何ら変わらない高揚感、興奮がある。それって、スゴくないですか? 素晴らしくないですか? ちゃんと、そういう音楽の普遍性というものを、謳いあげてみせる2人。やっぱり、素晴らしい。[インターネット(字幕)] 8点(2022-05-08 23:08:00)《改行有》

6.  ピッチブラック 私がこのサイトにお世話になるようになってからそこそこ経つのですが、参加し始めて間もない頃に投稿したいくつかの感想文が、行方不明になっちゃってる気がして仕方がない。この作品もその一本でして。それとも気のせいなんだろうか? アシモフの「夜来たる」がどうしたこうした、みたいなコトを書いた記憶がかすかにあるのですが、う~ん、まあどうせ大したコトは書いてないに決まってるので、どうでもいいんですけどね。 設定の上では「夜来たる」と関連があるにしても、あくまでモンスター映画の部類。この映画、激安作品とは言わないまでも、決して潤沢に製作費をかけた大作の部類ではないだろうし、ましてや2000年製作と言うと、CG技術もだいぶ向上してきているとは言えまだまだ発展途上。そんな中で、色彩を落とした映像、あるいは暗闇、あるいは光が滲んだリディック視線の映像、といったものを利用し、なかなかうまくCGモンスターを表現してます。リディックのビー玉のような瞳が、あの独特の映像を支えているような、そんな印象。 不時着した宇宙船の後ろに、地表がえぐられた跡がどこまでも延びている光景。こんなのも、不時着の衝撃に対する間接的な描写になってて目を引くし。ヒロインが上を見上げるとモンスターの群れ、なんていう場面でも、わざわざリディックに「上を見るな」という一言を直前に言わせて、我々の注目を引いたり。 小技とアイデアで勝負、の一本。面白い。[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-02-13 14:45:03)《改行有》

7.  ピラニア リターンズ 今回はプールでピラニアが襲いかかってきます。だもんで、前作も大したスケール感では無かったけど、さらにスケールダウンした感じ。プールで大パニック、だなんて、『ボールズ・ボールズ』以来じゃないのかね? 数々の登場人物、その多くがただ喰われるためだけに出演していて、正直、誰が喰われようがどうでもよくなってくるのですが、1時間強もあれば、皆さん大方食い尽くされてしまい、余った時間で延々とNGシーンを見せ続けるという、驚くべき開き直り。 製作者たちが楽しんで映画を作っている、というのも悪くはないだろうけど、製作者しか楽しんでないのは、さすがに問題かと。 デビッド・ハッセルホフがもはや、騙されて出演させられているようにしか見えん。しっかりしろ、マイケル![インターネット(字幕)] 3点(2021-09-14 23:15:22)《改行有》

8.  ビルとテッドの大冒険 本人たちのためにも、この二人はやはり落第させた方がいいと思いました、ハイ。 時空を飛びすぎ、飛びまくりすぎ、一本の映画の中でこれだけ、色んな国の色んな時代の色んな人物の色んな姿を登場させる、ってのも、恐らくは相当、手間なワケで、そういう意味ではずいぶん贅沢な映画なんですが、見終わって、ちっとも贅沢をした気分にならないのは、これはどうしたことなんだろう???[インターネット(吹替)] 7点(2021-04-12 22:36:57)《改行有》

9.  ピラニア 3D エリザベス・シューがいてクリストファー・ロイドがいて、これでマイケルJがいれば完璧なのだけどそうもいかないので、代わりにリチャード・ドレイファス。代わりが務まるのかどうかは知らんけど。 それにしても、ひたすら人間がピラニアに食われ続ける映画。豪快に、美味しそうに、ピラニアが人間を食べまくり、これだけ徹底的にやったらアッパレ。と思わんでもないけれど、人体損壊に拘りすぎて、ちょっと単調。ピラニアから逃れようと、水に浮いたステージみたいなヤツに人びとが殺到して傾いてしまい、また水中に転落する、ってのは大いに結構だけど、こういう場合は傾くだけじゃなくって、派手にひっくり返って欲しかった。 全体的に、「想定内のパニック」から脱しきれなかった、との印象も。[インターネット(字幕)] 5点(2021-03-23 23:30:47)(良:1票) 《改行有》

10.  豹/ジャガー コルブッチ監督には『続・荒野の用心棒』ってな邦題の作品がありましたが、そのセンでいくと、本作は『続・夕陽のガンマン』とでも名付けるべきですね、闘牛場での決闘シーンでは、円形の舞台に3人が睨み合う形となって、臆面もなく夕陽のガンマンのシーンをそのまんまパクってます。でも残念ながら、続・夕陽のガンマンという映画はすでに存在しているので、『続・続・夕陽のガンマン』とでも名付けるべきですね。なにせ、続・夕陽のガンマンみたいに、円形の舞台で3人が睨み合うもんね。ははは。 実際、本作の背景には革命が描かれていて、そういう激動の時代の中での決闘、という点でも、続・夕陽のガンマンを思わせるものがあります。ただし、チンピラみたいな軽いノリの革命家と、フランコ・ネロ演じる凄腕ガンマンとの奇妙な友情が物語の中心で、敵方の用心棒ジャック・パランスと戦う、という、比較的ストレートなオハナシには、なってます。だけど、この三者がそれぞれに一癖もふた癖もあって、物語に起伏をもたらします。 ジャック・パランスの髪型(いかにも似合わないパーマ)は、どうなのよ、と思いつつ、さらには何でこんな映画のこんなシーンで素っ裸にされてるんだよ、と思いつつ、それでも敵役としてはなかなかの貫録。 彼に刺客として任命された男の後ろで、別の男が農作業用のフォークを作ってて、刺客の男からカメラがそれると、男の悲鳴が聞こえ、フォークを腹に突き刺されて絶命した男の姿がカメラに捉えられる、などという、若干アホらしい見せ場も楽しいし、上述の「円形の決闘」がクライマックスかと思わせて、物語はそこで終わらずにさらに見せ場を作るのもまた楽しいところ。 出色のマカロニ・ウェスタン。パクリ的な部分も含めて。[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-05-06 16:53:07)《改行有》

11.  ビッグ・アメリカン まず冒頭、壮大なる西部開拓時代のオハナシか・・・と思ったら、これが実は単なる見世物(仰々しい邦題もここではミスディレクションに貢献しちゃってます)。要するにあの、バッファロー・ビルがやってたという、ワイルド・ウェスト・ショーのオナハシ、なんですね。アメリカ開拓史ってのは、土地の開拓が終わったら、今度はビジネスの開拓が始まって、休む間もありません。 バッファロー・ビルを演じているのがポール・ニューマン、だもんで、すでに何だか胡散臭い。そもそもこのヒトは本物のバッファロー・ビルなのやら、もしかしてニセモノなんじゃないの、とすら思えてきたり。冒頭のクレジットでも役名は単にThe Starとだけ書かれてるし。もっとも、他の登場人物もみな、役名が名前では書かれていなくって、本物だろうと偽物だろうと、もうどうでもいいのですが。 実際、劇中で行われるショーは、代役あり、失敗による流血沙汰あり、まあ、テキトーなんです。 そんな中で、先住民役として雇われている(本物の)先住民のオジサン、こちらは本物のシッティング・ブルっぽい(でも、そもそもシッティング・ブルなどというキャラクターの来歴自体、ギミックじみた少々アヤシイところがあるのですが)。で、言葉数も多くなく、いつもどこか醒めた表情をしていて、それがユーモラスであると同時に、強烈な皮肉を漂わせています。 皮肉と言えば、バート・ランカスターの存在。何かと登場はするけれど、この状況に関わる気が、あるのか無いのか、超然と涼しい顔。作家の彼がこの状況を作り上げたのかも知れないけれど、もう彼にもどうにもならないし、多分、どうする気もなさそう。 ショーの中で大事故でも起これば、映画としては娯楽色が出るけれど、本作は、物語をそういう娯楽路線へ開放することもなくって。「事故が起こったら大変だよね」というサスペンスはもちろんあるけれど、あくまでその中途半端な不安定さのまま、主人公が取り残されたようにフイと映画が終わっちゃう。 一方で現実世界の商業主義は、紆余曲折はあれど行き詰まることなく拡大の一歩をたどって、この先、壮大なカタストロフが待ち受けているのか、どうなのか。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-23 17:21:31)《改行有》

12.  昼下りの情事 《ネタバレ》 まず冒頭、パリではどこもかしこも、イチャイチャする男女ばかりなんですよ、と、フランス人への偏見モード全開。まあ、この後の物語展開に対する言い訳みたいなもんかも知れませんが。 とあるオッサンが妻の浮気調査を私立探偵に依頼、結果、これはクロですなあ、という訳で依頼人のオッサンはピストル片手に浮気現場へ。一方、この話を盗み聞きしてしまったのが、私立探偵の娘であるオードリー・ヘップバーン。揉め事を未然に防ごうと現場のホテルへ先回り、依頼人の妻と、浮気相手である大富豪でプレイボーイのジジイ(=プレイジジイとでも言うんだろうか)に、カクカクシカジカ事情を伝え、その場は丸く収まる・・・はずが、今度はジジイとオードリーが何となくいい感じになっちゃう、というオハナシ。何でこんなジジイがモテるんだよ、一体このジジイ何者だよ、とか思っちゃうんですが、何者も何も、ゲイリー・クーパーなんだから仕方がない。でも、いつの間にこんなに老けたんだ、クーパー。メイクかも知れませんが、かなりのジジイ感です。 で、オードリーがこのジジイに弄ばれるのか、心配だなあ、と思って見ていると、ジジイはジジイで彼女に弄ばれてるようなところがあり、お互いヤキモキしてる。大人の恋愛かと思ったら、少年少女のようなところもあって。 中盤、オードリーが手紙を何度も書き直した上で封筒に入れ、しかしそれを投函することなく燃やしてしまうまでの一連の挙動を、長々とワンカットで描いているのですが、確かにワンカットで捉えるだけの魅力が、彼女の仕草に溢れています。そりゃジジイも参るでしょう。 でも結局は、ヘボ探偵かと思ってた彼女の父が、一枚も二枚もウワテでした、というのがなかなか気が利いてます。もっとも、もしも彼女の父がラストで一枚噛んでいなかったら、「そんな終わり方でいいのか!」と暴れたくなるところですが。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-07 15:42:36)《改行有》

13.  ビッグケーヒル 主人公の保安官役がジョン・ウェイン。ではあるのですが、主人公というよりは若干、脇役に引き気味で、悪党一味に手を貸したばかりに抜き差しならない立場に陥ってしまう彼の息子たちが、むしろ物語の中心です。父親への反抗心からの軽はずみな行動が、次第に彼らを理不尽な状況に追い詰めていく、その理不尽さを少年の立場から描いているのが、何ともソラ怖ろしくて、イイんですね。大雨の中、ヌッと姿を現すジョージ・ケネディの、いかにもオソロシげなこと。 ジョン・ウェインというヒトは、映画の中ではしばしば、大丈夫かこのオッサン、とつい思ってしまう頼りない部分があったりする(ような気がする)のですが、本作は、一歩引いてる分、また中盤でその持ち前の頼りなさを垣間見せる分、終盤では彼に似合わず妙にしっかりしたオヤジになってて、そのおかげで、普通なら「こんな終わり方でいいのか!」と文句の一つも言いたくなるような(ある意味予想通り)のラストも、何となく腑に落ちてしまうのでした。[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-11-09 02:51:04)《改行有》

14.  BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント 少女と巨人の交流のオハナシですが、正直、ストーリーらしいものは殆ど無くって、多少、間延びした感はあります。しかし、CGで描かれる巨人たちの活き活きとした感じ、そしてCGの世界と主人公の少女との融合が、観てて楽しいんですね。 特に、CGの中で茶目っ気たっぷりに動き回ってみせる少女と、これまた見事に動き回って見せる「カメラ」、その特殊効果による描写は、ここまで描けるんだという驚きにあふれていますが、それでもどこか少し胡散臭くって、トリックめいていたりもして。それが、あのかつてのダイナメーション技術みたいな「魅力的な不自然さ」とでも言いたくなるようなものを感じさせたりもします。 個々のシーンが持つワクワク感。いいですね~。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2019-09-08 17:50:05)《改行有》

15.  ビッグ 《ネタバレ》 外見が大人でも中身が子供のままだから、オモチャ会社で鋭い意見を吐いて成功するんだとか、少年の心を持っているから女性のハートを射止めるんだとか、そういったコトを「だって当然の帰結でしょ」と頭ごなしに我々に納得を求めてくるこの映画。どうも好きになれないのです。そういったコトに説得力を持たせるために、何を描いて見せてくれるか、それが我々の期待するところ。なのにこの映画は「そういう設定だから、当然そういう展開になるに決まってるよね」といきなり同意を求めてきて、そこには我々を納得させこの世界に引きずり込む、何のエピソードもない。 ただそこにあるのは、トム・ハンクスの「中身は少年です」と必死でアピールする演技だけ。一応は、彼の人懐っこそうな風貌とマッチして、それなりの効果はあげているのだろうけど、しかしそれとて、「大人が眉をひそめるような非常識な仕草」頼みの演技が中心で、そんなに面白味のあるものでもなし。 「元に戻りたい」気持ちくらいはせめてもう少し丁寧に描きそうなところを、むしろ新しい生活を順風満帆、楽しんでいる様子の方が、印象が強く、これだったらいっそ、最後まで元に戻れませんでした、という悲劇で締めくくればよかったに、とかいう事まで思ってしまうのですが、ハイ、それはさすがに無理ですね。そんな後味の悪いコメディ映画、絶対に人気出ません。 あの、やはり子供の心を残しているらしき社長との交流、これはもっと掘り下げてもよかったのではないか、とも思います。恋愛方向に話を持っていくより、ドラマが広がり、説得力も出たのでは、とか。そう思うと、『釣りバカ日誌』ってのは、社長とコドモ大人との交流を描き、そこには馴れ合いだけではなく両者の間の緊張感までも盛り込んでいて、本作より余程よく出来ていたような気がしてました。そういえばどちらも同じ1988年の映画なのでした。[CS・衛星(字幕)] 4点(2018-12-02 12:07:42)《改行有》

16.  ピクセル(2015) ゲーマーが宇宙からの侵略者と戦う。しかもゲームそのもので戦うだなんて、『スター・ファイター』でもそこまで厚かましいことはしませんでした(しかしあの作品はあの作品で、大勢登場させた宇宙人をアッという間にほぼ全員死亡させるという厚かましい作品でしたが)。 というワケで、こんなアホらしい設定で映画を作ってくれて、とりあえずは有難う、なんですけれど・・・その「アホらしい」という地点に、そのままとどまってしまったのが、作品を残念なものにしています。「アホらしさ」を言い訳に、映画を適当に作ってはいけません。 主人公たちがイケ好かない連中、ってのは、作品の狙い通りだろうけど、そんな、およそどうでもいい「等身大以下」のヒトたちが、ただゲームをやって終わりだなんて、いくらなんでもお粗末でしょう。そのゲームだって、ひとつひとつ順番にこなしていくだけ。物語にも何にもなってない。 そりゃま、私も「懐かしいなあ」と思う世代のひとりですけどね。その一方で、「他人がやってるゲームを横で見せられても、大して面白くない」ってのも、あるワケです。[DVD(吹替)] 4点(2018-08-16 15:32:00)《改行有》

17.  ビリー・ザ・キッド/21才の生涯 わざわざ「21才の生涯」だなんていう邦題つけちゃって。クリス・クリストファーソン、いくら何でも21才には見えんよ。でも、なんか素朴さがあって、いいですね。 それよりも本作の主人公は、ジェームズ・コバーン。保安官パット・ギャレットの役ですが、どうもても彼の方がよほど、アウトロー。 要するにみんな、好きなことやってる。自由気まま。ビリーもギャレットもいずれは殺されるんだけどね。そういう期限付きの自由が、さらにあこがれを煽る。そしてもう、元には戻れない。[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-08-08 20:52:28)《改行有》

18.  ヒューゴの不思議な発明 《ネタバレ》 昨今ではメリエス作品も動画サイトでお手軽に観られるようになって、ありがたい世の中というか、ありがたみの乏しい世の中というか。まあ、感謝すべきではあるのでしょう。 さて本作、タイトル前が一番の見どころというか(笑)、縦横無尽のカメラ、いきなりのハイテンションで、これがこのまま続いたら大変だ、とか思うのですが、本編に入るとひとまず落ち着きます。 いやむしろ、黎明期の映画への愛を語るファンタジーにしては、ちょっと遠慮しすぎでは?という気もしてきます。もうちょっとマニアックなところに踏み込んでもいいのにねー。もっとも、スコセッシがマニア道を全開にしたら、大変なことになるのかも知れないけれど。 「映画への愛」の部分が、ファンタジーを描くための仮の意匠とでもいうか、何だか「テーマは何でもいいんだけど、たまたま映画を選んでみただけなのよ」みたいなよそよそしさがあって、何だろう、この遠慮は。結果的に物語が向かって行く先が、弱くなっていないか。映画が空回りしていないか。 だけど、やっぱり、この児童文学っぽい雰囲気、子供の視線、ってのは、いいですね。お巡りさんは無条件にコワイとか。 汽車が迫ってくるシーン(夢の方)、後のシーンと関連するとは言え、わざわざここまで派手なシーンにしなくてもいいんだろうけど(どうせ夢オチだし)、「Le Voyage à travers l'impossible」あたりのイメージなんですかね。本当はもっと、色々やりたかったんじゃないのかなー。[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-04-21 03:20:14)(良:1票) 《改行有》

19.  ビバリーヒルズ・コップ3 3作目に至って、監督がジョン・ランディス、ってのがもうすでに投げやりな感じがしてしまうのですが、そして実際、評判も芳しくないようなのですが、すみません、ワタシは好きなんですコレ。バカバカしくって可笑しくって。 もはや3作目ですから、「デトロイト⇔ビバリーヒルズ」というカルチャーギャップネタを今更やる訳にいかず、結局、アクセルとローズウッド君をとりあえず登場させてはいるものの、あまりビバリーヒルズコップシリーズである必然性もなくなってます。そもそも、今までのシリーズだと、アクセル刑事が口八丁手八丁、いつもテキトーな事ばかり言って強引に何でもやり遂げてしまう、ってのが定番のパターンだったのに、本作では、ワンダーワールドに入り込もうとしてついた嘘がいきなり見抜かれ、入場料を払わされる羽目に。この辺りは、「本作は、過去のシリーズ通りの路線ではありません」という宣言のようなもの。宣言しちゃたもんの勝ち、あとはもう、遊園地ならではの、バカバカしいギャグとアッと驚くアクションを連発し、楽しいったらありゃしない。バカばっかりやってるようで、種をまいておいたいくつもの伏線をチャッカリと刈り取って見せるのも、気持ちいい。 カメオ出演も大層、豪華ですが、そのうち一人(役名:がっかりした男)は、誰もがよ~く顔を知っている、まさかまさかのアノ人。いったい、何考えてるんですかね、あはは。 という訳で、1,2作目も好きですけれども、変化球のこの第3作が、一番好きだったりするのでした。[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-04-09 20:05:26)(良:1票) 《改行有》

20.  ビバリーヒルズ・コップ2 むかし民放の洋画劇場でこのシリーズを観てた頃は、シリーズ各作品の監督がすべて異なってるなんてことは気づかず気にせず、どちらかというとマンネリズムを楽しんでたような面もあったフシもあった訳ですが、何にせよ、この第2作は、トニー・スコット監督。そう思って観りゃ、確かに、強盗シーンなどのアクション、なかなかのキレの良さ、ですが、そう思って観なけりゃ、一作目とおんなじようなコトやってるなあ、と。そういう「変わらなさ」ってのも一種のサービス精神だったりもする訳ですが。 エディ・マーフィも、役が板についてきたというか、一作目よりも奔放かつ楽しそうに、アクセル役を演じている感じがします。 スタイリッシュなアクションがある一方で、カーチェイスを鈍重なミキサー車に演じさせてみせる、可笑しさ。 ジャッジ・ラインホールドがちょっとオイシイ役で、ちょっと腹が立つ(笑)。彼は単なる「いいヒト」として脇役に閉じ込められてこそ、持ち味が光る気がするんですが、どうでしょうか。 あと、ブリジット・ニールセン繋がりで、繰り返されるスタローンネタ。ああ気まずいことこの上なし、知ーらないっと。ってのも、今となってはもう古い話ですなあ。[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-04-02 23:14:56)(良:1票) 《改行有》

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS