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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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21.  ブロンクス物語/愛につつまれた街 《ネタバレ》 勝手に、もっと神経質っぽいものを想像してたんだけど、アタタカイのね。なにしろ「心から笑ってない笑顔」をやらせると天下一品の俳優だから、サイコパス系の映画でも作るのかと思ってた。つまりそういうふうに見られることがやで、「本当は僕ってほのぼのした人なんだよ」とアピールしたかったのかも知れない、泣いた赤鬼みたいに。映像のリズムと音楽をシンクロさせて楽しんだりしている。ヤクザもんとカタギとの、二人の「父」のもとで育つ少年の話。別に「悪」と「善」という分けかたではない。ソニーも少年をヤクザもんに育てようとしているのではなく、彼なりの「教育」で筋を通している。ここらへんカタギもんのデ・ニーロに一目置いているわけ。ほんとのチンピラと付き合おうとすると忠告するし。「好かれることと怖れられることとどちらかを選べというなら、怖れられるほうを選ぶ。持続するから」と。実の父のほうは「才能を無駄にするな」という。こういう環境の中で息子を育てるのは大変なことなんだ、と思う一方、どんな環境でもその地ならではの教育があるってこと。黒人ガールとの恋愛は、イマイチ不燃焼。ニガーと言ってしまったあと、もうワンクッション和解との間にほしい。とはいえ、教育を巡る映画として秀逸。[映画館(字幕)] 7点(2010-08-24 09:53:24)(良:1票)

22.  プラトーン こうまで爽快感のない戦争映画も珍しい。おどおどした気持ちと倦怠感が交錯し、それにヒステリーが重なる。オバサンを射殺するあたり説得力があった。恐怖があり、仲間を殺された恨みがあり、分からない言葉で何やらこちらを非難している、倦怠感からヒステリーへ一足飛びにエイッと行ってしまう。ラストの大混戦、敵味方の区別もつかない渾沌に友軍の爆撃が重なって、ヒステリーは頂点に達する。けっきょくすべての兵士の死は犬死にである、というやりきれなさがビンビン伝わってきた。ヘリコプターの風でカバーがめくれ死体が出てくるとこ。冒頭の除隊組とすれ違うところも印象深い。最後の兵士の意味ありげな笑い。ザマアミロが80%、憐れみ10%、頑張れよ10%、ってとこか。バーンズも単なる悪役じゃなくて、この戦場で生き残り続けてきた経歴を持っている、生き残ることは殺すことだってことを身をもって証明してきて、クリスがラストでなぞるわけ。そしてすべてを包み込むジャングルの怖さ。ここでは敵はまったく純粋な「敵」として存在する。懲らしめるべきものでも、人倫を踏み外した憐れむべきものでもなく、ほっておくとこちらを殺しに来るただ純粋な敵。[映画館(字幕)] 7点(2010-06-07 12:03:29)

23.  ブレーキ・ダウン 荒野で高速道路を走っていると、自分が「誰でもいい一人」になってしまう怖さがあるわけだ。そういうものは、たとえば都会の群衆の中でもっぱら感じられるものと思われがちだが、そこは田舎のほうが怖い。都会では全員が無名同士になるが、田舎ではガッチリ組まれたチームの中に無名のよそ者として入っていくことになるわけだから。というわけで前半はへんにリアルでけっこう怖かった。通り過ぎた車が向こうでターンしてこちらを見てる感じ。食堂での田舎の人たちの無関心、無表情。このまま不安感が持続する田舎の迷宮に入っていくって展開だとハリウッド映画にならないから、直接的暴力が襲ってきてレベルが一つ落ちる。でも上映時間90分ちょっとという手ごろ感が好ましい。[映画館(字幕)] 7点(2009-02-24 12:13:48)(良:2票)

24.  プラネット・テラー in グラインドハウス 《ネタバレ》 タランティーノ版は楽しめなかったが、基本的にゲテモノは好きなのでこっちはちょっとは楽しめるのではないかと思って見たら、すごく楽しめた自分が恥ずかしい。まずほとんど筋が分かってしまう架空映画の予告編が楽しい。本編、前半はさしたることなし。病院に次々とドロドロした人が担ぎ込まれてくるあたりからか。ゲテモノテイストがはっきり立ち上がり、またヒーロー、エル・レイの安っぽい活躍も始まる。無意味に壁面で一回転したり、二丁拳銃をクルクル回して周囲に“こいつタダモンじゃねえ”と感嘆させたり、かつて映画にあった安っぽさゆえの活力を再現しているその情熱。「不手際をお詫びします・支配人」でクライマックスに跳ぶ離れわざ。またこれは、なぜかイロっぽいシーンを含む巻から紛失していった映画上映史上の謎を後世に伝える役目も果たしていよう。ラストはもう一気呵成で、ヒロインが塀を飛び越えるとこ、ブリッジで砲撃をかわすとこなど、たまらなかったです。ミーミレミファミレ、ミーミレミファミレの心地よく下品なテーマ音楽が、今も頭の中で鳴り続けている。[DVD(字幕)] 7点(2008-07-05 11:19:02)(良:1票)

25.  フォーガットン 《ネタバレ》 ミステリーかと思ってたら、政府の陰謀ものかと訂正することになり、それが宇宙人か地獄の使者に訂正され、さらに超絶者ものに移行しかけ、まあぎりぎり「はっきりさせない」というところで手を打って踏みとどまって、なんかとりあえず完成した作品らしく繕えた。「彼ら」の実験、中途半端なんだよな。ヒロインのとこだけビデオや写真を14ヶ月も残したりしてて。実験の対象が子どもと思わせといて、実は母本人だってあたりがミソ。愛が勝つ話になっちゃう。ポーンと昇天していくところを見ると、やはり「宗教もの」と見るのが本筋? 神のためしなんでしょうか。[DVD(字幕)] 6点(2014-01-28 09:28:48)

26.  プリティ・ウーマン 男が冷徹な企業買収家ってところがミソ。何も生産しない職業同士なわけ。相手に心を動かしてはいけない仕事をしている者同士が出会って…、という設定がいちおうカンドコロ。人は善くなっていくことが出来る・改善することが可能だ、というシンプルな肯定の精神が底にある。ポロの試合のときの屈辱のシーンなんかうまい。屈辱と同時に自己嫌悪でもあるわけで。支配人やエレベーターボーイなんかの「いい人」の配置ぶりもちゃんとしている。そうは言ってもあのエドワード君はどうも好きになれないけど。もっと違った改心のありようはなかったのか、と思うが思いつかない。設定の限界か。[映画館(字幕)] 6点(2014-01-22 09:44:46)

27.  フラットライナーズ(1990) 黄濁した世界で、『白い巨塔』っぽい話かと思ってたら、このころのアメリカ映画に多かった「死後の世界」ものであった。そして結局キリスト教的死生観に落ち着いちゃう。あちらの映画で無神論者ってのはまず暗いイメージでしか登場してこない。明るい無神論者ってのもいると思うんだけど。それもラストでは「神よ! あなたの領域に立ち入ってしまいました」って改心しちゃうんだもん。がっくり。一見壁に挑戦するようなポーズをとりながら、壁を補強してるんだよね、こういうのって。しかも死後の世界で過去の罪に出会ってしまうってんだから。科学の最先端にいる医者の卵が、ほんとにこんなナイーブな夢を見ると思いますか。しろーとの私には10分も血流が停まってたら脳に障害が残ると思うんだけど。ケヴィン・ベーコンがかつていじめた黒人女性に謝るとこは、もっとまじめにやれー、と心で叫びながらも、ちょっとジーンとしてしまったのが恥ずかしい。夢うつつの境で自転車の集団が走り抜けていくとこも、ちょっと良かったな。[映画館(字幕)] 6点(2014-01-19 09:44:56)

28.  ブロークバック・マウンテン 雲、自然光、羊。ああこれは映画の風景だと思う。聖地であり避難所である。この山に追い詰められる物語なんだから、ここの自然描写がカナメ。知ってしまうイニスの妻アルマ(ミシェル・ウィリアムズ)がいい。平凡な妻に訪れる惑乱。「釣り道具忘れてるわよ」。あそこらへん、強ばった笑顔にしてもいいのだが。ひっそりと隠さねばならぬ恋の味わいは、今こういう変化球でなければ出来ないらしい。マイノリティの生きる辛さのほうに焦点が当てられてはいた。余談になるが、現在ほとんどの異常性欲(同性愛からSMまで)は市民権を獲得したようだが、ロリコンだけは許されていない。少女に主体的な性的決定能力はないという判断だろうが、そりゃ相手が6歳だったら「合意の上での性交」じゃないだろうと思うけど、16歳なら人によって成長もそれぞれ、OKのケースもあるんじゃないか。…なんか異様に力がこもってしまった。[DVD(字幕)] 6点(2013-11-02 09:26:36)

29.  ファミリー(1983) 映画館内でズルズル鼻をすする音が満ち溢れた記録は、私が体験した中ではこれか『チャンプ』か。母さんが癌で死ぬってんで10人の子どもを養子に出していく実話。可哀想なのはパパで、いちおうアル中などの欠陥があることになってるけど、もう家庭にとって必須の要素でなくなってるんだね。昔のアメリカ映画だったらパパを軸にし、長女が母親役になって次第に成長していく話になっただろうが、パパがもう駄目な時代なの(なぜか政治ではレーガンによる強いアメリカを目指していたころ)。こうして子が親を選べる時代が来たら、ってなことを考えた。家族が宿命にならない世界。それを親の側が許せるだろうか。子の幸せを願う親のエゴだけは、なかなか否定できないんじゃないか。そんなことを考えました。ちょっと“テン・リトル・インディアンズ”を思ったのは不謹慎でしたな。てんかんへの偏見を訴えるために、知恵遅れへの偏見を持ち出さざるを得なかったのは欠点。[映画館(字幕)] 6点(2013-06-11 09:47:25)

30.  フォー・ザ・ボーイズ 《ネタバレ》 アメリカ人にとってはジーンと来るものがあるのかも知れないけど、もう少し批判精神があってもいいんじゃないか。90年代の作品なら軍隊慰問ってもののイカガワシサを描くのかと思ってると、そういう映画じゃなかったのね。ベトナムで受けないところで、やっと対象化するのかと思ってると、ベット・ミドラーの「イン・マイ・ライフ」で一同しんみりしちゃう。爆撃で息子の死につなげて、彼らは裁かれない。J・カーンがカメラを気にする、なんてのもちょっと面白く膨らませられそうなモチーフなんだけど、ただ彼の性格のイロドリに終わっている。赤狩りの扱いも単純すぎて、やはりイロドリ程度。でもこういうのを褒め称えるってとこにアメリカ精神の一典型がハッキリあるとは確認できる。ミドラーは全編気持ちよく歌っており、懐メロで綴るアメリカ戦争史と思えば、大味も気にならぬ。[映画館(字幕)] 6点(2012-08-14 09:47:58)

31.  ブリジット・ジョーンズの日記 あれは太っているのか。たしかにおしりのアップは迫力あったし、キチキチのものを着てるときは、縁でお肉が盛り上がっているけど、いかにも演出でそう見せてるって感じで、「太っている」に分類できるほどの立派な「太っている」ではないんではないか。せいぜい妥協して「太り気味」。あれが「太っている」では、ちゃんとした「デブ」に失礼であろう。小柄のせいもあるかも知れないけど、どうも最後まで納得いかなかった。ラブコメのヒロインとして許される範囲内での「太っている」だったのだな。可愛くなくちゃヒロインは張れないし、そこらへんのギリギリのせめぎ合いが映画のブリジット嬢を造形していった過程を考えると、それなりの創造の苦労が思いやられる。女性観客が自分を投影でき、しかしあまりにリアリズムではまずく、ある程度憧れの対象でもなければならない、という「連続しつつかつ非連続」という難しい造形。そこを体の部分的な太りで乗り越えたのであろう。そう思って再度肉付きにのみ注目して飛び飛びに観賞したら、やっぱり太ってるか。[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-07-01 09:22:33)(笑:1票)

32.  プリンス・オブ・シティ 正義の定義が不明確になった時代、逆に言えば明晰な不正と言うものがつかみづらい時代でもある。微温的な悪の時代と言うことか。たしかに主人公の警官は自分の今までしてきたことに対して疚しさを持っている。それがあまりいいことではなかったと思っている。そこで摘発する側に協力するわけだけど、ここで囮になってもっと汚いことをするわけだ。同じようなことをやっていても、所属によって悪になったり正義になったりする。観客も身を寄せる絶対的正義のないこの物語の中で不安定に浮かんだままだ。仲間の人懐こさを丹念に見せられると、主人公の裏切れない心もよく分かってくる。機構の隙間に迷い込んでしまったものの目に映る「正義」の曖昧な本性、そこらへんがテーマと見た。カフカ的ですらあるテーマを「雰囲気」に逃げず、あくまでも監督の手触りの感じられる世界に投影するのが、この人の実直さ。仲間うちの信頼が決して正義とは重ならないことを承知していながら、まだ確かな手触りが感じられるそのほうに寄っていく主人公。設定は納得できるが、やや演技過剰気味のヒステリーになってしまったか。ラストで若い警官に侮蔑を受けるシーンが印象的。[映画館(字幕)] 6点(2012-06-25 09:44:24)

33.  フライド・グリーン・トマト 老婆の語りということで、何らかの物語的変形が加えられている可能性があるわけ。本当にあったこと・こうしてやりたかったこと・こうであるべきだったこと、が混ざりあっている妄想世界としての豊かさがある。マイブルーヘブンが流れ、完璧だった兄の死によって女の友情が代理として浮かんでくる。ただこのヒロインがあんまり魅力がないんだ。「野生児的問題児」なんだけど、生命力に欠ける。南部というとKKKが出てくるんだな。対する現代編、とりわけK・ベイツの家庭が薄っぺらで減点。ふたりのオスカー受賞作品にちょっとずつ触れるのがあちらの敬意の表わし方なんだろう。「ホラー映画のデブ女じゃないの」とか「町に車で出て行くとき…」とか。ホラ話で良かったのは「カモが飛来した日に寒くなりみな脚が凍りついてしまい、湖ごと飛び立った後に窪地が出来た」っての。[映画館(字幕)] 6点(2012-05-17 10:24:04)

34.  フランス軍中尉の女 《ネタバレ》 なるほどなるほどと思って観ていたんだが、あとであのヒロインの心理考えてみて、イマイチ分からない。けっきょく何だ、恥で身を固めることによって世間と対決していこうとしていたってことなのか? 一種の男性恐怖症か? というより、男に対する激しい侮蔑があったってことなのか? 聡明さゆえの不幸。清冽な孤独の中で生きようとしながら、しかし科学者に恋してしまったってことなのか? と焦点を定めづらいところへもってきて、話の二重構造がまたややこしくしている。現代編と並行しているだけなら、それなりに理屈として分かる気もするが、わざわざ「19世紀編を演じている役者」という設定にしたことは、「演じる」ということが重要な意味を持ってるってことで、それがヒロインの偽の「フランス軍中尉の女」を演じ続けようとしたことと関係づけているみたいなんだけど、どうもうまく対比できなく、現代編が19世紀編に関わっていってしまう形になるから、ピタリと決まってくれないんだ。やがてノーベル賞を獲るハロルド・ピンターの脚色なんだから、こっちの読み取り力が悪い、と思ったほうがいいのかも知れないけど。[映画館(字幕)] 6点(2012-05-14 10:53:09)

35.  フック スピルバーグは最初のうちは母子家庭専門だったが、『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』でお父さんが出てきてオッと思わされ、本作で父親がとうとう主人公になった。中年のピーターパン。こう考えればいいのか、現実を舞台にした作品では父親が邪魔、ファンタジーでは母親が邪魔。監督作品の神話構造を考える上で興味深い。も一つ作品としてスカッとしないのは、パロディどまりだからかな。白髪のフックに、ブヨブヨのピーターパン。どっちかと言うとテリー・ギリアム向きだった。S監督は少人数の子どもを扱うのはうまいが、集団になるとダメね。セットも貧相だったが、演出も悪かった(ああいうセットの遊園地のアトラクションっぽさに、ある種の懐かしさを出したかったのかも知れないが)。仮想の食事のシーンあたりはいい。ティンカー・ベルとの合成は、当時としてはうまかった記憶。子ども時代は早く過ぎ去るから大事にしないといけないよ、という気分が底にある。[映画館(字幕)] 6点(2012-04-12 12:15:55)

36.  フールズ・ファイア 人形と小人ってんで期待したんだけど、その人形の動きがあんまり面白くない。造形はいいんだけど、それ自体が見事なだけで、映画としての魅力とは違うもの。かえって黒人の奴隷人形のほうに、映画の中の人形の魅力が出ていた。設定としてはものすごく「映画でなければ見られない話」なのに、出来上がったものは「これなら舞台でも見られるもの」になってしまった。音楽は神経質っぽい弦楽器。ハイビジョン合成の初めのころで、ちょっと画面が濁る感じ。[映画館(字幕)] 6点(2011-06-27 10:10:09)

37.  フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白 映画で触れてるわけではないけど、見ながら「あちらアメリカ」と「こちら日本」の体質の違いにしばしば思いが行った。あちらの合理主義、データを集めて、効率を最大限に高める軍事姿勢。別にルメイが立派だったと思うつもりはさらさらないが、当時の日本の精神主義で凝り固まった軍人と実に対照的。映画ではその効率主義の非人間性に批判的な視線を向けていたが(焼夷弾投下の映像にデータの数字が重ねられる)、精神主義の非人間性も苛烈だったことを我々の歴史はよく知っているし、「戦争で勝つ」というゲームの中では、効率主義のほうが精神主義よりは優れていたわけだ。そういう経験を経たマクナマラが、教訓として「理性は頼りにならない」という条項を挙げているところに、「戦争の霧」の一筋縄ではいかない深さを感じる。それともう一つ「決して、とは決して言うな」。日本の政治家はすぐに「不退転の決意」とか大げさな言葉を乱発し、それを「まさに」とか「しっかり」といった常套副詞で飾り立てる。そして一般社会ではとうていトップには置けないような頭も言葉も軽い人物が、政治家一族で金持ちというだけで総理大臣になれるシステムがある(AとかHとか)。私はアメリカ崇拝者ではないし、このマクナマラの「教え諭す」ような態度は心地よくなかったけど、政治風土の落差は感じざるを得なかった。好き嫌いは別にして何事かをやり遂げた男の顔の厚みはあり、日本の政治家の顔はこれだけの時間のアップに耐えられないだろう。ドキュメンタリーとしては、映像的にはあんまり面白くなく、先に挙げた数字の焼夷弾とか、ドミノ倒し理論のところで実際に地図の上でドミノ倒しをやったり、つまんないことしてる。[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-02-26 09:30:05)

38.  フランケンシュタイン(1994) 《ネタバレ》 ケネス・ブラナーって、舞台は知らないが、映画では役者としても演出者としても、あんまり才を感じないなあ。一人浮いてた。トム・ハルスやロバート・デ・ニーロはちゃんと映画の俳優だなあと思った。音楽を延々と垂れ流すのも困ったもので、なにかしばらく間違って予告編を見せられてるんじゃないかと思ったもん。カットとカットのつながりがそんな感じなんだ、尻が座ってないってのか。まあ18世紀末の実験室はこんなものかという面白味はありましたが。原作尊重ということで、主人公が博士なのか怪物なのか揺れてたみたい。やはりこの話の面白さは、怪物が怪物にされていく過程にあるわけで、博士の科学論などは脇に回してもよかったんじゃないか。つまりフランケンシュタイン博士が出しゃばりすぎた。「フレンド」を求める孤独こそ中心に来るべきだった。と、ここらへんはこちらの好みに引き寄せた愚痴だが、セットの大階段をあまり生かせなかったのは明らかに監督の罪。醜くなったものが自殺しちゃうってのは、一般人にとって都合が良すぎる展開だなあ。改めて思ったのは、怪物に名前がないのは大事なポイント。まだ名付けられない新しいものってのは、すべて怪物視される可能性があるんだ。[映画館(字幕)] 6点(2010-05-29 11:56:16)

39.  不滅の恋/ベートーヴェン 《ネタバレ》 楽聖映画ってジャンルが昔はあったが、これはそれよりも、どちらかというとミステリー映画だった。「彼の不滅の恋人とは、音楽の女神のことだった」なんてなるんじゃないかと心配してたら、ちゃんと答えがあるのがいい。誤解のポイントに説明があって、一応推理ものとしてずるくない。16番の弦楽四重奏曲の楽譜に書き込まれていた言葉も使われていたりする(ただしそのときバックに流れていたのは13番)。馬車のぬかるみって伏線もあって(クロイツェル)、それらの解答が第九を背景に出てくる仕掛け。「月光」をピアノの蓋に共鳴させて耳当てて弾いているとこ、作曲家が聴覚を失っていく痛ましさが、彼の孤独とともに出ていた。甥への溺愛に自分の少年時代が重なる、この溺愛もまあ、伏線ってことになるんだけど。[映画館(字幕)] 6点(2010-01-29 11:58:27)

40.  フロスト×ニクソン 《ネタバレ》 こういう実話ものってのは、どこまでが事実でどこからが創作なのかが分からなく、それでかまわないのもあるけど、これなんか気になった。つまり出来すぎて感じられるんだな。最初二三発食らうが、最後にダウンを奪うボクシングみたいなもので、リアルな勝負なら最高に面白いだろうが、段取りが整えられてたとしたらシラけてしまう。まあ、こういうインタビューがあったってのは史実なのだろうが、誇張の度合いの程度が気にかかる。映画の芯は、一寸の虫にも五分の魂、ほとんどショーマンのフロストにも、ジャーナリストの魂がちゃんとあった、って話で、ついつい日本のジャーナリズムの情けなさに思いが行ってしまった。こっちでは、タイコ持ちになるか感情的な罵倒を垂れ流すだけで、基本の“調査”ってのが抜けてるもんなあ。しかも彼フロストは、自分で広告主を探し回るんだ。弱気になって「周囲に止めてほしかった」と愚痴ったりもするが、ジャーナリストとしての栄光をちゃんと夢見ている。マスコミ企業に飼われているわけじゃない。そんなあっちとこっちの違いを、しみじみ感じた。[DVD(吹替)] 6点(2009-12-27 12:04:33)

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