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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  ホーム・アローン 子どもが家に残ってしまう、という設定をこしらえる部分が丁寧。目まぐるしく走り回って、屋根裏に追いやられ、停電があって、あわただしい出発があって、近所のガキがうろうろしてて勘定の中に入っちゃって、飛行機の座席がバラバラで…、とにかく設定をこしらえてしまえばいいんだ、というテキトーさがなく、そういう設定へ持っていくところを楽しんで作っている。これ大事よ。で一人になったケビンがワーイと喜ぶのがイキる。にいちゃんの部屋を探検できる、甘いものを頬張って暴力番組を見られる。荷造りも一人で出来ないと思われてたケビンが洗濯機を回す。チビとノッポの泥棒二人組が登場。昔のディズニー実写映画にでもありそうな懐かしさ。これが執念で、盗むことより少年を追い詰めることに熱中するのも、トムとジェリーみたいで懐かしい。後半は前半ほど丁寧さは感じられなかったが、クリスマスを背景にすればある種のまろやかな雰囲気が生まれる。ポルカってのは映画ではいつもあんなふうに使われるな(『グッドモーニング・ベトナム』)[映画館(字幕)] 7点(2013-07-22 09:17:33)

2.  ホット・スポット 《ネタバレ》 暑いスモールタウンにブラッとやってきたワルの男が、悪女と運命的に出会ってしまう。清らかな娘に惹かれてマットウに生きかけるが、やはりワルはワル同士の腐れ縁。ついに男をキャッチした女が一瞬見せる切実な表情、堕ちるとこまで堕ちてやろうじゃないかと開き直った男の表情、そこらへんに酔いました。「上辺は酷薄だけども…」「一皮剥けばもっと酷薄さ」。盲目の黒人やゆすり男が不意に立ってるとこ。J・コネリーの靴を見て、すべてを悟る瞬間。悪の魅力が透明感・清潔感にまで高まった純度を持ったフィルム・ノワールの醍醐味。[映画館(字幕)] 8点(2013-07-21 09:25:02)

3.  ポップコーン ホラー映画を楽しむノリを、もう一つ外側から楽しむという映画。三つのホラー短編の上映会でホンモノの出来事が起こり、映画にはしゃぐ観客と実際の殺人とが重なっていく。スクリーンの裏側での画面と、ホントとの交錯などに工夫。あちらでは火傷した人を悪鬼になぞらえるのが平気で、お面が外れかけ耳がぷらぷらする描写などがある。ヒロインのジル・ショーレンて女優さんはB級テイスト版『オペラ座の怪人』にも出てた人で、普通の顔の人とは共演できないらしい。まあその大枠の話はどうでもよろしい。短編がいかにもそれらしくて楽しい。一つ目が「蚊」、巨大な蚊が襲うの。上映する学生仲間は劇場内に巨大な蚊の模型を飛ばす。二つ目は「驚異の??男」(ノートの私の字が略し過ぎててよく読めない、「電気男」? エセ科学がいかにもエセっぽくてよい、とある)。三つ目が「悪臭」、香港映画ということなのか、日本映画なのか、とにかく東洋ホラーがあちらでは一角を占める地位を築いているらしい。まだ『リング』以前だ。学生らは実際に劇場内に悪臭を立ち込めさせようとする。こうやってあちらのホラー自主上映大会は楽しんでいるんだなあ、というのが一番楽しめた。[映画館(字幕)] 6点(2013-03-26 10:20:46)

4.  北北西に進路を取れ 《ネタバレ》 007シリーズはいかに本作に負ってるものが多いことか。列車・飛行機からの襲撃・謎の女・女中…。ただこちらはあくまで「退屈な男」が巻き込まれていること。それと悪玉にも心があって、女をめぐる嫉妬があったりする。つまりこちらは最後は愛国心ではなく恋愛なの。退屈な男という設定のユーモアが、冒険に継ぐ冒険を対象化し、映画を外から微笑んで見ているようなゆとりが生まれた。絵葉書になるような名所で何かをやらかしたい、という姿勢はヒッチコックの基本で、かつては自由の女神あり、『めまい』はサンフランシスコの観光案内でもあった。本作では国連ビルからラシュモアまで行く。その一方に無名にトウモロコシ畑を本作最大の見せ場として置いた。うまいのは、まず飛行機が奥を横に飛んでるシーンがあって「これは背景なんだ」と思わせてるとこで、それが無作法にも、こっちに・スクリーンから垂直に向かってくるから観客はショックを受けるわけ。これは『裏窓』での、背景と刷り込まれてたアパートへG・ケリーが、やはりスクリーンに垂直な運動で入っていくショックと同じだろう。[映画館(字幕)] 8点(2013-02-05 10:22:25)(良:1票)

5.  ホット・ショット 《ネタバレ》 『トップガン』のパロディということで、あまり期待してなかったんだけど、そうパロディに頼ってなかったんじゃないか。本家を必ずしも必要としない笑いになっていた。いいぞいいぞと思い出したのは、馬上の美女が枝につかまって鉄棒の離れ業を見せるあたりからか。あと順不同で思い出すと、窓の外で訓練していた兵士たちが踊り去っていくとこ、表情が見えないのがいい。二枚目が「おごってやるぜ」と言うと、ドアやロープからワーッと人々がなだれ込んでくるとこ。二人が険悪になると店中が険悪になり、和解すると店中が和解する。吹き替えの歌が続いている間に、水を一口。唐突に歌いだすオンリーユー。猫が走り過ぎ、梯子の下をくぐい、鏡が割れ、ケネディ暗殺の真相をポケットに秘めたまま明るく離陸していく奴。サダムが出てきたのは仕方ないのかなあ、純度が少し落ちた。固い軍隊と柔らかなものを単純に対比したギャグはさして面白くないが、完全にドタバタやってるシュールな「有り得ない世界」が具体的に展開しているのが、面白い。[映画館(字幕)] 8点(2012-12-15 09:58:02)(良:1票)

6.  ぼくの美しい人だから S・サランドンにJ・スペーダー、あんまり心から笑ったことのないような二人。この年齢差カップルが恋に落ちる。それぞれ死んだ身内がいて、まあ傷をなめ合ってるということがなくもなかったんだけど、そうか、愛は傷をなめあうこと、って話か。補完性。どうなんだろう、あれ、スペイダーのキャラクターのせいかもしれないが、男のほうからは「堕ちていく快感」みたいなものってなかったのかな。残酷だから聞けないけど。あのあとうまくいくのか心配よ。やっぱ若い子のほうがよかったと思って後悔することはあるだろうし、ノラのほうも、マックスはやっぱ若い子のほうがよかったと思って後悔してやしないかと、ずっと気を揉み続けるだろうし。ああそうか、「気を揉む」ってのが愛の手応えなのか。この映画の教訓二条、「愛とは傷をなめあうこと」「愛とは気を揉むこと」、これね。ノラの気を張ってる感じがうまい。パーティのシーン。あからさまな反応がないだけに、彼女の浮いてしまっている辛さみたいのが分かる。離れられなくなった二人の問題なのに、世間は年増女に引っかかって一生を棒に振った青年という見方をするんだ。年の差が逆だとあんまり言われないこの非対称性に差別がありますな。[映画館(字幕)] 6点(2012-11-27 10:11:30)(良:1票)

7.  ホワイトファング 《ネタバレ》 ジャック・ロンドンって、イデオロギーの枠に囚われることのなかった(枠を超えてしまった)優れたプロレタリア文学作家だったんじゃないか、と「荒野の呼び声」読んだとき思った。底辺労働者の擬人化としてでなく動物を描くことに徹して、労働の底辺部を描ききった。この映画観たら、それに「恋愛作家」という称号も与えられそう。水飲みながら向かい合うイーサン・ホークと「白い牙」、ほとんど一目惚れの電気が走る感覚。それから出会うごとにチロチロと互いに気にしながら惹かれ合っていくなんて、恋の描写ですよ。愛さえあれば種の壁なんて、と言うか。なんか恋愛映画として堪能してしまった。といって擬人化しているわけではない。『小熊物語』なんかよりもちゃんと動物に対する視線があります。母の死の後で世間へ出ていくあたりはいいですな。凶暴になった白い牙がジャックのところで優しさを知るあたり、もっと新鮮な感動を生み出せそうなのに、ディズニー映画の限界内での味わい止まりだったのが残念。ラスト白い牙が現われるとこはジーンとするけどね。究極の純愛映画。[映画館(字幕)] 7点(2012-04-16 10:04:54)

8.  ポセイドン・アドベンチャー(1972) 《ネタバレ》 ひっくり返るシーンは、当時はとてもドキドキさせられた。「普段でないものを見せる」というエンタテイメント映画の基本を確認させてくれた。今見ても「天井」のテーブルにぶら下がる人たち、ってのはインパクトある。でも脱出行になると、あんまり「さかさま」が生きてこないんだ。いちおう非常灯が脱出行の床(つまりかつての天井)で照ってるんだけど、この時代のフィルムの感度ではその光だけをくっきりとは印象づけられなかったのか、あるいは当時の映画作法として画面を暗めにするのは客に対し礼儀に欠けるということだったのか、全体がぼんやりと明るくなってて、光源による「さかさま」感は出せていない。ま、そんなことはともかく、一番懐かしかったのは牧師の感じ悪さ。もしかするとこの映画を観たおかげで、私の「信念の人嫌い」が決定的になったのかも知れない。根拠のあまりはっきりしない自信満々で次々行動を決定していく。いや、一応言ってるんだ、「海水が流れ込んでくる」とか。でも「という考えもあるなあ」じゃなくて、確信になってる。ほとんど信念。ベトナム戦争で自信喪失してたアメリカにとって、こうパッパ決断していく強いリーダー願望みたいなものが、下地としてあったんでしょうな。アメリカ精神の基本を「感じ悪さ」とともに納得させられたという点で、私にとって名作でした。救助隊の人に「船首に逃げた人は助からなかった」ってまでわざわざ言わせて牧師の行動を補強するシナリオにしてんなら、ついでのもひとつ「皆さんがここまで来て船底をドンドン叩いてくれなかったら帰っちゃうとこでした」ぐらい言ってもらいたい。あそこまで行ったことに意義がなくちゃ、刑事の妻リンダのどたんばでの死があまりにも不憫じゃないか。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-14 10:15:46)

9.  ボンデージ ちょっと歳喰いかけている娼婦の身の上話映画。といっても『西鶴一代女』のようにおどろおどろしくも格調高くもない、しみじみよりも軽快なノリ。主人公がときおりカメラに語る映画ってのはけっこうあるけど、全篇ってのは珍しい。おそらく『ファンタジア』を観てるヒロインと、友人(黒人男)との愚痴と、車の中のヒモとの議論、のような形式になる。身の上話といっても湿っぽい愚痴だけではなく、ヘンタイの客の話とか、男社会への反発とか、社会はこういうふうに娼婦の目には見えているのか、という新鮮な視点が与えられている。とくべつ責任をとらずに人の話を聞く楽しみ、ってのが「身の上話」にはある。いくぶんかの好奇心も手伝って。画面はこの監督にしてはあまり作り過ぎない地味目。くるみ割り人形のバレーを観るシーンは、『ファンタジア』の伏線か。孤独に至る性ってのがあるんだな。[映画館(字幕)] 6点(2012-03-11 09:30:25)

10.  ボディガード(1992) 狂ったファンてのが好きなので、前半は楽しめそうな予感があった。ライブハウスのシーンあたりは、音楽の力もあったけど、ドキドキした。でも後半はいただけませんなあ。二人が恋に落ちるのは別に構わないが、そのことでくよくよ思い煩う時間が長すぎる。テキパキやってほしい。こういうとこをテキパキやれるのがアメリカ映画の良さだったのに、最近こういうとこで水っぽくなるのが多い。だんだんとストーリーもアラが出てきて、かなり無茶になっていく。リッチな黒人女性と白人ボディガードという組み合わせによる緊張ってのは特別なかった。もう珍しくないのだから、そういうことに「何かあるか」とこだわってしまったこちらが古いのかもしれない。「ボディガード」ってのは「用心棒」の直訳か。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-20 10:03:07)

11.  ホワイト・サンズ 《ネタバレ》 イイモンはカウボーイハットかぶって「嘘をつくときも正直な」W・デフォー。それに対する現代アメリカは武器の横流しに手を貸しても「でもそれで慈善事業すればいいんじゃない?」と思っているM・E・マストラントニオ。前半の演出は悪くなかったよ。少年の自転車寄りかかってんの倒してガレージが開いたり(あの自転車あとでイキてくるのかと思ってたらそれだけだった)。中盤から映画、全然動かなくなってしまった。大きな組織の広がり具合が感じられない。組織の悪じゃなくて、組織からのハミダシモンの悪だから仕方ないのかもしれないけど。人種平等の観点から黒人も悪人にならなければおかしいと常々思っていたが、でも「有色人種は気の毒な立場」という時代のステレオタイプが強固に存在しているのか、どうもスーッと入ってこない。観てるこっちの責任か、演出のまずさか。白い砂の中を逃げる黒い男って対比なんだ。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-15 12:24:59)

12.  ホーム・アローン2 これはいくらヒットしても続編は難しいだろうと思っていたら、よく考えますなあ。一人になることを「楽しさ」として捉える視点は同じ。この大家族の鬱陶しさってのは、おそらく疎外がテーマになる今のアメリカ人の大多数にとっては過去の話だろうが、そうでもないのかな。前作と同じパターンでいきそうになって、でも空港までは大丈夫、ここで違う便に。ここらへん丁寧に出来ている。ニューヨークに来てしまう。リッチなホテルとプアな公園で光と影。それぞれが、一人でいられることの解放感と一人でいなければならないことの心細さにつながっていく。ビデオの声をつかったギャグは、この前もたしかあったけど、まあ笑える。で脱獄二人組におもちゃ屋へと話が広がって。おもちゃ屋でいろいろあるのかと思ってたけど、それはナシ。廃屋での闘争が見せ場だけどイマイチだった。トムとジェリーなんかのアニメのノリを実写でやられると浮いちゃう。サイレント時代だとこれでいいんだけど。鳩に花火にクリスマスツリーと祝福的気分、そういえばおもちゃ屋の主人はなんとなくフランク・キャプラ的だったなあ。病院の子どもと窓越しに見て手で合図しあうあたり丁寧。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-06 09:47:35)(良:1票)

13.  ホット・ショット2 《ネタバレ》 前作はけっこうパロディを突き抜けた「無意味」自体の輝きを感じた部分があったんだけど、今回はパロディの枠を抜け出られなかった。チャーリー・シーンやヴァレリア・ゴリノといった非喜劇的人物がドタバタをやるという取り合わせの新鮮さも、二度目となると慣れてしまう。個人的に好きなのは、背景でなんかやってるギャグで、タイのシーン、手前でハーレーを巡るドラマが展開している向こうで、セクシーなミシェルの前に坊さんが並んで、犬が立った芸を見せてるとこ。あの手のが好きだなあ。フセインを出したのが、ナンセンスものとしては不純になってしまった。敵地で鍵を盗み取るのにやたら音をたててしまうギャグ、その鍵を木の檻から体を出してつかみ取るギャグなど。[映画館(字幕)] 5点(2011-10-30 12:13:49)

14.  ボーン・イエスタデイ(1993) ネタは「マイフェアレディ」かと思ったら、なんか昔にも一度映画かされてる別の話らしい。設定は現代にしてあっても、どこか昔の話って感じが残る。「女はつらいよ・ワシントン立志編」って言うか。マリリン・モンローがやるともっとかわいくていい話でしょうね。メラニー・グリフィスだと、なんちゅうか、ひがみっぽさが出てきちゃう。そもそもこの単純な上昇志向が、もう現代(封切り時の)では無理なんだよね。人は学習だけでアップするとは今は誰も思っていない。やっぱストーリーと映画化のタイミングってあるんだよなあ。おそらく本作で一番いいのは、ジョン・グッドマンの成金でしょう。ゾッコンまいってる弱みがあって。パーティの8ヶ条なんかはアメリカ人だともっと笑えるんだろうが、こちらはどうしてもワンクッション置いてしまい、直の笑いになれない。[映画館(字幕)] 5点(2011-10-11 10:18:51)

15.  ホッファ なんかフランチェスコ・ロージあたりが好みそうな題材。喜劇人は、ほんとの僕はお笑いとは違うんだよ、と言いたがる。D・デヴィートの監督作。アメリカ人には、ホッファと聞いただけでもうイメージが出来てるような人なのかな。人を組織する楽しさにのめり込む男。労働者労働者と叫びつつ本人は労働者と一線を引いている男。組合を大きくしていくためにはマフィアの手も借りるが、決して企業側・経営側と裏取引きはしない男。まあ、J・ニコルソンが演じてるってだけで、そういうアクの強い男だってのは分かるけど。組合のプレジデントたることを目指し、そしてそこから転落する哀愁。哀愁でもないか、じたばたしながら没落していく。クレーンで動いていたカメラがそのまま狭い倉庫の中に入り込んできたり、と演出はやたら凝る。イメージのディゾルヴ。雪の足跡→ゴルフボール、水たまり→雨上がりの月、壁の影→デヴィート、テーブル→ダーツの的と、ちょっとくどかったかな。アメリカ映画はこのころ「実録・男の世界」が流行ってたんだ。[映画館(字幕)] 7点(2011-08-25 09:53:29)

16.  ボブ★ロバーツ/陰謀が生んだ英雄 徹底して頭で作った映画だけど、底には今の社会の「なんとはない嫌な感じ」があるから、アタマ倒れになっていない。架空の青年政治家という焦点を一つ設定することで、その「嫌な感じ」があきらかになってくる仕掛け。「ファシズム」とまでは言えないが「前ファシズム」的雰囲気。漠然とした保守回帰、清潔やプライドの強調、またカントリーソングってのがそういうのに合ってるんだ。ファンの三人兄弟が、ホンモノらしくて怖かったなあ。初めて会って緊張し切っている目つき。考えてみれば「ファン心理」ってのは「絶対希求」であって、もともとファシズムに流れやすい状態になってるんだろう。眼が澄んできてる。病院で立ち尽くす人々。テレビが批評的な役割りを期待されてたのが意外だった。日本だったら一番に流されるメディアだろうし、あちらではよく新聞がこういうときには出てくるんだけど。対話のインタビューワーが怒ったり、アホなテレビショーのキャスターが意外と固く拒んだりと、単純化していない。保守的に見える人物がリベラルだったり、若者が反動だったり(これが怖かった)。[映画館(字幕)] 8点(2011-07-10 12:10:41)

17.  暴走機関車 ハラハラシーンは、シナリオ製作時よりたぶん目新しさはなくなってしまったが、かえって人間造形の古さに出会えるのが嬉しい。マニーが人生観を述べるくだり。「地道な暮らしてえのがどんなもんだか。小さなシミをきれいに拭き取らなきゃならねえんだぜ」とか言って、若造が「ふん、馬鹿らしい」とか言ったのを受けて「俺はそれがやりたかった」とガンと言うあたり。そもそもこのコンビは、志村‐三船あるいは三船‐加山なんだけど、ここなんか特にそうでしたなあ。あとやたら若造が「パートナーだろ」とこだわるあたり、そしてラストでは尊敬の目で見送っていくの。黒澤映画の「師弟」が、こうして生まれ変わって生き続けてゆく、って単純に嬉しかった。所長との憎悪による結びつき、好敵手の関係、これも男の心理ですなあ。相手のことしか頭になくなっちゃうの。こういった「男と男」の世界が黒澤の世界なんだなあ、と改めて思わされた映画でした。サスペンス演出の盛り上げが下手なのも、師匠に対し弟子が一歩下がっているようで、礼儀をわきまえている。[映画館(字幕)] 6点(2011-03-07 10:01:48)

18.  放射能X 《ネタバレ》 キチッと楷書で書かれたような、正しいモンスターもの。最初は人里離れた地での異変、無表情の少女が人形を抱いて荒れ地を歩いてるってのが導入として見事。やがて『キングコング』式に、脅威は都会へ拡散してくる。漠然とした謎ではなく、砂糖という具体物に焦点を当てているのも、現実と通じあっていていい。科学映画の蟻の生態のフィルムによっても、空想科学の空想を現実に繋ぎ止めている。現実との見立ては、最後で蟻の巣と都会の雨水路が重ねられる。戒厳令はものものしく、ちゃんと美人科学者も出てくるし、これで巨大蟻の造形がもうちょっと良かったら申し分ないんだけど…、と若干の不満を思ったが、モンスターをショボくしか作れないという欠点を意識していたからこそ、気配や予兆で話を持っていく「怪奇もの」の文法ってのが練り上げられたのではないだろうか。いまは技術の発達により、造形に凝ることが可能になって、それが映画の売りになるまでになった。ギーガーなど、モンスターの造形家の固有名詞が宣伝材料になる。それはそれでいいことだ。しかしモンスターがショボい時代があったからこそ、それ用の文法が出来た。これは、映画が最初にサイレントの時代があったからこそ、独自の芸術を生み出せたってことと同じで、だからこのショボい巨大蟻にも、我々は感謝しなければならないのだ。[DVD(字幕)] 7点(2011-01-08 10:19:34)(良:1票)

19.  ボーン・アルティメイタム 《ネタバレ》 巨大な組織と個人の対比を見せるためにこのシリーズがしばしば採用するのは、監視網の中で逃げ切る主人公。同じような趣向の繰り返しではあり、CIAがマヌケに見える ギリギリの線なのだが、サスペンスとしては楽しい。本作では、ウォータールー駅のシーン。携帯で指示を出しながら、ボーンと記者が動き回る。へたなアクションよりも、映画の楽しみが満ちていた。そこでしゃがんで靴の紐を結び直せ、とか。周囲に配置されたカメラの目と、個人とのかくれんぼ。敵が潜んでいるかも知れない群衆だが、そこに隠れることもできる群衆の海。終盤、アメリカに帰還してからは、CIAのオフィスががら空きとか無理が目立つが、その「いよいよアメリカに帰ってきた」という舞台設定自体が、「大詰め近し」のワクワク感を盛り上げてくれているので、許そう。シリーズ全体としては、マリー、ニッキー、パメラと、主要女性キャスティングにハリウッド的美人をいっさい排除した姿勢がよろしい(M・デイモンに合わせたのか)。どれも「美人」としてでなく「顔」としてインパクトがある。ラストのニッキーの笑顔なんて、アン・ハサウェイだったらちっとも効果なかったでしょ。[DVD(吹替)] 7点(2010-08-05 09:42:07)(良:1票) 《改行有》

20.  ボーン・スプレマシー 《ネタバレ》 製作会議では以下のような会話が交わされたのではないか。「今回は一匹狼を前面に出しましょう」「だとマリーが邪魔になるなあ」「開始早々殺しちゃえばいいんですよ、すると復讐のドラマにもなりますから」「でもボーン自身殺し屋みたいなもんだろ、正義の復讐って言ってもなあ」「それなら釣り合いを取って、彼の贖罪の旅を重ねればいいでしょ」「なるほど、深みっぽくなるなあ」「舞台はどうする」「前回が女連れの花のパリでしたから、もっと寒色系の街がいいですな、いかにも女っけに乏しい都市、ベルリンとかモスクワとか」「あ、それ両方いただき」「じゃあ冒頭でマリーに消えてもらうのは、反対に暑い街ですね、インドのゴアあたり行っちゃいますか」「ヤマちゃん、今日冴えてるねえ」、…などといった感じであったろう。アレキサンダー広場のシーンは、もっと面白くできそうだったが、その禁欲的なところがこのシリーズの魅力なのか、とも思わせられてしまう。それなりにドキドキした。カーチェイスっていつもはだいたい退屈するものだが、今回のモスクワはけっこう引き込まれた。こちらの車にパトカーが横からぶつかってくるのを車内から捉えたところの、驚きの効果と迫力。それと望遠で覗きながらのパメラとの電話、ああいうシーンはドキドキさせる、「ニッキーならあんたの隣に立っている」。黒澤の『天国と地獄』で、捜査員一同がパッと窓の視野から隠れて身を伏せる名場面を思い出した。見えない相手と耳元の声とのギャップから来るスリル。[DVD(吹替)] 7点(2010-08-03 10:07:35)(良:1票)

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