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1. 勇気ある追跡
《ネタバレ》 「トゥルー・グリット」のオリジナル作品。
ストーリーに関してはそれなりに面白く、目的の異なる三者のアンバランスさも本作に良い効果を与えているが、それほど深みを感じられない作品ともいえる。
ラストの4対1の決闘には“熱い”ものを感じるが、全体的にあっさりとし過ぎているような気がする。
原題のタイトルにあるような「本当の勇気・気骨さ」のようなものを感じ取れればよかった。
死ぬ直前でも仲間を救おうとする姿が「本当の勇気・気骨さ」というものだろうか。
西部劇をあまり見たことはないが、“深み”などというものを求めずに、こういうものと割り切って楽しんだ方がいいのか。
ジョン・ウェインをよくは知らないが、やはり存在感の高さは十分感じられ、彼の雄姿を堪能すればよいのかもしれない。[DVD(字幕)] 6点(2011-04-23 21:35:39)《改行有》
2. ユージュアル・サスペクツ
《ネタバレ》 過去に鑑賞したことがあるので、ネタを知っている状態で再見。
ネタが分かっていても、ぐいぐいと引き込まれる仕上りにはなっている。
過去や現在、真実と虚偽が入り混じる複雑なストーリーではあるが、再見してみると、それほど複雑でもないことが分かる。
絡まった線のように見えて、解き解そうとすると意外とシンプルで分かりやすい。
また、絡まり方も複雑で堅くなっているのではなく、誰でも解けるように丁寧に易しく絡まっていると思われる。
しかし、いくつかの謎や辻褄が合わないところも散見されてしまう。
一番の問題は、ソゼが逃げられる状態でありながら、わざわざ捕まって、警察に嘘八百を並べ立てることとだろう。
「ソゼ=キートン」と警察に誤認させるという目的があったと考えることもできるが、納得はいかないところではある。
しかし、これを否定すると、映画が成り立たなくなるので、深くは考えない方がよい。
辻褄が合わなくなることは承知で、こういう映画は構成されているので、粗を探すよりも単純に鑑賞する方が面白いと思う。
ネタに関しても、それほど嫌悪感はなかった。
「誰がカイザーソゼであるか?」ということをメインにして、観客に問うているのであれば、この結末に対して、ぶち切れるかもしれないが、本作のメインは「事件の顛末」を解き明かすことであると思われる。
ネタが分かっていて鑑賞していたためか、「真犯人は誰かを予想する」「どういうオチかを予想する」類の映画とはやや異なる方向性で製作されている気がした。
なかなか見所のある映像的なカットも多い点が特徴。
ブライアン・シンガーのことを完全に理解しているわけではないが、彼らしくないスタイリッシュなカットも評価できる。
ケヴィン・スペイシーの演技も素晴らしく、彼の怪演があったからこそ、これほどの映画史に話題作となったのだろう。
そういう観点からも高い評価はしたいところだが、驚かされるものの手放しで評価したくなる映画でもない。
ネタを知っていたにせよ、知らなかったにせよ、何か足りない部分はありそうだ。
これに何かを付け加えるのも蛇足となるので、そういう意味では完結しているともいえるが、何かが足りない。
他の映画のネタバレができないので、ここでは書けないが、オチが素晴らしい映画とされているものにはオチだけではなくて、それ以外にも重要なことが描かれていた。[DVD(字幕)] 7点(2009-03-21 02:09:09)(良:1票) 《改行有》
3. ユナイテッド93
本作は、美談満載、お涙頂戴の感動モノではない。また、テロリストを「悪」と位置付けて、乗客が「英雄」として戦う映画でもない。
ただ、あのとき何があったのかを丁寧に徹底的に描き出したにすぎない。ここにはエンターテイメント性や複雑な人間ドラマなどもない。だから、「涙」や「面白さ」を期待してはいけないだろう。
自分は、この映画は「問いかけ」なのではないかと感じた。
このような状況下におかれたら、あなたはどう行動しますか?という問いかけ。
ユナイテッド93の乗客もたまたまあの飛行機に乗り合わせたにすぎない。自分もよく飛行機には乗るし、誰でも彼らと同じような状況に陥る可能性はあるだろう。
軍は機能しない、管制塔も混乱している、そのような時に自分ならばどういう行動ができるだろうか。自分ならば誰に最後の愛の言葉を掛けるだろうか。自分ならばどんな感謝の言葉を伝えるだろうかというようなことを考えずにいられない。
そして、この映画をみて、「映画」とは何かを考えずにもいられない。
「映画の持つ意味」、「映画の果たすべき役割」とは何であろうか。
嫌な記憶を思い出したくないとアメリカ人の中には本作の公開を拒否する運動もあったかもしれない。しかし、あったことをただ風化させるだけでは何の解決にもならない。イギリスでもまたもテロが起きようとしていたばかりである。
映画は、人々に事件から目をそらすのではなく、事件に対して直視させ、何かを感じとってもらい、何かを考えさせるチカラがあるのではないか。
映画によって、何があったのかを伝え、自分たちに何ができるのか、なぜこのようなことが起きるのか、どうすればこのようなことを防ぐことができるのかを人々に考えさせるきっかけになると信じている。[映画館(字幕)] 8点(2006-08-13 02:52:23)《改行有》
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