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241.  エイリアン 《ネタバレ》 終盤でけっこう長く、登場する人間が主人公だけになってしまうなんてほかに思い出せるのは『2001年』ぐらいで、エンタテイメント作品ではあんまりないんじゃないか。同僚との通信が途絶えてからは、耳にする人の声はカウントダウンの数字の読み上げ、人間の感情の通っている会話がなくなる。これがサスペンスを盛り上げている。それと同時に、剣豪と剣豪とが最後の試合に臨まなければならなくなっているような緊迫も生まれている。ここらへんたまらない(逃げ出すんなら、何も本船爆破しなくても…、なんて考えてはいけない)。無機的な宇宙船と、ヌメッドロッとした有機体としてのエイリアンの対比の映画、と思っていたんだけど、そう単純でもないんだな。エイリアンのヌメッとした頭部は、ラストでは機械のツルッとした部分にまぎれている。破壊されたロボットは思いっきり有機体っぽく白い液を撒いてスプラッターやってる。無機物と有機物が対立しているようで、「向こう側」でつながっている気配もあり、それが本作の「安心できなさ」を生んでいる。あの星で見つけた構造体(エイリアンにかつて襲われた異星人の宇宙船と思っていいんでしょ?)、あれ構造物とエイリアンの巣とがつながってる「胎内」のイメージがあるのが不気味なんだ。その曖昧につながってる感じが、ノストロモ号の機関にまぎれるエイリアンを説得あるものにしており、この映画の不気味さを「向こう側」で醸している。けっきょく姿をハッキリ現わさないエイリアンを特徴づけているのはその歯であり、それが「捕食」という生命維持行為を超えて「悪」のイメージも含んでいるのがちょっと不満。もっと「純粋な生命体」ならではの善悪を匂わせないイメージを生み出せなかったか。[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-06-16 09:54:23)

242.  レイト・フォー・ディナー 60年代の部分は、いいぞいいぞ、と思って見ていた。ナレーションでシークエンスをつないで、回想シーンになるときは画面がゆらゆらとなる昔のタッチを採用、ユーモアのセンスも悪くないし、テンポもいいし。なのに90年代になるとガラリ監督が変わったかのようなモタモタぶり。愛は時代・年代・年の差を越え得るか、という一点だけがポイントになって急に線が細くなった。男二人に個性が欠けるのもつらい。アメリカにとって60年代ってのは無垢の象徴なんだな、ということのみ理解できた。このころ冷凍保存ものの話が多いのは、何か社会にそういう話題があったのか?[映画館(字幕)] 5点(2012-06-15 12:21:49)

243.  黄昏(1981) ちょっとボケ始めたことを自覚し、心では弱っていながら頑固を通すジイサン。火を出して「ワシ、何しでかすか分からんな」なんてとこ、グッとくる。イチゴ摘みに行って(『野いちご』を意識してるのかな)道が分からなくなるとこの怖さ。それらを含む老夫婦の物語の部分は実にいいんだけど、ヒネたガキが素直になるとか、父と娘の和解とか、ドラマチックな部分になると急に嘘っぽくなっちゃう(というか現実の俳優親子のこと考えちゃって気が散る)。それまで四方に輝いていた人間性が、そのドラマの枠内だけになってしまったというか、しぼんでしまった。親子で怖がっている図なんか、そう悪くはないんですが。ゲームをしてても、つい真剣になってしまう、なんてよく分かる。冒頭の湖、草がゆさゆさ揺れて美しい。[映画館(字幕)] 6点(2012-06-13 10:24:36)

244.  壁の中に誰かがいる 一番困る映画って、あちらが笑いを狙ってるのかそうでないのかハッキリしないホラーで、もしかするとマジかもしれない、って気分があるので心から笑えない。途中から劇場内では、もう皆さん笑いましたけど、でも気分は中途半端でスッキリしない。あのオッサンなんであん格好しなきゃいけないんだろう。また吠え声は獰猛な犬が、姿は獰猛と程遠かったり。見始めのときは「家というものが本来持っている怖さ」というあたりを軸に観賞していこうか、などと思っていたんだけど、次第に気が抜けてきた。街の住人たちがぞろぞろと「正義」って感じで現われてくるところが最高かな。[映画館(字幕)] 4点(2012-06-12 10:30:10)

245.  汚名 《ネタバレ》 メロドラマとしてのサスペンスと、スリラーとしてのサスペンスがあるのが、本作の特徴。鍵一個でハラハラさせられる。背中越しに移したり、夜会の中でのクローズアップ。シャンペンが次第になくなっていく怖さってのもあった(露見する恐れ)。観客の心は何もヒロインにだけ寄り添っているのではないんだ。何が怖いと言って、助けを求めようがないってのが一番怖い。自分が毒飲まされることに気づいても、そこにいる第三者に言えない(するとスパイがばれてけっきょくアウト)。こういう「とらえられた!」ってのがこの監督好きね。ラストの階段降りはただただ陶然。このワル、憎めないのよね。『鳥』のお母さんみたいのがいて家庭もある。ずいぶんかわいそう。ヒロインはけなげ。愛を証すために自ら敵地に乗り込み、そのことによって誤解を受けたりして、けなげ。[映画館(字幕)] 7点(2012-06-11 10:23:47)

246.  ビルとテッドの地獄旅行 《ネタバレ》 いわゆるオバカ映画ってやつで、主人公二人の型にはまった動きはある程度意識したものだろうから、それを薄っぺらと言ってもしょうがない。楽しみは、そういう映画で地獄をどう描くのかってところだったんだけど、表現主義風でちょっと面白くなりかけたのに、なんか『第七の封印』のパロディみたいのに流れて、徹底してくれない。死神のキャラクターも一昔前なら楽しめたのかもしれないが、ダメだった。ワルのほうが、実は時間をさかのぼって檻の鍵を作ってあったんだ、ってとこだけ笑えた。あとはエンディングの新聞・週刊誌で、その後の彼らを追ってくところか。新鮮味はないけど。[映画館(字幕)] 4点(2012-06-09 09:58:44)

247.  グロリア(1980) 《ネタバレ》 これ『クレイマー、クレイマー』の翌年の作で、あっちの記憶が残ってるうちに観たので、比較してしまった。あっちは父親の女性性の回復というテーマだったんだろうが、その後でこっち見ると、とっくに女性は男性性を回復してるんだ、と言ってるみたいでおかしかった。男のようなヒロインが次第に女心を膨らませていくという、意地よりも子どもの命が大事、という心のドラマがあって、こっちは少しややこしくなっている。冒頭の夜のニューヨークの空撮が美しいが、見応えという点では、ジーナ・ローランズの顔だね。なんか日本の仁侠映画のやくざの顔にも通じるものがある。アクションと人情が重なる場、たとえば子どもを突き放そうとしてたところへ悪漢が来て撃ってしまうところ。バンバンと向きを変えて撃つほうだけを撮ってて爽快。いつも不意に発砲するのがいい。[映画館(字幕)] 7点(2012-06-04 09:57:49)

248.  ロングタイム・コンパニオン エイズへの偏見撲滅キャンペーン映画とでも言うか。このころはエイズ映画が多かったけど、最近ないな、今だってまだ蔓延してるんだろ? あの国はときにこういう野暮ぎりぎりのキマジメな映画を作り、それが主流になっては困るけど、こうやって地固めをしている部分もあるのが、あちらの映画産業の丈夫さなんだろう。ゲイ社会たって普通なんだ普通なんだ、と脅迫されているような気がちょっとした。エイズに関して言えば、彼らが人類全体の尖兵となって感知してくれてるようなところがあるわけで、だからと感謝を強要されてるような。みんなで昼メロ見ている和気あいあいの感じが印象的だった。それが仲間でさえキスの後では神経質に口を濯がねばならなくなる病いが、エイズなんだ。ここらへんをもっと突っ込めば普遍性のある映画になっただろう。私のノートの最後に「YMCAは笑えた」と書かれているのだが、なんだったか思い出せなく気になる。[映画館(字幕)] 5点(2012-06-03 09:41:51)

249.  フロント・ページ(1974) 《ネタバレ》 これ起こっていることは深刻でほとんど社会派もの映画の題材だよね。刑の執行を強引に行なおうとする行政側と、逃亡した死刑囚。それに新聞記者が絡んで、日本だったら熊井啓がムッツリ描く世界。ブンヤ魂の描写にしても、首にタオル巻いてたりしてもっと汗臭く泥臭く描く。それらを一歩離れて笑いで描くところが、アメリカの大人の文化。こういう映画や戯曲が生まれる成熟には、日本はまったくかなわないと思う。広い意味での粋がある。主人公も自分のブンヤ魂にウンザリしていて、まっとうな暮らしをしようと判断した直後だった。でも事件が起こるとじっとしていられない。しかし目の前で娼婦が愛人のためにとった行動を見て、ああ愛のある世界がまっとうだ、とそっちの新婚旅行方向へ舵を切り直そうとする。しかしそれをさらにまた編集長が引き戻していくわけ。この「分かっちゃいるけどやめられない」ブンヤ稼業の業のようなものを、笑って見ている大人の目がある。この監督の新聞記者ものでは『地獄の英雄』も傑作だったが、ブンヤ映画で名作が生まれるアメリカは、大人の国ってことなんだ、いや、これはもう過去形で言わなければならないか。[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-06-02 09:55:58)(良:1票)

250.  E.T. 《ネタバレ》 前半家庭内の部分がいい。ボールが投げ返されてきたり、ママといろいろすれ違ったり、たんすの中でぬいぐるみ人形と一緒に隠れてるのなんか最高。でもエリオットが学校に行って、E.T.との心の交感があらわになってくると、映画に不純なものが混じってくるようで、新鮮さが失われていく。心理学的な解釈が入り込んでくるというか、『未知との遭遇』までは感じられた「新しいもの」の感触が遠のいた。あっちにはあった臨場感が薄れてしまった。科学者たちが『未知…』ではこちら側の人間だったのが、これではあちら側に回ってしまって、大人が均一のノッペリした存在になってしまったからだろうか。子どもっぽい大人と、子どもとでの違いなのだろうか。いえね、けっして悪い映画じゃなくて、自転車が飛ぶときの爽快感はやっぱり見事だし(『ダンボ』?)、「人を見たら泥棒と思え」という話より「よその人には親切にしましょう」って話のほうが気持ちいいし、そういうのが甘い理想だとは思わないんだけど、なんちゅうか、以後もスピルバーグ映画にときどき現われてくる「子どもへの過剰な擬態」が、初めて気になった作品ではあった。[映画館(字幕)] 7点(2012-06-01 10:01:24)

251.  博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか 《ネタバレ》 これはキューブリックの最後の白黒映画で、その後カラーの世界でも美しさを極めていくが、光と影の洗練は本作が頂点だろう。とりわけ将軍がらみのシーンで、狂っていく男をとりまく環境の冷ややかさが素晴らしい。暗がりよりも光(おもに蛍光灯)が冷ややかなのが特徴。カラーの世界でも狂っていく男や狂っていくコンピューターを光のもとに描いていくが、白黒の本作が一番ひんやり感じる。外では基地での攻防が、実際の戦闘のドキュメントのような迫真で展開していて、ならばこっちは熱いのかと言うと、車両が燃え上がっているにもかかわらず、トップの狂気が原因の同士撃ちという理由をこちらが知っているせいか、冷笑とまでは言わないがどこか冷めた気持ちで見てしまっている。作戦会議室がひんやりする広さを持っているし、爆撃機の外にはロシアの寒冷地の光景が飛び過ぎていく。この冷たさが畳み込まれた結果、高熱の爆弾が炸裂し続けるのだが、このまぶしい光景すら蛍光灯の光のように冷えびえと迫ってくるのは、自分が地下シェルターに逃げ込める側の人間ではなく、間違いなく取り残される側の人間だからだ。ストレンジラヴ博士にナチの影を与えているのが、話を狭くしているようで昔は不満だったが、ナチの選民思想が当時の核保有国に受け継がれている、ということを言いたかったんだろう。それがこの長い題名の意味するところでもあった。この副題の構文は現在でも有効だな。ちょっと変えて「日本人は如何にして心配するのを止めて原子力を愛するようになったか」と綴れば、深く考えずただ流されていったこの国の戦後史になる。[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-05-29 09:48:15)(良:1票)

252.  過ぎゆく夏 ジェームス・ディーンの再来って宣伝だったけど、こりゃただのソックリさんだわな。もう勝負のついている賭けに、さかのぼって50年代にロックンロールに賭けたってちっとも偉かないさ。本当のJ・ディーンの時代と比較した(映画製作時)90年代のだらしなさを自己批判した映画としてなら意味があるが。鐘で始まり鐘で終わる。お粗末な演奏はよく出来ていた。ロックが乗ってくるとこね。監督はなんでも振り付け師あがりだとかで、その感覚だろう。後の秘密バーでのダンスシーンより良い。DJで流れていた曲は、なんかアレンジが50年代以降に聞こえたんだけど、どうだろう。ラストはもう定型どおり。喜劇だと定型どおりが○になることが多いけど、こういうドラマだと×に感じる。なんかシラケちゃうんだな。ま、おばあさんがロックンロールに乗って自然に腰を動かし始める、っていう定型がなかっただけでもヨシとしよう。[映画館(字幕)] 5点(2012-05-25 10:11:55)

253.  ワン・フロム・ザ・ハート これ『地獄の黙示録』の次の監督作で、意表をついたミュージカルで映画ファンを驚かせたものだった。冒頭、ネオンの裏から店の中にはいっていってテリー・ガーの鏡にまで至るワンカット。男のほうの話から女に移っていって、いろいろあってまた男に戻ってくるまでのワンカットも楽しかった。男女の歌が心理を描いていくのが義太夫を思わせ、このラブストーリーは都市生活者にとっての「民話を元にした人形浄瑠璃」を思わせられた。主人公は人形なんだから、歌わない。しかし踊りはもっと見せてもらいたかったな、彼らは操られているんだから。ま、ちょっと見せたガーのダンスのぎごちなさを思うと仕方なかったのかもしれない。シルエット・タンゴが美しい。だいたい撮影が逆光の好きなV・ストラーロで、あの人の人工光による世界では、これと『ディック・トレイシー』がとりわけ美しかった記憶。デュエットが流れているときの人物が手持ちぶさたなのに、もう一工夫ほしいところ。[映画館(字幕)] 7点(2012-05-21 10:20:04)

254.  フライド・グリーン・トマト 老婆の語りということで、何らかの物語的変形が加えられている可能性があるわけ。本当にあったこと・こうしてやりたかったこと・こうであるべきだったこと、が混ざりあっている妄想世界としての豊かさがある。マイブルーヘブンが流れ、完璧だった兄の死によって女の友情が代理として浮かんでくる。ただこのヒロインがあんまり魅力がないんだ。「野生児的問題児」なんだけど、生命力に欠ける。南部というとKKKが出てくるんだな。対する現代編、とりわけK・ベイツの家庭が薄っぺらで減点。ふたりのオスカー受賞作品にちょっとずつ触れるのがあちらの敬意の表わし方なんだろう。「ホラー映画のデブ女じゃないの」とか「町に車で出て行くとき…」とか。ホラ話で良かったのは「カモが飛来した日に寒くなりみな脚が凍りついてしまい、湖ごと飛び立った後に窪地が出来た」っての。[映画館(字幕)] 6点(2012-05-17 10:24:04)

255.  フランス軍中尉の女 《ネタバレ》 なるほどなるほどと思って観ていたんだが、あとであのヒロインの心理考えてみて、イマイチ分からない。けっきょく何だ、恥で身を固めることによって世間と対決していこうとしていたってことなのか? 一種の男性恐怖症か? というより、男に対する激しい侮蔑があったってことなのか? 聡明さゆえの不幸。清冽な孤独の中で生きようとしながら、しかし科学者に恋してしまったってことなのか? と焦点を定めづらいところへもってきて、話の二重構造がまたややこしくしている。現代編と並行しているだけなら、それなりに理屈として分かる気もするが、わざわざ「19世紀編を演じている役者」という設定にしたことは、「演じる」ということが重要な意味を持ってるってことで、それがヒロインの偽の「フランス軍中尉の女」を演じ続けようとしたことと関係づけているみたいなんだけど、どうもうまく対比できなく、現代編が19世紀編に関わっていってしまう形になるから、ピタリと決まってくれないんだ。やがてノーベル賞を獲るハロルド・ピンターの脚色なんだから、こっちの読み取り力が悪い、と思ったほうがいいのかも知れないけど。[映画館(字幕)] 6点(2012-05-14 10:53:09)

256.  リトルマン・テイト 《ネタバレ》 「頭脳オデュッセイ」ってツアーに少年は入れられちゃったけど、まさにこれは「天才」という十字架を背負って戸惑っている少年のオデュッセイとして見るべき映画で、別にこの子を通して世の中を批判しているわけでも、何かを訴えているわけでもない。小さな冒険を少年と一緒に楽しむノリでいくべし。見る側に少年と同じ知性が必要なわけではなく、世の中とどうもしっくりしない気持ちを持っていればOK。少年は、世界の行く末を思い煩って胃潰瘍になってしまうが、こちらはそこまでいかなくていい。オデュッセイなのだからストーリーのとりとめなさは非難すべきものではないだろう。天才子役と言われた監督のことをチラチラ思い出せばいい。生意気な天才少年との友情とか、ボケ学生との交流などホノボノと展開していく。父の不在という寂しさがずっとベースになっている。[映画館(字幕)] 6点(2012-05-05 09:57:23)(良:1票)

257.  未知への飛行 《ネタバレ》 核兵器の悲惨を描くのではなく、その「恐怖の均衡」という発想の狂気を描く。この均衡が崩れかけたとき、全面核戦争を回避するためにはどういう「最少の犠牲」が必要になるのか。丹念に不信の構造を見せつけられると、ラストの大統領の決断が突飛でなく、いやメチャクチャ突飛なんだけどこうする以外証明できないんじゃないか、と思わせられる、そこのところが怖い。大局的な世界にひたっていると、ニューヨークという大都会でも、全体を救うための「小さな犠牲」になってしまう。この恐ろしさ。その「最少の犠牲」の大きさに、核の均衡という発想の狂気、そもそもの核兵器を所持しないと不安でいられないところまで来てしまった軍事力に頼る人類の病理、がはっきり感じられた。戦争が終わると国家はいつも「犠牲者は平和への尊い礎です」と黙祷するだけで、その「礎」は戦争が繰り返されるたびに大きくなっていった。そしてこの映画ではニューヨークという都市がそうなる。なんかツインタワービル跡地のモニュメントを皮肉に予言したような映画でもあるな。冒頭にW・マッソーの教授がちらっと見せた黒い心、利益とか権力とかを別にして純粋に核戦争を望む心が存在するということのリアリティ、これはあまり突っ込まれてはいなかったけど大事なテーマで、これを観たときはまだ存在しいていなかったが、オウム真理教なんかを予告してたんじゃないか。[映画館(字幕)] 8点(2012-05-01 09:50:32)(良:1票)

258.  マイ・スイートファミリー 朝日新聞社提供の映画って、なにか似たトーンがあり、この邦題もそれを示唆していてこわごわ観に行った。学者小僧なんてキャラクターにもオロオロさせられ、都会との対比の湖畔なんてのも、やんなっちゃうんだけど、でもこの湖畔に舞台が移ってからは、まあ映画に一応リズムを合わせることはできた。ヒロインがカメラに語りかける趣向。物語には人間関係をややこしくすることの愉しみってのがあり、「やれやれ」って気分がおかしみに移っていく。複数の父と複数の母たち。こういうふうにして家庭ってものが輪郭をぼやかして世間へ溶け込んでいくっての、これからの理想的な個人と社会の関係になっていくかも知れないなあ、なんて思った。ヒロインは2000年までに地球の3分の1が家族になるって言ってた。そうなっているようには思えないが、そういう義理の家族集団としての人類を想像できた20世紀末。[映画館(字幕)] 5点(2012-04-27 09:45:18)

259.  バーチャル・ウォーズ 映像作家はいろんな分野を開拓し、たとえばスピード感・あるいは恐怖感・神々しさ、などなど言語に頼らず映像だけで表現できる世界を広げてきた。そういう中で目立たないが(苦労してもあまり褒めてもらえないが)「生理的な気色悪さ」ってのを追求しようとした人たちもいたのではないか。古くなってひび割れ剥がれかけたペンキの塗り跡とか、小さな穴がぽつぽつとあいてる表面とか、意味に還元される以前にじかにゾワッと鳥肌が立つ画面、ああいうものを意識してしっかり創造してやろう、と決意した人たちもいたのではないか。本作の人体ピンポン玉分解にそれを感じた。よく熱についての教育番組なんかで分子の運動が活発になるイメージのアニメってあるでしょ。あるいはダリの絵とか。人体がああいうふうに、無数のピンポン玉みたいのに分裂し、活発に運動して四散しちゃうの。ハッキリ言ってそこのとこしか見どころのない映画でしたが、けっこうそれは生理的にじかに来る気色悪さで、気に入った。あとの現場であのピンポン玉みたいのが転がっているとこを想像するとなお気持ち悪い。あちらではこういうSF的な世界を描くと、だいたい一方に神を持ってきてオモシにする。[映画館(字幕)] 5点(2012-04-25 12:28:12)

260.  ザ・スタンド(1991) 現在自然保護が圧倒的命題になったことはいいことで、「文明」という野蛮を冷静に反省するんならいいんだけど、何か非合理主義とか神秘主義への傾斜が感じられると不気味。非合理主義こそ野蛮の元締めだった。この森林の中でも電気を必要とする人類だし。ゴルフボールを打ち込むのはちょっと引っかかったな。映画としての展開はかなり地味。ジャングルを三次元で感じさせてくれるロープウェイシーンや落下シーンがあり、ちゃんと高さのある密林になっていた。子どもを救うかどうするかってとこは、実に重い問題なんだけど、あっさり情で逃げてしまった。全体、人物に魅力が乏しいの。[映画館(字幕)] 5点(2012-04-17 12:17:14)

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