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281.  ウディ・アレンの影と霧 《ネタバレ》 一つのテーマをじっくり醗酵させたというより、いくつかのモチーフが霧の中から現われてはまた霧の中へ消えていくという漠とした作品で、その手つきを玄妙と見るか、突っ込み不足と見るか。私は後者に近かったな。不安の影、絞殺魔の不安から自警団同士の殺し合いになっていくあたりを、ポイントに絞ってもらいたかった。主人公が不幸を一身に受けていく「開き直った被害妄想」は、もうお得意のところ。自分の役割を誰も教えてくれない。自分の指紋のついたグラスが証拠になりそうな運び。匂いで嗅ぎ出され、追われ、下宿のおばさんにも裏切られ…。繰り返される神を信じるかという問いかけ。この題はしぜんに「夜と霧」を連想させる、と思っていいのか。うつろなトーンは一貫している。[映画館(字幕)] 6点(2012-02-28 09:43:41)

282.  パトリオット・ゲーム 《ネタバレ》 トーンが一貫してくれない。いっそ弟を殺されたハネあがりテロリストとその情人の偏執的復讐に絞ってくれればいいのに、北アフリカの訓練基地が出てきたりすると、困る。国際政治ものでいくのなら、このテロリストがやってることは組織として馬鹿馬鹿しすぎる。オリジナルな怖さとしては偵察衛星画面か。衛星が回ってくる時間になると隠れるなんてのにリアリティ。遠くの戦場を同時中継で眺める気味の悪さ。これは後にビン・ラディン殺害のとき現実に味わうことになったわけだ。[映画館(字幕)] 5点(2012-02-26 12:12:06)

283.  バットマン リターンズ 《ネタバレ》 サーカス団に動物園、クリストファー・ウォーケンの丸顔マークに、アヒルの乗り物、ゴシック調と言うにはケバケバしい。ある種のクレイジーな童夢のイメージでは統一されている。かえってもっと支離滅裂にイメージのおもむくままに走れば、傑作になったかもしれない。ペンギンとキャット・ウーマンの来歴が興味深い。けっこうドロリとした湿っぽい怨念のようなものを含んでいて、日本の怪談に近いような存在。親探しとかね。とりわけペンギンのイメージは生きていた。ラストの葬列の脇を勤めるところまで。猫のほうも孤独な秘書の怨念。Hello there が Hell here になって。自分で縫い合わせて衣装作ってる。雪ってのも童夢の背景っぽいところがある。バットマンが活躍したという印象がほとんどないのは、脇が多すぎたせいか。コミックの映画化でスターにこういう脇役をやらせて重みをつける、ってのは『スーパーマン』のM・ブランドがハシリだったかなあ。すっかり定着したが、多けりゃいいってもんじゃなく、監督が仕切りきれなくなるほどは、いらない。[映画館(字幕)] 6点(2012-02-22 10:04:49)

284.  マンボ・キングス/わが心のマリア 《ネタバレ》 このお兄さんのアーマンド・アサンテがいいですな。ニヤケきって自信満々な人間の色気っていうんでしょうか。ベットリと弟=家族への愛に生きてて、弟の嫁さんへのほのかな愛をこらえている。ちょっと変換すれば寅になっちゃう。家族愛という拘束、兄は弟を拘束し、弟は妻を拘束していて、こういう背景にはラテン音楽が似合う。マンボだけじゃなくて、ルンバにチャチャチャもあるよ。ただ泣かせどころのはずの「わが心のマリア」ってのが、あんまりどうってことのない曲なのが惜しまれる。ルーシー・ショー出演の編集の妙。最初の店でドラム叩いて喝采浴びるあたりのノリはラテンならでは。記念写真が死を招くのは映画のルール。中南米はカトリックということでイタリア映画の人懐っこさにも通じるんだな。ラストがちょっとズルズルしちゃったが、感じのいい映画。[映画館(字幕)] 7点(2012-02-16 10:18:55)

285.  美しき獲物 《ネタバレ》 やっぱスリラーは金や欲よりサイコがいいね。かなり粗っぽい話でも、いちおう満足する。ゲームに憑かれた人間の気持ち悪さ。深刻な遊戯というか。繰り返される殺人はあんまり芸がないんだけど、ま雰囲気はいいですな。「ゲーム」の気味悪さみたいなものをいちおう突いている。すぐ下に沈んでいくカメラ。あの刑事、なんとなくサイコ少年に雰囲気似させてた。盲目の師匠ってのもワケアリにさせといて。何度も客に「やっぱりね」と思わせといてうっちゃるわけ。D・レインの役どころはやはり『羊たちの沈黙』からのイタダキでしょうか。水の地下室っていう舞台はいいが、ラストは長すぎ。[映画館(字幕)] 6点(2012-02-15 09:59:23)

286.  いとこのビニー 《ネタバレ》 前半はあんまり乗れなかったけど、裁判が進んでくるとやはり法廷ものの伝統のあるお国柄、けっこう楽しめた。一番のギャグは官選弁護士のアレでしょうな。ネタとしては別にどうってことはないものだけど。いかにも頼りがいのありそうな冷徹なポーズだったのが、いざ本番になるとアガってしどろもどろになるの。で弁護士席に戻って「しぶとい奴だ」とか言うの。南部ってのはコケにされるのね。早朝起こされる繰り返しのあと、留置場のがやがやの中でぐっすり眠っているジョー・ペシ。彼の衣装がだんだん真っ当になるにつれ、弁護の腕も冴えてくる。裁判長ってのはすべてを分かってて見逃すもんじゃないのか。[映画館(字幕)] 6点(2012-02-12 10:01:15)

287.  映写技師は見ていた 《ネタバレ》 もうちょっと短く出来るかと思ったが、でも悪くなかった。単に終わった体制の悪口を安全な時代になってから言ってるってだけじゃなくて、ある種の普遍的な独裁者願望のパターンがちゃんと出てた。これの同時代で言えばホメイニ下のイランに置き換えることも可能。純真さ・ナイーブさが独裁を支える構造そのものを見ようとしている。怖いのは主人公がこの体制を恐怖しつつも肯定しているとこで、ここに権力というものの不可思議さがあるんだろう。会話が聞かれることに怯えながらも、スターリンへの敬愛は変わらない。エライさんたちに出会うあたりの緊張する雰囲気、リアリティあった。やさしいスターリン。感激の極みであります。これと妻カーチャへの愛とが並行するの。このカーチャがラストでやっぱりスターリン一途になって登場するあたりに凄味。妻を愛するのかスターリンを愛するのか。カーチャへのカーディガンが取り出される。妻を演じたロリータ・ダヴィドヴィッチ、『ブレイズ』のときも、プロレタリア色のある女優さんでハリウッドでは貴重だなと思ったが、やっぱあの資本主義国で主役級を生き抜くのは難しかったか。[映画館(字幕)] 7点(2012-02-08 10:28:46)

288.  ハウスシッター/結婚願望 《ネタバレ》 「日本ではコケる二大コメディアンの初共演」といった宣伝コピーを見た記憶があるのだが、しかしそこまで自虐的な宣伝するだろうか、夢だったのかもしれん。観たら面白かった。詐欺師もののバリエーション。失恋したての男S・マーチンの家に、勝手に妻としてG・ホーンが上がりこんでしまう。女が周囲に振りまいていく嘘がどんどん二人の関係を固めていってしまうあたりが見どころ。男はその場しのぎで嘘に付き合ったり、あるいは計略を立てて嘘を利用しようとしたりもするんだけど、けっきょくその嘘をより真実めかしていってしまう。嘘に嘘を重ねていくスリルと爽快さが一人歩きしてしまう。話の都合で生み出した架空の恋仇ブーマー氏が次第にリアルな存在感を持ってきたり、社長の戦友まで捏造していくことになる。二人で編み出す架空の来歴が、次第に細部まで生き生きしてくるあたりの勢いが見事。意味深な「暗い秘密」が誕生したり、急遽マウイに旅行したことになったりと、どんどん過去がドラマチックに華やいでくるおかしみ。一番笑ったのは男デービスが彼自身の知らない感動のエピソードの再現を要請されて、何らかの感涙的なストーリーを背景にした気分で「アイルランドの子守歌」を万感込めて歌うシーン。このおかしさはかなりのものだった。こういう話の場合女はどこかかわいくなければならない。彼女本質的な詐欺師だったわけではなく、よく解釈すれば退屈な日常をよりドラマチックに盛り立ててやろうと思いやってしまう性質の女なわけ。本来の男の恋人となんとか取り持ってやろうとするんだけど、彼女自身男に魅かれてしまっており、ここらへんからは彼女のいじらしさの見せ場。ささいなことだけど、中華料理を買ってくるシーンがある。中華料理は二人で捏造した「恋愛時代」のエピソードに登場した小道具で、二人の嘘が真実になっていくところをさりげなく見せている丁寧な場面。こういった丁寧さが、後味の良さにつながっている。だが映画はコケた。[映画館(字幕)] 8点(2012-02-06 10:24:32)

289.  夢を生きた男/ザ・ベーブ 日本が野口英世なら、向こうはベーブ・ルースか。おそらく伝記の定番なんだろう。もう段取り通りの展開になってて、アメリカでは型破りの人物が好まれるんだろうが、そういう人物を描くときの型ってのがあって、その型通りなんだから。田舎の女から都会の女に、田園生活から都市生活へ変わっていくところに、アメリカ史を重ねて見るのも一興。スランプのあたりは迫るものがある。「もう終わりだよ、デブ」って言われて荒れるあたり。やっぱ人間は下り坂のほうが面白い。試合のシーンが見せ場だけなので、盛り上がらない。[映画館(字幕)] 5点(2012-02-05 11:59:04)

290.  恋の掟 《ネタバレ》 社交術ってのは、ゲームの教育ってことか。無垢で純粋な小娘への教育、彼女を駒として使うゲームでもあり、そのルールを更新していく残酷さもある。ゲームを終えたふりをして次の手に進むあたりのタノシミ。生きることそのものがゲームであった時代、頽廃なのか洗練の果てなのか、ゲームは戦争となり、同じゲームをしている者同士の共感が、騙し合いのゲームの果ての孤独に追い詰めていく。田舎でのディナーのそれぞれの表情を、話者と話者以外の者とのカットの積み重ねで描いていくあたりなんか好き。せっかく若い恋人たちのために妖しい雰囲気を作ってやるのに、ハープの練習をして「AじゃないBフラットだ」なんてやってるお笑い。A・ベニングは好きなんだけど、ちょっと線が細すぎたか。ゲームの相手も失う極北で、カンラカラカラと豪快に笑ってほしい気もする。[映画館(字幕)] 7点(2012-02-03 10:05:11)

291.  ランブリング・ローズ 《ネタバレ》 前半は裏返された『テオレマ』って感じ。“ゲスト”が家族全員を愛してしまうの。それが奔放なわけで、人の目には率直というより軽率、さらには淫乱と映る。社会はどこまで個性を許せるか、という話。デュヴァルが「一人の人間であると同時に、私はこの家の父(家長)だ」というようなことを言ったのはある程度正しいのであって、人は個人の世界と世間とをうまく調整して「世慣れ」ていかなくてはならない。しかしあくまで基本は個人でなければならないという原則がアメリカにはあり、その原点の確認をするのが母のダイアン・ラッドなわけ。原則主義の潔さ。ただしそれはタテマエの薄っぺらさとウラハラであり、子宮摘出手術うんぬんのあたりは、ちょっと演説倒れだった。これ監督は女性だけどシナリオは男性で、フェミニズムへの受け狙いを感じたのはヒネクレ過ぎか。後半ローズが保護されるぶん、ややしぼむ。あの母が膨らむからいいじゃないかと思われるかもしれないが、やはりローズ本人で勝負してほしかった。どうしても世間と折り合えないギリギリのところでのつばぜり合いを見せてほしい。単なる偏見の問題のレベルではなく、個人が人間の集団といかに戦っていくかという意気込みを見たかった。南部を舞台にすると生々しさが消え寓話っぽくなるのが利点だなあ。妹がときどきかわいい。リサ・ジャクブってのかな。[映画館(字幕)] 6点(2012-02-02 10:17:37)

292.  リーサル・ウェポン3 このちょっと前にロス暴動があったんだったか。「ビデオに撮られるな」いうことが話題になってた。黒人少年を射殺して悩んで家族の絆に回帰していく図は、この頃のアメリカ映画の基調。女刑事と今までの傷を見せっこするあたりはおかしい。でも見せ場がブツブツとつながってるだけで、シナリオとしての盛り上がりはない。ビルの爆破なんか、うまく盛り上げていった頂点で仕掛ければ「やるーっ」って気にもなるのだがなあ。悪役の在りようがよく分からなくて、闇の帝王なのかと思っていると、不動産業を続けていて(追っかけられてることが分かった後でも)、変な人。白人と黒人、若いモンと定年間際、の対比される二人の掛け合いが味わいか。[映画館(字幕)] 5点(2012-02-01 10:13:11)

293.  ラジオ・フライヤー 一応ファンタジーなんだけど、でもファンタジーとしての枠組みがちゃんと作れてなかったから、ラストはヘンテコリンな気分になる。どちらかと言うと、児童虐待をめぐる社会派的な部分のほうに見どころがあったんではないか。眼を見せない義父。サングラスしてたり、子どもに目隠しされてたり、逆光だったり、それがラスト車で追いかけていくときに眼だけのアップになる。一つの表情としての顔はついに見せない。カントリーのBGMも不気味。近所の子どもたちもいじめてくるし、けっきょく母と子の兄弟だけ、血のつながった者だけしか心を許せない、という閉塞感が暗い。ベン・ジョンソンと約束したから、母親に心配をかけてはならぬという気持ち、あれが「父」的なものの象徴だったんだな。[映画館(字幕)] 5点(2012-01-30 10:05:00)

294.  ソーシャル・ネットワーク D・フィンチャーの新作を観てみる、というより、「フェイスブック」ってものが分かるか、という興味のほうで観た。“アラブの春”のとき、ニュースや新聞でさかんにフェイスブックについての解説はあったが、も一つよく分からなかった。プライバシーにうるさい社会で、自分をサラケ出すような仕組みがヒットするのか、という点が疑問だった。映画はそれの成立の話で、中身はやっぱよく分からない。ネットのバーチャルな世界という安心感からサラケ出せるのか、あるいはそれほどまでに現代人はつながりたがっているのか、そこらへんのほうが面白そうだったが、なんせ旧世代の人間なので、とんでもない勘違いをしているのかもしれない(でも考えてみればこのサイトだって、映画をダシにして自分をサラケ出したがってる面があるようでもあり…)。この映画をちゃんと味わうには、私は基本知識が欠如してたよう。21世紀の『市民ケーン』と観たが、それでいいんでしょうか。ラストの味わい(エリカ)まで含めて。今までの映画だったら単純に対比されるものが、微妙にズレて向き合わないところが面白かった。主人公のネットかじりつきオタクとボート部の上流階級。きれいに対比されそうなものが、現代では単純な対立物になれず、適度に噛み合ってはズレていく。そして主人公はどんどん裏のほうへ・虚のほうへ掘り進んでいく感じ。何も創造しない虚業と言えば虚業だけど、でもそれが“アラブの春”という現実の変革の立役者になったところに、世界の在りようの「単純でなさ」をしみじみ感じた。私にはもう実感として理解できない世界だが、たぶん21世紀初頭の記録として残る作品となるんだろう。ビートルズの“ベイビーユアラリッチマン”が流れたところで旧世代の人間は、これなら俺の守備範囲内だ、と嬉しかった。[DVD(字幕)] 6点(2012-01-29 10:28:20)

295.  キスへのプレリュード 《ネタバレ》 魂が男女の間で移動するってのは、日本でも『転校生』があったが、これは性別よりも歳の問題(でも相手がお婆さんだった場合を考えると、やはり違いはあるわな)。冒頭は壁を伝わって伸びていく蔦を追ってボールドウィン君へ、その眼鏡に映る時計台、と御伽噺的な雰囲気を与え、また時がテーマであることも確認する。ストーリーが動き出すまでの、結婚式の部分までのほうが演出は生き生きしてた。パッと老人のほうに話が変わって結婚式場へあわててくるあたりはワクワク。結婚式の誓いの言葉も「時」を含んでいる。「どんなに年取って、歯が黄色くなっても愛してくれる?」ってモチーフ。で魂が入れ替わる。新婚旅行で妻に何か未知のものを感じること。この場合、「相手」を未知のものを持っている妻に見るのか、未知の姿に変えられた魂に見るのか、ここらへんの不安定感。細かいところでは「アゲイン」を口ずさむとか。日記によって、妻になりきったふりをするとこで、見抜いてしまうボールドウィン君。泣き濡れていたバーでの魂のリタとの再会。ここらへんグッとくる。ボールドウィン君は、こういうヤサ男やると悪くない。老人が若さを憧れたっていうだけじゃなく、リタも一瞬、もう選択する不安のない老いの安定を望んだってとこが面白い。ヒロインはニヒリズムに、老人はガンに冒されていたわけで。[映画館(字幕)] 6点(2012-01-27 10:20:01)

296.  プリティ・リーグ 《ネタバレ》 姉妹で急ぎ足になる帰り道のとことか、スカウトが妹の肩の筋肉に触って「いけるかも」と思う変化とか、走りながら列車にカバンをホイホイ投げ入れていくとことか、至って職人的な腕を持った監督で、もう「女性監督」という肩書きで売りにする時代じゃないな、と思わせた映画。当時のニュースで彼女らを紹介していったシーン、マーラのとこでロングになるのが傑作。クソガキを登場させるつなぎ方とかね。テーマは「戦争と女性の社会進出」のお話で、男がいない時代のつなぎとしての・二流の・副次的な・キワモノとしての女性野球。ミニスカートをはかされ、屈辱的とまではいかないまでも、オアソビ的な設定。これに対してヒロインたちはマッスグに反発するんじゃなく、「よーし、それならその中でやってやろうじゃないか」となる女性ならではのしたたかさが見どころ。適度に男の顔も立てながら(ライフの写真)、自分たちのほうへ引きずり込んでいってしまう。酔いどれ監督も次第に生き生きしてくる、というわけ。ワンシーンだけど、実力はあってもどうにもならない黒人女性への目配りも欠かさないところに膨らみがある。後半旦那の帰還あたりから、ちょっと甘くなったか。今の日本なら女子サッカーを念頭に置いて観ることが出来そうだ。[映画館(字幕)] 7点(2012-01-25 10:09:46)

297.  不意打ち 《ネタバレ》 タイトルのところはかっこいい。が、そこまで。家庭用エレベーターの中に宙吊りで閉じ込められた老婦人の恐怖、って設定があんまり生きてこないんだ。なんせ中盤でエレベーターのドアがお婆さん自身によって開けられ、密閉感が減じる。一応飛び降りられない高所ってことになってて、彼女の視線からだとずいぶん高いんだけど、据えたカメラ目線で見るとそれほどでもなく(腰を傷めてることになってるが)、スリラー演出上、中盤で開けちゃった意図が分からない。入り込んできたチンピラが力ずくで初めて開けたほうが効果あるのに(閉じ込められた場所が防御の場所になってたのに、という展開の妙)、あんまりそういう計算はなく、ただ若者の無軌道ぶりだけが前面に出てて単調だった。彼女自身が息子にとっての檻だった、という皮肉も、だから生きてこない。先に忍び込んでた浮浪者らもチンピラによって家に閉じ込められるが、その閉塞感も薄い。いくらでも逃げられそうなのに、ただグズグズしてるだけに見えちゃう。「閉じ込め」がこのスリラーのモチーフなのに、それをちゃんとやってくれないので、空気が抜けっぱなしでぜんぜん圧力が高まらない。この作品の価値は、『風と共に去りぬ』のオリヴィア・デ・ハヴィランドと『ゴッドファーザー』のジェームズ・カーンが共演してる映画があるの知ってる? と人に言えること。[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-01-23 10:46:13)(良:1票)

298.  ウェインズ・ワールド 《ネタバレ》 何も奥を感じさせない明るさってのも、不気味と紙一重で。でも『ホットショット』の方が笑えたし面白かったなあ。ウェイン君のニコニコ顔なんか、ほんと人格を感じさせないということで驚異ですらある。CMは嫌だと言いながら各社のコマーシャルをしているとこ、わけもなくビール工場見学をするとこ、道路でホッケーやってて車が来るといちいち脇へ持ってくとこ、隣の部屋での007、一同意気投合、助手の改心、などぐらいでは笑った。これだけ笑えば元は取ったか。最悪のラストから最良のラストまで三通り。アホの方のガースが「変わるのが怖いんだ」と言っていたところに唯一手応えを感じたな。やはり底にあるのは保守の気分なのか。社会はこちらに危害を加えるものであっては困る、という信頼。[映画館(字幕)] 5点(2012-01-22 12:20:39)

299.  ストーリービル/秘められた街 《ネタバレ》 南部のどろりとした世界に沈んでいく民主党議員候補の青年弁護士ジェームズ・スペイダー、ただ全部がもつれ合って沈澱していくんじゃなくて、主人公は最後は正義の人になっちゃうのがつまんない。せっかくJ・スペイダーがやってんのに。パイパー・ローリーは不気味だが、ジェイソン・ロバーズの演技が明確すぎて、おそらく作者が狙ったものと合ってなかったんじゃないか。この監督は『ツイン・ピークス』をプロデュースした人だそう。こういう雰囲気としてのミステリーが、流行りだしたころ。もちろん小説で一番イキる謎解きのミステリー映画はつまらないわけで、ちゃんとした映画人なら映画ならではのミステリーってのを模索してると思うんだが、才能が追いつかないと雰囲気だけが先行してる環境ビデオみたいなものに堕してしまう危険もあるわけだ。[映画館(字幕)] 5点(2012-01-19 10:05:56)

300.  パリ、夜は眠らない。 《ネタバレ》 ライヴのフェリーニと言うか、現代ニューヨークのサテリコンと言うか。熟し切った腐臭みたいのが好きな人には、いい。そう、パリじゃなくてニューヨークの黒人街。自分たちで「パリ」と呼んでいる。ファッションショーでもダンスでもない「ボール」っていう、あれは何なんだ、ゲイ・コンテストっていうのか、それを巡るドキュメント。別に芸を見せるのではなく、ただゲイとしてのコンテスト。スクールボーイってのは、しゃがんで教科書広げたりするの。あれは笑った。ここで名声を得て有名になるんだ、ということで社会の縮図にもなってる(その有名ってのは一般の社会までの広がりを持って指すのか、それともゲイ社会の内部での話なのか)。ハウスとしてのファミリー的要素もあるようで、まあ日本の企業なんかもファミリーだしな。市民社会から完全に縁が切れた場所、表の白人社会となんとか折り合いをつけようというんではなく、裏側に閉じ籠もることで充足しようとしている。その閉じた腐臭がたまらない。美少女ヴィーナスなんか徹底的に被愛玩物として・人形として生きようと割り切っている。だからラストで殺されちゃうんだけど。「主婦だって旦那と寝て新しい洗濯機買ってもらってるじゃない」。[映画館(字幕)] 6点(2012-01-16 10:18:31)

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