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301.  1492/コロンブス 《ネタバレ》 原題は「楽園の征服」。多数の合意のもとに歴史が変わったことはない、ってなことをアタマでコロンブスが言ってた。先を行くものの不幸と栄光。ラストでコロンブスが財務長官に「私とあなたは決定的に違う、I did,you didn't」って言う。コロンブスは未知の世界を憧れたんだけど、そこも見つけるそばから既知の秩序なり習慣なりが素早く浸食していってしまう。けっきょくスペインの延長された領土になってしまう幻滅。大陸発見五百年記念のフィルムだが、ただの“ご祝儀映画”で終わらせず、一応しっかりしたテーマを据えてあるのは偉い。スペインでは顔を背けた処刑をここでは自分で執行しなければならなくなる(全体『アラビアのロレンス』を手本にしてなかったか? 意識してはいただろう)。歴史上の人物ということでまったくの創作人物のようには個性を付けられないもどかしさ・彫りの浅さみたいなものは感じられたけど、いいほうじゃないか。女王に歳を聞き返すあたり面白い。[映画館(字幕)] 7点(2012-01-15 10:17:19)

302.  ベートーベン 《ネタバレ》 このころのアメリカ映画における主婦は、仕事より家庭いうメッセージを担っていた。共和党的。なんか家庭像が古風になっている。「パパの威厳もカタナシね」といったこの手の笑いは、そういう威厳の存在を前提にしているわけで、そこも共和党的。パパの一言でペットを飼う・飼わないが左右されるってのもそうだ。これはどの程度現実の反映なのか、それとも現実でパパの威厳なんてものがチリほどもなくなってしまったので、こういう娯楽映画が生み出されていたのか。アメリカの現実の反映か、アメリカの夢の反映か、気になったところ。あと医者が悪役に向いてるのはなぜか、ということも考えた。これは獣医なんだけど、やはり生き死にを扱う、ってところが悪人向きなのか。白衣を着てるだけで、悪人っぽい(すごい偏見だけど)。そんなことを気にしながらでなくては観ていられないあまりに型通りの演出・演技だったが、ペットを処分しに連れ出していくあたりはシミジミしてしまった自分が情けない。[映画館(字幕)] 5点(2012-01-12 10:30:01)

303.  ジャイアンツ 西部劇はよく牧畜業と農業の争いをテーマにしたが、その後は牧畜業と石油業との争いになったわけか。あくまで牧畜業のほうから眺めるのが、カウボーイヒーローを持つアメリカの神話なんだろう。そしていつも「時代おくれ」なんだ。ジェットは登場のときから馬でなく車に乗っていて、石油産業への方向を暗示していた。そこに「嵐が丘」のヒースクリフ的な匂いも重ねて、歴史とメロドラマを二重写しにしている。あと東部と西部の対比もあり、牛の脳をガツガツ食べる西部で育つには、七面鳥を食べられない子どもは東部の血を引きすぎていた(だから育ってもD・ホッパーになっちゃう)。東の倫理が西の差別を是正していく、ってのはちょっと鼻についたけど、50年代の映画としては上出来なのか。どちらかというと連続ドラマに向いた話で、一本の映画としてはいささか大味。妹の結婚式の誓いの場で夫婦仲が戻っていくあたりとか、ひそかに恋するレズリーの残した靴跡からブツブツと石油の気配が滲んでくるあたりなどに、映画らしさがあった。[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-01-11 10:05:56)

304.  ディープ・カバー 《ネタバレ》 これはちょいと拾い物。主人公と世間の間に距離があって、霧が立ち込めているような雰囲気。ときどき挟まれるモノローグが、そのノワール感を強める。荒々しさよりも湿っぽさ。潜入していった警官が、次第にアイデンティティを失っていくの。演技や手段に目的が乗っ取られていってしまう。初めてフィッシュバーンがゴールドブラムと会ったとき、即座に「こいつはコップだ」と言うあたりのスリル。ワカル奴とワカル奴との出会い、そのつばぜり合い。相手に信用されるためには、どんどん悪に漬かっていかなくてはならなくなる。分身のような「牧師」警官を配置して奥行きを作ってある。カクッカクッとアップになっていくシャックリのようなズームに面白い味。[映画館(字幕)] 8点(2012-01-07 10:41:13)(良:1票)

305.  花嫁の父 《ネタバレ》 結婚式に至るまでの小ネタでつなげただけの家庭喜劇なんだけど、大らかな味わいが残る。やってることは伊丹映画と同じような視点なのに、この大らかさがどこから来るのか。時代がいいのか、特殊なもの・ユニークなものをピンセットでつまむように排除してある、その徹底ぶりか。WASPの社交世界の上澄みだけを、きれいに掬い取っている。そういうとこで現在からはいくらでも批判は出来るだろうが、コメディとしての充実ぶりには文句が言えない。恋人はあれかこれかと親父が想像していくあたりからすぐに引き込まれ、初めてバックリー君を窓越しに眺めて「あちゃー」となる展開。「妻が浮かれとる」などモノローグも的確。以後も調子が崩れず、バージンロードを巡る悪夢を抱きながら、娘には“頼り甲斐”を見せなければならない「父はつらいよ」の一幕もいいし、娘の晴れ姿を追いかけて混雑する家の中を駆け巡るあたりの滑稽な・しかし父の情愛の香り立つ描写まで、見惚れてしまった。いかにも平均的な家庭像を作ったのだろうが、母親がJ・ベネットなのね。たまたま私が知ってる映画がそうなだけかも知れないけど、あの人「妖婦」の印象が強かったので、この人でいいの? と思ってしまった。見てる分には気にならなかったけど。ああそうか、E・テイラーって別に妖婦役者ではなかったが、ちょっと突付けばあっさり淫蕩の側に転がるのではないかという気配を、上品さの中に秘めていた(私生活とは関係なく)。かえって普通の人を演じているときに、その裏にある妖しさで魅力を出した女優だった。ここで母子を演じたときにJ・ベネットの遺伝子を受け継いでしまったのではないか。映画ではそういう非科学的な遺伝がときに起こるのではないか。[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-01-05 10:32:51)

306.  アメリカン・ハート アメリカ映画はだいたいセンチメントを嫌うんだけど、なぜか父と息子になると許されるみたい。『キッド』とか『チャンプ』とか。『ステラ』あたりまで視野に広げると、同性の親子では許される、ってなる。同性だと近親相姦的にならないから、センチメントもサバサバ出来るってことか。まず家族写真などで、話がスタートするまでの来歴を語ってしまう。つきまとう少年と働こうとするパパ、ちょっと『自転車泥棒』の匂いもあるか。息子の存在がワルの道へ戻るのを止めてるような。もちろん刑務所暮らしはもうごめん、ってのが大きいんだけど。少年の親への最後の甘え、というか切り札が「グレてやる」なんだよな。また実際金がない。J・ロンドンのアラスカへの夢。少年院脱走のイメージが重なってくるあたりはけっこうしんみりしたが、アメリカ映画ならもうちょっと、センチメントに残酷さも欲しいところ。[映画館(字幕)] 5点(2012-01-02 10:24:58)

307.  熱いトタン屋根の猫 《ネタバレ》 近代演劇以前は、登場人物が観客へ向けて堂々とモノローグしたり、日本の歌舞伎では義太夫が内面を語ったりと、いろいろな表現手段があったが、そういうのはリアリズムに反して不自然と言うことなのか、イプセン以後はすべてを会話の中に封じ込めるようになった。それでどうなったかというと、別の不自然が生まれたわけだ。「普通言わないだろ」ということまで会話に盛り込まれる。演劇としてのドラマチックな効果を生むのは、熱のある会話=ののしり合いになっていく。すぐ激する、怒鳴る。これが近代演劇の弱点、と私は思っている。でもそういう演劇のののしり合いの迫力はやはり作品の勘所だから見事で、本映画でもそれを味わえる。とりわけ「心穏やかでない美女」というのはなぜか見るに心地よく、E・テイラーの形相を眺めているだけでうっとり出来る。映画として面白いとは言えない作品だが、E・テイラーに怒鳴られる快感は十分味わえた(君はそう怒鳴ってるけど、けっきょく僕のことが好きだから怒ってるのさ、と勝手にこちらのモノローグを入れて画面のE・Tを直視するのがコツ。ちょっと彼女の目線が左にズレるのが惜しい)。 ラストの収まり方がつまんない。あれじゃ兄夫婦だけが悪役になって見えてしまい(とりわけ兄嫁)、なんか全体の構図がスッキリし過ぎちゃあないか。せっかくあれだけののしり合ったのに、という物足りないさ。[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-01-01 10:35:35)(良:1票)

308.  二十日鼠と人間(1992) 《ネタバレ》 映画の評価に原作の力が入ってくるのはある程度仕方なく、原作がいいとやっぱいい。少なくとも原作を殺してない、ってだけで評価していい。スタインベックの映画化では『怒りの葡萄』『エデンの東』の二大名作があるけど、話としてはこれが好き。なんか山本周五郎の「さぶ」思い出したりして。登場するみなが夢や憧れを持ちながら孤独に沈んでいて、自分の孤独な夢を守るために互いに傷つけ合ってしまう。ここで行われる殺しには、憎しみはない。老犬を殺させるキャンディ、仔犬を殺してしまうレニー、女を殺してしまうのも、鼠の死骸の延長上で、そしてリンチの前に友を殺してしまうジョージ。レニーと生きることを許さない社会、自分の中のレニー的なものを分離させないと生活していけない社会、そのやりきれなさ。アメリカ南部って心の傷がよく似合う。レニーが一度仔犬を連れてきたふりしてジョージをからかうあたり、あとになって思い出すとしみじみしちゃう。常にジョージの顔色をうかがっていたレニーに向こう(夢の家の方角)を向かせ、二人の視線が互いでなく、はるかかなたで重なるラスト。[映画館(字幕)] 7点(2011-12-28 12:15:52)(良:2票)

309.  永遠に美しく・・・ 《ネタバレ》 デブデブに太ったG・ホーンがM・ストリープが殺されるシーンをビデオで繰り返し見ているあたりまではテンポ快調。現代に入ってからモタついてくるのはなぜか。ホーンの殺意とI・ロッセリーニの秘薬と絡み具合が不安定なままで、殺意のほうが中途半端になってしまうからか。本題はやっぱ階段を落ちたストリープがピクピクと動き始めてからでしょうね。ドラマよりSFXで見せる映画とはっきりして、観てるこっちも姿勢がはっきりする。たしかにおなかの穴なんかよく出来ていて、ソファに突き刺さったシャベル(?)の柄を穴に突き立てて座ったりする。おなかの穴越しに向こうが見える。ふたりの和解がいささか唐突、でもこの唐突に共同戦線を張ってくるみたいなところが、男にとっての女の気味悪さなんだろうな。死体化粧屋ってのがミソで、昔トニー・リチャードソンに『ラブド・ワン』てブラック・コメディの傑作があったなあ。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-27 10:33:55)

310.  ジョニー・スエード 《ネタバレ》 『ストレンジャー・ザン・パラダイス』の撮影やった人の監督作だそうで期待したけど、ノレないまま終わった。突っ立ってた髪の毛が、普通に寝込むまでの話。天から降ってきた靴、それによって人生のステージを一つ進み、その靴の片一方を失うことで、そのステージから出て行くまで、とも言えるか。一昔前のサウンドに固執している。伝説の待望。登場人物たちがやたらと詩を語る。家賃の払いを迫る大家までが韻を踏む。女の子のときはバックでギターが分散和音を奏でている。人には騙されるし、不器用で純なヤツなんだ。でもそういうのを描こうとすると、50・60年代を振り返るポーズをとらないと描けないってことか。そして現代にジェームス・ディーンを持ってこようとすれば、おのずとコメディの気配が漂ってしまう。そういう時代のうつろいの哀しさを描こうとしたのかもしれないけど。しかしあの時代にはあった怒りがここにはない。[映画館(字幕)] 5点(2011-12-24 10:17:47)

311.  ルームメイト(1992) 《ネタバレ》 前半は退屈したが、後半ヘディの孤独がポイントになってきてから乗れた。愛ゆえの攻撃。双子の片割れを失っているという喪失感と言う神話を背負っている。アリーもかなり自分勝手な女なわけで、でも今の都会生活ではある程度の割りきりが必要、同僚に手柄を横取りされないよう気を張っていなければならない。一方ヘディは粘着的田舎から双子の記憶を引きずって、そういう都会にやってきたわけ。初対面のときアリーが泣いてたのが、同じような人だ、という好意のもとになったのね。スリラーとしての味わいは、同じ衣装を見つけるあたりからか。クリックひとつで衣装のデザインが変わっていくソフトのイメージと連絡。殺人てことになってくると線を越えちゃってちょっとつまんなくなっちゃうんだけど、でも一緒に逃げようとするあたりがあるのでいいか。「あなたこそ孤独を怖がってたくせに」。おとなしそうだったものが荒れ狂うのがスリラーの基本。アリーが今度は双子の片割れを失った感覚を持って生きていくことになるのか。半分ずつ顔を合わせた合成写真でのエンディング。ボリュームを上げて助けを求めるアイデア。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-23 10:41:14)

312.  レイジング・ケイン 《ネタバレ》 この監督もヒッチコックという父の檻に閉じ込められて育ったせいか、成長できないなあ。サイコを引きずっている。ヒッチコック離れが出来ない。女性精神科医が歩きながら解説していく長回しは、エレベーターも使って『虚栄のかがり火』ばりに張り切っていた。カッと見開いた死体の眼まで。何度も夢から覚めて曖昧になっていく感覚。どうも新鮮味はないなあ、と思いつつも、やはりラスト近くのスローモーションのあたりは満足してしまう。エレベーター前のとこ。三階からカメラがゆっくりと下降して、二階に押し出される乳母車(『ポチョムキン』というより『アンタッチャブル』)、一階に駆けつけるジャック、尖った器具、果物と一緒に落ちてくる子ども。子どもはノビノビ育てましょうという教訓つき。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-22 10:09:36)

313.  ルビー・カイロ さしてストーリー上それほどの必然性もないのに世界各地を回るって、なんか初期のころの007を思い出し懐かしい。と音楽もジョン・バリーだ。そしてエキゾチックな世界での展開とね。集金旅行ってところがイマふうなのか、ツヤがないな。この妻の夫への愛が、旅の中であんまり感じられないんだ。夫の未知の部分を知りたいってのが「従」になって、暗号ごっこが「主」になってしまった。この手のストーリーは、夫をとっかえっこしたいっていう妻の夢を合理的に達成させてくれるシステムなのかな。外国を飛び回るあたりも、最初のうちは気後れしててだんだん慣れてくる、って変化みたいなものでもあればいいんだけれど、海外レポートが並んでるだけみたいで。[映画館(字幕)] 5点(2011-12-21 10:21:37)

314.  ボディガード(1992) 狂ったファンてのが好きなので、前半は楽しめそうな予感があった。ライブハウスのシーンあたりは、音楽の力もあったけど、ドキドキした。でも後半はいただけませんなあ。二人が恋に落ちるのは別に構わないが、そのことでくよくよ思い煩う時間が長すぎる。テキパキやってほしい。こういうとこをテキパキやれるのがアメリカ映画の良さだったのに、最近こういうとこで水っぽくなるのが多い。だんだんとストーリーもアラが出てきて、かなり無茶になっていく。リッチな黒人女性と白人ボディガードという組み合わせによる緊張ってのは特別なかった。もう珍しくないのだから、そういうことに「何かあるか」とこだわってしまったこちらが古いのかもしれない。「ボディガード」ってのは「用心棒」の直訳か。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-20 10:03:07)

315.  イノセント・ブラッド 女ヴァンパイアが悪漢に食らいついて、それが増殖するのを防ぐために警官と協力して戦う、っていうの。話はつまんなくても部分にキラリとしたとこでもあればいいんだけど、とうとうラストまでおおむねダルかったなあ。どうもコミカル・ホラーってのは、笑わせるのも怖がらせるのも中途半端に逃げてる気がして、なかなか満足するのに出会えない。このヒロイン、A・パリローがコメディ出来る役者じゃなかったってことだな。サリーってのが生き返るあたり、ちょっとコメディ的感性が生きてるとこはあった。記者団の前を彼が走りぬけ、検視官やらなんやらが追っていくあたり。だいたい彼が出てるシーンのほうが面白かった。副大統領がテレビに映ると消されてしまうギャグ。中に出てくるテレビ番組は、みな怪獣・怪奇ものやってるのがおかしい。吸血鬼に関するいろいろなルールってのは興味深いんですけどね。愛と攻撃のメタファーとして。[映画館(字幕)] 5点(2011-12-18 10:29:03)

316.  刑事エデン/追跡者 《ネタバレ》 この監督は人間としての警官ってのに、ずっと関心を持ち続けていた人で、悪と慣れつつ生活する日常ってものへの興味か。これでもヒロインがパパのところで愚痴るあたり、ストーリー上は必要ないところだけど、わざわざ入れてる。厚みが出る。でも肝心のユダヤ教徒との恋愛ドラマのほうは浅かった。とはいえ、こういう特殊社会を通して自分たちの社会を照らし合わせてみようとする試みが、たとえタテマエだけで実は単なるイロドリだったとしても、あちらの映画ではよく見られ、理想化するでも差別するでもなく「興味」を持つ姿勢は正しいと思う。犯人にもう少し理由をつけてやりたい。グレてた人はやはりダメだみたいでちょっと後味悪い。ヒロインが観てた映画はたぶん『気儘時代』。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-17 10:20:36)

317.  ホワイト・サンズ 《ネタバレ》 イイモンはカウボーイハットかぶって「嘘をつくときも正直な」W・デフォー。それに対する現代アメリカは武器の横流しに手を貸しても「でもそれで慈善事業すればいいんじゃない?」と思っているM・E・マストラントニオ。前半の演出は悪くなかったよ。少年の自転車寄りかかってんの倒してガレージが開いたり(あの自転車あとでイキてくるのかと思ってたらそれだけだった)。中盤から映画、全然動かなくなってしまった。大きな組織の広がり具合が感じられない。組織の悪じゃなくて、組織からのハミダシモンの悪だから仕方ないのかもしれないけど。人種平等の観点から黒人も悪人にならなければおかしいと常々思っていたが、でも「有色人種は気の毒な立場」という時代のステレオタイプが強固に存在しているのか、どうもスーッと入ってこない。観てるこっちの責任か、演出のまずさか。白い砂の中を逃げる黒い男って対比なんだ。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-15 12:24:59)

318.  不法侵入 普通は無邪気な笑顔ってのはロビン・ウィリアムズみたいにいい人を演じるときの看板なんだけど、このレイ・リオッタは無邪気な笑顔を見せて怖がらせる。なんつうんだろ、口の中央だけで笑うような感じ。必要以上に表情が澄んでいってしまう。純粋の怖さ、純愛の怖さ、一途の怖さ。この時代、純愛を描くとすると、まるでそれしかないようにサイコ人間のクレイジーな物語になってしまうんだな、ってところが一番怖かった。理想の女性への献身と、邪悪な世界への暴力。正義は己れだけにあるんだ、って義務感の裏打ちがある。ほどほどならいいんだけど、それがドン・キホーテ的な滑稽止まりならいいんだけど、やがてそれをも乗り越えると恐怖映画になってしまう。ストーリーとしてはカードが使えなくなるあたりの鈍い怖さ。この世のシステムがそっくりヤツの側にあるんだ、ってあたり。「健全な社会」ってあくまで夫婦が単位で、独身者はそれを脅かす存在なんだなあ。最後に忍び込んで料理を作っているのも怖いけど、独身者は人に料理を提供するのが夢なんだよなあ。[映画館(字幕)] 7点(2011-12-12 10:23:10)(良:1票)

319.  ラスト・オブ・モヒカン 《ネタバレ》 昔の映画なら善悪をキッパリ割り切れたんだろうけど、そこらへんいろいろ気配りしなきゃいけない時代になって、さらに自然保護のメッセージも入れなきゃならないとか、キッパリ出来ない。演出もあんましうまくない。一行がヒューロン族の攻撃を受けるあたり、まず変な鉄砲玉野郎が二人ほど飛び出してきて、それからヒューロン側から奇声を上げていく連中を描く。これはやっぱし主人公の側にカメラを向けっぱなしにしといて、最初はなにかの聞き違いかと思っていた声が次第に左右で高まっていって大音響となり、そしてワラワラと湧いてくる、ってのがいいんじゃないか。ま、こういうストーリーの基本形を確認できる楽しみはあった。波乱の運命に巻き込まれる姉妹、副次的なカップルが悲劇を担当する、とか。まだ西部劇以前の「東部劇」の時代。ロングの場でところどころ美しいカットがあった。英仏両軍が降伏の交渉を始めようと向かい合ってるシーンとか。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-10 10:07:05)

320.  ハネムーン・イン・ベガス 《ネタバレ》 ニコラス・ケイジのコメディってけっこういいんだ。あの人の困惑顔ってサイレント時代のコメディにも通じたものを持っている。優柔不断の男が勇気を出す、って設定がそうなんだな。スカイダイバーたちの間での彼のおどおどした表情が傑作。パラシュートの引くひもの順番を黄色・赤、黄色・赤と心に刻み込もうとしていると、間際になって「それは逆だ」と言われて、さらに「ジョークジョーク」といなされる。おいおい、最初に言ったほうがジョークなの、今の逆だって言ったのがジョークなの、とパニックになっている間にもみなはどんどん降下していってしまう、なんてギャグが一番好き。あとは敵役を憎めなく設定することも大事。亡妻の想い出を引きずりつつ、ハワイの観光めぐりをするJ・カーン、作戦とは言えけなげである。ま、これはポーカーでカモに一度勝たせる手口と同じようなものなんだけど。プレスリーナンバーが背景に使われている面白味は、もひとつピンと来ない世代でした、私。[映画館(字幕)] 7点(2011-12-08 10:11:15)

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