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401.  ウォーターダンス 病室ものの集団ドラマ。暴走族と黒人の対立が軸。前者はママが付ききりで事故の相手が悪いと信じ込まされてる。黒人のほうは家族の有り難みが分かりかけてきたところで逃げられる。ポイントは踊り子アナベル・リーを巡る賭けと、電話交換台への怒りの爆発のあたりか。水面で踊り続けていると溺れないという夢が、題名の意味。人生訓。まじめな映画だがその分小さくまとまっている感じは否めず、もひとつ大きな爆発が欲しいところだった。女医ローザのエリザベス・ペーニャが、それらしい。闖入してくるカントリー・ダンスの慰問、ああいうのあるんだね、あの国。車椅子でストリップ行けるアメリカのほうが偉いと思った。[映画館(字幕)] 5点(2011-06-17 10:18:18)

402.  ハート・ロッカー 普段は不必要に爆弾が爆発するアメリカ映画で、「爆発させない」人を描いている。とにかくずっとピリピリしていて、物語を語るというより、そのピリピリした日常を追体験する映画として優れていた。なぜイラクにアメリカ兵がいることになったのか、とか、爆弾を仕込む側の言い分にはまったく触れてないが、兵士の視線に徹して戦争を見る立場を取った以上、それでいいと思う。イラク戦争はベトナムの反復やってる、と思いがちだったが、いろいろ違いはあるのだな。装備は進歩した。ほとんど宇宙服にまで膨らんだ。それだけ土地の空気からは隔絶されてもいるのだろう。暑さにしても、あっちのジャングルの湿度とこっちの砂漠の湿度の違いは、体感で大きく違うだろうし、そこから来る不安の質も変わってくる。ジャングルのどこにベトコンが潜んでいるか分からない不安に対して、こちらは都市で周囲から無表情に見守られ続ける不安がある。ときにカメラで撮られている。見られ続けていることの居心地の悪い不安、どんな厚手の防護服でも防げない視線にさらされること、これがイラクのアメリカ人の立場なんだ。いいとこばっか描いてるな、とは思うが、少なくとも戦争の大義を主張してはいない。そんなもの探しても見つからないだろうが。[DVD(字幕)] 7点(2011-06-16 12:15:08)

403.  コクーン 《ネタバレ》 視力検査で一番下のを読んでパッと車のカバーを取るとこと、ディスコでフィーバーするとこで場内に拍手が起こった。コメディタッチの部分は、なかなか楽しめた。あれで全編覆ってくれれば、もっと良かったのに。悪童三人組風の主人公たちを受け入れちゃえば楽しめる。「お隣の宇宙人」を素直に受け入れてしまうおかしさ。「実は私たちナントカ星から来たナントカ星人なのよ」「うん、そうだと思った」。そして終盤になってくると、東洋と西洋の死生観の違いを、しみじみ感じた。日本だったら、ご先祖様のいないとこには行けぬ、という反対者が出たに違いない。妻への愛じゃなくて。集団で昇天しても、あちらは個人と神の契約なんだね。ユングの言う「全体性への回帰」ってのも、東洋のご先祖様のいる世界とは、ちょっと違うみたい。ということで、このころからは宗教的なものを語るにも、SFの仕掛けが必要になったのだった。あの世の新解釈。かわいそうなのは死んじゃった宇宙人二人。[映画館(字幕)] 6点(2011-06-15 12:12:30)

404.  ザ・ファーム/法律事務所 《ネタバレ》 映画に向いてない話を無理に映画にした、ってのの典型みたいで、ただこちらは話を追ってくだけだった。やっと終わりのほうでB級的悪人が走って追いかけてきたりしたけど、何か流れとして不自然。そもそもなんでこの事務所、よく調べずに正義感の男トム・クルーズに白羽の矢を立てるんだ(顔見りゃ、正義の人って分かるだろうが)。過度の「至れり尽くせり」の不気味さのあたりは悪くない。孤独の戦いが始まるな、ってあたりも一応ワクワクした。でもなんか映像で追う話じゃないんだよな。兄さんを釈放した後の看守にカメラがちょっと寄ってくだけで、彼が事務所に通報したと理解させるあたりは、たしかに映像に語らせてはいるのだが。けっきょくこの事務所の不正を摘発するだけで、マフィアには及ばない。この方が現実的なんだろうけど、いつもガンガン正義で押しまくるアメリカ映画にしては、スカッとしない。トム・クルーズって、両手の人差し指立てて説得するポーズ好きなんじゃない?[映画館(字幕)] 5点(2011-06-13 10:14:50)(良:1票)

405.  ギルティ/罪深き罪 《ネタバレ》 弁護士ものってのをアメリカ映画が好きなのは、正義というテーマがもともと好きなところに、契約社会と人情のズレ、って話で持って行きやすいからなんだろう。ドン・ジョンソンの気味悪さがなかなかで見どころ。自信たっぷりでありながら、変に神経症的でもあり。二人の仲を同僚に怪しませていくあたり。洗濯物を届けたり、離れていた場所からだんだん言い合って迫ってきたところに秘書が入ってくるとか。ヒロインが、狂気が自分に向けられていたんだと分かるあたりが怖い。単に仕事の対象としての狂気だったはずが、自分に向けられて持続していたんだ、って。ラブ・ストーリーの変種と見てもいい。締めが弱い。ドン・ジョンソンにガラリとすがるような演技をさせたらどうだったんだろう。デモーネイは、ヒラリー・クリントンを意識してたな。[映画館(字幕)] 6点(2011-06-11 09:51:56)

406.  ブリット 10年前にヒッチコックがねっとりゆるゆると迷宮へ導いていったサンフランシスコの坂道が、サーキット場に変貌する。ボンボンと弾むのがいい。最初は本作もゆるゆるとスタートするの。視野が制限される斜面の街を生かしている。追うものと追われるものが入れ替わって、バックミラーに車が浮き上がってくるあたりの安っぽいズームアップが、わけもなく嬉しい。ベルトを締めて急発進。この序破急の序から破に移る気合いが、アクションものでは大事だな。スピードを制限させていた斜面の特質が、ここで車をボンボン弾ませる特質に移行する。悪漢たち、運転してるのが一見銀行員風、助手席が一見老教授風と、これ見よがしの悪人顔でないのもいい。終始無言ってのも大事(「しめしめ、うまく撒いたぞ」「ゲッ、まだついてきやがる」「よーし、いっちょう撃ったるか」などといちいち喋ってるとこを想像して下さい、いかに興ざめか)。で銃が登場して破から急に至る。段取り通りの展開と言えばそうだけど、でもこの映画からなんだろ、カーチェイスの作劇法が確立するのは。車だけでひとつのシークエンスを埋め切った潔さが立派。それまでだと車の疾走は、なんかのアクションと次のアクションとを繋いでいる役割のほうが多かったんじゃないかな、印象で言っちゃってるけど。というわけで、この中盤のカーチェイスが見どころとして目立ちすぎるため、あと病院や空港でもいろいろやってはいるんだけど、そっちの印象が薄くなるのが、作品としてはアンバランス感があってちょっと損してる。死臭漂う職場で生きる男の悲しみ、ってのもテーマっぽく出しているが、あんまりマックィーンには似合わない。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-06-10 10:15:18)

407.  眠れる森の美女(1959) 平板な画づくりにして、絵画的にする効果。『白雪姫』みたいな話だけど、こっちはラストにヤマ場をちゃんと作ってある。イバラが繁茂していくあたり、逃げ出すときの危機一髪の感じ。『白雪姫』の、初めてのものに挑戦している緊張がない代わりに、定型ができている安定がある。妖精たちの飛翔感。一番の見せ場は、誕生日の魔法のイロイロかな。卵たちが自分で動いて料理の本を読んだりしているのがおかしい。縫い物の、生地や糸の動き、これが美しい。そして糸車ってのが「運命的」なのよね。そのあと眠りにつかせるシーンがまたスペクタクル的見せ場。堀脇の灯も順に消していくの。[映画館(吹替)] 7点(2011-06-01 13:55:54)

408.  ラスト・アクション・ヒーロー お遊びの映画で、アイデアもそう大したものではないが、映画内映画が始まるときはワクワクする。ちゃんとコロンビアのマークが出て「ジャック・スレイターⅣ」となる。これが映画だと納得させようとするあたりがおかしい。街を歩いている人がみんな美人揃いじゃないか、とか、ビデオ屋の受付にこんな美人がいるはずないじゃないか、とか。ターミネーターがスタローンの代表作だったりする。あ、モーツァルト殺した人だ。ドーベルマンが指の合図でピラミッドを組むギャグが好き。最初っからそういう小さな笑い狙いの映画だと納得していれば、それなりに楽しめる。現実のニューヨークが、悪が善に勝つ世界として、反映画的状況として浮かび上がってくる、というテーマもあることはある。俳優と役との関係って、スターが持つジレンマなんでしょう。自分をコケにして立派すぎる役のほうから眺めるおかしみ。「向こう」へ行くと元気になる、ってのに一抹の哀愁があるね。でもこういう映画が作られること自体、アクション映画がこの当時困難になってた、ってことかも。荒唐無稽をそのままスクリーンで展開できず、ひとつ趣向を被せないと観客がシラけるようになってしまっていたのか。[映画館(字幕)] 6点(2011-05-30 12:16:36)(良:1票)

409.  ピーター・パン(1953) これはやっぱり成長物語なんだ。ウェンディが大人になる決意を持つまでの。人の動きは『白雪姫』ほど病的に現実の人間に近づけようとはしなくなっている。アニメにおける人間の動かし方が固まった。ティンカーベルがついていくのが『未知との遭遇』につながったな。子ども向けでありながら彼女には50年代のコケットリーを感じる。やたら月をバックにするのは『E.T.』か。映画館にいた子どもたちには洞窟でのフックとの戦いがやたら受けていた。ラスト、海賊船が金の帆船に変わるとこ、色の変化ってのもアニメでは重要。月がビッグベンになり、それが家の掛け時計に、という移りもよろしい。[映画館(吹替)] 7点(2011-05-29 12:10:00)

410.  インセプション 《ネタバレ》 ハリウッドは、夢の世界に行ってもカーチェイスやドンパチしか出来ないのか。せっかく秀逸な設定なのに、かなりガックリきた。夢の世界での攻防戦でこそ、イマジネーションを膨らませる見せ場になるはずなのに、どうも意識の世界と変わらないことやってる。意識のレベルの定型に拘束されている。最初フランスの街角で世界がポンポン炸裂していくところなんかウキウキさせられたのに、だんだんシボんでいって、雪山の夢の層なんかいたって退屈。惜しいなあ。上の層の夢に下の層の夢が影響されるなんて設定はちょいと面白く、上の層で車が回転すると下の層のホテルの廊下がグルグル回り出すなんて、ああいう発想をもっと展開してほしかった(ま、あの無重力ホテルは見どころです)。けっきょくこの何層にもなった夢の世界の冒険って、ステージを進んでいくテレビゲーム的に遊ぶ感覚なんだろうな。意識の深淵を覗くオノノキを味わう、たとえば『惑星ソラリス』や『禁断の惑星』といった名作とは、別種のジャンルと見た。でも「植え付け」ってのは突っ込めば怖いテーマになったはず。これだけは「自分の意見」だと思っていたものも、実は植え付けられたものかも知れない、って。ニュースキャスターや映画評論家の言葉に「植え付けられた」ものだけで自分の意見は出来上がってないか、という不安。[DVD(字幕)] 6点(2011-05-25 10:07:24)

411.  白雪姫 動きの滑らかさには圧倒される。この丁寧さがアニメーションにとっていいことだったのかどうかは分からないが、とにかく「すごい」と思わせられる。特に白雪姫の動作・表情は完全に役者のそれで、動物たちと絡むシーンで面白い。あと、井戸の底の波紋とか小人たちの洗濯シーン、魔女のリンゴに垂れる液、眠った姫のまわりの雨および涙とろうそくの涙、など水・液のイメージが鮮烈。固いものより柔らかいものを描くときにアニメは独特の味が出る、継母のマントとか(『くもとチューリップ』の波紋や、『話の話』のテーブルクロスや、アニメにおける柔らかいものの表現ってのは研究に値する)。そうか、小人の家の掃除を見て今になって気がついたんだが、『略奪された七人の花嫁』の前半はこのパロディだったんだな。あと小人たちのダンスシーンなど見せ場があるのだが、どうも締めの取ってつけたようなハッピーエンディングへの移行が少々物足りない。ま、あえてアニメで見せる部分がないので、これでいいのかも知れないけど。[映画館(吹替)] 8点(2011-05-24 09:53:22)

412.  テロリスト・ゲーム<TVM> 疾走する密室ってのが、映画で列車が好まれるところなんでしょうなあ。屋根もあるし。宣伝のための列車ジャックってのがユニークで面白そうなところなんだけど、もひとつよく分からない。イラクに核が渡ったということで世界の緊張を高めてくってんだけど、なんか回りくどくない? もっと有効で簡単な手がありそうだけど(ところがその後のアメリカを見るとそうでもなかった)。それとこういうのでは、エリート集団のはずなのに、内通者が出てくるんだな。主人公をピンチにさせる一番手っ取り早い方法で安易です。いろいろあるんだけど、アイデアで新鮮なものはなかった。人質を大事にしているような、おろそかにしているような。[映画館(字幕)] 5点(2011-05-17 09:35:25)

413.  ザ・シークレット・サービス CIAあがりの暗殺狂と主人公の対決という設定はさして珍しくないが、この両者に「みじめな時代」を生きてるという共通項があるところがミソ。どちらもJFKの時代をイキイキと生きて挫折を味わい、いまクソのような時代を生きてるという認識なの。大統領と個人的な接触をしないのはつまらないヤツと分かると困るから、という。犯人は大統領よりも、ホリガンを相手としてのゲームを挑んでいるわけ。大統領なんてもう標的になる役割りしかない。このクソのような時代に意味を与えようと、自分の分身に挑むわけ。大統領という偉大な虚構のためにどこまで命を掛けられるか、というゲーム。ほとんど三島由紀夫における「天皇」を見るようなニヒリズム。だからマルコヴィッチはいつも「友だち」と呼びかけてくる。ただ一人だけゲームの分かる奴として。公園でヒッピー姿でフラフラしているマルコヴィッチは本当に気持ち悪い。口もとが不気味なんだな。「俺を撃てば大統領を救えるぜ」とか。さして暗殺するに値しない・守るに値しないと、両者納得の上で闘争が展開していく、かなりニヒルなサスペンス。[映画館(字幕)] 8点(2011-05-15 12:19:01)(良:1票)

414.  秘密の花園(1993) 荒れ果てた庭のほうが子どもは興奮すると思うんだけど、ワビサビの東洋の子どもだけですか。冒頭がインドの砂漠で、花園との対比がはっきりしている。あちらの考えでは、荒廃とか砂漠とかには価値がなく、あくまで人工の庭園になって価値が出てくるらしい。弱さとかおびえは「臆病」として排斥されるべきものと当然視されている。その衰えも自然の一部として愛でることが出来るとは、あちらではまったく考えないらしい。ま、そういう時代の原作なんだから、そう思って見ようとはするのだけれど、それにしちゃ花園に迫力がないよなあ。あの荒廃の魅力を覆すだけのものが感じられない。病弱の子が立ち上がる、ってのにはやっぱりホロリとさせられるが、全体として「子ども」のイメージが狭い気がした。[映画館(字幕)] 5点(2011-05-13 09:50:08)

415.  デーヴ 権力者と瓜二つの庶民てのは映画の好きなモチーフで、『独裁者』から『影武者』まであり、権力とは何ぞや、ということを一番考えやすい設定なのだろう。ニセモノが正しい道に戻す、って流れ。政治ってのは常に、庶民の側から見て「向こう」に行ってしまうベクトルを持ってしまっているわけで、それを「こちら」に引き戻したいという気持ちがある。デーヴが嬉々として始球式をこなしているあたりのはしゃいだ気分、このニセモノは庶民の代表として気のいい奴なのである。責任のない有名人として遊んでいた気分が、やがて責任を感じ出すのがホームレスのあたりか。予算捻出とか。『スミス都へ行く』なんかに通じる、民主主義の原点を常に探ろうとするアメリカ映画の姿勢は、素直に偉いと思う。政治権力を常に「こちら」に引き戻そうとする姿勢。まファンタジーだけど、シークレットサービスが「あんたのためなら死ねる」って言うあたりはホロリとさせられた。[映画館(字幕)] 7点(2011-05-11 09:52:51)

416.  トップ・ハット 人違いもののモチーフで、ずっと引っ張り続けるシナリオがいい。途中紹介される場面で、ここまでかな、と観客に思わせといて、さらに勘違いを続けていく粘っこさが嬉しい。誤解を続けさせる会話の妙。ダンスのほうはやや地味目で、二人で踊るのでは、仕方なく踊り始めてからしだいに熱が入っていく「チーク・トゥ・チーク」が見どころか。ただ一番うっとりさせるのは、アステアのロンドン公演でのステッキもの。ロンドン紳士の正装で、けっこうワイルドに踊るのが趣向。映画の冒頭、ロンドン紳士のクラブで音をたてないように息をひそめていた場面が反転される。タップの響きを銃声に見立て、向こうに並んだ同じく正装の紳士たちを(恋がたきという見立てか)、ステッキの銃で一人二人と倒していき、残ったのは機関銃で(ステップの連続音)薙ぎ倒す。それでも残った一人は、ヨーロッパ風に弓矢で仕留める。イギリスの上流階級と、アメリカのギャングとの重ね合わせのようなシャレた(ちょっと殺伐とした)趣向に、息を飲まされた。すべての動作がイキのよさで充満している。ロジャースの上の部屋で「砂の上の音をたてないタップ」をした欲求不満が、雷雨の中のあずまやで解消されたのと同じような爽快感が、このステージにもある。[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2011-05-07 09:39:39)(良:1票)

417.  逃亡者(1993) 《ネタバレ》 逃げながら追いかける。追う者と追われる者との親近感がミソ。トミー・リー・ジョーンズはエイハブ船長をやれるな、と思った。追跡が単純である前半はなかなかの水準と見た。トンネルで挟まれるあたり。シカゴに戻ってきてからは、どうしても謎解きのほうに話が奪われて、ややもたれる。ちょっと街中をうろうろし続けていられ過ぎる。病院でつい子どもを診断してしまったりして、ジェラードが彼の有罪に疑問を感じてくってあたりは分かるけど。真犯人は、もう少し真犯人らしからぬ顔の人間はいなかったのか。[映画館(字幕)] 6点(2011-05-06 10:25:34)

418.  踊らん哉 《ネタバレ》 今回はクラシックバレーという制約を与えて、作品の個性を作る。なにかの制約を与えて「型」に刺激を与え、マンネリを防ごうとしている。タップダンスってのが「滑って転びそうになるが手足をバタバタさせてしぶとく粘ってる」ってようなユーモアをもともとたたえていて、それと大仰なバレーのポーズとの対比。ローラースケートはいてタップさせる、ってのもそういうアイデアでしょう。レコードで練習してると針が飛んじゃって、同じところを繰り返すというギャグの落ちは、もちろんどんどんテンポが落ちていってしまって床にへたり込む、というもの。いいのは、船の機関との掛け合いの妙。そしてナイトクラブシーン。最初は仏頂面のロジャース、その周りを大袈裟にバレー風にまずアステアが飛び回る。ロジャースはただボーっと立ってるだけ。でも音楽が変わってステップ踏みながら前に歩み出すあたりから揃ってきて、あとは一気呵成。作品に個性を与えるために制約を入れるのも大事だが、ここぞというとこで定型の芯を見せるのも大事。溜飲が下がるというか、実に晴れ晴れとする。ラストのバレーで始まるショーがこの対比の集大成で、みんなロジャースのお面をつけて踊る。人形のモチーフから自然に受け入れられますね。またそれが愛の表明にもなっており、その中に一人本物が入ってるという趣向。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2011-05-04 10:18:38)

419.  有頂天時代 《ネタバレ》 このコンビの映画ではこれが一番好きなの。変化球のようでいてちゃんとツボを押さえているとこ。趣向が凝ってる。アステアの結婚式から始まるが、相手はロジャースではない。そうだったら話が進まないけど、こう始めて話を収められるのか、と観客は興味津々。ロジャースとの最初の出会いはツンツンしているという定型を踏む。そこらへんの「外し」と「定型」の揺らし具合がシャレてるんだ。うさんくさげに見られて、次第に心が解けていく経過が、だいたいこのシリーズの基本。わざと下手に踊ってから実力発揮、ってパターンも好きだね。それにずっと一緒にいる親父が楽しさを添える。ダンスの見せ場としては、三つの影とのやりとりか。最初はアステアの影と思わせておいて、次第にズレてやりとりを始めちゃう。とこの客席に元婚約者が現われて、さあどうするどうする、となる。アステアとロジャースは、大人数で踊ったあと二人だけでしみじみ踊る定型へと進む。こういうダンスは「愛」のシーンなの。ただただうっとりさせる。最初は下の階で踊ってて、心の高潮とともに上の階にのぼり、クルクル回る。この二人で踊った一番ロマンチックなナンバーじゃないか。そしてもじもじしていた婚約者マーガレットとの再会、マーガレットの手紙を読んだアステアが「You don't love me」と喜悦に震えて叫ぶ。一同大笑いになるのもアメリカ映画のいいところ(藤木孝似の指揮者は可哀想すぎる。婚約者のモチーフがあるのだから恋敵はいらなかった。なんかイタリア系をいつも笑いものにしているな)。フランスだったら人生の皮肉を強調したりするとこだが、あっけらかんと元恋人同士が互いを祝福し合う。いいなあ。[映画館(字幕なし「原語」)] 9点(2011-05-01 09:55:14)

420.  クレイジー・ハート 《ネタバレ》 破滅型の話かと最初は思ってしまった。時代遅れのアル中のカントリー歌手で、なにしろ車の長旅から出てきて、小便を捨てるシーンからという登場の仕方。「それでも歌に殉じて滅んでいく」っていう芸術没頭型の破滅へ向かう話だな、と思っていたら、そうでもなく破滅しないの。かつての後輩の前座をやるか、ってマネージャーの電話に、イエスと答える。恋人の愛を取り戻すために、禁酒会にも参加する。かっこいい破滅より、じたばた生きるほうを選択していく。そこにけっこう心動かされてしまった。恋人との会話の中で「子どもを失ったら生きていけないわ」というようなことを言われて「でも実際は生きていけるんだ」と言った。それでも生きていく、と言うとなんか力こぶを込めたようなイメージになってしまうが、人生に勝ったとか負けたとかいう基準の外に広々とした世界があるんだ、ということを本人が見せてくれた。ある種の柔軟さ。もちろん当人は傷だらけだが、悲壮ではない。破滅に飛び込まないで生き続けていく主人公を肯定的に描いて、気持ちのいいラストだった。[DVD(字幕)] 7点(2011-04-28 10:03:50)(良:1票)

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