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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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421.  崖っぷちの男 《ネタバレ》 興行面では世界的に不発だった本作ですが、なぜこれが話題にならなかったのかと不思議になるほど面白い映画でした。傑作とは言いませんが、これよりも面白くない大ヒット作なんていっぱいありますよ。。。 多くの方が挙げられている『フォーン・ブース』を筆頭に、『交渉人』『ミッション:インポッシブル』『マッドシティ』等々、本作の内容は過去作品のパッチワークのような状況となっています。ビルから飛び降りようとする謎の男と、それを止めようとする交渉人という構図は、2011年に製作された『ザ・レッジ-12時の処刑台』と同じだし、本作はオリジナリティに欠ける映画だと言わざるをえません。ただし、イベントの詰め込み方が尋常ではないため、ハイスピードで展開されるサスペンスアクションとしては過去作品達を上回る面白さとなっています。監督を務めたアスガー・レスはドキュメンタリー出身で本格的な劇場映画は本作が初となるのですが、その手腕には目を見張るものがありました。トニー・スコットやデヴィッド・R・エリスら、このジャンルの重鎮の急逝が相次ぐ昨今、意外とすぐにメジャー大作を任されることになるかもしれません。。。 以上が作品レビューであり、これからは鑑賞後に気になった点をいくつか挙げていきます。まず、この手の映画は視点を絞れば絞るほど面白くなるので、崖っぷちに立つ主人公と、敵の総本山に潜入する弟たちの様子を交互に映し出すという構成はいただけませんでした。盗みについては素人同然の弟がイーサン・ハントのような技を見せる点も不自然だったし、作品を通じて視点は主人公に固定して弟達の活動は明確に描写せず、終盤でサプライズ的に登場させるという構成にした方がよかったと思います。次に、交渉に失敗した過去を持つマーサーの設定が本筋とうまく絡んでおらず、ほとんど不要な背景となっています。『ダイ・ハード』のパウエル巡査的なポジションを彼女に託したのだと思うのですが、ならば彼女にも見せ場を与えてやるべきでした。悪役側については頭の悪すぎる行動が多く、「そこで主人公を殺したら、さすがに隠蔽しきれないだろ」という局面もありました。もっと賢く振舞ってくれれば、強力な敵となったはずなんですけどね。。。 まぁこの手の映画は2時間の上映時間を楽しむことができれば勝ちですので、以上の指摘も鑑賞後の小言であって、作品の面白さを損なうものではありませんが。[ブルーレイ(吹替)] 8点(2013-01-27 02:21:54)《改行有》

422.  ブロークバック・マウンテン 本作は男同士の『ロミオとジュリエット』。悲恋ものとしてはかなり王道をいく内容なのですが、登場人物をゲイにするというコロンブスの卵的な発想によって陳腐化した物語を見事に蘇らせており、企画自体の目の付け所はかなり良かったと思います。何百年にも渡って全人類に愛されてきた物語を映画の骨子としているのですから、ある意味では負けるわけのない企画なのです。アン・リーもそのことをよく理解しているようで、奇をてらった演出は一切せず、素材の魅力だけで勝負しています。演出しすぎてバッシングを受けた『ハルク』の経験からきた判断なのでしょうが、この方向性は正しかったと思います。。。 ただし問題は、ゲイの性をどう描くのかという点にありました。男同士が抱き合ったりキスをしたりする場面なんて、実写でやると笑っちゃうしかないわけですから。かのイーストウッド御大ですら、『J・エドガー』では直接的な性描写を避けています。そこにきてアン・リーはこれを正々堂々と描いてみせるというチャレンジを行い、かつ、それに成功しました。裸の男が抱き合って会話する場面なんて見れたもんじゃないのに、この映画ではきちんとしたドラマのパーツとして生きているのです。これには驚きました。性描写に説得力があったのでドラマにも深みが増し、最後の密会で喧嘩別れする場面なんて、悲しくて涙が出そうになったほどです。。。 主演4人の演技もすべて最高です。本作の後、この4人は全員売れっ子となったのですから、後付けではありますが非常に的確なキャスティングだったと言えます。ゲイの末路を知っているために感情を押し殺そうとするヒース・レジャーと、気持ちを隠しきれないジェイク・ギレンホールの対比は面白かったし、20年という時間経過を伝える演技が出来ている点でも感心しました。ロマコメのイメージが強くて女優として伸び悩んでいたアン・ハサウェイは本作で思い切った役柄を演じ、見事イメージチェンジに成功しました。女優さんがキャリアに弾みを付けるためにヌードとなることは日本でもよくありますが、ここまで成功した例はかつてないのではないでしょうか。[DVD(吹替)] 8点(2013-01-26 22:06:07)《改行有》

423.  ラスト、コーション 枢軸国の占領地域を舞台とした潜入スパイものであり、過激な性描写をハイライトとし、さらには敵・味方を越えた男女の情念が交錯する物語。ポール・バーホーベン監督の『ブラックブック』と非常に酷似した概要を持ちながら、なぜこうも違うのかという程にまったく別の作品となっています。これが作家性というものなのでしょうか。。。 二転三転するストーリーを畳み掛けるような勢いで繰り出した『ブラックブック』に対して、本作は一直線に進む物語をじっくりと、ひたすらにじっくりと描きます。バーホーベンのやり方と明確に違うのが刺激的な描写を極力抑えているという点で、トニー・レオン演じるイーの日常の姿をまったく映さないということに、アン・リーの個性を感じました。イーは中国人でありながら日本の傀儡政権の重鎮を務め、同胞の拷問や処刑を主な職務とする人物。極端な言い方をすると、人殺しが彼の仕事なのです。イーは職務から相当なプレッシャーを受けているらしく、人格の維持すら困難な状態となっています。普段はクールに振舞って個性を消しているものの、チアチーとの密会の折に素顔を覗かせる場面では、同一人物とは思えないほどの感情の振れ幅を見せるのです。もしバーホーベンであればイーの人物像に関心を持ち、彼の残酷な日常を克明に描写しようとしたはずですが、アン・リーはあえてこれを隠しました。彼はあくまでチアチーの見たもののみを描写することに拘り、視点を分散させなかったのです。このバランス感覚こそがアン・リーの良さなのですが、同時に面白みのないところでもあります。彼の映画は良くも悪くも官僚的で、破綻なく丁寧にまとめられてはいるものの、全体のバランスを崩してでも描きたいものがないので面白みに欠けます。もう少し遊びがあればグッと面白くなったはずなんですけどね。[ブルーレイ(吹替)] 7点(2013-01-26 22:04:02)《改行有》

424.  ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 IMAX3Dにて鑑賞。予告やCMで押されているだけのことはあって、3Dには圧倒的な迫力がありました。10年前に『ハルク』を撮ったきりで、最新テクノロジーに明るいイメージのなかったアン・リーですが、本作では技術を完璧に使いこなしています。リドリー・スコットやピーター・ジャクソンといった一流監督達が長年の経験で身に付けてきたことを、この人は本作だけですべてやりきっているのです。これには驚きました。素晴らしい映像と音響、そして3D効果、映画館で観てよかったと思える映画でした。。。 技術面の素晴しさも然ることながら、内容面も最高でした。オスカー最有力候補はダテじゃありません。動物たちの描写がとにかく上手くて、あざとい擬人化を避けながらも各個体にきちんとした性格付けを行っており、肉食動物が草食動物を食べるという当然の事実からも逃げていません。かなり生々しい描写もあるのですが、露悪的になる一歩手前で踏みとどまるという抜群のバランス感覚には唸らされました。息を呑むほど美しい場面も一つや二つではなく、芸術的にも非常に充実しています。3D効果と相まって、本当に素晴らしい体験ができました。笑いあり、見せ場あり、スリルあり、その上オチの付け方まで素晴らしく、悪いところのまったくない完璧な映画でした。リアルタイムで観たことが人生の宝になるレベルの映画だと思います。[映画館(字幕)] 9点(2013-01-26 22:02:30)(良:1票) 《改行有》

425.  26世紀青年 『MIB3』が奇跡的な仕上がりだったことから同作の脚本家であるイータン・コーエンに関心を持ち、TSUTAYAの棚に埋もれかけていた本作に辿り着きました。本国においては完成後1年も塩漬けにされた挙句にロクな宣伝もなく捨てるように限定公開され、日本に至っては劇場公開すらなくひっそりとDVDリリース。さらには悪名高きフォックスジャパンによって安っぽい邦題を付けられるというあまりに不遇な扱いを受けた本作ですが、内容は非常にしっかりしていて驚きました。下品なギャグで息ができなくなるほど笑える一方で、その基礎はしっかりとした知性によって支えられているという、理想的なコメディ映画となっているのです。本作が興行的に惨敗したにも関わらず、コーエンは直後に『トロピック・サンダー』の脚本家に抜擢されるという異例の大出世を果たしましたが、確かにこれは評価されて当然の仕事だったと思います。。。 バカしか生き残っていない未来というアホな話なのですが、結婚や育児に慎重すぎるインテリ層が必然的に人数を減らし、一方で無計画にボコボコと子供を作りまくるDQN層が多数派をとり、結果として上記の社会が出来上がったという設定には大いに納得させられました。この映画、細部に至るまで手抜きがなく、とにかくよく考えられています。未来のアメリカでは白人が減って有色人種ばかりになっていたり、アホな政府が金融政策を行ったためにハイパーインフレとなっていたりと、バカバカしい設定をうまく現実世界とリンクさせているのです。愚かな娯楽と扇情的な報道によって国民を総白痴化させるメディアと、そんなメディアが垂れ流す情報を鵜呑みにする国民という関係も現実世界を映し出したものであり、社会のために尽力したはずの主人公が、目先の結果のみを求めるメディアと国民からの猛バッシングを受け権力の座から引きずり降ろされるという展開などは、我が国でも思い当たるフシがあります。バカバカしい電解質問答にしても、電解質をコラーゲンやヒアルロン酸に置き換えれば、身につまされる方も多いのではないでしょうか(ありがたがって服用されている方が多くいますが、どちらも経口摂取ではほとんど意味がありません。念のため追記)。「もっと自分の頭で考えろ」、非常にシンプルなメッセージですが、多くの社会で切実に当てはまる問題だと言えます。[DVD(吹替)] 9点(2013-01-21 01:21:04)《改行有》

426.  キラー・スナイパー テキサスのDQN一家が保険金目当てに母親殺しを計画するというロクでもないお話。奇抜な登場人物に、適度に捻られた展開にと、脚本はよく作り込まれているのですが、二転三転した末に結局何が言いたかったのかはよくわからないという不思議な感触の映画となっています。。。 本作で注目すべきは、一応はオスカー監督であるウィリアム・フリードキンの大暴走で、御年72歳の巨匠が20代の若手監督をも凌駕するどえらいパワーを見せつけています。何が凄いって、高尚なことは一切なしで、エロとグロに特化した内容としているのです。フリードキンは95年に『ジェイド』という『氷の微笑』の出涸らしのようなエロサスペンスを撮って笑いものになったことをまだ覚えているようで、本作においてはやりすぎなくらいにエロを追求しています。何も履いていないジーナ・ガーションがいきなり姿を現す冒頭にはじまり、ジュノ・テンプルを現実と妄想の両方の世界で脱がせまくったり、マシュー・マコノヒーを脈絡なく全裸にしたり、フライドチキンを思いもよらぬ用途に使ったりと、エロに関しては凄まじい創意工夫を発揮しています。さらには、通常の着衣の場面だって胸の谷間や揺れ、乳首のポッチが気になるようなねっとりとした撮り方をしており、72歳の老人がやることとは思えない演出を続々と披露。念を押しますが、オスカー経験者です。。。 そんな感じで大張り切りだった巨匠からの要望を断り切れなかったのか、俳優達もかつてない怪演を披露。ジーナ・ガーションは49歳にして脱ぐわ殴られるわ、最終的にはあんなことまでさせられるわという大変な役柄を全力でやりきっているし、マシュー・マコノヒーに至っては、一体何の得があってこれを引き受けたのだろうかと思うほどの汚れ役を熱演しています。前半こそ、タイラー・ダーデンのようなダークヒーローの風情を漂わせていたものの、結局はただのヘンタイだったことがわかるというとっても損な役回り。監督のキャスティングセンスの賜物かマコノヒーのハマり具合が絶妙だったため、この役は彼のパブリックイメージに影響を与えかねないほどのインパクトを持っています。。。 観終わった後、特に残るものはないのですが、監督や俳優達のパフォーマンスを観る映画としては、十分なレベルに達していると思います。[DVD(吹替)] 6点(2013-01-20 03:21:04)(良:2票) 《改行有》

427.  ハンガー・ゲーム 《ネタバレ》 【TANTO】さんが詳しく述べられていますが、とにかく設定に穴が多すぎます。指摘事項の多さたるやトンデモ映画の域に達しており、本サイトの字数制限内ではひとつひとつを挙げきれないほど。そもそもの問題として、地区代表の未成年に殺人甲子園をやらせることが、なぜ国家の統治に役立つのかという理由がサッパリわかりません。深作欣二監督は、殺人ゲームに合理的な説明を付けることは不可能だとして『バトルロワイヤル』の背景説明を放棄し、いきなりゲームを開始するという英断を下しましたが、一方本作はゲーム開始までにたっぷり1時間もかけ、挙句に設定を伝え損ねているのだから話になりません。また、本筋においても、「権力者vs民衆」「金持ちvs貧乏人」「虚構を垂れ流すメディアvsメディアの情報を鵜呑みにする愚かな大衆」等々、多くのテーマが提示されるのですが、そのどれもが上っ面ばかりで煮詰めきれていません。これじゃあ21世紀の『バトルランナー』ですよ。。。 肝心のバトルも、これまたヌルくて参ってしまいます。生き残るのはたった一人、嫌いな奴を殺すことは容易くとも、最終的には仲間と殺し合いをしなければならないことがこの設定の最大のキモだと思うのですが、主催者側からの度重なるルール変更によってこの点がボケボケになっています。さらには、登場人物達の戦力設定もいただけません。弓を得意とする以上、主人公が参加者中もっとも有利であることは火を見るよりも明らかなのです。他には格闘に優れた者や、ナイフの名人もいますが、飛び道具を得意とする主人公に狙われたのではひとたまりもありません。そして、主人公が有利すぎるゲームなど、面白くなるわけがありません。そこで監督が考え付いたのが、主人公に弓を使わせないというシナリオ(笑)。見晴らしの良い広場のど真ん中に敵集団が突っ立っていても、この主人公は彼らを狙ったりしないのです。得意技を封じられた主人公の戦いには、当然のことながら緊張感は宿りません。なぜ、こんなにもバカバカしいシナリオが通ったのでしょうか。。。 以上、さんざん悪口を書きましたが、観ている間は不思議と楽しめたことはきちんと明記しておきます。スターなし、製作費も控え目ながら全米だけで4億ドルも売り上げた作品だけあって、娯楽作としてはそれなりにまとめられているのです。ツッコミどころも含めて愛せる映画だと感じました。[ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-01-19 18:37:43)(良:1票) 《改行有》

428.  コナン・ザ・バーバリアン 全米での苦戦が影響して日本公開が1年近くも遅れ、おまけに3D作品であるにも関わらず国内での3D上映はなしというあんまりな扱いを受けた本作。私は出来が悪いことを想定して鑑賞したのですが、そんな予想に反してこれが滅法面白くて驚きました。チープなジャケットに騙されてはいけません。本作は7,000万ドルもの製作費が投入された紛れもないハリウッド大作であり、その製作費をきっちりと画面に反映させることにも成功した、堂々たる娯楽作です。。。 『コナン』リメイクの企画は90年代から存在しており、2000年頃には『マトリックス』のヒットで飛ぶ鳥を落とす勢いだったウォシャウスキー兄弟も参加したものの、結局は話がまとまりませんでした。1982年版は成功した映画ではありませんでしたが、それでもあの映画が持っていた訳の分からん重厚さに勝るものはなかなか生み出せなかったようです。なんせ、ジョン・ミリアスとオリバー・ストーンというハリウッドトップの脚本家が二人掛かりで仕上げた作品ですからね。そんなこんなで何度も潰れてきたこの企画ですが、ハリウッドの何でも屋さんブレット・ラトナー監督が加わった2008年辺りから、話はサクサクと進み始めました。再映画化企画として1982年版からは完全に切り離し、純粋な娯楽映画として練り直したことが勝因でしょうか。。。 その後、スケジュールが合わずにラトナーも降板し、その跡を継いだのが『テキサス・チェーンソー』のマーカス・ニスペル。ラトナーは器用であるものの、その反面薄味で無難な映画しか撮らない監督。もしラトナーが完成させていれば出来損ないの『グラディエーター』になった可能性もあった本作ですが、残酷大将ニスペルの参加によって、映画はかなり引き締まりました。一方、ニスペルにも弱点はありました。演出に瞬発力はあるもののパワーが持続せず、連続活劇を不得意としていたのです。本作においてはそんな両者の個性が調度良い具合に混ざり合い、ノンストップアクションとして上々の仕上がりとなっています。[DVD(字幕)] 8点(2013-01-18 01:14:45)《改行有》

429.  ディヴァイド 《ネタバレ》 余計な説明は一切なしでいきなり核戦争という景気の良い導入部が終わると、以後の舞台は狭苦しい地下室のみ。閉鎖空間での心理サスペンスに主眼が置かれた作品なのですが、全体の構図はよく考えられています。舞台はマンハッタンの高級マンションであり、その住民達はバリバリのホワイトカラー。対して、(きっかけは意に反していたとはいえ)彼らをかくまってやるのは、そのマンションの地下室に住みこんで働いている貧しい用務員さん。常日頃、身の回りの世話をしているにも関わらず住人達からはロクに挨拶もされず、名前も顔も覚えられていない用務員さんが、金持ちやエリート達の生命を握るという捻じれた階級闘争の構図となっているのです。そして、物語はどんどんおぞましい方向へと転がっていくのですが、「他人に対してもっとも惨い仕打ちをしたのは誰だったのか?」という点についても、本作特有の結論が準備されています。これはかなり優れた企画だと思います。。。 問題なのは、脚本力や演出力が上記の企画意図に追い付いていないということ。まず、時系列の整理がヘタくそで、ほんの数カットで何十日も話が飛ぶこともあれば、逆に、いろんな展開が詰め込まれてさぞや時間が経過したのだろうと思いきや、じつは数日の話でしたということもありました。閉鎖空間に長時間閉じ込められた人間のストレスがテーマとなっている作品だけに、劇中の時間経過は作品の重要なファクターであるはず。にも関わらず、それを観客に伝え損ねていることは問題だと思います。また、設定のディティールにもあまりこだわりがなく、大人8人が何カ月も生存するために必要な水と食料、長期間の自家発電を行うための燃料とは膨大な量になるはずなのですが、あの地下室にそれだけの備蓄ができるようには到底思えません。さらには、相当な量となるであろう排泄物、おまけに生存者達は何カ月も入浴できず地下室の衛生状態は最悪になることは容易に考えられるのですが、そういった想定しうる設定が掘り下げられていないので、映画全体から説得力が失われています。あと、序盤に登場した謎の集団は一体何者だったんですか?彼らに連れ去られた少女はどうなったんですか?謎の集団から奪ったはずのライフルやテーザー銃が中盤以降、劇中から姿を消すのはなぜですか?設定を投げっぱなしにした製作側の姿勢には感心しません。[DVD(吹替)] 6点(2013-01-14 02:52:00)(良:2票) 《改行有》

430.  狼たちの報酬 韓国系アメリカ人であるジェフ・リー監督のデビュー作。新人監督がこれだけの豪華キャストを得られたという事実が示す通り、実に魅力的な企画です。4つのエピソードが緩やかに連結されることで一つの映画を形成するという『パルプ・フィクション』と同様のスタイルをとっているのですが、そのループのさせ方がなかなかお見事。同様の映画は少なからず存在しているものの、ここまで綺麗にまとめられた例は数える程しかありません。また、ファンタジーとクライムサスペンスを繊細なバランス感覚で組み合わせたことにより、独特の味わいを持つ作品となっています。映画全体の要となるブレンダン・フレイザー演じる”プレジャー”の設定などは実に良く出来ていて、予知能力という彼の才能は傍から見ると実に羨ましく、その能力を使えば楽しく生きられるだろうと思うのですが、彼はまったく幸せではありません。物事をはじめる前から結果が見えてしまうために一切の野心や目標を持つことが出来ず、諦めきって生きているのです。一風変わった設定ではありますが、確かに理にはかなっています。。。 以上、基本的には魅力的な作品なのですが、登場人物達があまりに頭の悪い行動をとってしまうために「そりゃないだろ」というツッコミが先に来てしまい、ドラマに感情移入することができませんでした。5万ドルという返済可能な金額の借金を返済するために銀行強盗を決意するフォレスト・ウィテカー、手袋もせず毒蛇に触り、案の定噛まれて死にかけるジュリー・デルピー、明らかに異常な血相でトリスタに駆け寄り、案の定ボディガードに取り押さえられてしまうケビン・ベーコン、金づるであるトリスタを無茶に扱い、案の定逃げられてしまうアンディ・ガルシア、どいつもこいつもバカです。なぜ、もっと賢く振る舞えないのかとイライラしてしまいました。。。 最後に、『狼たちの報酬』という、本筋とまるで関係のない邦題は一体誰がつけたのでしょうか?内容を示していないどころか、まったく違うジャンルを連想させてしまう最悪の邦題です。[DVD(字幕)] 6点(2013-01-09 00:46:11)《改行有》

431.  テイク・シェルター 近い将来起こるであろう大災害が見えてしまった男の物語。基本的には精神障害を持つ男と、それに振り回される家族や友人の姿を描いたドラマなのですが、この男のビジョンはあながち間違っていないのかもしれないというSF的な含みを持たせた演出が絶妙。視点を変えれば、『デッドゾーン』のような悲劇として鑑賞することも可能です。主人公が教会に通っていない件で咎められる場面を挿入することによって、映画から宗教色を排除するという細かい配慮も気が利いており、カンヌをはじめとして世界中で多くの賞を受けていることにも納得の仕上がりです。。。 以上、作品としての完成度の高さは認めるのですが、あまりに淡々とした内容であるため、観ていて楽しい映画ではありませんでした。ひとつひとつの場面が必要以上に長いし、一方でドラマティックな場面での盛り上げが不足しています。撮影や演技の質が高いために、新人監督はすべての場面をじっくり見せたいという誘惑にかられたのでしょうが、もっと観客の生理に配慮した内容とすべきでした。[DVD(吹替)] 6点(2013-01-08 16:11:55)《改行有》

432.  地球爆破作戦 『ターミネーター』や『ウォーゲーム』の雛形となった映画という点で歴史的意義は感じられるものの、完全に色褪せた映画だと感じました。コンピューターの考えは浅はかだし、対抗する科学者達の戦略も弱く、「なるほど!」と唸らされる展開がありませんでした。さらには、世界大戦の恐怖を背景としている割に緊張感もなく、シドニー・ルメット監督の『未知への飛行』のようなポリティカルサスペンスを期待すると裏切られます。。。 公開当時、テーマの先進性ゆえに客が入らなかったという悲劇の歴史と、日本においては数十年間にも渡ってソフト化されなかったという稀少さが、本作の価値を実態以上に押し上げているのではないかと思います。70年代、80年代にテレビの洋画劇場で本作に触れた方々がその内容にブったまげたことは容易に想像できるものであり、ソフトによる再検証ができなかったことによって、伝説が一人歩きするに至ったのではないでしょうか。[DVD(吹替)] 4点(2013-01-07 00:26:07)《改行有》

433.  メン・イン・ブラック3 《ネタバレ》 惨憺たる仕上がりだった『Ⅱ』から10年、誰も待っていないのに復活したシリーズ最新作ですが、これが驚異の完成度でぶったまげました。気鋭の脚本家イータン・コーエンに原案を書かせ、それを娯楽作の経験豊かなジェフ・ネイサンソンとデビッド・コープに手直しさせるという鉄壁の布陣で練り上げられた脚本がとにかく絶品。本作では宇宙人モノにタイムパラドックスの要素まで加えられ、おまけにアポロ11号発射という歴史的イベントと登場人物のプライベートな物語をリンクさせるという欲張りな内容となっているのですが、これらの要素を簡潔にまとめあげ、クライマックスに向けてひとつに収斂していく脚本力には脱帽させられました。。。 そんな脚本力に刺激されてか、演出の方も乗りに乗っています。90年代には確かにヒットメーカーであったものの、2000年代に入ってロクな映画を撮っていなかったバリー・ソネンフェルドが、本作では人生最高の演出を披露しているのです。冒頭の脱獄劇(舞台が月面であったことが判明する場面のインパクト!)からロケット発射台でのクライマックスに至るまで、見せ場の仕上がりはシリーズ最高レベルです。シリーズで唯一、観客に恐怖心を抱かせる悪役を登場させたことでアクション映画として全体が引き締まったし、笑いとアクションのバランスも絶妙な加減に調整されています。。。 惜しむべきは、MIBというコンテンツの賞味期限が完全に切れてしまっていたということ。これだけの完成度であるにも関わらず並レベルの興行成績に終わったことが、まさにそのことを示しています。10年前の『Ⅱ』の時点でこの完成度を披露していれば映画史に残るシリーズになったかもしれないだけに、遅れてきた傑作を残念に思います。[ブルーレイ(吹替)] 8点(2013-01-06 19:44:26)《改行有》

434.  メン・イン・ブラック2 娯楽作としてよくまとめられていた前作から5年、悪ふざけの部分だけを大幅に強化して恐ろしく出来の悪い続編となっています。構成の緻密さは失われているし、冗談は下ネタばかりで面白くありません。おまけに、1億4千万ドルという膨大な金額の製作費はどこに使われたのかと思うほど見せ場にインパクトがなく、まるで良いところがありません。本作以降、シリーズが10年間凍結したことにも納得のいく仕上がりでした。[DVD(吹替)] 4点(2013-01-06 19:43:39)

435.  メン・イン・ブラック ほとんどのレビューが一言二言の短文であることが示す通り、可もなく不可もなく、特にコメントすべきことのない娯楽作であるように思います。普段は長文レビューの私も、本作については特に思い浮かぶことがありませんでした(笑)。。。 本作のエイリアン達は露骨なまでにアメリカ合衆国在住の外国人を示しており、作品中にはアメリカ人でなければわからない隠喩や冗談が多く含まれていると考えられます。そんなローカルな題材だからこそ、我々日本人には伝わりづらかったのかもしれません。娯楽作としてのまとまりは良いので普通に楽しめるのですが、それ以上に感じるものはありませんでした。97年度の全米興行成績No.1作品にしては地味ですよね。[ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-01-06 19:42:47)《改行有》

436.  ジェーン・エア(2011) 《ネタバレ》 1847年に出版された『ジェーン・エア』は、当時としてはかなりの衝撃作でした。美人ではない女性を主人公とし、財産や家柄ではなく自由恋愛を尊ぶという価値観が作品全体を貫いています、ラストでは女性が男性に愛を告白するという異例の展開までが準備されており、当時の社会をひっくり返す程の大ブームとなったとか。。。 しかし、今やそんな展開は珍しくも何ともありません。古典の難しさはここにあって、初登場時に人々の関心を引いた部分は完全に陳腐化しており、現在の観客が昔の読者と同様の感動を味わうことはほぼ不可能という状況にあります。さらには、映画化においては古典へのリスペクトも要求されるために、改変を加えすぎても批判が起こります。原作のままではダメ、変え過ぎてもダメという、製作側としては何とも厄介な代物なのです。。。 そこに来て本作では、原作をなるべく忠実に映画化するという正攻法のアプローチがとられています。美しい撮影、オスカーノミネートの衣装、見応えのある演技、回想形式をとることにより尺を詰めるという映画的工夫、、、『闇の列車、光の旅』で注目されたフクナガ監督は、要求された仕事を充分にこなしていると言えます。ただし前述の理由により、映画としては面白くありません。前半部分ではキャストや撮影を楽しめたものの、1時間を過ぎた辺りからは猛烈に退屈しました。[DVD(吹替)] 5点(2012-12-30 17:57:11)(良:1票) 《改行有》

437.  ザ・レッジ -12時の死刑台- 《ネタバレ》 「リブ・タイラーが脱ぐ!」という煽りのみに釣られてDVDをレンタルし、ロクな予備知識もなく鑑賞したのですが、これが正解でした。ソリッドシチュエーションスリラーの体裁をとりながらも、実はスリラーを意図して作られていない本作。DVDジャケットから受ける印象を期待して観ると確実に裏切られるのですが、その一方で本筋の内容はなかなか深淵なものであり、配給会社によるヘタな宣伝に惑わされなければ、きちんと楽しめる作品となっています。。。 脚本・監督を担当したのは、サスペンスドラマの佳作『ニューオーリンズ・トライアル』で知られるマシュー・チャップマン。本作においても『ニューオーリンズ~』同様の抜群の構成力を披露しています。何の前フリもなくいきなり事件が発生し、その後の回想により薄皮を剥がすように登場人物達の素性や事件の背景が明らかになっていく前半部分は圧倒的な面白さに包まれているし、一見すると無関係に思えるテーマとシチュエーションを見事に一致させた構成力にも恐れ入りました。ドラマパートの出来も上々であり、リブ・タイラーに15年ぶりのヌードを決意させただけの脚本力は確かに実感できました。。。 問題に感じたのは、本作が投げかける難問について、監督自身が答えを出してしまっているという点。アメリカの銃社会を批判し、それに対して脱法行為をとる市民運動家をヒーローとして描いた『ニューオーリンズ~』を見れば分かる通り、チャップマンはバリバリのリベラル。そんなチャップマンは、信仰の不寛容を描いた本作においてはキリスト教原理主義をかなり厳しく批判しており、最終的には「信仰を捨てましょう」という結論に至ってしまっているのですが、本作の主張は観客に対する問題提起に留めておくべきでした。なぜなら、信仰が持つ良い部分を無視し、形式主義的で不寛容な部分だけを論って「信仰とは害悪である」と断罪する行為こそが、まさに不寛容そのものだったからです。言ってることとやってることに矛盾が生じてしまっているという市民活動家的な弱さがドバっと出てしまったラストによって、映画は説得力を失ってしまいました。[DVD(字幕)] 7点(2012-12-24 00:59:17)(良:1票) 《改行有》

438.  ベルフラワー 良い歳をして働きもせず、小学校時代からの親友とつるんで火炎放射器や火を噴く車を作ったり、「俺の考える世紀末」をテーマにイラストを描き溜めたり、「世紀末が来たらどうする?」と妄想を語り合ったりするオタクが主人公の映画。どうやってもコメディにしかなりえない素材なのですが、これをシリアスな映画として撮っていることが本作の新機軸です。この切り口はかなり斬新で、「今までになかった映画」と称することはできるのですが、その副作用として観客の許容範囲を大幅にフライングしている箇所がいくつもあって、ドラマとしては特に感じるものがありませんでした。前半が異常にチンタラしている割に後半ではあるべき描写が不足していたりと、映画全体のバランスもあまり良くありません。良くも悪くもインディーズならではの荒削りさが出てしまったようです。。。 低予算ながら、俳優陣はみな素晴らしいパフォーマンスを披露しています。主人公ウッドローを演じるのは本作の脚本・監督も務めるエヴァン・クローデル。トム・クルーズ似のそこそこイケメンなのに、何かが欠けているせいで絶妙なダサさや田舎臭が漂っています。絶妙な欠け具合といえば、彼の恋人ミリー役のジェシー・ワイズマンもなかなかのもので、パっと見は美人ではないし体も弛みまくっているのですが、じわじわ来るエロさが役柄に大変な説得力を与えています。登場した時には「えらく残念なルックスだな」と感じたのですが、徐々に良い女に見えてくるのだから不思議なものです。[DVD(字幕)] 6点(2012-12-22 10:39:06)《改行有》

439.  デンジャラス・ラン ジェイソン・ボーン・シリーズを思わせる音楽、おまけにボーン・シリーズの撮影監督までを召喚して製作されたスパイアクションですが、残念ながらその仕上がりはジェイソン・ボーンの二番煎じがせいぜいというレベルでした。ボーン・シリーズのおいしいところを摘もうとはしているものの、ポール・グリーングラスの神がかったアクション演出と、トニー・ギルロイの緻密な脚色を真似ることは想像以上に困難だった様子です。。。 ボーン・シリーズの魅力のひとつとして、おかしなヘマをやる人間が敵・味方のどちらにも登場しなかったという点が挙げられます。圧倒的な組織力と緻密な戦略で襲いかかってくるCIAに対し、超人的な身体能力と勘の良さでこれに立ち向かうジェイソン・ボーンという図式が燃えさせたわけですが、一方で本作の登場人物達は、皆どこか間抜け。気付くべきことに気付かなかったり、勢いで行動してボロを出したり、感情を抑えるべき場面でプライベートを気に掛けたりと、殺しのプロとは思えない脇の甘さがあるのです。そして、このことが映画の温度を引き下げる大きな原因となっています。。。 さらには、序盤で提示される基本設定を、本筋においてうまく活かせていないという問題もあります。例えば、デンゼル演じるトビン・フロストには、敵を寝返らせることを得意とするという設定がありました。この設定が置かれている以上、主人公マットは「自分はトビンに騙され、うまく丸め込まれているのではないか?」という疑念を持つべきだったし、その疑念が映画全体のサスペンスを盛り上げる一大要因となるべきでした。しかし、完成した映画においてはこの設定がほとんど切り捨てられ、最初から最後までまっすぐに話が進んでしまいます。せっかく面白い設定が準備されていたのに、これでは実に勿体無い。ドラマもうまく流れておらず、ラストの熱い会話も、観客にはうまく伝わってきません。。 ボーン・シリーズだけではなく、『007』や『ミッション:インポッシブル』といった老舗シリーズも優秀な新作を送り出しており、アクション映画界でも最大の激戦区と言える当ジャンル。そんな厳しい世界において、この程度の出来で勝負を挑むのは無謀でした。[ブルーレイ(字幕)] 5点(2012-12-19 00:46:52)(良:2票) 《改行有》

440.  ホビット/思いがけない冒険 IMAX3Dにて鑑賞。本日のシネコンは『ONE PIECE』に席巻されており、公開第一週の週末であるにも関わらず本作のスクリーンは悲しい程にガラガラ。10年前の『ロード・オブ・ザ・リング』初公開時には確かにあった熱気も今や昔、大変寂しい環境下での鑑賞となりました。。。 内容や雰囲気は、良くも悪くも旧シリーズを引き継いでいます。世界観を統一するためか、本作に登場するものは10年前に見たようなものばかりで目新しい要素や新機軸なるものは皆無。おまけに、ストーリー展開はご丁寧にも『旅の仲間』をなぞったものとなっており、旧シリーズが肌に合わなかった方は、恐らく本作もつまらないと感じるはずです。一方、旧シリーズのファンにとって、これは最高の新シリーズとなっています。テンションの高いイントロにはじまり、美しい撮影に、熱いドラマに、ド派手な見せ場にと、旧シリーズの良い部分がすべて受け継がれているのです。ピーター・ジャクソンの演出は10年でより進化を遂げており、見せ場における間の取り方などは神がかっています。ファンタジー映画を撮らせると、この人は世界一の監督であるということを再認識させられました。。。 『ロード・オブ・ザ・リング』というコンテンツと3D技術との相性は抜群に良く、画面に奥行を得たことで中つ国がより魅力を増しています。ジェームズ・キャメロンが『アバター』で実践した演出法が用いられているのですが、それによって観客は世界の広さを実感することとなります。同時に、本作では飛び出すアトラクションとしての面白さも追求されており、最大の見せ場であるゴブリンの洞窟での戦闘は、現状において存在するすべての3D映画で最高の仕上がりとなっています。。。 3D映画と言えば、字幕を読むことが苦痛になるため吹替での鑑賞が考慮されますが、その点、本作は吹替版の仕上がりも完璧です。普段は吹替を避けておられる字幕派の方も、本作では吹替にチャレンジしてみても良いかもしれません。[映画館(吹替)] 8点(2012-12-15 23:10:59)《改行有》

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