みんなのシネマレビュー
なんのかんのさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 2336
性別

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
41
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
41
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
41

481.  ナイルの宝石 こういうジャンルって日本には生まれないな。お笑い活劇。日本だと、笑いを重点的にすると活劇がお粗末になり、活劇っていうとみんなマジメ。これ目新しいギャグはほとんどないんだけど、でも楽しかった。時間の長さもちょうどいい。飛ばないジェット機がごとごと走ってるってのはかなりおかしい。この時代アメリカの公的な悪役はカダフィ大佐だったころで、ヒトラーに見立てて、ちゃんとアメリカの言い分も織り込んである。というか、こういう娯楽作品のためにいつも「公的な悪役」を用意しておく国柄なのか。キャスリン・ターナーって、はっきり三の線の人で、こういう人材も日本にはないな。そもそもここらへんのおばさんが主役になることが、二にしろ三にしろまずない。若くなくなると、もう母親役の脇が振られるだけ。[映画館(字幕)] 7点(2010-11-22 10:09:57)

482.  イヤー・オブ・ザ・ドラゴン 狭い奥まったとこへ行く感じはちょっとよかった。でも結局この監督で問題になるのは「偏見」でして、難しいところですな。『ディア・ハンター』は偏見と無関係な傑作だと思ったし、微妙なところをあえて扱う姿勢は支持したいと思うんですが、でも結果として本作、西洋人が東洋人に抱く薄気味の悪さにそのまま乗っかって、そのまま終わっちゃった映画になってしまった気がする。苦労を重ねた中国移民のエピソードは、本筋に組み込まれてなく、ただの傍注という感じどまり。妻とのゴタゴタやヒロインとの情事などの脇筋もつまんなかった。ジョン・ローンを軸にしたほうがもっと面白かったんではないか、と思うが、主人公を東洋系には出来ないところがハリウッド娯楽映画の限界か。話の終わりへの持って行き方はかなり雑。ミッキー・ロークがディスコの中やなんかを延々と追いかけていくあたりが、一番密度高かった。[映画館(字幕)] 6点(2010-11-20 10:11:50)

483.  キリング・ゾーイ 《ネタバレ》 殺伐としてますなあ。実人生ではもちろん、あんまり映画でも会いたくないタイプの人間てのはいるもんで、でもたしかにこういう連中は世の中にいるなあ、とは思う。退屈すらしていない連中、怒ってもいない。世間との共通の土俵をまったく見出せない連中。たとえば深作の『仁義の墓場』なんかもそれに近かったが、あそこにはニヒリズムがあった。それすらない。だからダチ公的な友愛が描かれるわけでもない。このとにかく否定文でしか表わせない人種を描くことには成功している。でももちろん観ててスッキリとは全然しないわけで。銀行の外の警察を描かないのは、演出意図か、予算の都合か。人質が殺される、ってのは、この映画に限らず、どうも観ててすごく嫌になる。範囲は狭くとも、絶対的権力を握った者による権力の行使だからだろうか。[映画館(字幕)] 5点(2010-11-18 10:17:11)

484.  ニードフル・シングス 《ネタバレ》 中世的な悪魔観を、現代に持ってきて押し通す、というのも趣向ではある。現代の怖さは、よそ者を悪魔に仕立て上げていくメカニズムのほうだと思うが、そういう昔の趣向で作られる話もあってはいいと思う。でもあえて古風な「よそ者=悪魔」観を持ってきた成果は感じられなかった。町の仲間たちの中の悪は「よそ者」によって操られていたということにして町の純潔は保たれ、やはり「よそ者」であったエド・ハリスは町の人間と結婚することで受け入れてもらえる。これならまだ中世の物語として作ってくれたほうが後味はいい。そもそもなんでそんな大物の悪魔がこんな小さな町に来たのだろう。まあ、大物の怪獣が小さな島国にやたらやってくる例もあるからな。[映画館(字幕)] 5点(2010-11-15 09:33:26)

485.  ギルバート・グレイプ 《ネタバレ》 よくできたスモールタウンもの、と思って観ていたが、ラストがいいので、ワンランクアップする。ずっと水のモチーフで展開していたのが(給水塔はおいといても、プール、キャンピングカー横の池、風呂場、ともっぱら凶々しいイメージ)、ラストに至って火を迎える。監督の母国の神秘主義にも通じていくような象徴性が感じられ、カメラも『処女の泉』や『サクリファイス』のスヴェン・ニクヴィストで、水と火の対比はお手のもの。また屋外に出される家具、ってのがなぜか映画では興奮させられるのだ。家と一体になっていた母を弔う方法。最初はただ恥ずかしいという受動的な思いだったのが(近所の子どもを窓から覗かせてさえいた)、彼女を笑いものにさせないという能動的な決断に至るわけ。アメリカの青春ものではあるけれど、どこかちゃんと高緯度の風が吹いている。[映画館(字幕)] 8点(2010-11-14 10:20:29)(良:1票)

486.  グリード(1924) 単なる金の亡者ってんじゃないの。倹約狂とでもいうか、腐りかけた肉を買って釣銭をもうけるあたりの壮絶さ。しかもきっかけが宝くじを当てた、ってのが面白い。ちょっと視点がずれれば落語の「芝浜」ふうの美談にもなるところが、あちらだと「悪」とか「妄執」とかいったもののエネルギーを発見していってしまう。醜いものそのものが、もう社会批判の材料といった役割を越えて、作品の動機になってる。性悪説というのとも違うんだろう。コッテリした肉食民族だなあ、としみじみ思う。旧約聖書といまだに通じている。それでいて情熱を描きながら、なんとなく冷ややか。海岸にたたずむ人々の荘重な構図。あるいは殺しの場、クリスマスツリーが両脇にあって、真ん中のドアを押して奥へ行き、左から斜めの光が二三本はいってて、惨劇の装置としてこの上ない。市井の事件が、まるで神々の物語のように昇華されていく。そしてラスト、地平線も定かでないように、世界全体が白く光っている。箱庭的な日本文化と一番遠い世界だろう。[映画館(字幕)] 7点(2010-11-13 09:57:20)

487.  飾窓の女 《ネタバレ》 もう不安がいっぱい。唐突な殺人から雨あがりの街へ。死体を運び出そうとすると帰ってくる住人、公園の入り口の料金所、ザザッと降ってくる木の露、信号がストップになって笑いかけてくる警官。しかしホントに怖くなるのは死体が発見されてからで、友人から捜査の進展が逐一報告されてくるの。女を突き止めたそうだと言われたとこで話が中断されたりするジラシ。ラジオのニュースの前に胃薬のCMが入るジラシ。こうやってジラすのがうまい。つい喋りすぎてしまう、というパターンは少し使いすぎたか。現場検証の場が一つのヤマ。「何の缶詰でした?」。尾行がついていたはずだ、とまず会話でユスリ屋を登場させるのもいい。このユスリ屋が部屋の中を探し回るのが次のヤマ。やけにきれいだねえ、とテーブルをなでたり、クネクネした動きが実にいやらしい。最も甘美な夢は、実は悪夢である、ということ。[映画館(字幕)] 8点(2010-11-10 10:08:10)

488.  ゲッタウェイ(1972) 《ネタバレ》 ペキンパーでは「男の美学」的なコッテリした作品が尊重され、たしかに『ガルシアの首』など傑作だと思うが、本作のサラッとしたイキのよさも好きだなあ。主人公はけっこう心に鬱屈を抱えているけど、なにせマックィーンだから、立ち居振る舞いはサラッとしている。もっぱら脇筋がコクを担当。追い続けるルディのしつこさはペキンパーの真骨頂だし、それに絡む倦怠期の獣医夫婦は笑いを担当しながらも、主人公二人の対照物として重要な存在。ベッドサイドで縛られている医者の亭主と、女房、ルディの図ってのは、牢屋にいたときのマックィーンと、アリ・マッグロー、ベン・ジョンソンの形と相似で、しかし女の心情が決定的に違うところが対比によってハッキリする。同じ「車の中の不自由」という状況、主人公二人はゴミにまみれてもなぜかベトベトした生ゴミはよけられるのに、獣医夫婦は人間用の車の中にいてさえスペアリブのベトベトまみれになっている。医者は拘束された後にカタストロフを迎えたが、こちらの夫婦はゴミ回収者という拘束から解放され愛の回復を確認する。だいたいアクションもので男女を描いた部分なんてオマケ的要素が強いんだけど、これは夫婦愛の回復が話の本筋になっていて、しかもそのことがアクションの醍醐味を薄れさせていない。またロッカーコソドロのカウボーイハット男、これももっぱら笑い担当なんだけど、鞄の中を見てウキウキするところなんか、チンケな野郎の束の間の夢がいじらしくさえ感じられて、記憶に残る。そしてラストの銃撃戦、銃声と静寂・リアルスピードとスローモーションのカットつなぎの名人芸。大好きな映画です。[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-11-09 10:11:37)(良:3票)

489.  空中レビュー時代 《ネタバレ》 アステアの陽気な脇役時代。レビューショーの映像化から映画独自のものが生まれてくるミュージカル史が分かって面白い。ホテルショーってのが必要条件だったよう。だから主人公はだいたい芸人に設定され、メインは個人芸よりも群舞になる。キャリオカ。ピアノをつないで円形の小さな舞台を作るの。ナンバーの中で画面を平気でワイプでつなげる。みんながいろいろ踊っているんだよ、という感じで、流れの不自然さはあまり意識してないみたい。さて見どころは題名にもなっている空中レビューだ。ダンスよりも、まだ見世物的要素が強かったことが分かる。みんなニコニコ笑いながら翼の下で空中ブランコやってくれるのには爆笑。落っこちて、別の飛行機の翼に引っかかったり、というオマケもつく。まだサイレントコメディ時代のスペクタクルな味わいを残している。そのスペクタクル性は群舞ともつながり、その中から個人のタップ芸に焦点が当たりつつあった過渡期ってことなんだろう。製作者サイドが、ああいう個人芸でも「華やかさ」を出せそうだな、と発見しつつあった時点。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2010-11-03 10:00:27)

490.  わかれ路 二人の女の間でうじうじする男。そういう状況を状況として丁寧に描くのは日本映画の得意な世界なんだけど、あちらだと短編小説的なキッチリした展開とオチが必要となる。あのラストを生かすとするなら、女の取りっこの話を中心にすべきでしょうな。どちらも最後に勝ったのはアタシだと思う。三方一両損の裁き。男はもっと後退させるべきでしょう。そこらへんで、あちらとこちらの違いを考えさせられた。妻に愛人らしいのができるとスネたりする情けなさは、あちらもこちらも変わらず。迷ってるときにジイサンと孫とを登場させ、家庭への思いと赤毛への思いを引き出すあたりは納得できる。[映画館(字幕)] 6点(2010-10-27 10:07:55)

491.  黄金(1948) 《ネタバレ》 今だったらタランティーノばりの三すくみになるドラマになるんだろうけど、この時代は違う。悪と善、というより、疑心暗鬼に捉われるケツの穴の小さい男としっかりした男と、さらにそれらを見越している人生経験豊富なジイサン、という三人になる。このジイサンが押さえになって、実に安定した三角を作る。また前者の二人も単純ではなく、最初はボギーもケツの穴を大きくして出資金を提供しているし、相棒もボギーが落盤事故にあったときちょっと魔がさしそうになる描写がある。イイモンの方にもそういう負い目を持たせて、ボギーの疑心暗鬼だけを突出させず、徐々に粘つかせていく。それがうまい。その粘つきが限界にきて銃が発射されるわけだ。ボギーがいちいち内心を新劇の舞台のようにモノローグするのはちょっと困るけど、そういう粘っこさがあるので、最期のあっけなさがより効果的になったのかもしれない。炎天下の「あっけなさ」ってのが、ひとつのモチーフとしてあるようで、第四の男や山賊の処刑など(帽子へのこだわりが印象深い)人々はあっけなく死んでいく。その果てに風に吹き散らされる砂金があるんだろう。そのあっけなさと対比されるのは子どもの蘇生で、丹念に腕を上下させて命を呼び戻している。またそれは、山の渇きと水のあるインディオ村の対比にもなっていて、ラストのジイサンの豪快な笑い(けっして苦笑ではない)は、欲望を越え最後は水の村に至った者にのみ与えられた正しい笑いなのである。[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-10-24 09:59:30)(良:3票)

492.  マイ・ガール2 まあ「幻滅を越えて」というやつで、母に対する抽象的な神格化が、具体的な愛着に落ち着いていく経過。移民の街としてのロスが描かれる。日系人にブダペスト自動車修理所。このアンナ・クラムスキー嬢、前作でちょっと気になってたんだけど、少女から娘へと成長してましたが、なんか微妙に味わいは失われていた。ここらへん変わるお年頃なのね。少女のときに見せた味わいを持ったまま、娘に成長していくってのは難しいもんだ。あらためて少女スター出身のスターの偉さ、あるいは彼女らがそこを乗り越えるときにあっただろう葛藤を思った。相手のオースティン・オブライエン君てのには、もう少し見せ場を作ってやっても良かったんじゃないか。歴代大統領でニクソンぐらい安心してからかいの対象になるのはないな。[映画館(字幕)] 6点(2010-10-22 10:06:25)

493.  アンドロメダ・・・ 《ネタバレ》 SFはもっぱら宇宙基地とか古代恐竜とか、巨大なものを相手にしてきた。『ミクロの決死圏』だって、映像的には巨大な人体の胎内めぐりのようなものだった。しかしこれでは微小な方に向かったのが特徴。そのスケールの小さなものが、大きなスケールに増殖していくかもしれないことの不安。人間の日常のスケールを越えた世界を対象としていく。SFの王道であり狙いはいいのだが、それはやはり理屈の面白さであって、小説では楽しめそうだけど映像としては難しかった。小さな緑の結晶が生きている、ってあたりがドキドキさせるべきところなのだが、顕微鏡映像を通してなので、もひとつ手応えが弱い。これ作られたころは、まだアポロ計画の最中だったかな。人々の興味は急速に薄れていたとは言え、科学の現場をドキュメンタリー的にたっぷり描いたのも、そういう背景があったからだろう。かえって今見ると、その70年ごろの近未来図の野暮ったさが味わい。ジャバラつきの感染防止服なんかいい。あんまりドキュメント調では観客に悪いと、ラストに冒険がサービスとして入るが、文字通り取って付けたようだった。映画としては、最初の死滅した町の探検の部分が一番。宇宙服みたいの着て日常の町を歩き回る凶々しさ。この増殖する生命体、ちょっと「ウルトラQ」の「バルンガ」を思い出す。[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-10-21 09:57:10)(良:1票)

494.  ダウン・バイ・ロー 《ネタバレ》 町並みや雲の美しさは、ヴェンダースのカメラマンということで納得。でもこの監督の味は牢に入ってから。退屈をどうしていいか困っている人を描くのが好きみたい。イタリア人ロベルトが加わって、さらにおかしくなる。ボソッと、人を殺したんだ、と分かるとこ。「ホイットマンが嫌いな奴だったのか?」「きいてなかった」。不意の脱獄。脱獄そのものがギャグになっている。ボートで沼地を行く。しだいに迫っていくカメラ、水面は微動だにしない。別れの予感、朝のダンス、二又の道、上着の交換、ってね。うまいよね。でもなんかコツがわかってる分、それだけ飽きも来やすいというか、三人がばらばらに散っていくって同じ展開でも、鮮やかさは今ひとつ。こっちはちょっとキドリが感じられてしまう。情緒的なレベルで「男の世界だなあ」と満足してしまいかねないところがある。[映画館(字幕)] 7点(2010-10-20 09:52:35)

495.  救ひを求める人々 《ネタバレ》 冒頭の常に浚渫船が構図の中で動き回っているダイナミズム、とにかく舞台芝居と違って大きいものを動かせるってことは、映画の喜びの初めにあったものでしょう。字幕は、セリフよりも、トガキというか作者のナマの声のほうが多い。冒頭などワンカットごとに字幕が入り、ちょっと『ストレンジャー・ザン・パラダイス』のリズムになっちゃいそう。何か、日本の浄瑠璃とかギリシャ演劇のコロスとかの役割りに近いんじゃないか。港湾都市の移民たち。トランクの上に並んで座る構図は、そのままアパートのソファの構図につながっていく。横に伸びる影が強調された部屋。長い階段の果ての部屋で、この手すりを子どもは滑り降り、街に出ようと決意した娘も下っていく。マッチの燃えかすで眉を引く。外に出ていくとこを後ろから捉えたカット。でピクニック、娘に言い寄る色男を少年が蹴って、それからケンカになり、ついに主人公が色男を「あなたの夢を実現する場所」いう看板に追い詰めて叩きのめす仕組み。やっぱり基本は、自分の力で切り拓いていく、という精神ね。[映画館(字幕)] 7点(2010-10-18 10:11:05)

496.  沈黙の要塞 《ネタバレ》 ワルが政治絡みでも犯罪組織でもなく、ただただ利潤を追及する経済活動のゆえに裁かれる、というのは娯楽系の映画としては珍しいか。もちろんエスキモーを殺したり派生的に悪いことはしてるんだけど。今までだと別に悪の根源があって、企業のふりを装ってるって展開になるんじゃないかな。これは社会派映画の一歩手前、企業活動そのものを悪としている。話は粗い。悪人が家捜ししても見つからなかったフロッピーがひょっこり鞄の底から出てくる、というギャグ映画の一歩手前。自然を守ろうとしているこの主人公も、かなり自然に悪いことしてるみたいだったし(アメリカの「正義」のパロディのつもりだったら立派なんだけど)。悪い企業に勤めてたからって従業員を危険にさらしてもいいのか。発電所のガード撃ち殺しちゃった。またこういうのの悪役って、主人公にトドメを刺さないで引っ繰り返されちゃうんだ、必ず。ラストの演説は、その通りだとは思うんですけど、圧倒的にシラける(やっぱりパロディなのかな)。[映画館(字幕)] 5点(2010-10-16 10:08:05)

497.  ザ・プレイヤー 《ネタバレ》 ハリウッド人種描くときの姿勢って、なんかパターンがあるよね。辛辣に徹することで、変な愛着が醸し出されてくる。ひどい世界だ、と言い続けることで、愛着を確かめているような不健全な関係。それでいいのかな、って気にもなる。アルトマンならもっと違う角度から攻めてくるのかと思ったんだけど、やはりそのパターンの流れで、ちょっと物足りなかった。ハリウッド以外の話題はないのかな、と言うと沈黙してしまう閉じた社会。冒頭の長回しは楽しく、『黒い罠』より込み入っている。「卒業part2」とか、途中にはさまれる単なるクスグリの会話も楽しめたが、やはり最大のギャグはジュリア・ロバーツとブルース・ウィリスでしょうな。出演するほうも偉い。[映画館(字幕)] 7点(2010-10-10 09:47:51)

498.  コンチネンタル なかなかウキウキしたダンスを見せない。アステアが最初にタップを踏むのは、自分がダンサーであることをレストランで証明するためのもので、いやいや踊る。いつものミュージカルの、ウキウキした気分から自然に身体が動き出す、というのの逆という趣向。ロジャースのほうも、最初はスカートをはさまれ身動きできない状態で登場する。アステアは着替えるときにウキウキ気分をちょっと出すが、前半はおおむねタメてタメて、二人の心が通じ合う「ナイト・アンド・デイ」までもたせる。こういう愛の確認場面ではタップではなく、組んで踊る優美なダンス、というのが決まり(しかもその前に、同じ場で若者たちの群舞を入れて、こっちのしっとり感を強調)。こういうときはテーブルを乗り越えたりしないの。どちらかというと、ミュージカル映画では、タップやテーブル乗り越えたりする振り付けのほうが見せ場なんだけど、こういう愛の確認の場では、それやっちゃいけないことになっている。前半でタメていたおかげで、解放感。愛の表現として、向かい合うことと追いかけることを同時に踊ると、回転のダンスになるのだろう。この映画では回転のモチーフが繰り返され、回転扉やレコードの上の紙人形の回転へと広がっている。後半の見せ場「コンチネンタル」も、部屋に閉じ込められそうになって抜け出してのダンスということで、やはり解放感が満ちる。この「コンチネンタル」、タップリで見事ではあるが、音楽は切れずに続いているのに、群舞のほうは画面が編集されててつながらない振り付けになってたりして、ちょっとつまずく。ラストの二人はもうしっとりの愛ではなくウキウキ気分の愛だから、テーブルに乗ったりして踊ってもOK。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2010-10-09 09:46:04)

499.  スネーク・アイズ(1993) ほとんどが人物のシーンで押していく。数カット夜の街があったぐらいか。顔の力。アップの迫力。イタリア系ということでどこか神を引きずっている。ジェームズ・ルッソもマドンナも悪くない。ハーヴェイ・カイテルはクサいんだけど、監督というものをそうやって茶化してる感じもあって、微妙なところ。現実と映画とが交錯していくってのにあまり新鮮味が感じられず、というか現実のほうの監督夫婦の話がつまんない。テレビのCMスターと悪態をついて演技のテンションを高めていくとこ、あるいは何度も撮り直すシーンあたりが、まあ面白い。映画人てのは、映画よりも映画の現場のほうが好きなんじゃないか。こういう映画撮影ものの作品で製作中の映画って、いつもとても面白くなさそう。面白かったら、そっちを映画化してるわけだけど。[映画館(字幕)] 6点(2010-10-08 10:20:37)

500.  瞳が忘れない/ブリンク 《ネタバレ》 レトロアクティヴヴィジョン(逆作用視覚)ってのがポイントで、見たものを遅れて認識することがある、っていう角膜移植後の後遺症、これうまく使えばいいサスペンスになれるモチーフなのに活かせなかった。主人公が今ぼんやり見えているものが、もしかすると過去の出来事かもしれない、という不安を感じてないみたいで。普通のスリラーの、犯人の像が現われる不安だけになってしまっている。現実感覚の不安になってないの。もったいない。それに元盲目なら、相手が闇の中で襲ってきたらこっちのもんでしょうが。なんかせっかくの新味を出せる設定を、いままでのスリラーの手続きだけでこなしてしまったみたい。移植した先をたずねまわるイビツな愛って動機はいいんだけど。[映画館(字幕)] 5点(2010-10-01 09:58:51)

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS