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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 250
性別 男性
自己紹介 サンボリズムとリアリズムのバランスのとれた作品が好きです。
評価はもちろん主観です。
評価基準 各2点ずつで計10点
1.物語の内容・映像にリアリティを感じるか?
2.視覚的に何かを象徴できているか?
3.プロットの構成は適切か?
4.画面に映る動き・台詞や音にリズム感があるか?
5.作品のテーマに普遍性はあるか?

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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順123456
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41.  ミナリ アジア系の移民が主役というのも珍しいのですが、その上農業で成功を目指すというのは今まで見たことがない例です。実際この時代の韓国からの移民(に限ったこともなさそうですが)は圧倒的に都市への移民が多かったみたいで、劇中の家族は都会の韓国人を嫌っているあたりからしてもかなり珍しいパターンのようです。何の根拠もなく自身たっぷりな父親に対し現実を見据えている母親、男の子と女の子が一人ずつ、おばあちゃんがいてもおじいちゃんはいない、一昔前は日本でもよく見られたような家族像は懐かしさを感じさせますが日本人としては新鮮味も薄いです。移民の物語だからといって差別や迫害を描けば良いというわけでもなく人種を超えた友情を描いているのはこの映画の美点ではあります。しかし監督の自伝的内容とはいえ作品の焦点がどこにあるかよくわからずテーマも不明瞭で終始ぼやけている感じなのは欠点です。父親の農業への情熱、おばあちゃんへの思い、生活の中のキリスト教、どれも素っ気なく描かれるだけで作品を通して誰が主人公なのかもよくわかりません。部分部分に光るものがあっても全体としては希薄な印象しか残らないというのが正直な感想です。[インターネット(字幕)] 5点(2023-08-10 23:18:39)

42.  クルージング ウィリアム・フリードキン監督追悼として、ああそういえばこの映画を見てなかったと思い出したので見てみました。しかしよりによってこんなので追悼かよとちょっと後悔してしまうような出来の作品でした。ゲイコミュニティを舞台にしている意味がわからないです。ちょっと調べてみたところゲイの側が警察の恰好を自ら好んでしていることで両者の境界線の曖昧さみたいなものを描こうとはしているみたいです。ゲイへの差別じゃないかという台詞もありますし別に見世物的興味だけで選んだわけではないんでしょうけど、これで作品全体として具体的にどんなメッセージを伝えたかったのかは描写が曖昧すぎてよくわかんないですね。あの突然出てくるテンガロンハットを被った裸の黒人は本当に何なんでしょうか、あれをギャグシーンとして見ないのはちょっと無理ですね(笑)。80年代初頭のアメリカの風俗の性的退廃の中で殺人鬼が次々と人を殺していく、見終わった後に残った印象はシリアスな刑事ものというよりも13日の金曜日のようなスラッシャー映画に近いです。[インターネット(字幕)] 3点(2023-08-09 23:13:58)

43.  TAR/ター 西洋の伝統的な芸術文化は女性をはじめとして異文化の人間を取り込んで延命を図ってきたがそれも段々綻びが見えて来ていてそのうち滅びる悲劇的な運命にある、みたいな感じの内容でしょうか。でも実際画面に出てくるのは毎日仕事場と家を往復してたまに子供の学校や観光地に行って社会との繋がりはSNSぐらいしかない、そういうしょーもない現代人の姿だけのように見えます。とっくの昔に生活が芸術とかけ離れたものに変わってしまっている現実から目を背けて天才芸術家みたいな古臭い世界観に浸ってるナルシシズムに辟易します。現代を描く映画ならばこのラストシーンで終わるのではなくむしろラストシーンから物語が始まるべきではないでしょうか。アジアで暮らしたことなんて絶対なさそうで、作り手がそういう狭い世界に生きてる人間だということが透けて見えるので白けてしまいます。個人的に役者が熱演するような作品は好みではなく、作品から浮かない自然な演技の方が正しいと思うタイプなのでケイト・ブランシェットの演技もわざとらしいようにしか感じられず褒める気になれません。それにしても序盤の貧乏ゆすりの青年の件が終盤になってようやく回収されて劇的な展開に繋がるわけで、その間は同性愛だのナチスだのそれっぽいキーワードを散りばめてお茶を濁す構成もひどいと思います。アンドレイ・タルコフスキーだかアピチャッポン・ウィーラセタクンだかのオマージュのようなシーンも必要なんでしょうか。監督・脚本は男性なわけですが結局男の主張を女に代弁させているようにしか見えません。それこそ見栄えがするからこっちを選択したんでしょうかねと皮肉も言いたくなります。作品を作者の性別で評価するべきでないなんてただの自己弁護としか思えませんよ。[DVD(字幕)] 2点(2023-08-06 21:56:38)(良:1票)

44.  明日は来らず 東京物語の元ネタということで見てみましたが、基本的なプロットが似ているだけでほぼ別物という感じですね。やはり東京物語に比べると当時のアメリカの事情に疎いこともあってか感情移入することが難しく他人事のように眺めることしかできませんでした。親子関係より夫婦の愛を強調したような内容なのは日米の文化の違いですね。そのためか親を受け入れる子も含めた複数の視点からではなく老夫婦の世界が物語の中心になっているのも共感しにくいところです。古きものが去るというテーマにおいても戦争を経験し高度経済成長へと向かう時代を舞台にした東京物語と比べると狭い世界を描いただけのスケールの小さなものと感じてしまいます。姥捨て山のようなエピソードには意外と普遍性があるということを発見できたのは一つの収穫でした。[インターネット(字幕)] 4点(2023-08-01 23:07:53)

45.  カード・カウンター 若者がグーグルアースを得意げに説明するシーンを見たとき、ああこれはおじいちゃんが脚本を書いた映画なんだなと思ってしまいました。熱いギャンブラー同士の対決が見たい方にはオススメできません。カードゲームの場面はすべて淡々としており娯楽性はほぼありません。前作魂のゆくえは環境問題という現代的なテーマで一本筋が通っていたのでわかりやすかったのですが今作はその辺りがあやふやです。一応米軍の闇のようなものが描かれていますがそれが主人公の稼業と何の関係があるのかよくわかりません。ウクライナ出身のミスターUSAという意味ありげな人物が登場しますがそれを深読みする気になるだけの強固な芯がこの映画には欠けています。魂のゆくえに引き続き主人公がノートに何かを書き記しながらモノローグで語る構成を採用していますが、同じような演出を二度採用するのは焼き直しと感じてしまいます。ただ捕虜収容所の魚眼レンズで撮影したような映像の感覚は新鮮で良かったです。結局この映画はザ・ヤクザの脚本家がまた日本の任侠映画のような作品をやりたかっただけのように思えます。主人公が博徒であるのはそれ以上の意味があるとは思えません。[映画館(字幕)] 5点(2023-07-31 23:16:30)(良:1票)

46.  ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE IMAXで見ました。序盤の砂嵐の場面は画面の大きさと音響のおかげで作品世界への没入感がすごかったです。ただそれ以降は迫力があるアクションシーンでもIMAX環境が最大限活かされているとは思えませんでした。クリップやライターのような小道具の伏線としての使い方はうまいです。キャストはパリス役のポム・クレメンティエフが最高ですね、彼女が完全に美味しいところを持って行ってます。しかしとにかく長い…。単に上映時間が長いというだけでなく一つ一つのアクションシーンもやたら長く延々と続くので始まりはワクワクしますが段々とダレてきていつ終わるのかという気分になってきます。ストーリーは現代的なテーマとしてAIの支配に対抗する人間を描いているように見せかけて全部それっぽい雰囲気だけで実態はただトム・クルーズがモテモテで終始美女に囲まれているだけの内容のような気もします。まあそれでも人間同士の信頼関係の重要さを中心に据えたドラマは一応見てよかったと思わせるだけのものはあります。[映画館(字幕)] 6点(2023-07-28 23:24:07)(良:1票)

47.  ファイナル・デスティネーション 2000年と比較的新しい方の作品にはなるのでしょうが、この時代でも既に映像のルックというのは古びている感じがしますね。事故時の飛行機の内部のシーン等は普通にセットに見えてしまいます。死は日常のすぐそばにあることを気づかせるというアイデアは興味深いものです。序盤の飛行機事故から追悼式の場面まではその辺りを作品のテーマとして掘り下げることができるかと思わせてくれるのですが、結局それ以降は面白殺人ピタゴラスイッチ部分ばかり凝っているのが残念ですね。飛行機での旅行中に事故に遭うかもしれないという恐怖は多くの人間が経験し得ることですが、そこから死の運命に翻弄されるなんて現実とは何の関係もないので身に迫る恐怖に欠けているのがコメディのようにも見えてしまう要因です。編集のテンポはいいので気楽に見る分には悪くないです。[インターネット(字幕)] 5点(2023-07-21 23:17:39)

48.  BROTHER 久石譲の音楽は他の北野武監督の作品では情緒性の強さがミスマッチで好きではないのですが、この映画では感傷性が比較的抑えられたジャズ調の音楽がハードボイルドな雰囲気に合ってていいですね。あくまで劇中のヤクザは理想化されたおとぎ話でしかないにせよ文化や血縁を超えた絆が描かれるのでこれは良いおとぎ話だと思います。いつもの遊びのシーンもこの映画では異文化交流としての意味合いが付与されています。どんなに成り上がったところで根底にあるのは子供の頃の貧乏だった時期への郷愁なのも良いです。…と考えたところで気づいたんですがこれって結局スカーフェイスの二番煎じではあるんですよね、そこは減点要素です。それでも娯楽性と作家性の両立という点ではアウトレイジシリーズよりも上手くいっていると思います。[DVD(邦画)] 6点(2023-07-16 20:22:00)(良:1票)

49.  街の灯(1931) 哀しいですけれど現代が舞台だとマッチングアプリでプロフィール盛ってましたみたいなペーソスもへったくれもない話になっちゃいそうですね(笑)。物語も技法も素朴すぎるのは否めませんが、サイレント映画という古びてしまった形式が却っておとぎ話のようなストーリーに説得力を持たせているとも言えます。既にこの映画の製作時にはトーキーへ主流が移りつつあったのでチャップリンもある程度自覚して生まれた時点で古典でもあるような作品を目指したのではないでしょうか。完璧な映画だとは思いません。観客を飽きさせない工夫としてロマンスやコメディだけでなくボクシング映画やギャング映画の要素まで取り込んだ盛りだくさんの内容になっているのは悪くないのですが、個々のギャグはナンセンスというだけでそれが物語の進行上意味のあるものではなく不要と感じてしまうところも多いです。金持ちの男と何度も遭遇するのも偶然にしてはできすぎていて不自然です。黒人のボクサーがカットによって起き上がっていたり倒れていたりするシーンは明らかに編集ミスです。それでもこの映画のラスト5分間はここだけのためにでも見てよかったと思わせるものです。複雑な心理を描くことに成功した切ないクライマックスです。このラストシーンには台詞を一つ加えることも削ることもできません。[DVD(字幕)] 7点(2023-07-08 23:26:56)(良:1票)

50.  インディ・ジョーンズと運命のダイヤル まともに動けない俳優を主演にアクション超大作を撮るというほとんど暴挙に近い作品です。ハリソン・フォードがスタントどころかろくにダッシュすらできないのは見ていて悲しくなります。昔のハリウッドのスクリーンプロセスへのオマージュかと思うほどチェイスシーンの背景は合成丸出しで全然迫力がないです。もうここまでCGを使うならもっと非現実的なぐらい派手なアクションにしてくれた方がいいぐらいです。多くのシーンが狭く暗いセットの中でアップ主体なので画面が見づらいことこの上ない、潜水シーンなんかほんと誰が何をやってるかよくわからないです。このシリーズにはあまり思い入れがないのもあるのですが、それ以上の問題として役者は悪くないのにろくに登場人物のキャラも関係も構築する気がなく出てきては消えるだけのドラマ部分には心が動かされようもありません。[映画館(吹替)] 3点(2023-07-05 23:33:29)

51.  37セカンズ 佳山明のか細い声は彼女の性格と今までの人生が伝わってくるような印象を与えます。ミニチュアのように見えるかのように撮られた空撮シーンがリアリズムから離れた感覚を覚えさせます。子どものように小さく振舞わざるを得なかった彼女の世界を垣間見ているようです。良い意味で普通の作品です。このぐらいの作品が特別な傑作扱いではなく毎年1、2本は作られる状況になるのが理想だと思います。世界レベルの映像作品に必要なのは何も精密なCGや派手なアクションではなく、タブーを恐れない題材の選択と役に合った自然なキャスティング、そしてテンポの良い編集があれば十分なのです。ただ全体としてドラマ性が希薄で各シーンの関連が見えづらいゆるい構成は一般的な日本映画の脚本から大きく逸脱しておらず、障害者も普通の人と変わらないことや37セカンズというタイトルの由来を言葉で説明してしまう台詞への依存度の高さはちょっとダメな日本映画らしさを感じてしまいました。技術的な面や題材の選択という点では優れていても構成力の弱さがこの作品に限らない現代の日本映画の課題とは言えます。[DVD(邦画)] 7点(2023-07-03 23:58:04)

52.  aftersun/アフターサン 本編より予告編の方が感動できました。ビデオカメラで撮った映像は申し訳程度に挿入されるのみで大部分はフィルム撮影なので意味があったのかどうか疑問です。せいぜい90年代という時代を象徴している程度でしょうか。繊細なニュアンスで行間を読み取ることを求めているというよりは、わざと説明不足にして謎を作り出しそれへの興味で引っ張っているだけのように感じます。父親の影の側面を深読みさせるための描写を除けば基本的には父と娘の一夏のトルコ旅行が描かれるだけです。インタビューによると今作の父親像は監督個人の経験を投影している部分もあるそうなのですが、内容が本当に個人のホームビデオのようでは困ります。ただ休日の外出先での夕暮れや夜の心地よい雰囲気はよく再現されていてあくまで雰囲気に浸って楽しむ作品としては悪くないです。トルコはあの山の感じといい夏に虫の鳴き声が聞こえるところといい日本を思わせるところがあってそういう意味でも郷愁を誘うところがあります。カラオケ(めっちゃ下手でしたね)や観光客の老人の多さもなんだか日本っぽいです(笑)。父親の苦悩に着目するよりも全体的にノスタルジックな雰囲気が強すぎて最終的には好きな人とこういう旅行ができたら楽しいだろうなーぐらいの感想しか出てきませんでした。[映画館(字幕)] 5点(2023-07-02 22:53:33)

53.  キッスで殺せ! 誰もまともに内容を理解できないおかげで傑作扱いされているという恐るべき映画。しかし好意的なこじつけなしではとてもじゃないが評価できる代物とは思えません。批評家の深読みをひとまず無視して純粋に作品内のみからまともに内容を読み取ろうとすると、神話の時代からパンドラのような愚かな女のせいで人類に不幸がもたらされた、核戦争の引き金を引くのも女だろうというオチ、男に従順だった女は生き延びられる、凄まじい女性蔑視作品である、こういう読み解き方も可能なわけです。原作が元々マッチョイズム全開の作品だったようなので全部が全部映画スタッフの責任とは言えないまでも、あのトランク関係は明らかに映画版で追加した要素ですからね。マンハッタン計画に台詞で言及しているだけでそれへの批判になるというのも無理があります、ただ煽情的なテーマを軽々しく扱ってるだけです。マッカーシズムへの批判だという監督の発言は後出しじゃんけんとしか思えません。当時はただ仕事で興味のない原作をいやいや映画化した結果珍妙なものが出来上がったというのが真相だったりはしないでしょうか。今は公開当時の米国での酷評こそ実は正しいのかもしれないという再々評価が必要な作品かもしれません。[DVD(字幕)] 0点(2023-06-29 23:39:54)

54.  悪魔の毒々モンスター 意外とちゃんと構成されている映画だと思います。主人公が清掃員という社会の汚れを綺麗にする役職であることはそのまま全体のストーリーにリンクしてます。一方では産業廃棄物を垂れ流しながら自分たちはスポーツジムで美しい姿になろうという人間たちに対抗するのがその廃棄物によって生まれた醜い姿のヒーローというのは象徴的です。社会派というほどの志は絶対ないでしょうけれど、ロイド・カウフマンは少なくとも悪趣味でしかない内容を正当化できる最低限のテーマは設定しようとしています。むしろ下手な説教臭さがなくほのぼのした雰囲気であるのがこの映画の強みではありますね。グロテスクな描写があっても最後には悪人が一掃されて善人だけが残るラストは気持ちのいい余韻を残します。まあ普通の映画として見たらいい加減な作りで退屈なシーンも多いのであんまり高い評価は付けられませんが、たまにはこういう作品も見ると癒されて良いです。[インターネット(字幕)] 4点(2023-06-28 23:15:24)

55.  炎のデス・ポリス 言うほど炎のデス・ポリス感はなく、真面目に作られているアクション・スリラー映画です。邦題のイメージ通り奇天烈なキャラクターを揃えたコメディに振り切ってくれたらもうちょっと楽しめたと思います。クエンティン・タランティーノ監督作品風のだらだら会話劇が続きますがセンスがない人がやると本当にだらだら退屈なシーンが続くだけという感じです。黒人女性のアレクシス・ラウダーが主役という点以外にジャンルとして斬新といえる要素はないです。人物の掘り下げもあまり行われないので魅力的なキャラクターといえばサイコパスの爺さん(トビー・ハス)ぐらいなもので、彼が登場しアレクシス・ラウダーを追撃する中盤が一番盛り上がります。防弾ガラスにマシンガンを撃ちこみ破片が飛び散る描写は新鮮で良かったです。それにしても最近はなぜかやたら西部劇風の映画が作られてるような気がします。[インターネット(字幕)] 5点(2023-06-27 22:32:07)

56.  風と共に去りぬ おお今見直してみるとフェイブルマンズで語られていた地平線が上にあると面白い絵になる、地平線が下にあっても面白い絵になる、その考え方を忠実に守って撮られているんですよね。あれはジョン・フォード監督秘伝の奥義というよりもハリウッドで広く伝わっていた教えだったことがよくわかります。当時のハリウッドの最高の技術のすべてが注ぎ込まれたカラー撮影と美術と衣装、ほとんどオーパーツみたいな作品です。スカーレット・オハラの堅苦しい風習に縛られない自由なキャラクターは今でも古びていません。何せこの時代に自分で事業まで始めちゃうバイタリティーです。しかしその割りに異様に土地に執着しているのが歪ではあります。軍隊や戦争が美化されているわけではないあたり、なおさら一番正当化したいのは奴隷制そのものだったという考えが見えてきます。逞しく自由に生きようとする理想と他者を踏みにじってでも利益を得ようとする貪欲さ、まあ良くも悪くもアメリカという国そのものを描いている映画だと思います。[インターネット(字幕)] 6点(2023-06-26 23:57:42)

57.  ザ・フラッシュ う〜ん、まあジャスティス・リーグよりはマシなだけって感じですかね。アクションシーンも冒頭のカーチェイスは最高でしたがそれ以上はものは出てきません、なんかところどころCGもしょぼいし…。もはや最近のDCEUの楽しみ方はワンダーウーマンのテーマが流れるのを待つだけになりつつあります。残念ながらこの映画ではそれが冒頭に当たりますのでそれ以降ずっと退屈でした。序盤で現行のジャスティス・リーグのメンバーの魅力を再認識しちゃったので新キャストにもあまり乗れなくなってしまったんですよね。マイケル・キートンのバットマンが登場するといっても本人が演じているというだけで現代風のハイテク装備で登場するものですからティム・バートン版を連想させる要素が希薄です。80年代オマージュ満載ですがギャグセンスも80年代みたいで寒いです。大人の事情を知らないと楽しめない要素を持ち込みすぎです。BvSのマーサをみずからネタにするとかプライドはないんですかと言いたくなります。それにスパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームでも感じたことなんですが同じ敵とまた戦うのってうんざりしませんか?新しい敵の方がワクワクするに決まってるじゃないですか。敵がそのままなのに味方が弱くなりすぎてがっかりするだけでしたよ。お話自体が今までのDCの迷走の自己正当化と以降の展開の都合のためでしかないので真面目に見る気が失せます。母親に対する思いへ向き合う成長物語としてもシャザムの方がよっぽど丁寧に描けてたと思いますよ。[映画館(字幕)] 4点(2023-06-25 19:27:03)(良:1票)

58.  レッド・ロケット ショーン・ベイカーは実力のある監督です。ロングショットで映される風景のスケール感、限定された音楽の使用、貧しい寂れているはずの地域をファンシーで色彩豊かな空間として捉える一方で登場人物が世界のどこかに実在していると確かに感じさせるリアルな人物造形も両立しているのは大したものです。しかし子供が主役だったフロリダ・プロジェクトに比べるとこのファンタジックなアプローチが題材に対して適切なのかは疑問です。ありのままの姿を肯定するだけなら良いのですが、この映画は男性のための都合の良いファンタジーに近づきすぎ、より多くの人間に評価される余地を自ら失っていると思います。2016年大統領選挙の様子がテレビで流されていますが、それに対する劇中の人物たちの態度が曖昧なように最終的にこの映画が何を伝えようとしているのかもよくわかりません。フロリダ・プロジェクトと同じように唐突なエンディングですが、前作のような切実な幻想シーンとしての説得力を持てていないのです。[映画館(字幕)] 6点(2023-06-14 23:12:02)

59.  シャドー・メーカーズ クリストファー・ノーラン監督のオッペンハイマー公開前に予習として鑑賞しました。原爆投下は本当に必要だったのか?という批判的視点もあり、描き方は中立的で悪くないと思います。ポール・ニューマン演じる原爆使用を推進するグローブス将軍は傲慢な人間として描かれておりそれが作者の立場を代弁したものではないのは明らかでしょう。確かに広島・長崎への原爆投下こそ直接描写はされませんが臨界事故による被曝のシーンはあり、放射線の恐ろしさを軽視してるわけではありません。そのため核に対する姿勢はダメとは思わないのですが、かといって映画としての出来が優れているわけでもありません。スタッフが一流どころの割にチープな印象を受けます。淡々としている割りにトリニティ実験にくるみ割り人形の音楽を被せたり演出過剰なところがあります。エンニオ・モリコーネの音楽もあまりやる気がなかったのかアルジェの戦いを多少アレンジしただけのような感じで目新しさがないです。キャストはポール・ニューマン以外は印象に残りません。オッペンハイマー役のドワイト・シュルツは重要なポジションなのにポール・ニューマンに全く対抗できていませんので結果的に将軍の方が間違っていながらも魅力的なキャラクターになってしまっています。原爆開発という題材ゆえに日本未公開となったというより、原爆開発という題材でなければ日本未公開であることに特に疑問も持たれない程度の地味な作品です。[DVD(字幕)] 5点(2023-06-13 23:11:58)

60.  エレファント ドラマ性を廃して長回しで撮り続ければいつか映画の神様が降りてくるかもしれないという信仰が有効だった時代の産物ですね。しかしそんな迷信は素人がスマホで撮った映像が氾濫する現代ではもうほとんど効力を失っているのではないでしょうか。つまるところ映画というのはどうあがいても映されたものに人間の意図が働かざるを得ない創作物なのですから神頼みの前に人智を尽くすべきだと思います。リアルな風俗描写だけが取り柄で明確なメッセージがない作品に時代を超える力は宿らないでしょう。しかも銃乱射犯人たちのパートになるともうあからさまにカッコいい絵を撮ろうとする演出の意図が見えてきて全体のコンセプトすら貫徹できていません。どうしても事件の直接的な描写は劇的にならざるを得ないのでしょうが、ここでこそ抑えた描写をしないのは何かが間違っています。エリーゼのためにやナチスのような深読みさせるための要素をしっかり入れるのには苦笑いです。それに同性愛者とナチスを結びつけるとはなんと軽率な描写でしょう。説明不足のためにその意図が深淵であるように見えるだけで実はこの監督は事件とそれに関わった人間についてろくに理解していなかったのではないでしょうか。[インターネット(字幕)] 3点(2023-06-12 23:38:00)(良:1票)

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