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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 250
性別 男性
自己紹介 サンボリズムとリアリズムのバランスのとれた作品が好きです。
評価はもちろん主観です。
評価基準 各2点ずつで計10点
1.物語の内容・映像にリアリティを感じるか?
2.視覚的に何かを象徴できているか?
3.プロットの構成は適切か?
4.画面に映る動き・台詞や音にリズム感があるか?
5.作品のテーマに普遍性はあるか?

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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順123456
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41.  フォレスト・ガンプ/一期一会 アメリカの自画像的作品でアメリカ以外の国にアメリカとはこういう国だと解説するというよりもアメリカ人自身がアメリカってこういう国だよねって自分で納得するような内容です。アメリカの歴史上の事件や人物が多く登場しますが、主人公のキャラクターもあってかそれらに対して何らかの見解を示すこともなく終始フラットに流れてゆきます。ベトナム戦争を描いた作品としてはこれ以前の作品群で描かれた以上の新しい視点はなく全体のコミカルな調子も合わせて薄味で物足りなく感じます。走るのに何らかの意味を求めることもまた病理であるのかもしれませんが、少なくともフィクションの作り手側は最低限何らかの理由を設定すべきではないでしょうか。歴史に関する知識がなければ構築できない脚本なのにさも何も知りませんという風に振舞うのは不誠実です。これではあの時代を経験した人間が昔を懐かしんだり小ネタにクスリと笑ったりぐらいの楽しみ方しかできないと思います。もう一つ不満点をあげるとこの映画の中で周囲の人間や環境は変化するのに主人公の人格は全く変化しないことです。劇中のダン中尉(ゲイリー・シニーズ)の人生は感動的です。それは名誉の戦死を願っていた彼が生きることに意味を見出すように考え方が変化するからです。それに対しフォレスト・ガンプ(トム・ハンクス)の人格は初めから理想的な人間として完成しているので成長することもありません。実はこの映画って人間の変化と成長が描かれた王道のドラマとは微妙にずれた変な作りだと思うのですが、それがこれほどの大衆性を得ているのも不思議な話ではあります。[インターネット(字幕)] 5点(2023-09-25 23:30:05)(良:1票)

42.  ターミナル スティーヴン・スピルバーグ監督の作品の中では地味な方なのでずっとスルーしていたのですがやっぱり今更見るほどでもない微妙な映画ですね。とにかく脚本がいまいちで人情も恋愛も社会派要素も全部関連性が弱く散漫で何について語りたい映画なのかよくわかりません。トム・ハンクスはトム・ハンクスにしか見えないのでこれで東欧の人間と言われても全然ピンと来ませんね。今なら普通に無名の東欧出身のキャストを抜擢してもおかしくなさそうです。キャリーバッグを潰しちゃうところとか言葉が通じない以前の問題で妙に言動が子供っぽいのも不自然というか偏見のようなものが見えてしまいます。ヤギの薬のくだりもこんなので納得するのでしょうか。無国籍になってしまった人間の境遇を伝えることが目的ではなく軽いコメディ映画を作るためだけにこのシチュエーションを利用してるだけのようで薄っぺらく感じます。深く考えなければ楽しめなくもないのですが、後に残るものが何もありませんでした。[インターネット(字幕)] 5点(2023-09-21 23:19:50)

43.  グランツーリスモ なんというか物語にしろ演出にしろめちゃくちゃベタでわかりやすい内容ですね。舐められてる人間が世間を見返す、親子や師弟の確執、冒頭のゲームに理解のない親の言葉からしてなんて陳腐でつまらない表現なんだと思いました(笑)。東京のシークエンスではとりあえずスカイツリーと東京タワーを映しときゃいいだろうという姿勢にも笑っちゃいました。今までのニール・ブロムカンプ監督作品と異なり社会派要素は全く見られず、シミュレーターが現実を凌駕する点などテーマとして掘り下げていけば現代的で深い内容になれた可能性のある要素にも全く着目する気がないようです。でもそのおかげか車やゲームに興味がなくともとっつきやすく登場人物に共感しやすい物語になっていますし、エンターテインメントとしてはこれぐらいベタで泣けるドラマになっているのでいいんじゃないかと思います。ただレースシーンはドライバーの顔アップと走行中の車の外観、エンジンの駆動を編集でツギハギして見せるだけでこれ以外の見せ方ってないんですかね。レースの最中では直接人物のドラマが動くわけでもないので陳腐でワンパターンな表現をされると退屈なだけなんですよね。CGも多用されてリアリティも欠けていますし、日本映画のアライブフーンがCGなしのレースシーンを売りにしていたのを見るとなんだかハリウッドと役割が逆転しているようです。大して車やゲームに思い入れがあるようにも見えませんしニール・ブロムカンプ監督がこの映画を撮った動機はよくわかりませんが、第9地区からして設定が特殊なだけで物語自体は割とベタな泣けるドラマでしたし、意外とこれがこの監督の本質なのかもしれませんね。[映画館(字幕)] 5点(2023-09-16 23:44:00)(良:1票)

44.  ラブ・アゲイン こういうタイプのラブコメ映画って最近あんまり見なくなってしまった気がします。スマホが出てこないというのも今では考えられませんね。ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンの二人も一時期はよく共演してましたが最近はこの組み合わせを見ませんね。マジックテープの財布がバカにされるのってアメリカでも同じなんですね(笑)。夫としては特に問題ないが男としては魅力がない人物が主人公というお話なのですが、それならば年下の若い娘に好かれるというのが不自然に感じます。ライアン・ゴズリングからは女性の楽しませ方を、スティーヴ・カレルからは女性に一途であることの大切さを学ぶというお互いを尊敬し合える成長物語にすれば良かったと思うのですが、その辺りはおざなりでエマ・ストーン関係を見てもせいぜい謎で引っ張り意外性のある展開にしておけばいいという安易さを感じます。車から飛び降りるシーンは最近是枝裕和監督の怪物でも似たシーンがありましたがただの偶然なのでしょうか。[インターネット(字幕)] 5点(2023-09-10 23:31:23)

45.  コーダ あいのうた 性に対してあっけらかんとしているのはフランス映画のリメイクだからでしょうか。いくらなんでも映像や編集にこだわりがなさすぎるような、なんだかテレビドラマを見ているような気分になります。家族と学校のような狭い世界の問題しか描かれないところもその印象に拍車をかけます。米国の事情には詳しくないですし漁師の生活も勿論大事ですので安易に批判するのも良くないのですが、乱獲の規制がまるで悪いことのように描かれているのも違和感があります。ろうあ者であろうと何一つ特別視するべきではない普通の人間であるというのはその通りだと思います。しかしこの映画はろうあ者を主要な登場人物に据えているところを特別視しなければ目新しいところもない平凡なドラマでしかないと思います。まあ斬新な設定や深刻なテーマ、グロテスクな描写等にうんざりしてベタなドラマを見たい時にはちょうどいいのかもしれません。アカデミー賞の審査員もそういう気分だったのでしょう。[インターネット(字幕)] 5点(2023-09-05 22:35:50)

46.  蝿男の恐怖 青を基調とした夜の場面とプレス機はターミネーターに継承されているのかもしれません。序盤の雰囲気は結構悪くないとは思ったのですが、結局ほぼ原作を忠実に映像化しただけの作品でしかないので物足りませんでした。原作にはない映画独自の演出と言えるのは転送に失敗した猫の鳴き声が静寂の中で聞こえる場面と蝿男の複眼の主観ぐらいでしょうか。手紙での語りを回想に変えるのは単純な置き換えでしかなく、舞台が一軒家からほとんど移動がないのも映画としては明確な欠点です。カラー撮影であるため今でも見やすく、そこは50年代のSF映画としては強みです。しかしこの映画に限ったことでもないのですが、この時代のハリウッドのシネマスコープ画面の映画はクローズアップをあまり用いずにほとんどロングショットだけで物語が語られるため映像のメリハリがなく見ていてダレてくるところがあります。この映画でクローズアップが用いられているのは蝿と文字を映す場面ぐらいのものです。文字は大きく映さないと読めないというだけですし、結果として蝿が映される場面が一番刺激的にはなっています。[DVD(字幕)] 5点(2023-08-22 23:19:42)

47.  ミナリ アジア系の移民が主役というのも珍しいのですが、その上農業で成功を目指すというのは今まで見たことがない例です。実際この時代の韓国からの移民(に限ったこともなさそうですが)は圧倒的に都市への移民が多かったみたいで、劇中の家族は都会の韓国人を嫌っているあたりからしてもかなり珍しいパターンのようです。何の根拠もなく自身たっぷりな父親に対し現実を見据えている母親、男の子と女の子が一人ずつ、おばあちゃんがいてもおじいちゃんはいない、一昔前は日本でもよく見られたような家族像は懐かしさを感じさせますが日本人としては新鮮味も薄いです。移民の物語だからといって差別や迫害を描けば良いというわけでもなく人種を超えた友情を描いているのはこの映画の美点ではあります。しかし監督の自伝的内容とはいえ作品の焦点がどこにあるかよくわからずテーマも不明瞭で終始ぼやけている感じなのは欠点です。父親の農業への情熱、おばあちゃんへの思い、生活の中のキリスト教、どれも素っ気なく描かれるだけで作品を通して誰が主人公なのかもよくわかりません。部分部分に光るものがあっても全体としては希薄な印象しか残らないというのが正直な感想です。[インターネット(字幕)] 5点(2023-08-10 23:18:39)

48.  カード・カウンター 若者がグーグルアースを得意げに説明するシーンを見たとき、ああこれはおじいちゃんが脚本を書いた映画なんだなと思ってしまいました。熱いギャンブラー同士の対決が見たい方にはオススメできません。カードゲームの場面はすべて淡々としており娯楽性はほぼありません。前作魂のゆくえは環境問題という現代的なテーマで一本筋が通っていたのでわかりやすかったのですが今作はその辺りがあやふやです。一応米軍の闇のようなものが描かれていますがそれが主人公の稼業と何の関係があるのかよくわかりません。ウクライナ出身のミスターUSAという意味ありげな人物が登場しますがそれを深読みする気になるだけの強固な芯がこの映画には欠けています。魂のゆくえに引き続き主人公がノートに何かを書き記しながらモノローグで語る構成を採用していますが、同じような演出を二度採用するのは焼き直しと感じてしまいます。ただ捕虜収容所の魚眼レンズで撮影したような映像の感覚は新鮮で良かったです。結局この映画はザ・ヤクザの脚本家がまた日本の任侠映画のような作品をやりたかっただけのように思えます。主人公が博徒であるのはそれ以上の意味があるとは思えません。[映画館(字幕)] 5点(2023-07-31 23:16:30)(良:1票)

49.  ファイナル・デスティネーション 2000年と比較的新しい方の作品にはなるのでしょうが、この時代でも既に映像のルックというのは古びている感じがしますね。事故時の飛行機の内部のシーン等は普通にセットに見えてしまいます。死は日常のすぐそばにあることを気づかせるというアイデアは興味深いものです。序盤の飛行機事故から追悼式の場面まではその辺りを作品のテーマとして掘り下げることができるかと思わせてくれるのですが、結局それ以降は面白殺人ピタゴラスイッチ部分ばかり凝っているのが残念ですね。飛行機での旅行中に事故に遭うかもしれないという恐怖は多くの人間が経験し得ることですが、そこから死の運命に翻弄されるなんて現実とは何の関係もないので身に迫る恐怖に欠けているのがコメディのようにも見えてしまう要因です。編集のテンポはいいので気楽に見る分には悪くないです。[インターネット(字幕)] 5点(2023-07-21 23:17:39)

50.  aftersun/アフターサン 本編より予告編の方が感動できました。ビデオカメラで撮った映像は申し訳程度に挿入されるのみで大部分はフィルム撮影なので意味があったのかどうか疑問です。せいぜい90年代という時代を象徴している程度でしょうか。繊細なニュアンスで行間を読み取ることを求めているというよりは、わざと説明不足にして謎を作り出しそれへの興味で引っ張っているだけのように感じます。父親の影の側面を深読みさせるための描写を除けば基本的には父と娘の一夏のトルコ旅行が描かれるだけです。インタビューによると今作の父親像は監督個人の経験を投影している部分もあるそうなのですが、内容が本当に個人のホームビデオのようでは困ります。ただ休日の外出先での夕暮れや夜の心地よい雰囲気はよく再現されていてあくまで雰囲気に浸って楽しむ作品としては悪くないです。トルコはあの山の感じといい夏に虫の鳴き声が聞こえるところといい日本を思わせるところがあってそういう意味でも郷愁を誘うところがあります。カラオケ(めっちゃ下手でしたね)や観光客の老人の多さもなんだか日本っぽいです(笑)。父親の苦悩に着目するよりも全体的にノスタルジックな雰囲気が強すぎて最終的には好きな人とこういう旅行ができたら楽しいだろうなーぐらいの感想しか出てきませんでした。[映画館(字幕)] 5点(2023-07-02 22:53:33)

51.  炎のデス・ポリス 言うほど炎のデス・ポリス感はなく、真面目に作られているアクション・スリラー映画です。邦題のイメージ通り奇天烈なキャラクターを揃えたコメディに振り切ってくれたらもうちょっと楽しめたと思います。クエンティン・タランティーノ監督作品風のだらだら会話劇が続きますがセンスがない人がやると本当にだらだら退屈なシーンが続くだけという感じです。黒人女性のアレクシス・ラウダーが主役という点以外にジャンルとして斬新といえる要素はないです。人物の掘り下げもあまり行われないので魅力的なキャラクターといえばサイコパスの爺さん(トビー・ハス)ぐらいなもので、彼が登場しアレクシス・ラウダーを追撃する中盤が一番盛り上がります。防弾ガラスにマシンガンを撃ちこみ破片が飛び散る描写は新鮮で良かったです。それにしても最近はなぜかやたら西部劇風の映画が作られてるような気がします。[インターネット(字幕)] 5点(2023-06-27 22:32:07)

52.  シャドー・メーカーズ クリストファー・ノーラン監督のオッペンハイマー公開前に予習として鑑賞しました。原爆投下は本当に必要だったのか?という批判的視点もあり、描き方は中立的で悪くないと思います。ポール・ニューマン演じる原爆使用を推進するグローブス将軍は傲慢な人間として描かれておりそれが作者の立場を代弁したものではないのは明らかでしょう。確かに広島・長崎への原爆投下こそ直接描写はされませんが臨界事故による被曝のシーンはあり、放射線の恐ろしさを軽視してるわけではありません。そのため核に対する姿勢はダメとは思わないのですが、かといって映画としての出来が優れているわけでもありません。スタッフが一流どころの割にチープな印象を受けます。淡々としている割りにトリニティ実験にくるみ割り人形の音楽を被せたり演出過剰なところがあります。エンニオ・モリコーネの音楽もあまりやる気がなかったのかアルジェの戦いを多少アレンジしただけのような感じで目新しさがないです。キャストはポール・ニューマン以外は印象に残りません。オッペンハイマー役のドワイト・シュルツは重要なポジションなのにポール・ニューマンに全く対抗できていませんので結果的に将軍の方が間違っていながらも魅力的なキャラクターになってしまっています。原爆開発という題材ゆえに日本未公開となったというより、原爆開発という題材でなければ日本未公開であることに特に疑問も持たれない程度の地味な作品です。[DVD(字幕)] 5点(2023-06-13 23:11:58)

53.  君の名前で僕を呼んで アメリカ人(フランスとの二重国籍)が主演し、アメリカ人が脚本を書き、タイ人が撮影し、イタリア人が監督した映画。この中だとイタリア人の仕事にいまいち褒めるところが見つかりません。現地の人間ですからロケーションに貢献したぐらいでしょうか。いくら二人の世界が中心になりがちなジャンルとはいえ主役二人以外に印象に残る人物があまりいません。終盤の父親の語りのシーンはいいと思いますが、それも普遍的な人生訓というよりはあくまで二人の儚い世界を彩るためのものでしかないと感じてしまいます。深いテーマを求めるような映画ではないんでしょうけど、ストーリーも映像も綺麗以上の感想は出てこないです。とはいえ全体的に健康的な雰囲気なのは好きです、人間の醜さも全く描かれず地上の楽園にいるような気分に浸れます。こういう同性愛を描きながらも安易に劇的な展開にしない映画も作られる意義はあるんでしょうね。単純にティモシー・シャラメの美貌を堪能しようとしてもアップだと意外と髭が目立つショットがあるのでちょっとがっかりしちゃいますね(笑)、お相手のアーミー・ハマーがおじさんというのもなんだかなあ。斬新な映画というより少年愛も含めてヨーロッパの美の伝統を尊重している部分が評価されてそうです。[インターネット(字幕)] 5点(2023-05-23 22:27:14)

54.  ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー 一言で言うと説明不足の映画です。なぜ土管が異世界に繋がっているのか?あのブロックは何なのか?キノコを食べるとなぜ強くなるのか?なぜキノコやゴリラの王国があるのか?なぜ亀が世界を支配しようとしているのか?ゲームの時点でそういうものだからこれでいいのだ、いちいち考えるものではない、第一説明していたらテンポが悪くなるじゃないか。マリオを知らない人間はいないと言っても過言ではないのですからこのアプローチも十分通用します。しかしこうした細部の設定を考証することで作品に奥行きが生まれると思います。それに考えてみてください、私たちはそもそもいったいマリオたちの何を知っているというのでしょうか?ただゲームをプレイしているだけでは多くのキャラクターたちの内面や世界の成り立ちまで理解することは難しいはずです。ゲームをプレイするのではなく、物語を鑑賞するという体験の強みは個々のキャラクターの理解をより深めることができるという点にあるのではないでしょうか。今までゲームでは描かれてこなかったマリオたちがブルックリンで暮らしている描写をわざわざ入れたのもそのためでしょう。マリオの嫌いな食べ物や家族構成をいったいこの映画を見るまで誰が知っていたのでしょうか?クッパはなぜ弾き語りをするのか、コング族はなぜカートを製造しているのか、残念ながらこれらの要素は脈絡もなく唐突に出てくるのでキャラクターたちの理解を深めるというよりはむしろ違和感を感じさせるものです。ただキノコ王国でピーチ姫がプリンセスとなったきっかけが語られるエピソードはとても良いと思いました。オリジナルのゲームで感じていた違和感を解消させるものです。やりすぎると1993年の実写映画版のような作品になるとはいえ、あのキャラクターやゲーム中の要素は実はこうだったというような設定の深掘りがもうちょっと欲しかったです。あっそういう意味では青甲羅の彼は最高でしたね。[映画館(吹替)] 5点(2023-05-11 23:38:55)

55.  聖闘士星矢 The Beginning 聖闘士星矢については全く知識がない状態で見ましたが、設定というか作品のテーマがよくわからないまま映画が終わりました。初見の人間におススメできる作品ではないという点では良くない映画化だと思います。原作をハリウッド映画の鋳型に流し込んだだけの作品という感じです。冒頭の赤と緑の照明の地下闘技場とか具体的な作品名は思い出せないのに何十回も似たようなものを見せられた気がします。適度に会話にユーモアは入れときましょう、ここら辺で登場人物に共感できるシーンを入れときましょう。まあさすがにハリウッドが長年培ってきた王道作劇です、大して惹きつけられるものがなくとも飽きずに見られます。しかし別に面白いわけでもないです。マッケンユーの戦い方はダンスと揶揄され、男かと思ったと皮肉を言われるのはアジア人へのステレオタイプな認識という感じです。壮大な親子ゲンカはよく見るのですが夫婦ゲンカは珍しいパターンかもしれません。マッケンユーは顔にいくら打撃を受けても傷一つなく綺麗なままです。そこに唯一スタッフのこだわりのようなものは感じられましたが、ただレイティングの問題なだけな気もします。[映画館(字幕)] 5点(2023-05-10 23:01:19)

56.  ドント・ブリーズ スクリームクイーンという表現がありますがそれを逆手にとって叫ぶことを禁じられた設定にしたわけですね、そこは面白いです。空撮や長回しを入れたり結構贅沢な撮影です。ストーリーのベースは時計じかけのオレンジあたりでしょうか。設定を掘り下げれば社会派スリラーにもなりそうです。ゲット・アウトのような作品が生まれる下地は既に整っていたということですね。ただ良くも悪くもそっち方向には進まずただのホラー映画に仕上がってます。スティーヴン・ラングが出てきてからの方がドラマ性が希薄になりつまらなくすらあります。座頭市の国の人間としては盲人で銃使いというのも変な感じです。暗闇ですのでマズルフラッシュを演出に使いたかっただけなんでしょうけど銃はいわば視覚で殺す武器ですし、銃がないと普通に女性に打ちのめされるのもがっかり感があります。[インターネット(字幕)] 5点(2023-05-09 22:45:41)

57.  パール・ハーバー この映画は言われてるほど悪い映画だとは思いません、前半は魅力的な場面がたくさんあります。冒頭の父親がドイツ軍と侮辱され傷つき、それに子供がそれに寄り添う場面は複雑な心理を描いており印象的です。黒人の水兵がボクシングで勝利し"respect"を得た、一度も銃を撃ったことがない、その方がいいと語られるエピソードも心を揺さぶるものです。夕日の真珠湾をこっそり軍に隠れて飛行するのも抒情性溢れる良いロマンスシーンです。嘲笑の的となる日本軍の屋外での会議シーンですが、確かに考証的にはメチャクチャなのでしょうが軍人の苦悩の表情と子供たちが遊んでいる姿を交互に見せる編集は日本側にも守るべきものがあることを示してはいないでしょうか。ハワイの日系人の歯医者もあくまで状況を理解しないまま利用されただけという描き方であり、日系人はスパイであるという偏見を助長しないよう注意を払っています。真珠湾攻撃のシーンでは日本軍の飛行機のコクピット内に家族の写真が貼られていたり、野球をしているアメリカの少年に日本兵が逃げろと呼びかける場面を入れたのも日本側を単純に悪魔化しない配慮だと思います。ただしドーリットル空襲のくだりは明らかに蛇足です。米国側が攻撃を受けるシーンでは日本側を描写する余裕があるのですが、いざ米国が攻撃側に回るとほとんど敵を描写しなくなるのも公平性を欠いています。三角関係も一方の死で有耶無耶にされちゃいます。この程度の展開しかできないなら真珠湾攻撃で物語を終わらせるべきでした。ドーリットル空襲以降は反撃シーンを入れなければ米国の観客は満足しないだろうと無理やり付け加えられたとしか思えず、そこは非難されても仕方ないです。まあ何よりこの映画の評価にとって最悪だったのは直後にアメリカ同時多発テロが起きてしまったことなのでしょう。[DVD(字幕)] 5点(2023-05-04 23:40:38)

58.  ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り あまり期待してないのに観てみたら面白かった枠であって普通に期待して観た場合だと正直微妙な作品ですね。めちゃくちゃ金曜ロードショー向きの作品です。王道ともハリウッドのテンプレ展開しか出てこないとも言えます。映画のA級B級は予算の違いもありますが登場人物の心理描写が丁寧か単純かという観点でも判断できると思います。そういう意味ではやっぱりB級です。まあ私も好きなジャンルの映画がこの出来だったらベタ褒めしてるかもしれませんので、あんまり悪くは言えません。ソフィア・リリスは確かにかわいい、しかし活躍する場面では別の姿に変身してるのでなんかもったいない(笑)。自分自身の弱さと向き合うエピソードが用意されてる他の主要キャスト3人に比べるとエメラルド居留地のエピソードがあまりピックアップされないので物語上の存在感もないです、初登場シーンが一番わくわくしてそれっきりです。それと、泣かせ演出のために適当に登場人物を殺す作劇はやっちゃダメですよ。[映画館(吹替)] 5点(2023-04-12 23:45:32)

59.  グラン・トリノ 黒澤明監督の生きるを見てこの映画を思い出したのでこちらも再見したのですが、今見直すと欠点が目立つ映画ですね。主人公ウォルト・コワルスキーは偏屈ジジイとしてある程度客観的な目線を持ち込んで描かれてはいますが、彼のアメリカ人としてのプライドは最後まで尊重されておりそのために物語が都合良く展開しているように見えてしまいます。物語上警察の介入が排除されているのは西部劇的シチュエーションをやりたいんでしょうけどやっぱり不自然です。モン族との交流もアメリカ人の自尊心を満たすために都合よく使われてるだけのような感じがします、ウォルトが彼らの文化から何かを学ぶのではなくあくまでアメリカの精神が受け継がれるわけですから。ウォルトの家族はいかにも嫌な連中で彼らの立場に理解を示すわけでもなく平等な描き方とは言えません。この映画で直接悪さをするのは同じモン族や黒人だけで白人側の差別発言は軽いジョーク扱い、イタリア系やポーランド系というマイノリティを選んではいますがここでも危うい線引きをしているように見えます。しかしながらこうやって現代の目線から重箱の隅をつつくような真似をしても不公平ではありますね、こういう映画の積み重ねがあってこそ現代の多様性尊重の風潮もあるのです。一番この映画の価値を下げてるのはこの映画が結局クリント・イーストウッドの遺作にはならなかったという歴史的事実かもしれません。[インターネット(字幕)] 5点(2023-04-09 22:12:00)

60.  エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス マルチバース設定がなければ、舞台はほぼコインランドリーと税務署だけで構成されています。それらのシーンこそが主筋であり、他はすべて主人公たちの妄想や誇張された現実と捉えればややこしい内容ではありません。この映画がアカデミー賞を受賞したのは移民の家族劇・世代間の価値観の相克という物語が主筋としてあり、そこがぶれていないからでしょう。いわばこの映画は現代版のゴッドファーザーと言ってもいい作品です。イタリア人=マフィア、中国人=カンフーのようなステレオタイプを踏襲しているのも共通しています。SF要素や下品な下ネタはいわばゴッドファーザーにおける馬の首や殺人シーンのようなものです。そこだけ切り取ると単純な娯楽作品と変わりませんが、作品のテーマは別のところにあるので評価には影響しないということです。しかし、私個人としてあまり評価する気になれないのもそこが原因なのです。設定だけがSFでありふれたテーマを扱った作品よりは、SFにしか扱えないようなテーマの作品が評価された時にこそ初めてアカデミー賞は変化したと言えるでしょう。この映画ではマルチバースを地動説になぞらえていますが、私にはマルチバースなる概念(現実の物理学というよりフィクションで扱われるそれ)こそ現実を正確に表現していないただ人間の妄想=天動説でしかないと思います。[映画館(字幕)] 5点(2023-03-20 23:08:43)

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