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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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61.  バタフライ・エフェクト/劇場公開版 映画館で見て、そしてDVDであらためて見直したんですけど、DVDに収録されてるディレクターズ・カット版が大変なことになってますね。劇場版ではいくつか不明な部分があったんです。冒頭、警備員から逃れてメモを残すシーンの伏線がいまいちつながっていなかったり、7歳のエヴァンが残虐な絵を書いたり包丁持ってたりする理由がよくわからなかったり。ディレクターズ・カット版ではそのあたりの伏線もきちんと回収されていて、実に納得のいく出来となっていました。そして問題のクライマックス。(あえて詳細は書きませんが)劇場版とはまったく異なるこのクライマックスこそが冒頭につながっていくわけで、確かにディレクターズ版のクライマックスこそ正当、劇場版はとってつけたものと言えます。映画館で「え、これで終わり?」と思った私は、すっごく納得ができました。がしかし、確かにあんなオチを映画館で上映はできませんよね。そんなわけでいろんな意味で納得できるディレクターズ・カット版ですので、DVDをお持ちの方はぜひ見比べてみてください。ちなみに私はディレクターズ・カット版の方が好きです。[DVD(字幕)] 9点(2005-11-13 22:28:22)

62.  レッド・オクトーバーを追え! 中国原潜の領海侵犯ニュースで思わず本作を思い出し、数年ぶりにLDを引っ張り出して見ましたが、やっぱおもしれぇッス!キャメロンと並んで次世代の大監督を担われてたジョン・マクティアナンが、そのもっともすごかった時期の手腕をいかんなく発揮し、ジャック・ライアンシリーズにおいては突出した作品に仕上がっています。後のシリーズが陥ったように見せ場を無理に盛り込むことはせず、あくまでストーリー展開を重視したのは大正解。話の本質にこだわるその姿勢からは、自分の映画に装飾などは必要ないというマクティアナンの自信すらうかがえます。そしてその自信はダテではなく、雑多な登場人物や複雑な展開をテキパキとまとめていき、それでいて見せ場では一気に盛り上げていくという、ある意味で神業的な演出を披露します。伏線の張り方や謎の回収のタイミングもやたらうまく、アクションとストーリーが渾然一体となったクライマックスのバトルにはドキドキさせられました。まぁ、ラミレス艦長の動機がよくわからんかったりしたのは問題ですけど。ライアン:「この件で責任を問われる者も出るだろうな」、ラミレス:「ま、小さな革命はヘルシーなことだ」って、あんた責任感なさすぎ。自分の起こした事件で潜水艦が1隻撃沈されたってのに。しかし、その欠点はショーン・コネリーの存在感が完全にカバーし、それでもなおカリスマ艦長であったわけですけど。さすがは傑作! あと、ラミレスはなぜ亡命を予告したのか問題ですが、ラミレスにとって最大の問題は亡命に関係ない一般乗務員をどう下船させるかでした。そこでラミレスは原子力事故をデッチあげたわけですけど、乗務員を極寒の大西洋に放置してアメリカに行くわけにはいきません。近くに彼らを回収する船がいる必要があったんです。つまり、乗務員を救うためには自分達をモニターさせなければならなかったんです。さらにレッドオクトーバーの機能があればどんな包囲網でも突破できる自信があったので、そこであえて騒ぎを大きくしたんだと解釈しました。9点(2004-11-15 19:29:42)

63.  12モンキーズ 《ネタバレ》 これはかなり惜しい映画です。未来描写がもっと杜撰なものであれば、この2倍はすごいことになったと思います。というのも中盤、コールは自分は未来人ではなく、医者の言う通り単なる精神障害者ではないかと疑うくだりがありますね。そんな、主題をも揺るがしかねない謎を観客も共有することができれば、もっと素晴らしいミステリー映画になったはずです。しかし残念ながら、観客はそのミステリーを共有することができません。願わくば冒頭の未来描写を丸々カットし、コールが拘束されるシーンから始まってくれればよかったんです。そうすれば、後にSF的な描写が登場しても、コールの幻覚という処理が可能になるんです。しかし冒頭に未来を持ってきてしまっては、SFという設定が大前提になってしまい、ミステリーがひとつ減ってしまうんですね。とはいえ、それでもこれは紛れもなく大満足の秀作ですけど。張り巡らされる伏線やいちいち意味ありげなセリフ、そしてクライマックスに向けてきっちりと収束していくお話。挙句に「12モンキーズ」自体がミスディレクションといううまさ。見事ですよ。それに話のテンポも悪くなく、その手際のおかげで言われるほど難しさは感じませんでした。そして、やっぱりブラッド・ピットがすごい。精神病院であることないことしゃべりまくりながらも、その言葉の中には思わぬ真理が隠されており、只ならぬ存在感を見せつけます。結局は単なるバカで終わる役柄なんですけど、彼の熱演がジェフリーという人物に「何かしでかすのでは?」というスゴ味を与えており、キーパーソンとしての存在感をいかんなく発揮するわけです。ま、この映画には余裕で9点を献上することができます。できれば、今後テレビ放映する時には冒頭の未来描写をカットしてくれれば完璧なんですけど。9点(2004-11-13 02:09:07)(良:2票)

64.  ソウ 《ネタバレ》 《注意!ものすごくネタバレしています。結末を言ってしまってます。未見の方は決して読まないでください。後悔しても私の責任ではありません。》これはすげぇっス!予備知識もほとんどなしで何げなく見に行ったら、これが今年最大の拾い物でした。全編に渡る張り詰めた緊迫感がすさまじく、久々に躍動しまくってるサスペンスに出会いました。サスペンス映画ってのは基本的に「静」の展開をベースにしているものですが、この映画は徹底的に「動」。画面の展開がとかアクションがという意味ではなく、この映画は話が終始動き続けてるんです。次第にベールが剥がされていくような謎解きが全編に渡るのですが、その情報量の割りに破綻を招かない絶妙なテンポ、知らず知らずのうちに張り巡らされていく伏線の数々、そして至る驚愕のラスト。やってくれますよ。映画を見てて久々に「やられた」って思いました。さらに残虐描写が話の緊迫感をフォローし、恐るべき緊迫感を生み出します。スプラッターのキツさで言えば「ハンニバル」など言うに及ばず、「テキサス・チェーンソー」をも越えていると思います。そんな素晴らしい傑作なのですが、欲を言えばもっと登場人物の葛藤を描いてほしいかったです。なにせジグソウの狙いはそこにあった上に、結局この映画はジグソウの思惑通りの結末を迎えるわけですから、やっぱりそこはきちんと落とし前つけとくべきでしょ。主人公達が犯人に怒り、そこから自分の運命に絶望し、そして己の過ちを悔いる場面もきちんと見せてくれれば、ラストがさらに意味深いものになったと思います。それにしてもラストは悲惨でしたけど。妻と娘に危険が迫っていることを知り、ついにゴードンは家族の大切さを思い知るわけです。一方、何とか危険を脱した妻はゴードンの無事を確認するために電話をするのですが、ゴードンはそれを助けを求める電話だと勘違いし、自分の足首を切断してまで脱出を図るのです。しかし、恐らくゴードンを待っていたのは死でしょう。出血多量で死んだか(ワイヤーで死んだデブは脱出時の出血多量が死因とありましたから、それが伏線に当たると考えられます)、そうでなければジグソウに殺されたか。正しいことに目覚めた主人公が、その瞬間に死を迎えるだなんて、これほど悲惨な話はありません。9点(2004-11-05 01:06:10)(良:1票)

65.  ジョニーは戦場へ行った この映画の存在を知ってから実際に見るまでに数年あったのですが、あらすじを想像するだけで背筋が凍りました。そして実際に鑑賞すると、夜も眠れないほどの衝撃を受けました。ここまで問答無用に人間の心を刺激するドラマは他にはないでしょう。人類がこれまでに生み出してきた物語の中でも、これは突出した存在ではないかとすら思います。実は私、これを反戦映画とは感じませんでした。たしかに製作側の意図は反戦にあったのでしょうけど、このドラマはすでに反戦というテーマすら越えています。ここで展開されるのは、人間にとっての究極の絶望。死が唯一の希望という深い絶望が、単なる概念ではなく、しっかりと画面に展開されるのです。いかなる形容詞もこのドラマには通用しません。多くの方がおっしゃるように、この映画は1度の鑑賞だけで十分です。もちろん、出来に不満があるからでも、嫌いだからでもありません。あまりに衝撃度が大きすぎて、2度目を見る勇気すらわかないのです。その裏を返せば、一度でも鑑賞すると、一生忘れないほどの深い衝撃を受けるということです。アカデミー賞を受賞したいかなる名作であろうと、ここまで心に刻まれるドラマは存在しません。そんな唯一無二の傑作が、いかなる映画ランキングにも登場しないことを私は不思議に思います。たしかに一般的な知名度はゼロに等しい映画ですが、なぜプロの評論家からも無視の状態が続いているのか。もしかしたら、この映画を正確に評論できる人がいないからなのかもしれません。私だって、この映画のレビューにはかなり気を使っています。あまりに映画がすごすぎて、ヘタな賛辞では作品を矮小化しはしないかと思うからです。それほどの究極の力作です。9点(2004-09-11 04:09:35)(良:2票)

66.  ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 この映画をWASP思想に絡めて批判する意見をたまに聞きますけど、それは的外れもいいところです。「指輪物語」は英国にも新たな伝説をってことで、ヨーロッパのさまざまな民間伝承や英雄物語を研究して作られた物語なので、その映画版が白人中心になるのは当たり前。桃太郎や一寸法師に日本人以外が出てこないからって、それが民族主義になりますか?魔法使いや英雄に有色人種がいないのがそんなに不満ですか?私の場合、有色人種が大活躍する「ロード・オブ・ザ・リング」を想像する方がゾっとします。黒人や黄色人種が出てきた時点で、雰囲気も情感も吹っ飛びますからね。そしてオークやウルク・ハイなどの異形の者たちが有色人種の象徴だとする考え方も、それはそれで不自然です。善の対極に悪がいるのが物語の基本だし、その悪がなぜ有色人種につながるのか?その根拠がわかりません。オークが仏教徒だったり、ウルク・ハイが漢字の読み書きができるなら、私も有色人種だと認めますけど。白人による差別という被害者意識ありきで妄想が飛躍してるように思います。これは娯楽作なんですから、もっとピュアに楽しみましょう。ちなみに私は9点をつけていますが、残りの1点は年末のSEEのためにとっておきます。本格的なレビューもSEEで行うつもりです。9点(2004-09-10 04:24:28)(良:6票)

67.  アンブレイカブル あまりにむごたらしい批評の数々ですが、これはスゴイ映画だと思います。史上最も丁寧に描かれた仮面ライダー第1話、「その手があったか!」とビックリ仰天でした。こんな話を思いつく人が世界でどれだけいます?そのアイデアだけでも買いですね。シャマランの映画って不思議で、テーマ自体は幼いのに、その実オトナの空気が充満してるんです。なんと言うか、ガンプラのパッケージが高級桐箱だったみたいな、メッキ部分のパーツが金箔だったみたいな。それってのは、シャマランの脚本から出るうまみだと思います。そんじょそこらのドラマ以上に人間を丁寧に描けているので、荒唐無稽な主題にも味が出るんですね。「私の体は生まれつきもろい。ならばその対極としてアンブレイカブルも存在するはずだ」というイライジャの説くアバウトかつ強引なヒーロー論も、「なるほど~」って思いながら聞きましたから。シャマランのドラマの特色は「静」にあります。一方普通の映画の描くドラマは「動」、つまり何か事件があって主人公が成長していく、主人公が何かを変えていくという話で、そこにはドラマのダイナミズムがあります。しかしシャマランのドラマはもっと地味で、彼が常に描くのは再生の物語。大筋では主人公たちに想像力の限りを尽くした大事件が起こりますが、その実、彼らの終着点は失われた関係の復元にあります。大事件を通して登場人物は自分を見つめ直し、何かを変えていこうとするのではなく、むしろあるべき姿へと帰ろうとするのです。思えば現実世界もそんなもので、そこにドラマの描くようなダイナミズム、つまり何かを変えていこうとする主体的な姿などなく、あるのは「自分に合った仕事は?」「自分に合った人間関係は?」「自分に合った生活は?」という、受動的な居心地の探求のみです。何かを目指しているようでいても、実際は自分のあるべき道を模索しているものです。そんな現実を踏まえているからこそ、シャマランの映画にはリアルな庶民が生活し、その延長としてサプライズがあるのです。9点(2004-09-08 01:40:05)(良:2票)

68.  リディック 《ネタバレ》 ここでのすんごい酷評ぶりに、「ものすごいヒドイ映画なんだろうな。でも罪は憎んでも映画だけは憎むまいね」と思いながら見に行ったのですが、見終わってビックリ。ものすごく気に入ってしまいました。今年のベストにも本気で選んでしまいそうです。あの重っ苦しい世界観が私にはピッタリ来たんですね。世界観に付随する美術デザインも最高で、展開がどうのとかってよりも、ひとつひとつの場面に食い入るように見入ってしまいました。とくにネクロモンガーの神殿兼宇宙船のあの仰々しさが最高です。マザーシップから戦闘機がバラバラと分離していくシーンには大興奮。未来のくせにローテクってのも大変OK。だって惑星間を移動してる連中がローソク使ってるんですよ。そんな夢のビジュアルが2時間に渡って展開されましたから、「トリプルX2よりもワイルドスピード2よりもこれがやりたかっただなんて、ヴィン・ディーゼル、あんたは男子の鑑だ」と感謝の念でいっぱいでしたね。多くの方が指摘されてる通り、これは「砂の惑星」です。あれもほとんどの人に嫌われた映画ですから、これも相当に客を選ぶ映画ですね。ちなみに私は「ブレードランナー」より「砂の惑星」というセンスの人間です。ただし完璧に神話だった「砂の惑星」に対し、こちらのお話は「ドラゴンボールZ」。フューリア族=サイヤ人、ロード・マーシャル=フリーザ、リディック=カカロットってところです。勝手な世界観に基づいて話される冒頭ナレーションの意味不明ぶり、ヘリオス惑星、フューリア族などかっこいいんだかダサいんだかなネーミングセンス。どれも私の心を捉えました。イマムはえらい坊さんに出世し、ジャックも立派なヤンキーに成長。しかしどちらもあっけなく死ぬのがこの映画のいいところ。そしてラスト、リディックは偶然にもネクロモンガーの王位を手にしますが、普通の映画ではその権力を利用して悪の軍団を解散させるなり、悪い連中を捕まえたりするもんです。しかしリディックはちゃっかり王座に居座り、クライマックスでは銅像にまでなってました。こういう不敵な所がまたいいのです。絶対に続編はないでしょうけど、でもこの2時間でお腹いっぱいになりました。とりあえず9点をつけておきますが、DVDで見返してもアラが気にならなかった場合は、10点に昇格する可能性もあります。そんなお気に入り映画。9点(2004-08-31 22:12:42)(笑:2票) (良:2票)

69.  ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生 文句つけろと言われてもどこにもつけようがないほどの傑作です。ゾンビの生態がこの一本ですでに完成されていること、それだけでもスゴイことなのに、さらにつっこんで人間の業までテーマにしていること、密室サスペンスとして完全無欠の完成度であること。ホラー映画としては今のところ最高の傑作でしょう。低予算であることもかえっておどろおどろしい雰囲気に貢献しており、傑作であることを運命付けられたような映画です。そんな傑作なんですけど、DVDで30周年版を見ると、そのあまりのヒドさに愕然としました。新撮部分がまったくの意味不明で、しかもいらん音楽までつけられてる始末。何がしたくて作ったバージョンなのかがサッパリわかりませんでした。とはいえ、このバージョンには日本語吹き替えがついており、やっぱり捨てがたいDVD。オリジナル版に吹き替えつけてくれれば完璧なんですけどね。9点(2004-08-19 01:04:14)(良:1票)

70.  リベリオン ばればれの「マトリックス」フォロワーであるにも関わらず、そんな二番煎じ感をピュアなハートで乗り切ってみせた、これぞ男子必見の傑作です。ありきたりな未来、トンチの利いた展開もなし、その上つっこみ所満載と、脚本レベルでは滑りまくってるわけですが、やっぱりガンカタですよ。これ以外には語るべきものはありません。ただひたすらガンカタがかっこいい、それだけで9点あげちゃいます。その他の要素は、すべてガンカタで見栄を切るためのお膳立てにすぎないのです。それにしてもこの監督さんは、なかなか「道」というものをわかっておいでです。「道」とは剣道とか柔道とかの「道」ですね。ガンカタを漢字で書くと「銃型」なわけで、身体の体系化された動きとしての柔道、剣の体系化された動きとしての剣道、その延長として銃の体系化された動きとしてのガンカタ。そんな「道」の基本は一撃必中、つまり瞬間の勝負です。そのためかこの監督、アクションでは徹底的に必中にこだわってますね。物量を重んじるハリウッドにおいて、スポットにこだわるアクションは貴重ですよ。その弊害として、ひとつひとつのアクションがどうしても短くなってしまうわけで、その薄味感をフォローすべく、見せ場のタイミングにはこだわりが感じられます。ためて、ためて、ためて、ガンカタ!みたいな。このあたりの見せ方って、どこか時代劇みたいですね。水戸黄門がラスト15分までチャンバラしないみたいな。9点(2004-08-04 12:40:34)(良:4票)

71.  サイン 《ネタバレ》 友人と映画館に行ったんですけど、大満足の私に対して、友人は「つまらん」と大激怒。ここのレビューを読んでも否定的な意見が目立つんですけど、一方、否定意見は「つまらん」という直感的な見解ばかりで作品の欠点を明確に指摘するわけでもありません。結局、作品の本質的な完成度がどうのとか、理屈がどうのではなく、どう感じるかが問題の映画みたいですね。監督の呼吸に見る側のバイオリズムが合うかどうかが問題みたいな。そういった意味では、私を含めこの映画を楽しめた人というのは、相当に得をしてるわけですよ。笑えたし、驚いたし、本当に最高の経験ができましたから。私はもう画面にクギ付けでした。シャマラン映画の特徴ってのは、どんなに異常な事態にも日常の視点を放さないことです。家族のリアクションには人間的な温かさや面白さがあり、それが見る側の想像力のかせともなってるんです。リアクションがあまりに日常的すぎるからこそ、見る側が飛躍的な先読みをしないんですね。そしてそれがサプライズにつながっていると。アンブレイカブルでは「主人公は大事故でも無傷でした、なぜでしょう?~それは超人だから」、サインでは「ミステリーサークルができました、なぜでしょう?~宇宙人がやってくるから」。そのまんまなんです。しかし、演出が観客の想像力を完全にコントロールしているおかげで、そこには謎が生き続けるわけです。こんな芸当ができるのはヒッチコック以来ではないでしょうか。幸い、私はシャマランとの相性がいいので、これからもシャマラン作品では楽しめそうです。シャマランは、家族の描き方や、子役の扱いが抜群にうまいのもいいですね。ちなみにこの映画は10点でもよかったんですけど、やはり宇宙人がアレなので1点だけ引きます。扉1枚破れなかったり、バット1本でボコボコにされたり、果ては水が苦手なのに地球へやってきて、結局一晩で退散するなど、映画史上最大のうっかりさんでした。まぁ、この映画でプレデターみたいなのが出てこられても困るし、あれはあれでよかったような気もしないでもないですけど。9点(2004-08-02 23:44:35)

72.  女優フランシス 投稿がひとりですか・・・。かなりマイナーですけど、傑作ですよ、これ。自ら不幸へと突き進んで行くフランシスは、演技を間違えれば見ている側にイライラ感を与える可能性大の難役ですが、ジェシカ・ラングの女優魂とあいまって壮絶な緊迫感に溢れています。デビュー作「キングコング」では猿と気が合って当然のバカ女優、その汚名を払拭するかの如く挑んだのが本作なんでしょう。ラングは後に「ブルースカイ」で同様の役をやってオスカーを受賞していますけど、こちらの方がはるかにレベルは上。これは必見の映画ですよ。9点(2004-06-29 19:32:53)

73.  エスケープ・フロム・L.A. なんていい映画なんでしょう。結構お金もかかってるのに、精神年齢のヤングな男子しか喜ばない映画作りに入魂してくれるんですよ。すっごくいい肉が手に入ったのに、結局カレーに使っちゃいましたって清々しさを感じます。何かにつけて愛だ感動だと入れようとする客寄せの潮流は完全無視、デートのやつは見に来るなという男子校チックな潔さもたまらんです。スネーク同様、無意味に世間を逆恨みしようぜ!同志達。あと、黒コートはネオよりもスネークが先!こちらの優良なかっこよさもリスペクトです。9点(2004-06-10 08:30:55)(笑:2票) (良:4票)

74.  突撃(1957) 傑作。キューブリック作品ではもっともよくまとまっています。しかもキューブリック作品でもっとも人間らしいし。ここまで感情的な作品って、キューブリック作品では例外的ですよね(「スパルタカス」はキューブリック作品ではないと見なして)。しかしラストではあっさりと死刑を執行してみせ、ここで彼はヒューマニズムと決別してみせます。この映画を象徴する展開であると同時に、その後のキューブリックの作風をも示唆する映画史上の重要シーンだったわけです。9点(2004-06-09 22:04:49)

75.  ブロブ/宇宙からの不明物体 この手のジャンルでは最高クラスの傑作です(B級モンスター映画でという括りですけど)。軍隊出動あたりでモンスター映画から怪獣映画に進化し、後半の怒涛の展開には燃えに燃えました。「ドリームキャッチャー」や「BATS蝙蝠地獄」など、軍隊出動のモンスター映画は数あれど、ここまでテンションをあげてくれる映画は滅多にありません。さすがフランク・ダラボン。主人公が高校生ってあたりがいかにも80年代ですね。これや「ザ・グリード」の続編をずっと待ってるんですけど、いつになったら作ってくれるんでしょう?9点(2004-06-05 15:50:34)

76.  ゴースト/ニューヨークの幻 《ネタバレ》 私がもっとも苦手としている「泣けるラブストーリー」として宣伝されていた上に、『ニューヨークの幻』という甘さ5割増しの邦題により敬遠してきた作品であり、これだけの大ヒット作ながら今の今まで見たことがなかったのですが、もうすぐAmazonプライムの無料配信が終わるということで「タダのうちに見ておくか」と鑑賞しました。 そしたらなんと良かったんですよ。決してラブストーリーに寄りすぎておらず、ドラマ・ミステリー・コメディがバランスよくブレンドされた作品であり、アイデアも豊富で非常によくできた作品だと思いました。早く言ってよぉって感じです。 オスカーを受賞した本作の脚本を書いたのはブルース・ジョエル・ルーベンであり、この人は人が死ぬ話ばかりを書く変わった脚本家なのですが、それだけこだわりを持っているジャンルだけあって本作には意表を突くようなアイデアがいくつもありました。幽霊って生身の人間よりも優位な存在として描かれることがほとんどなのですが、本作では声を伝えることも目の前のものを動かすこともできない非力な存在であるという逆転の発想で描かれています。かなり変わった切り口ではあるものの、幽霊という存在を突き詰めると本作の描写の方が理にかなっており、なかなかよく考えられているなぁと感心させられました。さらには、非力で為す術がなかった主人公が徐々に形勢を逆転させ、最終的には自らの死の黒幕を追い込む様には大変なカタルシスが宿っており、特異な設定と物語が見事に絡み合った上質な脚本となっています。 監督はジェリー・ザッカー。『フライング・ハイ』を監督したり『裸の銃を持つ男』シリーズの脚本を書いたりしてきた人物なのですが、これらの作品はすべての映画の中でももっともコテコテな部類に入るコメディであり、ドラマ要素や風刺要素が一切入ることなく、くだらない笑いを大量投下することで90分程度の上映時間を満たしているという作風に特徴がありました。そんな映画ばかり撮ってきた人物が突如として真面目な映画を手掛け、途中でふざけたりすることもなく安定的な演出力を披露していることにはかなりの意外性がありました。一応、ウーピー・ゴールドバーグが出てくるところだけは笑えるのですが、その笑いも従前の作品とは異質なタイプの笑いであり、そのキャリアで磨いてきたスキルをほとんど使わずに笑いを取りに行っているという監督の引き出しの多さには感心させられました。なお、本作の翌年に製作と脚本を担当した『裸の銃を持つ男PART2 1/2』では早速本作をパロディにしており、オリジナルとパロディの両方で儲けるという卒のなさには二重の意味で笑わされました。 主要登場人物4名の中でもっとも目立っているのはウーピー・ゴールドバーグであり、彼女のオスカー受賞は順当な評価だったと言えます。また、公開当時に全世界が惚れたデミ・ムーアの魅力は圧巻のレベルで、こんな彼女がいたら心配で成仏できないだろうなぁという作劇上の説得力にも繋がっています。そんなウーピーとデミが本作公開後にはハリウッドトップクラスのギャラを得るスターにランクアップした一方で男優陣は伸び悩んだという世評が示している通り、男優2名はパっとしません。そもそもパトリック・スウェイジの起用に監督は賛成しておらず、ハリウッドの名だたるスター達にことごとく出演オファーを断られた後にスウェイジに落ち着いたという経緯があるのですが、スウェイジは本作の顔を演じるには華に欠けたという印象です。また、憎まれ役を演じたトニー・ゴールドウィンには妙な小粒感がありました。監督はカール役にはビッグネームが欲しいと考えていたものの、こちらも意図した俳優を押さえられなかったための配役だったようです。[インターネット(字幕)] 8点(2018-06-22 22:28:32)(良:1票) 《改行有》

77.  ザ・ギフト 《ネタバレ》 人が死なないどころか暴力沙汰も流血沙汰もほとんどなく、サスペンスとしてはかなり大人しい作風ながら、終始張り詰めた緊張感のある良作でした。 前半は、普通の夫婦がおかしな奴に目をつけられて平和な日常を侵食されていくというよくあるタイプのストーカー映画ながら、ジョエル・エドガートン演じる挙動不審な男・ゴードの不気味さや、人とズレているために何が彼の心のスイッチになるのか分からないというサスペンスで、見るものに終始嫌な汗をかかせます。 一転して後半はゴートの正体とともに主人公・サイモンの本性も暴かれ、善と悪が逆転し、さらには観客に対するサプライズもあるというかなり動きの激しい展開を迎えます。静から動への転換や、真の悪人が制裁を受けるというある種痛快な展開など、このパートでも観客の心をガッチリ掴む仕掛けが多くて感心させられました。 【注意!ここから大きくネタバレします】 また、オチを見てから前半に戻ると、サイモン夫妻とゴードの噛み合わない会話が、初見時とはまるで別物に見えるという細かい作りにもなっています。 サイモンと共犯関係にあったもう一人の同級生・グレッグが、ゴードの名前を聞いただけで顔を強張らせたことを考えても、ゴードがサイモンに対して抱く感情は誤解や逆恨みではなく客観的にも正当なものであったことが分かるし、二人の間で起ったことは数十年経ったからと言って忘れてもいいレベルの内容ではありませんでした。 この情報を踏まえて前半の会話を見ると、ゴードはあえて切り出さないが、過去のイジメを前提にした発言を何度もしています。どう考えたってこの二人は青春時代のイジメの件をまず話さないといけない間柄にあるし、ゴードは辛抱強くサイモンからその発言が出ることを待っている。それどころか、自分は過去を水に流しているから安心して話していいよという気遣いまでを見せているのに、サイモンはそんな重大な件を忘れてしまい、今の話ばかりをしているのです。 ゴード宅(実は彼の雇い主の家でしたが)にサイモン夫妻が招かれた夜の件も同じくで、ここでもゴードは過去の総括を期待していたのに、サイモンは「うちの嫁が美人で親切だからと言って、ちょっかい出して来てんじゃねぇよ」とまったく見当違いのことを言い出します。初見時にはゴードの方がおかしいように見えていた会話が、実はサイモン側がおかしかったという細かい作りになっていたことには驚かされました。 ジョエル・エドガートンは本作を監督しただけでなく自ら脚本も書いていますが、ここまで芸の細かい作品を作り上げた手腕には恐れ入りました。[インターネット(吹替)] 8点(2018-05-19 02:49:39)《改行有》

78.  レディ・プレイヤー1 《ネタバレ》 IMAX 3Dにて鑑賞。世界観を説明する導入部や前半の見せ場であるカーレースでは3D効果の高い見せ場があるものの、後半にいくにつれてだんだんと3Dは雑になり、2Dでもいいっちゃいい状態になっていきます。 かつては娯楽作の帝王だったスピルバーグも今や70代。そういや21世紀に入って作った娯楽作で本当に凄かったのは『マイノリティ・リポート』と『宇宙戦争』くらいで、あとは社会派作品ばかりになったスピは過去の監督だと思っていたのですが、ごめんなさい、見くびってました。演出の緩急の付け方や見せ場に入るタイミングなどでは熟練した技が炸裂し、スピはいまだ現役バリバリの娯楽監督であることを見せつけられました。レースでのゴール場面や、ピンチにおける味方の救援など、来ることは分かってるのにそれでも興奮させられるという、この演出のキレは凄いと思います。 物語は紋切り型です。オタク青年の成長物語と夢追い人だったクリエイターの人生をたどる物語が平行して描かれるのですが、これが70年代から繰り返し見せられているスピルバーグの自己投影映画であり、特に新鮮味なし。また主人公の育ての親であるおばさんが殺されるという展開は、あくまで観客に対して敵はそれくらいやってくる奴ですよという説明をするためだけに存在しており、主人公の物語にはまるで影響を与えないというアッサリ仕様。要はビジュアルを見せることに映画のすべてを集中させており、そのためにドラマパートは極力簡素にとどめているというわけです。この豪快な刈り込み方とか、見ようによってはツッコミどころ満載の内容なのに、見せ場の勢いで乗り切ってみせたスピの力って、やっぱりすごいと思います。 もうひとつスピが見せた実力と言えば、膨大なキャラの権利関係の調整だったと思います。本作に登場する古今東西のキャラクターはとんでもない量であり、画面の片隅にチラっとえらいものが写ったりするのですが、これだけのキャラの使用権を獲得できたのは、世界中のクリエイターからの敬意を受けているスピルバーグが本作の看板になっているからだと思います。他の監督ではこうはいかなかったでしょう。[映画館(字幕)] 8点(2018-04-21 03:15:32)(良:2票) 《改行有》

79.  ストレイト・アウタ・コンプトン ヒップホップには疎いのでN.W.A.も本作の登場人物たちのこともほとんど知らず、映画でよく見るアイス・キューブって本業でもここまで優秀な人だったんだと本作を見た初めて知ったようなレベルなのですが、それでも本作は楽しめました。 実際のヒット曲を使っているだけあって楽曲には力があるし、監督のF・ゲイリー・グレイは90年代にアイス・キューブやドクター・ドレーのMTVを手掛けてきた人物であるだけに、それらの楽曲の見せ方をよく心得ています。さらには、それらの楽曲がどのような背景で作られたのかがドラマで語られていることから、すでに彼らのファンである人だけでなく、初心者の入門編としても楽しめるようにできています。音楽映画としてかなり優秀なのです。 また、最初はみんなでワイワイ楽しみながら曲作りをしていた仲良しメンバーが、金や地位が絡み始めたことから険悪になっていくという物語は内幕ものの基本ではあるのですが、これがドラマの黄金律に当てはめてきっちりと作りこまれているため、やや長尺の上映時間でも一気に見せてしまうjほどの力があります。ヒップホップに疎い私ですら楽しめたのですから、N.W.A.のファンの方には堪らない映画ではないのでしょうか。[インターネット(字幕)] 8点(2018-04-08 12:00:45)《改行有》

80.  チェイシング・エイミー 《ネタバレ》 本作は上映時間のちょうど真ん中辺りで綺麗に分断されており、前半と後半でほぼ別の映画になっています。 恋愛経験の少ないマンガオタクがガチ恋愛をしてしまった。しかも、相手はよりによってレズビアンという落としづらさMAXの相手。進展を諦めて友人関係に落ち着くべきか、それとも関係性の破壊を覚悟で一か八かの大勝負に出るべきかという主人公の葛藤は世の多くの男性が経験していることだし、ミューズ役・アリッサの丁度いいレベルの美人加減なども良く、前半部分は男のロマコメとして非常によくできていました。 後半は一点して重苦しい展開を迎えます。愛しのアリッサが地元では有名なヤリ○ンだったことが判明し、海よりも深く落ち込むホールデン。前半が恋愛映画だとすると、後半は恋愛を考察した映画になっています。恋人の過去が気になって仕方がなくて、言わなきゃいいことだとは分かってるのに、言わずにはいられなくなってしまう男の悲しい性が痛々しいほどリアルに描かれています。 また、ひと悶着あった後にホールデンが提示する「みんなで3Pしよう」という解決策。誰が聞いても論外なのですが、彼だけは真剣。でもこういうバカなところって、男にはありますよね。 さらにラスト。自作がアニメ化されるという大チャンスを棒に振り、友人兼ビジネスパートナーを失ってまで1年間悩み苦しんだ末に、元カノとの思い出をマンガにしたホールデン。その渾身作を持ってアリッサの前に姿を現し、未練たっぷりの顔で「感想を聞かせてほしい」と言うわけですが、その様は自作の歌を彼女に送る高校生ばりのダサさ全開で、結局男は何も進歩しないという終わり方をします。 一方アリッサはと言うと、1年ぶりに再会した元カレの前で一応瞳を潤ませてみせるものの、ホールデンが去り、入れ替わりで友人が戻ってくるとホールデンのマンガをポンと投げ捨て、すぐに現在の日常へと戻っていきます。恋愛する時の男は愚かで、一方女性は冷静。その現実をまざまざと見せつけられるラストでした。 『エターナル・サンシャイン』や『ブルーバレンタイン』など恋愛を考察した映画には傑作が多いのですが、例に漏れず本作も傑作だと感じました。 あと、本作が凄いと感じたのが、ホールデンはケヴィン・スミス自身を投影したキャラクターであるだけでなく、アリッサ役のジョーイ・ローレン・アダムスこそがスミスの元カノであるという事実です。自分がフラれた時の話を、自分をフッた元カノを使って映画化するというスミスのイカれ具合。また、恋愛の過程をマンガにして彼女に贈ったホールデンのみっともない姿は、元カノを忘れられなくてこんな映画までを作ったスミスの自己批評でもあったことへの驚き。そうしたバックストーリーまでを踏まえて作品を見ると、ひとりの男の生きざまとしても味が出てきます。[インターネット(吹替)] 8点(2018-02-23 19:54:02)《改行有》

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