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プロフィール
コメント数 496
性別 男性
年齢 42歳
自己紹介 皆様のレビュー、いつも参考にさせていただいております。私のレビューも参考になれば幸いです。

2012年以降忙しくなったので、レビューを一言にしています(上半期分は6月末にまとめて投稿)。参考にしにくいかもしれませんが、あしからずご了承ください。採点基準は以前と同様です。

私の連絡先はこちら⇒えむいーあーる75jp[あっとまーく]yahoo.co.jp

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61.  50/50 フィフティ・フィフティ(2011) 《ネタバレ》 ある日、突然ガンを宣告されたらどうするか。生存率が50%と知らされたらどうするか。この作品は彼女がいて、親友がいて、職もあって、それなりに幸せなアダム(27)に訪れた転機を淡々としかし温かく描いている。 昔から短い余命を告げられたり、難病であることが判明することが作品の根幹を成す作品は多いが、この作品の面白さはそれを徹底的に等身大の視点で描き、しかも同時にエンタテイメントとして昇華させているところにある。この主題に対して、アダムとその周囲の人々のやり取りを描いたシーンを積み上げることで、彼自身の内面の変化に迫るという作り方は映画という媒体では最も自然であり効果的なアプローチだったと思う。アダムは必要以上には悩まないが、当然悩んでもいる。彼の周囲が惑い、アダムがガンを患うという事実に翻弄されることで、彼の悩みはますます深くなってしまう。先日「エンディングノート」を鑑賞した際にも感じたことだが、死に直面するということは、自分と周囲の人々との関係性を新たに構築しなければならないということを意味し、気を使われるだけではなく、自分が気を使わなければならないということにもなる。一般的に、身体的な不調が精神的な不調とも繋がりやすいのはそこにも原因があるのだろう。 しかし、この作品で、アダムの救いになるのは、時に彼を悩ませるその周囲の人々からのサポートであることも面白い。親友カイルの荒々しいサポート、セラピストであるキャサリンの初々しいサポート、母であるダイアンの有無を言わさぬサポート。彼女であり、結果的に彼と分かれることになるレイチェルの存在すら、決して彼にとっては無でなかった。周囲の人々の時には迷惑なサポートを受けて、アダムは徐々に本当の「生きる意味」を見つけていく。その様子は真に迫って感動的だった。 キャストも揃っている。全員が良い演技をしていたと思うが、特にアナ・ケンドリックの新米セラピストぶりは観ていて微笑ましかった。セラピストでありながら、患者と恋に落ちるという反感を買いそうな役どころだったにもかかわらず、キャサリンという憎めないキャラクターを完璧に理解し、見事に演じていたと思う。セス・ローゲンの安定感もさすがである。 ちゃんと劇場で観て本当に良かったと思えた作品だった。同世代の独身男性には特にオススメしたい。[映画館(字幕)] 8点(2011-12-17 11:16:54)(良:1票) 《改行有》

62.  タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密 《ネタバレ》 3D字幕で鑑賞。子供の頃からタンタンシリーズに慣れ親しんだ僕としては、この映画の予告編で妙にリアルかつ作り物じみたタンタンの顔を観たときから、これはとても観られたものではないぞと思っていた。この映画のタイトルロールで映されるように、この作品は本来的に簡潔な線を特徴にした素朴な味わいこそが魅力だと僕は思っていたし、その考えは今でも変わらない。しかし、予想を超えてネット上の評判が良いこと、また監督が冒険活劇の帝王スピルバーグであることにより、観に行く気になったし、結果的に劇場で観られて良かったと思っている。 どこまでもキラキラした眼差しで前を見つめるちょっとうざいタンタンと脱力しまくったアル中おっさんであるハドック船長のコンビは本当によく出来たキャラクター設定であるとあらためて感じた。グルミット並みに使えるスノーウィも忘れてはいけない。そして、彼らがスクリーンの中で所狭しと大活躍する様を見れば、思わず頬が緩んでしまう。最後のアクションはやや淡白だったが、モロッコの町並みを背景にした一連のシーンは芸術的なアクションシーンだった。ただ映画の中で唯一残念だったのは、映画は英語版なのに字幕がフランス語版のままだったこと。タンタンはティンティンではやばかろうが、デュポンの字幕がトンプソンなのは少しやりすぎな気がした。字幕もトンプソンで差し支えなかったろう。 以前は、原作の画を活かすなら、パラパラ漫画のような形式の短編アニメしかないだろうなと思っていたが、スピルバーグ様の有無を言わさぬエンタメ力によるこの大胆な改作を前にしては、ただ謝るほかはない。原画ファンとしてはちょっとさびしいが、こういう手もあったのかと眼を見開かされた思いだ。[映画館(字幕)] 7点(2011-12-13 10:33:17)(良:1票) 《改行有》

63.  コンテイジョン 《ネタバレ》 豪華キャストてんこ盛りで作成されたパンデミック映画。米政府やCDC(米国疾病予防管理センター)に所属する人々、および感染者とその家族を軸に、ソダーバーグ監督お得意のリアル描写で、「感染」の恐怖の拡大を描く。 群像劇である上に、リアリティに徹する姿勢で作られているため、起こりそうなことしか起きない。案の定、感染は瞬く間に世界へ広がるし、シカゴはゴーストタウンとなり、アメリカ市民は暴徒化する。国際機関や米政府は、ワクチンの開発や隔離の実施などそれなりに的確な対応を取ろうとするも、悪質な扇動者がそれらを邪魔する。このジュード・ロウ演じるフリージャーナリストの存在がなかなか面白い。twitterやらを駆使し、デマをばら撒いて金を引っ張る悪い奴なのだが、どこか憎めない存在でもあるのだ。 感染において生じるドラマ一つ一つは小粒であり、ストーリー進行も淡々としている上、全編を通じて会話量が多いので、日本人ウケはしないかもしれないが、僕はなかなか面白いと感じた。ソダーバーグの癖が遺憾なく発揮されているが、今回は良いほうに転んだという印象だ。ゲバラ映画の二の舞は無かった。観客(売り上げ)に気を使っていただけた結果ではないか。次々と病に倒れる豪華なキャスト達の演技も見もの。先ほど挙げたジュード・ロウをはじめ、流石の安定感である。[映画館(字幕)] 7点(2011-11-20 23:58:14)(良:1票) 《改行有》

64.  ハード キャンディ(2005) 《ネタバレ》 まず、導入部のタイトルバックのデザインに感銘を受けた。赤頭巾ちゃんの「赤」をモチーフに室内をイメージしたとてもオシャレなイントロである。作品の内容に関しても、主要なキャストがほぼ二人だけという制約をものともせず、最後まで飽きずに鑑賞できるレベルに到達しており、よく出来ていると感じた。14歳の小娘にここまでいたぶられると、相当に腹が立つだろうなと、小児性愛者の変態野郎とはいえジェフに同情を感じたし、彼の心情を想像して笑える箇所も多かった。主演二人は本当に良い演技をしていたと思う。ラストの展開がご都合主義に過ぎるのだけが残念かな。 そして、僕のエレン・ペイジ愛をあらためて確認できた作品だった。いや、子供が好きなんじゃないよ。エレン・ペイジが好きなんだよ。[DVD(字幕)] 6点(2011-11-20 17:09:46)《改行有》

65.  シェーン 《ネタバレ》 リバイバルで久しぶりに鑑賞。子供の頃にはよく分からなかったシェーンの魅力を堪能できた。この映画は、ただの撃ち合いでもつ西部劇のレベルを軽々と超えている。 まず、僕が子供の頃抱いた印象と違ったのは、シェーンは決してかっこいいばかりじゃないということだ。そもそもなぜ彼がここに流れ着いたか分かったものじゃない。その理由は決して褒められたものではなかったのだろう。彼の拳銃の腕も、彼がどちらかというと暴力的な生活を送ってきたことを明確に示している。ジョーの家に来てからは、「暴力も使いようだ」と殊勝なことを言うが、今まで彼がどのようにそれを使ってきたかを考えれば、内心忸怩たるものがあったのではないか。彼は、おそらく何かのきっかけで改心した悪党に過ぎないのである。 そして、彼と中年を迎えようとしているマリアンの気持ちの交錯も美しいだけじゃない。それはマリアンにおいては、ど田舎に閉じ込められた人妻の単にありふれた貞淑のよろめきであり、シェーンにとっても自慢できるアヴァンチュールでもなんでもない。厳しいことを言えば、盛りを過ぎた彼らの交情は、世間から見ればみっともない部類にすら区分できる。 そして、僕がこの映画を優れていると思うのは、まさにこういうしょうもない男と女の話がものの見事に傑作に仕立て上げられているからである。昼ドラにでも出てきそうなストーリーを、役者陣の丁寧な演技と余情漂う慎み深いシーンの積み重ねでとても上手に一つの美談に変えてしまった監督の手腕は恐ろしいほどだ。子役の活用方法も独創的だ。子役を中心に据えて、ストレートに涙を取りに来る映画が多い中で、この作品は子役を脇役として効果的に使っている。シェーンとマリアンとジョーの三者を料理の原材料とすれば、ジョーイはそれを調理する火に当たる。ジョーイの存在が、彼らの気持ちの触れ合いやすれ違いを分かりやすく炙り出しているのだ。 終盤は名シーンの嵐で、ウィルソンやライカー兄弟との撃ち合いのシーンはもちろん素晴らしいが、その前段のシェーンとジョーの殴り合いでシェーンが最後に拳銃の台尻でジョーを殴り倒すシーンに感動した。スターレット一家に対するシェーンなりの仁義の切り方にただ涙するのみだった。そして、あまりにも有名なラストシーン。涙が止まらなかった。[映画館(字幕)] 8点(2011-11-15 23:43:23)《改行有》

66.  スリーデイズ 《ネタバレ》 さすがポール・ハギスである。オリジナルも鑑賞したが、こちらの方が分かりやすいし面白かった。オリジナルを超えるリメイクというのは、僕が観てきた中ではあまり無いからこれは凄いことだ。どうしてもオリジナルの持つ「勢い」や「素朴さ」が失われて、頭でっかちになったり、逆にオリジナルの筋をなぞるだけの中途半端なものになってしまったりしがちである。 この作品も基本的にはオリジナルを踏襲したつくりなのだが、終盤の動物園絡みのエピソードが付け加わって、ストーリーに厚みが増した。脱獄させた妻との心の交流を描くシーンがオリジナルには不足していると感じていただけに、この追加は嬉しかった。あとは公園で出会う女性との間にもそれなりのドラマが用意されているのも良かったと思う。 余談になるが、ポール・ハギスの映画は生起するドラマがわざとらしくてハリウッド的だという意見もあるかもしれないが、僕はこういうクラシカルな作風が好きだ。ある程度、話が分かりやすくならないとなかなか感情移入は難しい。それにハギス作品に出てくる登場人物の心情やそれに基づく行動はどれも理解しやすい。 さて、この映画を観て私が感じたのは「ナイロビの蜂」との類似性だ。どちらにしても主人公の一途に愛する女性を思う気持ちが印象的である。一途なだけではない。どちらの映画も、自分の命、そして他人の命まで懸けて女性を愛することがテーマである。僕はこういう映画を観ると涙が止まらなくなる。いつの日か自分もそうありたいと強く強く願う。[映画館(字幕)] 8点(2011-11-12 23:56:02)(良:1票) 《改行有》

67.  マネーボール とても素直ないい話ですが、ビジネスにも応用できるピリッとしたキレもあり、最後まで飽きずに観られました。抵抗勢力である老スカウトどもをバッサリと斬り捨て、ピーターを懐刀に起用するビリーに痺れます。なかなかこういう閉鎖的な社会というのは外部の意見を持ち込めないものなんですよね。内部の人間が誰か英断を下さないといけないんです。 それにしてもブラッド・ピットの役への入り込み方は凄いですね。私もアマ野球経験者の方とも仕事をしていますが、その方と比較してもブラッド・ピットの本物臭さには本当に驚きました。ラフな語り口やフランクな物言いなどどう見てもスポーツ関係者でした。いっつも何か口に入れてるし、家ではいつもビール飲んでる。でもかっこいいんですね。こういう映画を観るとスポーツやっときゃ良かったなんて思います。[映画館(字幕)] 7点(2011-11-12 23:03:14)《改行有》

68.  三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船 《ネタバレ》 子供の頃に原作を読んだ。冒頭の人物紹介を兼ねたヴェネツィアのシーンからいきなり原作と関係が無く、この監督らしいなとニヤリとした。その後のダルタニアンが三銃士皆と決闘する流れになるくだりは、ああそうだったそうだったと懐かしかった。 豪華な衣装と豪華なロケ地と豪華なキャスト。三拍子揃った快作である。特に宿敵ロシュフォール役としてマッツ・ミケルセンが出てきたのは嬉しい誤算だった。リシュリュー枢機卿役のクリストフ・ヴァルツの影が比較的薄かったのは残念だが、この映画はミレディー、つまりミラ・ジョヴォヴィッチのための映画なのだからそれも仕方ない。 ダ・ヴィンチのお宝も飛行船のアイディア以外は全て失われちゃったけどそれでいいのか?とかミレディーがあんな高いところから落ちて何で死なないのか(まあ死ぬ訳ないとは思っていたが)?とか言うのは無粋。少なくともストレス解消には役立った![映画館(字幕)] 6点(2011-11-12 21:16:42)《改行有》

69.  ミッション:8ミニッツ そんなに面白くは無かった。ストーリーが割とわかりやすいのはありがたかったし、ヒロインとの恋模様がじんと来なくもなかったのだが、同じシーンばかりだと退屈になるのも事実。全然意味が分からないのが終盤のオチ。量子論だかなんだか分からないが、急に緊張感が解けるので、前につんのめりそうになった。屁理屈をこねまわる映画も好きではないが、こういう風に完全に放棄されても困ってしまう。うんうん良かったねとしか言いようが無い。そう思うことは出来たので結果オーライなのか。[映画館(字幕)] 6点(2011-11-04 23:29:04)

70.  スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団 発想は悪くないのだが、何というかカタルシスがないのがつらい。一つ一つのシーンは悪くないのだが、筋に捻りがあるわけでもなく、何となく終わってしまう。スコットもモテモテだから自己同一化できないし。主役カップルに特に思い入れは抱けなかったが、ドラマーの女の子キムは個人的に大好きだ。[DVD(字幕)] 5点(2011-11-03 17:49:12)

71.  カウボーイ&エイリアン 徹底的にアクションの爽快感を追求するのか、それとも観客に「考えさせる」社会派を気取るのか。UFOに飛び移るような痛快なシーンを撮りたいのか、それとも人間が協力して宇宙人をやっつける頭脳戦を描きたいのか。全部やりたくて、どれも中途半端に終わっている。西部劇の舞台に宇宙人が突然来襲するというその破天荒さを生かしたストーリー展開があってよかった。ダニエル・クレイグとハリソン・フォードというキャストにも期待したし、2人とも力演したが、この脚本の前では刀折れ矢尽きた。最後に致命的なのが宇宙人のしょぼい造形とその無能さ。どっかで観たことのある何か。こんなのじゃ全然ドキドキできないぞ![映画館(字幕)] 5点(2011-10-30 10:42:17)

72.  キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー 2Dで鑑賞。事前情報が無い状態で鑑賞したが、主人公に共感できないままあれよあれよという間に映画が終わってしまった。まあ、原作がコミックだから少々設定に難があっても許すべきだとは思うが、アースキン博士の機械が作りなおせないというのはどうしても納得がいかない。あの機械、膨大な電力を使うらしいが、その納得感も無い。そしてプシューってドアが開いて、ムキムキのキャプテン・アメリカが出てきた瞬間のイタさ。まさに失笑ものである。散々手垢をつけられてきたネタだからこそもう少し見せ方に工夫があっても良かったのではないか。 主人公の強くなりたいという願望があっさり叶うのも物足りない。強くなって国に貢献したい⇒人体実験⇒ムキムキという単純すぎる話の流れには乗りきれない。ふうん良かったねくらいの感想しか出ない。スティーブが何となくいい奴だということは分かったが、これだけでは好きにはなれない。キャプテン・アメリカに変身後、実際の戦闘に加われないジレンマに悩む姿は良かったが、加わってからはただのアクションの羅列に終始してしまう。 駄目なパターンのヒーロー映画だった。[映画館(字幕)] 4点(2011-10-21 13:18:37)《改行有》

73.  抱きたいカンケイ 《ネタバレ》 むしゃくしゃした。[DVD(字幕)] 3点(2011-10-15 21:25:34)

74.  猿の惑星:創世記(ジェネシス) 《ネタバレ》 流れるようなカメラワークや猿達の表情を巧みに映し出したCGの素晴らしさという切り口だけでも十分に評価されるべき作品ではあるが、私はこの映画の「人間に対する徹底した幻滅感」が最も面白いと感じた。 この映画のヒーローはシーザーという猿であり、人類は脇役に過ぎない。どうやって猿が人間に対立する種に育つのかを追った作品であり、一種の建国伝説と言うこともできる。そのため、観客はシーザーの成長やその他の猿達の覚醒を見守り、それが達成されるはずのラストに向けて彼らを応援することになる。結果的に人間と猿の両種が相争うことになるのだから、その相手方を応援するというのは何とも不思議なことであり、一見、興行的にうまく行かなさそうな演出である。しかし、これがうまく行ったのだ。アメリカでは、この作品は製作費の倍近くを稼ぐスマッシュヒットとなった。 「キングコング」は人類が異種族に対する寛容さを持つべきと問題提起した。「アバター」は人類と異種族でお互いの理解が進むことが重要と説いた。しかし、この映画はそこからもう一歩先に進んでいる。異種族である猿の側を全面的に肯定し、人類の醜さや独善性を浮き彫りにしている。この映画の中では、猿のほうが人間よりも賢いし「人道的」なのである。 この映画がヒットした理由もそこにあるのではないだろうか。この作品はテロリズムの跋扈や環境破壊の進行など、人類に対する信頼感が揺らいでいる時代をうまく捉えた。人類が人類らしさを失っていると感じている人が増えているのではないか。そういう意味で、この作品は現在の人類世界(マクロからミクロまであらゆる意味で)に満足していない多くの人に受け入れられた。 自分も猿側に立って快哉を叫んだクチだ。まあ、元祖「猿の惑星」の猿のモデルは日本人であり、日本人の僕が猿の勝利を祝っているのはアメリカ人から見たら当然かもしれないが。[映画館(字幕)] 8点(2011-10-09 22:15:41)《改行有》

75.  くまのプーさん(2011) 《ネタバレ》 くまのプーさんの世界というのは恐ろしくて魅力的だと感じた。 まずは、この作品のキャラクターたち。非常に親しみを持てるキャラクター達であるが、その誰もが著しく過剰な一面を持っている。カンガとルーは比較的まともだが、プーさん、イーヨー、ピグレット、アウル、ラビット、ティガーはいずれも妙にリアルな恐さを持っている。これを実写かつ人間でやられたら、少し精神を病んでいるのではないかと心配になってしまう人物のオンパレードだろう。こういう濁った目で無邪気なディズニーアニメを見てはいけないと思いつつも、ついついこう感じてしまう。イーヨーはうつ気質、ピグレットは異常なほどの怖がり、アウルは傍若無人な知ったかぶり、ラビットは神経質なしきりたがり、そしてティガーは常に躁状態である。実際、クリストファーのモデルであるミルンの子クリストファーは、この物語のキャラクターのイメージと自分自身の比較に生涯苦しめられたという。何とも後味の悪い話ではあるが、この異様なほどに「身近」に感じられるキャラクターこそがこの作品の魅力ではないか。人間の特性を細かに分割し、無邪気なビジュアルを持つぬいぐるみ由来のキャラクターに付与するという行為のアンバランスさ、不自然さ。デカダンスすら感じるのは私だけだろうか? また、この作品でのハチミツという物質のもつ強烈な存在感も印象的である。ハチミツに飢えたプーさんは恐ろしい幻覚に苛まれながらも、ハチミツを手に入れるためにデスパレートな努力をささげ続ける。カエルがハチミツ入りのポットに見えるシーンやハチミツを手に入れたと錯覚したプーさんが泥の中を転げ回るシーンは異様な迫力に満ちていた。最終的にハチミツよりも友人を取ったことをクリストファーに褒められるプーさんを見て、思わず薬物の更生施設でのワンシーンを連想した私のほうが病んでいるのだろうか? 奇抜な不思議の国のアリスよりも、親子連れが客席の大半を占めるこの映画のほうがよっぽどヤバい作品を観た気持ちになった。「時計じかけのオレンジ」の「雨に唄えば」のような狂気を感じた。[映画館(吹替)] 7点(2011-10-07 00:03:38)(良:1票) 《改行有》

76.  水曜日のエミリア 《ネタバレ》 後妻が主人公というのは、家族モノの中でも比較的珍しいと思う。テーマに興味を感じて鑑賞した。 愛を貫いての結婚だったはずなのに、なぜか万事がうまくいかないと感じる主人公のもどかしさには共感できた。一筋縄ではいかない先妻の子供、ヒステリックな態度を取る先妻、いつも子供の側に立って自分を詰る夫。それらの存在の集積が彼女を苛む。なぜ自分の努力が報われないのか?そう感じて周囲に攻撃的な態度を取ることで、更に孤立していく彼女の姿は観ていて痛々しかった。そして、その焦燥感の根っこにあるのは、生後数日で亡くなった彼女自身の娘の存在である。彼女の死を乗り越えられず、常に後ろ向きの思考をしてしまうから、周囲との関係もうまく行かないのだ。地味だが、俳優陣の演技や丁寧な脚本に救われ、なかなか見応えのある展開である。 ただし、先妻の協力により贖罪が果たされる終盤の展開はやや安易に感じた。主役のエミリア自身が努力することで壁を超える展開の方が、もっと感動的だったような気がする。主演のナタリー・ポートマン自身が製作に関与しており、キャストも好演している力作ではあるが、エンターテイメント性やストーリーの奥深さの点でやや劣ると感じた。[映画館(字幕)] 6点(2011-09-19 19:45:32)《改行有》

77.  ナチス、偽りの楽園 ハリウッドに行かなかった天才 《ネタバレ》 第2次世界大戦頃のヨーロッパでの話。クルト・ゲロンという才能に溢れたユダヤ人俳優(兼監督)はドイツのナイトクラブで喝采を浴びていた。彼の愛嬌たっぷりな表情とでっぷりと肥えた体格、そして過剰なほどのコミカルな演技は観客の心を掴んで離さなかった。しかし、時は1930年代。まもなくナチス親衛隊の規則正しい足音がベルリンの町に響くようになる。 容貌魁偉なクルト・ゲロンという映画界の鬼才が主人公に据えてあるが、この映画の主題は当時のドイツの情勢やそこに生きた映画界の人々(特にユダヤ人)の心情や行動だ。彼らのナチスに対する反応は実に様々で、クルト・ゲロンのようにその危険性を十分に認識できなかった者もいれば、さっさとヨーロッパから脱出を図った者もいた。時流を読む目の大切さを感じた。また、現在まで生き延びている生存者のインタビューも興味深い。当時のドイツの「芸能人」の生き様を知る資料として一級であるといえよう。収容所(テレージエンシュタット)内でのナチスの彼らに対する扱いも興味深い。 しかしながら、映画としては退屈な部分もある。インタビューが中心とならざるを得ないためだ。特に中盤については、もう少し尺を短くすることも可能だっただろう。[映画館(字幕)] 6点(2011-09-19 19:11:14)《改行有》

78.  ヒート 《ネタバレ》 特濃男汁が飛び散る男による男のための映画。アル・パチーノが刑事になって過剰かつオラオラな演技を披露すれば、デ・ニーロは例のキメ顔を惜しみなくさらしながら盗賊団の首領を熱演する。これが3時間続くのは正直少ししんどいんだよなあ。初鑑賞は中学生の頃だったと思うが、その頃から比べると評価は落さざるを得ない。僕も年をとりました。 この映画のテーマは「仕事と女(家族)」なんだということも今回鑑賞して気づいた。刑事にしても盗賊についてもみんな女のことで悩んでる。女って奴は何でこうも分からず屋かねえ。ジャスティンにしてもシャリーンにしても旦那の足を引っ張ってばかりじゃないか。男ってのは忙しいんだから家のことはお前らがきちんとやれよ。という男の目線には納得できるところもあれば納得できないところもある。ただし、この映画は設定からして、男の味方をしやすく作られているのだ。この映画に出てくる女達は弱すぎる。何だかんだで男におんぶに抱っこなのだ。これじゃ男たちが上に立とうとするのも無理は無い。現代から見ればそういう設定が少し時代遅れに見えてしまう。 でも、この映画が良いのはそんな小難しいところじゃない。とにかくこの映画のアクションシーンの迫力は圧倒的だ。特に銀行強盗のシーンとラストの空港での追跡シーンは白眉である。色々と欠点はあるけど、憎めない作品だ。[DVD(字幕)] 7点(2011-09-19 00:37:19)(良:1票) 《改行有》

79.  ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 - スペシャル・エクステンデッド・エディション - 《ネタバレ》 観終わった!いや、やっぱ長いよ、これは。長すぎて、結局何が言いたいのかよく分からない話だったが、アラゴルンがかっこいいのはよく分かった。アルウェン命なのがニクい。正直、ガラドリエルも狙えると思う。アルウェンは幸せ者だ。一方で、エオウィンが意外とあっさりファラミアになびいたのにはびっくりした。おいおいって感じなのだが、そのポジティブな態度には好感も持てた。あと、この作品ではガンダルフがわりとまともでがっかり。この人の魅力は周りを一切顧みない暴走にあると思うのに。前の二編に比べて、少し話が分かる人になっていて、がっかりした。どうせなら鬼の形相でサルマンさんをやっつけに塔をよじ登って欲しかった。それにしても、前編から応援しているサルマンさんは最後までサウロンに忠誠を誓って偉い。グリマの奴がサルマンさんの活躍の場を奪ったのは許せない。メリーかピピンを血祭りに上げるか何かで、最後に一矢報いて欲しかったところ。 指輪を捨てに行く三人のシーンはスメアゴルの独壇場。最優秀男優賞をあげたいくらい魅力に溢れている。欲しくてたまらないものを手に入れるため四苦八苦する様子は最高にキュートである。一方で、フロドから帰れといわれて帰ろうとするサムには正直どうかと思った。外に立ってろと言われても、普通ならちゃんと授業を受けようとするでしょうに。フロドご主人の意志の弱さも相変わらず。火山で駄々をこねるシーンには、思わず失笑してしまった。ここまで来てそれか! 結局この映画は、世の中には色々な人がいて、みんな弱点を持ってるけど頑張って生きていこうねって言いたかったのだろうか。金、権力、愛。欲の対象は様々だが、僕もあんまり執着せずに生きていきたい。[DVD(字幕)] 6点(2011-09-18 21:24:00)《改行有》

80.  ハンナ ケミカル・ブラザーズが音楽を担当するアクション映画ということで、興味津々で観に行った。確かに音楽は映画の内容とうまく調和していたと思うのだが、脚本が一本調子なので、観ていてそれほどワクワクしなかったのが正直なところ。シアーシャ・ローナンもケイト・ブランシェットも好きだし演技も良かったので、この点数をつけるが、ラストに至るまで何も捻りが無いのは困ったものだ。 さらには、エリックのキャラクターややっていることがそもそもよく分からない。娘を復讐マシーンに仕立て上げるなら、せめて仇敵の顔ぐらいは事前に教えておくべきではないか。本ばっかり読ませて音楽をはじめとする現代文化に全く触れさせないというのも、ちょっと解せない。挙句の果てに、サバイバル術やら殺人術を散々教授しておいて、最後はやるかやらないかはお前次第という放置プレイにも戸惑いを覚える。いくらなんでも色々と説明不足過ぎやしないか。[映画館(字幕)] 5点(2011-09-11 19:42:30)《改行有》

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