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プロフィール
コメント数 202
性別 女性
自己紹介 閲覧&良票を入れて頂いた皆様ありがとうございます(*^-^*)
良票を頂けると励みになります!作品に対する意外なヨミと、読んでいて楽しいレビューを心がけています。楽しんでいただければ幸いです☆

ジャンルを問わず鑑賞していますが、ホラーを観るときは手で目を覆って指の隙間から観ますw

★好きな俳優★
M.ファスベンダー、E.マクレガー、J.ロウ、D.クレイグ、O.ブルーム、ジョナサン・リース=マイヤーズ・・・・・はい、そうです。イギリス俳優好きですw
さらには、ドナルド・サザーランド、S.ブシェミ、M.フリーマン、フランコ・ネロ、B.ウィリス、H.ジャックマン、C.イーストウッド、女性では、ユマ・サーマン、M.ジョヴォビッチ、C.セロン、A.セイフライド・・・などが好きです。

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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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81.  パッセンジャー(2016) 《ネタバレ》 「青い珊瑚礁」的な、極限状態に男女二人だけだよサァどうするという設定に、「アルマゲドン」的な、死を持って愛するものとその他大勢を救うぜそんなオレどうよというエピソードを盛り込んで、両者を足して2で割ろうとしたら、割りかたがヘタクソでバラバラに砕けて支離滅裂になりましたというのが今作。 他のレビュアーさんたちの多くが語っているように、ジムは嫌がるオーロラをむりやり冬眠装置に押し込んでフタをしめてスイッチオンすべきでしたね。 それが「アルマゲドン」のブルースウィリスとベンアフレックの例の場面と丸かぶりになろうとねw でもまぁそもそも。 私だったら、故障で自分だけ起こされちゃったら、乗客は非常識になるので起こさないとしても、少なくともクルーは会社側の人間の責任者として全員たたき起こすw そう思ってしまうと、それだったら映画が成り立たないって百も承知だけど、やっぱり見ながら感情移入は困難きわまりないですよ。 火がボーボーうずまいているシチュエーションで「クルーを起こしたほうがいいんじゃない?」と言うオーロラの意見をジムは却下するけれど、いやほんと、この状況でクルー起こさないとか、ちょっと何言ってるのかよくわかんない。 SFとラブストーリーを絡めた作品といえば「ガタカ」と「ミッション:8ミニッツ」「12モンキーズ」あたりが傑作だと評価している私だが、このSF映画における二人の恋愛劇はほんとにお粗末で、どうしようもない。 ヒロインをオーロラという名前にして、決死のミッション(←イヤミです)で永遠の眠りについたジムを蘇生させ ”逆・眠れる森の美女” というオサムいジョークをやってみたかっただけのために2時間近い尺を使ってこの映画を作ったのだとしたら、高いカネだけふんだくっといて故障するような船体を宇宙に飛ばした企業と同じくらい悪質ではなかろうか。[CS・衛星(字幕)] 2点(2018-04-09 02:57:46)(笑:1票) (良:1票) 《改行有》

82.  レミーのおいしいレストラン ネズミーランドをかかえるディズニー企業がネズミを主役にした作品を作ったことに違和感はないし、リアル系ネズミが料理をしようがまったく問題も感じないのだが、昨今のディズニーが王道としている”絆の愛”という深いテーマでシンプルに涙腺を刺激する近年の作品に比べると 「おもしろいね、うん。・・・それで?」 で終わってしまうところが残念ポイント。 今作の後のこれもまた「おもしろいね、うん。・・・それで?」な「ウォーリー」(面白さは、「レミー」より上だが)以降は、「カールじいさんと空飛ぶ家」、「トイストーリー3」、「アナ雪」「ベイマックス」「ファインディングドリー」「モアナ」「リメンバーミー」など、人やモノとの深い絆を前面に押し出してヒネリをきかせ、見終わった後にちょっと考えさせられる作品に明らかにカジを切っているディズニー。 今作のように、見終わった後に特に考えをめぐらせるようなテーマもなく、単純なエンタメに終始する作品は、おそらくもう出してはこない気がする。そして、そういう作品は、名作にはなりえないのだ。 主人公の恋愛対象のキャラとしてはキツすぎるあの女料理人(むしろ敵役のキャラの顔だち)とのエピソードはこのさいバッサリと切り捨て、かわりに主人公の母とのエピソードを盛るなど、ちょっとした工夫があれば、まだよかっただろう。 味付けをちょっと間違うと、星を失うのは、料理でも映画レビューでも一緒。[CS・衛星(吹替)] 3点(2018-04-09 02:29:32)《改行有》

83.  バースデイ・ガール 《ネタバレ》 ニコールキッドマン出演で、WOWOWでの紹介では「異色サスペンス」とあったので、ヒリヒリするようサスペンスを期待したものの ふたをあけてみれば、ダメンズとグルになって主人公からオカネをまきあげようとした美人局の下世話な物語というだけであった。 ニコールにどこかそれでも人情的なものがあればよかったものの、だまされて傷ついた主人公に追い討ちをかけるようなアクタイをついたり、自分にほれてるのをいいことに、都合次第で主人公をいいように扱って、人として完全にアウト。 ユーモアとかがあって、憎めないところがあるとかいうこともなく、もうとにかく、「迷惑な女」キャラ200%なので、嫌悪感しか感じられない。 一方の主人公も、パっとしないし、いやそのパっとしないという”非モテ”の要素が味になってるなら好感度が上がるのだが(たとえばジャック・ブラックみたいな)、本当にパっとしなくて、TVのニュースで「女性関係がうまくいかず引きこもり家であやしいDVDを500枚所持していたロリコンの犯人」の像にありがちな風体で、主人公は主人公でまた、激しい拒否感を覚えた。 ヴァンサンカッセルも、とことんヤなヤツで、ヤなことしかヤらなかさないしで、手の付けようがない。 これも、ヤなやつならヤなやつで、徹底していれば気持ちがいい(たとえば「イングロリアスバスターズ」のクリストフヴァルツみたいな)のだが、ヤることの悪さがチンピラレベルでチープすぎてガッカリなのである。 ということで、 ♪どーのーキャラ見てもーきーらいだなー  (ちょうちょのメロディで)[CS・衛星(字幕)] 2点(2018-03-31 18:36:33)《改行有》

84.  フライト・ゲーム 身内を失って心の傷を追って依存症をわずらっている人間が「この飛行機に犯人がいるー!」と主張して大暴れして、逆に「それってお前がPTSDで、妄想にとりつかれて勝手にそう思い込んどるだけやろ!」と乗客から総スカンくらっちゃう という本作の展開は、私の大好きな映画「フライトプラン」を彷彿させ、しかし「フライトプラン」ほどPTSDっぷりが描ききれておらず、孤軍奮闘を応援したくなる感がないのが「フライトゲーム」である。 また、座席のそばにたまたまいた女性が、事件にまきこまれつつも、主人公の味方となって、一緒に戦ってくれる という本作の展開は、私の大好きな映画「ミッション:8ミニッツ」を髣髴させ、しかし「ミッション:8ミニッツ」ほど、女性と主人公が深くつながりあうこともなく、結局ただ近くの席にいた親切なオバチャンというだけで終わってしまっているのが「フライトゲーム」である。 すなわち、既存の映画のデジャブ感がすさまじいわりに、不発に終わっているのが「フライトゲーム」なのである。 リーアムニーソンとジュリアンムーアがもったいないことになっているのが「フライトゲーム」なのである。[CS・衛星(字幕)] 3点(2018-03-31 17:51:10)《改行有》

85.  スノーピアサー 見終わってもう随分たつのだが、いまだに記憶に残っているのは窓から出された腕が寒さでコチンコチンになってポンってたたいたらカチンって折れるという愉快な場面と、ティルダ・スウィントンの破天荒な怪演。 ティルダはもうね、魔女とか、女王とか、そんなの序の口で、背中に羽がはえちゃう現代に生きる堕天使とか、生き血を求めさまよう現代に生きるドラキュラとか、破天荒な役になればなるほど、さえわたる女優なんですね。 そんな彼女が、この映画ではもう完全にメーターの針ふりきっちゃってます。映画の中で走り続ける列車よりも、飛ばしてます。 地球をまわる列車が舞台ですが、一周まわってくる頃には、線路の上に大量の雪が降り積もってるだろうに誰が雪かきするんじゃい、雪かきせんで列車とおれるんかい、みたいなツッコミどころが大盛りサービスなんですが、この映画、ティルダを見るためだけに、また見直してもいいなと思う。[CS・衛星(字幕)] 3点(2018-03-29 18:50:33)《改行有》

86.  リメンバー・ミー(2017) 《ネタバレ》 「ありきたり」?「先が読める」?「子供向け」? …この映画の表層しか見えない人は不運である。 この映画のメイン・メッセージは ”あなたはこの世で今、人に愛される生き方をしていますか?” これ1つ。 皆 自分を振り返れば、自己中心的で、人を傷つけ、陥れ、騙し・・少なからず人に愛されない事をしてきたはず。 そして、そうされた人達は加害者を嫌悪し、縁が切れれば記憶からも消されていく。 この映画で描かれる死生観 <この世で忘れ去られたら あの世でFinal Death(最後の死)を迎える=あとかたもなく消える> が与える「自分を見つめ直し 与えられた一生を人に愛される日々で送ってみては?」という人生ヒントを 映画を通して受け取れるかどうか? それがこの映画への評価の分かれ目だろう。 ★ ヘクターは音楽も家族も大事にした人。(音楽の為に家を出たが、ココへの歌を手紙で何度も送り続け、最後は家に戻り家族の為に音楽を続ける道を選んだ事から分かる。) このキャラはディズニーのスタッフ達が自分達そのものとして、家族や自分を支えてくれた人達への感謝と自負を込め作ったのだろう。スタッフ達は仕事に忙殺され家族との時間をすり減らせている。 でも仕事か家庭かで一方しか選ばないのではなく、両方大切にする彼ら。 オスカー受賞者はよくスピーチで「私を支えてくれた父(母)に感謝」「私を支えてくれた妻(夫)と子供達に感謝」と語る。まさにそれこそ”仕事と家庭どちらも大切にする事”が可能である事を示している。 きっとスタッフ達も 仕事が忙しくても家族へSNSで連絡したり繋がりを保つ事を忘れない。夢の為に娘の傍にいられなくても、歌を手紙と共に贈り続けたヘクターのように。 家族に愛され、そして創作者として人々にも愛され続け、忘れ去られる事がないヘクターは、ディズニーのスタッフそのものだ。 「君達も、家庭か仕事(夢)か?ではなく、愛と工夫があればどちらも大切にできるよ。家族にも家族以外にも、自己中心的になって傷つけたり騙したりするのはやめて愛する事を始めてみては?」 この映画は子供だけでなく、大人にこそ心の奥深くに語りかけてくる作品だ。 ★ ちなみにママイメルダはヘクターを決して嫌っていてはいない。ママココが本の間に彼からの手紙と写真をとっておけた事で分かる。本当に憎んでたら、彼が娘に手紙を出しても、娘に渡さず破り捨てていたはず。怒りにまかせ破り捨てた彼の顔写真も、娘が拾ってとっておこうと見つけ次第燃やしていたはず。でもそれをせず彼が娘の元に戻る事を本当は願っていた。そして彼女自身も自分の元に戻ってきてくれる事を本当は願い続けていた。 二人の愛ゆえに手紙が残り、そのおかげで、あの世で彼が消えかけたままミゲルがこの世に戻った後、手紙(歌を記した日付が、ニセ歌手が名曲の数々を発表した日付より前なので、ヘクターが真の作曲者だと分かる証拠)により、ヘクターが真の作曲者として、家族だけでなく町中の人々に語り継がれ、あの世で消える事もないというハッピーエンドになめらかに繋がる。この流れがなんとも美しい。 さらにいえばママイメルダとママココからの愛により顔写真も現存し、祭壇に飾ることができたからこそ、ヘクターが死者の日にこの世へ行けるという、すぐさま追撃のハッピーエンド。 あれほど父に逢いたがっていたママココが彼を忘れるわけはないのに、彼が消えかけるという展開を<ママココの死期が迫っているから>という自然な形で描きつつ、死の間際にミゲルのギターと歌により彼女が覚醒し、ママココが家族達にようやくヘクターの物語を心置きなくカミングアウトできる幸せを経て死ぬという人生のハッピーエンドの末、あの世ではようやく家族3人が再会という、最後の数分でイッキにたたみかけてくるママココ視点の見事なハッピーエンドへの持ち込み方も完璧ではないか。 そしてミゲル視点でも、家族への愛情と夢(音楽)のどちらかではなく、両方を実現できるようになったという、これでもかこれでもか!というハッピーエンドの連打。完全にノックアウトだった。 ★ ところで私はミゲルの先祖がヘクターだとは全く読めなかったが、中2の娘は、ヘクターが<最後の死>を迎えかけた友の為にギターで弾き語る場面で「あ、ヘクターが先祖だなって読めた」なんて、ニヤニヤと得意顔で言ったので「だったら鑑賞代の半分しか楽しめなかったんだねぇ~」なんて嫌味を言うと 「でも、ミゲルがこの世に戻る直前、消えかけているヘクターに初めて『パパヘクター!』って言ったとき、号泣した」 ・・・・やっぱりディズニー、おそるべし。[試写会(字幕)] 10点(2018-03-29 10:22:47)(良:6票) 《改行有》

87.  マリアンヌ 《ネタバレ》 期待はずれにして、オチは想定どおり。まことに退屈な作品である。 基本的な話しになるが、スパイ映画においては、敵が「おまえスパイだろ」と見抜く(あるいは見抜こうとする)場面での緊張感あふれる場面をいかに演出するかが、重大要素の一つだ。 で、この作品において「おまえスパイだろ」をやる役者が、アウグスト・ディールという脇役名人俳優。 実はこの俳優、「イングロリアスバスターズ」でも、ドイツ軍人役として登場していて、居酒屋で密談を交わすスパイたちを見抜いて「おまえスパイだろ」をやっている。 イングロリアスバスターズの、あの居酒屋でのシーンはスパイ映画の「おまえスパイだろ」の名場面の1つだと評価しているのだが、一方の「マリアンヌ」では同じ役者を使って、同じ行動(「おまえスパイだろ」)をやらせていて、どんだけ緊張感あふれる展開にさせるのかと期待させておいて、いまいち盛り上がらないままサラっと終了する。 これはもう、最高級のコーヒー豆と、お高いコーヒーカップを用意しておきながら、焙煎作業で失敗して最悪の味になっちゃったコーヒーみたいなものですよ。 そこですでにテンションは下がりまくりです。 そして、”美しき女スパイと、それを知らずに結婚する軍関係者。ふたりの未来の行方は?”っていう物語については、「マリアンヌ」と同じ2016年に公開されたレベッカ・ファーガソンの「愛の亡命」(日本劇場未公開)と同じ設定で、テンションが下がっている状態で「うん、でもまぁすったもんだやったところで結局、女スパイは彼と共に幸せに暮らしましたとさってならないんでしょ、選択肢は死しかないんでしょ」って思いつつ最後まで見たら、やっぱりそうなるんだから、もう、3点で精一杯です。 記憶に残っているものといえば、コティヤールが着てた衣装がどれもこれもテロテロのシルクだったなぁということだけ。 とにかく、ドレスやナイトガウンのテロテロしたシルクのツヤしか思い出せない。私の脳内では「マリアンヌ」=テロテロのシルクの映画、っていうイメージ。[CS・衛星(字幕)] 3点(2018-03-19 11:27:19)《改行有》

88.  ラ・ラ・ランド 《ネタバレ》 ミュージカルにしては、あまり盛り上がらないナンバー、おとなしいダンス。 でもミュージカルにしないと、魅せにくい ありがちなストーリー。 このジレンマのぬるま湯に上映時間の9割ほど浸かっていた。 最後の二人の再会のシーンで、ライアン君のピアノに乗せて「これまでの二人が、もしこうだったら・・・」という 妄想ワールドで観客をイッキに引き込む演出だけは秀逸だったもの、結ばれることのなかった二人が最後に微笑みを交わすエンドとか、うん、やっぱりありがちすぎて、結局ミュージカルでなんとか場を持たせてる作品でしかないと結論。 夢をもった二人。そして夢のために別れた二人。LAはそんなステキロマンスがそこかしこに満ち満ちています。ウェルカムトゥーハリウッド。ドリームズカムトゥルー! うん、やっぱり浅い。[CS・衛星(字幕)] 3点(2018-03-09 13:29:46)《改行有》

89.  グレイテスト・ショーマン 《ネタバレ》 映画の主人公が、すべて善人とは限らない。バーナムとてしかりで、最初からバーナムを ”見世物小屋をサーカスにしただけの、結局はフリークスを利用して金儲けをした男” つまり、クズ野郎として鑑賞すれば 「よーし、クズ野郎の顛末を見てやろうじゃねえか!」 と、潔ぎよい気持ちで見ることができるだろう。 英国でバーナムが女王に謁見した際のパーティーに、一緒に参加したがっていたフリークスたちを追い出してドアをバタンと閉じて締め出した場面など 「おお!これぞまさにクズ男の真骨頂!」 と拍手すらしたくなるはずだ。 ところで、心に刺さる映画に必ずあるものの一つに主人公の”心の葛藤”があるが、主人公はそのクズっぷりにふさわしく、今作ではこの”心の葛藤”が見事なまでにズボっと抜け落ちている。 たとえば同じくフリークスを扱った映画「エレファント・マン」では、ジョン・メリックを見世物小屋から病院に引き取った医師は、彼のためを思って上流社会の人たちとの交流を彼に薦め、実際ジョンもつかの間の幸せの時を味わっていたが ある日医師は、暗い部屋で妻に「僕は、ジョンを利用していただけかもしれない。偽善なのか。僕は最低な男なんじゃないか」と、心の葛藤を打ち明ける。 この場面がもし「エレファントマン」になかったら?心に刺さる映画にはなりえなかっただろう。 もう一例挙げるなら「シンドラーのリスト」。この映画では、単に金儲けのために安いユダヤ人を雇っただけなのに、結果的にユダヤ人をホロコースト送りから救い出すことになった事に、主人公が気づかされるにつれ、心の葛藤を抱く描写画面が何度も出てくる。 どちらも「私がしていることは善か?偽善か?」と、心の葛藤で悩む姿があってこそ作品として心を揺さぶるのだ。 しかしバーナムは、フリークスを雇っている事についての心の葛藤は一切ない。 お悩みは 「上流階級に認められてぇえ~~!」 であり 「妻子を幸せにしてやれる世帯主になりてえぇえ~~!!」 だけなのである。 フリークスも、美人 オペラ歌手も、彼にとってはそうしたお悩み解決のためのツールでしかない。 サーカスのテントが火事で焼失した後、フリークス達が「ここが私達の家なんだ!再建してくれ!」とバーナムに懇願したが、その時点でもバーナムの頭の中心にあるのは 「妻子を幸せにするカッコいい世帯主になりてえぇ~~!!」 だ。 再建はフリークスのためではなく、フリークスに対する義理を果たして、さっさと家族関係を再建したいだけなのである。 テントを再建したら即フィリップに全部まる投げし、ゾウさんに乗ってド派手な演出で家族の元にゴー!とか、クズ男は、実に、最後の最後までクズなのである。なんとも痛快なクズ物語! そして、そんなクズなストーリーを華やかに彩るのが、素晴らしい音楽とダンス!! 何を隠そう、ザック・エフロンが大好きな私である。 「ハイスクールミュージカル」シリーズや「ヘアスプレー」では、ピッチピチの彼の歌と踊りに心沸き立ち「将来このまま、もっとのびる!」と期待していたのに、その後のびるどころか全く話題作に恵まれず、すっかり落ち込んでいた矢先に、久々にミュージカル映画で登壇! やはりザックは歌い踊ってこそ輝く俳優だと改めて思った。 バーでの「The Other Side」といい、ゼンデイヤとの「Rewrite The Stars」といい、期待以上の素晴らしさ。20代の頃より、声もずっと太く、ついでに顔と体も太くなっていたが、やはりオーラは健在だ。 そしてゼンデイヤといえば、娘が昔見ていたディズニーチャンネルのティーン向けドラマ「シェキラ!」に出ていたこともあり、彼女にも親近感も持ちながら楽しむこともできた。 ぶっちゃけ、ストーリーはクズいし、予告でサーカスシーンがてんこ盛りだからシルクドュソレイユみたいなエンタメが楽しめるかと期待したのに、迫力あるサーカス場面の割合はめちゃくちゃ少ない(予告編の場面がほぼすべてw)しで、評価できる部分が少なくて0点を付けたいところだけど、ザックの復活を祝して3点献上。 あと、アカデミー賞にノミネートされ舞台でのパフォーマンスの場まで作ってもらっていたのにオスカーを逃したキアラ・セトルの「This is Me」も、私にはそこまでグサっとは刺さらなかった。 たぶん、彼女が歌っている最中ずーっと心の中で 「そんなにヒゲがイヤなら、剃っちゃえばいいじゃん・・・」 って思って気が散っていたせい。[映画館(字幕)] 3点(2018-03-08 11:01:38)(笑:1票) (良:2票) 《改行有》

90.  メッセージ 《ネタバレ》 あの宇宙人たちは未来が分かり、3000年後に自分たちの星がえらい目に遭うから、地球人に助けてもらいたいので、 今のうちに地球人に”武器”を与える。 その武器とは抽象画みたいな墨文字。 それが読解できるようになると、未来が分かるというシステムらしい。 「さぁ人類の皆さん!ぜひ我々の言語をマスターして、その力で無事3000年後まで生き延びてくださいね♪」 かくしてあの言語の解読に成功したヒロインは、未来が見えるようになりましたとさ。 めでたしめでたし・・・ってなんじゃそらああああああッ!!!!! つまらない。 いやほんとつまらない。ツッコミどころ満載。 特にあの宇宙人のタコ。ふざけてる。なめてる。 墨出して一緒にお話ししましょとか、もうコレってギャグの領域。 ヘプタポッドだと? 7本足で、ヘプタは7を意味するからヘプタポッドっていうのは、オクトが8を意味するから8本足のタコがオクトパスっていうのっぽくて面白いでしょみたいな、タコ偏愛主義者の自己満足なムードがイライラする。 そもそも未来が分かる言語を人類が理解できるようになったら、ヘプタポッド語の参考書とかドリルが出てバンバン売れちゃうだろうし、 カルチャーセンターで”ヘプタポッド語講座”で教えたりして世界中の人々が未来が見えるようになっちゃったら、占い師は全員廃業でしょう。 宇宙人どもは未来危機に陥る自分たちを助けて欲しいから地球人に未来予知能力を与えたけれど、 人類にとっちゃぁ、よそ者の宇宙人のことより 未来予測を使って金儲けに走るだけに決まってる、っていう未来を読めないのかこの宇宙人ども。 ヒロイン以外のジェレミーとウィティカにも、きっと何か後ですごい働きするって期待してたんですけど、特に何もなく。 存在感も薄い。 それこそジェレミーは「28週後・・・」での滅私的な活躍に涙しましたし、ウィティカは「パニックルーム」みたいな、優しい黒人を演じさせたら光るしで、この二人が軍人側として登場するなら、絶対、ヒロインを守って何かやってくれるぞ、と、タコに失望した自分は彼らに望みを託して期待をしていたのですが、最後まで特に、何もなく。 全体的に静かな雰囲気ですが、静かすぎて 「あなた、何を期待していたんですか?宇宙人とのファーストコンタクトの話しだと思ってたんですか?言語読解のプロセスで魅せる映画だと思ってたんですか?これは、もっと内省的な作品なんですよ・・・フッ」 って言われたようで、イライラする。 未来を知ったヒロインが、ジェレミーと結婚してもいずれ離婚することも、子供が生まれてもいずれ病死してしまうことも分かったうえで、あえてその未来を受け入れるという姿を見せ 「ヒロインのこの選択すごいでしょ、あなたにはできる?考えてみてよ。どうなの?え?」 っていうのが、この映画が言いたかったコトなわけですが、彼女の決断すごいでしょ、なかなかできるもんじゃないでしょ、というこれみよがしな主張も、それと価値観を同じにする人たちでなければ共感できない主張。  いや、私だったら、あえて別離ルートなど選択せず、 別のひとと結婚して、健康な子供を産んで孫まで抱きたいと思いますがね。 実際にもう生まれてきてしまった後ならば、誕生後に余命を知ってしまっても、生まれてきた以上は腕に抱く子に愛着が芽生え育っていくから、生んだことを後悔しないけれど まだ頭の中に見える未来図の映像としてでしか見えていない子供に愛着は生まれないだろう。 実際におなかに9ヶ月宿して苦しんで産み落として、この腕に抱き触れ合ったわけではないので、特に思い入れは生まれないはずだ。 そのあたりの女の思考回路を分かっていない、でも女の思考を分かってるつもりでいる、母性を神聖視しすぎちゃってる男の原作者が勝手にイメージし、提示する”母性”は、まったくリアルではなく、妄想と虚像でしかない。 淡々としたSF映画で思い出すのは「ガタカ」で、あちらは相当お気に入りだが「メッセージ」は思わせぶりなだけで説得力もなく、トリッキーなパズル構成とスノッブなところだけがハナにつく。 ヒロインの娘の名前がハナだけにね。[CS・衛星(字幕)] 2点(2018-02-21 11:47:05)(良:4票) 《改行有》

91.  デジャヴ(2006) 《ネタバレ》 「主人公が死んでも、スペアがありますので、ヒロインは孤独にはなりません。」的な変化球ハッピーエンドは、けっこう好きだ。 ネタバレになるのでタイトルは伏せるが、某有名ハリウッド俳優(T.C.)主演のSFでも、「主人公は死んだんですけど、クローンがあるので、ヒロインは大丈夫です」というオチだったが、こういう「どうせ主人公は死なないでしょ」という予想をくつがえしながら、後味は悪くないような構造。 とはいえ、ダグが美女を救うために過去に戻るのはいいけれど、彼女を小屋から救出したあと「さぁて、助けたここからがお楽しみ。どこからおさわりするかな」といわんばかりに動揺する彼女を早速ハグしたり、彼女の部屋で彼に向けられた銃をとるために普通に銃をとればいいものを、ゴルフのインストラクターが生徒の腰を指導と称してねちっこく触れるノリで、まずは彼女の手をゆっくりネトネトとこねまわすようにいじくったり、いやーキモイ!それ目的かこのエロおやじ!ってかんじです。 船の上でのキスも「それやっとかないと、タダでは死ねねぇ」的に見えて、いやー、もう、ヤレヤレですよ。 それはさておいても「メモを送りたいんだ」といえば、ちょうどメモがはさまるサイズの、前後からきれいに挟めるプレート装置があったり、「自分が過去にいきたいんだ」といえば、デンゼルサイズの人間を3方向から囲めるプレート装置があったり、なんかもうそういうの前提でトントンと進むのはイラっとするんだが、ブラッカイマーが製作だから、そうか、そういうことか、と、なんか納得。[CS・衛星(字幕)] 4点(2018-02-09 14:59:45)《改行有》

92.  ブレア・ウィッチ・プロジェクト 《ネタバレ》 「REC」「パラノーマルアクティビティ」「グレイブエンカウンターズ」「ディアトロフインシデント」など、POV、ファウンドフッテージと呼ばれる作品を散々見みまくったあと、満を期して、いよいよ元祖作品を鑑賞!! ・・・・・・・ つまらん。 「ジョーシュ!」「マーイク!」「何の音!?」「これは何!?」「キャーーー!!!」 5種類のセリフをループさせるだけで成立する内容だろこれ。[CS・衛星(字幕)] 1点(2018-02-07 12:21:04)《改行有》

93.  サロゲート 《ネタバレ》 設定が甘すぎる。 常識的に考えて、世界の中でサロゲートのようなハイテクを享受できるのは、一部の富裕層に限られるものだ。それが人口の98%が常用とか、ちょっとおかしい。 未来世界では貧富の格差は拡大しているのが常識で、ハイテクを享受できる一部の人間と、それ以外の大勢・・・という設定でないのは不自然きわまりない。 たとえば近未来SF映画の「タイム」にしても「エリジウム」にしても、何かすごく便利なアイテムを使える人たちは富裕層で、居住区は、富裕層と貧困層が住むエリアにきっちり分けられている。 「サロゲート」においては、”サロゲート使う人たち”と”人間として生きる人たち”で居住区が分かれているが、それはすなわち富裕層VS貧困層で分かれているのではないということに説得力がない。 (もし貧困でサロゲートが買えない人たちが住む居住区があるなら、それはサロゲートが買える富裕層の何十倍ものエリアと人口があってしかるべきだ。) また、SVI社のたった1社だけが98%ものサロゲートを供給してぼろもうけと言うのも、経済社会としてありえない。 携帯電話のように、大勢の人たちが利用するようになっていくにつれ、サロゲートを売る会社も、A社、B社、C社・・・と増えて、それこそセキュリティの強固さや値段などで競合していくのが普通だろう。 複数の会社がサロゲートを提供していれば、SVI社が襲撃されてすべてのサロゲートが一斉停止なんてこともなくなるわけで、常識的に考えれば、そういう仕組みを未来の人間が作っていないのがおかしい。 外に出なければ安心みたいに言うが、日光に当たらなければ体内時計がリセットされなくって不眠症になったり、交感神経と副交換神経のスイッチの切り替わりが鈍くなって鬱状態みたいになったり、ずっと引きこもってるから筋肉も退化して代謝が悪くなって太るし、メタボになればいろんな病気になったり、ひどければガンのリスクも高まるわけで、まったくもって、安心できる世界じゃない。 それにサロゲートだけで、恋愛、結婚、そして出産はできるのか? それを思えば、いずれは高齢化社会を向かえ、「子供の出生率0%!」なんて、今の日本どころじゃない大問題になるんじゃないのか? また、部屋で殺害されたらその殺害者がキーボードをちょいちょいっとたたくだけで「オペレーター変更」って、あっけなくオペレーターの立場をのっとられサロゲートを動かせるセキュリティの甘さとかどう。 ウィルスごときで、サロゲートが一瞬で停止してもう動かせませんっていうバックアップのなさとかどう。 博士が別のサロゲートを使っていることを知った女刑事が「重罪ですよ!」って言ったけど、そうやって犯罪の形として成立しているなら、複数アカウントもっていろいろなキャラになりすましてネット上に生きている人みたいに、複アカならぬ複サロを平然とやってる人もけっこういる世界ってことになる。 ということは、冒頭で、犯罪もなく平和な社会になりました、なんて前説はまったくのデタラメということになってしまう。 そして一番突っ込みたいのは、サロゲートをいくら若くしたところで、本人が年をとっていれば、そこまで、若いひとが楽しむものを楽しみたいと思うだろうか?ということだ。 なんだかんだいったって、年をとれば、年相当のものが好きになるはず。 10代のサロゲートを使ったって、中身が60代のおばあちゃんなら、お笑いライブに行くならNON STYLEじゃなくて、きみまろ を選ぶだろう。 20代のサロゲートを使ったって、中身が60代のおじいちゃんなら、クラブで踊るより、庭で盆栽してるほうが楽しいじゃろう。 ゆえに、博士のサロゲートがクラブに向かったり、ブルースの妻のサロゲートがミニスカはいて家で薬物パーティー、もとい、電気ショック・パーティーを開催しているところも「なんか違う」感がいなめない。 どのキャラも、サロゲートを先に見せておいて、あとでその本人(みんな、ふけていて、疲れた顔)を見せるという苦笑な演出と、終盤のサロゲートが一斉にバタバタっとなるシュールな景色くらいしか、面白みのない映画。[CS・衛星(字幕)] 3点(2018-02-06 08:34:07)(良:1票) 《改行有》

94.  モネ・ゲーム 《ネタバレ》 イギリスが舞台、イギリス人俳優、格調高き絵画取引の世界、そして贋作をめぐる騒動・・・その情報だけみれば、私好みの要素だらけだった。 しかし、期待は大ハズレ。 セクシーとは程遠いアラフォー・ディアスの下着姿といい、ホテルの宿泊客のおばさんのオナラといい、アイアンの鉄柵にささるディーンの尻と、パンツ姿といい、バカっぽい日本語通訳師といい、何からなにまで、くだらない。1度も笑えない。 そんなネタを並べたてて客を笑わせることができると思ってるとしたら、コーエン兄弟は、いろんな意味で終わってる。[CS・衛星(字幕)] 1点(2018-01-18 13:21:08)《改行有》

95.  パーフェクト・プラン 《ネタバレ》 ギャングのボスが持っている金は汚い。だから、やつに使わせるなら、別の人間が奪ってイタダイチャっても、それはそれでありだ。 というのが、この手の、作品の大義名分だ。たとえばウォシャウスキーの「バウンド」やサムメンデスの「ロードトゥパーディション」などなど・・・ でも「パーフェクトプラン」については、最後がスッキリしない。それはおそらく、バウンドやロードトゥパーディションなど、”ギャングのボスの金を奪う系”の映画として成功している例と違って <イージーすぎる> からだと思う。 夫婦のどちらも犠牲が出ていない。途中でちょっと巻き込まれちゃった、奥さんの姉妹と赤ちゃんも無傷。 一番盛り上がるはずの、屋敷でのハンドメイド殺傷トラップでのスッタモンダのところも、敵はギャングAもボス&部下、ギャングBもボス&部下という、たったの4人だけ始末すればよいことにしているので、あっけなさすぎて物足りない。 もっと中盤部分をスピード感ある編集にして、屋敷でのトラップ場面の尺を大きくし、敵の数を3倍くらい&トラップの数も3倍にすれば見ごたえもあっただろう。 あるいは、夫婦どちらも、かなりの重症を負って全治数ヶ月レベルになっていれば、最終的にギャングの金の一部を手にするための”ひきかえ”として相当だった。 ところが、夫婦はケロっと、お金を手にして、しかも「自然妊娠でできたわよ!フフゥ!」というオマケまでついて、車に乗って颯爽と新しい生活をスタートさせましたとさ、めでたしめでたし・・・なんて、虫が良すぎて、嫌悪感しか残らない。 さらに、中盤で銃で撃たれて倒れたのに死んでなかった警部。終盤では衝突事故で頭から血が出たまま動かなくなったのにまたしても死んでなかった。 この警部の、撃たれても衝突しても「ボクは死にましぇん」的スタンス。 鑑賞者を上手にドキドキさせる脚本が書けないがゆえ、こうやって主要人物を、完全に死んだようにみせかけて、実は生きてました~みたいな、そんなくだらない戦法しかとれないところもがっかりした。 「ミザリー」を保安官を見習えと言いたい。[CS・衛星(字幕)] 4点(2018-01-05 09:12:58)《改行有》

96.  ものすごくうるさくて、ありえないほど近い 《ネタバレ》 強い絆で結ばれていた父が9.11で亡くなり、その父との絆を強く求めて、父の遺品だと思われたカギで開けられる場所を必死で探す精神障害の少年。 そういうスタートを切ったのであれば、この物語は、少年がカギを開ける場所に到達し、その場所に、少年の心に光を照らす何かがあって、ハッピーエンドで終わるべきではないだろうか? しかし。 必死にカギの場所とそこにある父の影を探し続けてきた少年の前につきつけられた答えは、 「その鍵は、見知らぬオッサンの父親の貸金庫を開ける鍵」 ということだった。 結局、この物語で”感動”をもたらすエンディングとして提示されたエピソードは カギで父が遺したステキな何かを発見して少年の「あの時、父からの電話に出られなかった後悔をクリアしたい。お父さんとの失われた8分を取り戻したい」という思いが成就することではなかった。 精神障害の息子とイマイチ深く関われていなかった母親が、息子のカギ穴探しの旅がスムーズにいくように密かに根回し活動をし、 後日「エッ、オカンが裏で支えてくれてたん?」と知った息子が母と和解するということであり、それによって心がクリアになった息子が9.11のトラウマを乗り越え、父に誘導されても乗れなかったブランコに乗れましたとさ、めでたしめでたしということであった。 確かに、”謎のカギ”や”冒険”という、けっこう小説では使われがちなテーマは、一歩使いかたを間違えると、よくありがちなパターンになって「オチ読めたし、つまんねー」と、否定されやすい。 父親からの息子への手紙とか、生まれたばかりの息子を抱く父とか、そういうテッパンのアイテムが カギで開けた箱に入ってたら、それはそれで評価ダダ下がりだっただろう。 だからあえて、カギの先にあるものと父親をリンクさせるという真正面からの真っ向勝負に出なかったのでは? しかしながら、カギの先を探している過程で意外にも祖父との距離が縮まりました、とか、カギの先を探すサポートをしてくれた母親と和解できました、という、サイドストーリーを持ちだして 「はい、実はこっちが感動エピソードなのでした。意外でしょ?えへ、なかなか面白いプロットでしょ?」 と、やってやったぞ感に満たされてストーリーを書いていたとしたら、非常にタチが悪い。 貸金庫の話も煮詰めないまま突然終わらせ、そのカギの持ち主が離婚したはずの妻となぜかヨリ戻してるワンシーンを意味もなく見せ、祖父の死んだ息子や孫への気持ちもよくわからないまま「はい終了」で、誰が感動できるというのだろう? (この映画にガマンならないので、あの開いた貸金庫には100億ドルの金塊が遺されていて、それに目がくらんだ元妻が遺産狙いで「やっぱりまた夫婦に戻りましょう」と色目を使ってカギの持ち主の男とモトサヤに持ち込んだに違いないと、いぢわるな解釈してやる。) 相撲の勝ち方で批判を浴びていた白鵬にたとえるならば 「勝てばいい」とばかりに、まっこう勝負に出ず、立会いの変化によって、ふいをつかれた相手を倒すという勝ち方と同じではないか。 この映画は、「はっけよーいのこった!」の声で立ち上がり相手に向かって突進するそぶりを見せて、ひょいと身をかわし、相手を「おっとっと!」って土俵際まで勢いづいたまま行ってしまったその背後から背中をポンと押して「はい、勝ちました」と言っている様な映画ではないか。 どうりで、ゴールデングローブ賞、全米映画俳優組合賞でも かすりもせず、アカデミー賞では作品賞&”しゃべらないオジイチャン”が助演男優賞でノミネートされただけで、オスカーは渡っていない。 9.11、精神障害、謎のカギ、探検・・・なんて、ずうずうしく並べて、いかにも「みんな、感動してくれ!」って感じなところとか、かえって毛嫌いされたのに違いない。 しかも「オスカーをくれ!」といわんばかりに、主人公にオスカーとか名づけている時点で、もうアウト。(実際そのつもりで名づけたかどうかは知らないが) とにもかくにも、9.11と精神障害の少年という、最強のヒューマン映画臭を漂わせながら、カギという誰もが興味を強く惹かれる思わせぶりなアイテムをチラつかせてきたくせに、カギでまっこう勝負をしてこない、本当に卑怯な物語である。[DVD(字幕)] 1点(2017-12-15 13:22:30)(笑:1票) (良:3票) 《改行有》

97.  三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船 気に入っている。ひたすら気に入っている。もうDVDで何度観たことか。何度観ても何度でも観たくなる映画。 「バイオハザード」で見慣れたミラのアクションも、豪華ドレスと古典的なシチュエーションで行うと、また違うテイストで見惚れてしまう。 「ジャンヌダルク」の薄汚れたミラも良かったけど、今作のように華麗なファッションショーのごとくドレスをあれやこれやとお色直しを繰り返すミラもまた見惚れてしまう。 とぼけた表情でよく動く目玉を駆使したおちゃめな演技もミラのオハコ。魅力いっぱいのミレディに仕上がった。 そして枢機卿のクリストフ・ヴァルツは安定の悪役。 さらにはオーランド・ブルームもまた、オシャレと女と権力が大好きという最低男を見事に体現していたし、タイツ姿と左耳にプラプラさがるイヤリングもまたチャーミングだ。 三銃士はそこまで超メジャーな俳優を使わないことで、ミラvsヴァルツvsオーリーの3人の悪役の駆け引きのほうが引き立ち、そう、つまりこの映画は”三銃士”と題したものでありながら、ミレディらの”三悪党”の心理戦を楽しむ作品なのだ。 頭がトロくてウブだけど王妃とファッションは大好きなフランス国王と、当事の肖像画から抜け出てきたような古典的な顔の王妃のキャスティングも100%カッチリきまった。 ファッションに関する王とヴァルツやオーリーとの洒脱なセリフまわしといい、ミレディの想定外の動きといい、常に笑わせ、ドキドキさせてくれる、素晴らしい構成の映画だ。 重厚で理づめが過ぎては観るのが疲れる三銃士を主題にした作品でありながら、とことん見やすいライトな映画を撮るのを得意とする(裏を返せばアカデミー賞狙えるような重みのある作品は作れないとも言えるが)監督のポールの味付けで、ムダな背景説明などカっとばし、ひたすら面白くて見やすいポップなエンターテイメント作品に昇華されている。 ノートルダム寺院ファン(なんじゃそら)な私にとっては、空とぶ飛行帆船がノートルダムの一番高い塔のさきっちょにブスっと突き刺さって終わったときは、思わずフフフッっと笑ってしまった。 あの塔のさきっちょはディズニー映画「ノートルダムの鐘」で、カジモドがよじ登ってパリをグルっと見下ろした名場面でも使われた塔で、あの塔はきっと外国の映画製作者たちに「あの塔で何かおもしろい絵を作りたい!」と思わせる何かがあるに違いない。 そして、ミラが首飾りを奪うために進入するときに見せたムッチリした太もも露出は、夫であるポールの嫁自慢に違いない。[DVD(字幕)] 10点(2017-10-20 11:03:50)(良:1票) 《改行有》

98.  ザ・ギフト 《ネタバレ》 昔自分に酷い嫌がらせをして人生をぶち壊しにした同級生。大人になってその同級生が夫婦としても会社員としても順風満帆になったところを、復讐のごとく、ぶち壊しにかかるゴートという男の物語。 不審な贈り物が届くというは、けっこう映画としては多い手法だけど、この映画が頑張ったところは、その贈り物が、いじめっこだった男の妻ロビンの赤ちゃん(つまり夫がいない間に不法侵入&寝ている妻に強姦)という大胆設定だったところか。 ただ、恐怖感というのもあまりなく、赤ちゃんをプレゼントとかいっても、だって当事夫婦はせっせと子作りに励んでいたし、一度きりの強姦で、ゴートの子がビンゴでできるというのは、いまひとつピンとこない。 さらに、映画のオチを想像するのが苦手な私でさえ序盤でゴートが家の中を案内されて、ロビンが「子供できたけど産まれなかったの」とさびしげに言ったときに、あ~ゴートはそのうち彼女に子供をプレゼント(強姦)するなって読めてしまったのだから、この映画はあまりよくできた作品とは言えないと思う。[CS・衛星(字幕)] 3点(2017-08-30 11:03:36)《改行有》

99.  ダイヤルM 《ネタバレ》 主要人物3人が、結局全員悪いやつらっていう作品。ある意味とても新鮮でした。 妻を束縛して浮気されたからといって妻の不倫相手に妻殺しを依頼するスティーブンも悪人だし 夫が束縛するからといってほとんど罪悪感なしの様子で不倫三昧な金持ちのお調子者エイミーも悪人だし エイミーの事は好きだし最終的には録音テープ送付して誤解は解いたけど結局カネが一番っていう恋愛詐欺常習犯のデイヴィッドも悪人だし。 こういう悪人たちが、お互いを疑いあって、三つ巴の戦いを繰り広げて、結局誰が勝っても素直に喜べない構図だけど、とりあえず最後に勝ったラッキーな悪人はエイミーでしたなんていう、5億円の宝くじを当てちゃったのが親のすねをかじって生活しているニートでしたという状況にも似た理不尽かつ不条理なオチも 、誰もが納得できるような後味のいいオチを当たり前のように期待して見た自分にとっては、新しいスタイルとして新鮮でした。 活躍しそうで結局活躍しなかった刑事も、結局、アクの強いワルモノ3人衆が「問題は3人の間でケリつけるからお前はひっこんどれ」と言う事で、おずおずと本編から退場しちゃうスタイルも新鮮でした。 おそらくオリジナルがあまりに偉大なので、まっこう勝負でリメイクしても勝てっこないから、3人のワルモノどもの不条理な死闘を描くという方向に転換したのかもしれません。 MダグラスにGパルトロウ、そしてヴィゴという組み合わせはとてもスタイリッシュで、特にボロ服まとってもセクシーなヴィゴにはフェロモン大賞を授与したいと思います。[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-28 07:50:33)《改行有》

100.  ブリッジ・オブ・スパイ アメリカ映画といえば、アメリカによるアメリカのためのアメリカが正義として描かれるアメリカ映画が常である。しかしこの映画は、アメリカを完全な正義として描ききらないであることで成功しているのだ。 敵国のスパイなら情けも法律も関係ねぇ!という世論や裁判関係者も存在したことを描く。 太平洋戦争時の日本は「捕虜になる辱めを受けるなら自決せよ」という非情な教えを全国民にすりこませていたが、そんな<自国民の命より、こちらの情報が捕虜を通して敵国にもれないことのほうが優先>という当時の日本のポリシーと変わりのない、自決用の1ドルコインをスパイ飛行士に持たせていた事も、包み隠さず描く。 橋の上での捕虜交換時も、アベルが「引き渡されたあと、自国の関係者に片寄せ抱き合ってもらえるか、あるいは黙って後部座席に座らせられるか」という話をしていて、それはつまり肩を抱かれれば”信用”、黙って乗車させられたら”不信”ということだという意味なのだが、ソ連側関係者はアベルを黙ってクルマに乗せたのに対して、アメリカ関係者はパワーズを笑顔で抱き寄せて”信用”のフリをしながら、実際飛行機に乗せたあとは、パワーズを全員が完全シカトというアメリカ関係者の裏表の表情も、サラリと描く。 そんなふうにアメリカのダークな部分も包み隠さず描くことで、ドノヴァンという”アメリカの良心”をより際立たせているのが本作だ。 そして私は本作を「シンドラーのリスト」「リンカーン」と並び、スピルバーグの描く伝記映画としてとらえたい。「ブリッジオブスパイ」は、スパイの仲介者という意味であり、それはそのまま、ドノヴァンのことである。タイトルをあえて「ドノヴァン」にしなかったあたりは、彼がシンドラーやリンカーンほど世界でよく知られた歴史上の人物ではないからかもしれない。だがこの映画を通じて、ドノヴァンはアメリカの良心、アメリカの正義として世界に広く認知されることになった。[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-26 22:41:31)《改行有》

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