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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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981.  ザ・ビーチ(2000) 《ネタバレ》 まったく面白くなかったのですが、かと言って駄作と切って捨てるほどの致命的な欠点も見つからず、相性の問題だったのかなぁという印象です。日常を捨ててどこか遠くへ行きたいという願望は私にはないためストーリーの根幹部分に共感できなかったのですが、そのような願望を持つ人ならばこの映画の感想も大きく変わるのかもしれません。。。主役であるビーチがそれほど魅力的ではなかったために、本作は楽園願望のない私のような人間を取り込むことができなかったようです。映画会社も作品の成功はビーチの出来にかかっていることは認識していたようで、巨費を投じてリゾート島を改造し、撮影監督にはダリウス・コンジを起用して盤石の態勢でのぞんでいます。その甲斐あって白い砂浜に透き通った海は確かに美しかったのですが、その海は周囲をグルっと岩で囲まれて広さがないため、南の島ならではの開放感がありません。ビーチでの生活は、共同体を維持するための簡単な作業を1日数時間程度こなし、残りの時間は仲間とスポーツをしたりゲームをしたりして過ごすのですが、1週間もすればこんな生活には飽きるでしょう。ビーチでの生活を魅力的に見せるためには、隔絶された楽園ならではの楽しみ、文明社会ではモラル的に許されない娯楽を謳歌するという毒々しい面が必要だったのですが、メインの娯楽がスポーツでは健全すぎました。ビーチの住民達は毎日毎日楽しそうにビーチバレーをやっているのですが、現実の若者がそんな生活で満足できるでしょうか?監督の中の若者像はあまりに幼いような気がします。。。ディカプリオ演じるリチャードは、後半になると命を危険に晒すという遊びに没頭しはじめます。そんな危険の味を覚えると、ビーチで遊んでいた日々には魅力を覚えなくなる。そうなると自分は強い人間に成長したような感覚を覚えるのですが、ラストは呆気ないものでした。島に住む大人達が「もう遊びは終わりにしろ!」と怒鳴り込んできて、生活を背負った大人の迫力には勝てずにすごすごと退散してしまうのです。遊んで暮らせる楽園なんてものはないし、ムリヤリ作ったとしてもそんなものの存在は許されるわけがない。どこかに理想郷があると思って旅をしている若者はさっさと日常に帰れと言っているような面白い結論だったのですが、残念なことに脚本や演出が必要以上にゴテゴテしていて言いたいことがあまり伝わってきませんでした。[DVD(字幕)] 3点(2010-09-08 18:45:43)(良:1票)

982.  ミーン・ストリート デ・ニーロの演技がはじめて評価された作品であり、かつデ・ニーロとスコセッシの最強タッグによる初の作品(それまでのデ・ニーロは、デ・パルマと仲良くやっていた)。登場人物達による意味のない会話や監督の好きな音楽がひっきりなしに流れるという演出は明らかにタランティーノに影響を与えており、映画史における本作の重要性はよく理解できます。しかし「面白かったか?」と言われると”No”で、鑑賞中に何度も時計を確認し、「あと1時間もあるのか」などと考えていたほど退屈した映画でもあります。マジメに働きもせず借金を重ねる親友の面倒を見ているうちに大変な目に遭うというだけの物語なのですが、この本筋に入るまでがまぁ長くて、はっきりとした物語も提示されないままひたすら登場人物達の意味のない会話を見ることは正直つらかったです。この題材で2時間弱という上映時間は長すぎで、もっとコンパクトにまとめてくれた方が見やすかったでしょう。[DVD(字幕)] 3点(2010-08-01 20:28:57)

983.  パトリオット・ゲーム 序盤は素晴らしかったんですよ。余計な説明をテキパキと片付け、一気に襲撃へと持って行くテンポの良さ。主演がアレック・ボールドウィンからハリソン・フォードにグレードアップしたことで画面に華が出たし、初の大作に抜擢されたショーン・ビーンも、登場した瞬間に悪のカリスマとしての魅力をムンムンに漂わせます。しかし、本筋に入ると物語は一気に失速し、最後までダメダメなままでした。最大の問題は、テロリストの行動や警察の対応の描写があまりに雑だったことです。ロイヤル・ファミリーの一員を狙い、殺す寸前までいった重要犯罪人がいとも簡単に脱走してしまうわ、楽々と国外へ脱出し、平然とアメリカに入国できてしまうわというお手軽さ。そして、元CIAにして海軍兵学校の教官にして、ロイヤルファミリーを救った英雄として新聞の一面を飾った重要人物であるライアンに難なく接近してしまえる身の軽さ。ジャック・ライアンシリーズに求められることは知的さの延長にあるアクションなのですが、肝心の論理の部分があまりに雑すぎます。原作を有する作品においては、生身の役者に演じさせ、時間軸などがより立体的に伝わる媒体にシフトした結果として、本で読む分には感じなかった不自然さや論理の不整合性などが往々にして生じるものです。それをうまく料理するのが脚本家や監督の仕事なのですが、本作はそうした映画向けの補強作業を怠っているため、ご都合主義が横行する雑なアクション映画に終わっています。それに加えて見せ場の作り方もイマイチで、ホームパーティーを襲われるラストのアクションなどは、見づらいし、つまらないし、無駄に長いしと良いとこなしでした。一方、中盤において特殊部隊が砂漠のアジトに襲撃をかけるシーンこそがジャック・ライアンに期待される見せ場だったのですが、こういうものに限ってほとんど盛り上げずにスルーしてしまうという選択のまずさ。これは完全に失敗作です。不思議なことは、当時無名だったフィリップ・ノイスが、ヒット作「レッド・オクトーバーを追え」の続編をなぜ任されることになったのか?そして本作を失敗させたにも関わらず、なぜ「今そこにある危機」で続投できたのか?トム・クランシーは「せっかくの原作をB級アクションにしやがった」と嫌っているようですが。[DVD(字幕)] 3点(2010-02-06 21:29:49)

984.  デアデビル 《ネタバレ》 「X-MEN」「スパイダーマン」の予想を超える大ヒットを受けて急ごしらえで作られた作品だけあって(公開日が決まった時、製作開始のアナウンスからあまりに間を開けず完成したため「もう出来たの?」と驚いた記憶があります)、実に浅い作りとなっています。レーダーセンスの映像表現は美しいもののそれ以外に特に誉めるべきものがなく、数あるアメコミ実写化作品の中でも最低クラスの完成度と言えるでしょう。父親を殺されたマードック少年の怒り、善を名乗りながら人を殺すことの葛藤、素顔では愛し合いながら仮面をかぶると敵同士となるエレクトラとの関係などアメコミにありがちな要素てんこ盛りなのですが、そのどれもが中途半端で消化不良を起こしています。短い上映時間の中で原作にあった多くの要素を詰め込んでしまったため、すべてのイベントが軽く、印象に残らないものとなっているのです。エレクトラの扱いなどは特にひどいもので、父親の仇がデアデビルだと誤解しひと波乱起きるかと思いきや、デアデビルの正体が恋人マードックだと知った途端に誤解が解けてしまうというお手軽さ。新聞記者も何のためにいるのか不明であり、彼の登場シーンは丸ごと割愛してもよかったように思います。ハリウッドの川合俊一ことベン・アフレックもアメコミの主人公には合っていません。体が大きく動きが鈍重であるため、夜の街を飛び回る身の軽さが感じられないのです。キングピンとの最後の戦いに至っては、大きな人ともっと大きな人のただのどつきあい、アメコミヒーローの戦いではありませんでした。キングピンと決着をつけず、ブルズアイも生かしておき、エレクトラの生存も匂わせるという、ヒットしたら続編作るよ!という制作陣の腰の引けた姿勢もグダグダで、さすがにこんないい加減なものは評価できません。[DVD(吹替)] 3点(2009-09-12 00:10:49)(良:1票)

985.  北京のふたり 《ネタバレ》 私は中国の司法制度に詳しくないのでこの映画がどこまでリアルなのかはわかりませんが、とりあえず中国をバカにして作ってることはわかりました。拘置所という国家の施設で、将軍の娘殺害容疑がかかっているアメリカ人が襲われる(ギアを殺すことが目的なのに凶器を持って来ず、回し蹴りで殺そうとする世界一間抜けな殺し屋)、殺人容疑者と弁護士が打ち合わせをする場所が弁護士の自宅、中国の法廷なのに英語で熱弁を振るう弁護士等々、どう考えてもおかしなことが目白押しです。異国の理不尽な法廷に突如放り込まれたらという面白くなりそうなネタを扱っているにも関わらず、細かい部分があまりに杜撰で都合よく作られているため、中国を下に見た適当な映画にしかなっていません。中国人にとっては気分の良くない題材なのですから、せめて細部にまでこだわってウソは極力入れないという製作側の良心は必要だったと思います。法廷ものとしても、容疑者とその弁護士が何度も命を狙われるという大変なことが起こっているのにそれが裁判に影響を与えない、検察側の主張が一切描かれない、ラストは状況証拠とその場で飛躍していく推理のみで片がついてしまうという、かなり強引なものとなっています。論理を戦わせるという裁判ものの醍醐味をすっかり放棄してしまっているのが残念なところです。また、ドラマ部分も的を射ておらず、最悪の国選弁護人しか付かないと言われたこの裁判の弁護を、なぜ有能なバイ・リンが引き受けたのかというそもそもの部分がまずスッキリしないし、彼女がキャリアを捨ててまでこの事件に挑む理由づけも不十分です。一度は米大使館に逃れたギアが、バイ・リンのために再び中国の土を踏む心変わりも唐突。追い込まれた現場で突然心情の吐露をはじめるハリウッドお決まりの臭い展開には笑うしかありません。結果、リチャード・ギアのブリーフしか印象に残らない作品となりました。[DVD(字幕)] 3点(2009-06-06 13:23:23)

986.  トランスフォーマー 子供の頃に大好きだったトランスフォーマーがハリウッドでまさかの実写化!しかもマイケル・ベイ&スピルバーグ!全世界ですさまじい大ヒット!公開日を指折り数えるほど期待しつつ見に行ったのですが、ここまでつまらないとはと愕然としました。正体不明のヘリがロボットに変形し、突如カタールの米軍基地を襲うイントロは最高。また冴えない主人公のために愛車(実はトランスフォーマー)がお節介を焼く前半部分もほほえましく、最初の1時間は本当に楽しめました。「宇宙戦争」や「ET」の良いところを合わせた感じで、スピルバーグの味がよく出ているなと。しかし話のテンションを上げていかねばならない中盤以降になってもくだらないギャグは止まらず、ダラダラと緊張感のない展開に辟易。マイケル・ベイ印のアクションは毎度音だけはデカイものの、細かいカット割りで訳が分からず。キャラクター物って、立ち姿やファイティングポーズをこれでもかとかっこよく見せてあげるのが大事だと思うのですが、その美学が完全に抜けていました。またトランスフォーマー達に個性がないのも重大な欠点。アニメのトランスフォーマーがヒットしたのは、それぞれのロボットに個性があったことです。トランスフォームする前の乗り物やアイテムに沿った性格付けがなされ、トランスフォーム後もアイテムの特性を引き継いだ強み・弱みがありました。また同じような強みを持つ個体が敵の集団にもいて、各キャラクターにライバルがいました。このようにキャラクターが面白いことで話も面白くなっていたのですが、今回の実写版ではどのキャラクターも同じようなデザインでオプティマス・プライム以外はほとんど判別がつかず、一応性格や特技の設定は設けられていたものの、いざバトルに突入してもその特技が活かされることがまったくないという状態。否定的な意見はもっぱらマイケル・ベイに向けられているようですが、この実写版はトランスフォーマーへのそもそもの理解の部分で失敗しているように思います。アニメではあれほど強烈だったスタースクリームの個性がなくなっていたり、メガトロンをあっけなく殺してしまったり(しかも人間の手で)と、オリジナルが好きな人が作ったとは思えない部分が多々ありましたし。[映画館(字幕)] 3点(2007-09-08 19:11:56)(良:1票)

987.  ポセイドン(2006) 《ネタバレ》 ペーターゼンは「パーフェクト・ストーム」にて人間ドラマとスペクタクルのハイブリッドをやろうとして失敗したためか、本作においてはドラマ部分をコンパクトに納め、スペクタクルのみを特化させた形にしています。一方オリジナルは、ドラマとアクションが相互補完的な関係となる構造をとっていました。登場人物に感情移入するからこそアクションが盛り上がり、状況が逼迫するほどにドラマが深まっていく。リメイクにあたっては、そのオリジナルからドラマをスッパリ落としてしまったというわけです。そんな軽い作りでは面白くなるわけがありません。。。本作はドラマが薄いばかりか、理解に苦しむ展開が多々あります。例えば、カート・ラッセル演じるラムジーは、転覆直後において別フロアーにいる娘の様子を見に行きたいと船長に言いますが、船長は「各自が勝手な行動をとると混乱状態となるから、この部屋から動かないでくれ」と言います。ラムジーはこれに反対してサバイバルグループに参加することとなるのですが、物語の進行上、この場面では船長の言うことが間違っていて、ラムジーの願いに観客が賛同するという形にせねばならないはず。しかし、これをどう聞いても船長の言い分が正しく、元消防隊員にしてNY市長まで務めたラムジーはなぜこの理屈を理解できないのか、ワガママなだけじゃないかという印象しか持てません。この後、ラムジーはジョシュ・ルーカス演じるディランの提示するプランに従うことにするのですが、この場合、こいつは信用できる男なのか、船や災害についての知識を持った上で言っているのかを確認しようとするでしょ、普通。しかしラムジーは彼が何者なのかを確認することもなく、生死を分ける決断を実に安易に下してしまいます。また、ラムジーの娘は何らかの理由で父親を敬遠していて、この親子の和解が物語の横軸になるのかと思いきや、父親を敬遠する理由が最後まで説明されないという理解に苦しむ展開まで。謎の構成はまだあります。リチャード・ドレイファス演じるネルソンは、足にしがみついたバレンタインを蹴落として自分の命を守るという苦渋の選択をします。その後、彼が親しくなった女性が実はバレンタインの恋人だったという因果な展開を迎えるのですが、バレンタインの死が二人の関係にまったく影響を与えないという意味不明なことに。この脚本は一体どういうつもりで書かれたのか理解に苦しみます。[DVD(吹替)] 3点(2006-10-22 13:02:28)(良:2票)

988.  ワールド・トレード・センター 9.11という大テーマを扱ってる割に得るものや感じるものがまったくなく、アメリカにとっても世界にとっても重大だったこの事件をテレビ並みの安っぽいドラマで描かれてもなぁって感じです。この映画は突然の脅威に見舞われた普通の人たちの驚きや悲しみ、そしてその恐怖を乗り越えて果敢に立ち向かうことの勇気を描こうとしたのでしょうが(いかにもアメリカ人の好みそうな図式です)、残念ながらそうした熱い感情を伝えるような出来ではありませんでした。職務のために身を犠牲にした主人公達の人となりや言動は、事件後さまざまなメディアで取り上げられ、美化されてきたニューヨークの勇気ある公務員そのもの。それ以上でもそれ以下でもないので、この映画固有の登場人物としての深みはほとんど感じられません。港湾警察が「本当か?」と思うほど多彩な人種でバランス良く構成されていたのもなんだかいやらしかったし。また主人公家族の葛藤も本当にありきたりで演出のレベルも高くなく、「炎のメモリアル」や「ワンス・アンド・フォーエバー」といったさほど完成度の高くない過去の作品と同程度のものしか見せてくれません。9.11というテーマがテーマだけに勝手に脚色できない、娯楽作として面白く作りすぎると不謹慎ととられる、それでいてアメリカ人の中にある9.11物語にかなった話にせねばならない等大きな制約がいくつもあったことは推測できます。日本において戦争映画を作ると、必ずと言っていいほど反戦平和を前提にしたつまらない映画ばかり出来てしまうのと同じ現象がここでも起こったのでしょう。しかしこれをよりによって元ハリウッドの問題児オリバー・ストーンが撮ったというのがおもしろい。思想を揺さぶるような映画を得意していた彼がまさかこんな飼い慣らされた映画を撮ってしまうだなんて。しかも一方では、批判にさらされることを覚悟の上でハリウッド歴の短い気鋭の監督が大胆に撮りあげた「ユナイテッド93」があるのですから、人って歳がいくと丸くなるんだなと、妙なところで納得してしまいました。[映画館(字幕)] 3点(2006-10-13 22:02:36)(良:1票)

989.  パニッシャー(2004) 《ネタバレ》 ジュマンジ、ダイハード3、アルマゲドンと偏差値の低い脚本を書き続けてきたジョナサン・ヘンズリーという人物の初監督作だそうですが、今まで以上に適当でぬるい腰砕け映画でした。私がここ数年見た映画の中でもっとも変な映画かもしれません。大手スタジオ&一流プロデューサーが作った大作とは到底思えない出来で、低予算だったドルフ・ラングレン版の方がずっと筋が通っており、完成度も高いです。復讐アクションというこれ以上わかりやすいものもないってくらい単刀直入な話なのに、主人公への共感がほとんどできないという奇跡をこの映画は成し遂げています。目の前で一族郎党皆殺しにされ怒りに燃える主人公ですが、その復讐は夜な夜な尾行とイタ電を繰り返し、浮気をでっち上げるというすさまじい手口。ボロアパートを勝手にパニッシャー基地にリフォームし、車もパニッシャー仕様にわざわざ改造したにも関わらず、復讐の基本が「嫌がらせ」というのはあんまりでは・・・。その間にはビルからトラボルタの金をまいたり、アパートの隣人とのほのぼのエピソードがあったり、コントとしか思えない味のある刺客が現れたりで、この映画が一体何をしたいのかがわからなくなってきます。家族を殺された者同士の復讐というハードな設定にも関わらず、バイオレンスをせずにヘンテコなエピソードばかり盛り込んでくるので、作り手の意図がまったく見えてこないんですね。「これはコメディをやってんのか?」と錯覚してしまったほどです。前半で寝返らせたチンピラがほとんど話に絡んで来ないという謎もあるし。しかし、クライマックスは突然凄惨なムードに突入してまたビックリ。パニッシャーによってでっちあげられた事実無根の浮気疑惑で殺されてしまう部下&奥さんがかわいそうでした。トラボルタの最期も悲惨なもので、無力なトラボルタを車で引きずって爆破という実に陰惨な殺し方をします(ちょっとお笑いウルトラクイズ入ってますが)。こういうのって、パニッシャーとトラボルタがさしで対決して、お互いに怒りをぶちまけながら最後は正義が勝つというのが普通のパターンだと思うんですが、これほど後味の悪い仕置きってのも珍しいと思います。そうやって汚い手口ばかり使うパニッシャーですが、ラストでは「世の中の悪いやつは俺が成敗するからな」とひとりで決意します。こんなアブナイ人に好き放題振る舞われたら世の中が迷惑しますから。[DVD(吹替)] 3点(2006-09-30 19:01:39)(笑:1票)

990.  ゴジラ FINAL WARS こりゃヒデェ映画ですね。「じゃあ、ゴジラシリーズで他に面白いのがいくつある?」と聞かれれば、「そう言われれば、映画として本当によかったのは第1作とビオランテぐらいかもなぁ」なんて答えてしまいそうですが、この映画はそんな程度の問題ではありません。怪獣映画に対するリスペクトがまったくないんですから。ゴジラシリーズの最大の魅力といえば、無邪気な破壊衝動を満たしてくれることにあります。人間って生き物は、ものが破壊される映像を見るのが大好きなんですね。そしてゴジラの前では、観客は素直にその破壊を楽しむことができるんです。実はこれってすごいことですよ。ハリウッドのディザスター映画だろうがガメラだろうが、映画における大量破壊にはそれなりの理由や辻褄合わせが必要となりますが、ゴジラに関してはそれを必要としないんですから。これこそ、ゴジラが半世紀も愛され続けた最大の理由だと思います。そこにきて「ファイナル・ウォーズ」ですが、そのことがまったくわかっていません。観客はひたすら怪獣のバトルを見たいのに、ここでは人間同士のどうでもいいアクションが主体となってるわけですよ。「ファイナル・ウォーズ」とはゴジラにとっての最終戦争ではなく、人間にとっての最終戦争のことだったようです。しかもそのアクションの出来がいいのかと言えば、日曜の朝にやってる特撮ヒーローとさほど違ったレベルではないし。そこまで等身大アクションにこだわるなら、ミュータント=仮面ライダー、X星人=バルタン星人とでもして、とんでもないやけくそバトルにでもすればよかったんですよ。そして、この映画が旧作へのリスペクトを完全に欠いていることがわかるのが、幼星ゴラスから現れるのがシーボーズ似のモンスターXであることです。火の玉から現れる宇宙怪獣、さらにゴジラをも圧倒する最強怪獣といえば、もちろんそこではキングギドラを登場させるべきでしょ。ここでゴジラとキングギドラによる因縁の最終決戦がはじまれば、「これぞファイナルウォーズじゃん」と少しは納得できたかもしれません。とりあえず登場したカイザーギドラなんてダサダサだったし、キングギドラのような美しさがないので全然ダメです。まぁこの映画の唯一の価値といえば、長年顧みられることのなかったガイガンを復権させてくれたことにあります。とりあえず、ガイガンはカッコよかったです。3点はガイガンに捧げます。3点(2004-12-28 16:29:08)

991.  パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち ブラッカイマーはキャスティングに抜群のセンスを持つ人物ですが、本作でもそのセンスが如何なく発揮されています。ブルームとナイトレイの絵に描いたような美男美女ぶりはファンタジックな時代劇にピッタリだし、一方で物語を進めるのはデップとラッシュという演技の出来る俳優二人。この意外な組み合わせが素晴らしく効果をあげています。デップ本人すら気付いていなかったであろう一面を開花させ、オスカーノミネートまでさせた手腕はなかなかのものです。。。と、本作を評価できるのはここまで。肝心の中身はまったく楽しめませんでした。「海賊」や「呪い」を扱っている割に恐怖心や威圧感を抱かせず、薄っぺらなアクションと軽いセリフが143分という長丁場に渡って繰り広げられるのみ。「悪い海賊に追われる→捕まる→脱出」という展開を何度も繰り返すのですが、悪役である海賊が怖くないためチェイスに緊迫感が伴っていません。ファミリー映画であっても悪役は怖く演出すべきなのですが(ディズニーのアニメ作品でもやっていることです)、ファミリー映画に慣れていないブラッカイマーは徹底的に刺激を抑えた安心品質に仕上げるというミスを犯し、活劇としては致命的に締まりのない出来となっています。また、味方となる海賊の描き方も不十分。主人公達の船を動かすクルー程度の扱いとなっているのですが、海賊たる者、大海原を自由に駆け巡るロマンを体現した存在でなければなりません。驚いたのは中盤のチェイスで、ここは彼ら海賊の腕の見せ所だったはずなのですが、海についてはド素人のエリザベスやウィルからの指示によって動き、万策尽きると「良い作戦はないか?」とウィルに尋ねる始末。何を考えてこんな展開にしたのかと不思議でなりません。ラストの戦いにしても、洞窟の中ではジャックとウィルが戦い、外では良い海賊vs悪い海賊の大決戦が繰り広げられるべきなのですが、本作では「俺達じゃ勝てないから」と海賊達がそそくさと帰ってしまいます。海賊をテーマにしながら、海賊がまったく描けていないのです。また「呪い」の扱いもマズく、バルボッサ達が呪いに苦しむ描写がないため、戦いの目的がボケボケとなってしまっています。そもそも、悪い海賊が不死身の力を手にしようとする物語ならともかく、不死身の海賊がその力から解放されようとする物語では、ジャックやウィルは快く協力してやればいいじゃないかと思うのですが。[ブルーレイ(字幕)] 3点(2004-09-07 18:50:36)(良:1票)

992.  レディ・ヴァンパイア/淫夢伝説 アリッサさんが脱ぎまくる、それだけの映画です。「コマンドー」と同時上映にすれば、人生の摩訶不思議を傍観できます。モーニング娘。の誰かがVシネで脱ぎ要員になってたらショックでしょ。そんな感じです。3点(2004-07-14 12:39:44)(笑:1票)

993.  ダンテズ・ピーク 前半が異様に退屈で、やっと噴火がはじまる後半に大期待だったんですが、後半もつまらない・・・。あのばあさんとか、ガキどもとか、犬とか、車とか。あと、調査隊のリーダーが「遊星からの物体X」で頭から足が生えてた人だったので、画面に映るたびに笑ってしまいました。子供は勝手に車を運転してガンコばあさんを迎えに行くわけですけど、「もういい加減にしろ」って感じで、その後の災難が全部自業自得にしか思えないんですよね。「ブロブ宇宙からの不明物体」みたいに、子供のうちの片方を殺してしまえば盛り上がったんですけど。そういえば、プロデューサーのゲイル・アン・ハードってのはジェームズ・キャメロンの元妻、そんで主演のリンダ・ハミルトンは当時のジェームズ・キャメロンの奥さんでしょ。アメリカ人ってのはわかりませんわい。3点(2004-07-13 15:40:54)(良:1票)

994.  愛と哀しみの果て 美しい撮影や壮大なロケーションに支えられた重厚長大な時代劇。オスカーを獲るために作られたんじゃないかと思うようなザ・ハリウッドな作品であり、その思惑通りに同年のアカデミー賞では主要部門を独占したのですが、これが名物に旨い物なしみたいな仕上がりとなっています。 冒頭から確かに見ごたえはあるものの、まったく心に刺さらない時代劇がダラダラと長時間続くわけです。見ていることがここまで苦痛に感じる作品も久し振りであり、最後まで完走できた自分が誇らしくなりました。 あと、邦題がおかしくありませんか?確かに愛も哀しみもあったけど、それがすべての映画でもないような。[インターネット(吹替)] 2点(2018-03-24 03:12:16)《改行有》

995.  インデペンデンス・デイ: リサージェンス 《ネタバレ》 IMAX3Dにて鑑賞。 一足先に公開されたアメリカでは評価、売上ともに振るわなかったため、さほど期待せずに見たのですが、それでも落胆させられるほど酷い出来でした。ウィル・スミスは「5,000万ドルくれれば出るよ」なんて言って、まぁFOXが飲みようのない条件を出して本作への出演を辞退したわけですが、これは断られて当然の内容だったと思います。 舞台は前作から20年後。すなわち、映画の世界でも現実世界と同じ時間が経過しており、「もし1996年に宇宙人に襲われていたら、2016年はどのような世界になっていたか」というパラレルワールド的な楽しみのある設定なのですが、エメリッヒはそうした遊びを追求していません。前作で倒した宇宙人のテクノロジーを拝借して大気圏を飛び出す技術が進んだことと、武器が火薬からビームに変わったこと以外には特段の変化がないのです。あれだけショッキングな事件を経験したにも関わらず人々の意識はさほど変化していないし、がれきの山からの復興に人類は大変な苦労をしたはずなのに、そうした歴史をまるで感じさせられません。これではSF映画として失格でしょう。だいたい、大都市を狙い撃ちされて多くの人命を失ったにも関わらず、依然として大都市密集型の文明を継続しているとか、もうバカかと。 二度目の侵略が始まるかもしれないという前兆が見られ始めても人類のリアクションは少なく、パニック映画としても失格です。月に球体UFOが現れてもさほど驚くことなく、「撃ち落としたからよかったよかった。それよりも式典が大事」という素っ頓狂な反応を見せます。1996年に滅ぼされかけた経験は全人類にとってのトラウマになっているはずであり、20年ぶりのUFO再来は、人類は依然として宇宙戦争という宿命から逃れられていないことを想起させる重大事件だったはず。にも関わらず、それがアッサリと流されたことには大変な違和感を覚えました。 襲来してくるUFOは前作以上に巨大化しており、今回は大陸サイズのマザーシップが北半球をスッポリと覆ってしまいます。大きいことは良いことだというエメリッヒイズムもここに極まれりという感じですが、さすがにこれはやりすぎデカすぎ。そもそも資源の採取がこのエイリアン達の目的だったのに、これだけデカイUFOを作れるなら資源に全然困ってないだろと、根本的な部分でツッコミを入れたくなってしまいます。 第一波の攻撃を受けた後、敵の戦力をまともに分析せずすぐに大規模な反撃を仕掛けて貴重な残存兵力の大半を失うという、1996年と同じ失敗を今回も繰り返すアメリカ政府の大バカぶりには参ってしまいました。ま、エイリアン側も良い勝負のバカさ加減で、戦略的にまったく無価値なスクールバスを全力で追いかけるクィーンエイリアンの間抜けっぷりには呆れてしまいました。マザーシップを潰されるとシステム全体が停止するというバカ丸出しなエイリアンのシステムは今回も健在であり、だったらクィーンは絶対安全な場所に温存しておき、前線に行かせるのは兵隊アリだけにしておけよとか、アタッカーにコクピットがついている以上はパイロットが操縦しているはずなのに、クィーンを倒された瞬間にノーマットを焚かれた蚊の如くボトボトと墜落するのはおかしいだろとか、ツッコミどころ満載で見せ場にまるで集中できませんでした。 登場人物は増えているのですが、新規に追加されたキャラクターはことごとく魅力を欠いており、存在意義が不明なキャラクターまでいる始末。特に問題に感じたのは、クレジット上はトップに来るリアム・ヘムズワース演じるジェイクで、無鉄砲なエースパイロットという立ち位置は前作のヒラー大尉のポジションを引き継ぐものですが、本作にはもう一人の主人公としてヒラーの息子・ディランが登場する以上、ディランこそがその役割を担うべきでした。にも関わらずエースパイロットとしてジェイクが登場したことから、ディランとジェイクがお互いのポジションを食い合うという事態が生じているのです。立場の重複は他にも見られ、ホイットモア元大統領とオークン博士がエイリアンとの交信者役を同時にやっていたり、レヴィンソン博士とマルソー博士が共にエイリアンの計画を解き明かすブレーンのポジションにいたりと、無駄なキャラクターがやたらと目につきます。 本作を見ると、過不足なく揃えられたキャラクター達を通して地球侵略という大きな題材を破綻なくまとめてみせた前作が、いかによく出来た映画であったかがよく解ります。本作はさらなる続編を匂わせて終わりますが、さすがにもういいです。また、不自然な形で中国人キャストをねじ込んできたり、何の前触れもなく突然舞台が中国に移ったりといった、最近のハリウッド大作で頻繁に見られる中国ヨイショもいい加減にして欲しいと感じました。[映画館(字幕)] 2点(2016-07-09 01:07:40)(良:3票) 《改行有》

996.  ロンリエスト・プラネット 孤独な惑星 これは久々にえらいものを掴まされました。映画はいきなり始まっていきなり終わり、起承転結らしきものはありません。それどころか話らしい話もなく、辺境の国を旅する変わり者カップルと、彼らが現地で雇ったガイドが野山を歩く姿が延々と映し出されるのみ。ほとんどの場面が無言であり、たまに喋ったと思ったら本当にどうでもいい雑談ばかりで、あまりに実験的過ぎて呆気にとられます。作品の舞台が一体どこなのかということは終盤まで明かされないし、主人公達が一体何者であるかということも特に言及されません。ただ、そこで起こったことを切り取っただけの内容。映画がひたすらにリアリティを追求すれば、行き着くのはこの境地なのだろうという極北を体感することができます。おまけにこの映画、上映時間が妙に長い(113分)。90分程度でサクっと終わらせるのならともかく、わざわざ長めに作っている辺りが実にイヤらしいのです。もはやこれは監督と観客の根比べ、何も起こらない環境映像をどれだけ眺めていられるかという忍耐の勝負になってくるわけです。はっきり言います、この映画はまったく面白くありません。「面白さ」という尺度を意図的に放棄した企画なのだから、当然といえば当然なのですが。。。 救いは、演技や撮影、音響等のレベルが高いということです。優秀な技術スタッフの手腕によって中央アジアの大自然の美しさが見事に映し出されているし、俳優達のナチュラルな演技は風景の邪魔をしていません。環境映像と割り切ってしまえば、この映画は「あり」かもしれませんね。それにしても113分は長すぎですが。[DVD(字幕)] 2点(2013-06-16 00:23:11)《改行有》

997.  パーフェクト・スナイパー 規模が小さくとも良作への出演が多く、一般に信頼できる俳優とされているケヴィン・ベーコンと、アクション大作への出演が多いジャイモン・フンスーの共演作ということで、「傑作ではないが、それなりのレベルには達したB級アクションなのだろう」と思って鑑賞したのですが、これが超の付く程の駄作でした。バンコクを舞台にしたハリウッド映画といえば、ニコラス・ケイジ主演の脱力アクション『バンコック・デンジャラス』が思い浮かびますが、それをも下回る完成度でした。。。 本作の主人公はジャイモン・フンスー演じる殺し屋チャーチ、このキャラクターの設計に無理があり過ぎました。彼はバンコクを拠点とする殺し屋なのですが、アジア人の中にいるジャイモン・フンスーはあまりに目立ち過ぎ。殺しの腕前のみならず秘密の保持も要求される殺し屋稼業にはまったく向かない人物だと感じました。爆弾で標的を倒す冒頭が彼の登場場面となるのですが、目撃者が大勢いる中でバレバレの偽装工作をやるという頭の悪さも大きなマイナス。さらには、売春宿の現実を目の当たりにして大変なショックを受け、金や身の安全を度外視してでも売春組織を壊滅させようと躍起になるというメンタルの不安定さにも、殺し屋らしからぬものがありました。彼は自分探しの学生バックパッカーではなく、バンコクで活動する現役の殺し屋ですよ。裏稼業に生きる者であれば、売春宿の実態くらい知ってるのが当然でしょう。キャラ設定と話の内容がまったく噛み合っていません。。。 本作の監督を務めたのは、『マッハ!』で注目されたプラッチャヤー・ピンゲーオ。アジア人監督のハリウッド進出作としては異例な程の豪華キャストに恵まれたわけですが、発言権のほとんどない雇われ監督だったことがその実態のようです。東洋の神秘を履き違えたおかしなスピリチュアル描写があったり、仏教の力で主人公が一時的に無双状態になったりと、まともなアジア人ならば絶対に採用しないアイデアが目白押し。おまけに、タイにとっては国辱に近いほどの物語だし、これだけ意に反した内容の映画を撮らされたことが気の毒になったほどです。アクションの方も遠距離からの狙撃がメインであり、彼が得意とする肉体アクションはあまり登場せず。なぜこの企画にピンゲーオが雇われたのかと不思議になったほどです。[DVD(吹替)] 2点(2013-02-06 18:36:32)《改行有》

998.  D-TOX 同時期に製作されたレニー・ハーリンの『マインドハンター(公開は2005年だが、撮影されたのは2002年)』と似通った内容にして、『マインドハンター』を優に超える駄作ぶり。90分程度に絞られた上映時間にも関わらず観ているのが苦痛となる仕上がりであり、サスペンスアクションとしては最下層の完成度だと思います。。。 とにかくスタローンがミスキャスト。婚約者を惨殺されたFBI捜査官という役回りなのですが、撮影当時55歳のスタさんが目を輝かせながら婚約指輪を選ぶ場面や、彼女役のディナ・メイヤー(スタさんよりも22歳年下)とイチャイチャする場面の違和感は相当なものでした。これって30代の俳優が演じるべき役ですよね。婚約者を失って悲しみに暮れる場面ではスタさんの演技力不足がはっきりと表れており、憐みよりも笑いを誘ってしまっています。そもそもの問題として、これまで「うぉーっ!!」と叫びながら数百人の敵をなぎ倒してきたスタさんが、たった一人のシリアルキラーに翻弄される役を演じても説得力がないわけです。集客力の低下によって大規模アクションに出演できなくなり、代わって中・小規模のサスペンスアクションに活動の場を移さざるをえなくなった当時のスタさんの苦境が垣間見えています。。。 また、脚本・演出もかなり杜撰です。犯人がスタさんを逆恨みする背景の描写が致命的に不足しているし、その能力の高さやイカレっぷりもイマイチ伝わってきません。その結果、この程度の犯人に翻弄される警察側の無能ぶりばかりが際立つという事態に陥っています。警察側には個性派俳優を配置しているものの、描き分けができていないために「誰が」「何をやっているのか」の把握が極めて困難という有様。クリス・クリストファーソン、トム・ベレンジャー、ロバート・パトリック、スティーブン・ラング、一週間煮込んだ豚骨スープのような俳優をズラっと並べながらこの体たらくは、さすがに問題だと思います。[DVD(吹替)] 2点(2012-09-05 23:28:02)《改行有》

999.  パッセンジャーズ 《ネタバレ》 映画の前半、主人公クレアが姉に対してかけた電話が通じなかった時に、「まさか例の映画のあのオチか?」と悪い予感がしました。とはいえ本作はそこそこのスターが共演し、それなりのバジェットもかかっているハリウッド映画。10年も前の大ヒット作と同じオチをかましてくることはないだろう、これはミスディレクションで、もうひと捻りしてくるに違いないと思って最後まで鑑賞したのですが、なんとそのまんまのオチでした。過去の映画のオチをまんま引用し、観客はいまだにこのオチで騙されると思っていた製作陣の手抜きぶり、厚顔無恥ぶりには驚かされました。オチに至るまでの物語にもまるで面白みがなく、たった90分の映画であるにも関わらず、観ているのが苦痛で仕方ありませんでした。。。 本人オチ映画は90年代から00年代にかけて多く製作されましたが、その中でも評価の高かった作品はオチ以外のパートも十分に面白く、オチを知った上での繰り返しの鑑賞に耐えられる完成度を誇っていました。裏を返せば、映画としてのポテンシャルが高ければこそ、オチは衝撃的であることができるのです。この点、後発である本作が、なぜ過去の秀作から学ばなかったのかと不思議でなりません。 [DVD(吹替)] 2点(2012-01-11 23:16:49)(良:1票) 《改行有》

1000.  パンチドランク・ラブ ポール・トーマス・アンダーソンが稀代の天才監督であることは紛れもない事実なのですが、この映画には最悪なまでに退屈させられました。カンヌ映画祭で監督賞を獲った作品だけあって、技術的には見るべき点が多くあります。役者の演技はどれも良いし、ところどころ笑わせる場面もあるのですが、本筋のラブストーリーが分かったような分からないような話でまったく付いていけませんでした。主人公がどれほどの問題行動を起こしても彼を受け入れ続けるリナの心境が腑に落ちないし、そもそもリナとは何者なのかもよく分かりません。「恋愛とは感じるものだ、理屈ではない」という意図から敢えて説明を省略しているのでしょうが、だとしたら観客にもバリーやリナの心境を感じさせる演出を施すべきでした。「実験的」という言葉を免罪符に、監督はあらゆる説明を放棄しているように思います。説明不足といえば、冒頭の事故、置き去りにされたピアノ、主人公の青いスーツ等、思わせぶりに登場しながら結局何の伏線でもなかったという個々のアイテムの肩透かしにも参りました。面白そうなアイテムを思いつくままにぶちまけて後片付けなしというのはストーリーテラーとして失格でしょう。シュールな物語にパズルのピースを巧妙に忍ばせるデビッド・リンチの技を学んでいただきたいところです。[DVD(吹替)] 2点(2011-05-29 22:32:36)

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