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161.  ニーチェの馬 《ネタバレ》 ラシドミドシ、ラシドミドシといううねりに乗ってド~~シ~~ラ~~と下降するモチーフが否応なく陰気。息を切らせる馬の映像とあいまって、もう映画のトーンが定まる冒頭。前作『倫敦から来た男』では、話の内容とスタイルが合ってない、という不満を持ったが、本作は合い過ぎるほど合った。中風の後遺症か、右手の不自由な父とかしずく娘、老いた馬、荒天の外を窓から眺めるのが日課の日々。やがて馬は病み、井戸は涸れ、ここを離れようとしてもなぜか戻ってしまい(単に行くあてがないことを映像で表現したのかもしれないが、そう思いたい)、どうもここらあたりから何かが起こり始めている。ランプの火が消え、灯そうとしても着かない。娘は「何が起きてるの」と呟く。外の風は止むのだが、娘は馬が食べるのを止めたようにじゃが芋を食べず、「食わねばならん」と言っていた父もじゃが芋を食べる手を止め、静かにフェイドアウト。何かが起きている。人生を放擲してしまうまでの無力感なのか、もっと宗教的な終末観なのか。この終盤の「何かが片付きつつある感じ」はホラーに近い。この家族の絶望だったのかもしれないが、もっと大きなレベルでの推移だったと思いたい。日常を包む大きな世界を垣間見た気にさせる映画だった。[DVD(字幕)] 7点(2013-05-04 09:15:56)

162.  ライトスタッフ 科学の先端での「職人気質」を賞揚する。人間臭さの連帯感みたいなこと。最後のドンチャン騒ぎのバーベキューパーティで最も優れたパイロットの名を言いかけて、あとはマスコミ向けのジョークに変えてしまう。副大統領に会わないグレン夫人をめぐるゴタゴタで一致団結する。この「誇り高い職人たち」を、夫人たち女の理論がさらに対象化して笑えればもっと良かったんだけど。室内がやたら暗いのは、青空の勇気の世界と対照させているのか。瑣末なエピソードの堆積こそが歴史である、という考え方。出来事を全体で捉えようとする。宇宙ものはSFと決まっていたのに、本作あたりから「歴史」になった。へー、これアカデミー作曲賞とってんのか。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲もどきで、宇宙に出ると「惑星」の火星や木星が鳴って、かなり安易と思ったが。[映画館(字幕)] 7点(2013-04-30 09:27:28)

163.  ハドソン・ホーク とりわけ前半がいい。「快盗」もの、っていうか。ニンテンドー? それは何? と塀の外とズレた男。最初の盗みがいいの。歌に合わせて時間を計るというアイデアが抜群で、ブルース・ウィリスとダニー・アイエロがほとんどミュージカルのノリで画面とシンクロさせてやってくれちゃう。監視ビデオの絡め方もよく、飛び降りたところで次のシーンに繋げちゃう荒業。高速道路を思わぬ車で疾走したりいろいろ楽しいが、イタリアに移ってからちょっと落ちるか。それとアンディ・マクダウェルってのがもひとつ面白味に欠ける女優さんで。なかなかいいコンビだったが、シリーズものにはならず、そのかわりラジー賞を獲得した。主人公がカプチーノにありつけるまでの話なわけ。[映画館(字幕)] 7点(2013-04-16 09:29:03)

164.  愚なる妻 シュトロハイムが自信持ってるなあ、という表情って分かる。ヨーロッパの表現主義を引きずってる。たとえば空涙を流して手の陰で目を光らせてるとことか、鏡で女を盗み見るとことか、きっとああいうとこに自信があったんだと思う。今から見るとクサいんだけど、でもこういうヨーロッパ風・悪の粘着的魅力ってのが新鮮だったに違いない、アメリカでは。そこらへんの「アメリカに渡ったヨーロッパ人の映画」ってことの表現のあれこれに興味は湧くが、現在残っているフィルムで(オリジナルから見ればほとんど断片)何か言ってはいけないような気もする。セットと知らなければそれほどお金掛けてる映画に見えません。[映画館(字幕)] 7点(2013-03-05 09:18:13)

165.  アリス(1990) おばさんのアリスにとっても、この世は不思議の国。カメラはいつものニクヴィストではないが、室内の光線などタッチは似てる(冒頭の室内の長回し、奥深い廊下)。現実は退屈だけど、それを覆す形式として「不思議」というものが必要になってしまう。浮気をするにも、媚薬の調合にラ・クンパルシータのBGMで促されなければならない。テレビドラマの作家になる才能もなく、自力で浮気をする勇気もなく、でもカトリック少女だった夢が、ラストで生きてくる。マザー・テレサになるんだ、カルカッタだ、って。秋の動物園、記憶の中の実家、家の前に懺悔室があって、ここらへんの秋の雰囲気が美しかった。常に平均点以上の作品を作ってるんだけど、なんかこのころから、新展開の驚きのない枠が窮屈に感じられ出した。この退屈世界では吹っ飛んだところまでいかないと、手応えを得るのは難しいよ、あたしたち現実のニューヨーカーには難しいでしょ、って嘲ってるようなところもあり。[映画館(字幕)] 7点(2013-02-12 09:54:55)

166.  オール・ザ・キングスメン(1949) 《ネタバレ》 アメリカという国は、何度も何度も「民主主義とは何ぞや」と問い返していて、それに敬服。ソ連は共産革命の賛歌を歌うのにばかり熱心で、同じような試行錯誤をやらなかった。本作は『スミス都へ行く』の、もう一つの結末という感じがする。ああ真っ直ぐに歌い上げられないから、映画としての満足感は劣るが、立派な作品です。いかにもアメリカ南部の農民という顔、アメリカの純朴そのものである顔が、そのままゴリゴリの保守主義者の顔でもある、ということ。後半の群衆の恐ろしさは、映画ならではのもので、あれも『スミス』の裏返しのようにつながっている。テロリズムに共感を寄せてしまうような結末で、考えてみればちょっと怖いんだけども。[映画館(字幕)] 7点(2013-02-08 10:05:17)

167.  モダン・タイムス 工場でチャップリンはその歯車の一つになろうと懸命に格闘するが、ノイローゼとなった結果意図せずサボタージュ扇動者となってしまう。さらに路上で赤旗振ってると思われ、逮捕される。この時代を政治的にハッキリ描いたメジャーなアメリカ映画は、30年代半ばの段階では少ないのではないか。富の偏りがあり、昼のデパートは金持ちに開放され、夜のデパートはやっと職を得た失業者と泥棒の世界となる。この夜のデパートの解放感がいい。ローラースケートで移動する滑らかさ、それは危険と隣り合わせだが、束の間の開放を味わわせてくれる。昼の工場と夜のデパート、近代が作り上げた二つの場所が対比されていたと思う。デパートのエスカレーターは、工場で主任を運び上げてしまったベルトコンベアーを思わせもするのだけど。本作からチャップリン作品は芸を見せる映画より、時代と戦う「言いたいこと」を言う映画になる。後世の私はそれをちょっと残念だとは思うが、その時代での勇気をこそ称えるべきだろう。[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-01-26 09:39:56)

168.  白い恐怖(1945) G・ペックがひげ剃ろうとするクリームのドロッとした白を見せるとこから次々に白が襲ってきて、教授がミルクをとりにいくシーンを経て、ついにカメラがコップのミルクにふさがれるまで、ここはもうまさにヒッチコックでしたなあ。具体性ということか。テーブルクロスの筋のように、恐怖の対象が極めて具体的にそこにあるの。なんでもないはずのものが、ヒッチに指摘されることによって恐怖の対象になる。彼と深層心理学って、何か結びつかない気がしない? ヒッチの明晰さと、心理学の晦渋さ・曖昧さ。はっきり指させる恐怖と、どうとでも言いつくろえそうな解釈の世界。それが補い合ってるから面白いのかな? 私が観たフィルムの字幕は、後ろの画面が白いとほとんど読めなくて(昔はこういうの多かったんです)、白の恐怖であった。[映画館(字幕)] 7点(2012-12-11 10:26:20)(良:1票)

169.  氷壁の女 少女のやや異常な成長物語。身内の人間に男を見てしまった少女が、そこから巣立っていくまでのいささか精神病理学的な物語なんだけど、そういうのにありがちな異常の押し付けがましさや大袈裟なシーンを伏せ、淡々と進めていくところが巨匠の上品なとこ。氷の中に封じ込められてしまった死体が、幼時の叔父への憧れが凍りついてしまった女性と重なっていく。それが次第に融けていくストーリーで、外の世界=ガイドの男も絡んで、視線のドラマが堪能できた。人物には脇や背後から光が当てられ“ワケアリ”の翳りを出している。ヒロインの笑顔が微妙に曇っていいんだな。これ最初はモノクロで撮りたかったそうだが、氷河の内側のトロッとした緑を出せただけでもカラーにした甲斐があったんじゃないか。少女時代の憧れが心の底にまだ光りヌメッてる感じ。ケイトの側のドラマは丁寧に描かれてるんだけど、叔父さんの側がちょっと弱いか。[映画館(字幕)] 7点(2012-12-09 09:33:05)

170.  スパルタカス(1960) これはキューブリック、企画にも脚本にも絡んでないのね。だから「見物される闘い」が出てきたからって偶然なんだろうが、『非情の罠』のボクシングや『時計じかけのオレンジ』のラストとか、『バリー・リンドン』でも軍隊で拳闘試合あったし、好みのモチーフというか、創作欲を刺激されるシチュエーションかと思われ、彼の脚本だと都合がいいんだけどなあ。屈辱感と残酷さと。武闘訓練のしつこさは『フルメタル・ジャケット』につながると思えるじゃないか。戦士を選ぶ女たちが柵の向こうから値踏みしているところをじっくり撮り続ける粘っこさ。やはり「見物される闘い」への執着を思ってしまう。前半の反抗への下準備のあたりが丁寧で映画として充実して感じられる部分。トニー・カーチスとの闘いが、心理的なヤマ場になる。闘わせられる者の屈辱と栄光、ああやっぱりこれ彼のモチーフなんだけどなあ。[映画館(字幕)] 7点(2012-11-23 10:11:00)

171.  リオ・グランデの砦 最初のほう、せがれが入隊してきていることを知らせる過不足のない語り口に、うまいなあ、と唸らされ、ローマ式馬術だっけ、二頭の馬に立って走り柵を越えるささやかなスペクタクルで眼も楽しませ、こっちの観賞気分はかなり合ってきてたんだけど、中盤がどうもうまくない。向こうのせいなのかこっちのせいなのか、連隊付きのコーラスがやたら歌ったりすると気が抜け(向こうのせい)、またこの夫婦、なんか南北戦争時のこだわりをひきずってるようで(?)、そこらへんの味わいはよく分からない(こっちのせい)。全体馬のシーンはすべていい。火で興奮し暴れ、柵を躍り越えたり、疾走シーンはもちろん、倒した馬を楯にしての銃撃もある。鐘を鳴らす少女のカットも効果的。だが、こういうこと意識するのは野暮だとは思うんだけど、やっぱインディアンを悪役と割り切って観続けることは出来ず、しばしば活劇の途中で気分を冷まされてしまう。映画を観るときはとりあえず作品の枠組みを全面的に肯定して観る、と決めていて、昔の国策映画のときは出来るだけ当時の愛国的国民になって観たりするんだけど、西部劇では白人になりきれない。気を抜くとつい侵略されたインディアンの側に回ってしまっている。困ったものだ。子どもをさらうような分かりやすい悪に設定してくれているんだけどね。(撮影当時の先住民にとっては西部劇のエキストラ出演料が貴重な現金収入だったそうで、世の中は複雑だ)[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-11-20 10:12:16)

172.  ロイドの人気者 アメリカの最も良質の理想主義がある。チャップリンやキートンは最初から普遍性を持っているが、ロイドは「アメリカ的」ということを突き詰めて普遍性に至ったよう。上級生たちの残酷さに気づかぬロイド、状況を知らずに有頂天になっているロイド、しかしわずかのチャンスを生かして栄光に至る。アメリカではすべての人にチャンスが与えられているはずだ、というあの国の自負と、しかしそのチャンスを生かすのはおまえ自身だぞ、というあの国の教訓。個人主義の国の良さと厳しさ。仮縫いのままのパーティなど笑った。タップはやがて小津が真似するのではないか。ラストの試合が思ったほどじゃなかったけど、キックした球が風船と混ざって分からなくなっちゃうのがおかしい。自分が馬鹿にされていたと知ったときのあたりは、ホロッとさせられた。やっぱり人間努力だ。[映画館(字幕)] 7点(2012-11-11 09:52:48)

173.  ジャングル・フィーバー この監督の面白さはホームドラマにあるのかも知れない。一組の男女から、しだいにそれぞれの背景、家族から民族まで広がっていくドラマを、会話で綴っていく。「わだかまり」の根本を見詰めようとする姿勢は正しい。残業の会話でジョークジョークと言いながら、黒人の上司と白人の部下という関係のわだかまりをためつすがめついじり回す楽しみ。女たちの討論会。黒人男はどこかで白人女を求めてるのよ。イタリア系の店での差別論議。今回は人種差別に性差別も絡んでくる。主人公のカップルの裏に、タトゥーロ青年の黒人女性への恋が肯定的に置かれていた。後半麻薬のモチーフがグッと出てくるのがもひとつピンと来なかったんだけど、今のアメリカで家庭を考えるとき避けられないテーマなのでしょうな。道を散歩するシーンがなぜか滑らかな移動で描かれるのが面白い。フィーバーではあるけど、すべて中途半端な情熱になってしまう哀しさみたいのがある。警官に強姦していると思われそうになるとき「恋人と言うな、友だちと言え」なんてあたりに、今黒人が置かれている状況が分かる。タテマエは平等ということになってても、実際に心に生まれてくる「わだかまり」はどうすればいいのか。[映画館(字幕)] 7点(2012-11-07 09:44:43)

174.  フレンチ・コネクション 警察ものの場合、たとえオールロケでも、犯罪現場や捜査会議室なんかは繰り返し映され、光景に馴染みのある・なしの濃淡が生まれてくるのが普通だ。本作にはそれがない。観客にとってすべてのシーンが「ゆきずりの場所」であり、そこをノンストップの電車のように突っ走っていく。警察ものの真の主役は都市そのもの、と割り切った映画。匿名の街角が連なっていく。張り込みと追跡の背景としての都市が流れていく。そのザラついた摩擦感が味わい。一番好きなのはフェルナンド・レイをポパイがホテルから地下鉄まで追跡するシークエンス。人混みの中に見え隠れする紳士の姿、そして車両に乗ったり降りたりの騙し合い、レイの人を食ったキャラクターが生かされていた(これを初めて観たころはまだブニュエル映画を知らなかったはずだが)。音楽がけっこういい。低弦のユニゾンがモゾモゾッとうごめいて、やがてジャズが乗ってくる。このモゾモゾッに、なんか文楽の太棹三味線的な、映像に対する合の手の味がある。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-11-04 09:44:24)(良:1票)

175.  ケープ・フィアー この監督ジェントルマンの顔して、どうしてこうむかつく男を描くのが好きなんだろう。自分を「裁く男」と規定した人間のドロドロ。『タクシー・ドライバー』以来のモチーフですな。14年間、牢屋の中で勉強する執念。スコセッシが描く嫌な男はピンと張りつめている。いい加減なところ、だらだらしたところがない。前半の嫌がらせの部分なんかも、遊んでる感じがなくピリピリしている。だいたい「嫌がらせ」なんて、どこか薄笑い的なものなんだけど、本気も本気。その絶えず精進している本気さ加減が弁護士を怖がらせるんだからここは大事。怖いのは、弁護士のほうも手を出しちゃうとこで、相手にますます正義を与えてしまうの。ただ後半に宗教性が出てきたことで「悪とはなんぞや」というテーマをやや薄めてしまったか。日常が恐怖という一点に絞られ錐でグリグリ突き通されていくような映画。[映画館(字幕)] 7点(2012-09-28 09:37:58)

176.  ウィンチェスター銃'73(1950) 《ネタバレ》 名刀が流転して妖刀になっていく話は日本にもあるけど、こういう名品は単なる武器以上の価値が寄り添い、魔が生まれてしまうんだな。ま、本作の銃は魔ってほどではないが、手にした者は次々と命を落としていく。そしてそれを所有するにふさわしかった最初のリンに帰っていくって話。流転していく連作短編のようでいて、一応全体としての筋も整えて90分ちょっと、という手ごろな仕上がり。それぞれのエピソードに見せ場がある。射撃競争で始まり、その賞品のウィンチェスター銃が奪われ、さらに荒野の中のクセモノの武器商人にポーカーで巻き上げられる。ついでロック・ハドソンのインディアンに渡って(逃げる馬車と追跡するインディアン)騎兵隊との銃撃戦、ここで銃が戻るかと思わせといてはずし、町で家に立て籠もった悪漢に奪われる(この悪漢ウェイコが、ちょっと若いころの三井弘次を思わせるいい味。ダン・デュリエって役者いまここで検索したら『飾窓の女』に出てる。こんなネチネチしたユスリが出てたがあいつか?!)。そしてラストで冒頭のエピソードの人物が回帰して閉じるという趣向。西部劇の見せ場集みたいになっちゃうところをリンの銃回収の旅という芯を仕込み、射撃競争の敵役の再登場でまとまった感じを出せた。この宿命の敵が実は兄弟ってので、神話的な味を狙ったのか。あちらの人にとっては、カインとアベルなんかを連想し、重さが出るんだろう。アンソニー・マン監督とジェームズ・スチュアートという『グレン・ミラー物語』の組み合わせ。まったく異なる世界のようだが「ものすごくアメリカ的」ということで共通しているな。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-09-21 12:24:57)(良:1票)

177.  アパッチ砦 男たちの世界への朗々とした讃歌であり、また挽歌でもある。仲間うちの世界に、H・フォンダが闖入してくるわけだ。楽園の終わり。彼も悪役なのではなく、格下げされたことにコンプレックスを感じていて、それが裏返されて厳格さを強調することになる。繰り返される「ノークエスチョン?」。階級差と士官学校出か否かのズレ、も男の世界の味わいを出す。営倉の男の歌も味。整列のだらしなさの指摘と、全員が一歩出て振り返る態度。こういった男の世界のドラマが話の芯で、それと比べるとアパッチはさほど重要でない。騎兵隊にとってフォンダが闖入者であったように、インディアンにとっては騎兵隊が闖入者だったわけで、その疚しさがあるとドラマが膨らむけど、この時代の西部劇はそういう複雑さで邪魔してはいけなく、常に画面に雲が大きく占めるあの晴れ晴れとした気分を白人男性の気持ちで味わうべきなんでしょう。[映画館(字幕)] 7点(2012-09-14 10:09:52)(良:1票)

178.  バートン・フィンク 《ネタバレ》 ハリウッドにも庶民にも受け入れられなかったよそ者の話。彼本人は庶民の理解者のつもりだった。でも彼のイメージする純粋な庶民ってのにはついに出会えない。あるいはレスリング映画の観客としてイメージするきっかけはあったものの、彼はラッシュ見ただけでウンザリしてしまう。そういった庶民の反対側に、酒びたりのハリウッドがあるんだろう。唯一の庶民と思っていた隣人は、最後に「俺の場所に踏み込んできてうるさいだと!」と怒る。庶民というより「他人」と広げてもいいかもしれない。でもこのホテルではチャーリー以外他人は姿を見せない。気配は靴音以外にもたくさんあるんだけど。このホテルの雰囲気を味わうのが本作の中心で、廊下にはブィーンという低音が響いているし、暑さで壁紙は剥がれていくし、唯一外界のイメージは海岸の女性の絵で、屋内に立ち込めていた暑さは、ラストで火に凝集していく。社長の部屋は『シャイニング』を思い出させ、そういえば廊下もそうだな。あちらが「恐怖の寒さ」だったのに対し、こちらは「不安の暑さ」か。そういう映画。[映画館(字幕)] 7点(2012-09-11 10:37:37)

179.  ミッシング(1982) 戒厳令下の街を撮らせると、この監督の右に出るものはない。兵士のいる風景の凶々しさ。あの臨場感だけでまいってしまう。移動した末に兵士たちが見えてくるという図がいいんだ。「人民のための軍隊」など決してあり得ないことを知っている者の視線。戒厳令下の夜、白い馬がジープに追われて走っているシーンの美しさといったらない。字で書くといかにも象徴という感じだけど、白い馬=自由という図式を経て頭に来るのではなく、即、胸にジーンと来る。それまでの息苦しさや重圧感が、観ている者にしみ込んでいるから、あの馬の跳躍に憧れを感じ、ガンバレヨと声援を送りたくなるのだろう。理想肌だがお坊ちゃんの息子と、保守だが自信のある父に、アメリカの二面を代表させ、こちらはちょっと図式的だったか。『Z』以下の三部作に比べると集中力はやや劣るも、社会派でも面白い映画は面白いんだ、ということを周知させた監督だった。[映画館(字幕)] 7点(2012-09-07 09:49:02)

180.  三悪人 姫を守る三人の騎士の話をアメリカ西部に持ち込んだよう。三人は最初から姫と結ばれる資格がないことは了承ずみで、ただ「尽くす」ことに男意気を見せるわけ。一番の見せ場は正午を期してみながワゴンで走り出すやつ。のちにトム・クルーズの『遥かなる大地へ』でもやったランドレースっての。行けたところまでの土地が自分のものになる、って豪快な競走。カメラ自身も走ることの躍動感が凄い。そういう持続する動きの迫力と、もう一つ、妹との再会の場に現われた悪役の顔のアップの、白目がギラギラしている瞬発の迫力もある。ピストルの発射の突発性なんかもね。ぶら下がっているカメ(?)を撃つところや、ラストの対決でも瞬発の魅力がある。テントの中でタマが跳ね返ったりもするんだ。これ、アメリカのフィルムセンターから借りたものも含めた「大フォード回顧」ってんで見て日本語字幕なしだったが、スクリーンで見る迫力でモトは取った。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2012-09-03 09:43:51)

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