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1.  エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に いろいろと実験的な手法にも挑んできたリンクレイターが、なぜに今さら「アメリカン・グラフィティ」や「初体験/リッジモント・ハイ」の焼き直しのようなことを・・・とか、そもそもあなたは「バッド・チューニング」でとっくにそういうことはやってるんじゃないかとか思いながら見始めはしたものの、やっぱりこの辺は安定のリンクレイター印なのでした。馬鹿な連中を馬鹿のまま暖かく見守る眼差しは、この人ならでは。青年たちがやたら見た目が老けすぎなのは気にはなりましたが(ウィリアム・ハートにしか見えないのもいる)、これは意図的でしょう。かつての青春映画でも、今見るとオッサンにしか見えないのはいくらでもいますよね。ただ、そうは言っても、80's前後のあの辺の作品と比べると、やはりアホぶりというか突き抜け度は減少しており、何となく無難にまとまってしまった感はありました。●ヒロインのゾーイ・ドゥイッチという人は初めて見ましたが、若き日のリー・トンプソンのような和風テイストも感じさせる美しさで、いい感じ。[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-12-02 01:43:14)
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2.  キング・オブ・コメディ(1982) 《ネタバレ》 スコセッシとデニーロでこのタイトルは面妖な、と思っていましたが、中身は後の「ケープ・フィアー」や「ザ・ファン」にも発展する、デニーロお得意の(?)ストーカーものでした。ただしその中でも、夕食のくだりで堂々と妄想ネタをばらした上で、別荘訪問のシークエンスでは逆に妄想と思ったら現実だった、みたいな、スコセッシらしからぬトリッキーぶりも見せてくれます。ただ、そういった妄想とか、あと中盤以降の実力行使路線などよりも、実は一番怖かったのは、「それではここで待ちます」みたいに何の疑いもなく平然と返してくるナチュラルサイコパスぶりだったのですが、だとすると、主演はデニーロとかよりも、もっとその辺の弱っちい一般人みたいな人の方がよかったのかもね。[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-11-27 00:13:56)

3.  オリビアちゃんの大冒険 《ネタバレ》 タイトルからはホノボノ系でコメディチックなファミリーものを想像しますが、意外にハードです。いきなり父親が誘拐されて、それをどうしようというところから始まります。そして敵の悪辣ぶりはかなりのもので、手際もそこそこ手が込んでいますし、探偵の捜査を逆手にとって引っかけるなど、頭脳も発達しています。大体、オリビアちゃんというよりも、どちらかといえばバジルとドーソンの方が主人公ですよね(原題ではそれがはっきりしています)。その二人の「あの探偵」のパロディぶりも楽しいです。75分と短いので、全体的には勧善懲悪で終わり、というストレートな構成なのですが、基本に忠実にできてはいます。[DVD(字幕)] 5点(2024-11-26 01:59:33)

4.  ガッチャ! 《ネタバレ》 アホっぽい学生が友人とワーワーやっている序盤で、限りなくB級の香りを感じたのですが、意外にしっかりした内容でした。パリにやってきてお上りさんまる出しで美女に目を奪われていたら、その枠組を崩さないままに自然と何か怖いシチュエーションに巻き込まれていく。対象は謎のブツを渡されたというシングル・イシュー。無理に手を広げすぎないところがいいです。暗号の電話一本を大切にしているのも、スリルを高めています。で、何とか検問を突破し、今度は空港でまた一波乱が?と思っていたらあっさりLAに戻っているという逆にトリッキーな展開。まあ、敵チームのしょぼさ(オッサン数人がハアハアいいながら走って追いかけてきたって・・・)からするとやはりB級色は拭えないのですが、それでも最後まで、年上お姉さんへの憧れロマンスっぽい味付けも含めて楽しめました。[DVD(字幕)] 6点(2024-11-01 00:46:43)

5.  サーチャーズ 2.0 《ネタバレ》 オッサン2人組が、少年時代の件の復讐のために旅立つというコメディです。全体としてはオフビート系を目指しているっぽいし、またウエスタン系のネタもあれこれ放り込まれるのですが、どうも、作為的な域を出ない。つまり、脚本も芝居も頭で考えているだけなので、話が弾まないのです。アクセントとして片割れの娘を絡ませているのですが、これも今ひとつ機能していない。最後の「三角形構図」のクイズ合戦(!)も、本来ならここぞとばかりに笑わせてくれるはずなのですが、何か燃え上がらないままに終わってしまいました。[DVD(字幕)] 4点(2024-10-26 18:18:16)

6.  愛のファミリー 《ネタバレ》 19人の子を育てている(その中には養子多数、ベトナム戦争被災孤児や肢体不自由児もいる)ドロシー夫人の活動を追ったドキュメンタリーです。ドロシー夫人の、といいつつ、カメラの照準は、ほとんどにおいて子供たちの日常生活に当てられています。これが普通の作品なら「ただ撮っただけじゃねえか」とも言いたくなるのですが、この子供たちのどこまでも無邪気で素直で天真爛漫な姿を見ていると、それでいいや、という気になってきます。ただし、夫人とその夫の言葉として、「子供の数が少ないと、親は子供のことを気にしすぎるようになる」とか、「両親は夫婦や両親としてだけではなく、男女としてもあるべきだ」など、実に含蓄の深いものも提示されますが、こういった夫人の思索内容はもっと聞きたかった。[DVD(字幕)] 5点(2024-10-21 23:52:43)

7.  杉原千畝 スギハラチウネ 《ネタバレ》 この偉人を素材とした作品としては信じがたいほど、中身が何とも薄い。登場人物がことごとくステレオタイプなのも面白みがないし(小雪なんてほとんど、何も芝居をさせてもらってないレベルでは?)、肝心のビザ発給の部分にも何もスポットが当たっていない。というより、「ビザを発給する杉原」よりも、「司令官に食ってかかって戦争を止めようとする杉原」の方に、どう見ても力が入ってないか?何か制作の根本がずれていたのではないか?と疑ってしまう出来でした。[CS・衛星(邦画)] 3点(2024-09-11 00:39:06)

8.  エイトメン・アウト 《ネタバレ》 アメリカの、というか世界の野球史に今でも残るブラックソックス事件なのだから、ドラマチックに盛り上げようとすればいくらでもできるのだろうが、そうはなっていない。情緒にも流れないし、わざとらしい強調もない。むしろ、何というか、ある種必然的に淡々と、選手たちは八百長に巻き込まれていく。黒幕側はよく分からないけどとりあえず怪しい連中がうろうろしているし、選手側は、キューザックもチャーリー・シーンも特に目立つことなく、むしろみんなで無表情に事を進めていく。このあたりの描写のトーンが、かえって容赦なさというか、逃げられなさを感じさせます。また、中盤ではシリーズは全8戦あるのですが、その一つ一つにきちんと時間をとっています(というか、そうしようとしたら、いくつもの球場でロケをすることになるはずで、エキストラの動員も含めて、手間がかかってるなあ)。その上で、終盤では、裁判無罪の打ち上げと永久追放処分のクロスカッティング、それを受けた選手たちのリアクションを出さない(一気に話が飛ぶ)突き放した冷たさ、さらにはエンドクレジットに乗せてのもともとの笑顔の無邪気なプレーと、一つ一つの演出が見事にはまっています。[DVD(字幕)] 7点(2024-09-08 00:15:54)

9.  ベートーベン 単なるありがち動物系ホーム・コメディかと思っていたら、予想外に面白かった。よく見ると、脚本には仮名でジョン・ヒューズが加わっているんですね-、なるほど。よって、家族間のかけ合いや呼吸もきちんと決まっているので、コメディとして成立していますし、またその中で肝心の犬も生き生きしています。また、チャールズ・グローディンとボニー・ハントというキャスティングが、ほどよく一般人感を醸し出しながら、一方できちんと場を引き締めるという効果を発揮しており、作品の芯を確保しています。[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-09-04 01:07:09)

10.  ステラ・ダラス(1937) 《ネタバレ》 ベット・ミドラー版は最初から成長した娘視点だったと思うので、いきなり若きステラの恋愛沙汰から始まる導入にびっくり。しかし手際よくその後を済ませ、いよいよ親子3人と周辺人物の絡み合いとなっていく。中盤では、モリソン家の(子供たちも含めた)奥床しい上品さの描写と、一方でクリスマスの場面の4者心理の静かな(エドはやっぱりうるさいが・・・)ぶつかり合いが秀逸。したがって、あの哀切に満ちたラストシーンにも、必然の流れでなだれ込むことになる。最初のところでスティーブンとヘレンの関係がよく分からなかったり、肝心のところで突然大事なメモが飛び出したりと、若干雑なところも目につきますが、その辺は枝葉ですね。[DVD(字幕)] 7点(2024-08-29 00:40:11)

11.  タイ・カップ 《ネタバレ》 数限りないエピソードのある人だけに、伝記映画となればそのまま順番に並べて作りたくなってしまいがちなのだが、そうはなっていない。取材側の記者目線と、そして引退後(というか人生の晩年期)という時的焦点を確保することによって、ありがち伝記ものに陥ることを回避している。特に、途中から「本人用」と「自分用」の2種の執筆に入るくだりなどは、その一事がすべてを象徴するほどの力を有している。一方で、トミー・リーは熱演を発揮しているが、むしろ暴走気味なところも見受けられ、(主人公そのものと同じく?)周囲との調和はあまり意識していないのではと思わなくもない。[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-08-28 00:55:26)

12.  ミッドナイトムービー 70年代に編み出された「深夜上映」というフォーマットから生み出されたカルト作品群6作について、背景とか影響を追ったドキュメンタリーです。とにかく、登場する監督や製作者がいずれも自信満々で、心底自分たちが映画史に残る名作を残したと思ってそうなところがいいです。カルト映画たるものはこうあるべきです。ただ、この中の何作かは私も見ていますが、それがそのまま面白かったかというと、そうでもなかったという根本的な問題があったりするのですが・・・。まあ、そんなこととは別に、一つの時代的な文化を追求して形に残そうというこの作品自体の姿勢は嫌いではないです。[DVD(字幕)] 4点(2024-08-26 02:08:36)

13.  メガフォース これはですね。アメリカン・プログレ・ハードの代表的名曲、707の"Mega Force"がテーマソングであることから、人生においていつかは見ないといけないと思っていたのです。作品の中身はB級以下というのは聞いていました。しかしこれは、事前の予想と覚悟を大きく上回っていました。とにかく、いささかでも面白いと思えるシーンがどこまで行っても皆無なのです。その反面、もしかすると制作者は、主人公をクールで格好良く決めようとしているのではないかとか、気合の入った戦闘シーンを作ったつもりではないかとか窺えてしまう箇所もあるのです。B級ならB級道を突っ走ればそれなりの作品にはなるのに、むしろ意識が真逆に行ってしまいました。点数はもちろんテーマソングに対して。[DVD(字幕)] 2点(2024-08-19 21:49:34)

14.  イッツ・フライデー 原題がすべてを表しています。金曜日の夜に、ディスコに人々が集まってさあ楽しもうとしている、というたったそれだけです。本当にそれだけです。しかしその中でも、多数の登場人物を次々に放り込んでいながら、自然とそれぞれの関係や行動が浮かび上がってくるという、なかなか丁寧なシナリオになっています。見ている側もこの空間の一員に引きずり込むかのような、迷いのない芯のある作品であり、約90分があっという間。これぞディスコ映画!●また注目すべきなのは、その多数の中に、駆け出しの頃のデブラ・ウィンガーがさらっと交じっていることです。それも中心っぽくはなく、割と地味目の役です(クレジットも真ん中あたりです)。これはかなり貴重といえましょう。●で、時代を反映して、コモドアーズとかドナ・サマーが美味しい登場をするのですが、全体の構成からいえば、それもあくまでゲスト的なんですよね。そこがまたいい。[DVD(字幕)] 7点(2024-08-18 22:21:53)

15.  ローズマリーの赤ちゃん 《ネタバレ》 前半は「隣人侵略モノ」の趣で、同じような押したり引いたりのくだりが繰り返されて、割と単調でもある。本の一件が出てきてから焦点が絞られるのだが、ここでは、単に電話ボックスで電話をするというだけでもあれほどのスリルをもたらしているように、何気ない一風景にこそ怖さが宿っている。そして一番怖かったのは、クライマックス、包丁を手に進入する主人公に、誰も何も動揺せず(1人悲鳴は上げるが)、「ふーん」程度で済ませている、あの光景である。すでに悪魔の下に団結している人たちにとっては、凶器を手にした部外者がいきなり入ってこようが、脅威でもなんでもないのだ。●一方で、私は終盤まで「実は妊娠自体が主人公の妄想だった(周りの人たちは合わせてあげていただけ)」と思いながら見ていたというのは、ここだけの秘密である。そのため、あのラストも、「えっそのまんま?」と逆の意味で驚いてしまった・・・。[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-08-15 01:00:51)

16.  ミルドレッド 《ネタバレ》 これが監督デビュー作とは思えないくらい、堂々とした安定感ある撮り方。画面も色合いも、そして進行も落ち着きに満ちている。母親ジーナ・ローランズを美しく撮ろうという愛情すら感じられるし(実際、他のジーナ出演作よりも綺麗に映っていると思う)、またジーナの側も、作中で子供に接するのと同様、作品そのものも暖かく包み込んでいる。●しかし、そのような作品外の親子関係に依存することなく、ドラマはじわじわと展開していく。突飛な事件も起こらない。その中で徐々に、しかし着実に変化していく関係性。それは必然的に、余韻にあふれたラストにつながっていきます。また、オスカー受賞済とはいえまだ若手だったマリサ・トメイが、ジーナすら食いかねないほどの存在感を発しており、作品にもう一本の芯を確保しています。●一方で、ドパルデューの役については、せっかくこの人まで起用に成功したんだったら、もう少し何とかならなかったかな、という気はします。あれなら単に「バーで出会ってちょっと口説きかけただけ」に近いんですよね。まあ、それはそれで慎みがあって良いともいえますけど。[DVD(字幕)] 7点(2024-08-13 02:16:13)

17.  ファミリービジネス 親子三世代で泥棒というありえない設定なのだから、大いに笑わせてくれるのを期待するというのに、コネリー/ホフマン/ブロデリックという重厚なキャストを揃えていながら(揃えたからこそ?)、話が全然弾まない。みんなシリアスすぎる。大体、何で監督にルメットを選んだんだろう。というわけで、どこへ行きたいのかも分からない迷いまくりの進行の中、そのまま終わってしまいました。ユダヤ教云々というのももっともらしく取り入れられていながら、結局まったく機能していないのでは?[CS・衛星(字幕)] 4点(2024-08-10 01:16:56)

18.  TINA ティナ 《ネタバレ》 ティナといえば、ミニスカワンピでステージを所狭しと駆け回り、頭を振って絶叫するあのアクティブライブの豪放磊落な光景を想起するのだが、その裏にはこんなに耐える側面があったとはねえ。アイクとは暴力問題で離婚したというのは知っていましたが、ここまでとは思いませんでした。そのアイクも、ステージではあくまでも終始冷静沈着にバンドを仕切っているのが、何とも言えない気分になる。●で、描写対象は多くがその夫婦問題で、バセットとフィッシュバーンの役作りの丁寧さによって、単調に陥ることは避けられていますが、脇役関係はもう少し使いようがなかったかな、とは思ってしまいます。それに対応して、音楽面はほとんどがアイク&ティナ時代なのですが、考えてみれば、アイク&ティナのデビューは1960年で、ビートルズやストーンズよりも早かったんですよね。逆に、この映画の後にもさらにキャリアを積み続けたティナの偉大さも実感します。[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-08-08 00:48:10)

19.  スペンサーの山 《ネタバレ》 ワイオミングの大自然の中に、夫婦と子供たちが生活している。というところから予想どおりの、いい人たちばかりが平和な生活をしているお話です。途中から長男の大学云々が出てきて、焦点も絞られてくるのですが、今度はかえって長男にスポットが当たりすぎて、ほかの人があまり意味なくなってしまいました(それ以前に、あの弟妹たち、いくら年少子役とはいえ、あれだけたくさんの数がいて個性なさすぎでは?)。宗教部分もエッセンスになっていると思われますが、それも、絡んでいるようで今ひとつ絡みきれていなかったような。[DVD(字幕)] 5点(2024-08-04 00:32:54)

20.  パティ・スミス:ドリーム・オブ・ライフ ニューヨーク・パンクの生ける伝説、パティ・スミスのドキュメンタリーです。全体の構成は、11年間にわたって撮影された各映像が並べられているというもので、特に体系立てられてはいません。また、ライブ映像は少なめで、ちょっとした身の回りの風景が多くを占めています。しかし、いろいろ整理されたり刈り込まれたりしているよりも、こういったランダムな散りばめ方の方が、この人の場合は適しているという気もします。また、そこに被さってくるのが自作と思しき詩の朗読で、ミュージシャンであると同時に詩人でもあるこの人ならではの作り方になっています。[DVD(字幕)] 6点(2024-08-03 21:19:09)

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