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1.  名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN 《ネタバレ》 ただの音楽オタクだった名もなき金もなき若者が、「音楽で食えるようになりたい」という当初の目標も早めにクリアし、あっという間にフォーク界のプリンスになる。 彼がやりたい音楽は別にフォークに限らず、カントリー、ブルース、ロカビリー、ロック、彼の心を揺さぶるものであればそれは何だってよかった。頭の中に湧き上がる言葉とメロディーは、ジャンルの枠に収まらない。彼を縛り付けることも、溢れる音楽を堰き止めることも誰にも出来ない。作中でも押し寄せる音楽の嵐には圧倒されるばかりだった。 フォークのカリスマというレッテルを張られ、音楽もプライベートも自由を奪われ、馬でもないのに他人の荷物を背負わされ、がんじがらめになるのだが、そこに悲壮感はあまりない。 風に吹かれて転がる石のように、変わる時代を俯瞰で見渡す。それが普遍的なものを生み出す。   ティモシーシャラメがボブディランを演じたその努力というか意気込みを、感じさせないくらい自然にボビーになっていて、そのオーラまでもちゃんとコピーされていた。すごい俳優です。[映画館(字幕)] 9点(2025-03-05 13:51:37)(良:1票) 《改行有》

2.  生きてこそ 《ネタバレ》 想像以上に感動的な友情の物語だった。 乗客27人だけのアンデス山脈遭難は、まるで医師のいない野戦病院。悲惨な現場だ。見渡す限りの雪山、-40℃の極寒、食糧なし防寒具なし無線なしの中、普通なら自己中な奴がいたり争いがあったり、泣き叫んだり狂ったりで、とてもじゃないけど無理。それが70日間続いたという。当人たちにとってはそれがいつまで続くかなんて分かっていないのだから、もう絶望しかないと思う。 しかし彼らはラグビーのチームメイト、上手く統率を取りとにかく救助が来るまでサバイバルで生き延びる、という話かと思っていた。それだけでも十分すごいと思う。過酷な決断をし、仲間が一人ずつ減ってゆくことに耐え、生命の危うさを思い知る。 更に彼らはカトリック系の学生だったから、神の存在を道標とする。そこで力尽き死にゆく者にも、奇跡的に回復して命拾いする者にも、神は同じように現れる、と考える。生も死も 思し召し と思うかのように。 友人を思う気持ちが自然で美しく、その強い友情で耐えきるというだけでも十分な見せ場なのだが、なかでも勇気ある者がアンデス山脈を越えて自力で救助を要請するという、とんでもなく感動的なラストだった。それはちょっと凄すぎる。想像を大きく超えたノンフィクションサバイバル。 ほんと、生きてこそ、だ。邦題が素晴らしい。[インターネット(字幕)] 9点(2025-02-28 14:18:46)《改行有》

3.  ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ 頑固で偏屈で嫌われ者の古代史教師ハナム先生。彼のキャラクターが素敵だった。学問を追求し孤独を追求し、嘘はつかず自分を貫くが紳士的で他者の意見を聞き入れないこともない。 歴史美術館にて「退屈だ無関係だと否定しないで、今の時代や自分を理解したいなら、過去から学ぶべきだ。歴史は過去を学ぶだけでなく、今を説明する事でもある。」 先生は斜視だし持病のため魚の体臭がするしで、これまでの人生あまりツイてなかったようだが、そんなことは気にも留めず人のせいにもせず、ただただ古(いにしえ)に想いを馳せているのだろう。自分は自分、嘘はつかないバートン男子のプライドだけを忘れずに。 人はみな孤独。それがどうした。物事は案外単純で、時間軸には過去と未来しかない。今なんて一瞬だ。出会いもあれば別れもある。それだけの事だ。っていう前向きで軽やかな後味が残る作品だった。[インターネット(字幕)] 8点(2025-02-20 15:59:29)《改行有》

4.  キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド ドラマシリーズの「ザ・ファルコン&ザ・ウィンターソルジャー」がかなり良かったので、期待値もそれなりに高く、一応全ての関連作品を観てきているので(あっ!マーべルズ観てない!)、ここまでくるとなかば義務として鑑賞。 ざっくり言って、ストーリーはまだ次のステップへの序章に過ぎずヴィランも微妙だったが、元ファルコンのサムが、まあカッコいいこと。重責を担ってプレッシャーを感じ、血清打ってないけどものすごく強いのに、自分の努力は足りてるのかと未だに悩んで。とにかく誠実でスティーブが選んだのも納得のスーパー兄貴。これはもう相棒のホアキンじゃないけど、どこまでも付いていくしかないでしょう。 本作を観る前には、前述の「ファルコン&ウィンターソルジャー」と、「インクレディブル・ハルク」をおさらいしておいた方が良い。[映画館(字幕)] 7点(2025-02-16 16:17:04)《改行有》

5.  ナイト・オン・ザ・プラネット 地球上のある一瞬を切り取り、5本のエピソードをオムニバスで見せる。 共通点はタクシー。ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキという5都市で、それぞれのタクシードライバーが客を乗せては降ろす。同時に起こっている設定だが時差があるから、夜10時のロスから始まり夜が深けていき、朝5時のヘルシンキは空が白んでくる。ドライバーも客も、それぞれの真夜中と夜明けを迎える。何だか地球の自転を感じたりする。地球って、時計の短針が2周してる間に1回転するんだなーなんて。 タクシー運転手は自分独りの職場を転がして、夜の街をその箱の中に切り取り、見ず知らずの人間を取り込んで交わり、二度と会わない者として吐き出す。考えてみるとかなり不思議な空間だ。 5本のエピソードはそれぞれ見ても見なくてもどうでもいいような話なんだけど、どれも可愛らしく愛おしい。知らない者同士だから価値観の違いがあるのは当たり前。それでも二度と会わない数分間の関係だから別にいい。へーって言って流せる感じ。ドリフの大爆笑のコントみたい。[インターネット(字幕)] 7点(2025-02-16 15:32:32)《改行有》

6.  JAWS/ジョーズ2 《ネタバレ》 続編なので前作と比べてしまうのは当然だが、比べる対象があまりに偉大過ぎて可哀そう。冒頭でダイバーたちが沈没したオルカ号を発見した時、前作のエンディング曲がさりげなく流れた時は、演出のセンスの良さを感じたし、元々海恐怖症だったブロディ署長がサメ嫌悪からすっかり猜疑的になっていて、海水浴客から白い目で見られてしまう所は胸が痛んだりもした。署長の功績を知らないんかよ!ってなった。続編としては合格な滑り出しだと思う。 前作の戦友が登場しない分、今作はブロディ署長が単身でサメ退治に挑む流れを期待した。署長がこっそり銃弾にシアン化ナトリウムを仕込んだりしていたもんだから。しかしその銃弾は使われる事もなく、おっさんが奮闘するというワクワクドキドキアドベンチャーにはならなかったのは残念。ロイシャイダー、前作の撮影で懲りちゃったかな。 結局少年たちのヨットが襲われるシーンが長くそれがメインとなり、対象年齢若めのパニック映画となった。まあそれはそれで怖かったし楽しめたのだが。 ラスト、きちんとブロディ署長の活躍でサメは焼き魚になったし、全体的には面白かったけど、なんかそうじゃないんだよな感が残ったかな。[インターネット(字幕)] 7点(2024-12-24 16:11:32)《改行有》

7.  レディ・バード 《ネタバレ》 故郷(田舎、ダサい)=母親(ウザい)。その呪縛から逃れるために、高校生は都会の大学に進学を希望する。そこで特段やりたい事があるわけでもないのに。これ凄くよく分かる。自分がまさにそれだったから。そして親元離れてその有難さに気づき、あろうことか郷土愛まで芽生え、パッとしないイケてない名前すら、自分の身の丈に合った程よい普通さにホッとする。心当たりあるわ~。 17歳とは、自分が思ってるより子供で、大人が思ってるより大人。そんな年頃だってのは全世界共通なのかもだけど、アメリカの土地勘や経済感覚はピンとこないので、そういう面が全て共感できるかって言うと難しい。でもそれは残念ながら観る側の問題なので仕方ないとする。 この世の終わりかと思うような身の回りの出来事も、自分はなんて不幸なんだろうと悲劇のヒロインに陥るときも、過ぎてしまえば何てことない。今は平凡な日常が送れている事をありがたく思う。そう言えば「有難い」とは、めったにない貴重なこと、って意味なんだな~としみじみ。[インターネット(字幕)] 6点(2024-12-09 14:25:22)《改行有》

8.  カジノ 《ネタバレ》 ショッキングピンクのジャケットを着こなしキャデラックに乗り込む主人公サムは見るからに成功者。そして「信頼を重要視する」という自らのポリシーを発表した瞬間、爆炎で宙に舞う。これが本編を観る前の仕掛けになっていた。 些細な犯罪歴はあるものの、登場人物の中では唯一ギリギリセーフな男が、徹底した管理手腕を生かし、ギラギラに登りつめていくわけだが、ラストはああなっちゃうんだなと。悪女ジンジャーとの出会いから始まり、狂犬ニッキーとの腐れ縁、使えない従業員解雇、表向きの社長グリーンが訴えられ、ニッキーの素行の悪さからFBIが躍起になる。全ての出来事が数珠つながりとなってサムを追い込んでいく。 で、冒頭のシーンを裏切るように、ギリギリセーフなサムは奇跡的に助かり、アウトな人間たちは自滅していく。因果応報な実話は、スコセッシ監督らしい題材。 デニーロ、ジョーぺシ、シャロンストーン、「信頼」とは真逆の三人を演じたそれぞれが素晴らしい演技だった。[映画館(字幕)] 8点(2024-12-06 14:20:32)《改行有》

9.  グッドフェローズ 《ネタバレ》 カッコいい先輩をまねて処世術を身につけ、ボスに気に入られ、ちょっと頑張ったら10代の若造だって大金が稼げる。主人公ヘンリーが夢見たアメリカンドリームはマフィアの世界だった。その特殊な世界には独自のヒエラルキーなんかもあって、生粋のイタリア人でないと幹部になれないとか、中でもシチリアの血が上位で、アイリッシュやユダヤは後続だとか、この辺はおもしろい。 スコセッシは歴史をそのまま映像化する。事実として多くの鑑賞者に伝承し、そこに私情を挟まない。盗みと薬と殺しを職業としている男と、それに養われて贅沢な生活をする家族たち。こんな世界があるんだぜと。そもそもこんな世界のヤバい奴らに共感できるわけないし、できた奴はヤバい。マフィアに夢を見るな。夢を見るなら目を覚ませ。少なくともそんなメッセージはあったように思う。 あきれるほど散々悪事を働いといて、ヤバくなったら警察(善)に協力して、仲間(悪)を裏切る。マフィアに共感はしてないが、なぜかコイツが一番クズに感じる。[インターネット(字幕)] 6点(2024-11-22 13:54:09)《改行有》

10.  スパイダーマン:スパイダーバース 《ネタバレ》 アニメの技術って凄い。MCUの実写作品に真っ向から勝負している。まあ実写映画と言っても大半はCGなので、アニメみたいなものだけど。もう全部これでいいじゃんというくらい映像は素晴らしい。で、そこにコミック寄りの表現が加わり、実写との差別化も出来てる。ただ多くの皆さんが言うとおり、主人公に魅力が無いというのは否めない。みんな大好きピーターパーカーを退けておいて跡継ぎがこの子?と物足りなさ、認めたくない気持ちが発動するのはごもっとも。しかしスパイダーマンというヒーローが目指すのは親愛なる隣人であるし、ピーターパーカーとはどこにでもいるごく普通の、無個性な少年の代名詞なのだから、この段階では問題ないと言える。そしてこの頼りない新人ヒーローを支えるのが、異次元でスパイダーマンとして活動している個性的なキャラクター達だからバランスが取れてるように思う。まさにマルチバースの考え方はアニメとも相性が良く、スパーダーマンノーウェイホームもしこたま感動させられたけど、こちらの方が先にやっていたんだな。[インターネット(字幕)] 8点(2024-11-19 10:58:38)

11.  ダイヤルMを廻せ! 《ネタバレ》 トニーという男は頭が切れる。そして執念深い。前科者の先輩なんて簡単に行動を操られ、殺人動機の手紙に指紋まで付けられて、はした金で言われたとおりに何の縁もない人妻を殺しに行っちゃう。冒頭で語られた完全犯罪は失敗するけど、推理小説家に全て筋書きを言い当てられてしまうところからが面白い。それまで全てを先導していた切れ者のつもりが、娯楽推理小説家がちゃちゃっと考えたチープなトリックのまんまで、結局4本の鍵に翻弄されボロを出す。でもこの男、絶対に狼狽しない。捕まるときも至ってスマート。これってヒッチコックの理想なのかな。頭の中で犯罪の計画を立て、美女を絞殺し(または殺させて自分はそれを見物)、殺される美女はもちろん大好きなグレースケリー嬢で、捕まるときはカッコ良く。なかなかの変態的紳士像ですね。[インターネット(字幕)] 7点(2024-11-12 18:13:48)

12.  キャリー(1976) 《ネタバレ》 短い作品だが、インパクトは物凄い。もう、インパクトしかない。浮き沈みが激しく、全体を色で表すと、グレー→ピンク→赤→黒。そしてホラーとしては悲し過ぎるが、それもまた大きなインパクト。それまで虐げられていた少女が、例え一時の幸せだとしても、施しに似たような幸せだったとしても、彼女にとっては生まれて初めて感じた幸せだった。これ以上ない程の満面の笑みをたたえていた絶頂の瞬間に、最悪な事が起こってしまうことは想像するだけでわかるように進むので、ただただ可哀そうで、迫るクライマックス(悪趣味な悪戯)までは胸が締め付けられる思い。一人の少女がここまでのバッドエンドを巻き起こすとは、母親の言う通りキャリーは悪魔だったのか、いやそうは思いたくない。首謀者数人以外はキャリーを認めて受け入れてくれた。その事実を知らないまま不幸のどん底のまま終わったのは、救いようがなく悲し過ぎる。生き残りのスーの気持ちを想うと、またやるせない。短いのにとてつもなく重たい作品。[インターネット(字幕)] 6点(2024-10-31 18:25:10)

13.  キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 《ネタバレ》 デカプリオがまだぎりぎり15歳の少年役が出来た頃の作品。父親を尊敬し、その父親が愛した女すなわち自分の母親を愛した素直な少年が、犯罪者に変貌するわけなのだが、端正な顔立ちとスマートな振舞で悪事を繰り返す彼を、ワクワクしながら観てしまう。実話だから、ウソだろ!?マジか!!の連続で、特に飛行機のトイレから消えたのは、どこまでが実話かは分からないが、笑っちゃうくらい驚くのは必至。やはりスピルバーグは人間好きな温かい監督だ。これがたぶん人間なんて所詮動物だと思ってるようなヨルゴス・ランティモスとか(撮るわけないけど)だったら物凄く怪しげになるのだろうし、真面目で几帳面なスコセッシだったら鋭く美しいドキュメンタリーにもなりそうだ。その場合トムハンクス演じた捜査官がダニエルデイルイスやリーアムニーソンだったら尚更にシリアスものだ。 実話が元の悪質な詐欺事件を、このような清々しいほどのヒューマンコメディにしてしまうのは、スピルバーグの成せる技だろう。そして実在の詐欺師フランクアバグネイルjr.本人が、稀代のエンターテイナーであったことにもよるだろう。犯罪は許されないが、彼のキャラクターについてだけを言えば、憎めない犯罪者だ。その後自分の才能を生かし、刑期を終えるまでFBIに協力して職員として働く、というのがまた良い。救いがあるラストってのはやっぱりいい。[インターネット(字幕)] 8点(2024-10-26 11:16:19)《改行有》

14.  12モンキーズ 《ネタバレ》 6人の科学者チームのシュールな佇まいや、かなり適当なタイムマシーンの描写など、テリーギリアムらしさを残しつつ、一見分かりにくい小ネタのように散りばめられたピースが、しっかり伏線として回収される。緻密な脚本に、意味不明なギリアムらしさをぶつければ、化学反応でこんなにまで素晴らしい作品になるのか。で最終的にウイルスはどうなったのだろうか、空港で銃撃戦を目撃した記憶力の高いジェームズコール少年はその後どんな罪を犯して囚人となったのか、彼は永遠にタイムループを繰り返す運命にあるのだろうか、考えれば考えるほど結末は無限に存在する。これやっぱり抜け出せない系のやつです。そしてブラピの演技、凄い。こんなに上手かったんだ。[インターネット(字幕)] 8点(2024-10-23 12:02:29)(良:1票)

15.  ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 《ネタバレ》  今更ながら三作通して鑑賞させていただきました。長いし、スケールデカいし、大作です。映像凄い。奥行きのある広大な戦場、架空の動物たちの造形、美しい都の塔ミナス・ティリス、何処までも暗鬱な空気を放つモルドール、戦う者たちの猛々しく勇敢な表情。人間以外の複数の種族がそれぞれの地区を治めている世界観は説得力も持ち、絵本の中に入り込んでページをめくっているかのよう。ですが、脚本が面白くないっ、主要人物のエピソードが薄いっ、主人公フロドがしょうもないっ。良かったのは、ガンダルフがとにかく強いところ。アラゴルンの高潔さ。そして主役は完全にサムだった。 二作目は続きが気になったのでわくわく感を残して見終えることが出来ましたが、終わってしまえば、ふ~んという感じでした。ホビット庄に帰ってみれば、4人の雄姿を誰も知らないという所は、物語的に面白かった。[インターネット(字幕)] 6点(2024-10-16 17:38:18)《改行有》

16.  ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔 《ネタバレ》 たった一つの指輪をめぐっての大戦争。「これほどの悪行をののしる言葉は、エルフ語にもエント語にも人間の言葉にもない。」 この地に再び平和が戻ってくることはあるのだろうか。というくらい凄まじい戦闘風景。指輪の仲間が、死んだと思ったら生きていた~のパターンを繰り返し奮闘します。諦めないということがいかに難しく、だからこそその先にあるものは屈強で自信に満ち溢れています。彼らのタフでカッコ良く戦う姿を素直に応援しながら鑑賞しました。命を懸けてでも守るべきものがあるということ、それを戦争の理由として正当化しちゃあいけないけど、これはあくまでファンタジーの中のお話。しかしローハンでの悪化する戦況に、意図的のように挟まれる女子供たちの怯えた表情が、やはり戦争は恐ろしく、平和の逆を行く行為であるとのメッセージ(現実世界に向けての言い訳)を、かろうじて含ませているのでしょう。[インターネット(字幕)] 7点(2024-10-11 15:22:27)《改行有》

17.  The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ 《ネタバレ》 南北戦争下において、南部にある森の中の女学園。そこは園長をリーダーとして統率が取られていた。そこに若い男が迷い込んだら。その時自然界で生態系が崩れるかのような現象が起こった。それまで敬虔な集団として行動していた女たちが、それぞれに男に興味を抱き、色めき立ち、欲情を押さえきれなくなる。次に嫉妬やマウント、承認欲求など、女の悪い癖が目立ってくる。7人の女は大人から子供まで、小奇麗な身なりで上品な立ち居振る舞いをしているのだが、女の強い業やずる賢さ、意地汚さのようなものが内側から現れている。女優たちの演技と巧みなカメラワーク、暗い部屋にろうそくの炎などの演出がそれを表現している。 ある事が切っ掛けで狂暴化した男を前に、再び女たちは統率を取り男を排除する。外来種を排除し、自然界が元どおりに浄化されるように。 学園を取り囲む深い森は、外部からの侵入を許さない隔離された聖域のように、神秘的で美しかった。[インターネット(字幕)] 7点(2024-09-26 16:09:55)《改行有》

18.  ウィリーズ・ワンダーランド 《ネタバレ》 無口な男が恐怖のテーマパークに迷い込んでしまったのは偶然と思いきや、実は男は過去の犠牲者の身内で、その復讐の為に体を鍛え、お掃除ノウハウを叩きこみ、不気味な動物ロボを倒すためだけの入念なバトルプランを練って、この地に舞い降りた戦士だった・・・のかと思ったら、思いっきり外した。私の要らぬ邪推は本当に無意味なものでして、シンプルにホラーコメディでした。予想は大体外れますので、どんなものを見せられても大抵楽しむことが出来ます。 律儀に休憩をはさみながら黙々とお掃除をして、何やら怪しい敵が出てきても顔色一つ変えず戦う。綺麗になった場内はその返り血ならぬ返り機械油と、若者たちのおびただしい流血で再び汚れ、それをまた黙々と掃除して休憩をとる。見事敵を倒し、パークが綺麗になった時の達成感と言ったら!この男は一体何者なんだ?ってそんな事考えちゃいけません。邪推です。[インターネット(字幕)] 7点(2024-09-05 17:37:15)《改行有》

19.  アバター:ウェイ・オブ・ウォーター 《ネタバレ》 前作に引き続き、その世界観は遥か彼方の惑星で実在するかのような説得力を持ち、没入することが出来た。ストーリーはスターウォーズのような政治色は持たず、あくまでも古代人(原始人)と未来人(侵略者)との闘い。そこにはもちろん自然破壊への警鐘が含まれる。傍若無人なスカイピープルと、ただ復讐に燃えるだけのクオリッチ大佐の憎らしさと言ったら、どんなに今回のマ・ジェイクが中途半端だとしても応援したくなるのは必至。想像力も創造力も人間を超えるトゥルクンの髄液は500ml程度で8000万ドル、金持ちどもの老化を止める薬になるなんて、何だか本当にありそうな話だ。金だけが生きる目的みたいな人間に対しナヴィや自然生物の尊さは、古(いにしえ)より不偏のものだから。助けちゃったアイツを、次回作はどう活かすか、楽しみにしています。[インターネット(字幕)] 8点(2024-08-26 12:53:19)

20.  ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う! 《ネタバレ》 高校生の頃の自分が人生のピークで、当時のダチを無理やり集めて、5人で昔やり残した伝説の「パブ巡り」完走を目指す。主人公ゲイリーだけが昔のまんまのテンションで、でもそんな彼がなぜそこまでパブ完走にこだわるのか。仲間たちを我が子のように可愛がっていた母が死んだことが引き金?と思ったら、死んだというのは嘘だった。別の奴からのいじめがトラウマのピーターに「過去の心の傷を治さないと、後々良くない」とか意味深な言葉をかけたりする。何?何か隠している?余命が短い?友人たちの目に自分の存在を残して去ろうと?それとも過去の自分と決別して友人たちとの関係を再構築しようとか?  そんなヒューマニズムな展開を予想した私がバカでした。冒頭に出たまま、ただのアル中だった。そして完全にSFコメディだった。エドガー・ライト監督を知らなかったもので。勉強して出直します。 いきなりのトイレでバトルは凄い。ガシャーンて、陶器?首や肩関節の接続部分も単純な凹凸。青いし。面白いじゃないか。WTFってビジネス用語じゃないので要注意。青いロボットと、ロボットに支配されてる非ロボットの代名詞を考えようとか、メタボのアンディが強すぎるところも面白かった。戦いながらどうしてもビールを飲みたいゲイリーもかっこよかった。そのくらいです。ラストは全然良くない。結局何がしたかったんだか。[インターネット(字幕)] 5点(2024-08-20 15:21:20)《改行有》

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