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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 14
性別 男性
ホームページ https://www.facebook.com/TatsuoHaruoka
年齢 68歳
自己紹介 つくる苦労知ってますので
その苦労考えると評価0はないですよね。
でも、ビデオが高額な時代、作品の酷さに腹が立ってよく投げ捨てていたので、その気持ちはわかります。
逆に映画をネットで見られるようになってありがたくなるばかりです。

映画探しで迷う時、このグループのおかげでたくさんの映画を教えてもらい助かりました。
少しだけでも楽しく恩返しできたらと思っています。

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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  シャッター アイランド マーティン・スコセッシ監督が贈るサイコロジカル・スリラーで、見る者の心に深い余韻を残す不思議な作品。 物語は、連邦保安官テディ・ダニエルズが、失踪事件の捜査のために、孤立した島にある精神病院「アッシュクリーク」へと赴くところから始まる。 一見、普通の捜査ミステリーのように見えるのだが、次第に島の中で起こる不思議な出来事や、 テディ自身の心の中に潜む暗い秘密が次々と浮かび上がり、現実と幻の境界が曖昧になってくる。 その感覚は探偵小説の映画版という感じで物語はすすんでいく。 映画は、事件の捜査だけではなく、テディの過去や心の葛藤、そして精神状態を丹念に描く。 細かい伏線が随所に散りばめられており、 観る者も最初感じていた筋道から微妙に外れていき、主人公と同じく迷い出し引きずられていく。 これにより、観る者はまるで『メメント』を見たときのような、心に不思議な感覚と疑問を抱かされる体験がはじまる。 シーンごとにナゾがふかまっていくのだ。 レオナルド・ディカプリオが演じるテディは、強い使命感を持ちながらも、どこか影を背負った複雑な人物として描かれ、 彼の表情や小さな仕草には、調査が進むにつれて増していく内面の葛藤や苦悩がにじみ出てくる。 テディを取り巻く他の登場人物たちも、それぞれに謎めいた存在感を持っており、映画全体の雰囲気をより一層深くしていく。 単なる事件解決型のミステリーに留まらず、人間の内面や記憶、そして罪悪感といった普遍的なテーマに鋭く迫る。 ちなみに『Shutter Island』は、閉ざされた世界であることを表現し、 秘密や謎が隠されているという直接的な意味があるのは皆が感じるとこだが、 アナグラムで解くと 『Shutter Island』の文字を並べ替え「Truths and Lies(真実と嘘)」になるという説もある。 意味が深い題名だ。 これはネタバレはダメだね[インターネット(字幕)] 8点(2025-03-09 13:24:55)
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《改行有》

2.  世界一キライなあなたに 『世界一キライなあなたに』は、ただの感涙ロマンスじゃない。 キュートな恋愛物語のようにみえるその裏には愛と自由の矛盾、介護の現実、などの社会問題と人生の葛藤という重いテーマ、 さらには経済的な格差や就職・失業の現実が、複雑に絡み合ったドラマだ。 なのに楽しく軽快に進む素敵な物語だ。 金持ちで障害者のウィルと健康だが低所得者のルー、全く正反対の境遇にいる二人が出会い、互いに影響を与え合う様は、 単なる甘い恋愛だけじゃなく、愛することが必ずしも無条件の自由をもたらさない現実を突きつける。 愛するがゆえに相手を守ろうとする気持ちと、同時に自由を与えたいという理想の間には、必ず制約が存在する。 健康な者同士なら問題にならないが、傷ついた心や体が絡むと、その矛盾は痛烈になる。 イギリスの田園風景やヨーロッパの美しいロケーションを背景に、感情を引き立てる音楽とともに、観る者の心を強く揺さぶる。 主演二人の演技も、単なる感情表現にとどまらず、登場人物それぞれの内面の葛藤や現実との闘いをリアルに伝えている。 暖かく明るく生きていく主人公たちの成長と共に乗り越え、最後に大きな難関。「愛とは何か」「生きるとはどういうことか」 という大きな問いかけに向かっていく。 素晴らしいストーリーの佳作である。 主演の女の子はどっかでみたと思ったら ゲーム・オブ・スローンズで竜の母親役、ターミネータージェニシスのサラ・コナー役のエミリア・クラーク。 性格の良い田舎娘の役柄でこんなに良い味を出す素敵な女優さんだった。これも嬉しい[インターネット(吹替)] 9点(2025-03-08 03:34:56)
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3.  メメント リバイバル上映をスクリーンで鑑賞。 また観てしまった。笑 何度観ても面白い 主人公・レナード(ガイ・ピアース)は、ある出来事をきっかけに短期記憶を保持できなくなってしまう。 そのため、自分が知り得た情報をポラロイド写真やメモ、身体に刻んだタトゥーで記録し、手がかりを失わないように奔走する。 しかし、それが思ったとおりには記憶を埋めるわけでなく、逆に記憶の罠にもなっていく。 この映画最大の特徴は、時間の進み方を巧みに操作し、記憶の混乱を描く。 重要シーンがまるで一部の出来事が逆行しているように感じられ、 それが主人公と共に観ているものも巻き込み一体どちらが時間の混乱をおこしているのかと戸惑いはじめる。 主人公の混乱状態が観客の疑似体験と繋がり始め、作品世界に没入できる仕掛けになっている。 レナードは「自分の妻を殺した犯人を見つけ出す」という揺るぎない目的を持っている。 しかし、その糸口となるはずの「過去の記憶」が常にリセットされるため、 事件の全体像が曖昧なまま手探りで突き進んでいかざるを得ない。 まさに“謎解き”の感覚の迷路に観客と共に飛び込むことになる。 一度観ただけでは把握しきれない情報が散りばめられており、2回目・3回目の鑑賞で新たな発見がある点も大きな魅力。 また、「記憶」をテーマとしながら展開する物語には、 思わず自分自身の“記憶への信頼”や“真実のあり方”を考えたくなる要素が詰まっている。 ミステリーやサスペンスが好きで、先の読めない展開を求めている方や、一味違う謎解きを求める人にはおすすめ。 難しそうに思われるかもしれないが、観終われば「もう一度最初から見て、今度は違う視点で確かめたい!」 と思わせる不思議な魅力を秘めている。[試写会(字幕)] 8点(2025-03-07 22:42:18)
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4.  プライベート・ライアン 《ネタバレ》 リバイバル上映で改めて映画館で鑑賞した。15歳の娘から誘われて観に行こうと言われた時は驚いた。 これを見ようという娘も大したものだと思った。最初のシーンは覚悟して観なさい。と伝えて一緒に鑑賞。 改めて大画面でこの映画を鑑賞できるのはとても嬉しい。 オマハ・ビーチの地獄のような上陸シーンは、その凄惨さとリアリティによって圧倒される。戦争の狂気を真正面から描き出した。 その後の救出任務をめぐる物語も、戦場における道徳、犠牲、そして生きることの意味を問うものだった。 しかしながら、個人的にどうしても引っかかる部分がある。それは、トム・ハンクス演じるミラー大尉の運命についてだ。 ここまで強運続きで生き抜いた彼が、まるで脚本の都合のように「やっぱり死ぬべき運命だった」とばかりに最期を迎える。 「Earn this(これに見合う生き方をしろ)」とライアンに語るシーンは感動的だが、 どうしても「ここで彼を死なせるために、脚本が無理に運命を決めたのでは?」と感じてしまうのだ。 とはいえ、作品や物語の中で「キャラクターの生死」を描き、それをドラマやテーマの演出に活用することは、 古今東西・ジャンルを問わず極めて一般的な手法ではある。 スピルバーグほどの監督が理解してないわけではない これは受け止めるしかないのかなとも思う。 ライアン二等兵の存在感の薄さも気になってしまう。 ライアンは題名になってはいるものの、主人公というわけではない。 とはいえ、彼の葛藤や内面がもう少し掘り下げられていたら、物語全体のテーマにより重みが増したかもしれない。 そして、本作は戦争を美化していないと言われるが、ラストのライアンの墓参りのシーンや、星条旗を掲げる映像には 「米国に特化して感傷的すぎる」と感じる部分もあった。 戦争の悲惨さをここまでリアルに描いた映画だからこそ、観客の国籍によっては違和感が残るのではないかと思う。 これをもって本作の評価を下げるつもりはない。むしろ、それを超えるほどの魅力がこの映画にはある。 まず、戦場描写のリアルさは間違いなく映画史に残るものだ。 オマハ・ビーチのシーンは、まさに「戦場に放り込まれた」かのような感覚を味わわせる。戦争を経験していない私だが、 これほどまでにリアルな戦争の恐怖を感じた映画はない。 また、キャスティングも素晴らしい。トム・ハンクスはもちろん、部下たちのキャラクターもそれぞれ魅力的で、 特にバリー・ペッパー演じる狙撃兵ジャクソンの存在感は圧倒的だった。彼の「戦場における信仰」の表現は興味深く、 死の中で神に祈る姿が印象に残った。 この映画は間違いなく傑作だ。 戦争映画の歴史を変え、映画技術を新たな段階へ押し上げた作品であり、映像のリアリティ、俳優陣の演技、 戦争の道徳的ジレンマの描写など、あらゆる点で卓越している。 この映画が「戦争映画の金字塔」であることに変わりはない。 もし、まだこの映画を観ていない人がいるなら、ぜひ観てほしい。 戦争を知らない世代こそ、本作を通じて歴史の重みを感じるべきだと思う。[映画館(字幕)] 9点(2025-03-07 13:58:10)
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5.  キング・アーサー(2017) 古の英雄譚に新たな息吹を吹き込もうとするかのようなダイナミックで華麗な映像美の裏に、編集の乱れと物語の浅薄さが浮かび上がっていた。 そこにはビジュアルの饗宴とその罠に陥った作り手の姿が感じられるのだ。 戦場の壮絶な光景、息を呑むほどのダイナミズムは現代の技術が創り出す芸術作品と言いたくなるほど美しく感じる。 しかし、あまりに派手な演出により、重要な物語の軸が曖昧になってしまった。 映像美に心を奪われ、ときどき物語の核心を見失ってしまう。 それは映像がすごいからでなく混沌とした物語の展開だからなのだ。 英雄譚という題材にしては、ストーリーは如何にも散漫で、次々と場面が飛んでいく。 主人公アーサーが己の宿命に向き合う大切な場面も唐突に描かれ、深い感動を呼び起こすことはなかった。伏線が薄く物語の軸が掴みづらく、 せっかくの主演のカリスマ性も、身の置き場を見失ったかのように感じることがあった 映像技術の進歩は目覚ましいが、やはり物語の核心、キャラクターの内面や人間ドラマこそがこのような中世伝説的物語には大切で、 作品に深みを持たせることには成功してるとは言い難い。 主演俳優の魅力。 素敵な映像に作り手自身が心奪われず、映画本来の魅力である「物語の力」を再認識してほしいと願ってプラス1点[インターネット(吹替)] 6点(2025-03-07 05:39:05)
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6.  シビル・ウォー アメリカ最後の日 《ネタバレ》 観終えてまず感じたのは、「事前に抱いていたイメージと大きく異なる作品だった」という戸惑い。 タイトルから想像する“政府の崩壊”や“内戦によるアメリカの最期”といった過酷な描写を期待していたのだが実際に描かれていたのは、 無秩序となったアメリカを舞台に旅を続けるジャーナリストたちの混乱を追うロードムービー。 戦争や内乱といった大きなテーマを、政府機能の不全や戦闘シーンの連続としてではなく、人間の心理や生活に焦点を当てた描き方は斬新。 また、ロードムービー形式を採用することで、地域性や人々のサバイバル描写に重きを置いている点も興味深い。 “戦乱”を生々しい戦闘シーンとして見せるのではなく、人々の混乱や心情を描いていくのだ。 一方で、タイトルが示唆するほどの「社会構造の劇的な崩壊」がはっきりと描かれていない点には??。 これはおそらく日本語題の問題だろう。作中では内乱が勃発した理由や政府の問題点が直接的に示されるわけでもなく、 大統領の独裁的行動や憲法違反があったらしい、という程度の断片的情報くらい。 そのため、なぜここまで大規模な内戦へ発展したのかが終始つかみづらく、観客として状況をのみこみきれないままストーリーが進んでしまう。 ジャーナリストの視点で“真実を追う”ことがテーマになっているにもかかわらず、彼らが事態の核心に切り込む場面は意外と少なく、 どこか取材の記録映像のように表面的な混乱を映すだけで終始してしまう。 そうなるとやはり内乱勃発の具体的理由や大統領の極悪さなどが説得力をもって描かれていない点が気になって仕方ない。 国民同士が殺し合うほどの内戦であるなら、もう少し観客側が理解できる“決定的な背景”がないと納得できない。 戦争行為の理不尽さを伝えたいのはわかるが、映画としての構成が粗雑に感じてしまうとどうしても付き合いきれなくなっていく。。 さらに、ジャーナリストたちの使命感を描くはずが、いつの間にか戦場を撮り続ける行為そのものが“カタルシス”のように映ってしまう。 実際の戦場カメラマンの持つトランス状態や使命感は、もっと切実で非情なものであるはずだ。 作品の最後では主人公が不思議な“達成感”に包まれているようにも見え、観ている私が取り残されたような違和感に包まれる。 もし、こんなことが起きたら。という状況でのある種のSFのロードムービーとして、 “報道”の持つ意義や危うさ、そして混沌の中にいる人間ドラマを描いている点は評価できるのだろうが、 もう一度観るかと聞かれたら、しばらくは結構です。と答えます。[インターネット(字幕)] 4点(2025-03-06 02:28:03)
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7.  フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン 1969年のアポロ11号月面着陸を背景に、「月面着陸捏造説」を逆手に取ったロマンティック・コメディだ。 テーマとしては宇宙開発の捏造という大胆な切り口だが、その描き方がコミカルで皮肉たっぷり。 主演のNASスカーレット・ヨハンソンと、発射責任者役チャニング・テイタムの掛け合いが秀逸で、二人のロマンスも軽快で微笑ましく、 このコンビの絶妙な掛け合いだけでも充分観る価値がある。 特に感心したのは、月面着陸捏造という大胆な設定を笑いに転じているところだ。 映像を通じて繰り広げられる、ある種バカバカしい捏造劇は、思わず笑ってしまうほど滑稽だが、 一方で、真面目にフェイクを作り上げる登場人物たちを見ているうちに、自分自身の仕事にも似たような滑稽さが潜んでいることに気付かされる。 真面目な表情で必死に取り組んでいるその姿には、自分の普段の仕事の姿を重ねてしまい、不思議な自嘲感にとらわれた。 真剣だからこそ生じる滑稽さという、人間の本質的な部分をうまく突いている。 本作を観て、1978年の映画『カプリコン・1』を思い出した。 『カプリコン・1』は同じく宇宙開発の捏造をテーマに扱っているが、こちらはシリアスで緊迫感に満ちたサスペンス映画だ。 対して『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』は、軽快でコミカルな空気感が特徴である。 この二作品の違いは、まさに描こうとしたテーマに対する「向き合い方の違い」であり、 深刻なテーマを笑い飛ばすことで、逆にテーマの本質を浮かび上がらせているのが面白いところだろう。 しかし、個人的に少し気になったのは、歴史的事実をフィクション化する手法だ。 確かにユーモアとして面白いが、あまりにコミカルな要素が前面に出過ぎると、観る人によっては史実と虚構の境目が曖昧になり、不快感を覚える場合もあるかもしれない。 もう少しだけ、史実への配慮を示しつつ、バランスを取ればさらに奥行きが出る作品になったのではないかと感じた。 とはいえ、『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』は全体的に非常に楽しい映画だ。 スカーレット・ヨハンソンの鮮やかな演技もあって、宇宙開発を題材とした映画としても、 ラブコメとしても純粋に楽しめる出来栄えとなっている。 ちょっとだけ複雑な気分になった自分の心を含めて、鑑賞後にはどこか愛着を感じる、不思議な魅力にあふれた作品だった。[インターネット(字幕)] 9点(2025-03-05 01:28:37)《改行有》

8.  her 世界でひとつの彼女 《ネタバレ》 10年前に字幕版で鑑賞しているが、今やAIが現実にヒトと対話する時代になった今、今回改めて人とAIの関係として觀なおした。 以前の鑑賞時は愛を語るAIなんてSFの世界。ところが10年の間にAIと擬人的に接する時代になってしまった。 『her』は、AIとの恋愛をテーマにしたロマンティックなSF映画。 人間の心の成長や癒やしとして人の代わりにAIが支えると思えたが、結局はセオドアは同じ人間である友人と寄り添うラストシーンが示すように、人間は人間を必要とするというメッセージが込められていた。 しかし、物語の構造自体は単調で、恋愛とか、出会いと別れとかの観察なんて、 見ようによっては一般的な恋愛映画のように退屈でAIという斬新な設定を十分に活かしきれていない。 途中。テレフォンサービスでもできることやってるだけと思ったら崩壊するくらいのAIのキャラクター設定なんだよね。 おまけに主人公セオドアの魅力や内面的成長は薄くイライラする。高度な知性を持つサマンサがなぜ彼に惹かれるのか、 それは仕事だからでしょ。と思ったら先に進まなくなってしまう。 結局は設定ありきが先に立ち、感情移入を阻害している。 おまけに性的な描写やつまらんゲームキャラクターなど、 一部のシーンが作品性がを高めてるのに観客の気分を上げたり落としたりで違和感を覚える。ったく。 でもでも、なんとスカーレット・ヨハンソンが声を演じるAI「サマンサ」の存在感が字幕版では救いだったのを覚えているが、今回はなんたって吹替版だ。笑 さて、今回鑑賞して感じたこと。 サマンサがAIとしてあまりにも擬人的すぎて、人工知能特有のジレンマが伝わりにくかった点がある。 多分思い切り人間以上になしづけた感があった。当時はAIがここまで現実的に存在しなかったため、ファンタジーとして受け入れたが、 現在ChatGPTのような生成AIが現実に人と交流をする時代になると、この点の煮詰めが浮き彫りになる。 現代のAIとの交流を体験してしまった今、改めて本作を観ると、 AIが持つべき「人間との距離感」や「心の解析に伴うジレンマ」に対する描写がどうなのか。 AIが人間的な感情を持つこと自体よりも、人間がAIと深いコミュニケーションを図ろうとするときに直面する障壁があって、 実はそれこそが人と人のコミュニケーションを理解することであったりすることが現在になって言われ始めた。 AIとの対話・恋愛の可能性も、近年、AIを会話相手や恋人のように扱う人々が現れ始めているようで、 たとえば、AIチャットボット「Replika(レプリカ)」はユーザーのメンタルヘルスケアや対話相手になることを目的としたアプリなのだが、 1万人以上のユーザーがReplika上で恋愛関係を擬似体験しているとも言われている。 中には『AIとの結婚式』をオンラインで挙げる例すらあるとのことなのだ。 そんななか、 この映画を観ていると、ファンタジーといって割り切れなくなっている自分に気がつく。 もう少し楽しめるかと思ったら、先も読めてきて楽しめない。 途中で観るのをやめようかとも思ったけど、まあ最後まで鑑賞はできた。 総じて、本作はビジュアル的には美しく、ロマンティックな雰囲気を持つが、 AIと人間の本質的なテーマに切り込むものではない。 誤解のないように書いておくが、これは作者に責任はない。 当時はテーマに対しては少し浅い物語とは思ったものの、楽しめたと言う記憶がある。 今回の落差は現実世界の進歩が映画を超えてきたという状況が理由なのだ。 評価として、これはツライなぁ。と言うのが正直なところで 10年前に見た頃ならば7点献上したかもしれないが、 今評価しろと言われれば棄権します。もしくは正直に3点となってしまう。 これは製作者の責任ではない したがって、中をとって5点献上します。 すでに半世紀を越えても評価の衰えない2001年宇宙の旅とは何が違うのだろうと考えてしまった。[インターネット(吹替)] 5点(2025-03-04 22:20:06)(良:1票)
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9.  ドント・ウォーリー・ダーリン 《ネタバレ》 ~美しくも不穏な世界観が魅力の、少し惜しいSFミステリー~ 総合評価:4 +1(俺はこういう設定は好きなので+1) 1950年代を舞台にした美しい街「ヴィクトリー」。 ヴィンテージ感溢れる美術的なミステリー仕上げは見ごたえ抜群。 特に主演のフローレンス・ピューの演技が非常に魅力的で、映画の緊張感を高める。 ただ、 終盤の謎解きが駆け足気味で設定の背景整備に雑な部分があり気になってくるかも。 パラレルワールド的展開に興味があり、映像美を楽しみたい方にはおすすめ。 一方で、ストーリーに辻褄を求める方にはやや不満が残るかも。 ― ここから先はネタバレを含みます ― 実はこの世界が男性優位の思想を具現化した仮想空間(VR)だと明かされる展開は衝撃的で、 1950年代風の世界観が逆説的に 不気味なディストピアとして明確になっていく美的センスがいい。 物語の謎解きが一気に終盤で行われキャラクターの行動にも納得できず。 特に、仮想世界を維持するためのご都合な設定に気が向いてしまう。 現実世界で稼ぎの良いはずの嫁が動けてないのにどうやって生活してんだ。 など気になって頭から離れなくなる。 キャラクターの動機付けももう少し納得ゆくように描かれていたら、 より完成度が上がったのにね。 しかし、ジェンダー批評の視点で見ると非常に興味深い作品であり、 『マトリックス』や『ステップフォード・ワイフ』と比較すると、 より社会批判的なテーマに重きを置いて、逆説的恐怖でそれを感覚化したのは高評価。 総じて、多少の粗さはあるものの、 テーマ性と映像美は秀逸で、そこに価値あると感じるかどうかで評価が決まるけど、 やっぱりもうちょっと煮詰めるって難しいのですね。 もったいないなぁ。[インターネット(吹替)] 5点(2025-03-04 02:25:18)(良:1票)
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