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1. らくだの涙
《ネタバレ》 広大で美しいが厳しいモンゴルの大自然の中で暮す遊牧民一家の素朴な生活が淡々とした映像で綴られる。
ドキュメンタリーといっても物語上彼らが再現して演じているところもあるそうだが、どこにも作為も違和感も感じない。
舞台自体が珍しいが、質素でシンプルな遊牧民一家の日常や家畜との関わりなどがとても興味深く感慨深いものがある。
育児をしない母ラクダへの音楽療法はこの地に伝わるもので特別珍しいことではないらしい。
町から呼ばれた音楽家が馬頭琴を弾き、若いお母さんがやさしくラクダを撫でながら歌を歌って聞かせる。(このお母さんの歌がとっても上手)しばらくすると母ラクダは涙をポロンポロンとこぼしあんなに嫌がってた子供に乳を飲ませはじめる。
奇跡のような母ラクダの母性の目覚めに感動して涙が出てしまう。
家族の一員のように「良かった、良かった」とみんなで喜ぶ様子がとても暖かくて優しい。出産ストレスで子育てをしないラクダというのにビックリだが、こうした音楽療法がラクダに効くなら人間にも効果があるかも、、と思ったりする。
エンドクレジットがまた微笑ましくて嬉しくなってしまう。
8点(2004-10-08 22:17:25)《改行有》
2. ライフ・オブ・デビッド・ゲイル
《ネタバレ》 終始緊張感があってぐいぐい引きつける展開は良く出来ているし、ケイト、スペイシーなどの出演者もうまい、
テーマもはっきりしてて印象的、というので良く出来た映画だと思います。
しかしそういったことはいいとして、この内容には素直にうなづけないところがあります。
この作品を作った人たちは死刑反対論者だろうと思うのですが、「冤罪で死刑になった」ということを実証するために
無実での死刑を演出するというのは極端すぎる。死刑反対論にしても冤罪はまた別問題でしょう。
コンスタンスは余命のない命を捨て、ゲイルは自らの責任で破綻した生活にやけになったように命を投げ出す。
被害者の自作自演という奇天烈で手の込んだ計画の真相を、ビッツィはなぜかあっさり見破ってしまうし、、
死刑反対演説で「犯罪者の人権を尊重せよ」とは言っても、被害者の人権が侵されたことには言及しません。
でもまぁ舞台は死刑の多いというテキサス州だし、日本とはまた切実さが違うのかもしれません。
いずれにせよ内容が衝撃的なだけに非常にインパクトの強い作品でした。
7点(2004-07-30 21:36:00)《改行有》
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