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プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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【製作国 : ドイツ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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41.  ナイト・オン・ザ・プラネット ジャームッシュの手にかかれば誰だって映画の主人公になれる。人が人に出会う、その前もその後もおそらく他人のままの二人の一回だけの出会い。その一回きりの出会いさえあれば映画ができる。世界中の中から5つの都市が選ばれ、それぞれの場所で、タクシー運転手と客のひとときを切り取る。5つの都市といっても登場する人たちのバックボーンはもっと複雑で、様々な人種が交錯する様はいかにもジャームッシュ映画。ジャームッシュは常に映画の中で様々な国の文化に触れ、文化と文化が自然に、あるいは不自然に溶け合う様を好んで取り入れている。そういう意味ではこの作品は最もジャームッシュらしいと言える。その一方でジャームッシュらしくない部分もある。それは一つ一つのエピソードがひとつのストーリーとして洗練されすぎている点。どのエピソードにもささやかな伏線がありささやかな起承転結がある。脚本が出来すぎなのだ。ここまで完成された5つのショートストーリーを見せられたら、いくらそれが「らしくない」といっても満足度のほうが大きいので個人的にはOKなんですが。彼の作品の中では、映像よりも脚本のうまさというか、話の構成のうまさというのが印象に残る作品。[ビデオ(字幕)] 7点(2006-05-12 16:09:35)

42.  ダンサー・イン・ザ・ダーク 《ネタバレ》 ハート・オブ・ゴールド三部作の最終作ということで、主人公はやっぱり無償の愛を提供することになんのためらいも持たない女である。愛という言葉が正しいかどうかは別にして、純粋な心の持ち主ではある。息子に対する自らの犠牲もいとわない愛が死の恐怖に打ち勝つためにミュージカルという虚構の世界が存在する。ミュージカルシーンの鮮やかな色彩に驚いた。ラース・フォン・トリアーは、これまでの作品でも色彩の異なるシーンを挿入してきたのでミュージカルシーンの色彩の変化は予想の範ちゅうであったのだが、それでも驚いた。これは色彩の変化だけではなく、ミュージカルシーンそのものが非常に完成度が高かったからに他ならない。ドグマ95を立ち上げて以降その約束事にもある手持ちカメラを使用してきているので、手振れも予想の範ちゅうである。しかし手振れ具合が展開を追うごとに少なくなってゆくのは予想外。共産主義国から超資本主義国に移住してきた主人公はミュージカル映画でしか知らないアメリカを体現してゆく。同時に視力がどんどんと無くなってゆく。彼女の中でのアメリカの理想と現実の格差が手振れによって表現されていたのかもしれない。そしてその格差は彼女から現実を遠ざけ妄想へと導いてゆく。視力の低下がそれを加速させる。彼女の妄想は彼女の現実となり、存在しない理想のアメリカを堪能しながら逝く。ミュージカルの概念の崩壊といい、撮影手法といい、斬新さが目につきがちだが、トリアーにとっては奇をてらったわけではなく計算されたものの結果だと思う。[ビデオ(字幕)] 7点(2006-04-14 21:48:23)

43.  人生は琴の弦のように 《ネタバレ》 琴を弾き続け千本の弦を切ったとき、琴に潜めた処方箋によって目が見えるようになる。決定的なネタバレになりますが、結果は目が見えるようになることはなく落胆します。しかし彼の人生が全く無駄なものだったのかといえばそうではない。その証拠に彼は弟子に千二百本の弦を切れば・・・と伝える。盲目の人間にとっての過酷な人生を生きてゆくための目的を与えている。ところが弟子はその生き方を拒否する。人に目的を与えてもらうのではなく、信じる道を自ら選択しようとする。これもまた人生。中国激動の時代を生きたチェン・カイコ-は当時の政策を映画の中でよく暗喩的に、あるいは物語の悲劇性をもって批判している。この作品も、あの理想を掲げただけに終わった時代のうねりはいったいなんだったのか?という批判。そして、その中を生きたことはけして無駄にはしたくないという想い。さらに個人の意思を持つことの大切さをこの映画は説いているように思う。静かなる大地と激しすぎる黄河の濁流もまた「人生」を象徴する。[ビデオ(字幕)] 7点(2006-04-10 19:12:47)

44.  ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ 演奏の合間に挟まれるメンバーの素顔を映し出すカメラが動く動く。その動きは極めて滑らかなんだけど動きすぎ。でも、カメラがある建物の中に入って階段を上りピアノの位置まで寄っていくシーンの流麗な動きにはちょっと感動した。音楽ドキュメンタリーということで「ライブ映像とその舞台裏」が慌しく映し出されたものを想像していましたが、この作品は慌しいどころか非常にのどかな雰囲気で被われている。メンバーたちは皆楽しそう。過酷な時代を語る顔にも悲壮感は無い。どうやったらあんなにも心に響く音楽を奏でられるのだろう。どう生きればあんなにも元気な90歳になれるのだろう。あの年で「英語を勉強したい」には正直たまげた。私はあの老人たち以上に老人のような気がする。その元気の源がキューバにある、と映像が教えてくれる。私は音楽よりもキューバの風景に感動した。キューバに行きたい!! でもメンバーたちはニューヨークに感動してるんだな、これが。[映画館(字幕)] 7点(2006-01-27 15:40:18)

45.  ランド・オブ・プレンティ ヴェンダースにしてはメッセージ色の強い作品。セリフ過多のそのメッセージはヴェンダースがいかにアメリカを愛しているかということの証明でもある。その中で『ミリオンダラー・ホテル』を彷彿させる青みがかった映像がリアルな政治色を排除するかのように美しい虚構性を醸す。さらに、『都市とモードのビデオノート』以降描かれてきた「映像のあり様」がここでも描かれる。ハイテクが作り上げた映像と自らの概念だけで物事を判断し、行動する伯父。一方、ノートパソコンをコミュニケーションツールの一部として利用するものの、何よりもじかに見る、じかに会うということを本能的に重んじる姪。はるかイスラエルからやってきた姪の目的は母の手紙を渡すこと以上に「会う」こと。また、浮浪者の死の謎を解明するよりもまずその屍を親に直接持っていくことを優先する。出会うことで何かが生まれる、出会わなければ何も生まれない、というロードムービーの大原則の意味するものこそがヴェンダースが愛するアメリカに向けたメッセージなのだと思う。[映画館(字幕)] 7点(2006-01-26 16:37:26)(良:1票)

46.  ポーラX この作品の予告編がものすごいインパクトを持っているんですが、本編は期待しすぎたせいか予告編以上の感動がなかった。でも予告編にインパクトがあるってことは、それだけ印象的な画が間違いなくあったってこと。映画に嫌われて8年の空白をあけてようやく帰ってきたカラックスのこの作品の主人公はこれまでのカラックスの作品同様、身体の一部を損傷します。指の怪我から別の世界への旅立ちが始まります。終盤には杖無しでは歩けず、視力も失いかけてゆきますが、前作『ポンヌフの恋人』の男女の損傷を一人で背負っていることになります。さらに舞台を華やかなフランスの中にある難民問題を抱える闇の部分とすることで、主人公をとことん落としてゆきます。新進気鋭の謎の作家として世間を賑わし、手のひらを返したように「妄想と混乱の産物」「ただの模倣」と酷評を受ける様からも、まちがいなくカラックス自身を被せています。自分の魅力が未熟さにあることを悟り、ある意味開き直って作ったような気がします。アレックス三部作が青くて痛かったように、この作品にはカラックスの絶望がストレートに表現されている。これまでの作品でスクリーンにみたてたウィンドーガラスを木端微塵にしてしまう辺りにこだわりを感じます。と同時に映画との決別の意味かとも思えて、次回作も見たいと思っている者としては気が気じゃないです。駄作と評されていようが私にとっては惹かれる作品であり、惹かれる作家です。[ビデオ(字幕)] 7点(2005-07-15 20:05:03)

47.  愛のめぐりあい フランスとイタリアの4つの都市を舞台にした4話からなるオムニバス。なんでも、一度倒れて、その後遺症で言葉を発することができなくなったアントニオーニに対して制作費を出す条件がヴェンダースを共同監督とすること、だったそうで、ヴェンダースはこの作品の前と後、そして各エピソード間の挿話を撮っている。ヴェンダースが担当するのは第2話で登場するマルコビッチ演じる映画監督が次回作の舞台選びに4つの都市をまわっていくという所謂ロードムービーなわけで、彼らしさが発揮できる展開なわけで、当然こちらはアントニオーニとの高度な映像バトルを期待したわけですが、意外にも全てがアントニオーニ色に染まっている。もちろんアントニオーニの映画なので、ヴェンダースがアントニオーニ風に撮ったのでしょうが、そもそもヴェンダースの中にアントニオーニ的なものが備わっていたのだろうと思いました。とか言ってるあいだに4つのエピソードに関するコメントを書くスペースが無くなってしまった(トホホ..)。「ありえない恋の話」の町並み、「女と犯罪」の港、「私を殺さないで」のガラス張りの建物、「死んだ瞬間」の教会、どれもが有名無名の俳優たちが見事に情景に溶け込んだ美しい作品でした。[ビデオ(字幕)] 7点(2005-07-08 15:09:23)(良:1票)

48.  ルナ・パパ 内容を掻い摘んで話すとすんごい悲劇的なお話なんですけど、これがなんとも愉快な映画になってる。そして「映画」の持つ様々な要素を多分に含んでいる。戦争の後遺症で精神に障害をもつ兄の存在や父親が誰かもわからない子を身ごもったために村八分にされるという閉鎖的社会の描写などに代表される社会風刺、主人公のキャラを活かした笑い、家族の絆を描いたテーマ性、まだ生まれぬ子のナレーションで始まりまた終わらせたことで一貫して母の物語としたメッセージ性、村や村の人々を細やかに描いたリアリズム、ラストがびっくりの幻想的な展開と娯楽性..。よくまあ、うまく仕上げたもんだ。主人公の優雅なダンスとこれまでに見たこともないほど幻想的で美しい性交シーンが印象に残ります。ラストは封建的な社会からの亡命を意味するのでしょうか。社会のための社会から個のための社会への。7点(2005-01-28 14:02:26)(良:2票)

49.  点子ちゃんとアントン これはなかなかいいですよ。タイトルがいかにもお子様向けなんですが、冒頭で家庭教師のロランスがスクーターで点子ちゃんを後ろに乗せて街中を走るシーンで、大人も楽しめる映画と確信しました。子供の視点で描いていたかと思うと、アントンのワゴン車に乗っての父親探しは、突然大人の世界へ飛び出したかのごとくカメラはそれまでの画と一転して情景を大きく捉える。登場する人物たちそれぞれのキャラクターもしっかり描けているし、おまけに楽しいミュージカルシーンまである。おきまり感いっぱいのハッピーエンドも点子ちゃんの最後の”大人な”一言でうまく締めてます。7点(2004-12-16 13:54:41)

50.  ライフ・オブ・デビッド・ゲイル 《ネタバレ》 シリアスな題材でありながら、問題提起をして観客に訴えかけるといった類ではなく、あくまで”娯楽映画”として完成させるのがアラン・パーカーの映画。今回は死刑制度というかなりヘビーなものを持ってきたが、それでもまじめに”娯楽”に撤し、ちゃんと”娯楽映画”が出来ちゃうんだからやっぱり凄い。オチは確かに読めちゃいます。弁護士のせいで終身刑のところを死刑にされたのにそのまま雇い続けるというところや記者に与えた調査期間の短さなんかを考えると確信まで持ててしまうオチ。それでもラストのビデオ映像には愕然とさせられる。脚本?いやいや、やっぱりアラン・パーカーの手腕によるところが大きいでしょう。アラン・パーカーだから深く考えてはいけないと思って見た事も大きいかな?7点(2004-08-27 12:42:21)(良:1票)

51.  ゴースト・ドッグ ジャームッシュの映画で二丁拳銃が見れるとは思わなかった(ちょっと得した気分)。異文化の精神世界に酔狂する主人公という設定はなんとなく「デッドマン」を彷彿させる。相変わらずのカッコイイ映像にはほれぼれするが、犬の存在が最後消えていたのでそこが気になる。なんでもかんでもリモコンで悠々と、というのも簡単に進めすぎに感じる。でもあのリモコン欲しい。7点(2004-01-26 12:07:51)

52.  ビヨンド・サイレンス 《ネタバレ》 ↓ぐるぐるさんの言われるように特殊な話ではないですよね。家族愛がテーマになってます。お互いに伝える術をたくさん持っている健常者であっても同じような親子の葛藤はあるわけで、ハンディキャップがなくてもいいテーマなんですが、こんなことを書いたらしかられそうだがそれがあるからこそ家族の絆をより鮮明に描くことが出来た作品だと思う。叔母の旦那が、叔母が家族(とりわけ兄)といがみあっていることについて「それくらい愛されたかった」というセリフが印象に残る。ん?という事は私も妻に愛されてる?そんな事はさておき、手話って素晴らしいコミュニケーション方法ですね。車の中の叔母と家の中の兄(ララの父)とのやりとり、最後のララと父とのやりとりでそう思いました。離れていても表情を見ながら会話ができるなんて。電話で済ませるより会うのが一番、ということですね。でもララの子供時代の学校や会社での通訳はどうなんだろう。書けばいいのに。7点(2004-01-16 10:42:00)

53.  トト・ザ・ヒーロー 《ネタバレ》 幼少期に誰もが持ち得る劣等感。しかしこの主人公の劣等感は並々ならぬもの。思い込みが更なる悲劇を呼び感情移入なんてとうてい出来ない。が、この映画はコミカルな演出によりちゃんと第三者の視点から観させてくれる。私も最後は笑って死にたい、じゃなくて死んだ後笑いたい。7点(2003-12-25 12:16:17)

54.  アメリ 素朴な話を凝りに凝った映像で見せてくれる。途中だらだらと感じる部分も映像がカバーしている。アメリ役の人、よくこんなぴったりな人を見つけたもんだ。一番笑ったのは、小さい頃のアメリの復讐劇。7点(2003-07-29 13:24:21)

55.  アンチクライスト 最後に「タルコフスキーに捧ぐ」とあった。森が歪む映像なんかはソクーロフ(タルコフスキーが擁護した)を想起したんだけど、動物の使い方やオカルトチックな流れや何よりも森そのものから生まれるサスペンスなんていうのは確かにタルコフスキーの映画だ。しかし「神」が「悪魔」にとって変わっただけでタルコフスキー的なるものがトリアー的なるものへと変貌する。列車と催眠術は初期トリアーの定番アイテムだし、セラピーというアメリカ映画の定番を皮肉った展開にもトリアーの影を感じなくもない。ましてやアメリカ人俳優ウィレム・デフォーの災難ときたら・・。でもトリアーの映画の面白さは映画の可能性を提示しているところにあるのだと思っている私にとっては今回のはいまひとつな作品。今まで映画ではあまり見た記憶がない1シークェンス全てスーパースローモーションとか列車のシーンに見せたサブリミナルぎりぎりの映像とかも奇抜なれど新しくも面白くもない。それでも私にとっての十分な合格点に行き着いたのはラストシーンの壮大な画につきます。あれは凄い。[映画館(字幕)] 6点(2011-04-18 15:55:26)(良:1票)

56.  バーダー・マインホフ 理想の果てに 後にドイツ赤軍と呼ばれる組織の成り立ちと行く末が丁寧に描かれてゆく。さすがに全てを描ききるなんてことができるわけないので、初期主要メンバー3人の動向がメイン。テロは犯罪だから許してはいけない、と今なら言えるが、当時の社会を省みた場合、テロ行為は国家の作った法によって守られた合法的犯罪に抵抗する唯一の手段だったことがよくわかる。破壊行為は革命行為であり、そもそも体制批判なのだから体制の作り上げた法を遵守する必要がない。ベトナム戦争を発端とする反米デモと、暴力でそのデモを一掃した国家。この事件をきっかけとし、反ナチズムが反体制へと受け継がれる時代背景とリンクし極左組織が生まれてゆく必然が描かれる。そして体制をつぶすための破壊行為が、反体制であるがために抑止力を持ちえず、次第に犯罪行為そのものが目的となってゆく必然。ここまでの全体の流れが実にわかりやすく、面白い。ただ、肝心のメンバー逮捕に至るまでの体制側の描き方がブルーノ・ガンツの独り舞台であまりに短絡的に過ぎる。また逮捕後の展開が駆け足に描かれるのはしょうがないにしても組織の塀の中と外、どっちつかずの描き方も面白さを半減させているように思う。[DVD(字幕)] 6点(2010-10-19 14:42:39)

57.  ワルキューレ これは暗殺計画というよりもクーデター計画であって、殺すことが目的ではなく殺した後に政府を掌握することが目的なのだ。つまり単純な「殺し」ではなく「殺し」も含めた複雑な「謀(はかりごと)」なのだ。映画は断然単純なものを描く方が面白い。それでもブライアン・シンガーはこの「謀」を面白く見せようと奮闘する。反ヒトラー派といってもその思想や思惑は人それぞれであって、当然そこには確執やら葛藤やらというドラマがあって、政治的なあれこれも絡んでくるはずなのだが、そこんところはあんまり描かない。極力、シンプルに。極力、事象だけを見せようとする。結果、面白かった。でも物足りなさもある。ドキドキはいっぱいあった。計画はうまくいくのだろうか。などと思ってドキドキするわけではない。計画がうまくいかなかったことで何が起こるのかでドキドキするのだ。じゃあ何が物足りないのか。おそらく「謀」を面白く見せることとドキドキさせることに関して完璧に過ぎるのだ。怒りとか恐怖とか執念とか、そういった人間的な感情が希薄、、いや違う、そんなもんいらんか、もっと、この映画に不似合いないかがわしいものでこの完璧さにひびを入れて欲しい。って思うのは変か?[映画館(字幕)] 6点(2009-12-17 16:40:14)

58.  トロピック・サンダー/史上最低の作戦 《ネタバレ》 人気ラッパーの名前がアルパ・チーノってのが元ネタの人の昨今の大袈裟な台詞回しを揶揄しているのかどうかは知らないが、きわどいなと。映画はまずこのラッパー出演の清涼飲料水のCM、そしてユニバーサル配給のいかにもハリウッドアクション大作のシリーズ新作のCM、それからこちらはニューラインシネマで、特殊メイクを駆使して一人で何役もこなすというどこかで見たことあるようなコメディ映画のこれもシリーズ新作のCM、最後はフォックスで問題作であることをウリにした真面目を装った映画のCMが流れる。要するにこの4本のCMに登場する個性豊かな4人が一つの作品を作り上げてゆくということになるのだが、この4人という数に問題がある。多すぎる。実際映画はほぼ2人に絞って見せてゆくのだが冒頭の対等さからすれば編集の段階で切られたんじゃなかろうか。ここまで切るんなら、あるいはそもそもそこまでの役ならば少なくともジャック・ブラックはいらんでしょ。一方ちょい役ながらトム・クルーズの存在感は際立っていた。むちゃくちゃ楽しそうに見えるし。エンディングなんて独壇場にしちゃってるし。てかエンディングを独壇場としてあけわたしたベン・スティラーもいいセンスしてる。[DVD(字幕)] 6点(2009-12-11 15:30:14)

59.  クジラの島の少女 《ネタバレ》 何人かの方が触れられていますが、私も『風の谷のナウシカ』を想起しました。伝説の再現という現象もさることながら画的にもそっくり。・・・伝統を守り続けるということは伝統を継承するということであり、伝統とは生活、習慣、行事、全てに伝統はあるわけで、族長は男でなければならないというのはその一部にすぎない。それでもそこに拘る族長はえらく保守的とも思えるが、必要以上に保守的にさせているのが欧米生活の急激な進出とその合理性が持つ力への警戒心なのだろう。男尊女卑的にも見える慣わしではあるが族長自身の孫にあたる主人公の少女に対する愛情の深さはそんじょそこらのおじいちゃんには負けない。この二人の関係が目立たず、しかししっかりと描かれているから少女がおじいちゃんの意思を継ぎたいと思い、無理を承知で懸命に族長を目指す展開に信憑性を持たせている。同時に作品の持つ小難しいメッセージ性よりも癒し系の色合いを濃くしていて好感が持てる。クライマックスのいわゆるナウシカなファンタジーは先進文明下では起こりえない現象としてアリだと思うし、美しい画づらともども感動的でもあったのだが、その後が駆け足にすぎる。ラストの画が映るまでに病院シーンのしんみりした余韻をもう少し味わいたかった。[DVD(字幕)] 6点(2009-07-17 17:27:44)

60.  善き人のためのソナタ 《ネタバレ》 レーニンがベートーヴェンの「熱情ソナタ」に対し「これを聴くと革命が達成できない。この曲を本気で聴いた者は悪人になれない」と言ったというエピソードが紹介される。芸術家を監視する、国家に従属する男の心の変化の伏線となっている。冒頭の尋問シーンや講義シーンからもわかるように主人公はそんじょそこらのことで動揺するようなタイプではない。だから監視される男女の思いやりや苦悩を見たからといって国家に背くはずなどあり得ない。やっぱりそこには真の芸術家が奏でる「善き人のためのソナタ」を聴いてしまったがための変化ととらえていいのではないだろうか。本物の芸術に触れた者はその芸術を守ろうとする。あるいは本物の芸術に触れた者はその芸術を葬り去ろうとする者が許せない。芸術を理解する者としない者に線を引き理解する者の側に近寄ってゆく。しかしここで大きな不満がある。監視者は「善き人のためのソナタ」で涙を流すが監視者を監視する我々には響いてこない。ここはオリジナルもいいが既存のクラッシック曲でも良かったかもしれない。そして何よりも重要なのはその曲をまるごと聴かせることだ。『トウキョウソナタ』のように。『夜顔』のように。我々が本物の芸術を感じないことにはどうにもならないと思うのだが。[DVD(字幕)] 6点(2009-03-25 13:34:19)(良:2票)

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