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1. 007/カジノ・ロワイヤル(2006)
以前観ていたけど、新作を観るために再度観直した。
乱暴な言い方をすれば、「BATMAN BEGINS」「Jason Bourne」シリーズがあったからこそ、新しい007は生まれたのだと思う。
この作品はジェームズ・ボンドが007に昇格した頃の話、つまり長く続いた007シリーズが一旦リセットされる。
それに伴ってか、ボンド自身も酸いも甘いも経験した超人的なスパイキャラではなく、感情を表に出す、荒削りなキャラクターになっていて、さらにそれまでの破天荒なストーリー展開ではなく、リアリズムを追求した作風になっている。
この構造はリアルなバットマンを描いた「BATMAN BEGINS」と、ファンタジー色が強かったティム・バートン~迷走を極めた能天気ヒーロー物となっていた過去の「BATMAN」シリーズとの関係に似ている。
また、リアリティの範疇で描かれるアクションシーンや、臨場感のある撮影方法は「Jason Bourne」シリーズの影響を感じずにはいられない。
思えば「Jason Bourne」シリーズは、エポックメイキング的な作品だった。ストーリー、作風、アクションシーン、すべてが過去のスパイ物映画を陳腐に感じさせてしまうほどの完成度の高さで、個人的にはスパイアクション映画において「Jason Bourne 以前以降」で語られてもおかしくないのでは、とさえ思った。
新しい007はその影響を感じさせながらも、「ジェームズ・ボンド」という偉大なるキャラクターがいるからこそ、「Jason Bourne」の二番煎じにならないバランスを保っている。なんといっても、ダニエル・クレイグのボンドが魅力的なのだ。
公開前は賛否両論だったクレイグボンド。どちらかというと「非」の声が多かった気がする。「Tomb Raider」「Road To Perdition」「Munich」などで個性的な脇役を演じたクレイグだけど、ロジャー・ムーア~ピアーズ・ブロスナンと続いた甘いボンド像とはかなりかけ離れている。
当初はユアン・マクレガーに出演依頼があったらしいのだが、結果的には優しい雰囲気のユアンよりも、クールで職務遂行の意志を強く感じるクレイグのほうが、新しい007像を生むにはプラスに作用した気がする。[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-01-25 15:57:52)《改行有》
2. Vフォー・ヴェンデッタ
《ネタバレ》 哲学的な台詞まわし、雨、無限のコピー(というか当事者)と、「MATRIX」を思い起こさせるアイテムがそこはかとなく見え、ウォシャウスキー色が色濃く感じられる。
しかもV役は映画史に残る奇天烈キャラクター“エージェント・スミス”を演じたヒューゴ・ウィービング。これも「MATRIX」との共通項。
そしてなんといっても根底に流れるテーマ「REVOLUTION(革命)」。
もともと複雑な設定に加え、最終的には収集がつかなくなった状況を力技で収束させた「MATRIX」に比べ、遥かに理路整然と整理され、それゆえにストレートにメッセージが伝わってくる。
世の中を変えるのは、状況を変えるのは意思。
これは思想映画であり、「MATRIX」との姉妹作品であると感じた。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2007-08-26 22:54:38)《改行有》
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