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【製作国 : ドイツ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. ファイト・クラブ 《ネタバレ》 ■どうも気分が晴れないときに観てしまったので、益々落ち込んだ。が、これは傑作だ。■暴力描写や『エンゼル・ハート』オチ、文明批判などは、本作の本質ではない。間違いなく自己快復がテーマである。主人公の煩悶の質は決して分かりやすいものではないだけに却ってリアルで、それが快復へと向かうための壮絶なプロセス、生みの苦しみを、2時間以上延々と見せられるのだから、そりゃ気が滅入る。■『マルホランド・ドライブ』や『ブレードランナー』のように、解釈すべき表象に満ちている映画でもある。タイラーはもちろん、マーラですら主人公の精神の副産物かもしれない。いや、一応は実在的な存在と読めるのだけれど、主人公が自己を再構成するに当たって必然的な存在である点が、どうも怪しいという気もする。最後がサブリミナルで終わったり、ノートンとピットがカメラ目線であるようなメタ構造があったりするところも勘案すると、究極的には『エンゼル・ハート』オチではなく、夢オチなんじゃないか、とか。そんなことも含めて、解釈の可能性はいろいろとありそうだ。■そもそもその手の映画は成功させることは難しい。よっぽど監督に技量が無いと無理である。さもないと、仕様もない表象遊びが見え見えの厭味な作品にしかならないに決まってる。フィンチャー監督は、先に挙げた2作の、デヴィッド・リンチ、リドリー・スコットに比肩する仕事を成し遂げたといえよう。[DVD(字幕)] 8点(2009-03-13 00:57:50)(良:1票) 2. トロピック・サンダー/史上最低の作戦 《ネタバレ》 ■期待し過ぎたのが災いしたか、序盤以外は殆ど笑えなかった。劇場の他のお客さんも同様だったようで、中ほどからピタリと笑い声が止んでしまった。別にギャグの過激さが度を越して、その余りのブラックさに引いたというわけではなく(例えば監督爆死シーンなどは充分笑えた)、やっぱりアメリカ人だからこそ分かる笑いだったからか、個々のネタの背景の事情に通じてないと分からないものばかりだったからか、その辺が理由だろう。■日本人の僕には、割とシリアスとも取れるシーンが多すぎた。カークとアルパのやり取りなどは、ごく普通に人種問題を扱っているとしか思えなくて、何ら笑う余地すらなかった。■パンフは800円もするだけあって、とても豪華。劇中映画の方のパンフまでついてくるご丁寧さだ。ただ、ネタの背景を説明する記事に多くのページが割かれているところをみると、「いや~、これは説明しとかないとウケないよな~」と、編集者は思ったに違いない。[映画館(字幕)] 3点(2008-11-24 15:25:48) 3. ブラックブック 《ネタバレ》 ■最初「戦争に翻弄される一人の女性の波乱万丈記」をイメージしていた。もちろんそういった側面も強いのだけれど、観賞後に残るのは、サスペンス映画としての後味。■カリス・ファン・ハウテンという女優さんをはじめて観たが、体を張った大熱演に心打たれた。恐らくオランダの国民的女優なんだろうけど、汚物を被る国民的女優というのもスゴい。■ラストがややあっさりし過ぎか。[DVD(字幕)] 7点(2008-07-21 21:01:09) 4. エリザベス:ゴールデン・エイジ 《ネタバレ》 ■歴史ファンが歴史大河モノの観賞する場合、キャスティングの妙や、事跡のディティールの表現、解釈を楽しむワケだが、残念ながら自分は英国史に疎く、その愉悦を覚えることが叶わなかった。■もちろんそれは自分の責任だから、それを差し引いて、つまり歴史ファンじゃない一般の観客として作品を鑑賞するべきだろうが、しかし本作の「歴史大河モノ」臭は、作り手が英国史ファンたる鑑賞者を前提にしていることを示すに充分と言えよう。残念ながら自分はお呼びでなかったのである。■はっきり言ってしまえば、「歴史大河モノ」としてのエッセンスを本作から除いてしまったら、「立場ゆえの叶わぬ恋」みたいなテーマがありきたりのプロットでなぞられる程度のものしか残らないのだ。■然るにこの作品は本来堂々たる「歴史大河モノ」であるべきであって、それならそれで戦闘シーンに金かけて欲しい。エリザベスが馬上で兵士に演説するシーンなぞ、兵士役のエキストラは200人いたかどうか…。■ケイト・ブランシェットが当代随一の女優の一人であることだけは確認できた。[映画館(字幕)] 4点(2008-02-18 15:30:30)
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