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プロフィール |
コメント数 |
1307 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。 【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。 【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。 5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。 また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。 |
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1. コスタリカの奇跡 ~積極的平和国家のつくり方~
《ネタバレ》 平和国家として大人気の中米コスタリカを扱ったドキュメンタリーである。外国映画なので最初から最後まで空想的平和主義で通すわけでもなく、平和を目指した努力を現実的な面からも説明している。なお90分版と57分版があるうち90分版を見たが、反戦平和を語りたいだけなら57分の短縮版で間に合うと思われる。
実態として「コスタリカの非武装は米軍の庇護のおかげ」という見解もあるようだが(ナレーションで言っていた)、確かに中米の小国がそれぞれ強力な軍隊を持つ必要などない気もしなくはない。特に中南米など軍隊が内政の不安定要因でしかないとすれば、廃止した方がいいという発想自体は理解できる。その上で周辺地域の国際環境が許すと思えば、強い決意をもって採用しうる方法かも知れない。
現実問題としては集団安全保障や国際社会への働きかけで自国の立場を保全してきたとのことだが、特にアメリカのせいで平和主義が脅かされたことは何度かあったようで、その都度自らの才覚で切り抜けてきた実績があるらしい。また自国の安全保障のあり方をモデルとして他国に提案するとか、中米の平和に貢献する具体的な活動も行ったと紹介されていた(1987ノーベル平和賞)。
映画の最後に安全保障上の根本的な脅威として、コスタリカの対極にある「永久戦争国家」たるアメリカの存在を、アイゼンハワーの退任演説を引き合いに出して指摘していた。確かに危ない国だ。
軍隊の廃止のほか、「中産階級」の重要性についても車の両輪的に強調していた印象がある。1948年の内戦後の社会改革に関して、当時の指導者が「中産階級革命」と表現したというのは少し感動的だった。
中間層が厚ければ社会が安定して民主主義も良好に機能するはずであり、そのために軍隊を廃止する一方で、社会保障や教育に力を入れた福祉国家を作ってきたところが、90年代からの「いわゆる新自由主義」や「グローバリゼーション」による格差拡大で中産階級の存在が脅かされ、社会の根幹までが危うくなっているとの指摘がなされていた。これは多くの国にとって他人事でない、まさにグローバルな問題提起と思われる。
その他の事項として、(アメリカばかりに依存せず)欧州やアジアから開発援助を受けたという場面で日章旗とTOYOTAの看板が映ったので、こんなのをいちいち見せなくていいという気分だった。またその直後に東洋の某大国がサッカースタジアムを寄贈したと説明が出て、このために台湾と断交したわけだなと言いたくなった。
ほか無名の語り手の中で「コスタリカ人も先の見通しは立てる」と言った人物がいたのは、本人の見た目の雰囲気もあって少し笑った。地元民のようでも英語で話していたのはグローバル化に対応できている人と思われる。また終盤では、家族や友人だけでなく近所の知らない人々なども含めて身内同然であって、みながこの国をつくって助け合う仲間だ、と言う人物が出ていたが、こういう人がいるのはまともな社会かも知れないと思った。[DVD(字幕)] 5点(2024-06-15 10:39:53)《改行有》
2. パラノーマル・ショッキング
《ネタバレ》 中米コスタリカのホラー映画である。日本国内向け予告編では「パラノーマル・アクティビティ・シリーズに次ぐPOVホラーの最新・最恐作!!」と書いてあり、その方向性で邦題も付けてあるが原題は単純に「療養所」である。
内容的には、廃病院で噂される心霊現象のドキュメンタリーを撮ろうとした人々が、体験者・心霊研究者・霊能者などから取材の上で現地に行ったら大変なことが起きた、という映画である。ありがちな構成とアイデアで特に怖くはなく、また不明点が多い上に褒めるところも特にないが、最後に修道女が出て来たタイミングは悪くなかった。
なお微妙にコメディ調のところがあるのが特徴ではある。監督インタビューの記事によれば本人のスタイルとしてコメディ+ホラーの形にしたとのことで、確かに笑いの仕掛けに見えるところはあるが笑えない(当惑する)のは残念だ。ほかコスタリカの冗談話で超常現象をコメディ口調で語るとか、恐怖やプレッシャーで怒り出す者の反応がよく表現されているとの評もあり、それがどのくらい現地固有のものかはわからないが、最初の体験者の語り口などは確かに独特だったかも知れない。
その他のことについて、撮影場所はイラス火山(3,432m)裾野の標高2,335m程度の場所にある。ここは冒頭で紹介されていた通り20世紀に実在した結核療養所であって、大統領を務めた(1889-90)こともあるカルロス・デュランという医師が設立し、1963年頃まで使われていたとされている。現在は全国農業者団体の管理下にあるとのことだが、歴史的・建築的に貴重なものとして観光客も実際に来るようで、2014年には国の歴史的建築遺産に指定されて修復と活用も進められているらしい。
しかし廃病院であり建物も荒れているため心霊スポット的にも扱われてきたようで、そこで実際に語られる都市伝説を使ったのがこの映画ということになる。場所としては国内人口が集中する中央高地に近接し、首都サンホセからだと日本なら福岡市から犬鳴トンネルに行くくらいのイメージである。修道女が出るという話は本当にあるらしいが、ただし実際の都市伝説に出る修道女は病人を看護している姿とのことで、この映画のように邪悪な存在とも限らない。ほかにも誇張がなかったかどうかは不明である。
ホラーとしては特に面白くもなかったが、現地事情を一応反映した映画のようなので悪い点数にはしない。[DVD(字幕)] 5点(2024-06-15 10:39:51)《改行有》
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