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【製作国 : 西ドイツ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. 不安 《ネタバレ》 不倫に関わる、ややもすると単純になりそうな話を、見事なまでにサスペンス風味満載に仕上げた作品で、いつ殺人が起るとも分からない雰囲気が全編に渡り漂っていて、緊張感を持ったまま最後まで観ることができた。 ロベルト・ロッセリーニとイングリッド・バーグマンは実生活でも不倫関係にあったが、本作はその不倫関係をまるで鏡の様に映しこんだ内容である。 結果、ロッセリーニは、不倫というものを深くリアルに追究し過ぎ、本作をもってバーグマンとの不倫仲も終りを遂げる。 ロッセリーニが、自身のプライベートをさらけ出してでも撮ろうとしたその意気込みを評価したいが、その一方で、単にロッセリーニの女グセの悪さを見せられているだけの様な気がしなくもない。 不倫とはいかに不誠実で、リスクが高いか。 単純に言えば、そんなことを訴えている作品である。 そんな単純な題材を、ロッセリーニは独自のセンスで、サスペンス劇としても十分に楽しめる作品に仕上げてみせた。 ロッセリーニは、イタリア近代映画の草分け的存在の監督だけあって、その完成された演出手腕には、さすがの貫禄を感じた。[ビデオ(字幕)] 7点(2011-06-12 01:21:37)《改行有》 2. ブラック・ムーン 《ネタバレ》 今まで観てきたルイ・マル作品のイメージとは毛色の異なる作品で、ファンタジー色が全開。 そこにチラリズム的エロスが散りばめられていて、大人のいたずら心が感じられる内容。 胸の開いた白いシャツに淡いピンク色のカーディガン。 そして赤いスカートを身に纏った“少女っぽい”大人の女性が主人公で、すごく美人というわけではないのに、妙にそそられる不思議な魅力を感じた。 26歳とは思えない雰囲気だが、よ~く見るとやっぱりそれなりの年齢も感じたりで、作品の内容と同様、幻惑させられた。 暖炉の前の椅子に寝そべり、スカートから脚が伸びている。 そこに男が近寄り、脚をなでまわす。 このシーンはこれ以上なくエロく、その後に出てくるパイオツ丸出しのシーンなんかより、ずっと興奮した。 それを見て怒り出す醜い老婆がまた余計で、とてもウザく、美と醜の対比を感じさせる。 舞台になっている世界全体が不条理な空気で包まれており、次に何が起こるか分からない面白さもありながら、一方で、ああだこうだ言いながら、そこに居続ける少女にイライラしたりもする。 あんな屋敷なんか抜け出せばいいのにとか、老婆の居る部屋に自ら何度も入るのがおかしいとか、その設定そのものが不条理だったりする。 結局、少女はその不条理で狭い世界にはまり込んでしまうわけだが、夢オチの方が良かったのではないかとも思う。 いや、むしろ夢オチにしてほしかった。 夢オチを嫌いな私が、初めて夢オチにしてもらいたいと思った、貴重な作品。 美しい世界でありながら、同時に不愉快な世界でもあり、何度も観たくなる不思議な魅力に満ち溢れた作品である。 (P.S.) むむ、そういえば肝心なことを書き忘れていた! 前半に登場した、巨大な節足動物。 ムカデのハサミがないヤツというか、なんというか。 あんな虫が本当に存在している(撮影したわけだから)こと自体が、マジでおぞましい。 あのムカデもどきはマジで怖い。 おそろしい。 ヘビなんかよりずっとキモい。 他にもキモい小動物が盛りだくさん。 これこそが、本作の隠れた見所!![DVD(字幕)] 7点(2010-11-18 23:54:18)《改行有》 3. ブリキの太鼓 最近、初めて観たつもりが、実は小さい頃に観ていたことを思い出した。 記憶を呼び覚ますだけの強烈な負のパワーを持った映画。 そういう意味ではケタ外れだ。[DVD(字幕)] 6点(2007-10-11 09:06:19)《改行有》 4. フィツカラルド 《ネタバレ》 “奇人コンビ”ヴェルナー・ヘルツォークとクラウス・キンスキーによる、ズッコける程に壮大稀有なとんでもないスペクタクル作品。 私も上記レビューに対抗して一言で言ってしまえば、“320トンの船に山越えをさせる○チガイ作品”といったところか。 結果として、山越えを果たしたはいいけれど、向こう側の河で下流までアッサリ流されてゲーム・オーバー。 なんたるオハナシ。 そんなアホな。 巨大な船を山越えさせる話をドキュメンタリー・タッチで時系列的に淡々と描くもんだから、途中ダレまくり。 冗長もいいところだった。 しかししかし・・・ ラストで下流まで流された後を受けての、ラストシーンにおける主人公を演じたキンスキーの言葉が良い。 「結果はこうなってしまったけど、実際に目にできたこと、感じられたこと、得られたことがあればそれでいい。」 そんなニュアンスな言葉。 話としては上に書いたように退屈な面はあったけど、最後の、このキンスキーの一言でジーンときてしまった。 “結果重視ではなく、その最中に感じ取れたこと、得られたこと、それが大切。” この価値観は、自分にとっての人生観にリンクするところがあって、妙にジーンときてしまったのだ。 死ぬ間際に何も残っていなくとも、その生きてきた過程の中で、沢山の貴重な経験、素敵な出会いがあればそれでいいと自分は思っているし、そういう生き方をしていきたいと思っている。 だけどそれはリスクも高いし、時にはストレスもたまる。 社会的地位を失えば、周りから見くびられるもする。 そういう苦労の中、こうした映画を観れたわけで、妙に感銘を受けてしまったわけである。 私の様な人生観を持っている人、サラリーマンをやりながらも自分の守りの人生に疑問を持ち続けながら毎日を過ごしている人、そんな人達に是非オススメしたい一本。[ビデオ(字幕)] 7点(2007-09-02 11:31:12)《改行有》 5. ファニーとアレクサンデル まずは先日亡くなられたイングマール・ベルイマン監督のご冥福をお祈り申し上げます。 最初は4時間だと勘違いして5時間バージョンを観始めたので、余計に長く感じました。 しかしながら、中盤以降の急展開に強烈に引き込まれもしました。 前半部分を観ている時点では、ヴィスコンティの『ルードウィヒ』的な作品で、お上品で冗長なだけの大作かと思っていました。 ところが『ルードウィヒ』より遥かに優れた作品でした。 個人的には少なくともそう思っております。[ビデオ(字幕)] 6点(2007-09-01 20:11:54)《改行有》
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