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プロフィール
コメント数 110
性別 女性
ホームページ http://yhlee.org/movies/
年齢 61歳
自己紹介 韓国映画多めです。

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【製作国 : 韓国 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順123
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1.  マラソン(2005) チョ・スンウの演技のすばらしさは、まず最初に言っておかなければならないだろう。わたしは、身近に自閉症の人や知的障害を持った人と接したことはないので、ほんとうにそれらしいのか、ということは断言できないのだが、ほかの映画の少しクールな印象のチョ・スンウとは、まるで別人だったということは、はっきりいえる。 母親役のキム・ミスクもほとんどノーメイクで、生活感がよく出ていた。まあ、生まれついた美貌はそれでも隠せないが。息子のために必死で生きていながら、孤独にさいなまれている様子がひしひしと感じられたのはさすが。 雨が降りしきる中、幼い息子の手をかざし、ふたりともびしょぬれになりながら、「雨がざーざー降ります」という言葉と、手のひらに受ける雨の感覚とを結び付けようとする母。『奇跡の人』かよ、と思ったのだが、その後何度も出てくる、手のひらに雨を受ける、手のひらに風を受けるシーンを見ると、言葉を使うことによって、社会の側に障害のある子を引き寄せる、という以上の意味があることがわかる。 「がんばる障害者」をほめたたえる、みたいなのは好きじゃないのだが、そういう「美談」が持つ臭さを、母親のエゴを描くことによって、うまく回避している。音楽がちょっと狙いすぎのような気もしたが、まあ「感動作」には違いないんで、そのへんはしょうがないかな。 人にものをあげる、もらう、というやり取りの中で、相手との距離や好意を計る、という、この社会のお約束の外にいる主人公。決して他人から食べ物をもらわない、という母親のしつけが痛々しい。それだけに、主人公の練習に伴走して、いっしょに倒れこんだコーチに、水をわたす、という行動が、大きな意味を持つのである。 映画というのは、登場人物の心情を言葉以外の方法で見せるものだ。言葉で心情を表現することがむずかしい主人公だからこそ、走る主人公の目から見た、すぎさっていく風景を輝かしく描くことで、彼の喜びが伝わってくることこそが、この映画の最大の成功だと思う。 ラスト近くのファンタジックなシーンは、『ビッグフィッシュ』のラストを彷彿とさせた。全体に笑いも多く、歓喜を描いて終わる映画である。泣けるシーンもあるのだが、それを期待していくと、肩透かしかもしれない。 脇もみなよかったが、弟役のペク・ソンヒョンのみずみずしい演技が印象的だった。[映画館(字幕)] 8点(2007-08-19 23:33:53)《改行有》

2.  ペパーミント・キャンディー ソル・ギョングのカメレオンぶりは、評判どおりすごいよ。妻役が、『大長今』でチャングムの師匠、医女長徳役の人だったのでへーという感じ。主人公の年齢設定は、わたしより2歳くらい上で、光州事件など、この時代と青春時代が重なっている人間にとっては、いろんな感慨を禁じえない。大学時代よく歌った「アチミスル(朝露)」という曲も、劇中で使われている。[DVD(字幕)] 8点(2007-07-27 18:13:08)

3.  殺人の追憶 ネットの映画評でもけなしてあるのは見たことないくらい評判のよい映画だが、いやー、やっぱりすごかった。これは映画館で見ないともったいない。CGとかスペクタクル映像がどうのじゃなくて、画面いっぱいに広がるソン・ガンホのアップが見ものなのである。あと、パク・へイルがすごく印象的だった。[映画館(字幕)] 8点(2007-07-27 18:09:37)

4.  奇跡の夏 MOVIX のポイントがたまって、無料チケットを2枚ゲットしたので、息子達を連れて見に行った。映画や本に「兄弟仲良く」なんて教訓を期待するのは間違っているが、正直、その手の下心がなかったとは言わない。 というわけで、子供達に見せるのが主眼で、映画としてはそれほど期待してなかったんだが、けっこうやられました。数日経っても、映画のシーンをあれこれ思い出すような映画なんだな、これが。 子供が病気で死んじゃう、なんてストーリーは反則もいいところで、そんなの「泣ける」に決まっているし、涙腺刺激の技術は、韓国映画のお家芸みたいなもんである。そのへんの期待にはしっかり答える作りになっていて、涙もろい人は、ハンカチどころかタオルが必要かもしれない。子供達も、画面に食い入るように、鼻をすすりつつ見ていた。 まずは子役の演技がすばらしい。彼らの繊細な表現力には驚くばかりである。脇を固める大人達も、実力派ぞろいで、まったく浮いたところのない説得力のある演技だった。とくに、オ・ジヘがよかったなぁ。史劇でいつもかっこいいアクションを見せているソ・ボムシクも、子供二人をかついで、山道を走るのはさすが。って、へんなところで感心していたが。 役者にセリフで説明させるのではなく、映像に語らせるという、映画の基本的な文法をきちんとふまえていた点も、好感度大。 ちなみに原題は「アンニョン、ヒョンア(にいちゃん)」というのだが、「アンニョン」という言葉は、「こんにちは」と「さようなら」、両方の意味があり、文脈を見なければどちらかわからない。そこがストーリーのひとつのミソになっている。英語タイトルも日本語タイトルも、そのへんをうまくぼかしているのはよい。しかし「奇跡の夏」というのは、とうていセンスがいいとは言えないが。[映画館(字幕)] 8点(2007-07-24 17:27:04)(良:1票) 《改行有》

5.  オアシス 分析したりすると野暮になってしまう話。まるごと飲み込んで楽しむのが吉。そう、確かに苦い味はあるが、とても楽しい話なのである。 「グリーンフィッシュ」でも主人公の兄弟たちが生き生きと描かれているが、この小説でも兄弟の関わりが重要なポイントになっている。それにしても、ジョンイル、ジョンドゥ、ジョンセって、なんつーいいかげんなネーミングだ。(正一、正二、正三みたいな感じ。)[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2007-07-22 20:33:05)《改行有》

6.  王の男 《ネタバレ》 日本でのこの映画の売りは、イ・ジュンギの妖しい美貌、カム・ウソンとの同性愛的関係、で、そこにさらに王様がからむ、というところだろうか。「それより奥は、見てはならない」というコピーも、ほんとに映画見て作ったんか、と言いたくなるほど、的はずれ。売り方が悪いとしかいいようがない。 DVD(韓国版)で見たときは、確かにわたしもイ・ジュンギの魅力に目を奪われたし、劇場でも、ふっくらした唇を見て、本人の美しさだけではなく、メイク・照明・撮影などの技術も、こりゃたいしたもんだなぁ、と感心した。しかし、暗い劇場で画面とむきあって物語の中に入り込むと、一番印象に残ったのは、暴君として歴史に名を残す燕山君を、実に人間的に生き生きと演じた、チョン・ジニョンの様々な表情である。うまい役者なのはわかっていたが、この映画での彼の演技はほんとうにすばらしい。 ほかの3人も、それぞれ自分の仕事をきちんと果たした、ということだろう。とくにカム・ウソンは、いままでわりと都会的なイメージだったので、こういうマッチョな役は、ちょっと冒険だったんじゃないかな。体格もイ・ジュンギのほうが大きいようだし、筋肉質だし。でも、配役通りの剛と柔をきちんと印象づけたのは、彼らの演技力と監督の演出だろう。もともとの話は舞台劇なので、シナリオが破綻なくまとまっていた、ということも大きいと思う。 低予算で、セットや衣装もいまいち、という話なのだが、カン・ソンヨンの着る衣装のデザインはよかったなぁ。伝統的な韓服の枠の中で、国王の寵姫という権高さをよく見せていた。 字幕はおなじみ根本理恵なのだが、「広大 광대」という言葉が、すべて「芸人」と訳されているのは、ちょっとうーんという感じだった。これだと、ラストのセリフの感動が、字幕だけで理解している人に、伝わるんだろうか? 劇中で何度も「身分が低い」ということが出てくるので、まあそこで説明済み、ということなのかもしれないが、王や重臣たちに比べれば「身分が低い」というのは、当たり前っちゃあ当たり前で「賤民」であるということは、映画を見ただけでは、はっきりわからないような気がする。 かといって字数制限の中で、どう訳せば伝わるのかは、わたしもよくわからない。むずかしいものである。[映画館(字幕)] 8点(2007-07-22 17:42:16)《改行有》

7.  永遠の片想い 韓国での公開年は2002年。ということは、チャ・テヒョンは26歳、ソン・イェジンははたち、イ・ウンジュは22歳である。ついでにいえば、いまをときめくムン・グニョンのスクリーンデビュー作がこの映画で、当時15歳。キム・ナムジンも出てたのはぜんぜん知らなかった。貸し本屋のおにいちゃんが出たときは、あれ?と目を引かれたのだが、顔がなかなかはっきり映らなくて、確信したのは最後の軍隊のシーンだったりする。 いや、話がそれた。役者の実年齢はあまり関係ないのかもしれないが、この映画の清新な味わいは、やはり主演の3人の清潔感にあると言えるだろう。ほんとに自分たちが青春まっただなか、っていう雰囲気は、作ろうと思って作れるもんじゃないんだよね。その年齢でしか表現できないものって、やっぱりあるような気がする。 タイプの違う美女ふたりにはさまれるのは、チャ・テヒョンくんじゃないといけない。もっと絵に描いたような花美男だったりしたら、そうでなくても少女マンガのような脚本なのに、クサくて見るに耐えなくなりそう。 確かに泣かせる映画なのだが、見た後は妙にすっきりする。ストーリーは三角関係とか、友情と恋愛とか、とくになんてこたないのだが、時間を行ったり来たりすることによって、伏線がきれいに回収されていくからかな。セリフがシンプルで、長台詞がほとんどないことも、その印象を強めているのだろう。 3人が小旅行をするシーン、再会シーン、バックのしたたるような緑が美しい。[DVD(字幕)] 7点(2007-11-26 20:29:11)《改行有》

8.  英語完全征服 完全にマンガ、というか、実際にアニメとの合成シーンもちょこちょこ出てくるのだが、勢いのある少女マンガみたいで、けっこう好きだなー、これ。 イ・ナヨンのコメディ演技もいいし、チャン・ヒョクの軽いにーちゃんぶりも、実によく似合っていた。ケンカするときは、女の子でも、やっぱりパッチギらしい。 アメリカ人の先生が、まだ韓国語がヘタでパンマル(ぞんざいな言葉)しか話せないのだが、きれいな若い女性が、まったく場違いな乱暴な言葉を使うおかしさとか、韓国語なまりまくりのおじさんが、丁寧語を方言で指導しちゃうおかしさ、かわいらしさが、字幕じゃちょっと伝わらないかなー。「言葉は人格なんだからていねいな言葉を学びなさい」というのは、アホなシーンの連続の中で、とても感じが良かった。このへんが、ラストの告白シーンにもつながるわけよね。[DVD(字幕)] 7点(2007-08-17 22:42:34)《改行有》

9.  ユア・マイ・サンシャイン 《ネタバレ》 韓国のサイトで見たため、字幕無し。 『スキャンダル』では、凛とした気品のあるたたずまいを見せていたチョン・ドヨンは、この映画での役どころは田舎のタバンのアガシで、最初は実に安い女に見える。日本語だと、喫茶店のウェイトレス、といいたいところなのだが、実際やっていることは、コールガールである。店は真昼間から営業していて、ふつうに喫茶店として利用する客もいるし、ホテルなどから電話で注文があると、コーヒーを持ってスクーターで配達(ほんとの商品はコーヒーではなくウェイトレス自身)、という調子で、妙にあっけらかんとしている。 いわゆる風俗嬢であるチョン・ドヨンに、ファン・ジョンミン演じる、農家の次男坊で、母親と暮らしている36歳のさえない独身男が岡惚れし、彼女のすべてを受入れ、まったく揺るぐことのない愛を捧げるという、純愛物語なのである。こう書くと、実にアホらしいし、実際純愛などというものは、他人から見ればアホとしかいいようのない世界なのだが、この映画は、そのような純愛を描いて、まったく飽きさせることなく、物語にきっちりとひきこんでくれる。 ファン・ジョンミンも、存在感のあるいい演技だが、チョン・ドヨンがとにかくすばらしい。にこやかでいながら、内に猜疑心を秘めたはすっぱな表情、愛に酔う幸せいっぱいの表情、そしてラストの出所してくるシーンの透明な美しさに満ちた笑顔など、彼女の顔を見ているだけで飽きない。 刑務所の内と外に引き裂かれて、面会所で泣き叫ぶシーンよりも、新婚ほやほやの幸せの中で、永遠の愛を誓い合う、見てるほうが恥ずかしいようなべたべたのシーンのほうが哀切に感じるのだから不思議なものである。 ちなみに、彼女が犯した罪は「エイズ予防法」違反で、HIV 保菌者であることを知りながら(実際は知らないのだが)、売春を続け、無防備なセックスをしたというもの。このカップルは、実在のモデルがいるのだそうだ。エイズへの偏見や差別も淡々と描かれている。 しかし、刑務所の中で、彼女が顔や腕の湿疹に気づいて発病の恐怖におびえる、というシーンがあるのだが、その次のシーンではすっかり元気そうになっているのは、いったいどうなっているんだろうか。男性にいたっては、自分が感染することへの恐怖はまったく描かれず、大事な彼女が死ぬ心配ばかりしている。さすがにこれは、ちょっと現実的じゃないような気もしたが。[インターネット(字幕)] 7点(2007-07-27 17:34:30)(良:1票) 《改行有》

10.  フライ・ダディ 《ネタバレ》 韓国サイトの VOD で鑑賞。字幕無し。 ポスターにはイ・ジュンギのほうが大きく写っているが、主演はイ・ムンシク。 単純なストーリーで、あらすじを知っていればラストまで簡単に割れてしまう。2時間近くあるわりには、脇筋がほとんどなく、話が直線的すぎるかも。これは、日本版と違って、高校での友人関係があまり語られないこと、在日云々のエピソードがないからだろう。 娘が暴行されたと知らされ、主人公が病院にかけつけるまでは、実にテンポよくスピード感がある。このあたり、日本版のほうはかなりもたついているが、これは後発の強みだといえる。 なにより、背が高く、2枚目の堤真一と違って、見るからにさえないおじさんのイ・ムンシクが、ほんとに肉体改造してしまうのが、韓国版の最大の強みだろう。 バスとの競争は疾走感のある音楽が気持ちいいし、ここでかなりのカタルシスがあるのだが、その後のほんとうのクライマックスともいうべきシーンが、長すぎ、くどい。格闘シーンが好きな人はそうでもないのかもしれないが。 バスの運転手アジョシがいい味出してました。[インターネット(字幕)] 7点(2007-07-25 14:45:12)《改行有》

11.  ガン&トークス 英語タイトルが "Guns and Talks" なのに、なんでわざわざ片方だけ、複数形の S を落とす? しかも元のほうがぜんぜん語呂がいいじゃん。「ザ エージェント」ってタイトルも気持ち悪いが、これも相当だよ。もっとも、原題は「킬러들의 수다(殺し屋たちのおしゃべり)」で、だいぶ印象が違う。 しかし、チョン・ジニョンいいねぇ。『グリーン・フィッシュ』『約束』『達磨よ遊ぼう』と、この人の出てるのはけっこう見ているのだが、どれを見てもほんとうに味のあるいい役者である。シン・ヒョンジュンと追いかけっこをするシーンがあるのだが、走る姿もたいへんさまになっている。正しい刑事の走り方、というか。 ウォンビンの演技を見るのは、実はこれが初めてなのだが、こうかわいい顔だと、演技がうまいとかヘタとか、評価の対象外って感じ。美男子は得なんだか損なんだかよくわからない。[DVD(字幕)] 7点(2007-07-25 00:02:13)(良:1票) 《改行有》

12.  オーバー・ザ・レインボー 《ネタバレ》 交通事故から始まり、部分的だが記憶喪失ときて、あまりにも手垢のついたストーリー展開で、結末もばればれである。大学のサークルの描写などは『菊花の香り』を連想させるし(もっとも、こっちが先だが)、探していたものが実は、という落とし方は『×××・××××ト』と同じパターン。 見ていて、おいおいという感じだが、決してつまらない映画ではないし、とくに学生時代のチャン・ジニョンのさわやかさは印象的だ。イ・ジョンジェも、細やかな演技で存在感を感じさせる。いままで見たイ・ジョンジェの映画の中では、この役がいちばん好きかなぁ。キャラクター的には、いちばん特徴がなくて地味なんだが。 役者の演技もよかったのだが、サークルでの同期の親密感、バカ騒ぎをしてみたり、くっついたり離れたりの恋愛模様などの描かれ方が楽しかった。 しかし、コン・ヒョンジンの大学生はちょっと苦しかったかも。[DVD(字幕)] 7点(2007-07-24 17:10:02)《改行有》

13.  ブラザーフッド(2004) 《ネタバレ》 全体にリアリズムを志向している中で、いちばんリアリティがないのは、ウォンビンの顔だろう。チャン・ドンゴンも、そりゃふつうにはありえない二枚目だが、顔のタイプとしては、この手の韓国人はいないことはないと思う。だが、ウォンビンの顔立ちって、この時代の韓国人にはまったく見えない。まあ、夢も希望もない話なので、せめてハンサムな俳優が演じていたほうが、多少は救いになるというものだ。ここは、ソル・ギョングやソン・ガンホじゃなくてよかったのである。 チャン・ドンゴン演じる兄は、韓国軍で勇猛な働きをして英雄になった後、今度は北朝鮮軍に寝返り、しかも最後は、弟を援護するため味方であるはずの北の兵士を機関銃でなぎ払う。もうめちゃくちゃである。要するに彼にとっては、弟を無事に家に帰すというのが闘う目的であり、思想も何も関係ないのである。ここまで極端でないにしても、大方の兵士は、なんとか生き延びて無事に家に帰るために闘ったのであり、資本主義だとか共産主義だとかそんなこと知るか、というのが実際のところだっただろう。だが本人たちが知ろうと知るまいと、兵士だけでなく一般の民衆もまた、空襲で、双方の軍の襲撃で、また粛清によって命を落とした。 「兄弟愛に感動する」というのが、この映画の正しい見方なのかもしれないが、どうもこのパターナリズム丸出しの兄ちゃんを見ていると、無償の愛なのか、保護欲なのか、はたまた、残された家族のための計算か、と余分なことを考えてしまう。 自分が帰るよりも、できのよい弟を家に帰したほうが、いずれ出世して、家族を楽にさせてくれる可能性が大きい。一族の若者だれかひとりが科挙に受かって出世すれば、一族郎党すべてそこにぶらさがる、という李朝以来の伝統をそこに見出すのは、あまりに酷というものだろうか。 家族の情でくるまれていても、自分の生き方が外側から規定されようとしていることに変わりはない。ともに生き残った戦友が「残されたほかの家族のことを考えろ」と必死で説得する声を無視して、再び戦場に戻る弟の心の奥底には、愛する兄を探し出したい、という気持ちと、自分の意思を無視する兄の意のままにはならないぞ、という気持ちがせめぎあっていたのではないだろうか。 チャン・ドンゴンの婚約者役のイ・ウンジュも、印象的な演技である。しかし、ほんとに死ぬ役が多いなぁ、この人は。[DVD(字幕)] 7点(2007-07-22 18:31:25)《改行有》

14.  四月の雪 ペ・ヨンジュンの新作の監督がホ・ジノだと聞いて、「そんなの、一般受けするような作品が出てくるわけないだろ」と思ったのだが、予想よりはるかに遊びのない、突き詰めるような作品だった。これで、これだけの動員なら御の字じゃないの。 しかし、ふつうの男性が脱ぐと腹筋割れてるってどうよ。[映画館(字幕)] 6点(2007-08-19 23:55:53)《改行有》

15.  MUSA-武士- 砂また砂の中で、のた打ち回るような戦いが続く。バックが単調なせいか、ストーリーも若干単調な感が否めない。 「こんな小娘ひとりのために。。。地獄だ」元の将軍(ユー・ロングァン)のこの言葉がすべてを物語っていますな。セリフはちょっとうろおぼえだけども。 チャン・ツィイーは権力者の娘、というところに価値があるので、別に美貌である必要はないのだけれど、たくさんの男が命をかける対象としては、やはり傾国の美姫を期待するところ。きれいはきれいなんだけど、要するに「小娘」なんだよね。まあそのほうが、戦いのむなしさが強調されてよかったかもしれない。 チュ・ジンモとチョン・ウソンは演技にとくに難はないのだが、2枚目過ぎて重みにかける。美男俳優というのも、こうなるとつらいものである。ユー・ロングァンや別将役のパク・チョンハクみたいなのが、「男」の顔でしょう。 アン・ソンギの哀愁ただよう芝居に1点追加。[DVD(字幕)] 6点(2007-08-19 23:44:57)(良:1票) 《改行有》

16.  純愛中毒 《ネタバレ》 決して退屈な映画ではないし、俳優の演技もよかったのだが、なんとも納得いかないのが「世間」との関わりがまったく描かれていないこと。 兄の死後、弟が兄嫁といっしょになる、というのは、韓国社会では道徳的な非難は免れないと思うのだが、その部分はまったく切り捨て。兄は家具作家としてそこそこ名のある人物のようだし、弟のほうも、カーレーサーで、世間的に無名の人物ではないようなのだが、兄の死後、それまでまったく別の職業についていた弟が、兄とそっくりの作品で展示会をやるという不思議に対して、なんの反応もないのである。 親類縁者、友人はまったく出てこない。彼ら3人の世界に割り込んでくるのは、弟を慕っていた女性だけで、彼女も弟との愛しか眼中になく、「世間」の役割は果たしてない。ドラマだと、そのネタで20話くらいは簡単にひっぱれそうだけどなー、なんて思うのは、わたしが韓国ドラマを見すぎなのか。 メイクなどの助けをまったく借りず、別の人物を表現するというのは、俳優にとって腕の見せ所だと思うが、イ・ビョンホンはらくらく合格。色男なだけじゃなく、うまいねー。イ・ミヨンは前半の幸せいっぱいの表情と、後半のすがりつくような瞳の対照が印象的。イ・オルの包容力の表現もすばらしかったし、俳優陣がいいだけに、設定の甘さがつらい。[DVD(字幕)] 6点(2007-08-19 23:31:03)《改行有》

17.  猟奇的な彼女 ふつうにおもしろいラブコメディ。ちょっと長くて途中でだれたけど。 映画の中身より、なんでこれがこんなにヒットしたかというところに、興味がある。『痴人の愛』じゃないけど、女のわがままに奉仕することに喜びを見出す、みたいなマゾ的な男って、あまり韓国映画で描かれることがなかったんだろうか。チョン・ジヒョンの「ぶっ殺すからね!」はよかったけど、ヒロインがこのくらいかわいくないと、成り立たない映画だよな。[DVD(字幕)] 6点(2007-07-27 18:08:23)《改行有》

18.  ピアノを弾く大統領 予定調和としかいいようのないストーリー。しかし、チェ・ジウの表情が生き生きとしてかわいいし、アン・ソンギの洒脱さもいいし、そんなに退屈はしない。 ふたりの関係がスキャンダルになったあとも、ひねくれ娘だったイム・スジョンが、ふたりを信じ、父の恋愛を暖かく見守っている、という展開は、きれいごとすぎるといえばそれまでだが、前半のふてくされぶりとの対比が鮮やかで、案外悪くない。というか、イム・スジョンの演技がうまいのか。 最初と最後の妙なところに出てくる、イ・ボムスに注目。[DVD(字幕)] 6点(2007-07-27 17:54:48)(良:1票) 《改行有》

19.  桑の葉 《ネタバレ》 『情事』『スキャンダル』で、中年女性の美しさを印象づけたイ・ミスクの若き日の作品。 コリアンエロス、という紹介のされ方をすることが多いようだが、セックスシーンはすべて間接描写で、たいした露出もない。じゃあどこがエロスなのかというと、これはイ・ミスクの肉体それ自身につきる。枯れきったような長老様を含めて、彼女を見た男という男が、ハァハァしちゃうようすが、実におかしい。 生まれ持った美貌と、貧しさのゆえに男の欲望の犠牲になって、という面もあるにはあるのだが、それを逆手にとった主人公のしたたかさもかなりのもので、このあたりの人物造形も説得力がある。 近所の人総出の農作業のようすや、川の洗濯場に女たちが集まっておしゃべりに花を咲かせる風景など、むかしの朝鮮の農村の、のんびりムードの中での艶笑譚である。音楽も伝統的な曲が使われている。 舞台は日帝時代で、主人公の夫を日本の憲兵が尾行していて、ばくち打ちということになっているこの男が、実は抗日の志士だということを暗示しているのだが、そのへんは点景にとどめているところも、からっとした印象につながっているようだ。[DVD(字幕)] 6点(2007-07-27 17:50:48)《改行有》

20.  春の日のクマは好きですか? 韓国サイトで見たため、字幕無し。 主演女優の演技力とかわいさで、「ヘンな女の子」を魅力的に見せてる、っていうところで、『アメリ』を想起させる作品。彼女の部屋のインテリアが印象的なところも、共通してるかも。 キム・ナムジンが、ダサくて、一途な青年を好演。どうも、若き日の松田優作から、毒気を抜いたように見えてしょうがない。正統派二枚目と言うよりも、微妙に気持ち悪いところが、なかなかよろしい。 『オールドボーイ』で自殺男を演じたオ・グァンノクが、主人公のこれまたヘンな父親役で出ている。この人の出演作は、『親切なクムジャさん』『少年、天国へ行く』も見ているのだが、クセのある役ばっかりである。 ユン・ジョンシンが達者で笑えた。この人が、音楽も担当しているのだが、すごく説明的に甘い K-POP が流れるところなど、映画というより、ドラマを見ているみたいだった。『タイフーン』でも、音楽はキム・ヒョンソクだったのだが、同じ伝で画面を音で説明しすぎていて、かなりうるさかった。やっぱりドラマと映画じゃ、音楽も文法が違うんじゃないの?[インターネット(字幕)] 6点(2007-07-27 17:40:53)《改行有》

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