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【製作国 : 韓国 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. 新しき世界 《ネタバレ》 ひさしぶりに映画を見ていて時間を忘れましたね~。 韓国マフィアの後継者争い+潜入捜査もの。 一言で言うならそれだけなんですが、まあ見せ方が凄い。 潜入捜査官が、気づけばマフィアのトップにおどりでる。そんなバカな話があるかというストーリーを、二の句を継がせない説得力で描いてしまう。 それにしても、韓国映画のキャラは強いです。個性が強い。人間を描かせたら韓国映画の右に出るものはいないかもしれません。この映画こそまさにその代名詞と言えるでしょう。 こーゆー容赦なく血生臭い映画で、よもや最後にカタルシスにも似た感覚を味わうとは夢にも思いませんでした。てっきりバッドエンドで終わるものだとばかり。いや、ほとんどの人間にはバッドエンドが訪れるのですが・・・。 ジャソンをとりまく人間関係をとにかく丁寧に、詳細に描き、ラストまでにはそのすべてをかたっぱしから壊してしまう。ジャソンを知る警察関係者、ジャソンを慕う兄貴チョンチョン、そのライバルのジュング、最後に出てきた序列2位のじじいまで、メインキャラは一人残らずあの世逝き。ジャソンを知る人間はすべていなくなってしまうわけです。これほどタイトルと中身の合った映画があるでしょうか。 うん?いや、まてよ・・・監視役の嫁が生きているじゃないか。ドン引きされるかもしれませんが、監視役の妻までなんらかの形で退場してもらえたら、真の新世界の始まりだったのに・・・。 しかし囲碁の先生になりすました連絡係の女デカ。一番安全圏にいると思っていたのに、まさかあんなむごい殺され方をするとは・・・・。韓国映画、まじでスゲェぜ・・・。[DVD(字幕)] 10点(2023-07-06 23:30:51)《改行有》 2. 殺人漫画 《ネタバレ》 アイデア勝負とバカにできない、とても丁寧に作られたホラー。 最近ではアメリカの幽霊ものもスプラッタに頼らず頑張ってはいますが・・・。やはり日本や韓国のホラーのほうが、怖さでは一枚上手。そもそもアジア系ののっぺりとした顔や細い目って幽霊向きなんですよねー。 この映画では登場人物1人1人にエピソードがあり、背景があり、そのどれもがシンプルながらとてもよくできています。幽霊に殺されちゃう人たちにはすべて理由があったんですね~。恐怖演出だけでなく、ミステリー仕立てのストーリーに好奇心が刺激されます。 序盤、前半の編集長と葬儀屋のエピソードは人間の業を感じられる力作。ただの陽キャラ要員かと思いきや、ヨンス刑事にも人に話せない恐ろしい過去アリ。う~ん、『まさか』の演出が巧みですね~。 とまあここまでは良かったのですが、ラストが・・・。 まずヨンス刑事の死の真相。そりゃあ驚きましたが、それはないんじゃないですか。そこはストレートに女の子の霊の仕業で決着のほうが良かった気がします。しかもそんなつまらない死に方で怨霊になっちゃうし・・・。 そして一番納得できないのはカン・ジユン。どうやらソヒョンを殺しちゃったことで、ソヒョンの能力が身についちゃったようですが・・・。自身の出世欲という一番くだらない欲で人を殺したこいつが、最後まで生き残っているというのが、なんか違う気がします。[DVD(字幕)] 8点(2023-11-05 17:36:18)《改行有》 3. 共謀者 《ネタバレ》 後味の悪い映画を撮らせたら韓国の右に出るものはいないんじゃないだろうか。 ヒロインが2人いるんですが、2人とも死んじゃうってなかなかである。 『共謀者』っていうぐらいだから、誰と誰が共謀しているんだろうと注意深く見ていたのですが、主人公のヨンギュ以外はほぼ全員共謀者だったっていうね…。一番イカれていると思われたドクターが唯一の味方だったとは。まあ、この展開は読めないです。ですから評価は若干高め。でも後味悪すぎて満点はつけられないなぁ。 せめてチェヒの夫は良い人でいてほしかった。チェヒが悲惨すぎます。 唯一の救いは主人公が心まで悪魔に売り渡していなかったところ。だから最後はずっと主人公を応援していました。どーにかチェヒを助けてあげてと・・・。でも善人にはバッドエンドを、そして悪人はのさばらせておくのが韓国映画。やだねぇ、ほんとに。 ちなみにこの映画、脚本は穴だらけ。 夫が船内でリスクを冒して妻を探すのは変な話。 そして主人公ヨンギュの行動にもおかしな点が。チェヒを助けるつもりなら、自分がドクターとサウナに残って、子分の二人を見張りだのなんだの役目を与えて外に出さないと。 ずるいのが、見ている側はこのとき真相を知らないから、何も不自然に感じることなく見ちゃってるんですよねー。ずるいやり方だけど、うまいなぁ。 ゾンビ映画なんかより、よほど精神的にグロいんで、耐性が無い人は見ないほうが良いかもです。 それにしても韓国の女優さんは、こんなきれいな人でも体はってんなぁ・・・・[DVD(吹替)] 8点(2023-05-20 01:22:03)《改行有》 4. 殺人の告白 これはよくできたサスペンスですねー。アクションが邪魔になるくらい、サスペンスフルな脚本がよく出来ています。 結末まで見てしまうと、また最初から見直してみたくなります。時間がないのでしないけど。 例えば警察署でドゥソクがヒョングに耳打ちしたシーン。同僚が『ドゥソクはお前になんて?』と尋ねると『ジャージャー麺をぶつけろだとさ』と答えるヒョング。このときはヒョングが皮肉まじりのジョークをとばしていたのかと思ったのですが、本当にそう言っていたんでしょーねー。 それにしても恋人の末路が悲惨すぎて、素直にハッピーエンドと言えないのが辛いところ。恋人の母親がヒョングに厳しく接してしまったせいで、ヒョングはクリスマスのときに家に送らなかった。その結果、恋人がJに拉致監禁されたと考えると、やりきれないです。 それにしてもカーチェイスと最後の追いかけっこは要らなかったんじゃないかなぁ。特にカーチェイスは作風に合っていない気がするのですが。 最後の追いかけっこも蛇足感あり。せめてTⅤ局内で決着をつけるほうがドラマが際立ったように思えるんだけど。 まあ、そーゆー余計なところはありますが、警察、ドゥソク、J、遺族、四つ巴の争いがとにかくスリリング。その背景にある被害者の悲しいドラマも断片的ではありますがしっかり描かれ・・・。2度目の討論会での真相を明かすシーンではカタルシスさえ感じる…。久しぶりに見ごたえのあるドラマを見ました。[ブルーレイ(字幕)] 8点(2023-04-20 00:57:18)(良:1票) 《改行有》 5. 火車 HELPLESS 《ネタバレ》 さすが韓国、えぐいわぁ、っと思ったら、原作は宮部みゆき。 とてもよくできたストーリーで、そしてしんどいお話です。 最近妻とサービスエリアに寄ったばかりだったので、冒頭のシーンがやたらリアルに感じられてしまいました。 主人公は3人かなぁ。婚約者とそのお相手の獣医と、獣医のいとこの元刑事。 全く予備知識なしで見始めたので、ただ婚約者が事件に巻き込まれていくだけのお話かと思っていたのです。 ちょっと予想の斜め上をいくミステリー。真相が暴かれていくのが面白くて仕方が無いです。 それにしても、婚約者の女性がしてきたことはもちろん許されないことではありますが…でも心の底から責められないなぁ。 この女性は人として当たり前の人権を手に入れるため、もうモンスターにならざるを得ない状況まで追い込まれていたわけですから… また、そう思わせてしまうストーリーと演出の説得力が凄い。 ただこの女優さん、演技は素晴らしいんですが、どうにもルックスがいまいちピンとこない。この人より一緒に働いているナースのほうが若くてかわいいのはどうしたものか‥‥韓国の女優さんきれいな人が多いんだから、他にいなかったのかなぁ。[DVD(字幕)] 8点(2022-12-14 03:59:29)《改行有》 6. 依頼人(2011) 《ネタバレ》 こちらで登録されていなかったので、マイナーな作品だと思いあまり期待はしていなかったのですが、当たりでした。 ネタバレレビューを書く人間が言うことではありませんが、これは予備知識なしで見るのが良いでしょう。 とゆーことで、少しでもこの映画に興味がある方はここから先は読まないでください。 まず、これと似たような映画はあります。 既視感を感じますが、既視感を感じたとしても面白い作品です。 そして既視感を感じたとしても、騙される人は騙されるでしょう。 どちらにせよ、韓国映画お得意の、『真相は闇の中』ってな感じでふわっと終わる作品でないことは確かです。白黒はっきりつけてくれます。 ちりばめられたエピソードも、脇に配置された人物も、無駄だと思えるものはほとんどありません。みんな良い仕事しています。 検察組織や警察組織の描きかたはうまかったですね。こーゆー公権力の嫌な部分を描くことで、まんまとミスリードされてしまうわけです。そう考えると、冒頭なんて抜群に上手い導入と言えそうです。 母親の存在、過去の事件を追っかける退職刑事、そのすべてがミスリードに一役買っちゃって。 ああ、まんまとやられましたよ。[DVD(吹替)] 8点(2022-05-31 01:04:15)《改行有》 7. ブラインド(2011) 《ネタバレ》 めちゃめちゃ怖い幽霊ものかと思っていたら全然違いました。 韓国お得意のサイコパスサスペンス。いや、本当にサイコパスをやらせたら韓国の右に出るものはいませんね。 主演のキム・ハヌルはなんとなく堀北真希に似ていて親近感が湧く。 大泉洋を連想してしまうチョ刑事がユーモア担当で、ホラー色の強い今作の良い緩衝材に。 ス・ユンホが演じるギソプも登場時こそイメージが悪かったのですが、実は良いやつっていうギャップが良い。 そしてなんといっても盲導犬のスルギが最高にかわいい。ラブラドール好きなんですよねー。 スルギも含めキャストが凄い良い。 そしてストーリー。シナリオが作りこまれていて、でもそれでいて難解でなくわかりやすい。電車内での追いかけっこなんか本当に演出からストーリー運びから最高によくできています。 そして意外性。まさかスルギやチョ刑事が犠牲になってしまうなんて誰も想像できないでしょう。これは衝撃的でした。 こうなってくると主人公死亡のバッドエンドもありうる。なんといっても主人公は冒頭、自分の過失で幼馴染を死なせてしまっています。その報いを受ける可能性だってあります。だから最後まで緊迫感が途切れません。 まあ最後はなんだかんだで一応ハッピーエンドにおさまるわけですが、冒頭で死んじゃった彼のことを考えるとスアだけが幸せになるのはなんかちょっとだけひっかかるものがなきにしもあらず。まあ3年間苦しんできたわけだしね・・。 それにしてもチョ刑事に対する扱いがひどい。せめてみんなが驚いたり悲しんだりするシーンを入れてほしかったです。 [DVD(字幕)] 8点(2022-03-25 15:31:03)《改行有》 8. コインロッカーの女 《ネタバレ》 韓国映画特有のひりひりとした緊張感と『痛さ』と『怖さ』を感じられる映画。 闇金の女ボス、マ・ウヒを演じるキム・ヘスも、イリョンを演じるキム・ゴウンも圧巻の演技。 マ・ウヒもイリョンも裏社会に生きる無慈悲で非情な人間。でも冷たい視線や表情の無い佇まいのなかに、時折感じられる家族への情。それを自然に感じさせてくれるから凄い。 ストーリーは申し分なしと言いたいところですが、ちょっとサスペンス寄りにしすぎてしまったかも。青年との交流の中で、イリョンの心情の変化をもう少し時間をかけて丁寧に見せてくれていたら、その絶望はより際立ったものとなり、他の追随を許さない名作になっていたかもしれません。 そう、これは決して楽しい映画ではありません。韓国映画ではよく見かける破滅型のストーリー。イリョン以外の家族はみんな壮絶な死を遂げます。ですが見終わったあとにあまり尾を引かない不思議な映画。イリョンが第二の人生を始めたところで幕を下ろしたからかもしれません。 自分が捨てられていたコインロッカーを開けると、そこには養子縁組の書類が。それまでグレーだった母親の愛情が確信へと変わる最後のサプライズ。 [DVD(字幕)] 8点(2021-06-10 02:43:56)《改行有》 9. ミッドナイトFM 《ネタバレ》 こーゆー単純で、わかりやすくて、それでいて面白いサスペンスって最近少なくなってきた気がするので、とても楽しめました。 思わぬ拾いもの。深夜のラジオ番組というシチュエーションがまず好き。 無駄なシーンが少ない。だれない。終始ハラハラドキドキ。プロットがしっかり練ってあって面白い。 殺人鬼ドンスが出てきてからは緊張しっぱなし。 ドンスは冷静。でも思い通りにならないと子供のようにわめきちらす幼児性。お手本のようなサイコパス。 前半は主人公ソニョンとドンスの駆け引きサスペンス。と同時進行で、娘ウンスのかくれんぼスリラー。どちらのパートも凄い緊迫感。 ソニョンが置かれている状況に周りが気付いてから物語は更に加速。そこからはノンストップでラストまで突っ走る。 犯人の要求どおりの音楽を流すつもりが、事情を知らない上司が勝手にテープチェンジ。このシーンが凄い。泣き伏せるソニョン。殺される妹。ソニョンが周りの人間に状況を説明していれば、妹が殺される悲劇は回避できたかもしれないのが腹立たしい。 でもそーなるとサスペンスとしては盛り上がらない。この辺のバランス感覚は難しいところですね。 最終的には嫌な感じだった上司が全面的に協力してくれたり、ストーカー呼ばわりされていたファンが助けてくれたり、周りの人間も活躍。大変見応えのあるサスペンスでした。良作。 [DVD(字幕)] 8点(2021-04-09 01:33:31)《改行有》 10. ホームランが聞こえた夏 《ネタバレ》 正統派スポーツドラマ。凄く良かったです。 まず、主演のチョン・ジェヨンが良い。『選手を叱咤激励するシーン』『他校の選手を叱るシーン』『学校の経営陣に啖呵をきるシーン』どれも凄い迫力で、胸があつくなります。日本の俳優さんで、この人くらいアツい演技をする人が、今どれくらいいるでしょうか。 プロ野球の花形ピッチャー。でも素行不良で問題児。警察沙汰で謹慎処分。社会貢献の一環で聾学校の野球部のコーチに。最初は渋々。やる気なし。そこから徐々に子供たちといっしょになって、真剣に野球のコーチをやりはじめる。まあいたってシンプルでよくあるシチュエーション。ただその見せ方がとても自然ですごく上手い。トレーニングの様子を丁寧に、かつテンポよく見せてくれたことに監督さんや脚本家さんのセンスの良さを感じます。ラストの試合の決着も、ちょっと虚をつかれたけれど個人的にはアリ。これといって非の打ち所の無い作品で、よく出来ています。 ただ、こーゆー映画を見ると過去に見た野球マンガの数々とどうしても比較しちゃいがち。野球マンガに必ずある、『無名の高校が周りをあっといわせる展開』が、やはりこの映画にもありません。野球マンガってその辺の盛り上げ方が凄くうまくて、比較しちゃうと物足りなさを感じる部分はあります。ついでに言うと、女教師との恋エピソードもイマイチ。あの程度の味付けで済ますなら無いほうが良いでしょう。[DVD(字幕)] 8点(2019-09-09 13:09:44)《改行有》 11. 黒い家(2007) 《ネタバレ》 原作も日本版も知りません。この作品だけの感想です。 オカルト・ホラー系かと思いきや、まさかのサイコパス系。 『自殺は保険金おりますか。』の電話から始まる恐怖体験。不気味な家。不穏な男。首を吊る少年。つかみは完璧で、なにを考えているかわからない、得体の知れない人間の恐怖を堪能できます。 更には前半のほとんどがミスリード。主犯格は別にいるというストーリーが面白い。犠牲者と思われていた人物がまさかのサイコキラー。このオチをわかったうえで、『親身になって助言をしていた前半』をもう一度見返してみたくなります。 主演の女優、素晴らしいです。幸薄そうな女性から、サイコパスへの変貌。そのギャップを違和感無く演じきっています。 主人公も良いですね。どこにでもいそうな保険のセールスマン。そのありふれた会社員、ありふれた日常に、見ている側はすっかり感情移入。こーゆー映画は『感情移入』や『リアルな設定』により、怖さが2割増しになります。夏の暑い時期に、肌寒い思いをしたい方にはオススメの一本です。[DVD(吹替)] 8点(2019-07-29 01:02:21)《改行有》 12. 公共の敵 《ネタバレ》 これは面白い。思わぬ拾いもの。 冒頭の刑事はなぜ自殺したのか。捜査令状も無しに、あんな好き勝手やれるものなのか。口の中から簡単に見つかる証拠が、なぜ今まで見つからなかったのか。あまりにディテールが雑なので、気になるところはちょいちょいあります。 ですが、そんなことが些細なことに思えるくらいの、パワーと勢いがこの作品にはあります。 『小さい悪は見逃すが、大きい悪は見逃さない。』なんて、そんなかっこいいものではないけれど、ソル・ギョング演じる主役のカン刑事に男のかっこよさを感じます。 そしてこの作品は、イ・ソンジェ演じるギュファンのサイコっぷりがあまりに見事。 そのサイコパスを、暴力でねじ伏せていくストーリーテリングは爽快ですらあります。 ヤクの売人や、ナイフ使いのチンピラ、果物売りの青年に、上司に後輩と、脇を固める人たちが良い味出してますね~。みんな良い人。 『アニキって言うな。刑事と言え。』というラストのセリフに、カン刑事が自分の未来にどんな決断をくだしたのか見えた気がして、気分がほっこり。 ですがラストのラストでは、街の悪党相手に大立ち回りを演じてフィニッシュ。そう、これってまんま『こち亀』の両さんのノリですね。 少々グロイ描写があるので、その辺は注意が必要です。ですが、ストーリー、テイスト、どれをとっても万人向けの娯楽作品に仕上がっていると思います。[DVD(吹替)] 8点(2016-05-05 03:15:49)《改行有》 13. 真実ゲーム 《ネタバレ》 ミステリー要素がかなり強い作品です。ホラーではありませんね。 この作品の真相は同性愛。この頃の韓国映画って、こーゆーの多い気がします。 ここからは壮絶なネタバレします。 女子高生のハン・タヘとヨンジュは相思相愛。しかしヨンジュは自殺。タヘはヨンジュが好きだった歌手、チョ・ハロクのファンクラブの会員になり、利用できるものは何でも利用して、会長にまでのぼり詰めます。 ところがチョ・ハロクは盗作疑惑と麻薬によって破滅寸前。タヘは今は亡き愛するヨンジュのため、チョ・ハロクを人気絶頂のうちに殺害したのがすべての真相。 まずこの『真実ゲーム』が面白いのは、ミスリードが非常に多くあることです。冒頭のレイプシーンですらミスリードという徹底ぶり。タヘにとっては、ヨンジュのためというのがすべてであって、それ以外のことはどれも取るに足りないことだったのでしょう。 ですからストーリーは二転三転します。興味が尽きることはありません。とにかく、『真実』がどうしても知りたくなってしまうのがこの『真実ゲーム』という映画の醍醐味なのです。 逆に弱かったのは動機の描写でしょう。特に、タヘのヨンジュへの想いというのが、全く描ききれていません。タヘのヨンジュへの歪んだ恋愛感情が、より深く、鮮明に描かれていれば、タヘの異常性や猟奇性というものをより強く感じ取れたかもしれません。それはイコール、ラストのオチへの説得力にもつながると思うのです。丁寧に描かれるべきはその『動機』でしょう。 ついでに言えば、ヨンジュの死もかなり唐突です。更に、彼女の死因、自殺なのか他殺なのか、それすらもはっきりとは示されません。つまりは、ストーリーの鍵を握るタヘとヨンジュの行動原理に不可解な点を残したまま、ラストのネタ晴らしへといってしまうのが、この作品の一番の減点ポイントです。 『問題』は大変面白かったのに、その『解答』を教えてもらってもなんかピンとこない、といった感じでしょうか。 それでもこの作品のもつパワー、えげつなさは凄まじいものがあります。 私個人としては、傑作の部類に入ります。[DVD(字幕)] 8点(2016-04-05 13:52:58)《改行有》 14. ガン&トークス 《ネタバレ》 まったりとした雰囲気の殺し屋4人が織り成すサスペンス+コメディドラマ。 これがサスペンスとしても見ごたえがあるし、ストーリータイプのコメディとしても面白い。スタイリッシュなヒットマンストーリーに仕上がっています。 飄々としたリーダー、射撃の天才ミスターパーフェクト、爆弾のスペシャリスト、パソコン担当の弟、チームとしてのキャラ分けも完璧でしょう。4人が4人とも凄腕の殺し屋なのに、やたら人情味溢れる人柄で、そのギャップがたまりません。シリアスなシーンでは完璧に仕事をこなし、めちゃめちゃカッコよく決めてくれます。 特に終盤はかなり盛り上がりますね。オペラ劇場での大仕事でクライマックスでも良かったくらいなのに、そこから更に激動のラストへ。 4人を追う刑事、ついにリーダーを追い詰める!そこでリーダーを逮捕せずに撃ってしまうとんでも刑事。ところがこのアクションがラストへの大事な伏線になっているわけですね。 結局刑事の思惑通り、リーダーのために初めて依頼以外の殺しを遂行する3人。警察署に単身乗り込むリーダー。このラストの一連のシークエンスがもうたまらなくかっこよくてしびれます。 そしてオチは痛快なコメディタッチで締めくくってくれるノリの良さ。 水と油のように相反するコメディとサスペンスという別ジャンルを、完璧なバランスで仕上げた作品。 唯一残念な点を挙げるとすれば、女子高生のエピソードがつまらないうえに、くどい、長い。ここだけが本当に惜しいですが、かなりオススメ度の高い作品です。[DVD(吹替)] 8点(2016-02-03 02:33:04)《改行有》 15. われらの歪んだ英雄 《ネタバレ》 最初の90分は、転校生の主人公ハン・ビョンテと、独裁状態の級長オム・ソクテとの服従関係が出来上がるまでを見せ続けられるので、はっきり言ってかなり息苦しいし、重苦しいです。 最初のうちはビョンテも何かと頑張るわけですが、この独裁がなんといっても浸透しすぎている。なにせ、オム・ソクテが級友達だけでなく、全ての教師から厚い信頼を受けているので、ビョンテ一人の力ではもうどうすることもできないわけです。 ソクテを倒す夢を妄想していたはずのビョンテが、いつしかソクテと仲良くなる自分を夢見ているシーンはとても悲しく、切なく、そして痛々しい。 完全に心を折られたビョンテに最早信念はかけらも残されていませんでした。ソクテが作り上げたシステムの支配下に置かれながらも、完全にそのシステムに乗っかって、満足しているビョンテの様子が一番恐ろしい。 ところが、この完璧ともいえる独裁システム、あっけないくらい簡単に幕をひきます。たった一人の新任の教師によって。 この新任教師キム先生は、まるで黒船のような存在。 外から見れば、なんてちっぽけで狭い世界で自分たちが生きているのかを教えてくれるような存在なんです。 確かにこの小学校は、社会の縮図。いや、世界の縮図と言ってもいいかもしれないです。 隠れた名作であることは間違いないでしょう。[DVD(字幕)] 8点(2013-06-26 00:50:25)《改行有》 16. サスペクト 哀しき容疑者 《ネタバレ》 ボーン・アイデンティティーだ! 凄腕の元工作員VS暗殺者チームVSスーパー軍人VS警察のみなさまVS女記者。 惜しむらくは登場人物多すぎてごちゃごちゃしちゃったとこかな。 特にお偉いさんたちは、途中から誰が誰だかわからなくなります。 チ・ドンチョル(主人公)リ・グァンジョ(主人公の標的、妻の敵)ミン・セフン(スーパー軍人)キム・ソッコ室長(ラスボスでクズ)ガム噛んでる人(ミンの部下で名前忘れた)女記者(同じく名前忘れた)、この人たちさえ把握していればとりあえず他の細かいとこはいいかなって感じです。 アクションはアップが多く、早いカット割りでちょっと誤魔化されている印象。臨場感や迫力をお手軽に出しやすいのかもしれないけれど、安易な多用は反対。 最近のアクションはこーゆー編集が多くて、目が疲れるし、脳も疲れるし、そして状況がわかりづらい。 まあそれをふまえても、エリート工作員同士の戦いはしびれるものがありますが。 特にショッピングモールでの一騎打ちは見ものです。 それに対し、3人目の大学講師みたいな暗殺者。車クラッシュしてリタイアって。そんなつまんない退場のさせ方するんだったら、あんなもったいぶった登場シーンだっていらなかったでしょ。ただでさえ登場人物多いのに。 ストーリー複雑すぎ、スパイあっちゃこっちゃにいすぎ、よっておおまかにしか内容がわからず、そこも残念ポイント。 このわかりにくさは、自分の理解力の問題ではなく、制作サイドの問題だと思います。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2024-05-27 00:54:41)《改行有》 17. 悪魔は誰だ 《ネタバレ》 ある程度映画を見慣れている人であれば、中盤くらいで2度目の誘拐の犯人は察しがつくでしょう。 ただ、話の筋が読めたとしても、最後まで全く飽きさせないのはさすがです。 タイトルから、もっとサイコパスなサスペンスを予想していましたが、韓国映画にしてはそれほどぶっとんだ内容ではありません。むしろ、堅実な作りのサスペンスと言えそうです。これよりどぎつい韓国映画は他にいくらでもあります。 そういった意味では、韓国映画のえぐさが苦手な人には、この作品はちょうど良いかもしれないです。 ラストはベストな落としどころだったと思います。 時効を迎えた誘拐犯に、別の誘拐の罪できっちり服役させる。 誘拐した孫は無事に帰す。 娘を殺された母親も捕まることなく、一応の復讐を果たす。 主人公が刑事を辞職したのは残念だし、殺された娘は帰ってこないなど、悲しい結末には違いないのですが、それ以上の最悪なラストにならなくて良かったかなと。 母親の犯人捜しと、2度目の誘拐。同時進行に見せかけて実は時間をずらしていたのは上手いやり方だと思います。[DVD(字幕)] 7点(2024-01-19 14:37:13)(良:1票) 《改行有》 18. 監視者たち 《ネタバレ》 韓国のサスペンスなので、ごりごりのやつかと思ったのですが、割とポップでライトな仕上がり。エンターテイメント性の高い作品でした。とはいえ、あくまで韓国映画にしては・・・、なので、仲間が死んじゃう衝撃的で辛いシーンがあったりもします。 好きなキャラだったんですけどねぇ。いいところでやられちゃって・・・。最後まで活躍してほしかったなぁ。エースだと紹介されていたし。このエースを瞬殺する影。ここまでの流れがほぼ完ぺき。非常にサスペンスフル。最高に面白い。 オープニングの採用試験からすぐ物語に引き込まれます。そしてその採用試験のときに、子豚(主人公)と犯人がニアミスしていたのも面白い。主人公が終盤、それに気づくシーンはドキドキです。 犯罪のプロ集団。警察の監視専門チーム。プロ対プロ。そしてチーム戦。否が応にも盛り上がります。 ハヤブサとかリスとかモグラとか、コードネームで呼び合うのもかっこいい。チームを動物園に見立てて、『開園』の号令で作戦開始なのがすごく良い。 そもそも尾行なんて地味な作業にスポットをあてて、かつこれだけスリリングにかっこよく見せてくれる映画はなかなか無い。 ただ、なんだろう、見終わった後の物足りなさ感は・・・。 多分、この映画、どちらかと言えば連続ドラマ向きだと思うんですよねぇ。 ストーリーの密度と映画の尺を考えれば、1人1人にスポットをあてるわけにもいかず。基本は中心人物達をメインにストーリーを構成。そしてそれはおそらく正解なんですが、この魅力的な登場人物たちを、1人1人のドラマや特性をもう少し丁寧に見たかったなぁと思う次第です。[DVD(字幕)] 7点(2023-10-27 06:04:55)《改行有》 19. ハッピーログイン 《ネタバレ》 三者三様の恋愛ドラマ。 売れっ子の俳優と気の強い脚本家。部屋を借りた男とその物件のオーナー兼CA。難聴の作曲家とその事実を知らない女性。 最初は安っぽいドラマを見ているようであまり面白さを感じず。しかも登場人物が多いうえに脚本家とCAが似ていて少々混乱。人間相関図を頭の中で整理するだけで一苦労。 ただ、中盤くらいからがぐっと面白くなります。 こーゆーオムニバス形式のものっていうのは一組くらいつまらないものがあるものですが、今作では三者三様、それぞれが良い味を出しています。 コメディ色が強いのは部屋を借りた飲食店経営の男と詐欺被害にあったCAの組み合わせ。何かと笑わせてくれる二人です。 難聴の作曲家とその彼女は一番若いカップル。衝突が少なく、最初からうまくいきます。ですが作曲家の若者は難聴である事実を言い出せないでいます。応援したくなる二人です。 俳優と脚本家の組み合わせはその中間といったところでしょうか。 それぞれの恋愛が直接からむことはありません。ですので、前半はともかく、中盤あたりからはすっきりして見やすくなります。 それぞれの恋愛が絡むことはありませんが、それぞれの生活の中でさりげなく他の人たちと接点がある構成に遊び心を感じます。 最後は全員にハッピーエンドが訪れる最高の結末。 エンドロールで映し出される三組のその後は見ている側も幸せな気分にさせてくれる最高のエンディングでした。[DVD(字幕)] 7点(2021-10-18 03:07:54)《改行有》 20. セシボン 《ネタバレ》 完全フィクションの作品かと思いきや、セシボンは実在する音楽鑑賞室でした。『ツインフォリオ』も実在した音楽デュオでした。そのメンバーも一部は実在していたみたいでした。いろいろ驚きです。 驚きと言えば、2人の天才シンガーではなく、後から出てくる一般人のオ・グンテがまさかの主役ってのも少々意外。で、こいつがヒロインとくっつくんかーい、というのがこの映画のミソなんでしょう。いや、完全わき役臭漂うこの人が中心人物でしたってのはちょっと斬新かもしれないです。 で、セシボンを結成するまで。そしてヒロインと徐々に親密になっていくまで。この辺りはサクセスストーリーのノリで面白かったのですが、そこから先が少々タルい。ちょっと音楽も恋愛もダラダラしてきたなーってところで、急展開。 いやー、もっと頭からっぽにして見られるタイプの映画と思っていたので、なかなか切ない気分にさせられましたね。ただただ爽やかで甘酸っぱい青春サクセスストーリー、ではないのです。後味苦めです。 韓国映画にはもしかすると多いのかもしれませんが、この映画も過去と現在で役者が入れ替わります。私はこれが苦手で途端に感情移入しづらくなってしまいます。どー見ても同一人物に見えないんです。 それでも真相が明らかになったとき、いつの間にか自分も泣いていました。若干もたつく感じはあるものの、意外と名作かもしれないです。[DVD(字幕)] 7点(2021-09-18 02:37:21)《改行有》
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