|
1. 上海ルージュ
《ネタバレ》 少年が歌姫の苦悩を知って、次第に心を寄せて行くのと裏腹に、凄惨な上海マフィアの制裁が歌姫に下されるという、悲惨極まりないオハナシ。だが、後味は悪くない。最初は豆腐屋になりたいなんて無邪気な夢を語っていた少年だけれど、きっと、上海に戻ったら、やっぱり敵討ちってことでその道へ入って行くんだろうな。あの可愛い少女の行く末も、歌姫の二の舞かと思うと切ない。逆さ吊りにされた少年の懐から落ちた硬貨は、少年の無邪気な夢が河の藻屑(っていう表現はないかもだけど)と消えたことを物語るようで、また切ない。オリンピックの演出は数で勝負の大味だったが、この映画は小粒ながらピリッと旨い。[ビデオ(字幕)] 7点(2009-04-30 15:53:50)
2. 北京ヴァイオリン
《ネタバレ》 評価は分かれている様ですが、私はとても好きな一品。公開当時に、劇場で見た後、そのまま売店でサントラCDを買いました。優れた才能を持った、しかも思春期の男の子ゆえの独特の愛想のなさ、もうオチャメなほどに息子思いの父親は、良い父子コンビ。莉莉に見せる小春の表情がまた普段と対比されていて実に可愛い。特筆すべきは、無頼の感ある江先生。金満少年のレッスン中にカップを投げつけるシーン、猫たちが自由に闊歩する江先生の部屋での小春との小さなやりとりの数々も、いいんだよな~。ラストは感激。涙しながら父だけのために渾身の演奏を捧げる、これ以上の父への気持ちの表現はないでしょう。彼の実力ならば、コンクール参加のチャンスは今後もきっとあるはず。この監督の作品では、『覇王別姫』よりこちらの方が、私的には断然好き。後半は涙ナシでは見られません。何度でも見たくなる本当に素敵な映画。[映画館(字幕)] 9点(2008-04-21 15:40:25)
3. 山の郵便配達
山道を父と息子が黙々と進むのと同様に、淡々と進む話。会話の端々に親子の感情が絡み合う。父の仕事に対する真摯さに次第に息子が理解を深めていく様子は心が洗われる。父を負ぶって、息子が冷たい川を渡るシーンが象徴的。何より、この映画を秀逸なものにしているのは次男坊の存在。ラストシーンの次男坊の行動で、父子の世代交代がなされたことが、静かな感動とともに見る者に伝わってくる。好き嫌いが分かれる映画だろうが、私にとっては何度でも見たくなる素晴らしい映画。映画として撮る意味を感じられる作品です。TVドラマじゃ、あり得ませんから。[CS・衛星(字幕)] 9点(2007-10-09 11:06:39)(良:1票)
|